JP2008215134A - 発電システムの制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】2燃料混焼運転を行い、発電機を商用電源と系統連系させる場合に、特別な制御を行うことなく、ガスエンジンを安定して運転できる発電システムの制御方法を提供すること。
【解決手段】発電システム1は、発電機11を商用電源100と系統連系させたときに、発電機11に負荷101が加えられるよう構成してある。発電システム1を始動する際には、電磁弁62を閉じて主燃料ガスF1を用いた運転を開始するステップと、電磁弁62を開けてガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給を開始して、2燃料混焼運転を開始するステップと、発電機11の商用電源100との系統連系を開始するステップとを順次行う。発電システム1を停止する際には、発電機11の商用電源100との系統連系を遮断するステップと、電磁弁62を閉じてガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給を遮断するステップとを順次行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガスエンジンの出力によって発電機を作動させるよう構成した発電システムの制御方法に関する。
都市ガス等の主燃料ガスとバイオガス等の副燃料ガスとの2種類の燃料を用いてガスエンジンを運転し、このガスエンジンの出力によって発電機を作動させるよう構成した発電システムにおいては、種々のシステム方式が採用されている。例えば、副燃料ガスの発熱量に応じて、主燃料ガスと燃焼用空気との混合気の供給流量を調整して、2種類の燃料を混合して燃焼を行う方式、主燃料ガスと副燃料ガスとの混合燃料を用い、燃焼用空気の空気比を制御しながら燃焼を行う方式等がある。
例えば、特許文献1においては、バイオガス等の副燃料ガスと燃焼用空気との混合気と、都市ガス等の主燃料ガスとをガスエンジンに供給して、運転を行うよう構成したガスエンジンが開示されている。このガスエンジンにおいては、燃焼用空気がミキサーを通過する際に生じる負圧を利用し、ミキサー内へ副燃料ガスを吸引して、これらの混合気を生成している。また、ガスエンジンの排気系統に設けた酸素センサ又はNOxセンサの出力変動に基づいて、主燃料ガスの供給流量を調整するバルブの開度を調整して、空気比の制御を行っている。そして、ミキサーにおいて、燃焼用空気と副燃料ガスとの混合気と、主燃料ガスとを混合した後に、スロットル弁によって、この2燃料の混合気のガスエンジンへの供給流量を調整して、ガスエンジンの回転速度又は負荷を制御している。
また、ガスエンジン及び発電機を用いた発電システムの多くは、発電機を商用電源(50Hz又は60Hzの交流電源)と系統連系させ、商用電源の周波数と同期する一定の回転速度で発電を行っている。
また、上記2種類の燃料を混合して燃焼を行うガスエンジンにおいては、都市ガス等の主燃料ガスを用いて運転を開始し、ガスエンジンの出力が安定した後に、バイオガス等の副燃料ガスの投入を開始している。
しかしながら、上記2種類の燃料を混合して燃焼を行うガスエンジンを用いた発電システムにおいて、発電機を商用電源と系統連系させて作動させる際に、バイオガス等の副燃料ガスの供給を開始すると、燃焼用空気の供給量が不足し、空気比が急激に小さくなる(ガスリッチになる)と共に、発電機の発電出力が急激に上昇してしまう。一方、発電機を商用電源と系統連系させて作動させる際に、バイオガス等の副燃料ガスの供給を遮断すると、燃焼用空気の供給量が過剰になり、空気比が急激に大きくなる(ガスリーンになる)と共に、発電機の発電出力が急激に低下してしまう。
そのため、ガスエンジンの出力が著しく不安定になるおそれがあり、ひいてはガスエンジンの耐久性に悪影響を与えるおそれがある。
また、副燃料ガスの供給の開始及び遮断は、制御装置によって開度を制御可能な制御バルブを用い、この制御バルブの開度を徐々に変化させて徐々に行うことも考えられる。しかしながら、この場合には、制御バルブ及びこれを制御する制御装置が新たに必要になり、発電システムの機械的及び電気的構造を複雑にしてしまう。
特開2005−30302号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、主燃料ガスと副燃料ガスとを用いてガスエンジンを運転し、発電機を商用電源と系統連系させる場合に、特別な制御を行うことなく、ガスエンジンを安定して運転することができる発電システムの制御方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、複数の気筒を備えたガスエンジンと、
該ガスエンジンの出力によって作動させる発電機と、
燃焼用空気が供給される空気配管と、
バイオガス等の副燃料ガスが供給される副燃料配管と、
該副燃料配管に設けた電磁弁と、
該電磁弁が閉じているときには、上記空気配管から流入する上記燃焼用空気を通過させる一方、上記電磁弁が開いているときには、上記空気配管から流入する上記燃焼用空気に、上記副燃料配管から流入する上記副燃料ガスを混合して、第1混合気を作り出す第1ミキサーと、
主燃料ガスが供給される主燃料配管と、
該主燃料配管に設けたスロットルバルブと、
上記第1ミキサーから流入する上記燃焼用空気又は上記第1混合気に、上記主燃料配管から上記スロットルバルブによる流量調整後の上記主燃料ガスを混合して、第2混合気を作り出す第2ミキサーと、
上記ガスエンジンからの排ガスを利用し、上記第2ミキサーから流入する上記第2混合気を圧縮して、圧縮混合気を作り出す過給機と、
該過給機から流入する上記圧縮混合気を、上記複数の気筒へ分岐させて供給する吸気マニホールドと、
上記発電機の発電出力が目標出力になるよう上記スロットルバルブの開度を調整する制御コンピュータとを有しており、
上記発電機の発電出力を商用電源と系統連系させたときに、当該発電機に負荷が加えられるよう構成した発電システムの制御方法であって、
該発電システムを始動する際には、上記電磁弁を閉じて上記主燃料ガスを用いた主燃料単独運転を開始する始動ステップと、上記電磁弁を開けて上記ガスエンジンへの上記副燃料ガスの供給を開始して、上記主燃料ガスと上記副燃料ガスとを用いた2燃料混焼運転を開始する副燃料供給開始ステップと、上記発電機の上記商用電源との系統連系を開始する系統連系開始ステップとを順次行い、
上記発電システムを停止する際には、上記発電機の上記商用電源との系統連系を遮断する系統連系遮断ステップと、上記電磁弁を閉じて上記ガスエンジンへの上記副燃料ガスの供給を遮断する副燃料供給遮断ステップとを順次行うことを特徴とする発電システムの制御方法にある(請求項1)。
本発明の発電システムの制御方法においては、発電機を商用電源と系統連系させる場合に、副燃料ガスの供給開始時期及び供給遮断時期の工夫を行っている。
本発明の発電システムを始動する際には、始動ステップとして、電磁弁を閉じて主燃料ガスを用いた主燃料単独運転を開始する。この主燃料単独運転は、ガスエンジン(及び発電機)の回転速度が商用電源の周波数(50Hz又は60Hz)と同期する略一定の回転速度になるまで行うことができる。
次いで、副燃料供給開始ステップとして、電磁弁を開けてガスエンジンへの副燃料ガスの供給を開始して、主燃料ガスと副燃料ガスとを用いた2燃料混焼運転を開始する。このとき、発電機を商用電源に対して系統連系させていないことにより、発電機は無負荷状態にある。そのため、発電機に急激な負荷が加わって発電機の発電出力が急激に上昇してしまうことを防止することができる。
また、副燃料ガスの供給を開始したときには、ガスエンジン(及び発電機)の回転速度が瞬時に上昇し、第1ミキサーへの燃焼用空気の吸込量が増加するため、空気比が小さくなる(ガスリッチになる)ことが緩和される。なお、このときには、ガスエンジンも無負荷状態にあり、ガスエンジンの回転速度は素早く略一定の回転速度に復帰することができる。
その後、系統連系開始ステップとして、発電機の商用電源との系統連系を開始する。この系統連系は、上記瞬時に上昇したガスエンジンの回転速度が略一定の回転速度に復帰した後に開始することができる。これにより、上記2燃料混焼運転が安定した後に、発電機に負荷を加えることができ、ガスエンジンの運転が不安定になってしまうことを防止することができる。
そして、ガスエンジンにおいて2燃料混焼運転を行い、発電システムにおいては、発電機の発電出力が、この発電機に対する負荷を駆動するための目標出力になるよう負荷追従運転を行うことができる。
具体的には、この負荷追従運転を行う際には、第1ミキサーにおいて、燃焼用空気と副燃料ガスとの第1混合気が作り出され、第2ミキサーにおいて、第1混合気と主燃料ガスとの第2混合気が作り出される。次いで、過給機において、第2混合気が圧縮されて圧縮混合気が作り出され、この圧縮混合気が吸気マニホールドを経由してガスエンジンにおける複数の気筒に供給される。そして、制御コンピュータによってスロットルバルブの開度を調整して、ガスエンジンへの主燃料ガスの供給流量を調整することにより、発電機を目標出力で作動させることができる。
一方、本発明の発電システムを停止する際には、系統連系遮断ステップとして、発電機の商用電源との系統連系を遮断する。次いで、副燃料供給遮断ステップとして、電磁弁を閉じてガスエンジンへの副燃料ガスの供給を遮断する。この副燃料ガスの供給の遮断は、発電機に対する負荷状態がほぼ無負荷になった後に行うことができる。そのため、発電機に対する負荷が急激になくなって発電機の発電出力が急激に低下してしまうことを防止することができる。
また、副燃料ガスの供給を遮断したときには、ガスエンジン(及び発電機)の回転速度が瞬時に低下し、第1ミキサーへの燃焼用空気の吸込量が減少するため、空気比が大きくなる(ガスリーンになる)ことが緩和される。そのため、ガスエンジンの運転が不安定になってしまうことを防止することができる。
また、本発明においては、スロットルバルブ以外に開度を制御するバルブを用いる必要がなく、発電システムの機械的及び電気的構造が簡単であり、その制御が容易である。
それ故、本発明の発電システムの制御方法によれば、主燃料ガスと副燃料ガスとを用いてガスエンジンを運転し、発電機を商用電源と系統連系させる場合に、特別な制御を行うことなく、ガスエンジンを安定して運転することができる。
第2の発明は、複数の気筒を備えたガスエンジンと、
該ガスエンジンの出力によって作動させる発電機と、
燃焼用空気が供給される空気配管と、
主燃料ガスが供給される主燃料配管と、
該主燃料配管に設けたスロットルバルブと、
上記空気配管から流入する上記燃焼用空気に、上記主燃料配管から上記スロットルバルブによる流量調整後の上記主燃料ガスを混合して、第1混合気を作り出す第1ミキサーと、
バイオガス等の副燃料ガスが供給される副燃料配管と、
該副燃料配管に設けた電磁弁と、
該電磁弁が閉じているときには、上記第1ミキサーから流入する上記第1混合気を通過させる一方、上記電磁弁が開いているときには、上記第1ミキサーから流入する上記第1混合気に、上記副燃料配管から流入する上記副燃料ガスを混合して、第2混合気を作り出す第2ミキサーと、
上記ガスエンジンからの排ガスを利用し、上記第2ミキサーから流入する上記第2混合気を圧縮して、圧縮混合気を作り出す過給機と、
該過給機から流入する上記圧縮混合気を、上記複数の気筒へ分岐させて供給する吸気マニホールドと、
上記発電機の発電出力が目標出力になるよう上記スロットルバルブの開度を調整する制御コンピュータとを有しており、
上記発電機の発電出力を商用電源と系統連系させたときに、当該発電機に負荷が加えられるよう構成した発電システムの制御方法であって、
該発電システムを始動する際には、上記電磁弁を閉じて上記主燃料ガスを用いた主燃料単独運転を開始する始動ステップと、上記電磁弁を開けて上記ガスエンジンへの上記副燃料ガスの供給を開始して、上記主燃料ガスと上記副燃料ガスとを用いた2燃料混焼運転を開始する副燃料供給開始ステップと、上記発電機の上記商用電源との系統連系を開始する系統連系開始ステップとを順次行い、
上記発電システムを停止する際には、上記発電機の上記商用電源との系統連系を遮断する系統連系遮断ステップと、上記電磁弁を閉じて上記ガスエンジンへの上記副燃料ガスの供給を遮断する副燃料供給遮断ステップとを順次行うことを特徴とする発電システムの制御方法にある(請求項3)。
本発明の発電システムの制御方法においても、発電機を商用電源と系統連系させる場合に、副燃料ガスの供給開始時期及び供給遮断時期の工夫を行っている。
そして、本発明は、上記第1の発明に対して、主燃料ガスと副燃料ガスとの混合順序に関する構成が異なる以外は、第1の発明と同様である。
それ故、本発明の発電システムの制御方法によっても、主燃料ガスと副燃料ガスとを用いてガスエンジンを運転し、発電機を商用電源と系統連系させる場合に、特別な制御を行うことなく、ガスエンジンを安定して運転することができる。
上述した第1、第2の発明における好ましい実施の形態につき説明する。
第1、第2の発明において、上記主燃料ガスとしては、メタン等を含有する都市ガス(13A等)を用いることができる。また、上記副燃料ガスとしては、有機性廃棄物(家畜糞尿、生ゴミ、有機性残さ、下水汚泥等)を発酵させて生成したバイオガス、木質系廃棄物(工場端材、建築廃材等)を熱分解させて発生させたバイオガス、工場等で発生する副生ガス等の燃料ガスを用いることができる。また、これ以外にも、副燃料ガスとしては、主燃料ガスと異なる一般的なガス体燃料を用いることもできる。
第1の発明においては、上記副燃料配管には、圧力レギュレータを設け、上記第1ミキサーにおいては、上記電磁弁が開いているときには、上記空気配管から流入する上記燃焼用空気がベンチュリーを通過する際に生じる吸引力に応じて、上記副燃料配管から上記圧力レギュレータによる圧力設定後の上記副燃料ガスが流入することにより、当該燃焼用空気に当該副燃料ガスを混合して、上記第1混合気を作り出すことが好ましい(請求項2)。また、第2の発明においては、上記副燃料配管には、圧力レギュレータが設け、上記第2ミキサーにおいては、上記電磁弁が開いているときには、上記第1ミキサーから流入する上記第1混合気がベンチュリーを通過する際に生じる吸引力に応じて、上記副燃料配管から上記圧力レギュレータによる圧力設定後の上記副燃料ガスが流入することにより、当該第1混合気に当該副燃料ガスを混合して、上記第2混合気を作り出すことが好ましい(請求項4)。
これらの場合には、副燃料ガスの熱量が最大となる場合を想定して圧力レギュレータにおける圧力設定を行うことにより、ガスエンジンへの主燃料ガスと副燃料ガスとの合計供給熱量に対する副燃料ガスの供給熱量の割合が、ガスエンジンにおいて安定運転ができる所定の割合を超えないようにすることができる。
以下に、本発明の発電システムの制御方法にかかる実施例につき、図面と共に説明する。
(実施例1)
本例の発電システム1は、図1に示すごとく、複数の気筒21を備えたガスエンジン2の出力によって発電機11を作動させるよう構成してある。この発電システム1は、都市ガス等の主燃料ガスF1をガスエンジン2へ供給する主燃料供給系と、バイオガス等の副燃料ガスF2をガスエンジン2へ供給する副燃料供給系とを有しており、主燃料ガスF1と副燃料ガスF2とを混焼させてガスエンジン2を運転するよう構成してある。
同図に示すごとく、本例の副燃料供給系は、燃焼用空気Aが供給される空気配管4と、バイオガス等の副燃料ガスF2が供給される副燃料配管6と、副燃料配管6に設けた圧力レギュレータ61及び電磁弁62と、空気配管4から流入する燃焼用空気Aに、副燃料配管6から流入する副燃料ガスF2を混合して第1混合気M1を作り出すことができる第1ミキサー7Aとを有している。
第1ミキサー7Aは、空気配管4から流入する燃焼用空気Aがベンチュリー71を通過する際に生じる吸引力に応じて、副燃料配管6から圧力レギュレータ61による圧力設定後の副燃料ガスF2が吸引されるよう構成されている。また、第1ミキサー7Aは、電磁弁62が閉じているときには、空気配管4から流入する燃焼用空気Aを通過させる一方、電磁弁62が開いているときには、空気配管4から流入する燃焼用空気Aに、副燃料配管6から流入する副燃料ガスF2を混合して、第1混合気M1を作り出すよう構成されている。
図1に示すごとく、本例の主燃料供給系は、主燃料ガスF1が供給される主燃料配管5と、主燃料配管5に設けたスロットルバルブ51と、第1ミキサー7Aから流入する第1混合気M1に、主燃料配管5からスロットルバルブ51による流量調整後の主燃料ガスF1を混合して第2混合気M2を作り出す第2ミキサー7Bとを有している。
また、第2ミキサー7Bの下流側には、ガスエンジン2からの排ガスGを利用し第2ミキサー7Bから流入する第2混合気M2を圧縮して圧縮混合気M3を作り出す過給機3と、過給機3から流入する圧縮混合気M3を複数の気筒21へ分岐させて供給する吸気マニホールド22とが接続してある。また、発電システム1は、電子制御ユニット等の制御コンピュータ8によって制御可能であり、スロットルバルブ51の開度は、制御コンピュータ8によって、発電機11の発電出力が目標出力になるよう制御される。
また、発電機11は、商用電源100と系統連系を行って発電を行うよう構成してあり、発電システム1は、発電機11の発電出力を商用電源100と系統連系させたときに、発電機11に負荷101が加えられるよう構成してある。
図3に示すごとく、本例の発電システム1の制御方法において、発電システム1を始動する際には、電磁弁62を閉じて主燃料ガスF1を用いた主燃料単独運転を開始する始動ステップ(ステップS101)と、電磁弁62を開けてガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給を開始して、主燃料ガスF1と副燃料ガスF2とを用いた2燃料混焼運転を開始する副燃料供給開始ステップ(S102)と、発電機11の商用電源100との系統連系を開始する系統連系開始ステップ(S103)とを順次行う。また、発電システム1を停止する際には、発電機11の商用電源100との系統連系を遮断する系統連系遮断ステップ(S107)と、電磁弁62を閉じてガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給を遮断する副燃料供給遮断ステップ(S108)とを順次行う。
以下に、本例の発電システム1の制御方法につき、図1〜図3と共に詳説する。
本例においては、図1に示すごとく、ガスエンジン2において2燃料混焼運転を行い、発電システム1を運転する際には、制御コンピュータ8により発電機11の目標出力に応じてスロットルバルブ51の開度を調整して、第2ミキサー7Bへの主燃料ガスF1の流入量が決定されると共に、ガスエンジン2の出力に応じて過給機3の回転数が変化し、過給機3の回転数に応じて第1ミキサー7Aへの燃焼用空気Aの流入量が決定され、かつ燃焼用空気Aの流入量に応じて第1ミキサー7Aへの副燃料ガスF2の流入量が決定される。
そして、発電システム1においては、制御コンピュータ8により発電機11の目標出力に応じてスロットルバルブ51の開度を調整することにより、副燃料ガスF2だけでは不足する目標出力を出すために必要な熱量を、主燃料ガスF1によって補い、ガスエンジン2への主燃料ガスF1と副燃料ガスF2との合計供給流量に対する副燃料ガスF2の供給流量の割合を、初期設定した割合以下に保つことができる。
図1に示すごとく、本例の発電機11は、商用電源100と系統連系を行ったときには、商用電源100の周波数(50Hz又は60Hz)と同期する一定の回転速度で発電を行うよう構成されている。また、発電機11は、商用電源100と同じ電圧及び周波数で発電を行うよう構成されている。
本例の制御コンピュータ8は、発電機11の発電出力を電力計81によって測定し、この発電出力が目標出力になるようスロットルバルブ51の開度を調整して、フィードバック制御を行うよう構成してある。なお、制御コンピュータ8は、ガスエンジン2の回転数が目標回転数になるようスロットルバルブ51の開度を調整することもできる。
同図に示すごとく、本例の過給機3は、ガスエンジン2から排気される排ガスGのエネルギーを利用して作動する排ガス過給機3である。この排ガス過給機3は、ガスエンジン2の複数の気筒21における排気口を集結した排気マニホールド23内を通過する排ガスGによって回転するタービンホイール31と、このタービンホイール31の同軸上に連結し、タービンホイール31の回転を受けて回転するコンプレッサホイール32とを有して構成されている。そして、第2ミキサー7Bから過給機3へ送られた第2混合気M2は、コンプレッサホイール32によって圧縮混合気M3とされて、ガスエンジン2へ供給される。
本例のスロットルバルブ51は、制御コンピュータ8からの指令を受け、主燃料ガスF1を通過させる通過口に配設したバルブ本体511を、アクチュエータ512によって動作させて、上記通過口の開度を調整するよう構成されている。
図2に示すごとく、本例の第1ミキサー7Aは、メイン通路70内にベンチュリー71を設け、このベンチュリー71におけるスロート部(絞り部)711の外周に、サブ通路72における複数の先端開口穴721を開口させて構成したものである。そして、メイン通路70内におけるベンチュリー71を燃焼用空気Aが通過すると、ベンチュリー71におけるスロート部711が負圧になり、この負圧による吸引力によってサブ通路72からメイン通路70内へ副燃料ガスF2を吸引することができる。
また、本例の第2ミキサー7Bも、第1ミキサー7Aと同様の構成を有しており、メイン通路70を通過する第1混合気M1に主燃料ガスF1を混合するよう構成されている。
また、図1に示すごとく、第1ミキサー7A、第2ミキサー7B、及び過給機3のコンプレッサホイール32は、吸気配管12によって接続してある。
また、本例の副燃料配管6には、圧力レギュレータ61の下流側に、副燃料配管6を開閉することができる電磁弁62が設けてある。この電磁弁62は、他の制御コンピュータ等によって動作可能であり、ガスエンジン2において、主燃料ガスF1と副燃料ガスF2とを用いて混焼させて運転を行う際には、常時、副燃料配管6を開けた状態にあり、ガスエンジン2において、主燃料ガスF1のみを燃焼させて運転を行う際には、副燃料配管6を閉じるよう構成してある。
同図に示すごとく、本例においては、空気配管4は大気に開放されており、副燃料配管6は、バイオガス等の副燃料ガスF2が生成又は貯蔵されたタンク(図示略)に接続されている。また、圧力レギュレータ61による副燃料ガスF2の設定圧力は、ほぼ大気圧となるよう設定してある。
空気配管4の入口部には、ガスエンジン2への異物混入を防止するためのエアフィルター41が配設してある。そして、発電システム1を長期間稼働させる際には、空気配管4におけるエアフィルター41の下流側においては、エアフィルター41に生じた詰まりによって大気圧よりも若干負圧になっている。
図1に示すごとく、本例の圧力レギュレータ61は、その設定圧力を調整するパイロット部611が、配管612によって空気配管4におけるエアフィルター41の配設位置よりも下流側であって、第1ミキサー7Aよりも上流側に接続してある。そして、圧力レギュレータ61は、空気配管4におけるエアフィルター41の下流側の燃焼用空気Aの圧力が低下したときには、この圧力の低下に応じて設定圧力を低く補正するよう構成してある。
具体的には、発電システム1を長期間稼働させる際に、エアフィルター41に詰まりが生じたときには、エアフィルター41における圧損の増加により、エアフィルター41の下流側における燃焼用空気Aの圧力が若干低下するものの、この圧力の若干の低下に応じて、圧力レギュレータ61の設定圧力も若干低く補正される。これにより、圧力レギュレータ61の設定圧力がエアフィルター41の下流側における燃焼用空気Aの圧力よりも相対的に高くなってしまうことが抑制され、第1ミキサー7Aへの副燃料ガスF2の流入量が若干増加してしまうことを抑制することができる。そのため、発電システム1を長期的に稼働させる際に、ガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給流量が若干増加してしまうことを抑制することができる。
また、発電システム1の運転前においては、圧力レギュレータ61の設定圧力を所定の値に設定することにより、第1ミキサー7Aへの副燃料ガスF2の供給圧力が決定される。また、副燃料配管6において、圧力レギュレータ61と電磁弁62との間には、手動のバルブを配設することができる。そして、発電システム1の初期設定時等には、上記手動のバルブを操作して、副燃料ガスF2の流量の調整をしておくことができる。
また、圧力レギュレータ61による副燃料ガスF2の圧力の設定により、副燃料ガスF2中に、水素やブタン等のノッキングを起こしやすいガスが含まれる場合には、ノッキングを回避するために副燃料ガスF2の混合割合を、所定の割合以下に抑えることができる。
また、ガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給熱量は、ガスエンジン2への主燃料ガスF1の供給熱量と副燃料ガスF2の供給熱量との合計供給熱量に対して、上記ノッキングを防止できる範囲で決定することができる。また、主燃料ガスF1の供給熱量は、上記合計供給熱量に対して、発電機11における急激な負荷変動に追従できる範囲で決定することができる。そして、副燃料ガスF2の供給熱量を主燃料ガスF1の供給熱量よりも多くしても、ガスエンジン2の運転が可能である。なお、主燃料ガスF1の供給熱量は、上記合計供給熱量に対して、最低でも10%程度は必要と考える。
本例の発電システム1においては、2燃料混焼運転を行う際に、特別な制御を行うことなく、ガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給熱量の割合を、常に安定運転ができる所定の割合以下に保つことができる。
具体的には、本例の発電システム1においては、副燃料配管6に設けた圧力レギュレータ61によって、第1ミキサー7Aへの副燃料ガスF2の流入量を調整しておき、ガスエンジン2への主燃料ガスF1と副燃料ガスF2との合計供給流量に対する副燃料ガスF2の供給流量の割合を、ガスエンジン2において安定運転ができる所定の割合を超えない範囲内で初期設定しておく。
この初期設定を行うときには、副燃料ガスF2の熱量が最大となる場合を想定し、ガスエンジン2への主燃料ガスF1と副燃料ガスF2との合計供給熱量に対する副燃料ガスF2の供給熱量の割合が、ガスエンジン2において安定運転ができる所定の割合を超えない範囲内で、副燃料ガスF2の供給流量の割合を設定する。
なお、上記初期設定を行うときには、圧力レギュレータ61によって設定圧力に調整し、副燃料配管6に設けた手動バルブの開度を調整して流量の微調整を行うことができる。
本例において、ガスエンジン2において2燃料混焼運転を行い、発電システム1の運転を行う際には、第1ミキサー7Aにおいて、燃焼用空気Aと副燃料ガスF2との第1混合気M1が作り出され、第2ミキサー7Bにおいて、第1混合気M1と主燃料ガスF1との第2混合気M2が作り出される。次いで、過給機3において、第2混合気M2が圧縮されて圧縮混合気M3が作り出され、この圧縮混合気M3が吸気マニホールド22を経由してガスエンジン2における複数の気筒21に供給される。そして、制御コンピュータ8によってスロットルバルブ51の開度を調整して、ガスエンジン2への主燃料ガスF1の供給流量を調整することにより、発電機11を目標出力で作動させることができる。
本例の発電システム1において、ガスエンジン2の出力を上昇させるときには、制御コンピュータ8からの指令によってスロットルバルブ51の開度が増加し、ガスエンジン2への主燃料ガスF1の供給流量が増加する。このとき、ガスエンジン2からの排ガスGの温度が増加することによって、過給機3の膨張仕事が増加し、過給機3の回転数が増加する。これにより、過給機3への第2混合気M2の流入量、第2ミキサー7Bへの第1混合気M1の流入量及び第1ミキサー7Aへの燃焼用空気Aの流入量がそれぞれ増加し、第1ミキサー7Aのベンチュリー71における吸引力が増加することにより、第1ミキサー7Aへの副燃料ガスF2の流入量が増加する。
こうして、ガスエンジン2への主燃料ガスF1の供給流量が増加したときには、ガスエンジン2への燃焼用空気A及び副燃料ガスF2の供給流量も増加させることができる。
一方、ガスエンジン2の出力を低下させるときには、制御コンピュータ8からの指令によってスロットルバルブ51の開度が減少し、ガスエンジン2への主燃料ガスF1の供給流量が減少する。このとき、ガスエンジン2からの排ガスGの温度が減少することによって、過給機3の膨張仕事が減少し、過給機3の回転数が減少する。これにより、過給機3への第2混合気M2の流入量、第2ミキサー7Bへの第1混合気M1の流入量及び第1ミキサー7Aへの燃焼用空気Aの流入量がそれぞれ減少し、第1ミキサー7Aのベンチュリー71における吸引力が減少することにより、第1ミキサー7Aへの副燃料ガスF2の流入量が減少する。
こうして、ガスエンジン2への主燃料ガスF1の供給流量が減少したときには、ガスエンジン2への燃焼用空気A及び副燃料ガスF2の供給流量も減少させることができる。
そして、本例の発電システム1においては、副燃料ガスF2の組成等が変化し、その熱量が変動したときには、この熱量の変動を主燃料ガスF1の供給流量によって補うことができる。具体的には、副燃料ガスF2の熱量が減少したときには、制御コンピュータ8は、発電機11の発電出力が目標出力になるように、スロットルバルブ51の開度を増加させ、ガスエンジン2への主燃料ガスF1の供給流量を増加させることができる。一方、副燃料ガスF2の熱量が増加したときには、制御コンピュータ8は、発電機11の発電出力が目標出力になるように、スロットルバルブ51の開度を減少させ、ガスエンジン2への主燃料ガスF1の供給流量を減少させることができる。これにより、本例においては、副燃料ガスF2の熱量の変動を補い、発電機11が目標出力を出すために必要な熱量の燃料ガスを、常時ガスエンジン2へ供給することができる。
また、副燃料配管6から第1ミキサー7Aへ供給される副燃料ガスF2の圧力は、圧力レギュレータ61によって所定の値に設定してあることにより、副燃料ガスF2のタンク等における元圧が変動しても、第1ミキサー7Aへの燃焼用空気Aの流入量に応じて、第1ミキサー7Aへの副燃料ガスF2の流入量を安定して変化させることができる。また、第1ミキサー7Aへの副燃料ガスF2の流入量は、常に第1ミキサー7Aへの燃焼用空気Aの流入量と、圧力レギュレータ61による設定圧力により決定され、ガスエンジン2への主燃料ガスF1の供給流量の変化に応じて、ガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給流量を安定して変化させることができる。
これにより、ガスエンジン2への主燃料ガスF1と副燃料ガスF2との合計供給流量に対するガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給流量の割合が、初期設定した割合、すなわちガスエンジン2において安定運転ができる所定の割合を超えないようにすることができる。
また、副燃料ガスF2の熱量が変動した場合、又は発電機11に対する負荷101が変動してガスエンジン2の出力が変動する場合においても、ガスエンジン2への主燃料ガスF1と副燃料ガスF2との合計供給熱量に対する副燃料ガスF2の供給熱量の割合が、ガスエンジン2において安定運転ができる所定の割合を超えないようにすることができる。そのため、2燃料混焼運転を行う際に、ガスエンジン2の運転が不安定になってしまうことを防止することができる。
それ故、本例の発電システム1によれば、スロットルバルブ51以外に開度を制御するバルブを用いず、特別な制御を行うことなく、ガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給熱量の割合を、常に安定運転ができる所定の割合以下に保つことができる。
また、本例の発電システム1においては、ガスエンジン2に供給される燃料ガスの熱量に応じて、燃焼用空気Aがガスエンジン2に供給されることになる。そのため、特別な制御を行うことなく、ガスエンジン2における空気比(空気過剰率、すなわち実際に供給した空気量を、理論上、燃料ガスを完全燃焼させるために要する空気量で割った値)をほぼ一定に保つことができる。なお、ガスエンジン2における空気比は、過給機3の特性、燃焼用空気Aの温度等の影響を受けて若干変化することがある。
また、本例の発電システム1においては、その始動時及び停止時に以下の制御を行って、ガスエンジン2の運転が不安定になることを防止することができる。以下に、発電システム1の制御方法及びその作用効果につき、図3と共に説明する。
具体的には、本例の発電システム1を始動する際には、始動ステップ(図3のステップS101)として、電磁弁62を閉じて主燃料ガスF1を用いた主燃料単独運転を開始する。このとき、発電機11の発電出力は、商用電源100との系統連系を遮断した状態にある。また、主燃料単独運転は、ガスエンジン2(及び発電機11)の回転速度が商用電源100の周波数(50Hz又は60Hz)と同期する略一定の回転速度になるまで行う。そして、発電機11の周波数及び電圧を定格値まで立ち上げる。
次いで、副燃料供給開始ステップ(図3のS102)として、電磁弁62を開けてガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給を開始して、主燃料ガスF1と副燃料ガスF2とを用いた2燃料混焼運転を開始する。このとき、発電機11を商用電源100に対して系統連系させていないことにより、発電機11は無負荷状態にある。そのため、発電機11に急激な負荷101が加わって発電機11の発電出力が急激に上昇してしまうことを防止することができる。
また、副燃料ガスF2の供給を開始したときには、ガスエンジン2(及び発電機11)の回転速度が瞬時に上昇し、第1ミキサー7Aへの燃焼用空気Aの吸込量が増加するため、空気比が小さくなる(ガスリッチになる)ことが緩和される。なお、このときには、ガスエンジン2も無負荷状態にあり、ガスエンジン2の回転速度は素早く略一定の回転速度に復帰することができる。
その後、系統連系開始ステップ(図3のS103)として、発電機11の商用電源100との系統連系を開始する。この系統連系は、上記瞬時に上昇したガスエンジン2の回転速度が略一定の回転速度に復帰した後に開始することができる。これにより、上記2燃料混焼運転が安定した後に、発電機11に負荷101を加えることができ、ガスエンジン2の運転が不安定になってしまうことを防止することができる。
そして、上述したように、ガスエンジン2において2燃料混焼運転を行い、発電システム1においては、発電機11の発電出力が、この発電機11に対する負荷101を駆動するための目標出力になるよう負荷追従運転を行うことができる(図3のS104)。次いで、発電システム1の管理コンピュータからスロットルバルブ51を制御する制御コンピュータ8に停止信号が送られたときには(図3のS105)、制御コンピュータ8は、スロットルバルブ51の開度を減少させて発電出力を低下させる(図3のS106)。
その後、本例の発電システム1を停止する際には、系統連系遮断ステップ(図3のS107)として、発電機11の商用電源100との系統連系を遮断する。次いで、副燃料供給遮断ステップ(図3のS108)として、電磁弁62を閉じてガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給を遮断する。この副燃料ガスF2の供給の遮断は、発電機11に対する負荷状態がほぼ無負荷になった後に行うことができる。そのため、発電機11に対する負荷101が急激になくなって発電機11の発電出力が急激に低下してしまうことを防止することができる。
また、副燃料ガスF2の供給を遮断したときには、ガスエンジン2(及び発電機11)の回転速度が瞬時に低下し、第1ミキサー7Aへの燃焼用空気Aの吸込量が減少するため、空気比が大きくなる(ガスリーンになる)ことが緩和される。そのため、ガスエンジン2の運転が不安定になってしまうことを防止することができる。
また、本例においては、スロットルバルブ51以外に開度を制御するバルブを用いる必要がなく、発電システム1の機械的及び電気的構造が簡単であり、その制御が容易である。
それ故、本例の発電システム1の制御方法によれば、主燃料ガスF1と副燃料ガスF2とを用いてガスエンジン2を運転し、発電機11を商用電源100と系統連系させる場合に、特別な制御を行うことなく、ガスエンジン2を安定して運転することができる。
(実施例2)
本例は、図4に示すごとく、燃焼用空気Aと主燃料ガスF1とを混合した第1混合気M1に、副燃料ガスF2を混合して第2混合気M2を作り出すよう構成した例である。
本例の発電システム1も、都市ガス等の主燃料ガスF1をガスエンジン2へ供給する主燃料供給系と、バイオガス等の副燃料ガスF2をガスエンジン2へ供給する副燃料供給系とを有している。
同図に示すごとく、本例の主燃料供給系は、燃焼用空気Aが供給される空気配管4と、主燃料ガスF1が供給される主燃料配管5と、主燃料配管5に設けたスロットルバルブ51と、空気配管4から流入する燃焼用空気Aに主燃料配管5からスロットルバルブ51による流量調整後の主燃料ガスF1を混合して第1混合気M1を作り出す第1ミキサー7Aとを有している。
本例の副燃料供給系は、バイオガス等の副燃料ガスF2が供給される副燃料配管6と、副燃料配管6に設けた圧力レギュレータ61及び電磁弁62と、第1ミキサー7Aから流入する第1混合気M1に副燃料配管6から流入する副燃料ガスF2を混合して第2混合気M2を作り出す第2ミキサー7Bとを有している。
第2ミキサー7Bは、第1ミキサー7Aから流入する第1混合気M1がベンチュリー71を通過する際に生じる吸引力に応じて、副燃料配管6から圧力レギュレータ61による圧力設定後の副燃料ガスF2が吸引されるよう構成されている。また、第2ミキサー7Bは、電磁弁62が閉じているときには、第1ミキサー7Aから流入する第1混合気M1を通過させる一方、電磁弁62が開いているときには、第1ミキサー7Aから流入する第1混合気M1に、副燃料配管6から流入する副燃料ガスF2を混合して、第2混合気M2を作り出すよう構成されている。
また、本例の圧力レギュレータ61は、その設定圧力を調整するパイロット部611が、配管612によって第1ミキサー7Aと第2ミキサー7Bとを接続する吸気配管12に接続してある。
本例において、ガスエンジン2における2燃料混焼運転を行い、発電システム1の負荷追従運転を行う際には、第1ミキサー7Aにおいて、燃焼用空気Aと主燃料ガスF1との第1混合気M1が作り出され、第2ミキサー7Bにおいて、第1混合気M1と副燃料ガスF2との第2混合気M2が作り出される。次いで、過給機3において、第2混合気M2が圧縮されて圧縮混合気M3が作り出され、この圧縮混合気M3が吸気マニホールド22を経由してガスエンジン2における複数の気筒21に供給される。
また、本例の発電システム1においては、制御コンピュータ8により発電機11の目標出力に応じてスロットルバルブ51の開度を制御して、第1ミキサー7Aへの主燃料ガスF1の流入量が決定されると共に、ガスエンジン2の出力に応じて過給機3の回転数が変化し、過給機3の回転数に応じて第1ミキサー7Aへの燃焼用空気Aの流入量が決定され、かつ燃焼用空気Aの流入量に応じて第2ミキサー7Bへの副燃料ガスF2の流入量が決定される。こうして、制御コンピュータ8によってスロットルバルブ51の開度を調整して、ガスエンジン2への主燃料ガスF1の供給流量を調整することにより、発電機11を目標出力で作動させることができる。
また、本例の発電機11も、商用電源100と系統連系を行って発電を行うよう構成してあり、発電システム1は、発電機11の発電出力を商用電源100と系統連系させたときに、発電機11に負荷101が加えられるよう構成してある。
また、本例の発電システム1の制御方法においても、上記実施例1と同様に、発電システム1を始動する際には、上記始動ステップ、副燃料供給開始ステップ、系統連系開始ステップを順次行い、発電システム1を停止する際には、上記系統連系遮断ステップ、副燃料供給遮断ステップを順次行う。
それ故、本例の発電システム1の制御方法によっても、主燃料ガスF1と副燃料ガスF2とを用いてガスエンジン2を運転し、発電機11を商用電源100と系統連系させる場合に、特別な制御を行うことなく、ガスエンジン2を安定して運転することができる。本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
(確認試験)
本確認試験においては、発電システム1を始動する際に、発電機11の商用電源100との系統連系を開始する前に、ガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給を開始した場合(試験1)と、発電システム1を停止する際に、発電機11の商用電源100との系統連系を遮断した後に、ガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給を遮断した場合(試験2)とについて、ガスエンジン2及び発電機11における運転状況の変化について確認した。
また、比較のために、発電システム1を始動する際に、発電機11の商用電源100との系統連系を開始した後に、ガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給を開始した場合(比較試験1)と、発電システム1を停止する際に、発電機11の商用電源100との系統連系を遮断する前に、ガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給を遮断した場合(比較試験2)とについても、ガスエンジン2及び発電機11における運転状況の変化について確認した。
本確認試験においては、発電システム1の始動時及び停止時において、スロットルバルブ51の開度、発電機11の発電出力(電力)、ガスエンジン2(及び発電機11)の回転速度、空気比の変化について測定を行った。
図5、図7、図9、図11は、横軸に時間(秒)をとり、縦軸に、スロットルバルブ51の開度(%)、発電機11の電力、ガスエンジン2の回転速度をとって、発電システム1の始動時又は停止時におけるこれらの変化を示すグラフである。なお、発電機11の電力、ガスエンジン2の回転速度は、いずれも定格値に対する割合(対定格%)で示す。
また、図6、図8、図10、図12は、横軸に時間(秒)をとり、縦軸にガスエンジン2における空気比をとって、発電システム1の始動時又は停止時における空気比の変化を示すグラフである。図5、図6は、試験1について、図7、図8は、試験2について、図9、図10は、比較試験1について、図11、図12は、比較試験2について、それぞれ測定を行った結果を示す。
試験1について、図5においては、発電機11の商用電源100との系統連系を開始する前において、約30(秒)経過付近で、電磁弁62を開け、副燃料ガスF2の供給を開始している。このとき、スロットルバルブ51の開度が減少し、ガスエンジン2への主燃料ガスF1の供給量が減少する。また、このとき、ガスエンジン2の回転速度が瞬間的に若干上昇していることがわかる。そして、これにより、ガスエンジン2における空気比が急激に小さくなる(ガスリッチになる)ことが緩和されていることがわかる。
なお、図6において、副燃料ガスF2の供給を開始したときには、空気比が瞬間的に若干小さくなっている(ガスリッチになっている)ことがわかる。ここで、空気比の変化が、副燃料ガスF2の供給開始時期よりも遅れて現れているのは、排ガスGを吸引し、その残存酸素濃度等を測定して空気比を求めているためである。実際には、空気比の変化は、副燃料ガスF2の供給開始時期に現れていると考える。
このように、発電機11の商用電源100との系統連系を開始する前に、ガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給を開始した場合(試験1)には、ガスエンジン2における空気比の急激な低下がなく、ガスエンジン2の運転が不安定になることを防止できることがわかる。
試験2について、図7においては、発電機11の商用電源100との系統連系を遮断した後において、約30(秒)経過付近で、電磁弁62を開じ、副燃料ガスF2の供給を遮断している。このとき、スロットルバルブ51の開度が増加し、ガスエンジン2への主燃料ガスF1の供給量が増加する。また、このとき、ガスエンジン2の回転速度が瞬間的に若干低下していることがわかる。そして、これにより、ガスエンジン2における空気比が急激に大きくなる(ガスリーンになる)ことが緩和されていることがわかる。
なお、図8において、副燃料ガスF2の供給を遮断したときには、空気比が瞬間的に若干小さくなっている(ガスリッチになっている)ことがわかる。ここで、空気比の変化が、副燃料ガスF2の供給開始時期よりも遅れて現れているのは、上記と同様の理由による。
このように、発電機11の商用電源100との系統連系を遮断した後に、ガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給を遮断した場合(試験2)には、ガスエンジン2における空気比の急激な上昇がなく、ガスエンジン2の運転が不安定になることを防止できることがわかる。
比較試験1について、図9においては、発電機11の商用電源100との系統連系を開始した後において、約30(秒)経過付近で、電磁弁62を開け、副燃料ガスF2の供給を開始している。このとき、スロットルバルブ51の開度が減少し、ガスエンジン2への主燃料ガスF1の供給量が減少する。また、このとき、ガスエンジン2の回転速度の変化がほとんどないものの、発電機11の電力が急激に上昇していることがわかる。
これにより、図10に示すごとく、副燃料ガスF2の供給を開始したときには、ガスエンジン2における空気比が急激に小さくなっている(ガスリッチになっている)ことがわかる。ここで、空気比の変化が、副燃料ガスF2の供給開始時期よりも遅れて現れているのは、上記と同様の理由による。
このように、発電機11の商用電源100との系統連系を開始した後に、ガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給を開始した場合(比較試験1)には、ガスエンジン2における空気比の急激な低下があり、ガスエンジン2の運転が不安定になることがわかる。また、ガスエンジン2の運転が安定状態に戻るまでに長い時間を要していることがわかる。
比較試験2について、図11においては、発電機11の商用電源100との系統連系を遮断する前において、約30(秒)経過付近で、電磁弁62を開じ、副燃料ガスF2の供給を遮断している。このとき、スロットルバルブ51の開度が増加し、ガスエンジン2への主燃料ガスF1の供給量が増加する。また、このとき、ガスエンジン2の回転速度の変化がほとんどないものの、発電機11の電力が急激に低下していることがわかる。
これにより、図12に示すごとく、副燃料ガスF2の供給を遮断したときには、ガスエンジン2における空気比が急激に大きくなっている(ガスリーンになっている)ことがわかる。ここで、空気比の変化が、副燃料ガスF2の供給開始時期よりも遅れて現れているのは、上記と同様の理由による。
このように、発電機11の商用電源100との系統連系を遮断する前に、ガスエンジン2への副燃料ガスF2の供給を遮断した場合(比較試験2)には、ガスエンジン2における空気比の急激な上昇があり、ガスエンジン2の運転が不安定になることがわかる。また、ガスエンジン2の運転が安定状態に戻るまでに長い時間を要していることがわかる。
実施例1における、発電システムを示す説明図。 実施例1における、第1ミキサーの構造を概略的に示す説明図。 実施例1における、発電システムの制御方法を示すフローチャート。 実施例2における、発電システムを示す説明図。 確認試験における試験1について、発電システムの始動時におけるスロットルバルブの開度、発電機の電力、ガスエンジンの回転速度の変化を示すグラフ。 確認試験における試験1について、発電システムの始動時における空気比の変化を示すグラフ。 確認試験における試験2について、発電システムの停止時におけるスロットルバルブの開度、発電機の電力、ガスエンジンの回転速度の変化を示すグラフ。 確認試験における試験2について、発電システムの停止時における空気比の変化を示すグラフ。 確認試験における比較試験1について、発電システムの始動時におけるスロットルバルブの開度、発電機の電力、ガスエンジンの回転速度の変化を示すグラフ。 確認試験における比較試験1について、発電システムの始動時における空気比の変化を示すグラフ。 確認試験における比較試験2について、発電システムの停止時におけるスロットルバルブの開度、発電機の電力、ガスエンジンの回転速度の変化を示すグラフ。 確認試験における比較試験2について、発電システムの停止時における空気比の変化を示すグラフ。
符号の説明
100 商用電源
101 負荷
1 発電システム
11 発電機
2 ガスエンジン
21 気筒
22 吸気マニホールド
3 過給機
4 空気配管
5 主燃料配管
51 スロットルバルブ
6 副燃料配管
61 圧力レギュレータ
62 電磁弁
7A 第1ミキサー
7B 第2ミキサー
71 ベンチュリー
8 制御コンピュータ
A 燃焼用空気
F1 主燃料ガス
F2 副燃料ガス
M1 第1混合気
M2 第2混合気
M3 圧縮混合気
G 排ガス

Claims (4)

  1. 複数の気筒を備えたガスエンジンと、
    該ガスエンジンの出力によって作動させる発電機と、
    燃焼用空気が供給される空気配管と、
    バイオガス等の副燃料ガスが供給される副燃料配管と、
    該副燃料配管に設けた電磁弁と、
    該電磁弁が閉じているときには、上記空気配管から流入する上記燃焼用空気を通過させる一方、上記電磁弁が開いているときには、上記空気配管から流入する上記燃焼用空気に、上記副燃料配管から流入する上記副燃料ガスを混合して、第1混合気を作り出す第1ミキサーと、
    主燃料ガスが供給される主燃料配管と、
    該主燃料配管に設けたスロットルバルブと、
    上記第1ミキサーから流入する上記燃焼用空気又は上記第1混合気に、上記主燃料配管から上記スロットルバルブによる流量調整後の上記主燃料ガスを混合して、第2混合気を作り出す第2ミキサーと、
    上記ガスエンジンからの排ガスを利用し、上記第2ミキサーから流入する上記第2混合気を圧縮して、圧縮混合気を作り出す過給機と、
    該過給機から流入する上記圧縮混合気を、上記複数の気筒へ分岐させて供給する吸気マニホールドと、
    上記発電機の発電出力が目標出力になるよう上記スロットルバルブの開度を調整する制御コンピュータとを有しており、
    上記発電機の発電出力を商用電源と系統連系させたときに、当該発電機に負荷が加えられるよう構成した発電システムの制御方法であって、
    該発電システムを始動する際には、上記電磁弁を閉じて上記主燃料ガスを用いた主燃料単独運転を開始する始動ステップと、上記電磁弁を開けて上記ガスエンジンへの上記副燃料ガスの供給を開始して、上記主燃料ガスと上記副燃料ガスとを用いた2燃料混焼運転を開始する副燃料供給開始ステップと、上記発電機の上記商用電源との系統連系を開始する系統連系開始ステップとを順次行い、
    上記発電システムを停止する際には、上記発電機の上記商用電源との系統連系を遮断する系統連系遮断ステップと、上記電磁弁を閉じて上記ガスエンジンへの上記副燃料ガスの供給を遮断する副燃料供給遮断ステップとを順次行うことを特徴とする発電システムの制御方法。
  2. 請求項1において、上記副燃料配管には、圧力レギュレータが設けてあり、
    上記第1ミキサーにおいては、上記電磁弁が開いているときには、上記空気配管から流入する上記燃焼用空気がベンチュリーを通過する際に生じる吸引力に応じて、上記副燃料配管から上記圧力レギュレータによる圧力設定後の上記副燃料ガスが流入することにより、当該燃焼用空気に当該副燃料ガスを混合して、上記第1混合気を作り出すことを特徴とする発電システムの制御方法。
  3. 複数の気筒を備えたガスエンジンと、
    該ガスエンジンの出力によって作動させる発電機と、
    燃焼用空気が供給される空気配管と、
    主燃料ガスが供給される主燃料配管と、
    該主燃料配管に設けたスロットルバルブと、
    上記空気配管から流入する上記燃焼用空気に、上記主燃料配管から上記スロットルバルブによる流量調整後の上記主燃料ガスを混合して、第1混合気を作り出す第1ミキサーと、
    バイオガス等の副燃料ガスが供給される副燃料配管と、
    該副燃料配管に設けた電磁弁と、
    該電磁弁が閉じているときには、上記第1ミキサーから流入する上記第1混合気を通過させる一方、上記電磁弁が開いているときには、上記第1ミキサーから流入する上記第1混合気に、上記副燃料配管から流入する上記副燃料ガスを混合して、第2混合気を作り出す第2ミキサーと、
    上記ガスエンジンからの排ガスを利用し、上記第2ミキサーから流入する上記第2混合気を圧縮して、圧縮混合気を作り出す過給機と、
    該過給機から流入する上記圧縮混合気を、上記複数の気筒へ分岐させて供給する吸気マニホールドと、
    上記発電機の発電出力が目標出力になるよう上記スロットルバルブの開度を調整する制御コンピュータとを有しており、
    上記発電機の発電出力を商用電源と系統連系させたときに、当該発電機に負荷が加えられるよう構成した発電システムの制御方法であって、
    該発電システムを始動する際には、上記電磁弁を閉じて上記主燃料ガスを用いた主燃料単独運転を開始する始動ステップと、上記電磁弁を開けて上記ガスエンジンへの上記副燃料ガスの供給を開始して、上記主燃料ガスと上記副燃料ガスとを用いた2燃料混焼運転を開始する副燃料供給開始ステップと、上記発電機の上記商用電源との系統連系を開始する系統連系開始ステップとを順次行い、
    上記発電システムを停止する際には、上記発電機の上記商用電源との系統連系を遮断する系統連系遮断ステップと、上記電磁弁を閉じて上記ガスエンジンへの上記副燃料ガスの供給を遮断する副燃料供給遮断ステップとを順次行うことを特徴とする発電システムの制御方法。
  4. 請求項3において、上記副燃料配管には、圧力レギュレータが設けてあり、
    上記第2ミキサーにおいては、上記電磁弁が開いているときには、上記第1ミキサーから流入する上記第1混合気がベンチュリーを通過する際に生じる吸引力に応じて、上記副燃料配管から上記圧力レギュレータによる圧力設定後の上記副燃料ガスが流入することにより、当該第1混合気に当該副燃料ガスを混合して、上記第2混合気を作り出すことを特徴とする発電システムの制御方法。
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