JP2008222670A - ビスフェノール類のジオキシエチレンエーテルの製造方法および組成物 - Google Patents
ビスフェノール類のジオキシエチレンエーテルの製造方法および組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 ビスフェノール類(A)にエチレンオキサイドを付加して該ビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(B)を製造する方法において、水および触媒として水酸化リチウムを存在させて製造することを特徴とするビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(B)の製造方法。
【選択図】 なし
Description
さらに詳しくは、ポリエステル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂の改質のため、ジオール成分として用いられる純度の高いビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル、およびその製造方法に関する。
従来の製造方法では、水とEOが反応し、エチレングリコール、ジエチレングリコール、さらにポリエチレングリコールが副成するため、反応後に大量の水で水洗除去するなどの精製が必要であった(例えば特許文献3)。
すなわち、本発明は、ビスフェノール類(A)にエチレンオキサイドを付加して該ビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(B)を製造する方法において、水および触媒として水酸化リチウムを存在させて付加反応を行った後、分液、水洗操作をすることなく 製造することを特徴とするビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(B)の製造方法;並びにこの製造法で得られた高純度のビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(B)である。
すなわち、不純物としての(1)ビスフェノール類のエチレンオキサイド1モル付加物(B1)やエチレンオキサイド3モル以上付加物(B2)などの2モル以外の付加物;(2)ビスフェノール類の芳香環の炭素原子に直接エチレンオキサイドが付加した化合物(D)、および(3)エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールなどの原料のEOに由来する副反応物の含有量が極度に少ないものが得られるのが特長である。
さらに、フェノール性の水酸基と芳香環の炭素原子の両方にエチレンオキサイドが付加した化合物(D4)、さらにそれぞれの末端水酸基にエチレンオキサイドが付加した化合物(D5)も、便宜上、芳香環の炭素原子に直接エチレンオキサイドが付加した化合物(D)に含めるものとする。
反応温度が120℃を超えると、ビスフェノール類のエチレンオキサイド3モル以上付加物(B2)や、(D)の含有量が増えるため好ましくない。
反応温度が60℃未満では、製造に長時間を要し、生産効率が悪化する。
また、反応媒体は反応終了後に除去する必要がありこの効率が生産性に負荷を与える。水は安全な物質であることや、一般的な用途における含有許容量が比較的高いことなどから、反応後の脱水による生産性への負荷も少ない点で好ましい。
しかしながら、有機溶剤は水に比べて凝固点を下げる効果が低く、同じ凝固点とするためには水の2倍以上の量を必要とする。さらに、反応後の脱溶剤においてもその含有許容量も法規制の観点から、低く抑える必要があり、単独での使用は好ましくない。
水を5重量%以上加えて加温すると、ビスフェノール類と120℃以下で均一に融解する。
また、後述する触媒としての水酸化リチウムの触媒活性が上がる。
水酸化リチウムは、似た化学構造の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等に比べて、水への付加反応よりもフェノール性水酸基への付加反応の優先性が高いため、水への付加反応が起こりにくい点で好ましい。
そこで、ビスフェノール類とビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物(C)の合計重量に対するこの1モル付加物(B1)の含有量が1重量%以下となるまで反応を進行させた反応終期の時点において、副生成物であるエチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールの合計の含有量は、水酸化リチウムを触媒として選択することにより、ビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物(C)の合計重量に対して、通常1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下に抑えることができる。
エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールの合計重量が1重量%を超えるビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物 (C)を樹脂原料として用いると、樹脂のガラス転移点が低下し耐熱性が悪化する。
従って、水酸化リチウムを触媒として選択することにより、ビスフェノール類とビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物(C)の合計重量に対するビスフェノール類のエチレンオキサイド3モル以上付加物(B2)の含有量は、通常7.0重量%以下、好ましくは5.0重量%以下であり、さらに好ましくは3.0重量%以下に抑えることができる。
(B2)を7.0重量%を超えて含有したビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物(C)をポリエステル等の原料として用いると、ポリエステル樹脂のガラス転移点が低下し耐熱性が悪化する。
(B1)はフェノール性の水酸基を有する化合物であり、多塩基酸との縮合反応性が低い。(B1)を1.0重量%を超えて含有したビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物(C)をポリエステル等の原料として使用すると、重合度が上がらないなどの問題が起こる。
(D)を1重量%を超えて含有したビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物(C)を用いてポリエステル等の原料として用いると、ポリエステルの溶融時の流動性が悪化する。
触媒の水酸化リチウムの使用量が0.05mol%未満では、製造に長時間を要し、生産効率が悪化する。
触媒の水酸化リチウムの使用量が2mol%を超えると、ジオキシエチレンエーテル(B)製造後、中和時は不純物である中和塩が増え、分離精製時は除去する触媒の量が増えるため生産効率が悪化し、好ましくない。
触媒の分離が必要でない場合には、塩酸、リン酸などの鉱酸または乳酸、酢酸などの有機酸でpHを6〜8に調整すればよい。
触媒の分離が必要な場合には、吸着剤による吸着ろ過処理等の分離・精製操作を行ってもよい。
LCシステム : LC−20AD(島津製作所製)
カラム : 資生堂 CAPCELL PAK C18
(4.6mmO X 250mm)
溶離液 : アセトニトリル/水=30/70(vol%)
流速 : 1.0ml/min
検出器 : SPD−M20A(島津製作所製)
検出波長 : 275nm
注入量 : 2μl
機種 : HLC−8120(東ソー株式会社製)
カラム : TSK gel SuperH4000
TSK gel SuperH3000
TSK gel SuperH2000(いずれも東ソー株式会社製)
カラム温度: 40℃
検出器 : RI
溶媒 : テトラヒドロフラン
流速 : 0.6ml/分
試料濃度 : 0.25%
注入量 : 10μl
標準物質 :東ソー株式会社製TSK STANDARD POLYETHYLENE OXIDE)
装置 : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム : TSK GEL GMH6 2本 (東ソー(株)製)
測定温度 : 25℃
試料溶液 : 0.25重量%のテトラヒドロフラン(THF)溶液
溶液注入量: 200μl
検出装置 : 屈折率検出器
なお、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)。
示差走査熱量計:セイコー電子工業(株)製 DSC20,SSC/580
内容量1100mlのガラス製オートクレーブに、ビスフェノールA342.4g(1.50mol)、水34.2g(ビスフェノールAに対して10重量%)、水酸化リチウム・1水和物1.26g(0.03mol)を仕込み、窒素置換を行った後、110℃まで昇温し、ビスフェノールAと水とを均一混合した。その後、EOを70〜90℃、反応圧0.2MPa以下の範囲で滴下反応させた。反応中、適宜サンプリングし、LCで反応物のビスフェノールへの付加モル分布を追跡し、1モル付加物が0.1%以下になった時点で反応を終了し、本発明のビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(X−1)を得た。要したEOは137.3g(3.12mol)であり、反応時間は8時間であった。
この(X−1)を分析したところ、未反応のビスフェノールAは検出されず(以下、N.D.と略記する。)、EO1モル付加物0.1%、EO2モル付加物98.3%、EO3モル以上付加物1.6%、ビスフェノール類の芳香環の炭素原子に直接エチレンオキサイドが付加した化合物0.3%であった。また、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールはN.D.であった。
水の投入量を25.7g(ビスフェノールAに対して7.5重量%)、EO滴下温度を90〜110℃に代えた以外は実施例1と同様にして、本発明のビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(X−2)を得た。要したEOは136.4g(3.10mol)であり、反応時間は6時間であった。
この(X−2)を分析したところ、未反応のビスフェノールAはN.D.、EO1モル付加物0.1%、EO2モル付加物97.6%、EO3モル以上付加物2.3%、ビスフェノール類の芳香環の炭素原子に直接エチレンオキサイドが付加した化合物0.3%であった。また、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールはN.D.であった。
EO滴下温度を60〜80℃に代えた以外は実施例1と同様にして、本発明のビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(X−3)を得た。要したEOは136.4g(3.10mol)であり、反応時間は10時間であった。
この(X−3)を分析したところ、未反応のビスフェノールAはN.D.、EO1モル付加物0.1%、EO2モル付加物98.7%、EO3モル以上付加物1.2%、ビスフェノール類の芳香環の炭素原子に直接エチレンオキサイドが付加した化合物0.3%であった。また、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールはN.D.であった。
触媒の水酸化リチウムを水酸化カリウム1.68g(0.03mol)に代えた以外は実施例1と同様にして、比較のためのビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(Y−1)を得た。要したEOは145.2g(3.30mol)であり、反応時間は6時間であった。
この(Y−1)を分析したところ、未反応のビスフェノールAはN.D.、EO1モル付加物0.1%、EO2モル付加物85.4%、EO3モル以上付加物14.5%、ビスフェノール類の芳香環の炭素原子に直接エチレンオキサイドが付加した化合物0.4%であった。また、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールは2.1%であった。
反応媒体を水からトルエン68.5g(ビスフェノールAに対して20重量%)に代えた以外は実施例1と同様にして、比較のためのビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(Y−2)を得た。要したEOは143.0g(3.25mol)であり、反応時間は8時間であった。
この(Y−2)を分析したところ、未反応のビスフェノールAはN.D.、EO1モル付加物0.1%、EO2モル付加物88.0%、EO3モル以上付加物11.9%、ビスフェノール類の芳香環の炭素原子に直接エチレンオキサイドが付加した化合物0.3%であった。また、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールはN.D.であった。
反応媒体である水の投入量を137.0g(ビスフェノールAに対して40重量%)に代えた以外は実施例1と同様にして、比較のためのビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(Y−3)を得た。要したEOは149.6g(3.40mol)であり、反応時間は10時間であった。
この(Y−3)を分析したところ、未反応のビスフェノールAはN.D.、EO1モル付加物0.8%、EO2モル付加物92.8%、EO3モル以上付加物6.4%、ビスフェノール類の芳香環の炭素原子に直接エチレンオキサイドが付加した化合物0.3%であった。また、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールは12.6%であった。
EO滴下温度を130〜150℃に代えた以外は実施例1と同様にして、比較のためのビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(Y−4)を得た。要したEOは158.4g(3.60mol)であり、反応時間は6時間であった。
この(Y−4)を分析したところ、未反応のビスフェノールAはN.D.、EO1モル付加物0.1%、EO2モル付加物72.0%、EO3モル以上付加物27.9%、ビスフェノール類の芳香環の炭素原子に直接エチレンオキサイドが付加した化合物2.1%であった。また、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールは2.5%であった。
実施例3で得られたビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(X−3)を、燐酸で触媒を中和し、減圧下で脱水を行い、ビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(X’−3)を得た。冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた内容量1lの反応容器に、ビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(X’−3)370gとテレフタル酸166g、エステル化触媒であるテトラブトキシチタネート0.5gを仕込み、230℃に昇温し、常圧で生成水を除去しながら反応進めた。常圧で生成水の留出がなくなってから徐々に系内を減圧にし、さらにエステル化反応を進めた。酸価が0.8になった時点で内容物を取り出し、ポリエステル樹脂(C−1)を得た。
(C−1)のピークトップ分子量は7360、ガラス転移点は66℃であった。
実施例4で用いたビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(X−3)を比較例1で得られたビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(Y−1)に代えた以外は実施例4と同様にし、ポリエステル樹脂(C−2)を得た。
(C−2)のピークトップ分子量は7380、ガラス転移点は57℃であった。
これらのピークトップ分子量およびガラス転移点の測定結果を表2に示す。
Claims (10)
- ビスフェノール類(A)にエチレンオキサイドを付加して該ビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(B)を製造する方法において、水および触媒として水酸化リチウムを存在させて製造することを特徴とするビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(B)の製造方法。
- ビスフェノール類のエチレンオキサイド1モル付加物(B1)の含有量が、ビスフェノール類とビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物(C)の合計重量に対して1重量%以下となるまで反応させた際に、副生成物のエチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールの合計重量が、ビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物(C)の合計重量に対して1重量%以下である請求項1記載のビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(B)の製造方法。
- 該ビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(B)以外に、該ビスフェノール類のエチレンオキサイド1モル付加物(B1)の含有量が、ビスフェノール類とビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物(C)の合計重量に対して1重量%以下であって、かつ該ビスフェノール類のエチレンオキサイド3モル以上付加物(B2)の合計含有量が7.0重量%以下である請求項1または2記載のビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(B)の製造方法。
- 該ビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物(C)に対して、該ビスフェノール類の芳香環の炭素原子に直接エチレンオキサイドが付加した化合物(D)の含有量が1重量%以下である請求項1〜3いずれかに記載のビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(B)の製造方法。
- 付加反応の反応温度が60〜120℃である請求項1〜4いずれかに記載のビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(B)の製造方法。
- ビスフェノール類(A)に対する水の含有量が5〜30重量%である請求項1〜5いずれかに記載のビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(B)の製造方法。
- 該ビスフェノール類(A)が、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFおよびハロゲン化ビスフェノールAからなる群より選ばれる1種以上である請求項1〜6いずれかに記載のビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(B)の製造方法。
- 請求項1〜7いずれかに記載の製造方法で得られ、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールの合計重量が、ビスフェノール類とビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物(C)の合計重量に対して1重量%以下であるビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(B)。
- 該ビスフェノール類のエチレンオキサイド1モル付加物(B1)の含有量がビスフェノール類とビスフェノール類のオキシエチレンエーテルの合計重量に対して1重量%以下、かつ該ビスフェノール類のエチレンオキサイド3モル以上付加物(B2)の合計含有量が7.0重量%以下である請求項8記載のビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(B)。
- 該ビスフェノール類のベンゼン環に直接エチレンオキサイドが付加した化合物(D)の含有量がビスフェノール類およびビスフェノール類のオキシエチレンエーテルの合計重量に対して1重量%以下であることを特徴とする請求項8または9に記載のビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(B)。
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