JP4660500B2 - 内燃機関の燃料供給機構 - Google Patents
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Description
前記主燃料ガスに対して当該主燃料ガスよりも高い発熱量を有する高発熱量ガスを混合可能、且つ、その混合量を調整可能な高発熱量ガス調整手段と、
前記高発熱量ガス調整手段を作動させて前記高発熱量ガスの混合量を制御する高発熱量ガス混合制御を実行する制御手段とを備えた内燃機関の燃料供給機構に関する。
即ち、燃焼室に供給される燃料ガスの発熱量が減少した場合には、発熱量の減少に伴う出力減少を抑制するべく、吸気路に設けられたスロットルバルブの開度が拡大され燃焼室への吸気量が増加されるので、結果、燃料ガスに対する空気の流量が多くなって、燃焼室に吸気される混合気の当量比が低下(リーン化)する。逆に、燃焼室に供給される燃料ガスの発熱量が増加した場合には、発熱量の増加に伴う出力増加を抑制するべく、吸気路に設けられたスロットルバルブの開度が縮小され燃焼室への吸気量が減少されるので、結果、燃料ガスに対する空気の量が少なくなって、燃焼室に吸気される混合気の当量比が上昇(リッチ化)する。
そして、上記のように燃焼室に吸気される混合気の当量比が変動すると、燃焼室における燃焼状態が不安定となり、当量比のリーン化に伴う不完全燃焼や失火の発生、当量比のリッチ化に伴うNOx(窒素酸化物)排出量の増加やノッキングの発生、更には、過負荷による故障の発生などの問題発生が懸念される。
更には、この発熱量計測装置において発熱量を計測するのに必要な時間分混合量制御に遅れが生じることから、燃焼状態を十分に安定化させることができない場合があった。
前記主燃料ガスに対して当該主燃料ガスよりも高い発熱量を有する高発熱量ガスを混合可能、且つ、その混合量を調整可能な高発熱量ガス調整手段と、
前記高発熱量ガス調整手段を作動させて前記高発熱量ガスの混合量を制御する高発熱量ガス混合制御を実行する制御手段とを備えた内燃機関の燃料供給機構であって、
前記燃焼室から排出された排ガスのNOx濃度を検出するNOx濃度検出手段を備え、
前記制御手段が、前記高発熱量ガス混合制御において、前記NOx濃度検出手段で検出されたNOx濃度が減少するほど、前記主燃料ガスに対する前記高発熱量ガスの混合量を増加させ、前記NOx濃度検出手段で検出されたNOx濃度が増加するほど、前記主燃料ガスに対する前記高発熱量ガスの混合量を減少させる点にある。
即ち、上記NOx濃度検出手段により検出されるNOx濃度は、上記燃焼室に供給される燃料ガスの発熱量の変動に応じて変動するものとなる。よって、そのNOx濃度を指標として上記高発熱量ガス混合制御を実行することで、主燃料ガスに高発熱量ガスが適宜混合され燃焼室に供給される燃料ガスの発熱量を安定させることができ、その燃料ガスを燃焼室に供給して燃焼室における燃焼状態を安定化させることができる。
そこで、前記制御手段が、前記高発熱量ガス混合制御において、前記NOx濃度検出手段で検出されたNOx濃度が減少するほど、前記主燃料ガスに対する前記高発熱量ガスの混合量を増加させ、前記NOx濃度検出手段で検出されたNOx濃度が増加するほど、前記主燃料ガスに対する前記高発熱量ガスの混合量を減少させると、上記高発熱量ガス混合制御において、主燃料ガスに対する高発熱量ガスの混合量を適切に調整することができ、燃焼室に供給される燃料ガスの発熱量を安定させることができる。
即ち、上記出力減少制御により内燃機関の出力を減少させるのに伴って、吸気路に設けられたスロットルバルブの開度が縮小されるので、燃焼室への吸気量が減少し、結果、燃料ガスに対する空気の量が少なくなって、燃焼室に吸気される混合気の当量比の過剰なリーン化を緩和することができる。
前記制御手段が、前記NOx濃度検出手段の検出結果に基づいて、前記低発熱量ガス調整手段を作動させて前記NOx濃度検出手段で検出されたNOx濃度が増加するほど前記主燃料ガスに対する前記低発熱量ガスの混合量を増加させ、前記NOx濃度検出手段で検出されたNOx濃度が減少するほど前記主燃料ガスに対する前記高発熱量ガスの混合量を減少させる点にある。
即ち、上記燃焼室に供給される燃料ガスの発熱量の変動に応じて変動するNOx濃度を指標として、上記低発熱量ガス混合制御を実行することで、主燃料ガスに低発熱量ガスが適宜混合され燃焼室に供給される燃料ガスの発熱量を安定させることができ、結果、その燃料ガスを燃焼室に供給して燃焼室における燃焼状態を安定化させることができる。
特に、上述した高発熱量ガス混合制御において主燃料ガスに対する高発熱量ガスの混合量をゼロにまで減少させたのにもかかわらず、上記NOx濃度が予め設定した上限値を上回った場合には、燃焼室に吸気される混合気の当量比が未だリッチ化しているとして、上記制御手段により上記低発熱量ガス混合制御を実行して、主燃料ガスに対する低発熱量ガスの混合量を増加させることが好ましい。これにより、その当量比のリッチ化を緩和し、当該リッチ化に伴うNOx(窒素酸化物)排出量の増加やノッキングの発生、更には、過負荷による故障の発生などを抑制することができる。
先ず、内燃機関の一例であるエンジン1の構成について、図1に基づいて説明する。
尚、図1は、燃料ガスGを燃焼室15に供給して燃焼させるエンジン1(内燃機関の一例)の概略構成図である。
吸気路12を流通する空気Aは、混合部13により燃料ガスGが混合されることで混合気Mとなって、燃焼室15に吸気される。
そして、燃焼室15に吸気された混合気Mは、ピストン17の上昇により圧縮された後に、火花点火や圧縮着火などにより点火・着火されて燃焼・膨張してピストン17を押し下げ軸動力を出力する。
また、燃焼室15で生成された排ガスEは、ピストン17の上昇に伴って、排気路16に排出される。
更に、混合部13は、吸気路12を縮径してなるベンチュリ部に燃料ガス路10の先端部を開口させてなるベンチュリミキサとして構成されている。即ち、この種のベンチュリミキサは、吸気路12を流通する空気Aが上記縮径されたベンチュリ部を高速で通過することで圧力低下を発生させ、この圧力低下を利用して、燃料ガス路10から供給された燃料ガスGを、吸気路12に流通する空気Aに供給して、吸気路12に混合気Mを形成するように構成されている。
また、このようにベンチュリミキサとして構成された混合部13は、上記空気Aの流速に応じた圧力低下が発生することから、空気Aに対して一定の割合の燃料ガスGが混合されることになる。
即ち、燃焼室15に供給される燃料ガスGの発熱量が減少又は増加した場合には、その発熱量の減少又は増加に伴う出力減少又は出力増加を抑制するべく、吸気路12に設けられたスロットルバルブ14の開度が拡大又は縮小されて燃焼室15への吸気量(燃焼室15に供給される混合気Mの量)が増加又は減少される。結果、混合部13における空気Aの流量が増加又は減少、燃焼室15に吸気される混合気の当量比が低下(リーン化)又は上昇(リッチ化)することになる。また、このように燃焼室15に吸気される混合気Mの当量比が変動すると、燃焼室15における燃焼状態が不安定となり、問題である。
以下、その燃料供給機構50の第1実施形態及び第2実施形態について図面に基づいて説明する。
以下、第1実施形態の燃料供給機構50の構成について、図2〜図4に基づいて説明する。
尚、詳細については後述するが、図2は、上述したようなエンジン1において燃料ガスGを供給する第1実施形態の燃料供給機構50の概略構成図であり、図3は、NOxセンサ3で検出されたNOx濃度N及び高発熱量ガス調整弁4の開度VHの経時的な変化傾向を示すグラフ図であり、図4は、制御装置2により実行される制御のフロー図である。
そして、NOxセンサ3で検出されたNOx濃度Nの変動状態を監視することにより、燃焼室15に供給される燃料ガスGの発熱量の変動を認識することができる。具体的には、NOx濃度Nが減少した場合には、燃焼室15において吸気された混合気Mの当量比低下に伴って燃焼温度が低下したことに起因するものであるとして、燃焼室15に供給された燃料ガスGの発熱量が減少したと認識することができる。逆に、NOx濃度Nが増加した場合には、燃焼室15において吸気された混合気Mの当量比上昇に伴って燃焼温度が上昇したことに起因するものであるとして、燃焼室15に供給された燃料ガスGの発熱量が増加したと認識することができる。
以下、制御装置2により実行される高発熱量ガス混合制御の具体的な処理フローについて、図3及び図4に基づいて説明を加える。
尚、これら下限値NLは、ある出力Pでエンジン1を運転した場合に、燃焼室15において安定した燃焼状態が維持されている場合のNOx濃度Nの許容範囲における下限値として設定される値である。そして、このNOx濃度Nの許容範囲の下限値NLとエンジン1の出力Pとの相関関数は、予め実験等により求めておくことができる。
上記ステップ#14において主燃料ガスGOに対する高発熱量ガスGHの混合量が徐々に増加されることで、燃焼室15に供給される燃料ガスGの発熱量が徐々に増加され、燃焼室15に吸気される混合気Mの過剰なリーン化が抑制されて、不完全燃焼や失火の発生が抑制される。
上記ステップ#16において主燃料ガスGOに対する高発熱量ガスGHの混合量が徐々に減少されることで、燃焼室15に供給される燃料ガスGの発熱量が徐々に減少され、燃焼室15に吸気される混合気Mの当量比が適切な状態となって運転が継続されることになる。
以下、第2実施形態の燃料供給機構50の構成について、図5〜図7に基づいて説明する。上記第1実施形態と同様の構成については説明を割愛する。
尚、図5は、上述したようなエンジン1において燃料ガスGを供給する第2実施形態の燃料供給機構50の概略構成図であり、図6は、NOxセンサ3で検出されたNOx濃度N及び高発熱量ガス調整弁4の開度VH及び低発熱量ガス調整弁5の開度VLの経時的な変化傾向を示すグラフ図であり、図7は、制御装置2により実行される制御フロー図である。
以下、制御装置2により実行される高発熱量ガス混合制御と低発熱量ガス混合制御との具体的な処理フローについて、図6及び図7に基づいて説明を加える。
尚、これら下限値NL及び上限値NHは、ある出力Pでエンジン1を運転した場合に、燃焼室15において安定した燃焼状態が維持されている場合のNOx濃度Nの許容範囲における下限値及び上限値として設定される値である。そして、このNOx濃度Nの許容範囲の下限値NL及び上限値NHとエンジン1の出力Pとの相関関数は、予め実験等により求めておくことができる。
そして、上記ステップ#23でNOx濃度Nが下限値NLを下回っていると判定されたときには、燃料ガスGの発熱量が小さすぎるために燃焼室15に吸気される混合気Mの当量比が過剰にリーン化しているとして、図6にも示すように、上記ステップ#24で低発熱量ガス調整弁5が全閉状態であると判定した場合には、高発熱量ガス調整弁4の開度VHが所定幅ΔVHずつ拡大されて、主燃料ガスGOに対する高発熱量ガスGHの混合量が徐々に増加される(ステップ#25)。尚、上記ステップ#24で低発熱量ガス調整弁5が全閉状態ではないと判定した場合には、低発熱量ガス調整弁5の開度VLが所定幅ΔVLずつ縮小されて、主燃料ガスGOに対する低発熱量ガスGLの混合量が徐々に減少される(ステップ#30)。
また、上記主燃料ガスGOよりも高い発熱量を有する高発熱量ガスGHとしては、都市ガス13A以外に、プロパン(発熱量:93MJ)やメタン(発熱量:36MJ)等のように、発熱量が比較的高い燃料ガスを用いることができる。
一方、上記主燃料ガスGOよりも低い発熱量を有する低発熱量ガスGLとしては、空気以外に、水素(発熱量:11MJ)や一酸化炭素(発熱量:13MJ)等のように、発熱量が比較的低い燃料ガスを用いることができる。
即ち、図8に示すエンジン1’は、吸気路12に過給機19が設けられており、その過給機19により、混合部13で形成された混合気Mを加圧して燃焼室15に供給する過給式のエンジンとして構成されている。
混合部13は、吸気路12に対して燃料ガス路13を接続する接続部として過給機19の上流側に設けられており、更に、燃料ガス路10には、燃料ガスGの混合部13への供給量を調整可能な燃料制御弁18が設けられている。
一方、吸気路12における過給機19の下流側には、吸気路12における圧力(以下、吸気圧力と呼ぶ。)を検出する圧力センサ20が設けられており、この圧力センサ20で検出された吸気圧力は制御装置2に入力される。
そして、制御装置2は、圧力センサ20で検出された吸気圧力とエンジン1’の発電出力とに基づいて燃料制御弁18の開度を制御することで、混合部13において空気Aに対して一定の割合の燃料ガスGが混合されるようになる。
そして、このようなエンジン1’においても、燃料ガスGの発熱量が上記主燃料ガスGOと同様に変動した場合には、燃焼室15に吸気される混合気Mの当量比も変動してしまう。
即ち、燃焼室15に供給される燃料ガスGの発熱量が減少又は増加した場合には、吸気路12に設けられたスロットルバルブ14の開度が拡大又は縮小されて、圧力センサ20で検出される吸気圧力が増加又は減少する。結果、制御装置2は、吸気圧力の増加又は減少に応じて、混合部13への燃料供給量を増加又は減少させるので、結果、燃焼室15に吸気される混合気の当量比が低下(リーン化)又は上昇(リッチ化)することになる。
2:制御装置(制御手段)
3:NOxセンサ(NOx濃度検出手段)
4:高発熱量ガス調整弁(高発熱量ガス調整手段)
5:低発熱量ガス調整弁(低発熱量ガス調整手段)
15:燃焼室
16:排気路
50:燃料供給機構
E:排ガス
G:燃料ガス
GH:高発熱量ガス
GL:低発熱量ガス
GO:主燃料ガス
N:NOx濃度
NH1,NH2:上限値
NL1,NL2:下限値
Claims (3)
- 発熱量の変動要因を有する主燃料ガスを燃焼室に供給して燃焼させる内燃機関において、
前記主燃料ガスに対して当該主燃料ガスよりも高い発熱量を有する高発熱量ガスを混合可能、且つ、その混合量を調整可能な高発熱量ガス調整手段と、
前記高発熱量ガス調整手段を作動させて前記高発熱量ガスの混合量を制御する高発熱量ガス混合制御を実行する制御手段とを備えた内燃機関の燃料供給機構であって、
前記燃焼室から排出された排ガスのNOx濃度を検出するNOx濃度検出手段を備え、
前記制御手段が、前記高発熱量ガス混合制御において、前記NOx濃度検出手段で検出されたNOx濃度が減少するほど、前記主燃料ガスに対する前記高発熱量ガスの混合量を増加させ、前記NOx濃度検出手段で検出されたNOx濃度が増加するほど、前記主燃料ガスに対する前記高発熱量ガスの混合量を減少させる内燃機関の燃料供給機構。 - 前記制御手段が、前記NOx濃度検出手段で検出されたNOx濃度が所定の下限値を下回った場合に前記内燃機関の出力を減少させる出力減少制御を実行する請求項1に記載の内燃機関の燃料供給機構。
- 前記主燃料ガスに対して当該主燃料ガスよりも低い発熱量を有する低発熱量ガスを混合可能、且つ、その混合量を調整可能な低発熱量ガス調整手段を備え、
前記制御手段が、前記NOx濃度検出手段の検出結果に基づいて、前記低発熱量ガス調整手段を作動させて、前記NOx濃度検出手段で検出されたNOx濃度が増加するほど前記主燃料ガスに対する前記低発熱量ガスの混合量を増加させ、前記NOx濃度検出手段で検出されたNOx濃度が減少するほど前記主燃料ガスに対する前記高発熱量ガスの混合量を減少させる低発熱量ガス混合制御を実行する請求項1又は2に記載の内燃機関の燃料供給機構。
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