JP6649195B2 - 差動信号伝送装置 - Google Patents

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Description

本発明は、高周波回路に用いられる差動信号伝送装置に関するものである。
近年のブロードバンドネットワークの普及と共に、信号の高速化、装置の小型化および低コスト化が図られており、高速信号伝送にはノイズの影響を受けにくくするために、差動信号を用いるのが一般的になっている。このような差動信号伝送装置の伝送線路には、2本の信号線路(S)の間と両側にグランド(G)を配置したGSGSG構造の差動伝送線路が採用されていた。
図14(A)は従来の差動伝送線路の構造を示す平面図、図14(B)は図14(A)のA−A’線断面図である。差動伝送線路は、誘電体層100の裏面に形成された裏面グランド層101と、誘電体層100の表面に形成された2本の信号線路102a,102bと、信号線路102a,102bの外側の誘電体層100の表面に形成された表面グランド層103a,103bと、信号線路102a,102bの間の誘電体層100の表面に形成された表面グランド層103cとから構成される。
図15(A)は一般的な差動信号伝送装置の1例を示すブロック図である。図15(A)において、送信回路200と受信回路201とは、oddモードインピーダンス値がZoddの差動伝送線路202によって接続されている。送信回路200は、図15(B)に示すように差動対トランジスタQ200,Q201と、終端抵抗Rと、電流源ISとから構成される。
差動伝送線路202は、図15(B)に示すような送信回路200の終端抵抗R(=Zodd)で終端され、インピーダンス整合が得られている(非特許文献1参照)。電気信号がインピーダンスが異なるところで反射すると波形が乱れる原因になるので、良好な信号伝送を行うためには、終端抵抗Rと各伝送線路の特性インピーダンスを一致させることが重要になる。
差動伝送線路202の2本の信号線路に流れる電流は、理想的には大きさが同じで向きが逆であるため、外部ノイズの影響を受け難くなる。その理由は、2本の信号線路に同じノイズが加わったとしても、差動伝送では信号線路間の電位差をみるため、ノイズがキャンセルされるからである。また、2本の信号線路に互いに逆向きに電流が流れることにより、磁束が打ち消されるので、信号の高調波による電磁ノイズ(放射ノイズ)が低減される。
しかし実際には、差動伝送線路202上に流れる電流に対して、理想的な差動状態を実現するのは難しい。このため、差動伝送線路202の入出力端子間にはわずかな同相信号が流れ、差動伝送線路202や送受信回路等の特性インピーダンスのミスマッチによって、同相信号の反射が起こる。
鈴木 茂夫,"わかりやすい高周波技術入門",日刊工業新聞社,p.116−117,2003年
図14(A)、図14(B)で説明したように、従来の差動伝送線路はGSGSG構造を用いている。接地用の導電体を配置するGSGSG構造では、コモンモード電流が流れる時のevenモードインピーダンスZevenとディファレンシャルモード電流が流れる時のoddモードインピーダンスZoddが等しいため、特性インピーダンスの違いによる信号の反射(共振)は起きない。しかし、2本の信号線路の間に接地用の表面グランド層を配置するため、差動伝送線路の面積が大きくなり、小型化、高密度実装が困難であった。
図16(A)、図16(B)に示すように2本の信号線路102a,102bの間に接地用の表面グランド層を配置しないGSSG構造では、evenモードインピーダンスZevenはoddモードインピーダンスZoddよりも通常高くなる。そのため、特性インピーダンスの違いによる信号の反射(共振)が起きるという問題があった。
例えば図16(A)、図16(B)のような簡単なGSSG構造の差動伝送線路において、信号線路102a,102bと裏面グランド層101と表面グランド層103a,103bの材料として金(Au)を用い、誘電体層100としてインジウムリン(InP)基板(比誘電率εr=12.56)を用い、信号線路102a,102bの幅wを5.2μm、信号線路102a,102b間の距離dを12μm、信号線路102a,102bと表面グランド層103a,103b間の距離gを12μm、誘電体層100の厚さhを100μmとした時、ADS(Advanced Design System)シミュレータによりevenモードインピーダンスZevenおよびoddモードインピーダンスZoddを計算すると、Zoddは50Ωであり、Zevenは96Ωとなる。
通常、oddモードインピーダンスZoddは50Ωに設定されており、送信回路の終端抵抗Rも50Ωである。図14(A)、図14(B)に示したGSGSG構造の差動伝送線路では、Zeven=Zodd=50Ωに設定出来るため、差動・同相信号入力時においても特性インピーダンスのミスマッチによる信号の反射は起きない。しかし、図16(A)、図16(B)に示したGSSG構造の差動伝送線路では、Zeven>Zodd=50Ωであるため、同相信号入力時において反射が起きてしまうという問題があった。
oddモードインピーダンスZoddを50Ωに設定した差動伝送線路202に、図17(A)、図17(B)のように信号を入力した場合の反射特性(S11)をADSシミュレーションにより調べた。図17(A)は差動入力の場合、図17(B)は同相入力の場合を示している。ZLは負荷インピーダンスである。
図14(A)、図14(B)に示したGSGSG構造の差動伝送線路202については、信号線路102a,102bの幅wを14.5μm、信号線路102a,102bと表面グランド層103a,103b,103c間の距離gを12μmとした。図16(A)、図16(B)に示したGSSG構造の差動伝送線路202については、信号線路102a,102bの幅wを5.2μm、信号線路102a,102b間の距離dを12μm 、信号線路102a,102bと表面グランド層103a,103b間の距離gを12μmとした。GSGSG構造、GSSG構造のいずれについても誘電体層100の厚さhを100μmとした。
また、信号線路102a,102bと裏面グランド層101と表面グランド層103a,103b,103cの材料を金(Au)とし、誘電体層100の材料をインジウムリン(InP)とした。なお、終端抵抗Rを50Ωとし、信号源インピーダンスは差動伝送線路202のインピーダンスに合わせている。
図18(A)にGSGSG構造の差動伝送線路202についての反射特性のシミュレーション結果を示し、図18(B)にGSSG構造の差動伝送線路202についての反射特性のシミュレーション結果を示す。300は差動入力の場合の反射特性を示し、301は同相入力の場合の反射特性を示している。
差動伝送線路202がGSGSG構造の場合には、差動入力、同相入力共に反射特性(S11_mag)は−20dB以下であり、良好な反射特性が得られている。一方、差動伝送線路202がGSSG構造の場合には、差動入力時の反射特性は−20dB以下であり、良好な反射特性が得られているが、同相入力時の反射特性は−10dB程度となり、良好な反射特性が得られていないことが分かる。
本発明は、上記実情を鑑みて為されたものであり、本発明の目的は、差動伝送線路に流れる電流信号の伝送特性の確保および反射ノイズの抑制を両立させることができ、かつ差動伝送線路の面積を小さくすることができ、高速化と高密度実装が可能な差動信号伝送装置を提供することにある。
本発明の差動信号伝送装置は、差動伝送線路と、この差動伝送線路の入力端に接続された送信回路とを少なくとも備え、前記差動伝送線路は、誘電体層と、この誘電体層の裏面に形成された裏面グランド層と、前記誘電体層の表面に形成された複数の信号線路とを少なくとも備え、前記送信回路は、一端が電源電圧またはグランドに接続され、他端が前記差動伝送線路の一方の信号線路の入力端に接続された第1の抵抗と、一端が前記第1の抵抗の一端と同じ電圧に接続され、他端が前記差動伝送線路の他方の信号線路の入力端に接続された第2の抵抗と、前記一方の信号線路の入力端と前記他方の信号線路の入力端との間に接続された第3の抵抗とから構成され、前記第1、第2の抵抗の値が前記差動伝送線路のevenモードインピーダンスと同じ値になり、かつ前記第1の抵抗と前記第3の抵抗の1/2の抵抗値との並列抵抗値が前記差動伝送線路のoddモードインピーダンスZoddと同じ値になるように、前記第1、第2、第3の抵抗の値が設定されることを特徴とするものである。
また、本発明の差動信号伝送装置は、差動伝送線路と、この差動伝送線路の出力端に接続された受信回路とを少なくとも備え、前記差動伝送線路は、誘電体層と、この誘電体層の裏面に形成された裏面グランド層と、前記誘電体層の表面に形成された複数の信号線路とを少なくとも備え、前記受信回路は、一端が電源電圧またはグランドに接続され、他端が前記差動伝送線路の一方の信号線路の出力端に接続された第1の抵抗と、一端が前記第1の抵抗の一端と同じ電圧に接続され、他端が前記差動伝送線路の他方の信号線路の出力端に接続された第2の抵抗と、前記一方の信号線路の出力端と前記他方の信号線路の出力端との間に接続された第3の抵抗とから構成され、前記第1、第2の抵抗の値が前記差動伝送線路のevenモードインピーダンスと同じ値になり、かつ前記第1の抵抗と前記第3の抵抗の1/2の抵抗値との並列抵抗値が前記差動伝送線路のoddモードインピーダンスZoddと同じ値になるように、前記第1、第2、第3の抵抗の値が設定されることを特徴とするものである。
また、本発明の差動信号伝送装置は、差動伝送線路と、この差動伝送線路の入力端に接続された送信回路とを少なくとも備え、前記差動伝送線路は、誘電体層と、この誘電体層の裏面に形成された裏面グランド層と、前記誘電体層の表面に形成された複数の信号線路とを少なくとも備え、前記送信回路は、一端が前記差動伝送線路の一方の信号線路の入力端に接続された第1の抵抗と、一端が前記差動伝送線路の他方の信号線路の入力端に接続された第2の抵抗と、一端が電源電圧またはグランドに接続され、他端が前記第1、第2の抵抗の他端に接続された第3の抵抗とから構成され、電源電圧またはグランドと前記差動伝送線路の一方の信号線路の入力端との間に存在すると見なせる等価的な第4の抵抗と、電源電圧またはグランドと前記差動伝送線路の他方の信号線路の入力端との間に存在すると見なせる等価的な第5の抵抗とが、前記差動伝送線路のevenモードインピーダンスZevenと同じ値になり、かつ2本の信号線路の入力端間に存在すると見なせる等価的な第6の抵抗の1/2の抵抗値と前記第4の抵抗との並列抵抗値が前記差動伝送線路のoddモードインピーダンスZoddと同じ値になるように、前記第1、第2、第3の抵抗の値が設定されることを特徴とするものである。
また、本発明の差動信号伝送装置は、差動伝送線路と、この差動伝送線路の出力端に接続された受信回路とを少なくとも備え、前記差動伝送線路は、誘電体層と、この誘電体層の裏面に形成された裏面グランド層と、前記誘電体層の表面に形成された複数の信号線路とを少なくとも備え、前記受信回路は、一端が前記差動伝送線路の一方の信号線路の出力端に接続された第1の抵抗と、一端が前記差動伝送線路の他方の信号線路の出力端に接続された第2の抵抗と、一端が電源電圧またはグランドに接続され、他端が前記第1、第2の抵抗の他端に接続された第3の抵抗とから構成され、電源電圧またはグランドと前記差動伝送線路の一方の信号線路の出力端との間に存在すると見なせる等価的な第4の抵抗と、電源電圧またはグランドと前記差動伝送線路の他方の信号線路の出力端との間に存在すると見なせる等価的な第5の抵抗とが、前記差動伝送線路のevenモードインピーダンスZevenと同じ値になり、かつ2本の信号線路の出力端間に存在すると見なせる等価的な第6の抵抗の1/2の抵抗値と前記第4の抵抗との並列抵抗値が前記差動伝送線路のoddモードインピーダンスZoddと同じ値になるように、前記第1、第2、第3の抵抗の値が設定されることを特徴とするものである。
また、本発明の差動信号伝送装置の1構成例において、前記差動伝送線路は、前記複数の信号線路の外側の前記誘電体層の表面に形成された表面グランド層をさらに備えた差動コプレナー線路である。
また、本発明の差動信号伝送装置の1構成例において、前記差動伝送線路は、マイクロストリップ線路である。
本発明によれば、小型化、高密度実装が可能なGSSG構造の差動伝送線路を採用し、かつ差動入力時だけでなく、同相入力時においても送信側において不要な反射が起きない送信回路を付加することにより、差動伝送線路の信号伝送特性の確保と反射ノイズの抑制を両立させることができ、かつ差動伝送線路が占有する領域を狭くでき、高速化と高密度実装が可能な差動信号伝送装置を実現することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る差動信号伝送装置の構成を示すブロック図である。 差動インピーダンスの定義を説明する図である。 本発明の第2の実施の形態に係る差動信号伝送装置の差動伝送線路の構造を示す平面図および断面図である。 本発明の第2の実施の形態において反射特性のシミュレーションの対象とした差動信号伝送装置の構成を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る差動信号伝送装置の反射特性のシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る差動信号伝送装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施の形態に係る差動信号伝送装置の差動伝送線路の構造を示す平面図および断面図である。 本発明の第3の実施の形態において反射特性のシミュレーションの対象とした差動信号伝送装置の構成を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る差動信号伝送装置の反射特性のシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る差動信号伝送装置の差動伝送線路の構造を示す平面図および断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る差動信号伝送装置の反射特性のシミュレーション結果を示す図である。 本発明の第5の実施の形態に係る差動信号伝送装置の構成を示すブロック図である。 π型結線の抵抗群のアドミタンスとT型結線の抵抗群のインピーダンスの関係を説明する図である。 従来の差動伝送線路の構造を示す平面図および断面図である。 従来の差動信号伝送装置の1例を示すブロック図および差動信号伝送装置の送信回路の回路図である。 従来の差動伝送線路の他の構造を示す平面図および断面図である。 反射特性のシミュレーションの対象とした従来の差動信号伝送装置の回路を示す図である。 図17の差動信号伝送装置についての反射特性のシミュレーション結果を示す図である。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る差動信号伝送装置の構成を示すブロック図である。差動信号伝送装置は、GSSG構造の差動伝送線路1と、差動伝送線路1の入力端に接続された送信回路2と、差動伝送線路1の出力端に接続された受信回路3とから構成される。
送信回路2は、一端が電源電圧Vbiasに接続され、他端が差動伝送線路1の一方の信号線路の入力端に接続された抵抗R1と、一端が電源電圧Vbiasに接続され、他端が差動伝送線路1の他方の信号線路の入力端に接続された抵抗R2と、差動伝送線路1の2本の信号線路間に接続された抵抗R3とから構成される。送信回路2の入力には、図示しない差動信号源が接続される。なお、抵抗R1,R2の一端を電源電圧Vbiasでなく、グランドに接続してもよい。
課題解決の為、本実施の形態では、送信回路2から受信回路3へ差動信号を伝送する図1の差動信号伝送装置において、抵抗R1,R2が差動伝送線路1のevenモードインピーダンスZevenに等しい抵抗値を有し、かつ抵抗R1(あるいはR2)と抵抗R3の1/2の抵抗値との並列抵抗値が差動伝送線路1のoddモードインピーダンスZoddに等しい値になるように抵抗R3の値を設定している。
ここで、evenモードインピーダンスZevenは、差動伝送線路の2本の信号線路を伝搬する信号が同相の場合の信号線路1本あたりの特性インピーダンス、oddモードインピーダンスZoddは、2本の信号線路を伝搬する信号が逆相(差動)の場合の信号線路1本あたりの特性インピーダンスである。一般的に、差動伝送線路のoddモードインピーダンスZoddと差動インピーダンスZdiffには、式(1)のような関係がある。
Zodd=Zdiff/2 ・・・(1)
また、evenモードインピーダンスZevenとコモンモードインピーダンスZcomには、式(2)のような関係がある。
Zeven=Zcom×2 ・・・(2)
コモンモードインピーダンスZcom、差動インピーダンスZdiff、evenモードインピーダンスZeven、oddモードインピーダンスZoddを図で表すと、図2のようになる。
差動伝送線路1の2本の信号線路を伝搬する信号が同相の時は、2本の信号線路間に挿入されている抵抗R3がフローティングのような状態となるため、片方の信号線路から見た送信回路2の抵抗値Zcは、抵抗R1(=R2)と等しい値になる。抵抗R1,R2のそれぞれを差動伝送線路1のevenモードインピーダンスZevenと等しい値に設定することにより、差動伝送線路1の2本の信号線路を伝搬する信号が同相の時も反射が起きないようにすることができる。
一方、差動伝送線路1の2本の信号線路を伝搬する信号が逆相の時は、片方の信号線路から見た送信回路2の抵抗値Rdは、式(3)に示すように抵抗R1(あるいはR2)と抵抗R3の1/2の抵抗値を持つ抵抗との並列抵抗になる。したがって、抵抗Rdが差動伝送線路1のoddモードインピーダンスZodd(通常50Ω)と等しくなるように、送信回路2の抵抗R3の値を設定している。
本実施の形態では、送信回路2の抵抗R1,R2の値を差動伝送線路1のevenモードインピーダンスZevenの値になるように設定し、送信回路2の抵抗R1と抵抗R3の1/2の抵抗値との並列抵抗値がoddモードインピーダンスZoddの値と同じになるように抵抗R3の値を設定することにより、GSSG構造の差動伝送線路1の2本の信号線路を伝搬する信号が逆相の時だけでなく同相の時も送信側において反射が起きないようにすることができる。また、受信回路3の反射特性が悪く反射波が生じても、送信側の反射特性が良好であれば、それ以上の反射波の発生を抑圧することができる。
さらに、前述の図17(A)、図17(B)、図18(A)、図18(B)の反射特性(S11_mag)のADSシミュレーションで説明したように、差動伝送線路において線路間距離とoddモードインピーダンスZodd(=50Ω)の条件を等しくした場合の信号線路幅wは、GSGSG構造では14.5μmであるのに対し、GSSG構造では5.2μmとなる。このことからも、GSSG構造の差動伝送線路1は、小型化、高密度実装に適していることが分かる。
したがって、本実施の形態では、小型化、高密度実装が可能なGSSG構造の差動伝送線路1を採用し、かつ同相入力時においても反射が起きない送信回路2を付加することにより、差動伝送線路1の信号伝送特性の確保と反射ノイズの抑制を両立させることができ、かつ差動伝送線路1が占有する領域を狭くでき、高速化と高密度実装が可能な差動信号伝送装置を実現することができる。
差動伝送線路の終端技術としては、例えば特開2004−153626号公報に記載のものが知られている。しかし、特開2004−153626号公報に記載の終端回路は、抵抗やキャパシタの位置(レイアウト)を工夫したものであり、差動伝送線路自体の差動インピーダンスの不整合をなくすように工夫したものである。その為、伝送する信号のスキューなどに起因したコモンモード電流発生時は、不要反射ノイズが生じ、反射が起きないように伝送させることが困難である。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は第1の実施の形態の具体例を示すものである。差動信号伝送装置全体の構成は第1の実施の形態と同じなので、図1の符号を用いて説明する。
図3(A)は本実施の形態の差動伝送線路1の構造を示す平面図、図3(B)は図3(A)のA−A’線断面図である。本実施の形態の差動伝送線路1は、半導体基板上の差動コプレナー線路(CPW:CoPlanar Waveguide)であり、インジウムリン(InP)等からなる誘電体層10(半導体基板)と、誘電体層10の裏面に形成されたAu等の導電体部材からなる裏面グランド層11と、誘電体層10の表面に形成された同じく導電体部材からなる2本の信号線路12a,12bと、信号線路12a,12bの外側の誘電体層10の表面に形成された導電体部材からなる表面グランド層13a,13bとから構成される。
本実施の形態の送信回路2は、一端が電源電圧Vbiasまたはグランドに接続され、他端が差動伝送線路1の一方の信号線路12aの入力端に接続された抵抗R1と、一端が電源電圧Vbiasまたはグランドに接続され、他端が差動伝送線路1の他方の信号線路12bの入力端に接続された抵抗R2と、信号線路12aの入力端と信号線路12bの入力端との間に接続された抵抗R3とから構成される。送信回路2の入力には、図示しない差動信号源が接続される。抵抗R1〜R3の値は第1の実施の形態で説明したように設定すればよい。
以下、具体的な数値を挙げて説明する。信号線路12a,12bと裏面グランド層11と表面グランド層13a,13bの材料としてAuを用い、誘電体層10としてインジウムリン(InP)基板(比誘電率εr=12.56)を用い、差動伝送線路1の2本の信号線路12a,12bを伝搬する信号が逆相の時のoddモードインピーダンスZoddが50Ωになるように、信号線路12a,12bの幅wを5.2μm、信号線路12a,12b間の距離dを12μm、信号線路12a,12bと表面グランド層13a,13b間の距離gを12μmに設定した。また、誘電体層10の厚さhを100μm、線路長を300μmとした。この時、差動伝送線路1の2本の信号線路12a,12bを伝搬する信号が同相の時のevenモードインピーダンスZevenを、ADSシミュレーションにより計算すると96Ωになる。
そこで、R1=R2=96Ωに設定し、差動伝送線路1の2本の信号線路12a,12bを伝搬する信号が逆相の時の片方の信号線路から見た送信回路2の抵抗値Rdを、差動伝送線路1のoddモードインピーダンスZodd(=50Ω)と等しくなるように設定する。ここで抵抗Rdは式(3)で与えられる。以上より、R1=R2=96Ω、Rd=50Ωの時、R3=208Ωに設定すれば、2つのモードのどの信号も反射が起きないように伝送させることができる。
本実施の形態の送信回路2を付加した差動伝送線路1に、図4(A)、図4(B)のように信号を入力した場合の反射特性(S11)をADSシミュレーションにより調べた。図4(A)は差動入力の場合、図4(B)は同相入力の場合を示している。ZLは負荷インピーダンスである。なお、信号源インピーダンスは差動伝送線路1のインピーダンス(Zcom,Zdiff)に合わせている。
図5に反射特性(S11_mag)のシミュレーション結果を示す。50は差動入力の場合の反射特性を示し、51は同相入力の場合の反射特性を示している。本実施の形態の構成では、差動入力、同相入力共に反射特性(S11_mag)は−20dB以下であり、良好な反射特性が得られていることが分かる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図6は本発明の第3の実施の形態に係る差動信号伝送装置の構成を示すブロック図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の差動信号伝送装置は、半導体基板上のマイクロストリップ線路(MSL:Micro Strip Line)である差動伝送線路1aと、差動伝送線路1aの入力端に接続された送信回路2と、差動伝送線路1aの出力端に接続された受信回路3とから構成される。
図7(A)は差動伝送線路1aの構造を示す平面図、図7(B)は図7(A)のA−A’線断面図である。本実施の形態の差動伝送線路1aは、インジウムリン(InP)等からなる誘電体層14(半導体基板)と、誘電体層14の裏面に形成されたAu等の導電体部材からなる裏面グランド層15と、誘電体層14の表面に形成された同じく導電体部材からなる2本の信号線路16a,16bとから構成される。
本実施の形態の送信回路2は、一端が電源電圧Vbiasまたはグランドに接続され、他端が差動伝送線路1aの一方の信号線路16aの入力端に接続された抵抗R1と、一端が電源電圧Vbiasまたはグランドに接続され、他端が差動伝送線路1aの他方の信号線路16bの入力端に接続された抵抗R2と、信号線路16aの入力端と信号線路16bの入力端との間に接続された抵抗R3とから構成される。送信回路2の入力には、図示しない差動信号源が接続される。抵抗R1〜R3の値は第1の実施の形態で説明したように設定すればよい。
以下、具体的な数値を挙げて説明する。信号線路16a,16bと裏面グランド層15の材料としてAuを用い、誘電体層14としてインジウムリン(InP)基板(比誘電率εr=12.56)を用い、差動伝送線路1aの2本の信号線路16a,16bを伝搬する信号が逆相の時のoddモードインピーダンスZoddが50Ωになるように、信号線路16a,16bの幅wを3μm、信号線路16a,16b間の距離dを10μm、誘電体層14の厚さhを20μm、線路長を300μmと設定した。この時、差動伝送線路1aの2本の信号線路16a,16bを伝搬する信号が同相の時のevenモードインピーダンスZevenを、ADSシミュレーションにより計算すると100Ωになる。
そこで、R1=R2=100Ωに設定し、差動伝送線路1aの2本の信号線路16a,16bを伝搬する信号が逆相の時の片方の信号線路から見た送信回路2の抵抗値Rdを、差動伝送線路1aのoddモードインピーダンスZodd(=50Ω)と等しくなるように設定する。上記のとおり抵抗Rdは式(3)で与えられる。以上より、R1=R2=100Ω、Rd=50Ωの時、R3=200Ωに設定すれば、2つのモードのどの信号も反射が起きないように伝送させることができる。
本実施の形態の送信回路2を付加した差動伝送線路1aに、図8(A)、図8(B)のように信号を入力した場合の反射特性(S11)をADSシミュレーションにより調べた。図8(A)は差動入力の場合、図8(B)は同相入力の場合を示している。ZLは負荷インピーダンスである。なお、信号源インピーダンスは差動伝送線路1aのインピーダンス(Zcom,Zdiff)に合わせている。
図9に反射特性(S11_mag)のシミュレーション結果を示す。60は差動入力の場合の反射特性を示し、61は同相入力の場合の反射特性を示している。本実施の形態の構成では、差動入力、同相入力共に反射特性(S11_mag)は−20dB以下であり、良好な反射特性が得られていることが分かる。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は第1の実施の形態の別の具体例を示すものである。差動信号伝送装置全体の構成は第1の実施の形態と同じなので、図1の符号を用いて説明する。
図10(A)は本実施の形態の差動伝送線路1の構造を示す平面図、図10(B)は図10(A)のA−A’線断面図である。本実施の形態の差動伝送線路1は、プリント基板上の差動コプレナー線路(CPW)であり、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等からなる誘電体層17(プリント基板)と、誘電体層17の裏面に形成された銅(Cu)等の導電体部材からなる裏面グランド層18と、誘電体層17の表面に形成された同じく導電体部材からなる2本の信号線路19a,19bと、信号線路19a,19bの外側の誘電体層17の表面に形成された導電体部材からなる表面グランド層20a,20bとから構成される。
本実施の形態の送信回路2は、一端が電源電圧Vbiasまたはグランドに接続され、他端が差動伝送線路1の一方の信号線路19aの入力端に接続された抵抗R1と、一端が電源電圧Vbiasまたはグランドに接続され、他端が差動伝送線路1の他方の信号線路19bの入力端に接続された抵抗R2と、信号線路19aの入力端と信号線路19bの入力端との間に接続された抵抗R3とから構成される。送信回路2の入力には、図示しない差動信号源が接続される。抵抗R1〜R3の値は第1の実施の形態で説明したように設定すればよい。
以下、具体的な数値を挙げて説明する。信号線路19a,19bと裏面グランド層18と表面グランド層20a,20bの材料としてCuを用い、誘電体層17としてエポキシ樹脂基板(比誘電率εr=4.0)を用い、差動伝送線路1の2本の信号線路19a,19bを伝搬する信号が逆相の時のoddモードインピーダンスZoddが50Ωになるように、信号線路19a,19bの幅wを0.5mm、信号線路19a,19bの厚さTを0.035mm、信号線路19a,19b間の距離dを0.25mm、誘電体層17の厚さhを0.2mm、線路長を3mmと設定した。この時、差動伝送線路1の2本の信号線路19a,19bを伝搬する信号が同相の時のevenモードインピーダンスZevenを、ADSシミュレーションにより計算すると108Ωになる。
そこで、R1=R2=108Ωに設定し、差動伝送線路1の2本の信号線路19a,19bを伝搬する信号が逆相の時の片方の信号線路から見た送信回路2の抵抗値Rdを、差動伝送線路1のoddモードインピーダンスZodd(=50Ω)と等しくなるように設定する。上記のとおり抵抗Rdは式(3)で与えられる。以上より、R1=R2=108Ω、Rd=50Ωの時、R3=186Ωに設定すれば、2つのモードのどの信号も反射が起きないように伝送させることができる。
本実施の形態の送信回路2を付加した差動伝送線路1に、図4(A)、図4(B)のように信号を入力した場合の反射特性(S11)をADSシミュレーションにより調べた。なお、信号源インピーダンスは差動伝送線路1のインピーダンス(Zcom,Zdiff)に合わせている。
図11に反射特性(S11_mag)のシミュレーション結果を示す。70は差動入力の場合の反射特性を示し、71は同相入力の場合の反射特性を示している。本実施の形態の構成では、差動入力、同相入力共に反射特性(S11_mag)は−20dB以下であり、良好な反射特性が得られていることが分かる。
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図12は本発明の第5の実施の形態に係る差動信号伝送装置の構成を示すブロック図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の差動信号伝送装置は、半導体基板上の差動コプレナー線路(CPW)である差動伝送線路1と、差動伝送線路1の入力端に接続された送信回路2と、差動伝送線路1の出力端に接続された受信回路3とから構成される。
差動伝送線路1および送信回路2の構成は第1、第2の実施の形態で説明したとおりである。送信回路2の抵抗R1〜R3の値は第1の実施の形態で説明したように設定すればよい。
本実施の形態の受信回路3は、一端が電源電圧Vbiasまたはグランドに接続され、他端が差動伝送線路1の一方の信号線路12aの出力端に接続された抵抗R4と、一端が電源電圧Vbiasまたはグランドに接続され、他端が差動伝送線路1の他方の信号線路12bの出力端に接続された抵抗R5と、信号線路12aの出力端と信号線路12bの出力端との間に接続された抵抗R6とから構成される。
送信回路2の場合と同様に、本実施の形態では、図12の差動信号伝送装置において、受信回路3の抵抗R4,R5が差動伝送線路1のevenモードインピーダンスZevenに等しい抵抗値を有し、かつ抵抗R4(あるいはR5)と抵抗R6の1/2の抵抗値との並列抵抗値が差動伝送線路1のoddモードインピーダンスZoddに等しい値になるように抵抗R6の値を設定している。
こうして、本実施の形態では、GSSG構造の差動伝送線路1の2本の信号線路を伝搬する信号が逆相の時だけでなく同相の時も送受信側共に反射が起きないようにすることができる。
なお、本実施の形態では、GSSG構造の差動伝送線路1(第1、第2、第4の実施の形態)に、抵抗R4〜R6を有する受信回路3を適用する場合について説明したが、これに限るものではなく、第3の実施の形態に本実施の形態の受信回路3を適用してもよい。また、第1〜第4の実施の形態において、送信回路2を省き、抵抗R4〜R6を有する受信回路3のみを設けるようにしてもよい。
また、第1〜第5の実施の形態では、送信回路2と受信回路3をπ型結線の抵抗群で構成しているが、T型結線の抵抗群で送信回路2と受信回路3を構成してもよい。図13(A)に示すπ型結線の抵抗R11,R12,R13のアドミタンスをそれぞれY1,Y2,Y3とし(Y1=Y2)、図13(B)に示すT型結線の抵抗R21,R22,R23のインピーダンスをそれぞれZ1,Z2,Z3としたとき(Z1=Z2)、式(4)、式(5)のように値を設定すると、π型結線の抵抗群とT型結線の抵抗群は等価になる。
したがって、電源電圧Vbiasまたはグランドと差動伝送線路の一方の信号線路の入力端との間に存在すると見なせる等価的な第4の抵抗(R1)と、電源電圧Vbiasまたはグランドと差動伝送線路の他方の信号線路の入力端との間に存在すると見なせる等価的な第5の抵抗(R2)とが、差動伝送線路のevenモードインピーダンスZevenと同じ値になり、かつ2本の信号線路の入力端間に存在すると見なせる等価的な第6の抵抗(R3)の1/2の抵抗値と第4の抵抗との並列抵抗値が差動伝送線路のoddモードインピーダンスZoddと同じ値になるように、抵抗R21,R22,R23の値を設定すれば第1〜第5の実施の形態の送信回路2と等価な送信回路を実現することができる。
また、電源電圧Vbiasまたはグランドと差動伝送線路の一方の信号線路の出力端との間に存在すると見なせる等価的な第4の抵抗(R4)と、電源電圧Vbiasまたはグランドと差動伝送線路の他方の信号線路の出力端との間に存在すると見なせる等価的な第5の抵抗(R5)とが、差動伝送線路のevenモードインピーダンスZevenと同じ値になり、かつ2本の信号線路の出力端間に存在すると見なせる等価的な第6の抵抗(R6)の1/2の抵抗値と第4の抵抗との並列抵抗値が差動伝送線路のoddモードインピーダンスZoddと同じ値になるように、抵抗R21,R22,R23の値を設定すれば第5の実施の形態の受信回路3と等価な受信回路を実現することができる。
抵抗R21の一端は差動伝送線路の一方の信号線路の入力端または出力端に接続し、抵抗R22の一端は差動伝送線路の他方の信号線路の入力端または出力端に接続し、抵抗R23の一端は電源電圧Vbiasまたはグランドに接続し、抵抗R23の他端は抵抗R21,R22の他端に接続すればよい。
第1〜第5の実施の形態では、1対の信号線路を有する差動伝送線路を例に説明したがこれに限るものではなく、1対の信号線路と他の1対の信号線路との間にグランド層を配置するなどして干渉が起きないようにすれば、2対以上のマルチレーンの信号線路を有する差動伝送線路に本発明を適用してもよい。
本発明は、高周波回路に適用することができる。
1,1a…差動伝送線路、2…送信回路、3…受信回路、10,14,17…誘電体層、11,15,18…裏面グランド層、12a,12b,16a,16b,19a,19b…信号線路、13a,13b,20a,20b…表面グランド層、R1〜R6…抵抗。

Claims (6)

  1. 差動伝送線路と、
    この差動伝送線路の入力端に接続された送信回路とを少なくとも備え、
    前記差動伝送線路は、
    誘電体層と、
    この誘電体層の裏面に形成された裏面グランド層と、
    前記誘電体層の表面に形成された複数の信号線路とを少なくとも備え、
    前記送信回路は、
    一端が電源電圧またはグランドに接続され、他端が前記差動伝送線路の一方の信号線路の入力端に接続された第1の抵抗と、
    一端が前記第1の抵抗の一端と同じ電圧に接続され、他端が前記差動伝送線路の他方の信号線路の入力端に接続された第2の抵抗と、
    前記一方の信号線路の入力端と前記他方の信号線路の入力端との間に接続された第3の抵抗とから構成され、
    前記第1、第2の抵抗の値が前記差動伝送線路のevenモードインピーダンスと同じ値になり、かつ前記第1の抵抗と前記第3の抵抗の1/2の抵抗値との並列抵抗値が前記差動伝送線路のoddモードインピーダンスZoddと同じ値になるように、前記第1、第2、第3の抵抗の値が設定されることを特徴とする差動信号伝送装置。
  2. 差動伝送線路と、
    この差動伝送線路の出力端に接続された受信回路とを少なくとも備え、
    前記差動伝送線路は、
    誘電体層と、
    この誘電体層の裏面に形成された裏面グランド層と、
    前記誘電体層の表面に形成された複数の信号線路とを少なくとも備え、
    前記受信回路は、
    一端が電源電圧またはグランドに接続され、他端が前記差動伝送線路の一方の信号線路の出力端に接続された第1の抵抗と、
    一端が前記第1の抵抗の一端と同じ電圧に接続され、他端が前記差動伝送線路の他方の信号線路の出力端に接続された第2の抵抗と、
    前記一方の信号線路の出力端と前記他方の信号線路の出力端との間に接続された第3の抵抗とから構成され、
    前記第1、第2の抵抗の値が前記差動伝送線路のevenモードインピーダンスと同じ値になり、かつ前記第1の抵抗と前記第3の抵抗の1/2の抵抗値との並列抵抗値が前記差動伝送線路のoddモードインピーダンスZoddと同じ値になるように、前記第1、第2、第3の抵抗の値が設定されることを特徴とする差動信号伝送装置。
  3. 差動伝送線路と、
    この差動伝送線路の入力端に接続された送信回路とを少なくとも備え、
    前記差動伝送線路は、
    誘電体層と、
    この誘電体層の裏面に形成された裏面グランド層と、
    前記誘電体層の表面に形成された複数の信号線路とを少なくとも備え、
    前記送信回路は、
    一端が前記差動伝送線路の一方の信号線路の入力端に接続された第1の抵抗と、
    一端が前記差動伝送線路の他方の信号線路の入力端に接続された第2の抵抗と、
    一端が電源電圧またはグランドに接続され、他端が前記第1、第2の抵抗の他端に接続された第3の抵抗とから構成され、
    電源電圧またはグランドと前記差動伝送線路の一方の信号線路の入力端との間に存在すると見なせる等価的な第4の抵抗と、電源電圧またはグランドと前記差動伝送線路の他方の信号線路の入力端との間に存在すると見なせる等価的な第5の抵抗とが、前記差動伝送線路のevenモードインピーダンスZevenと同じ値になり、かつ2本の信号線路の入力端間に存在すると見なせる等価的な第6の抵抗の1/2の抵抗値と前記第4の抵抗との並列抵抗値が前記差動伝送線路のoddモードインピーダンスZoddと同じ値になるように、前記第1、第2、第3の抵抗の値が設定されることを特徴とする差動信号伝送装置。
  4. 差動伝送線路と、
    この差動伝送線路の出力端に接続された受信回路とを少なくとも備え、
    前記差動伝送線路は、
    誘電体層と、
    この誘電体層の裏面に形成された裏面グランド層と、
    前記誘電体層の表面に形成された複数の信号線路とを少なくとも備え、
    前記受信回路は、
    一端が前記差動伝送線路の一方の信号線路の出力端に接続された第1の抵抗と、
    一端が前記差動伝送線路の他方の信号線路の出力端に接続された第2の抵抗と、
    一端が電源電圧またはグランドに接続され、他端が前記第1、第2の抵抗の他端に接続された第3の抵抗とから構成され、
    電源電圧またはグランドと前記差動伝送線路の一方の信号線路の出力端との間に存在すると見なせる等価的な第4の抵抗と、電源電圧またはグランドと前記差動伝送線路の他方の信号線路の出力端との間に存在すると見なせる等価的な第5の抵抗とが、前記差動伝送線路のevenモードインピーダンスZevenと同じ値になり、かつ2本の信号線路の出力端間に存在すると見なせる等価的な第6の抵抗の1/2の抵抗値と前記第4の抵抗との並列抵抗値が前記差動伝送線路のoddモードインピーダンスZoddと同じ値になるように、前記第1、第2、第3の抵抗の値が設定されることを特徴とする差動信号伝送装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の差動信号伝送装置において、
    前記差動伝送線路は、前記複数の信号線路の外側の前記誘電体層の表面に形成された表面グランド層をさらに備えた差動コプレナー線路であることを特徴とする差動信号伝送装置。
  6. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の差動信号伝送装置において、
    前記差動伝送線路は、マイクロストリップ線路であることを特徴とする差動信号伝送装置。
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