JP2008222917A - ポリアリレートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
【発明が解決しようとする課題】
残留する着色物質が少なく、透明性に優れた、残留溶媒の少ないポリアリレートと、その経済的な製造方法を提供する。
【解決手段】
2価の芳香族カルボン酸ハライドとビフェニル構造とビスフェノール構造を含んでなる2価フェノールとを界面重縮合反応によって生成した下記式(1)のポリアリレートの製造工程において、乾燥工程の乾燥機中に窒素ガスを1〜10L/分で流通させながら100〜150℃の温度範囲で真空乾燥することを特徴とするポリアリレートの製造方法。
【化1】
(式中のR1〜R8は水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基を示し、m/nは80/20〜20/80である)
【選択図】 なし
【発明が解決しようとする課題】
残留する着色物質が少なく、透明性に優れた、残留溶媒の少ないポリアリレートと、その経済的な製造方法を提供する。
【解決手段】
2価の芳香族カルボン酸ハライドとビフェニル構造とビスフェノール構造を含んでなる2価フェノールとを界面重縮合反応によって生成した下記式(1)のポリアリレートの製造工程において、乾燥工程の乾燥機中に窒素ガスを1〜10L/分で流通させながら100〜150℃の温度範囲で真空乾燥することを特徴とするポリアリレートの製造方法。
【化1】
(式中のR1〜R8は水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基を示し、m/nは80/20〜20/80である)
【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリアリレートの製造方法に関するものであり、着色が少なく、残留する溶媒量が少ないポリアリレートを製造する方法に関するものである。
ポリアリレートは、その高い耐熱性と低い熱収縮率により電気・電子材料分野を中心として使用されている。ポリアリレートを重合する方法は種々知られており、分子量が高く、かつ着色が少なく、しかも、純度の高いポリマーが得られる界面重合法が最適であるとされている。
ポリアリレートの耐熱性をさらに向上させるために、その骨格にビフェニル構造を導入したポリアリレートが開発されている。ビフェニル構造を導入するために、ポリアリレートのモノマーとしてビフェノール類が使用されている。しかしながら、このビフェノール類は、酸化されやすく、界面重合法により芳香族ジカルボン酸と反応させた場合に、その一部がジフェノキノン体に変化することがあった。特に、アルキル基を導入したジフェノキノン体は、着色の程度が高いものであり、これを含有したポリアリレートは著しく着色したものであった。そのため、透明性が要求される用途への応用が限られていた。また、ジフェノキノン体は、2価フェノールとともに絶縁性を低下させる傾向にあり、これらを含有したポリアリレートは、電気・電子分野への応用も限定されていた。
この問題を解決するために、特許文献1では、ポリアリレートを減圧下に、180℃から該ポリアリレートのガラス転移温度までの温度で加熱処理することにより着色物質を除去し、着色と不純物が少ないポリアリレートを製造する方法が提案されている。しかし、この方法では180℃以上という高温で加熱処理されることにより、主鎖のエステル結合が切断されて分子量の低下が起こり、その結果、末端基が増加し、これによる電気特性が低下するという問題があった。
また、ジフェノキノン体や2価フェノールを溶解する有機溶剤を用いて、重合後のポリアリレートを洗浄することによって、これらを除去する方法もある。
しかしながら、この方法で使用される有機溶媒としては、ジフェノキノンや2価フェノールを溶解するだけでなく、ポリアリレートから抽出させるために、ポリアリレートを若干膨潤させる溶媒を使用する必要があった。つまり、完全な貧溶媒ではなく、ある程度ポリアリレートに親和性がある溶媒で洗浄する必要があった。
しかしながら、この方法で使用される有機溶媒としては、ジフェノキノンや2価フェノールを溶解するだけでなく、ポリアリレートから抽出させるために、ポリアリレートを若干膨潤させる溶媒を使用する必要があった。つまり、完全な貧溶媒ではなく、ある程度ポリアリレートに親和性がある溶媒で洗浄する必要があった。
洗浄後、溶媒を除去するために温度をかけて乾燥する工程が必要となるが、使用する溶媒がある程度親和性があることに起因して、簡単に除去できない場合があった。その結果、残留する溶媒が多くなることにより、溶液にした場合の塗工安定性が悪化したり、また、溶融押出による成型では、発泡による成型不良が発生するなどの問題があった。そのため、溶媒を除去するために、乾燥時間を極端に延長するなど生産性を極端に落とす結果となっていた。また、乾燥温度を上げることによる粘度低下が起こり商品価値を損なっていた。
特開2002−293944号公報
本発明が解決しようとする課題は、残留する溶媒が少なく、純度の高いポリアリレートを経済的に製造するための製造方法を提供することにある。
本発明者は、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリアリレートを重合するにあたり、乾燥工程中で窒素ガスを流通させながら乾燥することで、残留溶媒が少なく、純度の高いポリアリレートを得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は次のとおりである。
(a)2価の芳香族カルボン酸ハライドと、ビフェニル構造およびビスフェノール構造を含んでなる2価フェノールとを界面重縮合反応によって生成した下記式(1)のポリアリレートであって、インヘレント粘度0.85〜1.80dl/gであり、カルボキシル価が30mol/t以下であり、ガラス転移点(Tg)が195℃以上であり、残留する酸化キノン体が30ppm以下であることを特徴とするポリアリレート。
(式中のR1〜R8は水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基を示し、m/nは80/20〜20/80である)
(b)洗浄するための溶媒がアセトンであり、かつ乾燥後のアセトン残留量が20ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリアリレートの乾燥方法。
(c)ポリアリレートの製造工程において、乾燥工程の乾燥機中に窒素ガスを1〜10L/分で流通させながら100〜150℃の温度範囲で真空乾燥することを特徴とする請求項1〜2に記載のポリアリレートの製造方法。
(a)2価の芳香族カルボン酸ハライドと、ビフェニル構造およびビスフェノール構造を含んでなる2価フェノールとを界面重縮合反応によって生成した下記式(1)のポリアリレートであって、インヘレント粘度0.85〜1.80dl/gであり、カルボキシル価が30mol/t以下であり、ガラス転移点(Tg)が195℃以上であり、残留する酸化キノン体が30ppm以下であることを特徴とするポリアリレート。
(b)洗浄するための溶媒がアセトンであり、かつ乾燥後のアセトン残留量が20ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリアリレートの乾燥方法。
(c)ポリアリレートの製造工程において、乾燥工程の乾燥機中に窒素ガスを1〜10L/分で流通させながら100〜150℃の温度範囲で真空乾燥することを特徴とする請求項1〜2に記載のポリアリレートの製造方法。
本発明によれば、残留する2価フェノールの酸化キノン体が少なく、電気的特性、特に絶縁特性に優れたポリアリレートを生産性よく、経済的に製造することができる。また、本発明のポリアリレートは、汎用溶媒に溶解し易いので、溶媒に溶解させて塗工液を調整し、容易にフィルム化や表面被膜化することができる。したがって本発明のポリアリレートは、例えばフィルムとして、電気機器、モーター、発電機、相間絶縁膜等の絶縁材料、変圧器、コンデンサなどの誘電体フィルム、液晶の表示板や各種基板などへの応用、また表面被膜として、電線の被膜、絶縁被膜材などへの応用が可能である。さらに、本発明のポリアリレートは残留する溶媒が少ないので、押出成型する場合にも発泡などの問題が少なく、産業上の利用価値は極めて高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明にいうポリアリレートについて説明する。ポリアリレートは、2価フェノール残基と芳香族2価カルボン酸残基とから構成されているポリエステルであり、本発明の製造方法では、界面重合によって合成される。すなわち、アルカリ水溶液に溶解させた2価フェノール(水相)と、水に溶解しない有機溶剤に溶解させた2価カルボン酸ハライド(有機相)とを混合することによって行われ(W.M.EARECKSON,J.Poly.Sci.XL399 1959年、特公昭40−1959号公報)、溶液重合と比較して反応が速く、そのため酸ハライドの加水分解を最小限に抑えることが可能である。本発明のような高分子量のポリアリレートを得る場合には有利な合成法である。
まず、本発明にいうポリアリレートについて説明する。ポリアリレートは、2価フェノール残基と芳香族2価カルボン酸残基とから構成されているポリエステルであり、本発明の製造方法では、界面重合によって合成される。すなわち、アルカリ水溶液に溶解させた2価フェノール(水相)と、水に溶解しない有機溶剤に溶解させた2価カルボン酸ハライド(有機相)とを混合することによって行われ(W.M.EARECKSON,J.Poly.Sci.XL399 1959年、特公昭40−1959号公報)、溶液重合と比較して反応が速く、そのため酸ハライドの加水分解を最小限に抑えることが可能である。本発明のような高分子量のポリアリレートを得る場合には有利な合成法である。
本発明に用いることのできる2価の芳香族カルボン酸ハライドとしては、テレフタル酸ハライド、イソフタル酸ハライド、フタル酸ハライド、あるいは、芳香核にアルキル基やハロゲン基が置換した混合物が挙げられが、好適には、テレフタル酸ハライド10〜90モル%とイソフタル酸ハライド90〜10モル%の混合物が用いられ、工業的に有利なのは両者の等量混合物である。
また、本発明に用いられる2価フェノールは、ビスフェノール類と、ビフェノール類とからなる。ビフェノール類の具体例としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2−メチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3−メチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,3’−ジメチル−4,4’−ジヒロキシビフェニル、3,3’−ジ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、2,2’ 3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノールが挙げられる。生成したポリアリレートの溶剤溶解性の観点から、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4−ジヒドロキシビフェニルが好ましい。
ビスフェノール類としては、イソプロピリデン基を骨格の中心に持つビスフェノール類が用いられる。具体的には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(3−メチルー4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールC)などが挙げられる。2,2−ビス(3−メチルー4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールC)が、生成したポリアリレートの溶剤溶解性に優れている点で好ましい。
式(2)に示す共重合の比率(m/n)は、80/20〜20/80の範囲であることが必要であり、70/30〜30/70が好ましい。mが20%未満である場合、生成いたポリアリレートの溶剤溶解性が低下するため分子量が上昇しない。一方、mが80%を超える場合、ビフェニル成分を共重合した効果が不十分であり、ポリアリレートのガラス転移点(Tg)を195℃以上とすることができず、高い耐熱性と低い熱収縮率を有するポリアリレートを得ることができない。
界面重合によってポリアリレートを合成する方法についてさらに詳細に説明する。まず、水相として、二価フェノールのアルカリ水溶液を調製し、続いて、重合触媒および分子量調整剤を添加する。ここで用いることができるアルカリには、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等がある。
本発明における重合触媒としては、前記(2)式で示される、ブチル基を3個または4個有する第4級アンモニウム塩を該2価フェノールのモル量に対して0.5〜1.0モル%添加することが好ましい。
具体的な重合触媒としては、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムブロマイド、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムヒドロキサイト、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムハイドロジェンサルフェート、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキサイト、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロジェンサルフェートなどが挙げられる。その中でも、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライドが好適である。
前記重合触媒は、2価フェノールに対して0.3〜1.5モル%添加することが必要である。添加量が0.3モル%より少ないと、分子量が低く本発明の特性を有するポリアリレートを製造することができず、また1.5モル%より多くても逆に副反応であるエステルの加水分解が起こり、分子量が低下する。重合触媒の最適な添加量は0.5〜1.2モル%の範囲が適切である。
また水相には分子量調整剤として、重合時に1官能の化合物、具体的にはフェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール等を添加してもよい。
次に、有機相として、水と相溶せず、かつ、ポリアリレートを溶解するような溶媒、具体的には塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、もしくはテトラヒドロフランなどに、二価の芳香族カルボン酸ハライドを溶解させる。この有機相の溶液を前述の水相の溶液に混合し、25℃以下の温度で1時間〜5時間攪拌しながら界面重縮合反応をおこなうことによって、高分子量のポリアリレートが得られる。
本発明において得られたポリアリレートのインヘレント粘度(ηinh)は、0.85〜1.80dl/gであることが好ましく、最適には0.95〜1.50dl/gであることが好ましい。インヘレント粘度が0.85dl/g未満であるとポリアリレートの機械特性が不十分な場合や、溶媒に溶解させた塗工液を調製して被膜を形成させる際に、塗工液の溶液粘度が低すぎて塗工できない場合があるので好ましくない。一方1.80dl/gを超えても、効果が飽和するばかりか、かえって、塗工する際に曳糸性が生じたり、塗工液の粘度が上昇して取扱が困難になる場合があるので好ましくない。インヘレント粘度(分子量)は前記した重合触媒および分子量調整剤の添加量で制御できる。具体的には前記重合触媒量の適度な添加量で高分子量化が可能となり、微調整を分子量調整剤でおこなうことができる。
また、本発明におけるポリアリレートのカルボキシル価の範囲は、30mol/t以下であることが好ましい。30mol/tを超えると、塗膜にした場合に電気特性が著しく低下する。
本発明におけるポリアリレートのガラス点移転(Tg)は195℃以上であることが好ましい。195℃より低いと、耐熱性の点で問題となる。
ポリアリレート中における該ビスフェノールの酸化キノン体の残留量は、30ppm以下であることが好ましい。30ppmを超えると着色の程度が大きくなり問題であり、また電気特性にも影響するので好ましくない。
本発明の構成要件としては、2価フェノールの酸化体、特に、ビフェノールの酸化体であるジフェノキノンを除去するために、溶剤で洗浄した後、その溶剤を除去するために、乾燥する工程が必須である。
洗浄するための溶剤としては、ポリアリレートをある程度膨潤させることができ、かつ、完全に溶解させない溶媒が好適である。具体的には、アセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン等のケトン類が好適であり、特に、アセトンは沸点も低く、安価である。また、水とも無制限に混合できるために、溶剤洗浄後のポリアリレート溶着防止のための水置換が容易であることも最適な理由として挙げられる。
溶剤洗浄後の乾燥工程について詳細に説明する。溶剤洗浄後、ポリアリレートは水と溶剤で10〜40重量%含有した状態にある。これを、乾燥機で除去する。乾燥機としては、真空乾燥機が好適である。特に、本発明のように水を大量に含む場合には、熱流で常圧乾燥すると加水分解による粘度低下が著しい。真空条件下で100〜150℃の温度範囲で乾燥することが必須である。100℃より低い温度であると水の乾燥はできるが、ある程度親和性のある溶剤は残留しやすく、また、長時間の乾燥が必要となるなど問題である。一方、150℃より高い温度で乾燥すると、熱による分解が促進されるため、粘度低下が生じ、それに伴いカルボキシル価が上昇するなど、性能低下が著しい。好ましくは、110〜140℃、最適には120〜130℃である。
さらに、本発明の構成要件としては、真空乾燥時に窒素ガスを1〜10L/分で流通させながら乾燥することが必須である。1L/分より少ない流量の場合、十分な溶媒除去効果が乏しい。一方、10L/分より多い流量の場合、効果が飽和するだけでなく、減圧が十分に確保できない。窒素ガスを流通させることによる溶媒除去効果は明確ではないが、不活性な窒素ガスを通気させることで、樹脂の酸化を抑制しつつ、樹脂表面から拡散する溶媒を除去でき、水とアセトンの共沸下において、水の沸点、アセトンの沸点よりも低い温度で、効率的な減圧乾燥ができると考える。また、ガスの種類は問わないが、安価で酸化劣化の問題がない窒素ガスが好適である。
本発明の方法で製造されたポリアリレートは、汎用溶媒に対して良好な溶解性を有しているので、溶媒に溶解させて容易に塗工液を調製でき、被膜形成用樹脂として用いることができる。そのような溶媒の具体例としては、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、もしくはテトラヒドロフランなどが挙げられる。塗工液とする際には、適宜選択される1種類もしくは2種類以上を混合した溶媒に、ポリアリレートを好ましくは10重量%以上の濃度になるように完溶させればよい。塗工液には必要に応じて各種添加物を含有させ、基材上に塗工した後に溶媒を除去して被膜を形成させ、被膜物して、あるいは、これを剥離してフィルムとして用いることができる。
本発明によって製造されるポリアリレートは、バインダー樹脂やフィルム用樹脂として好適に用いられ、前記のような塗工液として流延法により、あるいは、溶融押出法またはカレンダー法により、耐磨耗性および電気特性に優れた被膜物やフィルムを製造することができ、特に電子材料分野へ応用することができる。
次に、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲であれば、種々の変形および応用が可能である。
1)インヘレント粘度(ηinh)
1,1,2,2−テトラクロロエタンを測定溶媒として、濃度1g/dl、温度25℃の条件で測定した。
2)カルボキシル価
試料0.3gを20mlの塩化メチレンに三角フラスコ内で溶解した後、指示薬(フェノールレッド)を加え、0.1N KOH溶液で適定した。
3)ガラス転移温度(Tg)
示差熱分析計(Perkin−Elmer社製、DSC−7型)を用いて
20℃/分の昇温速度で求めた。
4)酸化キノン体含有量
試料をアセトニトリルでソックスレー抽出した後、ディスクフィルター(孔径0.45μm)で濾過した液を下記条件にてHPLC測定を実施した。
(HPLC測定条件)
<装 置>Hewlett Packard社製 HP1100 HPLCsystem
<カラム>Wakopak Wakosil 5C18-200T 4.6mm×150mm(40℃)
<検出器>UV 210nm
<注入量>10μm
<溶離液>AcCN/H20=40/60 (流量)1.0ml/min.
5)残留溶媒量
試料0.5gを10mlのトルエンに溶解させた後、n−ヘキサンを加え再沈殿させ、全量を50mlとした。この溶液を孔径0.45μmのディスクフィルターを用いて不純物と濾別し、測定用試料とした。これをガスクロマトグラム装置(Hewlett Packard社製 HP-6890 CG System)で分析し、残留溶媒量を定量した。
1)インヘレント粘度(ηinh)
1,1,2,2−テトラクロロエタンを測定溶媒として、濃度1g/dl、温度25℃の条件で測定した。
2)カルボキシル価
試料0.3gを20mlの塩化メチレンに三角フラスコ内で溶解した後、指示薬(フェノールレッド)を加え、0.1N KOH溶液で適定した。
3)ガラス転移温度(Tg)
示差熱分析計(Perkin−Elmer社製、DSC−7型)を用いて
20℃/分の昇温速度で求めた。
4)酸化キノン体含有量
試料をアセトニトリルでソックスレー抽出した後、ディスクフィルター(孔径0.45μm)で濾過した液を下記条件にてHPLC測定を実施した。
(HPLC測定条件)
<装 置>Hewlett Packard社製 HP1100 HPLCsystem
<カラム>Wakopak Wakosil 5C18-200T 4.6mm×150mm(40℃)
<検出器>UV 210nm
<注入量>10μm
<溶離液>AcCN/H20=40/60 (流量)1.0ml/min.
5)残留溶媒量
試料0.5gを10mlのトルエンに溶解させた後、n−ヘキサンを加え再沈殿させ、全量を50mlとした。この溶液を孔径0.45μmのディスクフィルターを用いて不純物と濾別し、測定用試料とした。これをガスクロマトグラム装置(Hewlett Packard社製 HP-6890 CG System)で分析し、残留溶媒量を定量した。
実施例1 攪拌装置を備えた反応容器中に、2価フェノールとして3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル(以下TMBPと略す)50重量部10.76kg(44.39モル)と2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノールCと略す)50重量部11.38kg(44.39モル)、分子量調整剤であるp-tert−ブチルフェノール(以下PTBPと略す)226.7g(1.51モル)、水酸化ナトリウム8.41kg(210.22モル)、重合触媒であるトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド(以下TBBACと略す)を全ビスフェノールのモル数に対して0.67モル%仕込むため371.1g(0.59モル)、水591Lに溶解した(水相)。これとは別に塩化メチレン715mlに、テレフタル酸クロライド/イソフタル酸クロライド=1/1混合物(以下MPCと略す)18.18kg(89.53モル)を溶解した(有機相)。この有機相を先に調整した水相中に強攪拌下で添加し、15℃で2時間界面重縮合反応をおこなった。重合停後、水相と有機相をデカンテーションして分離させた。水相(アルカリ水)を抜取った後等量のイオン交換水を投入して攪拌しながら、pH=4になるまで酢酸を添加した。さらに、20分間攪拌した後20分間デカンテーションして水相を抜いて新たなイオン交換水に交換する作業を3回くり返した。水相のpH>5になったのを確認してから、再度酢酸をpH=4になるまで添加した。その後、水相を抜いて新たなイオン交換水に交換する作業を3回くり返した。洗浄後の有機相であるポリマー溶液を、ホモミキサーを装着した容器に入った50℃の温水中に投入して塩化メチレンを蒸発させ粉末状ポリマーを得た。
粉末状ポリマーからジフェノキノン体を除去するために、200Lのステンレス容器内にアセトン80Lを投入した後、攪拌しながらポリマーが溶着して塊にならないようにゆっくり投入した。30分間攪拌してジフェノキノン体を抽出処理した後、一旦、純水80Lを投入してから停止し、洗浄液を全量抜き出した。このことを5回繰り返すことによって、ジフェノキノン体を除去した。その後、この溶媒と純水を多量に含有した粉末ポリマーを真空乾燥機(中央化工機製 振動乾燥機 VH−50)使用して、温度120℃、窒素ガス流通量3L/分で48時間真空乾燥した。
実施例2〜9 乾燥温度、洗浄溶媒の種類、窒素流通量、ポリアリレート樹脂の組成を表1に記載した条件に変更した以外は実施例1と同じ方法でポリアリレート樹脂を製造した。
比較例1〜7 乾燥温度、洗浄溶媒の種類、窒素流通量、ポリアリレート樹脂の組成を表1に記載した条件に変更した以外は実施例1と同じ方法でポリアリレート樹脂を製造した。
実施例および比較例で得られたポリアリレートの特性を評価した結果と併せて表1にした。
実施例1〜9は、酸化キノン体、残留溶剤量の少ないポリアリレートを得ることができた。
比較例1では、BPC/TMBP=1/9であったため、ポリアリレートのηinhが小さかった。比較例2では、BPC/TMBP=0/10であったため、分子量が小さすぎ、各種測定が出来なかった。比較例3は、BPC/TMBP=9/1であったため、ポリアリレートのTgが低かった。比較例4、5は、洗浄溶媒にメタノールを用いたため、酸化キノン体が多く残量した。比較例6、7は、洗浄溶媒として、それぞれトルエン、キシレンを用いたため、ポリアリレートが溶解してしまった。
Claims (3)
- 2価の芳香族カルボン酸ハライドと、ビフェニル構造およびビスフェノール構造を含んでなる2価フェノールとを界面重縮合反応によって生成した下記式(1)のポリアリレートであって、インヘレント粘度0.85〜1.80dl/gであり、カルボキシル価が30mol/t以下であり、ガラス転移点(Tg)が195℃以上であり、残留する酸化キノン体が30ppm以下であることを特徴とするポリアリレート。
- 洗浄するための溶媒がアセトンであり、かつ乾燥後のアセトン残留量が20ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリアリレートの乾燥方法。
- ポリアリレートの製造工程において、乾燥工程の乾燥機中に窒素ガスを1〜10L/分で流通させながら100〜150℃の温度範囲で真空乾燥することを特徴とする請求項1〜2に記載のポリアリレートの製造方法。
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JP2007065108A JP2008222917A (ja) | 2007-03-14 | 2007-03-14 | ポリアリレートおよびその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014105264A (ja) * | 2012-11-27 | 2014-06-09 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | ポリエステル(メタ)アクリレートの製造方法 |
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2007
- 2007-03-14 JP JP2007065108A patent/JP2008222917A/ja active Pending
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