JP4319481B2 - 希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、希薄燃焼ガスエンジンにおける燃料ガス供給、給気装置として、シリンダヘッドの給気管に連絡された燃料ガス主管に上流側の第1ガス圧力制御弁と下流側の第2ガス圧制御弁とを設け、前記燃料ガス主管を通してシリンダ内に投入する燃料ガスを、エンジンコントローラにより制御される前記第1圧力制御弁を介してエンジン負荷に応じて予め必要な圧力となるように調整すると共に、エンジンコントローラとガバナにより制御される前記第2圧力制御弁を介してエンジン回転数が目標値となるように供給量を調整し、一方、過給機で圧縮された空気をシリンダに供給する給気管に、前記過給機を迂回するバイパス管を設け、該バイパス管の開閉弁の開度を調節することにより、前記バイパス管を経て過給機の吸入側に戻る空気量を調節して、シリンダ内への給気量を、前記燃料ガスが希薄燃焼となるように負荷によって予め定めた値になるように制御するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−288098号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のようにシリンダに燃料ガスと空気とを別々に供給する方式の希薄燃焼ガスエンジンにおける燃料ガス供給、給気装置では、ガスエンジンの起動時および低負荷時は空気過剰率が高く、複数のシリンダ間における給気、排気のガス交換の抵抗等に関する固体差(機差)の影響を受けて、各シリンダにおける燃料ガスの燃焼が不安定になり、各シリンダ間で排気温度のばらつきが生じたり、着火不良による失火を起こすおそれがあった。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、エンジンの起動時や低負荷時でも燃焼を安定に行うことができ、各シリンダ間における排気温度の偏差を小さくすることができる希薄燃焼ガスエンジンにおける燃料ガス供給、給気装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するために、以下の点を特徴としている。
【0007】
すなわち、請求項1に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置は、給気ダクトを介して吸入した空気を圧縮して給気管を介してシリンダに供給する過給機と、燃料供給源に連絡され燃料ガスを燃料制御弁を介して前記シリンダに供給する燃料供給管と、開閉弁を有する燃料管を介して前記燃料供給源に連絡されると共に、前記過給機の空気吸入口にスロットル弁を有する管路を介して連絡され、前記燃料管を介して供給された燃料ガスを空気と混合するキャブレターと、開閉制御弁を有し前記過給機の空気吸入口側と吐出口側において前記給気ダクトと給気管に連絡されたバイパス管と、前記燃料供給管の燃料制御弁、前記バイパス管の開閉制御弁、前記燃料管の開閉弁、前記管路のスロットル弁の各開閉動作を、ガスエンジンの起動時および低負荷時と中、高負荷時とにおいて切り換えて制御する制御装置とを備え、前記給気ダクトにはその給気口を開閉する給気開閉弁が設けられ、前記制御装置によって、ガスエンジンの低負荷時に、前記開閉弁が開弁すると共に前記スロットル弁が開弁して制御され、前記燃料制御弁と開閉制御弁が閉弁すると共に前記給気開閉弁が初期設定開度に開弁し、ガスエンジンの中、高負荷時に、前記開閉弁とスロットル弁が閉弁し、前記燃料制御弁と開閉制御弁が開弁して制御されると共に前記給気開閉弁が最大開度に開弁するように動作されることを特徴としている。
【0009】
また、請求項2に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置は、請求項1に記載の燃料ガス供給、給気装置において、前記制御装置によって、前記給気開閉弁が初期設定開度から開弁を開始したときに、前記スロットル弁の閉弁動作と前記燃料制御弁の開弁動作が開始され、前記給気開閉弁が前記キャブレターから過給機の空気吸入口への混合気の供給が絶える中間開度に開弁するまでに完了し、また、前記給気開閉弁がその最大開度から、前記キャブレターから過給機の空気吸入口への混合気の供給が始まる中間開度まで閉弁されたときに、前記スロットル弁の開弁動作と前記燃料制御弁の閉弁動作が開始され、前記給気開閉弁が初期設定開度に閉弁するまでに完了するように動作されることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置は、請求項1又は2に記載の燃料ガス供給、給気装置において、前記燃料管に前記キャブレター内の混合気濃度を調整するガス圧調整装置が設けられていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項4に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の燃料ガス供給、給気装置において、前記シリンダからの排気の温度を検出する排気温度センサーが設けられ、前記制御装置は、ガスエンジンの起動直後に、定格回転数、無負荷の運転状態における前記排気温度センサーの検出値にもとづいて、前記給気開閉弁の開度を初期設定開度から所定範囲内で調節することを特徴としている。
【0012】
また、請求項5に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置は、請求項4に記載の燃料ガス供給、給気装置において、前記制御装置は、前記排気温度センサーにより検出される各シリンダの排気温度の平均値の目標値に対する偏差がゼロより大きいときは、前記給気開閉弁の開度を初期設定開度から大きくなるように、また、前記偏差がゼロより小さいときは、前記給気開閉弁の開度を前記初期設定開度から小さくなるように調節することを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置1を示す。該燃料ガス供給、給気装置1は、希薄燃焼ガスエンジンEの複数のシリンダ2と、給気ダクト3を介して吸入した空気を圧縮し、給気主管(給気管)4とその給気枝管(給気管)4aによって前記シリンダ2に供給する過給機5と、電磁弁(燃料制御弁)6を有する燃料枝管(燃料供給管)7aを介して燃料ガスを前記シリンダ2に供給する燃料主管(燃料供給管)7と、前記過給機5の空気吸入口(前記給気ダクト3の下流端側部)に、スロットル弁8を有する管路9を介して連絡され、前記燃料主管7からガス遮断弁(開閉弁)10を有する燃料管11によって供給された燃料ガスを給気口12aから吸入した空気と混合するキャブレター12と、バタフライ弁からなるエアバイパス弁(開閉制御弁)13を有し、前記過給機5の空気吸入口側と吐出口側において前記給気ダクト3と前記給気主管4とを連絡するバイパス管14と、前記給気ダクト3の給気口3aに設けられたバタフライ弁(給気開閉弁)15と、前記ガスエンジンEの運転状態を検出して、その検出結果に応じて、前記電磁弁6、前記スロットル弁8、前記ガス遮断弁10、前記エアバイパス弁13およびバタフライ弁15の各動作を制御する制御装置16とを備えている。
【0014】
前記燃料主管7は、最上流側の燃料枝管6の分岐部より上流側の位置に設けたガス圧制御弁17を介して燃料ガス供給源(燃料供給源)に連絡されており、前記燃料管11は、最下流側の燃料枝管6の分岐部より下流側で前記ガス遮断弁10を介して燃料主管7に連絡されている。そして、前記燃料管11には、前記キャブレター8の給気口12aの給気圧を圧力導管19を介して作用させ、該給気圧と燃料管11内の燃料ガスの圧力との差圧を一定にし、前記キャブレター8内における燃料ガスと空気の混合割合(混合気濃度)を調節するガス圧レギュレータ(ガス圧調整装置)18が設けられている。
なお、前記バイパス管14の給気ダクト3側の端部は、前記管路9と過給機5の空気吸入口(給気ダクト3の下流側)との連絡部と、前記バタフライ弁15との間において給気ダクト3に連絡されている。
【0015】
前記希薄燃焼ガスエンジンEは、図示しないが、シリンダ2とシリンダ2内をその軸方向に往復動するピストンとシリンダヘッドとにより区画される主燃焼室と、該主燃焼室に連絡されてシリンダヘッドに設けられた予燃焼室と、該予燃焼室内に少量のパイロット油を噴射する液体燃料噴射弁とを備え、前記シリンダヘッドに設けた吸気ポートに前記給気枝管4aと前記燃料枝管7aが連絡され、それらの枝管4a,7aから供給されて混合された燃料ガスと空気との希薄混合気が、前記吸気ポートを経て前記主燃焼室内(シリンダ2内)に導入され、前記予燃焼室内に噴射されたパイロット油の燃焼炎を着火源として着火燃焼するようになっている従来周知のものである。そして、希薄燃焼ガスエンジンEの出力軸20には発電機21が連結されており、該発電機21による出力電力が電力線21aから取り出されるようになっている。
【0016】
前記制御装置16は、希薄燃焼ガスエンジンEの全体の動作を制御するエンジンコントローラ22と、該エンジンコントローラ22の指令で動作してエンジンの回転速度を制御する電子ガバナ23とを備えている。前記エンジンコントローラ22は、前記発電機21の出力電力を検出する電力計24の検出値によってエンジンEの負荷を検知し、その負荷に応じて、前記燃料管11のガス遮断弁10の開閉動作と、アクチュエータドライバー25によりアクチュエータ25aを作動させて行う前記エアバイパス弁13の開閉動作、その動作量の制御と、前記電子ガバナ23を介して電磁弁ドライバー26、アクチュエータドライバー27を駆動させ、前記電磁弁6の開閉動作、その動作量の制御およびアクチュエータドライバー27によりアクチュエータ28を作動させて行う前記スロットル弁8の開閉動作、その動作量の制御と、前記バタフライ弁15の開閉動作の制御とをそれぞれ行わせるようになっている。
【0017】
さらに、エンジンコントローラ22は、タイマ22aを内蔵しており、前記バタフライ弁15のキャブレター運転モード(後述)から通常運転モード(後述)への切換時における初期設定開度(実施の形態では全開時の10%開度)から全開(最大開度)への開動作に要する所定時間t1を計測して、設定時間の計時で前記バタフライ弁15の開動作を停止させ、前記運転モード切換の終了を判断するようになっている。
なお、前記バタフライ弁15は、電動により開閉動作を行うものであり、その開閉速度の設定ができ、その設定速度によって全開までの前記所定時間t1が定められ、また、ポテンショメータ−等の開度検出器Pが設けられ、開度の全閉から全開まで無段階に開閉位置を検出して、それらの位置信号により、前記バタフライ弁15の停止、前記電子ガバナ23の動作モード(後述)の切換動作が行われるようになっている。
【0018】
また、前記給気主管4と前記燃料主管7とには、それぞれ給気圧と燃料ガスの供給圧力を検出する給気圧センサー29と燃料圧センサー30が設けられ、それらのセンサー29,30により検出される圧力信号が前記エンジンコントローラ22に入力されており、該エンジンコントローラ22が、それらの圧力信号にもとづく差圧が所定の圧力範囲になるように、アクチュエータ31を作動させて前記ガス圧制御弁17の開度を調整するようになっている。
前記電子ガバナ23は、前記ガスエンジンEの出力軸20に設けた回転計32によって検出されるガスエンジンEの回転数を入力し、その検出値にもとづいてガスエンジンEの回転数が定格回転数を維持するように、前記電磁弁ドライバー26によって前記電磁弁6の開度を調節させると共に、前記アクチュエータドライバー27によって前記アクチュエータ28を作動させて前記スロットル弁8の開度を調節するようになっている。前記電力計24と回転計32はガスエンジンEの運転状態(負荷と回転数)を検出する運転検出器33を構成している。
【0019】
また、前記前記過給機5の排気タービンに連絡された排気主管(排気管)34に各シリンダ2からの排気を導く各排気枝管(排気管)35には、該排気枝管35内を通る各シリンダ2からの排気の温度を検出する排気温度センサー36が設けられ、各排気温度センサー36により検出される温度信号が前記エンジンコントローラ22に入力されており、該エンジンコントローラ22は、キャブレター運転モード時に、前記排気温度と前記電力計24、前記回転計32から入力されたガスエンジンEの負荷、回転数とを検出し、その検出結果に応じて、ガスエンジンEの起動直後の無負荷、定格回転状態において、前記バタフライ弁15の開度を、前記初期設定開度から最大値が20%開度(キャブレター12から過給機5の空気吸入口への混合気の供給が途絶える開度)、最小値が全閉(0%開度)まで大小に微調整させるようになっている。
【0020】
次に、前記第1の実施の形態に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置1の作用と共に、本発明の一実施の形態に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気方法について図2〜図6をも参照して説明する。
前記燃料ガス供給、給気装置1は、希薄燃焼ガスエンジンEの起動時および低負荷時に、燃料ガスをキャブレター12で空気と混合して混合気とし、該混合気を過給機5によって圧縮してシリンダ2に供給する燃料ガス供給、給気の態様(以下、「キャブレター運転モード」と称する)と、希薄燃焼ガスエンジンEの中、高負荷時に、燃料ガスを過給機5によって圧縮された空気と混合してシリンダ2に供給する燃料ガス供給、給気の態様(以下、「通常運転モード」と称する)とに切り換えて希薄燃焼ガスエンジンEを運転させる。
【0021】
すなわち、前記キャブレター運転モードにおいては、前記燃料ガス供給、給気装置1では、前記エンジンコントローラ22の指令により、アクチュエータドライバー25を介してアクチュエータ25aが作動して前記エアバイパス弁13が全閉とされ、前記バタフライ弁15が初期設定開度(全開時の10%開度)にされると共に、前記電子ガバナ23を経て電磁弁ドライバー26を駆動して前記燃料枝管7aの電磁弁6が全閉とされ、前記燃料管11のガス遮断弁10が開かれる。また、前記電子ガバナ23によってアクチュエータドライバー27が駆動されてアクチュエータ28が作動し、前記スロットル弁8がガスエンジンEの負荷と定格回転数に応じて所要の開度に設定されるように制御されている。
【0022】
この状態で、燃料ガス供給源からの燃料ガスが燃料主管7、燃料管11を通って前記キャブレター12に導入されて、給気口12aからの空気と混合されて混合気とされ、この混合気が前記スロットル弁8の前記設定開度に応じた流量で前記過給機5の空気吸入口に導入されて、該過給機5によって圧縮されて給気主管4、給気枝管4aと前記吸気ポート(図示せず)を経て前記シリンダ2に供給され、ガスエンジンEが起動されると共に低負荷(例えば、無負荷から定格負荷の25%までの低負荷領域)で運転される。上記において、燃料ガスが前記キャブレター12に導入される際には、前記燃料管11に設けられているガス圧レギュレータ18によって燃料ガスと空気との混合濃度が一定に調節されている。
【0023】
そして、前記燃料ガス供給、給気装置1が前記キャブレター運転モードから通常運転モードに切り換えて前記ガスエンジンEを運転させるときは、図2に示すように動作する。
すなわち、前記キャブレター運転モードによるガスエンジンEの運転中は、前記エンジンコントローラ22が、前記電力計24の検出値によって検出される前記発電機21の出力電力(電力負荷)にもとづいて、ガスエンジンEに対する負荷(ガスエンジンEの運転状態)を検出しており、その負荷が上昇して、前記エンジンコントローラ22に予め記憶されている前記低負荷領域の上限設定値に達したか否か(運転モードの切換負荷に達したか否か)を判断し(ステップS1)、前記低負荷領域の上限設定値に達したと判断したときには、キャブレター運転モードから通常運転モードへの運転モードの切換動作を実行する。これにより、前記エンジンコントローラ22から前記給気ダクト3のバタフライ弁15に開弁指令が出されて、該バタフライ弁15が10%の開度から全開(開度100%)に向けて開弁を開始する(ステップS2)と共に、エンジンコントローラ22内のタイマー22aが計時を開始し(ステップS3)、また、前記電子ガバナ23の動作モード切換が行われる(ステップS4)。
【0024】
この動作モード切換により、電子ガバナ23から前記電磁弁ドライバー26、アクチュエータドライバー27に所要の制御信号が分配されることにより、前記電磁弁ドライバー26によって各電磁弁6が徐々に所定の開度まで開弁すると同時に、前記アクチュエータドライバー27によってアクチュエータ28が作動されて前記スロットル弁12が閉弁する。そして、前記タイマ22aが予め設定された前記所定時間t1の計時を完了したときは、前記バタフライ弁15が全開位置で停止し、その完了信号によって前記燃料管11のガス遮断弁10が閉弁される(ステップS6)と共に、前記アクチュエータドライバー25によってアクチュエータ25aが作動されて前記バイパス管14のエアバイパス弁13の開閉制御が開始される。前記ガス遮断弁10が閉弁することにより、前記キャブレター12から燃料ガスが前記給気口12aから漏出するのを防止される。
【0025】
前記キャブレター運転モードから通常運転モードへの運転モードの切換時における前記給気ダクト3のバタフライ弁15の開弁動作Aと、前記電磁弁6の開弁作動にもとづくガスエンジンEの制御出力Bと、前記スロットル弁8の閉弁作動にもとづくキャブレター12によるガスエンジンEの制御出力Cとそれらの動作、制御時間との関係は、図4に示す通りとなっている。
すなわち、前記バタフライ弁15は、キャブレター運転域Xでの開度10%を、運転モードの切換開始時T1で開弁を開始してから切換完了時T2の開度100%まで所定時間t1をかけて直線的に流路を広げるように開弁され、前記電磁弁6と前記キャブレター12(スロットル弁8)は、それらによる制御出力B,Cを、前記運転モードの切換開始時T1において、それぞれ、同時に0%から上昇、または所定値から下降させる制御が開始され、それらが完了する時T3までの運転切換域Yを所要切換時間t2をかけて直線的に所定値まで上昇、または0%まで下降させるように制御されて通常運転域Zに入る。
【0026】
前記所要切換時間t2は、前記給気ダクト3のバタフライ弁15がその開度を、キャブレター運転域Xでの10%開度から中間の所定開度(本実施の形態では約20%開度)になる時T4までに要する開弁時間t3より短く設定される。これは、次の理由からである。
前記給気ダクト3のバタフライ弁15を前記初期設定開度(10%開度)から全開へ開いていく場合、初めのうちは給気ダクト3の吸気抵抗が大きいので、殆どの空気は前記キャブレター12から混合気として過給機5に取り入れられるが、徐々に給気ダクト3の給気口3aから過給機5に取り入れられる空気が増えていき、ある開度からは急激に給気ダクト3の吸気抵抗が減り、殆どの空気が給気ダクト3の給気口3aから取り入れられるようになる。このようになると、前記キャブレター12から取り入れられる空気(混合気)が減り、遂に、混合気の過給機への供給が途絶えることとなる。前記キャブレター12から過給機5の空気吸入口への混合気の供給が途絶えるときは、前記給気ダクト3のバタフライ弁15が前記中間の所定開度(約20%開度)になる時T4となる。
【0027】
もし、前記キャブレター12から過給機5の空気吸入口への混合気の供給が途絶える時T4までに、前記電磁弁6の制御出力Bが完全に所定の出力に切り換わっていない場合には、前記過給機5からシリンダ2に供給される空気量に対して燃料主管7,燃料枝管7aからシリンダ2に供給される燃料ガス量が不足することになる。これは、キャブレター運転モードから通常運転モードへの切換時に、シリンダ2に導入される混合気量の瞬間的な変化を起し、ガスエンジンEの回転数変動を生じさせ、その過速度、低速度、前記発電機21による電力の周波数変動に繋がるので好ましくない。
したがって、前記所要切換時間t2は、前記キャブレター12から過給機5の空気給吸入口への混合気の供給が途絶える時T4までに要するバタフライ弁15の開弁時間t3より短く、すなわち、少なくとも前記電磁弁6による制御出力Bと前記キャブレター12による制御出力Cの切換は、前記バタフライ弁15が前記運転モードの切換開始時T1から所定時間t3を経過して前記中間の所定開度に開弁する時T4までに完了するように設定される。
【0028】
前記ガスエンジンEの負荷が前記低負荷からそれを超える中、高負荷に上昇して、前記燃料ガス供給、給気装置1によりガスエンジンEが通常運転モードで運転されるときは、従来と同様に、前記エンジンコントローラ22によって前記バイパス管14のエアバイパス弁13が開弁されると共に、電子ガバナ23を介して電磁弁ドライバー26が駆動されて電磁弁6が開弁されるので、過給機5によって給気ダクト3を介して吸引され圧縮された空気が給気主管4と給気枝管4aを通って吸気ポートからシリンダ2に供給され、一方、燃料ガス供給源から燃料ガスが燃料主管7と燃料枝管7aを通って前記給気ポートに導入され、給気枝管4aからの空気と混合されてシリンダ2へ供給される。その際、前記エンジンコントローラ22により、前記エアバイパス弁13がガスエンジンEの負荷と定格回転数に応じて開度を制御されると共に、前記給気圧センサー29によって検出される給気主管4内の空気圧と、前記ガス圧センサー30によって検出される燃料主管7内の燃料ガス圧とにもとづいて、それらの差圧が予め設定した所定範囲になるように前記ガス圧制御弁17が制御されることにより、前記シリンダ2に供給される空気と燃料ガスとの混合気の空燃比が適切に制御される。
【0029】
次に、前記燃料ガス供給、給気装置1が前記通常運転モードからキャブレター運転モードに切り換えて前記ガスエンジンEを運転させるときは、図3に示すように動作する。
すなわち、前記通常運転モードによるガスエンジンEの運転中は、前記エンジンコントローラ22が、前記電力計24によって検出されるガスエンジンEに対する負荷を検出しており、その負荷が下降して、前記エンジンコントローラ22に予め記憶されている低負荷の設定値(ガスエンジンEの前記低負荷領域に関する上限設定値)に達したか否か(運転モードの切換負荷に達したか否か)を判断し(ステップS8)、前記低負荷の設定値に達したと判断したときには、通常運転モードからキャブレター運転モードへの運転モードの切換を行う。
【0030】
これにより、前記エンジンコントローラ22からの指令で前記ガス遮断弁10が開弁する(ステップS9)と共に、前記給気ダクト3のバタフライ弁15に閉弁指令が出されて、該バタフライ弁15が全開(開度100%)から10%開度(初期設定開度)に向けて閉弁を開始する(ステップS10)。バタフライ弁15が閉弁していき、前記開度検出器Pによって前記電子ガバナ23のモード切換開始を指示する位置(前記中間の所定開度である20%開度の位置)まで閉弁したことが検出される(ステップS11)と、前記エンジンコントローラ22が前記電子ガバナ23にモード切換指令を出力し、これにより、電子ガバナ23が動作モードを通常運転モードからキャブレター運転モードに切り換えて動作を開始する(ステップS12)。
【0031】
この動作モード切換により、電子ガバナ23から前記電磁弁ドライバー26、アクチュエータドライバー27に所要の制御信号が分配されることにより、前記電磁弁ドライバー26によって各電磁弁6が閉弁すると同時に、前記アクチュエータドライバー27によってアクチュエータ28が作動されて前記スロットル弁8が開弁する。そして、前記バタフライ弁15が更に閉弁していって、初期設定開度の位置(開度10%の位置)を開度検出器Pが検出する(ステップS13)と、該開度検出器Pからの信号によってエンジンコントローラ22がバタフライ弁15を前記初期設定開度の位置で停止させる(ステップS14)と共に、アクチュエータドライバー25を介してアクチュエータ25aが作動されてバイパス管14のエアバイパス弁13が全閉とされ(ステップS15)、以後、前述のようにしてキャブレター運転モードによるガスエンジンEの運転が行われる。
【0032】
前記通常運転モードからキャブレター運転モードへの運転モードの切換時における前記給気ダクト3のバタフライ弁15の閉弁動作Aと、前記電磁弁6の閉弁作動にもとづくガスエンジンEの制御出力Bと、前記スロットル弁8の開弁作動にもとづくキャブレター12によるガスエンジンEの制御出力Cとそれらの動作、制御時間との関係は、図5に示す通りとなっている。
すなわち、前記バタフライ弁15は、通常運転域Zでの全開(100%開度)を、運転モードの切換開始時T5で閉弁を開始してから切換完了時T6の前記初期設定開度(10%開度)まで所要時間t4をかけて直線的に流路を狭めるように閉弁され、前記電磁弁6と前記キャブレター12(スロットル弁8)は、前記バタフライ弁15が中間の所定開度(20%開度)まで閉弁した時T7に、運転切換域Yに入り、それらの制御出力B,Cを、それぞれ同時に所定値から下降または0%から上昇させる制御が開始され、それらが完了する時T8まで所定切換時間t5をかけて直線的に0%まで下降または所定値まで上昇させるように制御されてキャブレター運転域Xに入る。
【0033】
なお、前記運転切換域Yにおける所定切換時間t5は、前記バタフライ弁15が前記中間の所定開度(20%開度、キャブレター12から過給機5の空気吸入口への混合気が供給が可能となる開度)に閉弁した時T7から前記初期設定開度(10%開度)への切換完了時T6までの所要時間t6より短くなるように設定される。その理由は、前記キャブレター運転モードから通常運転モードへの運転モード切換時の場合と同様に、前記シリンダ2に導入される混合気量の瞬間的な変化が起って、ガスエンジンEの回転数変動が生じ、これがガスエンジンEの過速度、低速度、前記発電機21による電力の周波数変動に繋がるのを防止するためである。
【0034】
上記に加えて、前記燃料ガス供給、給気装置1は、前記キャブレター運転モードにおいて、ガスエンジンEが起動して無負荷、定格回転数で運転されるときには、図6に示すように動作する。
すなわち、ガスエンジンEが起動すると、前記エンジンコントローラ22が前記回転計32の検出値にもとづいてガスエンジンEの回転数が定格回転数に達したか否かを判断し(ステップS16)、定格回転数に達していれば、前記電力計24からの検出値のもとづいてガスエンジンEが無負荷であるか否かを判断する(ステップS17)。ガスエンジンEが無負荷のとき、エンジンコントローラ22は、前記各排気温度センサー36の検出値にもとづいて、各シリンダ2の排気温度の平均値を算出する(ステップS18)と共に、その平均値を予め内部に記憶されている目標値と比較してその偏差を算出し(ステップS19)、次に、前記偏差の絶対値が予め定めた許容偏差範囲(管理範囲)を超えたか否かを判断し(ステップS20)、超えていない場合には、前記ステップS17に戻って排気温度の監視を続ける。
【0035】
さらに、前記エンジンコントローラ22は、前記ステップS20で前記偏差の絶対値が許容偏差範囲を超えた場合には、前記偏差がゼロを超えているか否かを判断し(ステップS21)、前記偏差がゼロを超えているときは、前記バタフライ弁15の開度検出Pによって検出された開度が、前記初期設定開度(10%開度)からの予め設定した弁開微調整範囲の最大値(前記中間の所定開度である20%開度)に至っているか否かを判断し(ステップS22)、最大値以上となっているときは、そのまま前記ステップS17に戻り、最大値に至っていないときは、前記バタフライ弁15を0.5〜1.0%程度の微量開度だけ開弁調整させ(ステップS23)た後に前記ステップS17に戻る。
【0036】
また、前記ステップS21で、前記偏差がゼロ以下のときは、前記バタフライ弁15の開度検出Pによって検出された開度が、前記初期設定開度からの予め設定した弁開微調整範囲の最小値(0%開度)を超えているか否かを判断し(ステップS24)、最小値となっているときは、そのまま前記ステップS17に戻り、最小値を超えているときは、前記バタフライ弁15を0.5〜1.0%程度の微量開度だけ閉弁調整させ(ステップS25)た後に前記ステップS17に戻る。該ステップS17において電力計24からの信号によりガスエンジンEに負荷が投入されたことが検出されると、排気温度センサー36からの信号による排気温度の監視動作を終了する。
【0037】
このようにして、前記エンジンコントローラ22によって、前記ステップS17〜ステップS25の動作が繰り返えされて、ガスエンジンEの無負荷状態における各シリンダ2の排気温度が監視され、各シリンダ2の排気温度の平均値が目標値より高い場合は、前記バタフライ弁15の開度が、初期設定開度(10%開度)から前記中間の所定開度(20%開度)までの範囲で大きくなるように調整され、また、各シリンダ2の排気温度の平均値が目標値より低い場合は、前記バタフライ弁15の開度が、初期設定開度(10%開度)から全閉までの範囲で小さくなるように微調整されて、各シリンダ2に導入される混合気の空気過剰率が適切な値に調整される。前記ガスエンジンEに負荷が投入されると、消費される燃料ガス量が増えて燃焼が安定するので、前記負荷投入の時点では前記バタフライ弁15による空気過剰率の調整は終了される。
【0038】
前記キャブレター運転モード時における前記バタフライ弁15の前記初期設定開度(実施の形態の例では10%開度)は、一定とされているが、ガスエンジンEの周囲の大気条件の変化、燃料ガスの発熱量の変動等の運転条件の変化に影響されて、キャブレター12からの混合気の空気過剰率が変動することが考えられるが、前記のように、ガスエンジンEの起動直後に、定格回転数、無負荷の運転状態におけるシリンダ2からの排気の温度が監視されて、前記バタフライ弁15の開度が初期設定開度から所定範囲にわたって微調整されることにより、ガスエンジンEの運転条件の変化に対応して、キャブレター12から過給機5を経てシリンダ2に供給される混合気に、該過給機5の空気吸入口で空気が適量混入されて、その空気過剰率が適切に調整される。
【0039】
前記実施の形態に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気方法によれば、ガスエンジンEの起動時および低負荷時に、燃料主管7からガス圧レギュレータ18を備えた燃料管11を経て供給される燃料ガスをキャブレター12によって空気と混合し、この混合気を、スロットル弁8を有する管路9によって過給機5の空気吸入口に導入し、該過給機によって圧縮して前記ガスエンジンEのシリンダ2内に供給し、また、ガスエンジンEの中、高負荷時に、前記燃料主管7から燃料枝管7aを経て供給される燃料ガスを、前記過給機5によって圧縮されて前記給気管4から給気枝管4aを経て送られた空気と混合して、前記シリンダ2に供給する構成とされているので、ガスエンジンEの起動時および低負荷時に、キャブレター運転モードで、燃料ガスと空気との混合気の濃度をキャブレター12によって適切に調整し、この濃度調整された混合気を過給機5を経て前記シリンダ2に供給することができ、これにより、ガスエンジンEのシリンダ2内での混合気の燃焼を失火なく安定して行わせることができると共に、複数のシリンダ2間での排気温度の偏差(ばらつき)を小さくすることができる。また、中、高負荷時に、通常運転モードによる希薄燃焼方式で、従来と同様に高熱効率、低エミッション特性を損なわないガスエンジンEの運転を行うことができる。
【0040】
因みに、図7は、前記燃料ガス供給、給気装置1のキャブレター運転モードによって、6気筒の希薄燃焼ガスエンジンEを起動から無負荷、定格回転で運転した場合において、各シリンダ2の排気温度Hを時間Tの推移によって変化する状態を示したもである。これによると、各シリンダ2間の排気温度の偏差は30℃程度であり、時間Tの推移で変化が少なく安定しており、図8に示すように、従来の希薄燃焼ガスエンジンでは各シリンダ間の排気温度Hの偏差が100℃程度であるのに比べて大幅に改善されていることが判明した。
【0041】
また、前記実施の形態に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置1によれば、給気ダクト3を介して吸入した空気を圧縮して給気主管4、給気枝管4aを介してシリンダ2に供給する過給機5と、燃料ガス供給源に連絡され燃料ガスを電磁弁6を有する燃料枝管7aを介して前記シリンダ2に供給する燃料主管7と、ガス遮断弁10を有する燃料管11を介して前記燃料ガス供給源に連絡されると共に、前記過給機5の空気吸入口にスロットル弁8を有する管路9を介して連絡され、前記燃料管11を介して供給された燃料ガスを空気と混合するキャブレター12と、エアバイパス弁13を有し前記過給機5の空気吸入口側と吐出口側において前記給気ダクト3と給気主管4に連絡されたバイパス管14と、前記燃料枝管7aの電磁弁6、前記バイパス管14のエアバイパス弁13、前記燃料管11のガス遮断弁10、前記管路9のスロットル弁8の各開閉動作を、ガスエンジンEの起動時および低負荷時と中、高負荷時とにおいて切り換えて制御する制御装置16とを備えた構成とされているので、前記燃料ガス供給、給気方法を容易に実施することができ、該燃料ガス供給、給気方法による効果を確実に発揮させることができる。
【0042】
また、前記燃料ガス供給、給気装置1によれば、給気ダクト3にはその給気口3aを開閉するバタフライ弁15が設けられ、制御装置16によって、ガスエンジンEの低負荷時に、燃料管11のガス遮断弁10が開弁すると共にスロットル弁8が開弁して制御され、燃料枝管7aの電磁弁6とバイパス管14のエアバイパス弁13が閉弁すると共に前記バタフライ弁15が初期設定開度(10%開度)に開弁し、ガスエンジンEの中、高負荷時に、前記ガス遮断弁10とスロットル弁8が閉弁し、前記電磁弁6とエアバイパス弁13が開弁して制御されると共に前記バタフライ弁15が最大開度に開弁するように動作される構成としたので、制御装置16によって、ガスエンジンEの低負荷から中、高負荷への運転の切換と、中、高負荷から低負荷への運転の切換を円滑に行うことができる。
【0043】
また、前記燃料ガス供給、給気装置1によれば、制御装置16によって、バタフライ弁15が初期設定開度から開弁を開始したときに、スロットル弁8の閉弁動作と電磁弁6の開弁動作が開始され、前記バタフライ弁15がキャブレター12から給気ダクト3(過給機5の空気吸入口)への混合気の供給が絶える中間開度(20%開度)に開弁するまでに完了し、また、前記バタフライ弁15がその全開から、前記キャブレター12から給気ダクト3(過給機5の空気吸入口)への混合気の供給が始まる中間開度(20%開度)まで閉弁されたときに、前記スロットル弁8の開弁動作と前記電磁弁6の閉弁動作が開始され、前記バタフライ弁15が初期設定開度に閉弁するまでに完了するように動作されるようにしたので、ガスエンジンEの低負荷から中、高負荷への運転の切り換え時と、中、高負荷から低負荷への運転の切り換え時に、前記シリンダ2へ供給される混合気量の瞬間的な変動を確実に抑えることができ、ガスエンジンEの回転数変動を効果的に防止することができる。
【0044】
また、前記燃料ガス供給、給気装置1によれば、燃料管11にキャブレター12内の混合気濃度を調整するガス圧レギュレータ18が設けられているので、ガスエンジンEの起動時および低負荷時において、適切に調節された空気過剰率の混合気を過給機5を通してシリンダ2に供給することができて、該シリンダ2内での一層安定した燃焼を得ることができる。
さらに、前記燃料ガス供給、給気装置1によれば、シリンダ2からの排気の温度を検出する排気温度センサー36が設けられ、制御装置16が、ガスエンジンEの起動直後に、定格回転数、無負荷の運転状態における前記排気温度センサー36の検出値にもとづいて、前記バタフライ弁15の開度を初期設定開度から所定範囲内で調節するようにしたので、大気条件の変化、燃料ガスの発熱量の変動等のガスエンジンEの周囲の運転条件の変化に対応して、キャブレター12からシリンダ2に供給される混合気に給気ダクト3(過給機5の空気吸入口)で空気を混入させて、該混合気の空気過剰率を適切に調節することができる。
【0045】
その場合、制御装置16が、排気温度センサー36により検出される各シリンダ2の排気温度の平均値の目標値に対する偏差がゼロより大きいときは、前記バタフライ弁15の開度を初期設定開度から大きくなるように、また、前記偏差がゼロより小さいときは、前記バタフライ弁15の開度を前記初期設定開度から小さくなるように調節するようにしたので、各シリンダ2間で燃焼の偏差(ばらつき)が大きく生じないように、前記キャブレター12から各シリンダ2に供給される混合気の空気過剰率を一層適切に調整することができる。
【0046】
次に、図9は本発明の第2の実施の形態に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置1Aを示す。該燃料ガス供給、給気装置1Aは、前記燃料ガス供給、給気装置1における各燃料枝管7aに電磁弁6に代えてバランシングバルブ37を設けると共に、前記燃料主管7における前記ガス圧制御弁17と前記ガス圧センサー30との間に燃料ガス制御弁(燃料制御弁)38を設けて、前記電磁弁ドライバー26に代わるアクチュエータドライバー39によって、前記燃料ガス制御弁38の開閉制御の動作を行わせるアクチュエータ40を作動させるようにしたものである。前記バランシングバルブ37は燃料枝管7aの流路の開度を手動で調節するもので、各シリンダ2への燃料ガスの流入量を微調整することができるようになっている。
その他の構成は、前記燃料ガス供給、給気装置1と同じであるので、同一の構成部分には同一符号を付して、それらについての説明は省略する。
【0047】
前記第2の実施の形態に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置1Aにおいては、前記ガスエンジンEが通常運転モードで運転されるときは、前記エンジンコントローラ22によって前記バイパス管14のエアバイパス弁13が開閉制御されると共に、前記電子ガバナ23を介してアクチュエータドライバー39が駆動されてアクチュエータ40が作動され、前記燃料ガス制御弁38が開閉制御されるので、前記過給機5によって給気ダクト3を介して吸引された空気が給気主管4と給気枝管4aを通って吸気ポートからシリンダ2に供給され、一方、燃料ガス供給源から燃料ガスが燃料主管7と燃料枝管7aを通って前記給気ポートに導入され、給気枝管4aからの空気と混合されてシリンダ2へ供給される。その他は前記燃料ガス供給、給気装置1と同様に作用し、燃料ガス供給、給気装置1と同様な効果を奏する。
【0048】
なお、前記実施の形態に係る希薄燃焼ガスエンジン1,1Aにおいては、前記ガスエンジンEの運転状態における負荷を、発電機21の出力電力を検出する電流計24の検出値にもとづいて検出するようにしているが、これに限らず、ガスエンジンEの出力軸20のトルクを検出して、これと回転計32による回転数とから求めるようにしてもよい。また、前記バタフライ弁15の開度位置を検出する開度検出器Pとしてポテンショメーターを使用するのが好ましいが、これに代えてリミットスイッチ、近接スイッチ等を使用することもできる。また、前記バタフライ弁15の初期設定開度と中間の所定開度を、それぞれ全開時の10%開度、20%開度としたが、それらの開度は、ガスエンジンEの運転調整時に決定されるものであり、ガスエンジンEの仕様、使用する燃料ガスの種類等の条件によって他の数値に設定することもできる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば以下の優れた効果を奏する。
請求項1に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置によれば、ガスエンジンの起動時および低負荷時に、キャブレターによって燃料ガスと空気との濃度調整されて適切な空気過剰率の混合気を得て、該混合気を過給機を経て前記シリンダに供給することができるので、ガスエンジンのシリンダ内での混合気の燃焼を失火なく安定して行わせることができると共に、複数のシリンダ間での排気温度の偏差を小さくすることができる。また、中、高負荷時に、従来と同様に高熱効率、低エミッション特性を損なわないガスエンジンの運転を行うことができる。さらに、制御装置によって、ガスエンジンの低負荷から中、高負荷への運転の切換と、中、高負荷から低負荷への運転の切換を円滑に行うことができる。
【0052】
請求項2に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置によれば、ガスエンジンの低負荷から中、高負荷への運転の切換時と、中、高負荷から低負荷への運転の切換時に、シリンダへ供給される混合気量の瞬間的な変動を確実に抑えることができ、ガスエンジンの回転数変動を効果的に防止することができる。
【0053】
請求項3に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置によれば、ガスエンジンの起動時および低負荷時において、キャブレターで一層適切に調節された空気過剰率の混合気を過給機を通してシリンダ内に供給することができて、該シリンダ内での一層安定した燃焼を得ることができる。
【0054】
請求項4に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置によれば、大気条件の変化、燃料ガスの発熱量の変動等のガスエンジンの周囲の運転条件の変化に対応して、キャブレターからシリンダ内に供給される混合気に給気ダクトで空気を混入させて、該混合気の空気過剰率を適切に調節することができる。
【0055】
請求項5に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置によれば、複数のシリンダ間で燃焼のばらつきが生じないように、キャブレターから各シリンダに供給される混合気の空気過剰率を一層適切に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置を示す系統図である。
【図2】 本発明の一実施の形態に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置の作用(キャブレター運転モード)を示すフロー図である。
【図3】 本発明の一実施の形態に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置の作用(通常運転モード)を示すフロー図である。
【図4】 本発明の一実施の形態に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置の1つの運転モード切換時における動作状態を示す線図である。
【図5】 本発明の一実施の形態に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置の他の運転モード切換時における動作状態を示す線図である。
【図6】 本発明の一実施の形態に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置の作用(キャブレター運転モード)を示すフロー図である。
【図7】 本発明の一実施の形態に係る燃料ガス供給、給気装置による希薄燃焼ガスエンジンの起動から無負荷運転時の排気温度の変化を示す線図である。
【図8】 従来の燃料ガス供給、給気装置による希薄燃焼ガスエンジンの起動から無負荷運転時の排気温度の変化を示す線図である。
【図9】 本発明の第2の実施の形態に係る希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置を示す系統図である。
【符号の説明】
1 燃料ガス供給、給気装置
2 シリンダ
3 給気ダクト
4 給気主管(給気管)
4a 給気枝管(給気管)
5 過給機
6 電磁弁(燃料制御弁)
7 燃料主管(燃料供給管)
7a 燃料枝管(燃料供給管)
8 スロットル弁
9 管路
10 ガス遮断弁(開閉弁)
11 燃料管
12 キャブレター
13 エアバイパス弁(開閉制御弁)
14 バイパス管
15 バタフライ弁(給気開閉弁)
16 制御装置
18 ガス圧レギュレータ(ガス圧調整装置)
21 発電機
22 エンジンコントローラ
23 電子ガバナ
24 電力計
E 希薄燃焼ガスエンジン
Claims (5)
- 給気ダクトを介して吸入した空気を圧縮して給気管を介してシリンダに供給する過給機と、燃料供給源に連絡され燃料ガスを燃料制御弁を介して前記シリンダに供給する燃料供給管と、開閉弁を有する燃料管を介して前記燃料供給源に連絡されると共に、前記過給機の空気吸入口にスロットル弁を有する管路を介して連絡され、前記燃料管を介して供給された燃料ガスを空気と混合するキャブレターと、開閉制御弁を有し前記過給機の空気吸入口側と吐出口側において前記給気ダクトと給気管に連絡されたバイパス管と、前記燃料供給管の燃料制御弁、前記バイパス管の開閉制御弁、前記燃料管の開閉弁、前記管路のスロットル弁の各開閉動作を、ガスエンジンの起動時および低負荷時と中、高負荷時とにおいて切り換えて制御する制御装置とを備え、
前記給気ダクトにはその給気口を開閉する給気開閉弁が設けられ、前記制御装置によって、ガスエンジンの低負荷時に、前記開閉弁が開弁すると共に前記スロットル弁が開弁して制御され、前記燃料制御弁と開閉制御弁が閉弁すると共に前記給気開閉弁が初期設定開度に開弁し、ガスエンジンの中、高負荷時に、前記開閉弁とスロットル弁が閉弁し、前記燃料制御弁と開閉制御弁が開弁して制御されると共に前記給気開閉弁が最大開度に開弁するように動作されることを特徴とする希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置。 - 前記制御装置によって、前記給気開閉弁が初期設定開度から開弁を開始したときに、前記スロットル弁の閉弁動作と前記燃料制御弁の開弁動作が開始され、前記給気開閉弁が前記キャブレターから過給機の空気吸入口への混合気の供給が絶える中間開度に開弁するまでに完了し、また、前記給気開閉弁がその最大開度から、前記キャブレターから過給機の空気吸入口への混合気の供給が始まる中間開度まで閉弁されたときに、前記スロットル弁の開弁動作と前記燃料制御弁の閉弁動作が開始され、前記給気開閉弁が初期設定開度に閉弁するまでに完了するように動作されることを特徴とする請求項1に記載の希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置。
- 前記燃料管に前記キャブレター内の混合気濃度を調整するガス圧調整装置が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置。
- 前記シリンダからの排気の温度を検出する排気温度センサーが設けられ、前記制御装置は、ガスエンジンの起動直後に、定格回転数、無負荷の運転状態における前記排気温度センサーの検出値にもとづいて、前記給気開閉弁の開度を初期設定開度から所定範囲内で調節することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置。
- 前記制御装置は、前記排気温度センサーにより検出される各シリンダの排気温度の平均値の目標値に対する偏差がゼロより大きいときは、前記給気開閉弁の開度を初期設定開度から大きくなるように、また、前記偏差がゼロより小さいときは、前記給気開閉弁の開度を前記初期設定開度から小さくなるように調節することを特徴とする請求項4に記載の希薄燃焼ガスエンジンの燃料ガス供給、給気装置。
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