JP2008226573A - 誘導加熱調理器 - Google Patents

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Abstract

【課題】赤外線センサに対する電磁気的なノイズ、外乱光及び本体内部の温度の影響を低減すると共に、赤外線センサをケースに容易に取り付けることができる誘導加熱調理器を提供する。
【解決手段】誘導加熱調理器は、トッププレートに載置された調理容器を誘導加熱する加熱コイル(6)と、加熱コイルの上部の隙間に冷却風を送風する冷却ファンとを有する。調理容器から放射される赤外線を検出する赤外線センサ(10)は、センサケース(26)内に収容される。トッププレートに対向する上部開口(43a)と、赤外線センサに対向する下部開口(43b)とを備えた導光筒(42a)がトッププレートの下方に設けられ、導光筒の下部はセンサケースに収容される。この誘導加熱調理器は、加熱コイルの熱を放熱した冷却風が導光部を通ってセンサケース内に侵入することを防ぐ仕切り部を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、調理容器を誘導加熱するとともに、赤外線センサを用いて調理容器の温度を制御する誘導加熱調理器に関する。
近年、火を使わない調理器として誘導加熱調理器が広く普及している。この誘導加熱調理器は、加熱コイルの下方にサーモパイル(熱電対)からなる赤外線センサを配置し、赤外線センサの出力に応じて、加熱コイルの出力を制御している。赤外線センサに対するノイズ及び機器内部の温度の影響を低減し、安定して鍋の温度を正確に検知するために、赤外線センサはセンサケースの中に収納されており、鍋に対向するトッププレートと赤外線センサとの間には、鍋から赤外線センサに赤外線を伝導するための経路となる円筒が形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−164883号公報
しかしながら、上記構成の誘導加熱調理器においては、赤外線センサを収納するセンサケースと赤外線の通過経路となる円筒の一部または全部とが、アルミにより一体で形成されているため、センサケースの製作に手間がかかり、且つ赤外線センサをセンサケース内に取り付けにくいという問題があった。そのため、赤外線センサを誘導加熱調理器の本体内に取り付けにくかった。
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、赤外線センサに対する電磁気的なノイズ、外乱光及び本体内部の温度の影響を低減して、鍋の温度を精度良く検知するとともに、センサケースを容易に製作して赤外線センサを本体内に容易に取り付けることができる誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の誘導加熱調理器は、調理容器が載置されるトッププレートと、上部に隙間を設けるようにしてトッププレートの下方に配置され、調理容器を誘導加熱する加熱コイルと、加熱コイルの上部に設けられた隙間に冷却風を送風する送風手段と、加熱コイルの下方に配置されて、調理容器から放射される赤外線を検出する赤外線センサと、トッププレートとの間に隙間を設けるようにしてトッププレートの下方に配置され、トッププレートに対向する上部開口及び加熱コイルの下方で赤外線センサに対向する下部開口を有し、調理容器から放射された赤外線の通過経路となる、非導電性材料で形成された導光部と、導光部の下部開口に対向するように赤外線センサを収納するセンサケースと、赤外線センサの出力に基づいて、加熱コイルに供給する高周波電流を制御することにより、加熱コイルへの電力供給を制御する制御手段と、を有し、送風手段から加熱コイルの上部に設けられた隙間に送風された冷却風が導光部の下部開口からセンサケース内に侵入することを防ぐ仕切り部を設ける。導光部とセンサケースとを別個に構成しているため、導光部及びセンサケースを容易に製作でき、赤外線センサをセンサケース内に容易に取り付けることができる。よって、赤外線センサを誘導加熱調理器の本体内に容易に取り付けることができる。赤外線センサをセンサケース内に配置しているため、赤外線センサに対する電磁気的なノイズ、外乱光及び本体内部の温度の影響を低減して、鍋の温度を精度良く検知することができる。また、導光部を非導電性材料で形成することにより、加熱コイルにより導光部が加熱されず、高温時のトッププレートの熱が導光部に伝達しにくくなるので、導光部の下方に設けられた赤外線センサへの熱影響を抑制することができる。
導光部をセンサケースと別に設けるため、導光部の両端には開口が形成される。そのため、送風手段から加熱コイルの上部に設けられた隙間に送風され、加熱コイルの熱により高温になった冷却風が導光部の開口からセンサケース内に到達しないようにすることが好ましい。この発明は、トッププレートや加熱コイルの高温で熱くなった冷却風がセンサケース内部に侵入しないようにするための仕切り部を設けているので、センサケース内の温度が上昇することを防いで、赤外線センサへの熱影響を抑制することができる。
送風手段は、図1の冷却ファン60に相当し、センサケースは図1の金属ケース26に相当し、導光部は図1などの第1の導光筒42aに相当する。
上記仕切り部は、加熱コイルに対向し、加熱コイルの上面との間に隙間を設けて配置された断熱板であり、断熱板は、導光部の上部開口に対向する開口を有し、断熱板の開口の周囲の下面と、導光部の上部開口の周囲の上面とを当接させても良い。断熱板は、実施形態のマイカ板36に相当する。導光部の上部開口から導光部内に、加熱コイルを放熱後の冷却風が入り込まないようにすることで、導光部の下部開口からセンサケース内に冷却風が侵入しないようにすることができる。
上記誘導加熱調理器は、導光部の上部開口に対向する開口を有する断熱材を断熱板とトッププレートとの間にさらに有しても良い。断熱材は、実施形態の断熱シート34に相当する。これにより、トッププレートの高温で熱せられた断熱板とトッププレートとの間の空気が導光部の上部開口から流入することを抑制できる。
上記仕切り部は、導光部の外側に上部開口に繋がる通気性のない空間を形成しても良いし、導光部の外側に下部開口に繋がる通気性のない空間を形成しても良い。ここで、「通気性のない空間」とは、冷却風の流れが生じない空間、すなわち、送風手段により加熱コイルの上部に設けられた隙間に送風された冷却風が導光部の上部開口から下部開口を経由してセンサケース内に流れ込まないようにした空間のことを意味する。
上記センサケースは、導光部の下部開口に対向するケース開口を備え、誘導加熱調理器は、導光部と一体的に形成され導光部を保持する導光部保持部材をさらに有し、ケース開口周囲を導光部保持部材に当接するとともに、下部開口に繋がる通気性のない空間を形成する仕切り部をセンサケース内に設けても良い。赤外線センサを載置する印刷配線板をセンサケース内にさらに有し、印刷配線板により仕切り部を形成しても良い。
上記仕切り部は、導光部の内部を塞ぐように設けられた、赤外線が透過する材料で形成された部材であっても良い。
本発明の誘導加熱調理器は、赤外線センサをセンサケース内に収容することにより、赤外線センサに対する電磁気的なノイズ、外乱光及び機器内部の温度の影響を低減して、鍋の温度を精度良く検知できる。また、導光部とセンサケースとを別個に形成することにより、センサケースの構成が簡素化され、赤外線センサをセンサケース内に容易に取り付けることができる。これにより、赤外線センサを本体内に容易に取り付けることができる。さらに、導光部を非導電性材料で形成することにより、トッププレートの熱が赤外線センサに伝達されにくくなる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[誘導加熱調理器の構成]
図1は、本発明にかかる誘導加熱調理器Cの概略断面図であり、図2は、誘導加熱調理器Cに設けられた赤外線センサ近傍の部分拡大断面図である。本発明にかかる誘導加熱調理器Cは、外郭を構成する本体2と、本体2の上部に取り付けられ鍋等の調理容器Pが載置されるトッププレート4と、トッププレート4の下方に設けられ高周波磁界を発生させる加熱コイル6とを備えている。トッププレート4は光を透過する結晶化セラミック等の絶縁体を材料として板状に形成されている。トッププレート4の裏面または表面には、調理容器Pの載置場所を示す加熱部が表示されている。この加熱部は、加熱コイル6に対応して、円形状の模様がトッププレート6上面から見て表示されるように、印刷膜を形成することにより設けられる。
加熱コイル6は、樹脂等で形成されたコイルベース8に載置されるとともに、放射状に延び所定の間隔で形成された複数のコイルホルダ9により、上部に隙間を設けるようにして保持される。加熱コイル8の下方には、冷却ファン60が設けられており、冷却ファン60は加熱コイル6の上部の隙間に、加熱コイル6の中央から放射状に冷却風を送風して、加熱コイル6の熱を放熱する。
コイルベース8の下方には、加熱コイル6の中心から手前側に位置する調理容器P底部の温度を検知する赤外線センサ10とトッププレート4に向かって光を出射する発光体11とが設けられる。赤外線センサ10と発光体11は、印刷配線板12上に設置される。赤外線センサ10は、加熱コイル6の内縁部の径方向内側で加熱コイル6の中心とは異なる部位に対向するように設けられる。
赤外線センサ10の上方には、第1の導光筒42a(導光部)が設けられ、発光体11の上方には第2の導光筒42bが設けられている。第1の導光筒42a及び第2の導光筒42bは樹脂により導光筒42として一体で形成されている。厚みが略0.5mmの電気絶縁板であるマイカ板36が導光筒42の上面に設けられる。マイカ板36は、導光筒42に対向する開口36a(図3参照)を有する。導光筒42は、トッププレート4に対向する上部開口43aと、赤外線センサ10に対向する下部開口43bとを両端に有する。第1の導光筒42aの上部開口43a周辺の段部42eと第2の導光筒42bの上面42fは、それぞれマイカ板36の開口36a周辺の下面36b、36cに当接している。
赤外線センサ10と発光体11を載置する印刷配線板12は、金属ケース26に収容されており、金属ケース26の上面における赤外線センサ10と発光体11に対向する部分には、導光筒42の下端を挿入し且つ第1の導光筒42aの下部開口43bを赤外線センサ10及び集光用のレンズ18に近づけるための開口26aが形成されている。
赤外線センサ10の上方には可視光の透過を抑制するための平板状のフィルタ14が設けられるとともに、赤外線センサ10の周囲にも可視光の透過を抑制するための側壁16が設けられる。フィルタ14は、赤外線センサ10の周囲を囲繞する側壁16を介して印刷配線板12上の赤外線センサ10を覆うように印刷配線板12上に取り付けられており、赤外線センサ10の真上に位置するフィルタ14には赤外線センサ10の視野を絞るレンズ18がフィルタ14と同一材料により一体的に形成されている。
トッププレート4に形成された加熱部の印刷膜(図示せず)の外側(下面)には、光透過率が略ゼロの黒色の遮光層7が印刷により形成されている。この印刷膜及び遮光層7の一部には、円形抜き部が、調理容器Pから放射される赤外線の入射領域4aと、発光体11から出射された光の発光領域4bとして、形成されている。トッププレート4の赤外線入射領域4aは、第1の導光筒42aの上部開口43aの真上に位置している。発光体11から出射された光が通過するトッププレート4の一部は発光領域4bとなっており、発光領域4bは第2の導光部42bの上端面の真上に位置し、赤外線入射領域4aの手前側に設けられている。遮光層7とマイカ板36との間には、上から順に、アルミニウム製で厚みが0.5〜1.5mm程度の板で形成されアルミニウム製の調理容器Pを加熱した場合に調理容器Pに働く浮力を低減するための浮力低減板32と、セラミックファイバー製で厚みが略2mmの断熱材である断熱シート34がさらに載置される。
また、印刷配線板12上には赤外線センサ10からの出力信号を増幅する増幅器(図示せず)等も設けられる。赤外線センサ10からの出力信号は増幅器で増幅されて、コネクタ20に接続されたリード線22と、増幅された赤外線センサ10の出力信号を調理容器の温度に換算する温度換算手段(図示せず)を介して、制御手段24に入力される。
制御手段24の前方には加熱調理器Cを操作する操作パネル28が設けられている。操作パネル28を操作して加熱操作が指示されると、赤外線センサ10からの出力信号は温度換算手段により調理容器Pの温度に換算されてから、または赤外線センサ10の出力信号は直接温度情報として制御手段24に出力される。制御手段24は、換算された温度または直接入力された赤外線センサ10の出力信号に基づいて加熱コイル6に高周波電力を供給するインバータ電源30を制御し、調理容器Pの温度を所定の温度または所定の温度以下に調節する。
図3及び図4を用いて、加熱コイル6の周辺の部材についてさらに説明する。図3は、誘導加熱調理器Cの要部分解斜視図であり、図4は、トッププレートの部分平面図である。図3及び図4に示されるように、断熱シート34には、導光筒42に対向する開口34aが設けられている。2枚の浮力低減板32の間には僅かな隙間32aが設けられているが、マイカ板36とトッププレート4の間に、開口34aを有する断熱シート34と浮力低減板32とが設けられるため、隙間32aから導光筒42の上部開口43aには空気が流れにくくなる。これにより、導光筒42の上部開口43a周囲には略通気性のない空間が形成される。また、加熱コイル6の上面を通って高温になった冷却風Aは、後述するようにマイカ板36の上面には流れないため、隙間32aから導光筒42の上部開口43aに、冷却風Aは流れない。
コイルベース8の下面には、加熱コイル6からその裏面側への磁束を加熱コイル6近傍に集中するための放射状に延びる複数のフェライトコア38が所定の間隔で取り付けられている。これらのフェライトコア38の一部(後述)を除く殆どは側面視でU字状を呈し、その両端部は上方に折曲され、外端部は加熱コイル6の径方向外側に位置する一方、内端部は加熱コイル6の径方向内側に位置している。また、コイルベース8の下面には樹脂製の導光筒保持部材40が取り付けられている。
導光筒保持部材40の構成について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、導光筒保持部材40の分解斜視図であり、図6は、図5の導光筒保持部材40を下から見た場合の分解斜視図である。上述した赤外線センサ10が収容された金属ケース26は、導光筒保持部材40に螺着され、金属ケース26の開口26a周囲が導光筒保持部材40に当接する。これにより、外部から金属ケース26の開口26aを経路として外乱光が金属ケース26内に侵入することを防いでいる。赤外線センサ10と発光体11を載置された印刷配線板12は、金属ケース26が導光筒保持部材40に取り付けられる前に、金属ケース26内に収納される。
導光筒保持部材40は環状に形成されており、その前部には導光筒42が一体的に形成されるとともに、その後部には第1のサーミスタ保持部材44が一体的に形成されている。また、導光筒42と第1のサーミスタ保持部材44との間で、加熱コイル6の中心部の直下には第2のサーミスタサポート46が設けられ、第2のサーミスタサポート46は、二つの連結部材48を介して導光筒42と第1のサーミスタ保持部材44と一体的に形成されている。第1のサーミスタ保持部材44には二つの連結部材49を介してコイルベース8と一体的に形成された第1のサーミスタ50が収容されるとともに、第2のサーミスタサポート46には第2のサーミスタ保持部材51が支承されており、第2のサーミスタ52は第2のサーミスタ保持部材51に収容されている。第1及び第2のサーミスタ50,52は、赤外線センサ10と同様、コネクタ(図示せず)に接続されたリード線(図示せず)を介して制御手段24に接続されている。
第1及び第2のサーミスタ50,52は調理容器Pの温度を熱伝導で検知する温度検知手段である。第1及び第2のサーミスタ保持部材44,51にそれぞれ収容された第1及び第2のサーミスタ50,52は、コイルスプリング53,55によりトッププレート4に向かって付勢されている。第2のサーミスタ保持部材51は、コイルベース8及び連結部材49とともに樹脂で一体に成型され保持されるとともに、第2のサーミスタカバー46により下部を覆われ、冷却風が第2のサーミスタ保持部材51の下面のサーミスタ52の係止部を係止するための穴から第2のサーミスタ保持部材51内に入り込み第2のサーミスタ52を冷却しないようにしている。また、赤外線センサ10の方がサーミスタ50,52より過渡的な温度応答性に優れていることから、例えば、炒め物調理のように油量が少ない調理の場合において調理容器Pの底面が急激に温度上昇するようなときでも、赤外線センサ10の出力に応じて調理容器Pの底面の温度を高感度に測定できる。よって、加熱コイル6の出力は油発火等が起こる直前に素早く低減されるとともに、野菜などの被調理物が投入され容器の温度が低下したときは素早く出力を回復するように制御される。加熱コイル6の中心より後方の位置のサーミスタ50は、赤外線センサ10の上方に調理容器Pが載置されていない等の理由により、赤外線センサ10で調理容器Pの温度を検知できない場合や、赤外線センサ10が故障した場合のバックアップとして設けられる。加熱コイル6中央のサーミスタ52は、揚げ物調理時の油温自動設定の際の温度調整用として設けられている。
導光筒保持部材40の円環部40aの内縁部には上方に向かって凸状のリブ40bが一体的に形成されている。リブ40bがコイルベース8の裏面に接着剤によって接着保持された複数のフェライトコア38の内端面に沿うように挿入され、導光筒保持部材40の円環部40aの外周に複数設けられた導光筒保持部材固定部がコイルベース8に螺着されることで、フェライトコア38の内端部底面及び側面は導光筒保持部材40により保持される。したがって、導光筒保持部材40はフェライトコア38を保持するためのフェライトコアの機械的保持部材としての機能も果たしている。
導光筒42と第1のサーミスタ保持部材44はその一部がリブ40bの外側に位置しているので、導光筒42と第1のサーミスタ保持部材44に対応するフェライトコア38の内端部は導光筒42と第1のサーミスタ保持部材44と干渉しないように切り欠かれており、内端部が切り欠かれたフェライトコア38は他のフェライトコア38より短く、側面視でL字状を呈している。図3に示されるように、導光筒42、第1のサーミスタ保持部材44及び第1のサーミスタ保持部材51の上方に位置する浮力低減板32、断熱シート34及びマイカ板36の一部は、少なくとも調理容器Pから導光筒42の上部開口を通り赤外線センサ10に入射する赤外線を遮断しないように、且つ第1及び第2のサーミスタが貫通してトッププレート4裏面に接触できるように切り欠かれている。
また、導光筒42は、断面外形が楕円形に形成されている。導光筒42の内部は2分されており、第1の導光筒42aと第2の導光筒42bとが形成されている。第1の導光筒42aは、加熱コイル6の中心側に調理容器Pから放射される赤外線を赤外線センサ10に導くために形成され、第2の導光筒42bは、発光体11から出射される光をトッププレート4に向かって導くために形成される。第2の導光筒42は、第1の導光筒42aに対して加熱コイル6の外縁側近傍に位置し、加熱コイル6の中心より手前側に設けられる。したがって、赤外線センサ10と発光体11を収容した金属ケース26は、赤外線センサ10及びレンズ18の集光面と発光体11が第1の導光筒42aの下部開口43bと第2の導光筒42bの下部開口にそれぞれ対向するように導光筒保持部材40に螺着されている。
導光筒42の上端部には上方に延びる馬蹄形のリブ42cが導光筒42の上端部外周に沿って形成され、その外側に所定幅の段部42eが配設されている。マイカ板36が加熱コイル6の上に固定される際、マイカ板36に設けられた穴36aにリブ42cが嵌め込まれ、図2に示すように段部42eの上に穴36aの周囲の縁部が載置される。同様に、半球容器状の第2のサーミスタ保持部材51の上端部に、上方に延びる略環状のリブ51aとその外側の段部51bが形成されている。マイカ板36は、穴36dにリブ51aが嵌入され、穴36dの周囲の縁部が段部51bに載置される。冷却ファン60により送風される冷却風Aは、加熱コイル6の中央下方から送り込まれ、図2に示すようにマイカ板36の下面に当たり、マイカ板36の下面に沿って加熱コイル6の上面との間の隙間を放射状に流れる。冷却風Aは、断熱材34やトッププレート4に直接触れず、加熱コイル6の上面を冷却するため、効率よく加熱コイル6を冷却することができる。
リブ42cは、導光筒42の上面の外周部とマイカ板36の開口36aの内縁部の下面36bとを密着させる際の位置決めとなっており、第1の導光筒42aの上部開口43aから第1の導光筒42aの内部に冷却ファン60の送風が入り込まないようにするために、設けられる。マイカ板36は、導光筒42の段部42eを含む上端面に載置されて、冷却風Aが上部開口43aから第1の導光筒42aの内部に送り込まれる経路を遮断する仕切り部となる。これにより、加熱コイル6の熱を放熱し、マイカ板36の裏面に触れて高温になった冷却風Aが赤外線センサ10の周辺に吹き付けられることを防止し、赤外線センサ10の温度が上昇しないようにすることができる。
第2の導光筒42bの内部には発光体11から出射される光をトッププレート4に効率的に導くための導光体56が収容されている。導光体56は円柱状に形成されており、その下部には、第2の導光筒42bの下端部に形成された一対の切欠42dに嵌入し、導光体56を第2の導光筒42bに係止するための一対の係止片56aが一体的に形成されている。この導光体56は、金属ケース26を導光筒保持部材40に取り付ける前に第2の導光筒42bに下方から挿入される。
[誘導加熱調理器の動作]
以上のように構成された誘導加熱調理器Cについて、以下その動作について説明する。食材を調理容器Pに入れて誘導加熱調理器Cで調理するに際し、誘導加熱調理器Cの電源スイッチ(図示せず)を投入すると、発光体11が発光してその出射光が導光体56に導かれてトッププレート4の赤外線入射領域4aの近傍(加熱コイル6の中心より手前側で赤外線入射領域4aに対して加熱コイル6の径方向外側、本実施の形態では、加熱コイル6の中心を通り本体2の前面と直交する線上)の発光領域4bに照射される。ユーザは、発光体11の出射光により発光領域4bを容易に視認し、発光領域4bを塞ぐように調理容器Pをトッププレート4上に載置する。これにより、赤外線入射領域4aが調理容器Pにより塞がれて、赤外線センサ10は、調理容器Pの底面から放射される赤外線を確実に受光できる。
使用者が操作パネル28に設けられた切入りキー(図示せず)を操作することで、加熱動作が開始される。操作パネル28を操作して加熱開始が指示されると、制御手段24はインバータ電源30を介して加熱コイル6に高周波電流を流すことにより、加熱コイルへの電力供給を制御すると共に、冷却ファン60を動作させる。加熱コイル6に高周波電力が供給されると、加熱コイル6は誘導磁界を発生し、加熱コイル6の温度は上昇する。冷却ファン60により加熱コイル6裏面中央の開口部に送風された冷却風は、加熱コイル6の上部の隙間を通り放射状に流れ、加熱コイル6の温度上昇を抑制する。
加熱コイル6が誘導磁界を発生すると、調理容器Pの温度は誘導加熱によって上昇する。調理容器Pの温度が上昇すると、ステファン・ボルツマンの法則に示されるように、調理容器Pは一般にその絶対温度の4剰に比例した赤外線エネルギーを放射する。調理容器Pから放射された赤外線は、赤外線入射領域4aと第1の導光筒42aの上部開口43a及び下部開口43bを通過し、赤外線センサ10を覆うように設けられたフィルタ14に一体で形成されたレンズ18を透過して集光されて赤外線センサ10に到達する。
また、調理容器Pの温度が高くなると、赤外線エネルギーを受けた赤外線センサ10の出力信号は大きくなる。上述したように、この出力信号は増幅器により増幅されて温度換算手段に入力される。温度換算手段は、赤外線センサ10の出力信号を調理容器Pの温度に換算する。制御手段24は、換算された調理容器Pの温度があらかじめ設定された所定の温度を超えるとインバータ電源30から出力される高周波電流の供給を停止しあるいは高周波電流を低減するように調節する。
本実施形態によれば、導光筒42と金属ケース26とを別体で構成しているため、金属ケース26の構成が簡素化される。例えば、導光筒42は他の樹脂部品と一体で構成することができ、金属ケース26は板金の折り曲げにより製作することが容易にできる。よって、導光筒42と金属ケース26を容易に製作し、組立作業を簡素化することができる。導光筒42と金属ケース26とを別体で構成することにより、赤外線センサ10を金属ケース26内に容易に取り付けることができるようになるため、赤外線センサ10を本体2内に容易に取り付けることができる。また、赤外線センサ10を金属ケース26で囲っているため、赤外線センサ10に対する外部からの電磁気的なノイズ、外乱光及び本体内部の温度の影響を低減することができる。また、第1の導光筒42aの下部開口43bを金属ケース26内に収容し、レンズ18に近づけることができるので、外乱光の影響を抑制することができる。よって、赤外線センサ10を搭載して調理容器Pの温度を精度良く測定することができ、安価な誘導加熱調理器を実現できる。さらに、導光筒42を樹脂等の非導電性材料で形成しているため、導光体42は加熱コイル6により誘導加熱されず、トッププレート4の高温が導光筒42を伝達しにくくなるため、赤外線センサ10への熱影響が抑制される。
本実施形態においては、導光筒42を金属ケース26と別体に構成しているため、導光筒42にはトッププレート4に対向する上部開口43aの他に、赤外線センサ10に対向する下部開口43bが設けられる。冷却ファン60の冷却風は、加熱コイル6の上部に設けられた隙間に送風されて、加熱コイル6の熱を受け取り、熱くなる。赤外線センサ10は高温の影響を受けやすいため、この熱くなった冷却風が導光筒42の上部開口43aから下部開口43bを通って赤外線センサ10に到達しないようにする必要がある。本実施形態においては、マイカ板36により、第1の導光筒42aの下部開口43bから赤外線センサ10に、高温の冷却風が侵入することを防ぐ仕切り部を構成している。具体的には、マイカ板36の開口36aの周囲の下面36b、36cと、導光筒42の上部開口43aの周囲の段部42e及び上面42fとが当接されている。そのため、加熱コイル6の上方の高温の冷却風はマイカ板36の下面に沿って流れる。マイカ板36により、マイカ板36上方の空間に送風される冷却風は遮られ、導光筒42の上部開口43aに冷却風が流れ込むことを防ぐことができる。これにより、第1の導光筒42aの下部開口43bから金属ケース26内に、冷却風が流れ込むことを防止でき、赤外線センサ10が高温になった冷却風の熱の影響を受けることを防止できる。また、断熱シート34を設けているため、断熱シート34の上部の隙間に冷却風が送風されることをさらに抑制できる。導光筒42の上部開口43aの周囲を通気性がない空間としているため、冷却風が第1の導光筒42aの上部開口43aから第1の導光筒42内に流れ込むことをさらに抑制できる。
[変形例]
なお、本実施形態においては、仕切り部をマイカ板36により形成して、高温の冷却風Aが上部開口43aから第1の導光筒42aの内部に侵入することを遮断したが、仕切り部はマイカ板36以外で構成しても良い。図7に、仕切り部の他の構成を示す。図7に示すように、第1の導光筒42a内に赤外線を透過するシートなどの防風部材58を仕切り部として設けても良い。この場合、防風部材58を載せる環状の突起部42gを第1の導光筒42a内に設けると良い。
また、図7に示すように、印刷配線板12を仕切り部の一部として利用しても良い。例えば、弾力性を有する防風部材62を基板12上の赤外線センサ10を囲う側壁16の両側に配置し、防風部材62の上端が金属ケース26の上面に付勢されるようにして、防風部材62と基板12とにより、仕切り部を構成しても良い。金属ケース26の開口26a周囲を導光筒保持部材40に当接するとともに、基板12と防風部材62とにより仕切り部を構成することにより、印刷配線板12とケース開口26aとの間の空間を通気性のない空間とすることができる。これにより、金属ケース26内に第1の導光筒42aの下部開口43bに繋がる通気性のない空間を形成することができる。よって、冷却風が第1の導光筒42aを経路として第1の導光筒42aの上部開口43aから下部開口43bを通り金属ケース26内に流れ込むことはない。
また、基板12と金属ケース26の側面との間に隙間ができないように、基板12を配置することにより、基板12のみで仕切り部を構成しても良い。また、防風部材62を第1の導光筒42aと側壁16との間に設けても良い。
なお、第1の導光筒42aの上部開口43aから赤外線センサ10に高温の冷却風Aが到達することを防ぐことができれば良く、マイカ板36と導光筒42とを当接する構成を採用するだけでも良いし、第1の導光筒42aの上部開口43a又は下部開口43bに繋がる空間を通気性のない空間とするだけでも良い。また、これらを組み合わせても良い。
なお、第1の導光筒42aは円筒状でなくても良く、調理容器Pから放射される赤外線を赤外線センサ10に導ける形状であれば良い。
なお、本実施形態においては、発光体11用の第2の導光筒42bを設ける構成であったが、第1の導光筒42aのみで導光筒42を形成しても良い。この場合、第1の導光筒42aの上部開口43a周辺の第1の導光筒42aの上面の外縁が、マイカ板36の下面36b、36cに当接するようにしても良い。
なお、赤外線入射領域4aは、調理容器Pからの赤外線が第1の導光筒42aの上部開口43aに入射されるような位置に設けられていれば良い。例えば、赤外線入射領域4aは、第1の導光筒42aの上部開口43aに対向する部分だけでなく、調理容器が載置されるトッププレート4の加熱部全体やトッププレート4の全体に設けられていても良い。
なお、加熱コイル6を内コイルと外コイルの分割巻き構成とし、赤外線センサ10を加熱コイル6の外縁部の内側で、内コイルと外コイルとの間の直下に配置しても良い。
本発明にかかる誘導加熱調理器は、赤外線センサに対する電磁気的なノイズ、外乱光及び本体内部の温度の影響を低減して鍋の温度を精度良く検知できるとともに、赤外線センサをケースに容易に取り付けることができるという効果を有し、キッチン等に組み込まれる家庭用の誘導加熱調理器として有用である。
本発明にかかる誘導加熱調理器の概略断面図 図1の誘導加熱調理器に設けられた赤外線センサ近傍の部分拡大断面図 図1の誘導加熱調理器の要部分解斜視図 図1の誘導加熱調理器に設けられたトッププレートの部分平面図 図1の誘導加熱調理器に設けられた導光筒保持部材の分解斜視図 図4の導光筒保持部材を下から見た場合の分解斜視図 赤外線センサ近傍の他の部分拡大断面図
符号の説明
2 本体
4 トッププレート
4a 赤外線入射領域
4b 発光領域
6 加熱コイル
7 遮光層
8 コイルベース
9 コイルホルダ
10 赤外線センサ
11 発光体
12 基板
14 フィルタ
16 側壁
18 レンズ
20 コネクタ
22 リード線
24 制御手段
26 金属ケース
26a 開口
28 操作パネル
30 インバータ電源
32 浮力低減板
34 断熱シート
36 マイカ板
36a 開口
38 フェライトコア
40 導光筒保持部材
40b リブ
42 導光筒
42a 第1の導光筒
42b 第2の導光筒
42c リブ
42d 切欠
43a 上部開口
43b 下部開口
44 第1のサーミスタ保持部材
46 第2のサーミスタサポート
48 連結部材
49 連結部材
50 第1のサーミスタ
51 第2のサーミスタ保持部材
52 第2のサーミスタ
56 導光体
56a 係止片
58、62 防風部材
60 冷却ファン
A 冷却風
C 誘導加熱調理器
P 調理容器

Claims (8)

  1. 調理容器が載置されるトッププレートと、
    上部に隙間を設けるようにして前記トッププレートの下方に配置され、前記調理容器を誘導加熱する加熱コイルと、
    前記加熱コイルの上部に設けられた隙間に冷却風を送風する送風手段と、
    前記加熱コイルの下方に配置されて、前記調理容器から放射される赤外線を検出する赤外線センサと、
    前記トッププレートとの間に隙間を設けるようにして前記トッププレートの下方に配置され、前記トッププレートに対向する上部開口及び前記加熱コイルの下方で前記赤外線センサに対向する下部開口を有し、前記調理容器から放射された赤外線の通過経路となる、非導電性材料で形成された導光部と、
    前記導光部の下部開口に対向するように前記赤外線センサを収納するセンサケースと、
    前記赤外線センサの出力に基づいて、前記加熱コイルに供給する高周波電流を制御することにより、前記加熱コイルへの電力供給を制御する制御手段と、
    を有し、
    前記送風手段から前記加熱コイルの上部に設けられた隙間に送風された冷却風が前記導光部の下部開口から前記センサケース内に侵入することを防ぐ仕切り部を設けた、誘導加熱調理器。
  2. 前記仕切り部は、前記加熱コイルに対向し、前記加熱コイルの上面との間に隙間を設けて配置された断熱板であり、
    前記断熱板は、前記導光部の上部開口に対向する開口を有し、
    前記断熱板の開口の周囲の下面と、前記導光部の上部開口の周囲の上面とを当接させる、請求項1に記載の誘導加熱調理器。
  3. 前記導光部の上部開口に対向する開口を有する断熱材を前記断熱板と前記トッププレートとの間にさらに有する、請求項2に記載の誘導加熱調理器。
  4. 前記仕切り部は、前記導光部の外側に前記上部開口に繋がる通気性のない空間を形成する、請求項1に記載の誘導加熱調理器。
  5. 前記仕切り部は、前記導光部の外側に前記下部開口に繋がる通気性のない空間を形成する、請求項1に記載の誘導加熱調理器。
  6. 前記センサケースは、前記導光部の下部開口に対向するケース開口を備え、
    前記誘導加熱調理器は、前記導光部と一体的に形成され前記導光部を保持する導光部保持部材をさらに有し、
    前記ケース開口周囲を前記導光部保持部材に当接するとともに、前記下部開口に繋がる通気性のない空間を形成する前記仕切り部を前記センサケース内に設ける、請求項5に記載の誘導加熱調理器。
  7. 前記赤外線センサを載置する印刷配線板を前記センサケース内にさらに有し、
    前記印刷配線板により前記仕切り部を形成する、請求項6に記載の誘導加熱装置。
  8. 前記仕切り部は、前記導光部の内部を塞ぐように設けられた、赤外線が透過する材料で形成された部材である、請求項1に記載の誘導加熱調理器。
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