JP2008222658A - スルホンイミド化合物の製造方法 - Google Patents

スルホンイミド化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機イオン伝導体及びルイス酸触媒等として有用な物質であるスルホンイミド化合物の新規製造法を提供する。
【解決手段】スルホニルハライドを、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、あるいは第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、アンモニウム塩と反応させて、スルホンイミド化合物を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機イオン伝導体及びルイス酸触媒等として有用な物質であるスルホンイミド化合物の新規製造法に関するものである。
スルホンイミド化合物は、良好なイオン伝導性、熱安定性、化学的安定性を有することから、リチウムイオン2次電池の電解質として、あるいは、有機合成分野ではルイス酸触媒として有用な物質である。
スルホンイミド化合物の製造方法としては、例えば、非特許文献1〜2に、ペルフルオロアルキルスルホニルフルオリドとトリメチルシリル基含有ペルフルオロアルキルスルホンアミドのアルカリ金属塩を反応させる下記反応式で示される方法が開示されている。
RfSOF+Rf’SON(SiMe)Na→RfSON(Na)SORf’+MeSiF
しかしながら、反応工程が多く、ヘキサメチルジシラザンのような高価な化合物を使用しなければならないため、工業的な製造法ではない。
このような技術背景により、工業的に安価にスルホンイミド化合物を製造する方法として、
・ペルフルオロアルキルスルホニルハライドとアンモニアを第3級アミン又は複素環式アミンの存在下、反応させる下記反応式で示される方法(例えば、特許文献1〜2参照)
2RfSOX+NH+3RN→(RfSONNHR+2RNHX
・ペルフルオロアルキルスルホニルハライドとアンモニアをアルカリ金属フッ化物の存在下、反応させる下記反応式で示される方法(例えば、特許文献3参照)
2RfSOX+NH+6MF→(RfSONM+3MFHF+2MX
のように、スルホニルハライドとアンモニアから、直接、スルホンイミド化合物を製造する方法が知られているが、スルホンイミド化合物の窒素源としてアンモニアを使用するため、低温冷却装置が付いたオートクレーブやアンモニアガス処理設備が必要となり、量産には向かない。また、スルホニルハライド2モルに対し、アンモニアが1モルを超えると、スルホンアミドが多く生成するため、アンモニアを正確に1モル測り取る必要があるため、反応操作が煩雑になることが問題となっていた。
このように、従来のスルホンイミド化合物の製造方法は工業的な製造方法とは言いがたく、スルホンイミド化合物を安価でかつ量産が可能な製造方法が望まれていた。
Inorganic Chemisty 23巻 3720―3723頁(1984年) Inorganic Chemisty 32巻 5007―5010頁(1993年) 特開平8―81436号公報 特開平11―209338号公報 特開2001―288193号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、アンモニアを使用することなく、スルホンイミド化合物を安価でかつ量産が可能な工業的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、スルホニルハライドを、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、あるいは、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、アンモニウム塩と接触、反応させることにより、高収率でスルホンイミド化合物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]下記一般式(1)
RfSON(M)SORf ・・・(1)
(RfとRfは、同じ又は異なる炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体であり、MはMa、Mb1/2、有機アンモニウム基であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。)
で表されるスルホンイミド化合物の製造法において、下記一般式(2)
RfSOX ・・・(2)
(Rfは、上記一般式(1)のRfまたはRfと同じ基であり、Xはフッ素原子、又は塩素原子を示す。)
で表されるスルホニルハライドを、
アルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、あるいは
第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、下記一般式(3)
(NHY ・・・(3)
(mは1〜2の整数、Yはハロゲン基、炭酸基、炭酸水素基、硫酸基、リン酸基、ギ酸基、酢酸基、シュウ酸基の中から選ばれる基である。)
で表されるアンモニウム塩と接触、反応させることを特徴とする、スルホンイミド化合物の製造方法。
[2]上記一般式(1)で、Rf、Rfの少なくとも一方が炭素数1から12の水素原子含有フッ素化炭化水素基である上記[1]に記載の方法。
[3]上記一般式(2)で、Xが塩素原子である、上記[1]又は[2]に記載の製造方法。
本発明によれば、アンモニアを使用することなく、有機イオン伝導体及びルイス酸触媒等として有用な物質であるスルホンイミド化合物を高収率で製造することができる。
以下、本発明について詳細に記述する。
本発明は、スルホニルハライドを、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、あるいは第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、アンモニウム塩と反応させることにより、高収率でスルホンイミド化合物を製造する方法に関するものである。
本発明において、下記一般式(1)
RfSON(M)SORf ・・・(1)
(MはMa、Mb1/2、有機アンモニウム基であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。)
で表されるスルホンイミド化合物が製造される。
上記一般式(1)において、RfとRfは、同じ又は異なる炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体である。フッ素化炭化水素基とは、分子構造として直鎖構造、分岐構造、環状構造でも良く、完全フッ素化あるいは部分フッ素化された炭化水素基を示す。さらにその置換基として、塩素原子、臭素原子等のハロゲン基を含んでいても良い。
RfとRfの具体例としては、
Figure 2008222658

等が挙げられるが、合成・精製の容易性から、Rf、Rfの少なくとも一方が水素原子含有フッ素化炭化水素基であることが望ましい。
上記一般式(1)で表されるスルホンイミド化合物は、下記一般式(2)
RfSOX ・・・(2)
(Rfは、上記一般式(1)のRfまたはRfと同じ基であり、Xはフッ素原子、又は塩素原子を示す。)
で表されるスルホニルハライドを、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、あるいは
第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、下記一般式(3)
(NHY ・・・(3)
(mは1〜2の整数、Yはハロゲン基、炭酸基、炭酸水素基、硫酸基、リン酸基、ギ酸基、酢酸基、シュウ酸基の中から選ばれる基である。)
で表されるアンモニウム塩と反応させることにより得られる。
本発明で使用される、下記一般式(2)
RfSOX ・・・(2)
で表されるスルホニルハライドのRfは、上記一般式(1)で表されるスルホンイミド化合物のRfまたはRfと同じ基であり、Xはフッ素原子又は塩素原子を示す。上記一般式(2)において、Xが塩素原子であるスルホニルクロライド(RfSOCl)の場合、同じフッ素化炭化水素基を有しXがフッ素原子であるスルホニルフルオリド(RfSOF)と比べて、沸点が高いため、合成時のハンドリングがし易いこと、さらに工業的に安価であること等の理由により、Xは塩素原子が好ましい。
従来、例えば上記特許文献1〜3に、スルホニルハライドとアンモニアから、直接、スルホンイミド化合物を製造する方法が開示されているが、
・アンモニアを使用するため、低温冷却装置が付いたオートクレーブやアンモニアガス処理設備等が必要であること、
・スルホニルハライド2モルに対し、アンモニアが1モルを超えると、スルホンアミドが多く生成するため、アンモニアを正確に1モル測り取る必要があるため、反応操作が煩雑になること、
が問題となっていた。
さらに、上記特許文献2には、第3級アミン存在下、スルホニルクロライド(すなわち、上記一般式(2)で表されるスルホニルハライドにおいて、Xが塩素原子の場合)とアンモニアを反応させてスルホンイミド化合物を製造する方法が開示されている。本発明者らは、上記特許文献2に記載の方法に従い、トリエチルアミン存在下、上記一般式(2)でRf=HCFCF、X=Clであるスルホニルクロライド(HCFCFSOCl)とアンモニアとを反応させる方法について詳細に検討した。その結果、目的物であるスルホンイミド化合物(HCFCFSON(NHEt)SOCF)以外に、下記反応式に示されるように、副生成物であるスルフィン酸化合物(HCFCFSO・NHEt)が大量に生成するため、目的物の収率が低下することが判明した。
Figure 2008222658
なぜ、スルフィン酸化合物が生成するのか、その反応機構については明らかではないが、スルホニルクロライド中の塩素原子とアンモニア中の水素原子との交換反応が起こったためと推定される。
HCFCFSOCl+NH→HCFCFSOH+NHCl
そこで、本発明者らは、アンモニアを使用することなく、スルホニルハライドから直接、スルホンイミド化合物を高収率で製造できる方法について鋭意検討をした。その結果、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、あるいは第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、スルホニルハライドとアンモニウム塩を反応させることにより、高収率でスルホンイミド化合物が製造できることを見出した。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物の具体例としては、
炭酸塩:LiCO NaCOCO CsCOCaCOBaCO
炭酸水素塩:NaHCO KHCO
リン酸塩:NaPONaHPOCaHPO
水酸化物:LiOH NaOH KOH CsOH Ca(OH) Ba(OH)
酸化物:LiO NaO KO CaO BaO
等が挙げられ、また、第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物の具体例としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等が挙げられるが、好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、酸化物であり、より好ましくはアルカリ金属を成分とする炭酸塩、酸化物であり、特に好ましくはアルカリ金属を成分とする炭酸塩である。
本発明において、下記一般式(3)
(NHY ・・・(3)
で表されるアンモニウム塩が使用される。上記一般式(3)において、mは1〜2の整数であり、Yはハロゲン基、炭酸基、炭酸水素基、硫酸基、リン酸基、ギ酸基、酢酸基、シュウ酸基の中から選ばれる基であり、例えば、
・ハロゲン基:NHF NHCl NHBr NH
・炭酸基 :(NHCO
・炭酸水素基:(NH)HCO
・硫酸基 :(NHSO
・リン酸基 :(NH)HPO
・ギ酸基 :HCONH
・酢酸基 :CHCONH
・シュウ酸基:(NH
等(但し、右欄の化合物はそれらの基を用いた上記アンモニウム塩の具体例である)が挙げられるが、好ましくはハロゲン基、炭酸基、炭酸水素基、ギ酸基であり、より好ましくはハロゲン基、炭酸基、ギ酸基であり、特に好ましくは炭酸基である。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、あるいは第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、上記一般式(2)で表されるスルホニルハライドと上記一般式(3)で表されるアンモニウム塩との反応は、通常、溶媒中で行われる。
溶媒としては、反応物質に対して不活性な溶媒であれば良く、本発明で使用される溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、マロノニトリル、アジポニトリル等のニトリル系溶媒、N,N―ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、HFC43−10mee、ペルフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、ペルフルオロトリブチルアミン等の含フッ素化溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホラン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独または混合して使用できる。
上記一般式(1)において、RfとRfが同じであるスルホンイミド化合物を製造する場合は、上記一般式(2)で表される1種類のスルホニルハライドが使用される。アルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、あるいは第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、の何れから選ばれる塩基化合物、1種類のスルホニルハライド、及びアンモニウム塩の使用量は、各々使用する化合物によって異なる。例えば、スルホニルハライドがRfSOCl(RfはRfとRfと同じ)、アルカリ金属炭酸塩がNaCO
アンモニウム塩が(NHCOの場合、その反応式は、
2RfSOCl+NaCO+(NHCO
→RfSON(Na)SORf +NHCl+NaCl+2HO+2CO
で表される。該反応式においては、スルホニルハライドが1モルに対して、アンモニウム塩が0.5モル、アルカリ金属炭酸塩が0.5モル必要であるが、高収率でスルホンイミド化合物を得るために、アルカリ金属炭酸塩を過剰に用いても差し支えない。
1種類のスルホニルハライドとアンモニウム塩から、上記一般式(1)においてRfとRfが同じであるスルホンイミド化合物を製造する場合、どのような順番で仕込んでも差し支えないが、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、あるいは第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、の何れから選ばれる塩基化合物、及びアンモニウム塩が入った反応器の中に、1種類のスルホニルハライドを接触、反応させる方法が挙げられる。
また、上記一般式(1)において、RfとRfが異なるスルホンイミド化合物を製造する場合は、上記一般式(2)で表される2種類のスルホニルハライドを等モル量ずつ使用される。アルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、あるいは第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、の何れから選ばれる塩基化合物、2種類のスルホニルハライド、及びアンモニウム塩の使用量は、各々使用する化合物によって異なる。例えば、スルホニルハライドがRfSOCl、RfSOCl(RfとRfは異なる)、アルカリ金属炭酸塩がNaCO、アンモニウム塩が(NHCOの場合、その反応式は、
RfSOCl+RfSOCl+NaCO+(NHCO
→RfSON(Na)SORf+NHCl+NaCl+2HO+2CO
で表される。該反応式においては、1種類のスルホニルハライドが1モルに対して、アンモニウム塩が1モル、アルカリ金属炭酸塩が1モル必要であるが、高収率でスルホンイミド化合物を得るために、アルカリ金属炭酸塩を過剰に用いても差し支えない。
2種類のスルホニルハライド、及びアンモニウム塩から、上記一般式(1)においてRfとRfが異なるスルホンイミド化合物を製造する場合、どのような順番で仕込んでも差し支えないが、例えば、アンモニウム塩と1種類のスルホニルハライドとを接触、反応させた後、この反応混合物に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、あるいは第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、の何れから選ばれる塩基化合物を加えて、もう1種のスルホニルハライドを加える方法が挙げられる。
反応温度は、通常、−20℃から200℃であるが、好ましくは−10℃から180℃であり、より好ましくは0℃から150℃であり、特に好ましくは10℃から100℃である。
反応時間は、通常、0.01時間から48時間であるが、好ましくは0.1時間から36時間、より好ましくは0.2時間から24時間、特に好ましくは0.5時間から12時間である。
反応終了後、例えば、得られた反応混合物中に、上記一般式(1)で表されるスルホンイミド化合物が溶解している場合、反応混合物中の不溶性固体を濾過により除去した後、濾液中の溶媒を減圧留去すれば、上記一般式(1)で表されるスルホンイミド化合物を得ることができる。得られたスルホンイミド化合物は、従来公知の精製方法、例えば、晶析
、カラムクロマトグラフィー等により精製を行っても差し支えない。
また、上記以外のカチオン種の異なるスルホンイミド化合物を製造するためには、例えば、上記製造法で得られたスルホンイミド化合物を濃硫酸、又はイオン交換樹脂等で処理後、蒸留操作等により、スルホンイミド酸(RfSONHSORf)を合成し、さらに対応する金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩の中から選ばれる化合物と反応させればよい。
以上のように、本発明はアンモニアを使用することなく、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、あるいは第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、スルホニルハライドとアンモニウム塩を反応させることにより、有機イオン伝導体及びルイス酸触媒等として有用な物質であるスルホンイミド化合物を効率よく製造する技術を提供するものであり、工業的に極めて有用である。
以下実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
種々の物性は、次の方法で測定した。
1)19F−NMRによる分子構造解析
測定装置:JNM−GSX400型核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製)
溶媒:重クロロホルム、
基準物質:フレオン−11(CFCl
2)MALDI−TOF/MSによる構造解析
測定装置:AXIMA CFR plus(島津製作所)、
レーザー:窒素レーザー(337nm)
検出器形式:リニアモード
イオン検出:負イオン(Negative mode)
積算回数:500回
マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシけい皮酸
[実施例1]
メカニカルスターラー、還流冷却管をつけた500mLの4口フラスコに、HCFCFSONa(102g、0.50mol)、PCl(156g、0.75mol)、POCl(50mL)を加え、フラスコを常圧下、120℃で加熱すると、フラスコ内部は固体状態からスラリー状態に変化し、還流し始めた。さらに、還流を2時間行った後、150℃に昇温して、常圧下で反応混合物中の液状成分(HCFCFSOClとPOClの混合物)を留出させた。この捕集した液体を水に滴下すると2層に分離した。下層を分液すると、81.6gの無色液体が得られた。この液体は、19F−NMR(内部標準:C)から、HCFCFSOClであることがわかった(収率81%)。
19F−NMR: −135.1ppm(1F)、−134.9ppm(1F)、−112.7ppm(2F)
300mLの3口フラスコに、炭酸アンモニウム(4.80g、0.05mol)、炭酸ナトリウム(21.2g、0.20mol)、脱水アセトニトリル(160mL)、HCFCFSOCl(20.0g、0.10mol)を加えた後、60℃で6時間、攪拌した。反応混合物を19F−NMRで測定すると、HCFCFSOClは消失し、(HCFCFSONNaの生成が確認された。反応混合物中の固形物を濾過して取り除き、その濾液をエバポレーターで減圧濃縮後、さらにその残渣を減圧下、80℃に加熱すると、18.2gの白色固体が得られた。この固体は、19F−NMR、M
ALDI−TOF/MSから、(HCFCFSONNaであることがわかった(HCFCFSOClを基準とした場合、収率99%)。
19F−NMR:−136.1ppm(1F)、−136.0ppm(1F)、−122.4ppm(2F)
MALDI−TOF/MS:344[M−Na]
[比較例1]
脱水アセトニトリル(10mL)、HCFCFSOCl(3.13g、0.016mol)が入った100mLの3口フラスコを−20℃に冷却し、無水アンモニア(0.272g、0.016mol)を加え、脱水アセトニトリル(10mL)で希釈したトリエチルアミン(3.63g)を滴下した後、0℃で1時間、さらに20℃で3時間攪拌した。該反応混合物を19F−NMRで測定すると、HCFCFSOClは消失したが、目的物である(HCFCFSON・NHEt)と副生成物であるHCFCFSO・NHEtの混合物(1:2.4(モル比))であることが確認された。
[実施例2]
実施例1において、炭酸ナトリウムのかわりに、炭酸カリウム(27.6g、0.20mol)にした以外は同様にして実施したところ、19.0gの白色固体が得られた。この固体は、19F−NMR、MALDI−TOF/MSから、(HCFCFSONKであることがわかった(HCFCFSOClを基準とした場合、収率99%)。
MALDI−TOF/MS:344[M−K]
[実施例3]
実施例1において、HCFCFSOClのかわりに、HCFCFSOF(18.4g、0.10mol)にした以外は同様にして実施したところ、18.0gの白色固体が得られた。この固体は、19F−NMR(内部標準:C)から、(HCFCFSONNaであることがわかった(HCFCFSOFを基準とした場合、収率98%)。
[実施例4]
実施例1において、HCFCFSOClのかわりに、非特許文献2に従って得られたCFCFSOCl(21.9g、0.10mol)にした以外は同様にして実施したところ、19.9gの白色固体が得られた。この固体は、19F−NMR(内部標準:C)、MALDI−TOF/MSから、CFCFSON(Na)SOCFCFであることがわかった(CFCFSOClを基準とした場合、収率99%)。
19F−NMR: −118.0ppm(4F)、−79.6ppm(6F)
MALDI−TOF/MS:380[M−Na]
[実施例5]
実施例1において、HCFCFSOClのかわりに、CFSOCl(16.9g、0.10mol)にした以外は同様にして実施したところ、14.8gの白色固体が得られた。この固体は、19F−NMR(内部標準:C)、MALDI−TOF/MSから、CFSON(Na)SOCFであることがわかった(CFSOClを基準とした場合、収率98%)。
19F−NMR:−79.9ppm(6F)
MALDI−TOF/MS:280[M−Na]
[実施例6]
100mLの3口フラスコに、塩化アンモニウム(0.267g、5mmol)、炭酸ナトリウム(2.12g、20mmol)、脱水アセトニトリル(20mL)、HCFCFSOCl(2.00g、10mmol)を加えた後、60℃で6時間加熱、攪拌した。反応混合物中の沈殿物を濾過した後、その濾液をエバポレーターで減圧濃縮し、さらに80℃に加熱しながら真空ポンプで溶媒をさせると、1.74gの白色固体が得られた。この固体は、19F−NMR(内部標準:C)から、(HCFCFSONNaであることがわかった(HCFCFSOClを基準とした場合、収率95%)。
[実施例7]
実施例6において、塩化アンモニウムのかわりに、ギ酸アンモニウム(0.315g,5mmol)、にした以外は同様にして実施したところ、1.71gの白色固体が得られた。この固体は、19F−NMR(内部標準:C)から、(HCFCFSONNaであることがわかった(HCFCFSOClを基準とした場合、収率93%)。
[実施例8]
炭酸アンモニウム(4.80g、0.05mol)、脱水アセトニトリル(80mL)が入った200mLの3口フラスコに、HCFCFSOCl(10.0g、0.05mol)を加え、50℃で2時間、攪拌した。反応混合物を19F−NMRで測定すると、HCFCFSOClは消失し、HCFCFSONHの生成が確認された。該反応混合物中の不溶固形物を除去した後、該反応混合物に、NaCO(21.2g、0.20mol)、CFSOCl(8.4g、0.05mol)を加え、50℃で2時間、攪拌した。HCFCFSONH、CFSOClは消失し、HCFCFSON(Na)SOCFの生成が確認された。反応混合物中の固形物を濾過して取り除き、その濾液をエバポレーターで減圧濃縮後、さらにその残渣を減圧下、80℃に加熱すると、15.5gの白色固体が得られた。この固体は、19F−NMR(内部標準:C)、MALDI−TOF/MSから、HCFCFSON(Na)SOCFであることがわかった(HCFCFSOClを基準とした場合、収率93%)。
19F−NMR:−135.9ppm(1F)、−135.8ppm(1F)、−122.6ppm(2F)、−79.1ppm(3F)
MALDI−TOF/MS:312[M−Na]
本発明の製造法で得られるスルホンイミド化合物は、有機イオン伝導体及びルイス酸触媒等として利用できる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)
    RfSON(M)SORf ・・・(1)
    (RfとRfは、同じ又は異なる炭素数1から12のフッ素化炭化水素基あるいはその置換体であり、MはMa、Mb1/2、有機アンモニウム基であり、Maはアルカリ金属、Mbはアルカリ土類金属である。)
    で表されるスルホンイミド化合物の製造法において、下記一般式(2)
    RfSOX ・・・(2)
    (Rfは、上記一般式(1)のRfまたはRfと同じ基であり、Xはフッ素原子、又は塩素原子を示す。)
    で表されるスルホニルハライドを、
    アルカリ金属またはアルカリ土類金属を成分とする炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物である無機塩基化合物、あるいは
    第3級アミン、複素環式アミンである有機塩基化合物、の何れから選ばれる塩基化合物の存在下、下記一般式(3)
    (NHY ・・・(3)
    (mは1〜2の整数、Yはハロゲン基、炭酸基、炭酸水素基、硫酸基、リン酸基、ギ酸基、酢酸基、シュウ酸基の中から選ばれる基である。)
    で表されるアンモニウム塩と接触、反応させることを特徴とする、スルホンイミド化合物の製造方法。
  2. 上記一般式(1)で、Rf、Rfの少なくとも一方が炭素数1から12の水素原子含有フッ素化炭化水素基である請求項1に記載の方法。
  3. 上記一般式(2)で、Xが塩素原子である、請求項1又は2に記載の製造方法。
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