JP2008143854A - ビスフェノール類のジオキシエチレンエーテルの製造方法および組成物 - Google Patents

ビスフェノール類のジオキシエチレンエーテルの製造方法および組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】エチレンオキサイド1モル付加物とエチレンオキサイド3モル付加物の含有量が従来より極端に少ないビスフェノール類のジオキシエチレンエーテルの製造方法を提供する。
【解決手段】 ビスフェノール類にエチレンオキサイドを付加する反応において、プロトン親和性Hが960〜1060kJ/molの塩基性触媒(A)を使用し、エチレンオキサイド1モル付加物が0.1重量%以下、エチレンオキサイド3モル付加物が5.0重量%以下となるビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(C)の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、副生成物としてのビスフェノール類のエチレンオキサイド1モル付加物とエチレンオキサイド3モル以上付加物が少ない、ビスフェノール類のジオキシエチレンエーテルの製造方法に関する。更に詳しくは、ポリエステル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂の改質剤として用いられる純度の高いビスフェノールAのジオキシエチレンエーテル、およびその製造方法に関する。
従来よりポリエステル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂にビスフェノール骨格を導入する目的で、ビスフェノールそのものよりも反応性の良いビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、臭素化ビスフェノールAなどのビスフェノール類やこれらのアルキレンオキサイド付加物が改質剤として優れていることが知られている(例えば特許文献1、2)。
しかしながら、上記のビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、特にビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物は、フェノール酸性の水酸基が残存していると多塩基酸との縮合反応性が低く、フェノール酸性の水酸基をなくすためにアルキレンオキサイドの量を多くすると樹脂が柔らかくなり、樹脂のガラス転移点を上昇させるという点において品質的に満足し得なかった。
アルキレンオキサイドがプロピレンオキサイドの場合は、公知の製造方法でジオキシプロピレンエーテルが98%以上の純度で得られるが、水酸基が98%以上2級水酸基となるため、多塩基酸との縮合による高分子化する時の反応性が悪いという問題点を有する。
また、アルキレンオキサイドがエチレンオキシドの場合は、未反応の原料のビスフェノール系化合物や1モル付加物が残存したり、3モル付加物が多く生成するため、ジオキシエチレンエーテルの純度が低下し(例えば、特許文献3)、前述した樹脂の物性そのものに影響を与えるいう問題点を有するため、副生物の少ないジオキシエチレンエーテルが望まれている。
特開2006−227540号公報 特開平9−136978号公報 特開2000−86562号公報
そこで、本発明はビスフェノール類のフェノール性水酸基のみに選択的かつ効率的にエチレンオキサイド(以下、EOと略す。)と反応させ、未反応のビスフェノール類が検出されず、EO1モル付加物が0.1%以下、EO3モル以上付加物が7%以下である、ビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(EO2モル付加物)を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、塩基性触媒(A)の存在下で、ビスフェノール類(B)にエチレンオキサイドを付加して該ビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(C)を製造する方法において、該塩基性触媒(A)のプロトン親和性Hが960〜1060kJ/molであることを特徴とするビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(C)の製造方法である。
本発明のビスフェノール類のジオキシエチレンエーテルは、純度の高いジオキシエチレンエーテルが得られ、生産効率もよく、高収率で得られる。また、ビスフェノールAのジオキシエチレンエーテルにおいては、従来品よりも融解熱量が大きくなり、各種樹脂に用いた時のガラス転移温度(Tg)も上昇させることができる。
本発明において、ビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(C)とは、2つのフェノール性水酸基の両方に1モルづつエチレンオキサイド(以下、EOと略称する。)が付加したものをいう。
本発明のビスフェノール類とは、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFやそのハロゲン化誘導体(例えば、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、テトラクロロビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールF、テトラクロロビスフェノールF)などが挙げられる。
本発明は、プロトン親和性Hが960〜1060kJ/molの塩基性触媒(A)を使用することを特徴とするビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(C)の製造方法である。
ここで、触媒のプロトン親和性Hとは、塩基BとプロトンH+との下記反応式におけるエンタルピーΔHo(J/mol)で定義される。
B+H+→BH+
塩基性触媒(A)のプロトン親和性Hが960より小さいと、フェノール性水酸基へのEO付加速度が遅くなり、1060より大きいと、EO付加によりできたアルコール性OHへの付加がおこり、フェノール性水酸基へのEO付加選択性が低くなる。
プロトン親和性Hが960〜1060kJ/molの塩基性触媒(A)の例を、以下に具体例を挙げる。なお、化合物名の後の( )内の数値はプロトン親和性(kJ/mol)である。
塩基性触媒(A)の具体例としては、N,N−ジメチルエタンアミン(960)、N−メチル−N−エチルエタンアミン(971)、トリエチルアミン(982)、トリブチルアミン(999)、水酸化リチウム(1000)、N、N、N'、N'−テトラメチルエチレンジアミン(1013、)N、N、N'、N'−テトラメチルヘキサメチレンジアミン(1036)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(1040)、N、N、N'、N'−テトラメチルブチレンジアミン(1047)、および1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(1048、以下DBUと略称する。)などが挙げられる。
これらのうち、好ましくは、N−メチル−N−エチルエタンアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、水酸化リチウム、N、N、N'、N'−テトラメチルエチレンジアミン、N、N、N'、N'−テトラメチルヘキサメチレンジアミン,テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、N、N、N'、N'−テトラメチルブチレンジアミン、およびDBUであり、特に好ましくはトリエチルアミン、トリブチルアミン、水酸化リチウム、N、N、N'、N'−、テトラメチルエチレンジアミン,N、N、N'、N'−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、N、N、N'、N'−テトラメチルブチレンジアミン、およびDBUである。
本発明のビスフェノール類へのEO付加反応は、EO3モル付加物の生成を抑制するため、その反応温度は、通常70〜120℃であり、80〜115℃が好ましい。
なお、一般に、ビスフェノール類は、その融点が150℃以上(例えば、ビスフェノールAは158〜159℃)であるため、EOを均一系で付加反応させるには、反応媒体が必要となる。
反応媒体としては、ビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(C)そのもの、水、または溶解性の高いトルエン、キシレンなどの有機溶剤が挙げられる。
水または有機溶剤を使用した場合は、反応後に除去が必要となるので、好ましくは(C)そのものである。
反応媒体の量は、通常ビスフェノール類(B)に対して20〜50重量%用いる。好ましくは25〜40重量%、さらに好ましくは25〜30重量%である。媒体として(C)そのものをを用いる場合は、まず(C)を溶融させ、そこへビスフェノール類(B)を分散させてスラリー状にする。そこへ触媒を添加する。
塩基性触媒(A)の使用量は、通常、ビスフェノール類のフェノール官能基1モルに対し0.05〜2モル%である。
好ましくは0.07〜1.5モル%,さらに好ましくは0.1〜1.0モル%である。
また、触媒と同時に着色防止目的で水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を使用してもよい。そのときの使用量はビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(C)仕上がり量に対して10ppm〜50ppmが好ましい。
EOの滴下反応は、通常、温度70〜120℃で行う。好ましくは80〜115℃、さらに好ましくは85〜110℃である。反応温度が低いと反応時間が長くなるため実用的でない。高いと活性水素へのEO付加以外の反応が起こり、不純物が増える。
反応圧力は0.5MPa以下で行うことが好ましい。0.5MPa以下であれば、反応の暴走による急激な圧力上昇、温度上昇は起こらない。
EOの反応系内への供給量はビスフェノール類1モルに対して2.02〜2.20モルが好ましい。さらに好ましくは2.05〜2.15モルである。この範囲のモル数で目的とするジオキシエチレンエーテル(A)が得られる。
以上の条件で反応を行えば、EOがビスフェノール類のフェノール性の水酸基に選択的に反応し、原料であるビスフェノール類、EO1モル付加物は消費され、反応系中にほとんど残存しない。また、EO3モル付加物は7.0重量%以下、好ましくは5.0重量%以下とすることができる。
反応終了後、触媒の分離が必要でない場合には、塩酸、リン酸などの鉱酸または乳酸、酢酸などの有機酸でpHを6〜8に調整すればよい。触媒の分離が必要な場合には、減圧留去、水洗や吸着剤による吸着ろ過処理を行ってもよい。
本発明の製造方法で得られるビスフェノールAのジオキシエチレンエーテル(C)は、示差走査熱量計におけるその融解熱量が、通常85J/g以上、好ましくは95J/g以上であることを特徴とする。
本発明品のジオキシエチレンエーテル(C)は、ポリエステル等のポリマーのジオール成分として使用されることが多い。従って、本発明品のジオキシエチレンエーテル(C)は融解熱量が高いため、組み込んだポリエステル等のポリマーのガラス転移点を高くすることができ、ポリマーの耐熱安定性等が優れる。
従来品は副生成物としてのEO1モル付加物やEO3モル付加物が多く、その分子構造が非対称であるため融点温度幅が広くなり、観測される融解熱量が小さくなる。このものを用いたポリマーのTgは本発明品よりも低くなる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
本発明のビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(C)、微量成分の他のエチレンオキサイドの1モル、3モル以上の付加物、および未反応ビスフェノール類自体の含有比率は、シリル化剤で前処理した上でガスクロマトグラフ(GC)によって確認できる。一例として、測定条件は次の通りであった。
<試料の予備調製方法>
試料1gを採取し、次いでアセトン19gを加えて溶解させる。この試料にTMS−H1(Trimethylchlorosilaneのシリル化剤、東京化成製)を0.1ml加え、2〜3分間、50〜70℃に温めシリル化を完結させる。この上澄みを1μl採取し、ガスクロマトグラフで測定を行う。
<GCの測定条件>
GC機種 :GC−14B(島津製作所製)
充填剤:シリコンGE−SE−52(4%)、担体CromosorbG(AW−DMCS);150〜180μm(和光純薬製パックドカラム)
カラム温度 :250〜350℃(昇温速度10℃/分)
検出器 :FID
溶媒 :アセトンまたはメチルエチルケトン
キャリアガス :窒素 流量50ml/分
本発明のビスフェノールAのジオキシエチレンエーテルの融解熱量は、JISK7122に規定の方法(DSC法)により測定される。
実施例1
ガラス製オートクレーブに、トルエン137.0g(ビスフェノール類に対して40%)、ビスフェノールA342.4g(1.50mol)を仕込み、窒素置換を行った後、75℃まで昇温し、ビスフェノールAをトルエンに分散させた。ここにテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(プロトン親和性:1040kJ/mol)25%水溶液を2.73g(フェノール官能基あたり0.25mol%)を添加した。
再度窒素置換を行い、EOを75〜95℃、反応圧0.2MPa以下の範囲で滴下反応させた。反応中、適宜サンプリングし、GCで反応物のビスフェノールへの付加モル分布を追跡し、1モル付加物が0.1%以下になった時点で反応を終了した。要したEOは139.9g(3.18mol)であり、反応時間は7時間であった。
反応後、130〜160℃、減圧下で未反応EO、触媒、溶剤等を留去し、本発明のビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(A−1)を477.5g(収率99.0%)得た。
この(A−1)をGCにて分析したところ、未反応のビスフェノールAは検出されず(以下、N.D.と略記する。)EO1モル付加物N.D.、EO2モル付加物97.4%、EO3モル付加物2.6%、EO4モル以上の付加物N.D.であった。また、(A−1)の融解熱量は127J/gであった。
実施例2
ガラス製オートクレーブに、実施例1で得られた(A−1)を85.6g(ビスフェノール類に対して25重量%)を溶融させて反応系の溶媒として入れた。110℃まで加熱してこれを溶融した後、ビスフェノールA342.4g(1.50mol)を仕込み、窒素置換を行った後、95℃まで冷却し、ビスフェノールAを分散させた。ここに水酸価リチウム・H2O(プロトン親和性:1000.1kJ/mol)を0.32g(フェノール官能基あたり0.25mol%)添加した。
再度窒素置換を行い、EOを75〜95℃、反応圧0.2MPa以下の範囲で滴下反応させた。反応中、適宜サンプリングし、GCで反応物のビスフェノールへの付加モル分布を追跡した。1モル付加物が0.1%以下になった時点で反応を終了した。要したEOは137.3g(3.12mol)であり、反応時間は7時間であった。
反応後、燐酸で触媒を中和し、130℃、減圧下で未反応EO等を留去し、本発明のビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(A−2)を560.9g(収率99.1%)得た。
この(A−2)をGCにて分析したところ、未反応のビスフェノールAはN.D.、EO1モル付加物N.D.、EO2モル付加物96.4%、EO3モル付加物3.6%、EO4モル以上の付加物N.D.であった。また(A−2)の融解熱量は122J/gであった。
実施例3
ガラス製オートクレーブに、水を85.6g(ビスフェノール類に対して25重量%)を溶媒として入れた。ビスフェノールA342.4g(1.50mol)を仕込み、窒素置換を行った後、95℃まで昇温し、ビスフェノールAを分散させた。ここに水酸価リチウム・H2Oを0.32g(フェノール官能基あたり0.25mol%)添加した。
再度窒素置換を行い、EOを75〜95℃、反応圧0.2MPa以下の範囲で滴下反応させた。反応中、適宜サンプリングし、GCで反応物のビスフェノールへの付加モル分布を追跡した。1mol付加物が0.1%以下になった時点で反応を終了した。要したEOは138.6g(3.15mol)であり、反応時間は7時間であった。
反応後、燐酸で触媒を中和し、130℃、減圧下で未反応EO、水等を留去し、本発明のビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(A−3)を476.2g(収率99.0%)得た。
この(A−3)をGCにて分析したところ、未反応のビスフェノールAはN.D.、EO1モル付加物N.D.、EO2モル付加物98.0%、EO3モル付加物2.0%、EO4モル以上の付加物N.D.であった。また(A−3)の融解熱量は130J/gであった。
実施例4
ガラス製オートクレーブに、トルエン152.3g(ビスフェノール類に対して40%)、テトラブロモビスフェノールA380.8g(0.7mol)を仕込み、窒素置換を行った後、105℃まで昇温し、テトラブロモビスフェノールAをトルエンに分散させた。ここにトリエチルアミン(プロトン親和性:981.8kJ/mol)を0.35g(フェノール官能基あたり0.25mol%)添加した。
再度窒素置換を行い、EOを75〜95℃、反応圧0.2MPa以下の範囲で滴下反応させた。反応中、適宜サンプリングし、GCで反応物のテトラブロモビスフェノールAへのEOの付加モル分布を追跡した。1モル付加物が0.1%以下になった時点で反応を終了した。要したEOは65.0g(1.48mol)であり、反応時間は7時間であった。
反応後、130〜160℃、減圧下で未反応EO、触媒を留去し、本発明のテトラブロモビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(A−4)を441.8g(収率99.0%)得た。
この(A−4)をGCにて分析したところ、未反応のテトラブロモビスフェノールAはN.D.、EO1モル付加物N.D.、EO2モル付加物97.8%、EO3モル付加物2.2%、EO4モル以上の付加物N.D.であった。また(A−4)の融解熱量は128J/gであった。
実施例5
ガラス製オートクレーブに、トルエン140.2g(ビスフェノール類に対して30%)、ビスフェノールS350.4g(1.4mol)を仕込み、窒素置換を行った後、95℃まで昇温し、ビスフェノールSをトルエンに分散させた。ここにDBU(プロトン親和性:1047.9kJ/mol)を1.07g(フェノール官能基あたり0.25mol%)を添加した。
再度窒素置換を行い、EOを75〜95℃、反応圧0.2MPa以下の範囲で滴下反応させた。反応中、適宜サンプリングし、GCで反応物のビスフェノールSへのEOの付加モル分布を追跡した。1モル付加物が0.1%以下になった時点で反応を終了した。要したEOは132.4g(3.01mol)であり、反応時間は8時間であった。
反応後、130〜160℃、減圧下で未反応EO、触媒を留去し、本発明のビスフェノールSジオキシエチレンエーテル(A−5)を477.6g(収率99.0%)得た。
この(A−5)をGCにて分析したところ、未反応のビスフェノールSはN.D.、EO1モル付加物N.D.、EO2モル付加物95.2%、EO3モル付加物4.8%、EO4モル以上の付加物N.D.であった。また(A−5)の融解熱量は120J/gであった。
比較例1
実施例2で用いた水酸化リチウムを水酸化ナトリウム(プロトン親和性:1071.8kJ/mol)0.30g(フェノール官能基あたり0.25mol%)に代えた以外は実施例2と同様にして反応させた。1モル付加物が0.1%になるまでに要したEOは、150.5g(3.42mol)であり、反応時間は7時間であった。
反応後、燐酸で触媒を中和し、130〜160℃、減圧下で未反応EOを留去し、ビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(B−1)を567g(収率98%)得た。
この(B−1)をGCにて分析したところ、未反応のビスフェノールAはN.D.、EO1モル付加物N.D.、EO2モル付加物82.5%、EO3モル付加物17.5%、EO4モル以上の付加物N.D.であった。また(B−1)の融解熱量は65J/gであった
比較例2
実施例2で用いた水酸化リチウムを水酸化カリウム(プロトン親和性:1101.8kJ/mol)0.42(フェノール官能基あたり0.25mol%)に代えた以外は実施例2と同様にして反応させた。1モル付加物が0.1%になるまでに要したEOは、151.8g(3.45mol)であり、反応時間は6.8時間であった。
反応後、燐酸で触媒を中和し、130〜160℃、減圧下で未反応EOを留去し、ビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(B−2)を562.4g(収率97%)得た。
この(B−2)をGCにて分析したところ、未反応のビスフェノールAはN.D.、EO1モル付加物N.D.、EO2モル付加物81.8%、EO3モル付加物18.2%、EO4モル以上の付加物N.D.であった。また(B−2)の融解熱量は64J/gであった
比較例3
実施例2で用いた水酸化リチウムをトリメチルアミン(プロトン親和性:948.9kJ/mol)40%水溶液0.22g(フェノール官能基あたり0.25mol%)に代えた以外は実施例2と同様にして反応させた。
反応後、15時間後でも1モル付加物が13%であり、0.1%以下になるまでは相当時間を要することが予想され、実用的ではないと判断し、反応を打ち切った。この段階までに滴下したEOは、132g(3.00mol)であった。
反応後、燐酸で触媒を中和し、130〜160℃、減圧下で未反応EOを留去し、ビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(B−3)を得た。
この(B−3)をGCにて分析したところ、未反応のビスフェノールAはN.D.、EO1モル付加物12.8%、EO2モル付加物78.9%、EO3モル付加物8.3%、EO4モル以上の付加物N.D.であった。また(B−3)の融解熱ピークは2つ示され、それぞれ50J/gと73J/gであった。
以上の実施例1〜4および比較例1〜4の製造条件、生成物の組成、示差走査熱量計(DSC)で測定した融解熱量の結果を表1に示す。
Figure 2008143854
実施例および比較例の評価結果から、本発明のビスフェノール類のジオキシエチレンエーテルの製造方法は、不純物が少なく、収率が高いことが明らかである。
また、本発明により得られるビスフェノール類のジオキシエチレンエーテルの融解熱量は高いことが明らかである。
製造例1
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた内容量1lの反応容器に、実施例2で得られた本発明のビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(A−2)370gとテレフタル酸166g、エステル化触媒であるテトラブトキシチタネート0.5gを仕込み、230℃に昇温し、常圧で生成水を除去しながら反応進めた。常圧で生成水の留出がなくなってから徐々に系内を減圧にし、さらにエステル化反応を進めた。酸価が0.8になった時点で内容物を取り出し、ポリエステル樹脂(C−1)を得た。(C−1)のピークトップ分子量は7400,ガラス転移点は65℃であった。
比較製造例1
製造例1で用いたビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(A−2)をビスフェノールAジオキシエチレンエーテル(B−1)に代えた以外は製造例1と同様にしてポリエステル樹脂(C’−1)を得た。
(C’−1)のピークトップ分子量は7420,ガラス転移点は55℃であった。
これらのピークトップ分子量およびガラス転移点の測定結果を表2に示す。
Figure 2008143854
なお、本発明のビスフェノール類のジオキシエチレンエーテルを用いたポリエステル樹脂の分子量とガラス転移転を以下の条件で測定した。
GPCによる分子量測定
装置 : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム : TSK GEL GMH6 2本 (東ソー(株)製)
測定温度 : 25℃
試料溶液 : 0.25重量%のテトラヒドロフラン(THF)溶液
溶液注入量: 200μl
検出装置 : 屈折率検出器
なお、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
ガラス転移点
ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)。
装置:セイコー電子工業(株)製 DSC20,SSC/580
本発明の製造法により得られるビスフェノールAジオキシエチレンエーテルを使用したポリエステル樹脂は、従来法により得られるビスフェノールAジオキシエチレンエーテルを使用したポリエステル樹脂に比べ、ガラス転移点が極めて大きくなり、融着などが起こりにくい耐熱安定性の良いものが得られることがわかる。
本発明の製造法で得られたビスフェノール類のジオキシエチレンエーテルは、従来品よりも不純物が少ないため、ポリエステル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネートの改質剤として有用である。また、本発明のビスフェノール類のジオキシエチレンエーテルの水酸基を変性、例えばエピクロルヒドリンによるエポキシ変性、アリルクロライドによるアリル変性、(メタ)アクリル酸によるアクリル変性しても、従来とは物性の異なる樹脂原料となり有用である。

Claims (7)

  1. 塩基性触媒(A)の存在下で、ビスフェノール類(B)にエチレンオキサイドを付加して該ビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(C)を製造する方法において、該塩基性触媒(A)のプロトン親和性Hが960〜1060kJ/molであることを特徴とするビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(C)の製造方法。
  2. 該ビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(C)以外に、副生成物としての該ビスフェノール類のエチレンオキサイド1モル付加物(D1)の含有量がビスフェノール類およびビスフェノール類のオキシエチレンエーテルの合計重量に対して0.1重量%以下、かつ該ビスフェノール類のエチレンオキサイド3モル付加物(D2)の含有量が7.0重量%以下である請求項1記載のビスフェノール類のジオキシエチレンエーテルの製造方法。
  3. 該塩基性触媒(A)が、 N,N−ジメチルエタンアミン、N−メチル−N−エチルエタンアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、水酸化リチウム、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、N,N,N',N'−テトラメチルブチレンジアミン、および1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンからなる群より選ばれる1種以上の触媒である請求項1または2記載のの製造方法。
  4. 該ビスフェノール類(B)が、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFおよびハロゲン化ビスフェノールAからなる群より選ばれる1種以上である請求項1〜3いずれか記載のビスフェノール類のジオキシエチレンエーテルの製造方法。
  5. 付加反応の反応温度が70〜120℃である請求項1〜4いずれか記載のビスフェノール類のジオキシエチレンエーテルの製造方法。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の製造方法で得られ、副生物としてのビスフェノール類のエチレンオキサイド1モル付加物(D1)の含有量が、ビスフェノール類およびビスフェノール類のオキシエチレンエーテルの合計重量に対して0.1重量%以下、かつビスフェノール類のエチレンオキサイド3モル付加物(D2)の含有量が7.0重量%以下であることを特徴とするビスフェノール類のジオキシエチレンエーテル(C)。
  7. 該ビスフェノール類(B)がビスフェノールAであり、示差走査熱量計における融解熱量が85J/g以上である請求項6記載のビスフェノールAのジオキシエチレンエーテル。
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