JP2008215817A - 蛋白質固定化磁性粒子およびその製造方法 - Google Patents

蛋白質固定化磁性粒子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低非特異吸着性を特徴とする蛋白質固定化磁性粒子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】2,3−ジヒドロキシプロピル基を有し、かつ、免疫グロブリンGのFc領域に特異的に結合する蛋白質が固定化されている磁性粒子。または2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基を有し、かつ、免疫グロブリンGのFc領域に特異的に結合する蛋白質が固定化されている磁性粒子であって、前記蛋白質がプロテインA,プロテインG,または少なくとも一方の誘導体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、低非特異吸着性を特徴とする蛋白質固定化磁性粒子およびその製造方法に関する。
プロテインAおよびプロテインGは、それぞれ黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureusおよび連鎖球菌Streptococciの細胞壁由来の蛋白質である。これらの蛋白質は免疫グロブリンGのFc領域に特異的に結合する。その性質を利用して、これらの蛋白質を難溶性の担体に固定化したものをIgGの分離・精製に用いることができる。また、難溶性担体に固定化されたプロテインA,プロテインGに抗体を捕捉させることにより、抗体の活性を保ったまま抗体を難溶性担体に固定化することができるので、プロテインA,プロテインGは、抗体をプローブとした診断や研究に用いることができる。
難溶性担体として磁性粒子を用いたものは、磁石に集まる性質を利用し特別な装置などを用いることなく簡便にIgGの分離・精製や標的蛋白質の免疫沈降などを行うことができるという利点がある。しかし、磁性粒子を用いた場合、アガロースゲルなどを担体として用いた場合に比べ、非特異的吸着が多く十分な精製度や感度が得られない。よって、標的蛋白質以外の物質が磁性粒子表面に非特異的に吸着するのを低減することにより、高純度な精製や高感度な検出を行うことができる磁性粒子が求められている。
従来、このような非特異吸着の抑制法として、ブロッキングと言われる方法が行われてきた。ブロッキングは、一次プローブを粒子上に固定化した後に、二次プローブや夾雑物などの吸着の少ないアルブミン、カゼイン、スキムミルクなどのブロッキング剤で粒子表面を被覆する。しかし、ブロッキング剤の被覆効果が十分得られない場合、生体物質であるブロッキング剤の品質安定性が低い場合、ブロッキングが十分に行われた場合でもブロッキング剤の変質などによってその作用が経時的に変化し非特異吸着が発生する場合があり、十分な非特異吸着の抑制効果は得られていなかった。
非特異吸着の問題を解決するための方法として、96ウェルプレートに代表される免疫測定用基材の表面に親水性ポリマーを導入する方法が提案されている(特許文献1〜3)。しかし、このような平面を利用した免疫測定用基材では、一次プローブを固相する面積が限られること、また、固液反応のため抗原抗体反応の効率が悪く検査時間が長くなることなどの欠点があった。
さらに非特異吸着の解決策として、スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体などからなる有機ポリマー粒子にスペーサを介して生理活性物質を結合したミクロスフィア(特許文献4,5,6)、粒子表面に親水性のスペーサを導入した有機ポリマー粒子(特許文献7,8)などが提案されている。しかしながら、これらはいずれも非特異吸着の低減効果が充分ではなく、また、免疫検査用としては感度が不十分であった。
本発明者らは、親水性モノマーとして、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン(C2−C4)基含有(メタ)アクリレート、エポキシ基含有(メタ)アクリレート、ホスホリルコリン類似基含有単量体などを粒子表面に共重合した非特異吸着の少ない免疫検査用磁性粒子を提案した(特許文献9)が、現在、さらに高い感度を有する磁性粒子が求められている。
特開平11−174057号公報 特開2000−304749号公報 特開2001−272406号公報 特開平10−195099号公報 特開2000−300283号公報 WO2004/025297 A1号公報 特開2004−331953号公報 WO2004/040305 A1号公報 特開2005−69926号公報
本発明の目的は、非特異吸着が少なく、IgGなどの免疫グロブリン類を高純度に精製でき、抗体をプローブとして固定化したときに標的物質を高感度で検出できる磁性粒子およびその製造方法を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ね、特定の官能基を有する磁性粒子に、免疫グロブリンG(以下、「IgG」と称する。)のFc領域に特異的に結合する蛋白質を固定化すると、蛋白質や核酸などの生体関連物質の非特異吸着が極めて少ないため、この蛋白質固定化磁性粒子を用いることにより、IgGなどの免疫グロブリン類を高純度に精製でき、かつ、抗体をプローブとして固定化させることにより、標的物質を高感度に検出できることを見出し、本発明を完成させた。本発明によれば、以下の態様の磁性粒子を提供することができる。
本発明の第1の態様の磁性粒子は、
2,3−ジヒドロキシプロピル基を有し、かつ、免疫グロブリンGのFc領域に特異的に結合する蛋白質が固定化されている。
本発明の第2の態様の磁性粒子は、
2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基を有し、かつ、免疫グロブリンGのFc領域に特異的に結合する蛋白質が固定化されている。
本発明において、「2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基」とは、2,3−ジヒドロキシプロピル基が有する2つの水酸基のいずれか一方または両方の水酸基をいう。
上記磁性粒子において、前記蛋白質がプロテインA,プロテインG,または少なくとも一方の誘導体であることができる。
本発明の第3の態様の磁性粒子の製造方法は、
2,3−ジヒドロキシプロピル基をトシル化して得られた活性基を有する磁性粒子に、免疫グロブリンGのFc領域に特異的に結合する蛋白質を固定化する工程を含み、
前記固定化する工程は、前記活性基と前記蛋白質とを反応させる工程を含む、上記磁性粒子の製造方法である。
本発明の第4の態様の磁性粒子の製造方法は、
2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基およびカルボキシル基を有する磁性粒子に、免疫グロブリンGのFc領域に特異的に結合する蛋白質を固定化する工程を含み、
前記固定化する工程は、前記カルボキシル基と前記蛋白質とを反応させる工程を含む、上記磁性粒子の製造方法である。
本発明の第5の態様の磁性粒子の製造方法は、
2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基およびエポキシ基を有する磁性粒子に、免疫グロブリンGのFc領域に特異的に結合する蛋白質を固定化する工程を含み、
前記固定化する工程は、前記エポキシ基と前記蛋白質とを反応させる工程を含む、上記磁性粒子の製造方法である。
本発明の第6の態様の磁性粒子の製造方法は、
2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基およびアミノ基を有する磁性粒子に、免疫グロブリンGのFc領域に特異的に結合する蛋白質を固定化する工程を含み、
前記固定化する工程は、前記アミノ基と前記蛋白質とを反応させる工程を含む、上記磁性粒子の製造方法である。
上記磁性粒子の製造方法において、前記蛋白質がプロテインA,プロテインG,または少なくとも一方の誘導体であることができる。
上記磁性粒子は、蛋白質や核酸などの生体関連物質の非特異吸着量が少ないため、IgGなどの免疫グロブリン類を高純度に精製することができる。また、抗体をプローブとして固定化した場合に標的物質を高感度で検出することができる。
1.蛋白質固定化磁性粒子およびその製造方法
1.1.蛋白質固定化磁性粒子の構成
本発明の一実施形態に係る磁性粒子(本明細書において「蛋白質固定化磁性粒子」ともいう。)は、2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基を有し、かつ、免疫グロブリンGのFc領域に特異的に結合する蛋白質(本明細書において「IgG Fc領域特異的結合蛋白質」ともいう。)が固定化されている。すなわち、本実施形態に係る蛋白質固定化磁性粒子では、2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基を有する磁性粒子(M)に、IgG Fc領域特異的結合蛋白質が固定化されている。好ましくは、本実施形態に係る蛋白質固定化磁性粒子は、2,3−ジヒドロキシプロピル基を有する。
IgG Fc領域特異的結合蛋白質は例えば、プロテインA,プロテインGまたはいずれか一方の誘導体であることができる。プロテインAおよびプロテインGは、天然型および組換型(リコンビナント)のいずれであってもよい。プロテインAおよびプロテインGの誘導体としては例えば、プロテインAおよびプロテインGの融合蛋白質が挙げられる。
本実施形態に係る蛋白質固定化磁性粒子は、全体がポリマー部から構成されていてもよいし、あるいは、コア・シェル構造を有していて、ポリマー部がシェルであってもよい。
磁性粒子(M)としては、少なくとも表面に2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基を有し、水に分散し、かつ、磁石よって分離することができる粒子であれば特に制限はない。
磁性粒子(M)の好ましい粒径は、0.01〜10μm、さらに好ましい粒径は0.1〜8μm、最も好ましい粒径は0.8〜5μmである。粒径は、レーザ回折・散乱法により求める。ここで、粒径が0.01μm未満の場合、磁気分離に長時間を要し、水などの洗浄溶媒と粒子との分離が不十分になるため、目的外の分子(例えば、蛋白質や核酸などの生体関連物質)の除去が不十分になり、充分な精製ができない場合がある。一方、粒径が10μmを超えると、比表面積が小さくなり、生体関連物質の捕捉量が少なくなる結果、感度が低くなる場合がある。
磁性粒子(M)の内部組成は均質であってもよく、あるいは不均質であってもよい。内部組成が均質である構造としては、最表面のみを2,3−ジヒドロキシプロピル基を有するシランカップリング剤などで処理した無機磁性体のバルク粒子が挙げられる。しかしながら、上記の好ましい粒径範囲にある均質な無機磁性体のバルク粒子は、常磁性である場合が多く、磁力による分離精製を繰り返すと媒質への再分散が困難になる場合がある。このため、磁性粒子(M)は、残留磁化が少ない、超常磁性の磁性体微粒子を含む不均質な粒子であるのがより好ましい。また、磁性粒子(M)は、低比重にすることにより水中での沈降を遅らせ、水への分散が容易になるため、有機物が含まれていることが好ましい。
磁性粒子(M)の内部組成は、一次粒径50nm以下の磁性体微粒子と、非磁性の有機物とからなることが好ましく、一次粒径30nm以下の磁性体微粒子と、非磁性の有機物とからなることがより好ましく、一次粒径20nm以下の磁性体微粒子と、非磁性の有機物とからなることが最も好ましい。磁性粒子(M)の内部組成に、一次粒径が50nmを超える磁性体微粒子が含まれると、磁気分離後の再分散性に劣る場合がある。
不均質な内部組成を有する磁性粒子(M)の内部構造としては、(I)有機ポリマーなどの非磁性の有機物からなる連続相中に磁性体微粒子が分散している粒子、(II)磁性体微粒子の2次凝集体をコアとし、有機ポリマーなどの非磁性の有機物をシェルとする粒子、(III)有機ポリマーなどの非磁性体からなる核粒子と、該核粒子の表面に設けられた超常磁性微粒子の2次凝集体層(磁性体層)と、さらに該磁性体層の外層に有機ポリマー層とを有する粒子などが挙げられる。これらの中では、(III)前記磁性体微粒子の2次凝集体層を含む核粒子(以下、「磁性体微粒子の2次凝集体層を含む核粒子」を「母粒子」と表す)の外層に、有機ポリマー層を有する粒子が好ましい。有機ポリマー層は2層以上のポリマー層から構成されていてもよい。なお、各種粒子に用いられる有機ポリマーは、コア・シェル型粒子のコア部分を除いて、粒子最表面を形成するポリマーが2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基を有することが必要である。また、核粒子とその外層(磁性体層)との界面、ならびに磁性体層とその外層(有機ポリマー層)との界面は、両層の成分が混在した状態であっても構わない。
前記(I)の粒子の好ましい製造方法としては、例えば、特開平9−208788号公報で開示された方法が挙げられる。また、前記(III)の粒子の好ましい製造方法としては、例えば、特開2004−205481号公報で開示された方法が挙げられる。
一次粒径50nm以下の磁性体微粒子の組成としては、特に制限はないが、酸化鉄系の物質が代表的であり、例えば、MFe(M=Co、Ni、Mg、Cu、Li0.5Fe0.5など)で表現されるフェライト、Feで表現されるマグネタイト、あるいはγFeが挙げられる。特に、飽和磁化が強く、かつ残留磁化が少ない磁気材料としてγFe、Feが好ましい。このような一次粒径50nm以下の磁性体微粒子は、磁性流体として工業的に入手することができる。
非磁性体の有機物としては、有機低分子化合物および有機ポリマーが挙げられる。
有機低分子化合物としては、2,3−ジヒドロキシプロピル基を有するシランカップリング剤、2,3−ジヒドロキシプロピル基を有するキレート化剤、2,3−ジヒドロキシプロピル基を有する界面活性剤などが挙げられる。
有機ポリマーとしては、2,3−ジヒドロキシプロピル基を有する付加重合ポリマー、2,3−ジヒドロキシプロピル基を有する縮重合ポリマーなどが挙げられる。
非磁性体の有機物としては、好ましくは2,3−ジヒドロキシプロピル基を有する有機ポリマー、さらに好ましくは2,3−ジヒドロキシプロピル基を有する付加重合ポリマー、最も好ましくは2,3−ジヒドロキシプロピル基を有するラジカル重合ポリマーである。
2,3−ジヒドロキシプロピル基を有するラジカル重合ポリマーの製造方法としては、例えば、2,3−ジヒドロキシプロピル基を有するモノマーを(共)重合する方法、加水分解により2,3−ジヒドロキシプロピル基を生成するモノマーを(共)重合し、加水分解する方法が挙げられる。2,3−ジヒドロキシプロピル基を有するモノマーとしては、具体的には、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリセロールエーテルなどが挙げられる。加水分解により2,3−ジヒドロキシプロピル基を生成するモノマーとしては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどの2,3−エポキシプロピル基を有するモノマー;1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イルメチル(メタ)アクリレート、1,3−ジオキソラン−2,2−ジメチル−4−イルメチル(メタ)アクリレートなどの2,3−ジヒドロキシプロピル基をアセタール化したモノマー;2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのジ(t−ブチル)シリル化物、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのジ(トリメチルシリル)化物などの2,3−ジヒドロキシプロピル基をシリル化したモノマーを例示できる。加水分解の条件は、モノマーの種類によるが、通常、粒子を水に分散した状態で、酸、塩基、またはフッ化物塩を触媒として、加温条件下で数時間〜数十時間攪拌して加水分解する。モノマー由来の官能基の加水分解は、貯蔵安定性などに支障のない限り、必ずしもポリマー中の全ての官能基が加水分解されている必要はない。モノマー由来の官能基の加水分解は、通常、モノマー部の重合後に実施するが、重合中にその一部が加水分解されてもよい。
また、2,3−ジヒドロキシプロピル基を有するラジカル重合ポリマーを製造する場合、架橋性モノマーを共重合することが好ましい。ここで、「架橋性モノマー」とは、他のモノマーと共重合可能であり、1分子中に2個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するモノマーである。架橋性モノマーとしては、具体的には、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレート、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジオレフィン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレートなどを例示することができる。さらに、架橋性モノマーとして、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリビニルアルコールのポリ(メタ)アクリルエステルなどの親水性のモノマーを例示することができる。
さらに、2,3−ジヒドロキシプロピル基を有するラジカル重合ポリマーを製造する場合、上記モノマーに加えて、その他のモノマーを共重合してもよい。その他のモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基を有するモノマー、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレートなどの親水性官能基を有する(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドなどの親水性モノマー、および、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレンなどの芳香族ビニル単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボニルアクリレート、イソボニルメタクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステルを例示することができる。カルボキシル基を導入する方法として、tert−ブチル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート、2−エチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフラニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート等、カルボキシル基をアルコールで保護したエステルモノマー;α−アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイロキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイロキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトンなどの環状エステルモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物などを共重合し、その後、加水分解してもよい。2,3−ジヒドロキシプロピル基を有するラジカル重合ポリマーを製造する場合、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレンなどの芳香族ビニル単量体は、共重合しないことが望ましい。これらの芳香族ビニル単量体を共重合するとノイズが悪化する場合がある。
本実施形態に係る蛋白質固定化磁性粒子は、通常、適当な分散媒に分散させて用いられる。使用できる分散媒としては、磁性粒子(M)を溶解したり、あるいは、磁性粒子(M)を膨潤させたりしない分散媒が好ましい。好ましい分散媒としては、例えば、水系媒体が挙げられる。ここで、水系媒体とは、水、または水と水に混和する有機溶剤(例えば、アルコール類、アルキレングリコール誘導体等)との混合物をいう。
本実施形態に係る蛋白質固定化磁性粒子の好ましい粒径は、0.03〜10μm、さらに好ましい粒径は0.1〜8μm、最も好ましい粒径は0.8〜5μmである。粒径は、レーザ回折・散乱法により求める。ここで、粒径が0.03μm未満の場合、磁気分離に長時間を要し、水などの洗浄溶媒と粒子との分離が不十分になるため、目的外の分子(例えば、蛋白質や核酸などの生体関連物質)の除去が不十分になり、充分な精製ができない場合がある。一方、粒径が10μmを超えると、比表面積が小さくなり、生体関連物質の捕捉量が少なくなる結果、感度が低くなる場合がある。
1.2.蛋白質固定化磁性粒子の製造方法
本実施形態に係る蛋白質固定化磁性粒子は、例えば、以下の第1〜第4の製造方法によって、IgG Fc領域特異的結合蛋白質を磁性粒子(M)に化学結合することにより得ることができる。
1.2.1.カルボキシル基と結合する方法
第1の製造方法は、2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基およびカルボキシル基を有する磁性粒子(M)に、IgG Fc領域特異的結合蛋白質を固定化する工程を含み、この固定化する工程は、前記カルボキシル基と前記蛋白質とを反応させる工程を含む。すなわち、第1の製造方法においては、2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基およびカルボキシル基の両方を有する磁性粒子(M)を用いることが必要である。
磁性粒子(M)がカルボキシル基を有する場合、水溶性カルボジイミドなどの脱水縮合剤の存在下で、IgG Fc領域特異的結合蛋白質中のアミノ基を前記カルボキシル基に反応させてアミド結合を形成することにより、IgG Fc領域特異的結合蛋白質を磁性粒子(M)の表面に固定化することができる。この方法においては、あらかじめ、磁性粒子(M)が有するカルボキシル基に脱水縮合剤を反応させ、その後、IgG Fc領域特異的結合蛋白質を加えて反応させることもできる。詳細は、特開2001−158800号公報などに記載された公知の方法を用いることができる。
1.2.2.トシル基を介する方法
第2の製造方法は、2,3−ジヒドロキシプロピル基をトシル化して得られた活性基を有する磁性粒子(M)に、IgG Fc領域特異的結合蛋白質を固定化する工程を含み、この固定化する工程は、前記活性基と前記蛋白質とを反応させる工程を含む。
トシル化は、公知の方法により行うことができる。例えば、磁性粒子(M)が有する2,3−ジヒドロキシプロピル基とp−トルエンスルホン酸塩とをピリジンなどの有機溶媒中で反応させることにより、2,3−ジヒドロキシプロピル基を2−ヒドロキシ−3−(4’−メチルフェニル)スルホニルオキシプロピル基、3−ヒドロキシ−2−(4’−メチルフェニル)スルホニルオキシプロピル基または2,3−ジ(4’−メチルフェニル)スルホニルオキシプロピル基に変換することにより、トシル化を達成することができる。
p−トルエンスルホン酸塩としては、特に限定されないが、p−トルエンスルホン酸クロライド等を挙げることができる。この工程は、典型的には、磁性粒子(M)をピリジンなどの有機溶剤に分散した後、磁性粒子(M)100重量部当たり1〜50重量部のp−トルエンスルホン酸クロライドを添加し、室温で1〜6時間反応させることにより行う。あるいは、磁性粒子(M)が有する2,3−ジヒドロキシプロピル基とp−トルエンスルホン酸とを脱水縮合させることにより、2,3−ジヒドロキシプロピル基を2−ヒドロキシ−3−(4’−メチルフェニル)スルホニルオキシプロピル基に変換させて、前記トシル化を行ってもよい。2,3−ジヒドロキシプロピル基をトシル化した活性基は、例えば、2,3−ジヒドロキシプロピル基中の水酸基の一方または両方がトシル化された基であり、より具体的には、2−ヒドロキシ−3−(4’−メチルフェニル)スルホニルオキシプロピル基、3−ヒドロキシ−2−(4’−メチルフェニル)スルホニルオキシプロピル基、2,3−ジ(4’−メチルフェニル)スルホニルオキシプロピル基が挙げられる。
なお、本実施形態に係る蛋白質固定化磁性粒子は、トシル化されていない残余の2,3−ジヒドロキシプロピル基を有していても良い。すなわち、本実施形態に係る蛋白質固定化磁性粒子が第2の製造方法によって得られる場合、「2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基」とは、1つの2,3−ジヒドロキシプロピル基が有する2つの水酸基のいずれもトシル化されていない場合の当該2つの水酸基、あるいは、前記2つの水酸基の一方のみがトシル化された場合の残余の水酸基のことをいう。
IgG Fc領域特異的結合蛋白質を結合した後、過剰のIgG Fc領域特異的結合蛋白質を洗浄し、未反応のトシル基を不活化した後の残余の2,3−ヒドロキシプロピル基により、特出した低非特異吸着性を発現することができる。このような効果は、例えば、モノヒドロキシプロピル基をトシル化したもの、例えば、3−(4’−メチルフェニル)スルホニルオキシプロピル基のみを有する粒子では発現し得ない。
1.2.3.エポキシ基と結合する方法
第3の製造方法は、2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基およびエポキシ基を有する磁性粒子(M)に、IgG Fc領域特異的結合蛋白質を固定化する工程を含み、この固定化する工程は、前記エポキシ基と前記蛋白質とを反応させる工程を含む。
磁性粒子(M)がエポキシ基を有する場合、水系溶媒および有機溶媒中で、IgG Fc領域特異的結合蛋白質中のアミノ基を前記エポキシ基に反応させてアミド結合を形成することにより、磁性粒子(M)の表面にIgG Fc領域特異的結合蛋白質を固定化することができる。この方法は、活性化剤などを特に必要せずに、IgG Fc領域特異的結合蛋白質を磁性粒子(M)に化学結合できる点で有用である。
1.2.4.アミノ基と結合する方法
第4の製造方法は、2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基およびアミノ基を有する磁性粒子(M)に、IgG Fc領域特異的結合蛋白質を固定化する工程を含み、この固定化する工程は、前記アミノ基と前記蛋白質とを反応させる工程を含む。
磁性粒子(M)がアミノ基を有する場合、水系溶媒および有機溶媒中で、IgG Fc領域特異的結合蛋白質中のカルボキシル基を前記アミノ基に反応させてアミド結合を形成することにより、磁性粒子(M)の表面に、IgG Fc領域特異的結合蛋白質を固定化することができる。
アミノ化は公知の方法で行うことができる。例えば、磁性粒子(M)が有するエポキシ基またはカルボキシル基とアミノ化剤を反応させることによりアミノ化を達成できる。
アミノ化剤としては、例えば、アンモニア、分子中に2個のアミノ基を有する有機化合物(ジアミン)、あるいは、分子中に3個以上のアミノ基を有する有機化合物(トリアミン)を挙げることができ、分子中に2個以上のアミノ基を有する有機化合物がより好ましい。
ここで、ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、o−フェニレンジアミンなどの1級ジアミンなどが挙げられる。また、分子中に3個以上のアミノ基を有する有機化合物としては、1,2,3−トリアミノプロパン、テトラ(アミノメチル)メタン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,3,4−テトラアミノベンゼンなどが挙げられる。
アミノ基を導入する反応は、乾燥粒子をそのままアミノ化剤に分散させて実施してもよいし、あるいは、粒子を水系溶媒に分散させた状態で実施しても良い。水系溶媒とは、水溶性有機溶媒と水との混合溶媒、あるいは、水である。ここで、水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン、ジメチルホルムアミドなどを例示できる。アミノ基を導入する反応の好ましい温度および時間は、溶媒の有無および溶媒の種類などによって異なるが、通常、4℃〜100℃、好ましくは、20℃〜80℃で、通常、10分〜48時間、好ましくは、1時間〜24時間である。
2.用途
本実施形態に係る蛋白質固定化磁性粒子はIgGなどの免疫グロブリン類を捕捉し、適当な条件で脱離させることができるので、免疫グロブリン類のアフィニティー精製における担体として利用できる。
また、本実施形態に係る蛋白質固定化磁性粒子によれば、活性を保持したまま免疫グロブリン類を固定化できるため、免疫グロブリン類をプローブとしたプローブ結合用粒子として好適に使用することができる。より具体的には、生化学分野での化合物担体用粒子および診断薬用の化学結合担体用粒子などのアフィニティー担体として利用でき、抗体などの一次プローブを結合させた免疫検査用およびプロテオーム用のプローブ結合用磁性粒子として、特出する高感度および低ノイズを発現することができる。
3.実施例
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。なお、各実施例および比較例において、評価は以下の方法で行った。
3.1.評価方法
3.1.1.粒子径
レーザ回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所製)SALD−200Vにより、粒子の数平均粒子径を測定し、これを粒子の粒子径とした。
3.1.2.非特異吸着および感度
プロテインG固定化磁性粒子について、非特異吸着および感度の評価を下記に示す方法にしたがって行った。
プローブが固定化されたプロテインG固定化磁性粒子の1重量%分散液100μLをチューブに取り磁気分離して上澄みを除去した。これに、目的物質である蛋白質(20Sプロテアソーム)を含むことが確認されているJurkat細胞破砕液20μlを注ぎ、さらにタッチミキサーで振動を与えて前記粒子を分散させた後、常温にて2時間回転倒混和させた。引き続きこのチューブを磁気分離した後、上澄みを除去し、0.05%非イオン性界面活性剤NP40を含む10mMのHEPES1mlを注いでタッチミキサーで前記粒子を分散させた。同様の処理をさらに2回繰り返した後、内容物を別の未使用のチューブに移し、磁気分離を行った後、上澄みを除去した。引き続きこのチューブに0.5%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液50μlを注いでタッチミキサーでごく軽く振動を与えて前記粒子を分散させた。10分間放置した後、磁気分離を行ない、上澄みの20μlを採取した。バイオラッド社製プレミックスサンプルバッファー中での濃度が2wt%になるように2−メルカプトエタノールを溶解させ、このうち20μlをチューブに採取した。これに上記剥離工程で採取した上澄み20μlを混ぜ、チューブヒーターにて95℃で5分間加熱した。バイオラッド社製縦型電気泳動システム「ミニプロティアン3」、バイオラッド社製プレキャストポリアクリルアミドゲル「レディーゲルJ(15%)」、およびバイオラッド社製プレミックス泳動バッファーを用いて、ゲル1レーンあたり20μlをアプライし、電気泳動を行った。染色はバイオラッド社製シルバーステインプラスキットを用いて標準的な手法で行った。染色されたゲルはバイオラッド社製デンシトメーター「GS−700」でスキャンして画像化した。染色されたゲルの画像において、20Sプロテアソームのサブユニットを構成する蛋白質に相当する分子量31k付近の数本のバンドが明瞭に確認された場合を感度「良好」、不明瞭であるが確認された場合を感度「やや良好」、それ以外を感度「不良」とした。また、染色されたゲルの画像で、分子量31k付近以外にバンドがほとんど確認されない場合を非特異吸着「良好」、それ以外を非特異吸着「不良」とした。
3.2.合成例1
75%ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド溶液(日本油脂製「パーロイル355−75(S)」2質量部を1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液20質量部に混合し、超音波分散機にて微細乳化した。これを粒径0.77μmのポリスチレン粒子13質量部および水41質量部の入ったリアクターに入れ、25℃で12時間攪拌した。別の容器にて、スチレン96質量部およびジビニルベンゼン4質量部を0.1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液400質量部で乳化させた液を前記リアクターに入れ、40℃で2時間攪拌した後、75℃に昇温して8時間重合した。室温まで冷却した後、遠心分離により粒子のみ取り出したものをさらに水洗し、乾燥および粉砕して核粒子を得た。核粒子の数平均粒径は1.5μmであった。
次に、油性磁性流体(商品名:「EXPシリーズ」,(株)フェローテック製)にアセトンを加えて粒子を析出沈殿させた後、これを乾燥することにより、疎水化処理された表面を有するフェライト系の磁性体微粒子(平均一次粒子径:0.01μm)を得た。
次いで、上記核粒子15gおよび上記磁性体微粒子15gをミキサーでよく混合し、この混合物をハイブリダイゼーションシステムNHS−0型(奈良機械製作所(株)製)を使用して、羽根(撹拌翼)の周速度100m/秒(16200rpm)で5分間処理し、平均数粒子径が2.0μmの磁性体微粒子からなる磁性体層を表面に有する母粒子を得た。
次に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.25重量%およびノニオン性乳化剤(商品名:「エマルゲン150」,花王(株)製)0.25重量%を含む水溶液(以下、「分散剤水溶液」という)375gを1Lセパラブルフラスコに投入し、次いで、前記磁性体層を有する母粒子15gを投入し、ホモジナイザーで分散した後、60℃に加熱した。分散剤水溶液150gに、メチルメタクリレート27g、トリメチロールプロパントリメタクリレート(以下、「TMP」という。)3g、およびジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(日本油脂社製;パーロイル355)0.6gを入れて分散させたプレエマルジョンを、60℃にコントロールした前記1Lセパラブルフラスコに1時間30分かけて滴下した。滴下終了後、60℃に保持し1時間攪拌した後、分散剤水溶液75gに、グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」という。)13.5g、TMP1.5g、およびジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(日本油脂社製;パーロイル355)0.3gを入れて分散させたプレエマルジョンを、60℃にコントロールした上記1Lセパラブルフラスコに1時間30分かけて滴下した。その後、75℃に昇温した後さらに2時間重合を続けて、反応を完了させた。続けて、この1Lセパラブルフラスコに1mol/L 硫酸60mlを入れ、60℃で6時間撹拌した。次いで、前記セパラブルフラスコ中の粒子を、磁気を用いて分離した後、蒸留水を用いて繰り返し洗浄した。以上により、2,3−ジヒドロキシプロピル基を有する磁性粒子を得た(以下、「A−1粒子」とする。)。
次に、A−1粒子を凍結乾燥して得られた乾燥粒子1.0gを9mlのピリジンに分散させた後、無水コハク酸1gを加えて室温で2時間撹拌した。反応後、磁気を用いて粒子を分離し、アセトンで4回、続いて蒸留水で4回洗浄して、2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基およびカルボキシル基を有する磁性粒子(以下、「B−1粒子」とする。)を得た。この磁性粒子(B−1粒子)の平均数粒子径は2.9μmであった。
3.3.合成例2
合成例1のA−1粒子を凍結乾燥して得られた乾燥粒子1.0gを8mlのピリジンに分散させた後、p−トシルクロライド0.2gを加えて室温で2時間撹拌した。反応後、磁気を用いて粒子を分離し、アセトンで4回、続いて蒸留水で4回洗浄して、2,3−ジヒドロキシプロピル基をトシル化して得られた活性基を有する磁性粒子(以下、「B−2粒子」とする。)を得た。この磁性粒子(B−2粒子)の平均数粒子径は2.9μmであった。
3.4.比較合成例1
合成例1で、GMA13.5gおよびTMP1.5gの代わりに、シクロヘキシルメタクリレート13.5gおよびメタクリル酸1.5gを用いた以外は合成例1と同様の手順を行うことにより、2,3−ジヒドロキシプロピル基は有さず、カルボキシル基を有する磁性粒子(以下、「B−3粒子」とする。)を得た。この磁性粒子(B−3粒子)の平均数粒子径は2.9μmであった。
3.5.実施例1
B−1粒子の1wt%水分散液500μlをチューブに取り、磁気スタンドにて磁気分離し、上澄みを除去した。100mM MES−NaOH バッファー(pH5.0)にて3回洗浄後、500μlの100mM MES−NaOH バッファー(pH5.0)に分散し、EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)0.25mgを添加し、さらにrプロテインG(BioVision社製)0.15mgを加え撹拌した後、室温下2時間撹拌を行った。反応終了後、磁気分離して上澄みを除去した。次いで、tris−HClバッファー(pH7.4)500μlを加え、室温で2時間撹拌を行った。さらに、PBS(−)緩衝液にて5回洗浄した後、PBS(−)緩衝液500μlで前記粒子を分散させて、粒子の表面にrプロテインGを固定化した磁性粒子(プロテインG固定化磁性粒子)を調製した。次に、磁気スタンドにて磁気分離し、上澄みを除去しCitrate−Phosphateバッファー(pH8.0)にて2回洗浄後、200μlのCitrate−Phosphateバッファー(pH8.0)に分散し、これに標的物質(標的蛋白質)である20Sプロテアソームを特異的に捕捉するためのプローブとなる蛋白質(抗20Sプロテアソームα6・マウスIgG抗体)0.10mgを添加し、室温下40分撹拌を行った。反応終了後、磁気分離して上澄みを除去した。ついで、100μlの0.2Mトリエタノールアミンに分散し、ジメチルピメルイミデート二塩酸塩(dimethyl pimelimidate dihydrochloride(DMP))0.54mgを添加し、室温下30分間攪拌を行った。反応終了後、磁気分離して上澄みを除去した。次に、tris−HClバッファー(pH7.4)500μlを加え、室温で15分間撹拌を行った。さらに、PBS(−)緩衝液にて5回洗浄した後、PBS(−)緩衝液500μlで前記粒子を分散させることにより、プローブ(抗体)結合磁性粒子の分散液を得た。
電気泳動の染色ゲルの画像を図1に示す。図1に示すように、本実施例で得られたプローブ結合磁性粒子においては、感度「良好」でかつ非特異吸着「良好」であった。
3.6.実施例2
B−1粒子10mgをpH9.5のホウ酸バッファーに分散し、これにrプロテインG(BioVision社製)0.3mgを溶解させた溶液0.1mLを添加し、37℃で16時間回転攪拌した後、トリスバッファーで3回洗浄して、粒子の表面にrプロテインGが固定化された磁性粒子(プロテインG固定化磁性粒子)を調製した。次に、磁気スタンドにて磁気分離し、上澄みを除去し、Citrate−Phosphateバッファー(pH8.0)にて2回洗浄後、200μlのCitrate−Phosphateバッファー(pH8.0)に分散し、これに標的物質(標的蛋白質)である20Sプロテアソームを特異的に捕捉するためのプローブとなる蛋白質(抗20Sプロテアソームα6・マウスIgG抗体)0.10mgを添加し、室温下40分撹拌を行った。反応終了後、磁気分離して上澄みを除去した。ついで、100μlの0.2Mトリエタノールアミンに分散し、ジメチルピメルイミデート二塩酸塩(dimethyl pimelimidate dihydrochloride(DMP))0.54mgを添加し、室温下30分間攪拌を行った。反応終了後、磁気分離して上澄みを除去した。次に、tris−HClバッファー(pH7.4)500μlを加え、室温で15分間撹拌を行った。さらに、PBS(−)緩衝液にて5回洗浄した後、PBS(−)緩衝液500μlで前記粒子を分散させることにより、プローブ(抗体)結合磁性粒子の分散液を得た。
電気泳動の染色ゲルの画像を図1に示す。図1に示すように、本実施例で得られたプローブ結合磁性粒子においては、感度「やや良好」でかつ非特異吸着「良好」であった。
3.7.比較例1
B−3粒子を用いた以外は、実施例1と同様の手順を行うことにより、2,3−ヒドロキシプロピル基を有さない比較例1のプローブ(抗体)結合磁性粒子の分散液を得た。
3.8.非特異吸着および感度の評価結果
電気泳動の染色ゲルの画像を図1に示す。図1に示すように、本比較例で得られたプローブ結合磁性粒子においては、非特異吸着が「不良」であり、感度は非特異吸着が多いため判別できなかった。
実施例1,2および比較例1でそれぞれ得られたプローブ結合粒子の非特異吸着および感度を示す電気泳動パターンである。

Claims (8)

  1. 2,3−ジヒドロキシプロピル基を有し、かつ、免疫グロブリンGのFc領域に特異的に結合する蛋白質が固定化されている磁性粒子。
  2. 2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基を有し、かつ、免疫グロブリンGのFc領域に特異的に結合する蛋白質が固定化されている磁性粒子。
  3. 前記蛋白質がプロテインA,プロテインG,または少なくとも一方の誘導体である、請求項1または2に記載の磁性粒子。
  4. 2,3−ジヒドロキシプロピル基をトシル化して得られた活性基を有する磁性粒子に、免疫グロブリンGのFc領域に特異的に結合する蛋白質を固定化する工程を含み、
    前記固定化する工程は、前記活性基と前記蛋白質とを反応させる工程を含む、請求項1または2に記載の磁性粒子の製造方法。
  5. 2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基およびカルボキシル基を有する磁性粒子に、免疫グロブリンGのFc領域に特異的に結合する蛋白質を固定化する工程を含み、
    前記固定化する工程は、前記カルボキシル基と前記蛋白質とを反応させる工程を含む、請求項1または2に記載の磁性粒子の製造方法。
  6. 2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基およびエポキシ基を有する磁性粒子に、免疫グロブリンGのFc領域に特異的に結合する蛋白質を固定化する工程を含み、
    前記固定化する工程は、前記エポキシ基と前記蛋白質とを反応させる工程を含む、請求項1または2に記載の磁性粒子の製造方法。
  7. 2,3−ジヒドロキシプロピル基に由来する水酸基およびアミノ基を有する磁性粒子に、免疫グロブリンGのFc領域に特異的に結合する蛋白質を固定化する工程を含み、
    前記固定化する工程は、前記アミノ基と前記蛋白質とを反応させる工程を含む、請求項1または2に記載の磁性粒子の製造方法。
  8. 前記蛋白質がプロテインA、プロテインG、または少なくとも一方の誘導体である、請求項3ないし7のいずれかに記載の磁性粒子の製造方法。
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