JP2008221597A - 導光板の射出成形金型および射出成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ランナ部が連設された導光板のランナ部を突出ピンにより突き出す際に、ランナ部から遠い側の導光板の離型が遅れ、導光板内部にストレスを生じたり、或いはランナ部から遠い側の導光板の側面に傷をつけてしまうという問題を簡単な構造の金型により解決する。
【解決手段】 導光板Pを可動金型12に保持した状態で型開し、突出ピン20により突き出して離型を行う際に、導光板Pのランナ部近傍の側面P13とキャビティ側面形成部33eとが間隔形成されておらず、導光板Pのランナ部遠方の側面P3が開放された状態で、突出ピン20によりランナ部P1を連設した導光板Pの突き出しを行う。
【選択図】 図6
【解決手段】 導光板Pを可動金型12に保持した状態で型開し、突出ピン20により突き出して離型を行う際に、導光板Pのランナ部近傍の側面P13とキャビティ側面形成部33eとが間隔形成されておらず、導光板Pのランナ部遠方の側面P3が開放された状態で、突出ピン20によりランナ部P1を連設した導光板Pの突き出しを行う。
【選択図】 図6
Description
本発明は、導光板の射出成形金型および射出成形方法に関するものであり、特には携帯電話等のサイドライト型導光板の射出成形金型および射出成形方法に関するものである。
液晶、プラズマ、有機EL等の表示装置に用いられる導光板は、射出圧縮成形を含む射出成形によって行われる。そして前記成形において成形されたランナ部を連設した導光板を金型から離型する場合、出光面や反射面に傷を付けないように、スプル部に連設されるランナ部分が突出ピンにより突き出されることが多い。また特にサイドライト型導光板の場合は、パターンまたはグルーブが形成され傷がつくことを最も避けなければならない入光面がランナ部とは反対側の側面に形成される。
しかしながら図8に示される従来例のように、可動金型111から導光板の取出す際に、突出ピン112によりスプル部P2に連設されるランナ部P1を突き出すと、導光板Pのランナ部P1に近い部分は突出ピン112の突出力の影響で離型し易いが、その導光板Pのランナ部P1から遠い部分は離型されにくい。その結果、離型する際に導光板Pに変形または内部応力が及んだり、ランナ部P1とは反対側の側面がキャビティ側面形成部113に引っかかりながら離型されるので導光板Pの側面とキャビティ側面形成部113の双方に傷が付きやすいという問題があった。特にサイドライト型導光板Pの場合、前記のように入光面P3がランナ部P1とは反対側の側面に形成されることがほとんどであるので、入光面P3に傷が付くことにも繋がっていた。また従来の導光板成形金型においてキャビティ側面の部材を移動させ、導光板の離型を容易にしたものは、特許文献1、特許文献2に記載があるが、四方の枠体部をそれぞれ外側にむけて開放するものであった。そのため下方の枠体部を開放することにより成形品の落下に繋がりやすいという問題があった。また四方の枠体をそれぞれ外側に向けて移動させるため、移動機構が大掛りになるという問題があった。また特許文献3についても四方の枠体部が型閉時に移動可能であるが、型開時に枠体部が移動されるのかどうか、いずれかの枠体部を選択的に移動させるという点について等については記載がない。
本発明では上記の問題を鑑みて、ランナ部が連設された導光板のランナ部を突出ピンにより突き出す際に、ランナ部から遠い側の導光板の離型が遅れ、導光板内部にストレスを生じたり、或いはランナ部から遠い側の導光板の側面に傷をつけてしまうという問題を簡単な金型構造により解決した導光板の成形金型および成形方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の導光板の射出成形金型は、固定金型と可動金型からなり、ランナ部を連設した導光板を突出ピンにより突き出しする導光板の射出成形金型において、可動金型に設けられたキャビティ主面形成部の周囲には、ランナ部近傍のキャビティ側面形成部がキャビティ主面形成部に対して位置保持された状態で、ランナ部遠方のキャビティ側面形成部が別個に移動可能に設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の導光板の射出成形金型は、請求項1において、キャビティ主面形成部に対してランナ部近傍のキャビティ側面形成部は、下方に位置することを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の導光板の射出成形金型は、請求項2において、キャビティ主面形成部とキャビティ側面形成部との間から離型エアを噴出することを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の導光板の射出成形方法は、固定金型と可動金型の間に形成されたキャビティで少なくともランナ部を連設した導光板を成形し、該導光板を可動金型に保持した状態で型開し、突出ピンにより突き出して離型を行う導光板の射出成形方法において、導光板のランナ部近傍の側面とキャビティ側面形成部とが間隔形成されておらず、導光板のランナ部遠方の側面が開放された状態で、突出ピンによりランナ部を連設した導光板の突き出しを行うことを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の導光板の射出成形方法は、請求項4において、ランナ部にはスプル部が連設され、スプル部のみを取出しロボットで把持し前記導光板の取出しを行うことを特徴とする。
本発明は、固定金型と可動金型からなり、ランナ部を連設した導光板を突出ピンにより突き出しする導光板の射出成形金型において、可動金型に設けられたキャビティ主面形成部の周囲には、ランナ部近傍のキャビティ側面形成部がキャビティ主面形成部に対して位置保持された状態で、ランナ部遠方のキャビティ側面形成部が別個に移動可能に設けられており、導光板のランナ部遠方の側面が開放された状態で突出ピンにより突き出しを行うので、簡単な構造の金型により、導光板にストレスを与えたり、側面に傷をつけたりすることなく、導光板を離型し取出すことができる。
本実施形態の非平面の入光面を有するサイドライト型導光板の射出成形金型について、図1ないし図5を参照して説明する。図1は、本実施形態のサイドライト型導光板の射出圧縮成形金型の断面図であって型締力が及ぼされていない時の状態を示す図である。図2は、本実施形態のサイドライト型導光板の射出圧縮成形金型の断面図であって型締力が及ぼされた状態を示す図である。図3は、本実施形態のサイドライト型導光板の射出圧縮成形金型の可動金型の正面図である。図4は、本実施形態のサイドライト型導光板の射出圧縮成形金型の固定金型の正面図である。図5は、本実施形態の射出圧縮成形によって成形されたサイドライト型導光板の斜視図である。
本実施形態のサイドライト型導光板の射出圧縮成形金型11は、同時に1枚の対角寸法2.5インチ、板厚0.4mmの携帯電話用サイドライト型導光板の成形を行う射出圧縮成形金型11である。(以下携帯電話用サイドライト型導光板については、単に導光板と略す。)本発明は型締後にキャビティの容積が変更されない一般的な射出成形によっても可能であるが、本実施形態のものは、射出成形の中の一分野である射出圧縮成形により行われる。射出圧縮成形は、成形開始時から成形終了時までの間に可動金型12と固定金型13の間隔が可変となるものである。従って、型閉位置において溶融樹脂を射出後に可動金型をそのまま前進させ圧縮する射出プレスと呼ばれるタイプも射出圧縮成形に含まれるものとする。これら射出圧縮成形では、成形完了時に比較して、射出開始前または射出開始後にキャビティが僅かに開いた状態であるので高速射出能力を有する射出装置が必要なく、溶融樹脂を比較的低速・低圧で射出することができる。また溶融樹脂を比較的低速・低圧で射出することができることから、特にゲート部付近に内部応力が発生することがないという利点がある。また射出開始後に可動金型を型締方向に移動させて溶融樹脂に圧縮を加えることから、キャビティのゲート部から遠い位置において溶融樹脂の流れを早くしたり、微細な転写を良好に行うことができるという利点がある。このような射出圧縮成形は、特に主面部の面積と比較して板厚が薄い導光板の成形を行う際に特に有利である。
図1、図2は、本発明の射出圧縮成形金型11の断面であって、図3、図4におけるA−A線の断面図である。前記図1ないし図4に示されるように、射出圧縮成形金型11は、第1の金型である可動金型12と第2の金型である固定金型13とからなり、型合わせされた両金型12,13の間には容積および板厚が可変のキャビティ14が形成されるようになっている。図示しない射出圧縮成形機の可動盤に取付けられる可動金型12には、金型本体部15とコア部16と可動枠部17が設けられている。金型本体部15の可動盤側には、断熱板18が取付けられ、内部にはエジェクタプレート19を介して突出ピン20を前後進作動させるエジェクタ用エアシリンダ21が配設されている。本実施形態では突出ピン20の先端は断面Z字状に食い込み部20aが設けてあり、ゲート部を含むランナ部P1、スプル部P2を含む導光板Pが突出ピン20に保持されやすくなっている。なおエジェクタ用エアシリンダ21は油圧シリンダやサーボモータにより作動するものでもよい。本実施形態では突出ピン20によるスプル部P2に連設するランナ部P1の突出しと、離型用エアの作用によりランナ部P1を連設した導光板Pの離型を図り、他の突出ピンや吸着手段を用いない。
金型本体部15の固定金型側の面における上下4箇所には、凹部22が形成され、該凹部22内にはバネ23が前記固定金型側に向けて取付けられている。そして前記バネ23の前記固定金型側は、可動枠部17を構成するバックプレート24に当接されている。また金型本体部15の前記固定金型側の面における前記凹部22の内側にはガイド穴25が上下4箇所に形成されている。そしてバックプレート24から金型本体部15に向けて設けられたガイドバー26が前記ガイド穴25に挿入されている。従って金型本体部15と平行に設けられるバックプレート24を含む可動枠部17は、前記ガイドバー26とガイド穴25にガイドされてバネ23により両者の間隔が変更されるようになっている。
金型本体部15の固定金型側の面における略中央には、コア部16が固着されている。本実施形態においてコア部16は、導光板Pの本体部P4の形状と同じ略四角形(一部に角が取れた部分や凸部あり)をしている。そしてコア部16の固定金型13と対向するキャビティ主面形成部27は、出光面P10を形成する面であって、鏡面からなっている。またコア部16の内部には、前記キャビティ主面形成部27と平行に複数本の冷却媒体流路28が形成されている。なお、図1、図2においてコア部16は一体のブロックから形成されているように記載されているが、キャビティ主面形成部を形成する部分と他の部分が別体のブロックからなるものでもよい。またキャビティ主面形成部27は鏡面の例を示したが、グルーブや粗面加工等がなされたものでもよい。
バックプレート24における固定金型側の面には、前記コア部16のキャビティ主面形成部27の周囲を囲むようにキャビティ側面形成部が内側に設けられた枠体部29が配設されている。従って換言すれば可動枠部17であるバックプレート24および枠体部29とによって形成された空洞部の中にコア部16が配設されている。そして可動枠部17全体が前記バネ23により金型本体部15およびコア部16に対して型開閉方向に移動可能となっている。図1は、型締力が及ぼされておらずバネ23が伸長した可動金型12の状態であり、図2は、型締力が及ぼされて前記バネ23が収縮した可動金型12の状態を示す図である。
図1ないし図3に示されるように、枠体部29は、4つの枠体部30,31,32,33から分割形成され、別個に移動可能に設けられている。そのうち第1枠体部30、第2枠体部31は、型開閉方向と直交する方向に移動可能な枠体であり、第3枠体部32、第4枠体部33は、移動不可能であってバックプレート24に固定された枠体である。図3においてコア部16よりも上方に位置する第1枠体部30の移動機構について説明すると、バックプレート24の上面にはエアシリンダ取付部34が固定金型側に向けて突出固定され、該エアシリンダ取付部34の上面に2個のエアシリンダ35のシリンダ部が固定されている。そしてエアシリンダ取付部34に設けられた各孔を貫通して各エアシリンダ35のロッド部がそれぞれ下方に向けて配設され、各ロッド部は、第1枠体部30の上面にそれぞれ取付けられている。従って第1枠体部30は、エアシリンダ35の作動により型開閉方向と直交する方向に移動可能であり、キャビティ形成位置から後退移動可能となっている。なお前記移動機構のエアシリンダ35,35は油圧シリンダやサーボモータにより作動するものでもよい。
図3においてコア部16よりも右側に位置する第2枠体部31の移動機構について説明すると、バックプレート24の固定金型側の一方には、バネ取付部36が固定金型側に向けて突出固定されている。そして前記バネ取付部36の内側には凹部37,37が形成され、該凹部37,37にバネ38,38が第2枠体部31に向けて取付けられている。そして第2枠体部31は図示しないガイド溝にガイドされるとともにバックプレート24や第4枠体部33の一部が前進側のストッパとなって図3において左右方向に僅かに移動可能となっている。なお第2枠体部31とコア部16の間に転動ボールを設けて、前記ボールを介して第2枠体部31とコア部16を当接させるようにしてもよい。そして第2枠体部31は、バネ38,38によって付勢されることにより常にキャビティ形成位置に位置している。第2枠体部31をバネにより移動可能とした理由は、溶融樹脂による金型(特にコア部16)の熱膨張に対応して可動部にカジリが生じなくするためである。よって本実施形態では第2枠体部31のランナ部近傍のキャビティ形成面であるキャビティ側面形成部31cは離型の際には、コア部16のキャビティ主面形成部に対して位置保持された状態で移動停止しており、導光板Pのランナ部近傍の側面P13と間隔形成されず当接されたままの状態である。
また図3においてコア部16よりも左側に位置する第3枠体部32は、第2枠体部31と左右対象の位置に固定的に配設されている。更に図3においてコア部16のキャビティ主面形成部27よりも下方に位置する第4枠体部33には、キャビティ主面形成部27の中央下側に連続する位置にゲート部を含むランナ部形成部39が形成されている。そして前記ランナ部形成部39の中央部には貫通孔40が形成され、該貫通孔40にはエジェクタの突出ピン20が前後進移動自在に配設されている。なお突出ピンはコア部に配設するようにしてもよい。そして第4枠体部33の突出ピン20の周囲であってランナ部形成部39の近傍位置に、冷却媒体流路46が形成されている。前記冷却媒体流路46は、図5に示される成形される導光板Pのランナ部P1およびスプル部P2の可動金型側を主に冷却固化させるためのものである。なお本実施形態では、枠体部29は4つに分割形成されているが、少なくとも第1枠体部30が移動可能であればよく、その他何分割されるものでよい。また図1において第4枠体33の下方には、可動枠部17のバックプレート24から固定金型13に向けて2本のガイドバー41が突出形成されている。
図3に示されるように、前記第1枠体部30、第2枠体部31、第3枠体部32、および第4枠体部33の固定金型13と対向する面のうち、キャビティ14に隣接する対向面30a,31a,32a,33aは、型当接されキャビティが形成された際に、バリが形成されず、なおかつエアが流通する僅かな間隔が形成されるよう他の部分より平面度が高精度に加工されている。また前記対向面30a,31a,32a,33aの外側にはエア通路30b,31b,32b,33bがそれぞれキャビティ14および後述する別体のブロック43を取り巻くように形成されている。そしてその外側の部分は固定金型13との当接面となっている。また前記第1枠体部30、第2枠体部31、第3枠体部32、および第4枠体部33のコア部16に隣接し型開閉方向に沿った内側面は、図5に示される導光板Pの側面P9を形成するキャビティ側面形成部30c,31c,32c,33cとなっている。なおランナ部近傍のキャビティ側面形成部33cについては導光板Pのランナ部P1を形成する面33eを含む。そして前記キャビティ側面形成部30c,31c,32c,33cの固定盤側に連接される内側面はコア部16の外側面とカジリが生じない僅かな間隔を隔てて対向している。
また第1枠体部30のキャビティ側面形成部30cにおいて、導光板Pの入光面P3を形成するランナ部遠方のキャビティ側面形成部である入光面形成部42は、別体のブロック43に設けられており、該ブロック43は、ボルトにより第1枠体部30の他の部分に着脱自在に固着されている。なお本実施形態において金型のキャビティ主面形成部27、各枠体部30,31,32,33、ブロック43および固定金型13のキャビティ形成部を構成する部材等の主要部は、ロックウエル硬度52ないし65HRCの硬質ステンレス鋼(マルテンサイト系ステンレス鋼420J2、エルマックス等)により形成されており、特に焼入れされたエルマックスは、ロックウエル硬度が58ないし62であり耐磨耗性に優れ好適である。またキャビティ形成部を構成する部材をDLC、TIN、クロムメッキ等によりコーティングしてもよい。そして前記硬質ステンレス鋼の熱伝導率は20ないし24W/(m.k)程度である。
本実施形態の導光板Pは本体部P4から僅かに突出した入光部P5が2箇所に形成されており、入光部P5の端面が板厚方向にグルーブ(縦溝)P3aが形成された入光面P3となっている。本実施形態では、入光面P3のグルーブP3aの山の頂点と谷の部分の差(深さ)は80μmとなっている。従って入光面P3を形成するブロック43も2箇所にキャビティ14の圧縮方向(型開閉方向)と平行方向のグルーブが形成された入光面形成部42,42を有している。そしてブロック43の入光面形成部42においてグルーブが形成される部分の圧縮方向の長さは、導光板Pの入光面P3の板厚P6と同じである。前記を換言すれば、射出圧縮完了時にコア部16のキャビティ主面形成部27からキャビティ側に露出している部分のみにグルーブが形成される。そして射出圧縮完了時にコア部16の側面とブロック43の側面が対向する部分は両者ともに平面からなっている。その理由はコア部16の側面にもグルーブを形成してブロック43のグルーブと噛み合せることは両者に高い加工精度が要求され、またブロック43の側面全面をグルーブとし、コア部16の側面全面を平面とした場合は、前記グルーブと前記平面とによって形成される間隙にバリが発生するからである。
なお本実施形態では入光面形成部42はグルーブからなるが、ドットや多数の三角錐や四角錐を形成した面、ショットブラストによって加工された粗面、曲面など、平面以外の非平面からなるものであればよい。そして入光面形成部42を非平面にすることにより図5に示される導光板Pの本体部P4の幅P7方向に光を拡散することを意図している。なお図3において入光面形成部42,42の間の部分は、第1枠体部30の他の部分であり、ブロック43を位置決めする役割を有しているが必須のものではない。またコア部に対して移動可能な入光面形成部は、ランナ部に接続される面と隣合う面(側方の面)に設けてもよい。
図3に示されるように可動金型12には、射出前にキャビティ14内のエアを吸引するとともに、圧抜時を含む離型時にキャビティ14内に圧搾エアを噴出するためのエア通路44,45が形成されている。そしてエア通路44,45は、図示しない各バルブを介してバキューム装置と圧搾エア供給装置に接続されている。エア通路44は、第1枠体部30の穴44aから対向面に形成されたエア通路30bに接続されている。そしてエア通路30bは、同じく対向面に形成されたエア通路31b,32b,33bに接続されている。よってエア通路30b,31b,32b,33bの圧搾エアは、隣接する対向面30a,31a,32a,33a,43aと後述する固定金型13の対向面53a,対向面55aとによって形成される間隙(パーティング面)を通ってキャビティ14内に噴出可能であり、また前記間隙からエアを吸引可能となっている。また圧搾エアの一部は、第1枠体部30とブロック43とによって形成される間隙から噴出される。第3枠体部32に形成されるエア通路45は、コア部16と各枠体部30,31,32,33との間に形成されるエア通路30d,31d,32d,33dに接続されている。よってエア通路30d,31d,32d,33dの圧搾エアは、コア部16の外側面と各枠体部30,31,32,33の内側面およびブロック43の入光面形成部42とによって形成される間隙を通ってキャビティ14内に噴出可能であり、また前記間隙からエアを吸引可能となっている。従って圧搾エアは、入光面形成部42に隣接する間隙からキャビティ14に向けて噴出可能となっている。
本実施形態において第1枠体部30のみをキャビティ形成位置(第2枠体部31と当接してキャビティ14の周囲に連続した枠体を形成する位置)から外側へ後退移動可能としたのは次のような理由である。すなわち、コア部16のキャビティ主面形成部27とキャビティ側面形成部を形成する枠体部29から形成される可動金型側のキャビティ形成部は凹状となっており、射出圧縮成形完了後に成形品である導光板Pを可動金型12から離型させることが困難であるからである。
何故ならランナ部P1に連設される導光板に対して、突出ピン20を用いてランナ部P1を突き出すと、導光板Pのランナ部近傍部P11は突出ピン20の突出力の影響で離型され易いが、導光板Pのランナ部遠方部P12は離型されにくい。その結果、ランナ部遠方部P12は、離型が遅れ、成形された導光板を離型する際に無理なストレスがかかったり、ランナ部遠方部の側面である入光面P3がランナ部遠方の入光面形成部42等に引っかかりながら離型されるので成形される導光板と入光面形成部42の双方に傷が付きやすいという問題があった。特にサイドライト型導光板の場合、照度分布に大きな影響のある入光面P3に傷が付くことにも繋がっていた。
更に本実施形態において入光面形成部42を有するブロック43のみを第1枠体部30から着脱自在としたのは次のような理由である。一般に導光板Pのグルーブや粗面はスタンパを金型に取付けることにより転写成形されることが多いが、入光面P3は面積が狭くスタンパが取付けられるようなスペースはない。そして入光面P3は上記離型時や経年使用により摩耗しやすいが、その際に枠体部全体ではなく一部のブロック43のみを交換することによってコストダウンに繋がることができる。また導光板Pの場合、入光面P3により輝度分布が異なるが、種々の入光面P3を有するブロックを交換してテストし、輝度分布等が最も優れたものを採用することができることからコストダウンに繋げることができる。
なお本実施形態の可動金型12のキャビティ側面形成部を構成する部分において、エアシリンダにより移動可能な部分は、突出ピン20とはキャビティ主面形成部27を挟んで反対側のランナ部遠方の第1枠体部30のみであるが、複数の枠体部が駆動手段、またはアンギュラピンとバネの組合せにより外側へ移動され、導光板の側面が開放されるものでもよい。また第1枠体部30等の設けられるブロック43についても導光板の入光面の形状に応じて、形状および個数が決定され、複数のブロックを設けることも考えられる。そして移動可能な第1枠体部および着脱可能なブロックが設けられる位置も上部に限らず側部等でもよい。また枠体部の移動方向は、キャビティ形成位置から外側へ後退移動可能なものであればよく、型開閉方向と直交する方向のみならず、斜め外側等に後退移動するものであってもよい。またランナ部遠方のキャビティ側面形成部のみが後方の可動盤側に向けて移動し、導光板の側面が開放されるものでもよい。その場合、導光板の側面の過半の部分が開放され、取出しに支障がない状態であればよい。
次に固定金型13について説明すると、図1、図2、および図4に示されるように、固定金型13は、金型本体部51、冷却媒体流路形成ブロック52、第1当接ブロック53、キャビティ形成ブロック54、第2当接ブロック55、スプルブッシュ56等から形成されている。金型本体部51の固定盤側には、断熱板57が取付けられるとともに、中央部には、図示しない射出装置のノズルが挿入される穴58が形成され、その周囲にはロケートリング59が取付けられている。金型本体部51の可動金型側には冷却媒体流路形成ブロック52と、スプルブッシュ56のインサートブロックである第2当接ブロック55が取付けられている。更に金型本体部51には可動金型12のガイドバー41が挿入されるガイド穴60が設けられている。
冷却媒体流路形成ブロック52は、内部に複数の冷却媒体流路61がキャビティ14と平行に形成されている。また冷却媒体流路形成ブロック52の可動金型側には、可動金型12の第1枠体部30等と対向する対向面53aを有する第1当接ブロック53が固定されている。また同じく冷却媒体流路形成ブロック52の可動金型側であって前記第1当接ブロック53の内側には、キャビティ形成ブロック54がボルトにより着脱自在に固定されている。キャビティ形成ブロック54の可動金型12と対向する面は、導光板Pの反射面(背面)P8を形成するキャビティ形成部62となっており、本実施形態では、キャビティ形成部62に直接微細な凹凸の加工がされている。具体的にはショットブラストにより固定金型13のブロック43に近い側(上側)ほど凹凸が多くなるよう加工がされており、反射面P8において入光面P3に近い側ほど微細な凹凸が高密度に形成されるようになっている。しかしキャビティ形成部62については、グルーブを形成するようにしてもよく、鏡面が形成されたものであってもよい。キャビティ形成部62を着脱自在なブロックとした理由は、入光面形成部42のブロック43と同様であって、キャビティ形成ブロック54のみを交換することによりキャビティ形成部62の摩耗や各種導光板Pの反射面の形状のテストに対応するためである。なお固定金型13のキャビティ形成部62、可動金型12のキャビティ主面形成部27の少なくとも一方にスタンパを取付けるようにしてもよい。またキャビティ主面形成部27,62のいずれにより出光面を形成し、反射面を形成するようにしてもよい。
また第2当接ブロック55の対向面55aは、第1当接ブロック53の対向面53aとともに、可動金型12の第1枠体部30、第2枠体部31、第3枠体部32、および第4枠体部33と対向している。そして第2当接ブロック55の内部には円筒形状のスプルブッシュ56が配設されている。スプルブッシュ56は、固定盤側については前記金型本体部51の穴58に臨み、可動金型側については突出ピン20と対向している。また前記スプルブッシュ56とその外周側の第2当接ブロック55との間には、スプルブッシュ56の周囲を取り巻くように、スプル部P2を冷却する冷却媒体流路63が形成され、その両側はOリングによりシールされている。またスプルブッシュ56の内周面は、ショットブラストにより粗面加工されており、スプル部P2の離型が容易なようになっている。
またキャビティ形成ブロック54には、射出前にキャビティ14内のエアを吸引するとともに、圧抜時を含む離型時に圧搾エアを及ぼすエア通路64が形成されている。そしてエア通路64は図示しない各バルブを介して真空吸引装置と圧搾エア供給装置に接続されている。エア通路64は、キャビティ形成ブロック54と第1当接ブロック53との間に形成されたエア通路64a、キャビティ形成ブロック54と第2当接ブロック55との間に形成されたエア通路64bに接続されている。そして前記エア通路64a,64bを介してキャビティ形成ブロック54と第1当接ブロック53および第2当接ブロック55との間隙からキャビティ14に圧搾エアを噴出し、また射出前にキャビティ14内のエアを吸引する。なおキャビティ形成ブロック54の外縁を導光板Pの外形よりも小さくすることにより、転写面であるキャビティ形成部62により多くの圧搾エアを噴出することができる。
次に本実施形態の射出圧縮成形金型11による射出圧縮成形方法について説明する。なお前記したように本発明は一般的な射出成形方法によっても実現可能ではあるが、その一分野である射出圧縮成形方法を最適の実施形態としている。そして本実施形態では対角寸法2インチ、板厚0.6mmの導光板を4秒の成形サイクル時間で成形している。その内訳は、型開閉時間(取出時間、中間時間含む)1.35秒、射出時間0.05秒、保圧時間0.4秒、冷却時間2.2秒(実質的に冷却は射出開始から始まっている)である。このため本実施形態では、可動金型12のコア部16の冷却媒体流路28、突出ピン20およびランナ部形成部39近傍の冷却媒体流路46、固定金型13の冷却媒体流路形成ブロック52の冷却媒体流路61、スプルブッシュ56近傍の冷却媒体流路63へ、温調器によりそれぞれ100℃に温度制御された冷却媒体(冷却水)を流している。なおこの冷却水の温度については、それぞれ80ないし110℃が望ましく、成形される樹脂であるポリカーボネートのガラス転移温度Tgより40ないし70℃低いことが望ましい。従来の一般的な導光板成形金型ではランナ部P1近傍やスプル部P2近傍の冷却は行っていなかった。しかし本実施形態においては、ランナ部P1やスプル部P2についても、キャビティ主面形成部27,62と略同温度で冷却している。なお本発明では、キャビティ主面形成部27,62に対して、ランナ部P1をマイナス20℃ないしプラス20℃の温度差とすることにより射出時の溶融樹脂の流動性の確保と、導光板Pのランナ部近傍部P11とランナ部遠方部P12の板厚の差をなくし、成形サイクル時間の短縮を目指している。また可動金型12の冷却媒体流路28および固定金型13の冷却媒体流路61の温度を変えることにより導光板Pの反りや複屈折率等を調節することもできる。
また射出装置の前部ゾーン(最もノズルに近いゾーン)は310℃に温度設定され、ポリカーボネートの溶融樹脂が計量されている。なおポリカーボネートを用いた場合の前記射出装置の前部ゾーンの温度設定は、300ないし350℃に温度設定されることが望ましい。そして図示しない型締装置が作動され、固定盤に取付けられた固定金型13に対して可動盤に取付けられた図1に示される状態の可動金型12を当接させ、そして型締を行う。この際に固定金型13の第1当接ブロック53と第2当接ブロック55によって形成される枠状の部分と、可動金型12の第1枠体部30、第2枠体部31、第3枠体部32、および第4枠体部33からなる枠体部29が当接され、その内部にランナ部形成部39を含むキャビティ14が形成される。そしてキャビティ14が形成されるとエア通路44,45,64が真空吸引装置に接続されるようバルブを開き、キャビティ14内のエアを吸引する。その際にスプルブッシュ56に対して射出装置のノズルが当接されていることは言うまでもない。キャビティ14内のエアを吸引することは、射出時の溶融樹脂の流動を良好にする目的がある。
型当接がなされ射出開始前の型締力については、可動金型12の金型本体部15と可動枠部17のバックプレート24とが、バネ23の弾発力に打ち勝って当接される型締力であり、本実施形態では50ないし100kNである。そして図2に示されるように金型本体部15に対してバックプレート24が当接されることにより、コア部16に対して枠体部29が最後退した位置となる。次に図示しない射出装置のノズルからスプルブッシュ56を介して100ないし200mm/secの射出速度により溶融樹脂を射出する。可動盤および可動金型12の金型本体部15およびコア部16は、射出時の圧力により、再び図1に示されるような位置に後退される。そのことにより可動金型12の可動枠部17は、コア部16よりも相対的に前進し、固定金型13のキャビティ形成部62と可動金型12のキャビティ主面形成部27との間隔が広くなったキャビティ14に溶融樹脂を射出することができる。この際キャビティ14の板厚は、図2に示される型締力が及ぼされた位置と比較して最大50ないし200μmほど広がる。
そして射出装置によりスクリュ位置が所定の保圧切換位置に到達すると、射出制御から保圧制御に切換えられる。そして保圧切換に前後してまたは保圧切換と同時に、型締力を20ないし50kNに減圧する。そして可動金型12のキャビティ主面形成部27を固定金型側に移動させて、キャビティ14内の溶融樹脂(キャビティ主面形成部27,62側から固化が進行)を圧縮する。前記型開方向の移動量と圧縮方向の移動量との比率は、型開方向への移動量の1/3ないし同量の移動量分を圧縮する。そして圧縮完了後におけるコア部16のキャビティ主面形成部27に対するブロック43の入光面形成部42の位置関係は、グルーブが形成された入光面形成部42のみがキャビティ14に露出している状態である。そして本実施形態では、可動金型12の移動によって溶融樹脂に圧縮が加えられることにより、通常の射出成形よりも更に、グルーブやドットの転写を良好なものとすることができる。しかしその反面、ブロック43の入光面形成部42のグルーブと導光板Pの入光面P3のグルーブP3aとの噛み合せがよくなって離型が難しくなるという問題がある。また本実施形態で使用されるポリカーボネートなどの非結晶樹脂は、成形時の収縮率が小さいので、成形性に優れるが離型が難しいという問題がある。
そこで本実施形態では、型開開始前(圧抜前)から、図示しない圧搾エア供給源からエア通路44,45,64に接続されるバルブを開き、前記エア通路44,45,64およびエア通路30b,31b,32b,33b,64a,64b等へ圧搾エアを供給する。しかし最初の段階ではまだ可動金型12の圧抜がなされていないので、圧搾エアはエア通路44,45,64およびエア通路30b,31b,32b,33b,64a,64b等に充満され、キャビティ14には大量には噴出されない。この圧搾エアは常温のエアが用いられるが離型前から圧抜時、離型時にかけて圧搾エアを噴出することにより、導光板の冷却促進にも寄与する。またこれらエア通路44,45,64へのエア供給のタイミング、エアの供給量を調節することにより、導光板Pの反りを調節することもできる。
そして所定の型締時間が経過すると、型締装置により圧抜がなされる。すると圧抜によりバネ23が弾発力により伸長し、枠体部29がコア部16に対して僅かに前進する。また圧抜により、固定金型13の側では、エア通路64、エア通路64a,64bに充満していた圧搾エアがキャビティ形成ブロック54と第1当接ブロック53および第2当接ブロック55との間隙からキャビティ形成部62と反射面P8の間隙等に及ぼされて、固定金型13に対する導光板Pの微細な凹凸が形成された反射面P8の離型を助ける。また同時にエア通路44およびエア通路30b,31b,32b,33bに充満していた圧搾エアも、前記対向面30a,31a,32a,33a,43aと対向面53aおよび55aとの間隙(パーティング面)から、キャビティ形成部62と反射面P8の間隙等に及ぼされ、同様に反射面P8の離型を助ける。また可動金型12の側では、エア通路45およびエア通路30d,31d,32d,33dに充満していた圧搾エアがコア部16と各枠体部30,31,32,33の間隙からキャビティ主面形成部27と導光板Pの出光面P10との間隙、入光面形成部42と入光面P3の間隙、キャビティ側面形成部30c,31c,32c,33c,33eと側面P9の間隙に及ぼされて、可動金型12に対する導光板Pの離型を助ける。なお導光板Pの離型の際、ランナ部遠方側ほど離型用の圧搾エアを強く吹出すか、或いは遠方側のみに吹出すようにしてもよい。
その後型締装置により可動盤および可動金型12が型開方向へ移動される。この際キャビティ14内で成形された導光板Pは、前記したスプルブッシュ56内面の粗面加工や突出ピン20の先端加工等により、スプルブッシュ56からスプル部P2が引き抜きやすくなり、スプルブッシュ56内でスプル部P2が切れることのないような金型設計がなされている。従ってスプル部P2のランナ部P1近傍の冷却媒体流路46やスプル部P2近傍の冷却媒体流路63へ流す冷却媒体の温度を比較的高温にしても問題がない。また可動金型12の側では、前記エア通路44,45に充満していた圧搾エアが、金型が開放されることにより、更にキャビティ側面形成部30c,31c,32c,33c,33eと側面P9の間隙等を通じて外部に噴出され、導光板Pの離型を助ける。型開と同時またはやや遅れて、前記移動機構のエアシリンダ35のロッド側室にエアが供給され、ブロック43を含む第1枠体部30が外側(図1ないし図3においては上方)に向けて移動され、導光板Pの入光面P3を含む部分から遠ざかるようにする。この際の移動量は最低1mm以上、望ましくは2mm以上移動させる。またこの際入光面P3をキャビティ主面形成部27に対して下方以外に設け、第1枠体部に相当する部分を側方または上方に移動させた方が、導光板の不意の落下を防止する上で望ましい。なお上記の圧抜後であって型開前に、ブロック43を含む第1枠体部30が外側へ移動させてもよい。
次に図示しない取出機の把持部がスプル部P2を把持するとともに、エジェクタ用エアシリンダ21が作動して突出ピン20が突出しされ、スプル部P2の背面側を突き出してランナ部P1およびスプル部P2が接続された導光板Pが可動金型12から完全に離型されて取出され、別の載置位置へ移動される。従って本発明では、圧搾エアや冷却収縮により入光面形成部42と入光面P3が既に離型されている場合、そうでない場合ともに、ランナ部遠方のキャビティ側面形成部である第1枠体部30を外側に移動させることにより、導光板Pの入光面P3を入光面形成部42等のキャビティ側面形成部に接触させることなく取出機により導光板Pを取出すことができ、入光面P3および入光面形成部42が損傷することはない。
そして可動金型12から前記導光板Pが取出されると再度、前記移動機構のエアシリンダ35が作動され、第1枠体部30およびブロック43を前進させて、第2枠体部31,第3枠体部32と当接させキャビティ形成位置に戻すことにより第1枠体部30等により再び連続した枠体部29を形成する。そして再び型締装置により可動盤および可動金型12を前進させ、次の成形が行われるが、本実施形態の成形サイクル時間は4秒と従来の導光板の成形サイクル時間が10数秒かかっていたことと比較して画期的な短時間となった。
本実施形態では上記のように対角寸法2.5インチ、板厚0.4mmの導光板Pを4秒の成形サイクル時間で成形するが、本発明では対角寸法1インチないし6インチ、板厚が均厚で0.25ないし1.0mmの1枚の導光板を2.5秒ないし6秒の成形サイクル時間で成形することが可能である。成形サイクル時間が2.5秒の際の内訳は、型開閉時間(取出時間、中間時間含む)0.85秒、射出時間0.05秒、保圧時間0.4秒、冷却時間1.2秒である。なお小型導光板Pのサイズはこの範囲であれば、さほど成形サイクル時間に影響を与えないが、これ以上成形サイクル時間を短縮しようとすると、冷却時間が不足し、スプルの固化不足からスプルが抜けない不良等が発生する。また成形サイクル時間の延長は可能だが経済性に問題があるので、複雑な転写面を有するものや楔型などでも6秒程度で成形が可能でありそれが上限となる。
成形された導光板Pは、ランナ部P1のうちゲート部の部分で分離され仕上げ処理がなされて、サイドライト型導光板として表示装置に組込まれる。ただしサイドライト型導光板は、別途にプリズムシート等を貼着するものを除外するものではない。そして本実施形態で成形された導光板Pは、ランナ部近傍部P11とランナ部遠方部P12の板厚P6との差が10μm以内の良品となった。また前記導光板Pを光源であるLED等と組合せテストしたところは、その均斉度、および出光面を9等分してその各部の平均輝度ともに、目標をクリアし良好な結果を示した。
次に第2の実施形態について、図6により説明をする。なお導光板の符号についてはスプル、ランナ、導光板の形状に若干の相違はあるが、図5の符号を援用する。図6に示される第2の実施形態は、2面のキャビティが水平方向に設けられた金型の例であるが、発明の考え方については上記の図1ないし図4に示される実施形態とほぼ同様である。概略を説明すると固定盤70に取付けられる固定金型71はスプルブッシュ72、ゲート部形成部を含むランナ部形成部73,73、キャビティ形成部74,74、当接面75,75を有する。
一方可動盤76に取付けられる可動金型77には、キャビティ形成部74,74に対向するキャビティ主面形成部78,78を有するコア部79,79が備えられている。またコア部79,79の周囲には枠体部がコア部79,79に対してバネ80により型開閉方向に進退可能に設けられている。この実施形態では枠体部は、キャビティの外側に配設され油圧シリンダ81,81により型開閉方向と直交する方向にそれぞれ移動し、導光板Pの入光面P3を形成する第1枠体部82,82と、キャビティの中央側および上下側を取囲むよう設けられランナ部形成部83,83を有する第2枠体部84(図7の断面では中央部分しか現れていない)とからなっている。そして枠体部は、射出時は第1枠体部82,82と第2枠体部84が当接された状態で固定金型71の当接面75と当接してキャビティを形成する。また枠体部は、第1枠体部82,82のみが油圧シリンダ81,81により第2枠体部84と別個に外側へ移動されるようになっている。なお第1枠体部82によって入光面だけでなくキャビティの側方の一部も含むように構成してもよい。また第2枠体部84のランナ部形成部83には固定金型71のスプルブッシュ72の中心と対向して突出ピン86が進退自在に配設されている。
そして前記のようにキャビティ内に溶融樹脂を射出後、射出圧縮成形を行い、樹脂が冷却固化すると型開を行う。この際に第1枠体部82,82とコア部79の間から離型用のエアを噴出させる。そして圧抜後であって型開前または型開後のいずれかに油圧シリンダ81,81を作動させ、第1枠体部82,82を金型中心から外側に向けて移動させ、キャビティ側面形成部である第1枠体部82,82の入光面形成部85,85と、各導光板Pの側面のうち入光面P3との間隙形成を行う。その際第2枠体部84のランナ部近傍のキャビティ側面形成部84aは、圧抜によるバネ80の戻り分だけ、キャビティ側面形成部84aが型開閉方向に移動され、キャビティ主面形成部78に対して位置保持された状態で移動停止しているので、導光板Pのランナ部近傍の側面P13とは、当接した状態のままである。そして次に突出ピン86を突出させる。この際前記のように、導光板Pのランナ部遠方の側面である入光面P3は開放されている上に、キャビティ主面形成部78と出光面P10との間にはエアが及んでいるから離型が容易にできる。従って入光面P3または金型の入光面形成部85の双方に傷がつくことがなく、導光板P自体が変形したり内部応力が及ぶこともない。
次に第3の実施形態について図7により説明する。図7については所謂インロー金型と呼ばれるものである。概略を説明すると固定盤90に取付けられる固定金型91は凸状に形成され、スプルブッシュ92、ゲート部形成部を含むランナ部形成部93、キャビティ形成部94、嵌合面95等を有する。一方可動金型96は、前記凸状の固定金型91が嵌入れされるよう凹部が形成されている。そして前記凹部の底面には、スプルブッシュ92およびランナ部形成部93と対向するランナ部形成部97、ランナ部形成部97にスプルブッシュ92の中心と対向して配設され進退自在に設けられた突出ピン98が形成されている。また前記ランナ部形成部97に連設して固定金型91のキャビティ形成部94に対向するキャビティ主面形成部99が形成されている。そして前記凹部において固定金型91の嵌合面95と嵌合時に一部が対向する部分はキャビティ側面形成部100となっている。そして前記側面形成部100のうち、ランナ部遠方側には入光面形成部101を内側に備えたキャビティ側面形成部102が配設され、油圧シリンダ103によって該側面形成部102が型開閉方向と直交する方向へ移動されるようになっている。またキャビティ主面形成部99の下方側のランナ近傍のキャビティ側面形成部100は、前記キャビティ主面形成部99と一体に固着、位置保持された状態で、型閉時に嵌合面95と一部対向するよう形成されている。
そして第3の実施形態についても、前記のようにキャビティ内に溶融樹脂を射出後、射出圧縮成形を行い、樹脂が冷却固化すると型開を行う。この際に図示しないエア噴出溝から離型用のエアを噴出させてもよい。そして圧抜後であって型開前または型開後のいずれかに油圧シリンダ103を作動させ、キャビティ側面形成部102をキャビティから外側方向に向けて移動させ、入光面形成部101と、導光板Pの入光面P3との間隙形成を行う。そして次に突出ピン98を突出させる。この際導光板Pを成形するキャビティ主面形成部99を挟んで突出ピン98と反対側のゲート部遠方の側は、入光面形成部101と導光板Pの入光面P3が離間し開放されているから、離型が容易にでき、入光面P3または金型の入光面形成部101の双方に傷がつくことがなく、導光板P自体が変形したり内部応力が及ぶこともない。
本発明については、一々列挙はしないが、上記した本実施形態のものに限定されず、当業者が本発明の趣旨を踏まえて変更を加えたものについても、適用されることは言うまでもないことである。本実施形態では対角寸法2.5インチの携帯電話用の導光板の射出圧縮成形金型について説明したが、導光板のサイズは限定されない。昨今では携帯電話用の表示画面がテレビ受信等のため大型化しており、また他の電子辞書やカーナビゲーション等に用いる表示装置用の導光板でもよい。更に小型導光板としては、板厚が均厚な導光板でも、板厚が入光面側から他側に向けて薄くなる楔型導光板であってもよい。更にまた、本発明の導光板は、サイドライト型導光板に限らず、直下ライト型導光板であってもよい。
また上記の実施形態では、同時に1枚または2枚の導光板を成形する射出圧縮成形金型について説明したが、同時に例えば4枚といった複数枚の導光板を成形するものでもよい。そして同時に4枚を成形する場合は、上下、左右といった2方向に入光面形成部を移動させる機構を設ける必要がある。また本実施形態では水平方向に型開閉が行われる射出成形機に取付けられる射出圧縮成形金型について説明したが、垂直方向に型開閉が行われるものでもよい。
更に本実施形態は、本実施形態の導光板Pは、板厚が0.4mmであるので射出圧縮成形方法が用いられるが、板厚が0.2ないし0.5mmの場合は射出プレス方法を行うことも考えられる。射出プレスは、型閉位置において既にキャビティの間隔が広げられているので、板厚が極めて薄いものでも比較的低速・低圧で射出することができ、射出後に可動金型をそのまま前進させ圧縮を行う。またその際の型締速度は高速であることが望ましい。
更に成形に使用される樹脂については、ポリカーボネートの例について記載したが、光学性能に優れる樹脂なら他の樹脂でもよく、例としては、メタクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂などが上げられる。そして樹脂により溶融樹脂の温度およびガラス転移温度が相違するから、冷却媒体の温度や成形サイクル時間も相違することは言うまでもない。
11 射出圧縮成形金型
12 可動金型
13 固定金型
14 キャビティ
15,51 金型本体部
16 コア部
17 可動枠部
27 キャビティ主面形成部
30c,31c,32c,33c キャビティ側面形成部
28,46,61,63 冷却媒体流路
30 第1枠体部
31 第2枠体部
32 第3枠体部
33 第4枠体部
30a,31a,32a,33a,43a,53a,55a 対向面
42 入光面形成部
43 ブロック
30b,30d,31b,31d,32b,32d,33b,33d,44,45,64,64a,64b エア通路
53 第1当接ブロック
54 キャビティ形成ブロック
55 第2当接ブロック
56 スプルブッシュ
62 キャビティ形成部
P 導光板
P3 入光面
P3a グルーブ
P8 反射面
P10 出光面
12 可動金型
13 固定金型
14 キャビティ
15,51 金型本体部
16 コア部
17 可動枠部
27 キャビティ主面形成部
30c,31c,32c,33c キャビティ側面形成部
28,46,61,63 冷却媒体流路
30 第1枠体部
31 第2枠体部
32 第3枠体部
33 第4枠体部
30a,31a,32a,33a,43a,53a,55a 対向面
42 入光面形成部
43 ブロック
30b,30d,31b,31d,32b,32d,33b,33d,44,45,64,64a,64b エア通路
53 第1当接ブロック
54 キャビティ形成ブロック
55 第2当接ブロック
56 スプルブッシュ
62 キャビティ形成部
P 導光板
P3 入光面
P3a グルーブ
P8 反射面
P10 出光面
Claims (5)
- 固定金型と可動金型からなり、ランナ部を連設した導光板を突出ピンにより突き出しする導光板の射出成形金型において、
可動金型に設けられたキャビティ主面形成部の周囲には、ランナ部近傍のキャビティ側面形成部がキャビティ主面形成部に対して位置保持された状態で、ランナ部遠方のキャビティ側面形成部が別個に移動可能に設けられていることを特徴とする導光板の射出成形金型。 - 前記キャビティ主面形成部に対して前記ランナ部近傍のキャビティ側面形成部は、下方に位置することを特徴とする請求項1に記載の導光板の射出成形金型。
- 前記キャビティ主面形成部とキャビティ側面形成部との間から離型エアを噴出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導光板の射出成形金型。
- 固定金型と可動金型の間に形成されたキャビティで少なくともランナ部を連設した導光板を成形し、該導光板を可動金型に保持した状態で型開し、突出ピンにより突き出して離型を行う導光板の射出成形方法において、
導光板のランナ部近傍の側面とキャビティ側面形成部とが間隔形成されておらず、
導光板のランナ部遠方の側面が開放された状態で、
突出ピンによりランナ部を連設した導光板の突き出しを行うことを特徴とする導光板の射出成形方法。 - 前記ランナ部にはスプル部が連設され、該スプル部のみを取出しロボットで把持し前記導光板の取出しを行うことを特徴とする請求項4に記載の導光板の射出成形方法。
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CN115847744A (zh) * | 2022-11-21 | 2023-03-28 | 浙江元派塑胶有限公司 | 一种便于开模的塑料板材生产用组装式模具 |
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2007
- 2007-03-13 JP JP2007062905A patent/JP2008221597A/ja active Pending
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