JP2008206490A - チョコレート添加剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】
チョコレートに添加した際に、容易に均一に分散できるような作業性の良い、チョコレート添加剤において、より製造しやすく、かつ低コストである製品が望まれていた。
【解決手段】
油脂の20℃におけるSFCが0.5〜20であるペースト状油脂に構成飽和脂肪酸の炭素数が20以上であるSUS型トリグリセリドの安定型結晶を加えてなるチョコレート添加剤であり、好ましくは、チョコレート添加剤中の1,3−ジベヘニル−2−オレオイルグリセリンにおいて、安定型結晶の比率が、50〜90%であるチョコレート添加剤により、作業性が良好なテンパリング促進剤であり、かつ効果的にチョコレートのファットブルームの発生を抑制でき、さらに、製造効率がよく、製品コストの低減にも寄与することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、テンパリング促進効果及びファットブルーム抑制効果を有するチョコレート添加剤に関するものである。
一般に、チョコレートは、カカオマス、ココアバター、砂糖、粉乳等を主原料とし、これら原料を適宜混合し、ロール掛け(微粒化)、コンチング(精練)、およびテンパリング(調温)処理して製造されている。このようなチョコレートの製造には、そのテンパリング処理により、チョコレート中のココアバター等の油脂を安定な結晶型に移行させ固化させることが重要であり、そのために、工業的生産では、融解したチョコレート組成物を、強制的に冷却する工程と再加温(リヒート)する工程を有する複雑な工程が必要とされている。
しかしながら、テンパリングが不十分であったり、製造後のチョコレートの流通、保存段階において極端な温度変化があったりすると、しばしば、ファットブルームと呼ばれるチョコレート表面上に白い粉を吹いた現象が現れ、商品価値を著しく損なうといった問題が発生する。
特に、チョコレートが体温付近のような高温に一定時間曝される場合には、いかに良好なテンパリング処理を行ってもファットブルームの発生を防止することは困難である。
一方、従来から、このような複雑なテンパリング工程を省略ないしは簡略化したチョコレート製造方法として、微粉砕化したチョコレートの粉末、ココアバターの粉末、または、特定のトリグリセリド組成をもつ油脂の粉末を、溶融したチョコレート組成物に添加混合して製造する方法がある。このようなチョコレートの製造法は、通常シーディング法と呼ばれており、近年、ココアバターのトリグリセリド組成に類似させた特定のグリセリド組成物を添加する方法が開発されており、また、製品チョコレートが体温付近の高温に、一定時間曝される場合のファットブルームを防止する方法として、粉末状粒子のチョコレート添加剤を用いる方法も提案されている。(特許文献1〜3)
しかし、シーディング法により製造されたチョコレートは、添加されたシードが十分に機能しなかった場合、ファットファットブルームが現れやすく、このシーディング法によるチョコレート製造を困難とする問題がしばしば発生する。
特に、みかけ比重の軽い粉末状のチョコレート添加剤を用いた場合は、十分な攪拌が加えられないと、チョコレート中に均一に安定型結晶粉末が分散せず、テンパリングが不十分となり、ファットブルームが発生してしまうことがあり、改善の余地がある。
そこで、粘性のあるチョコレートに添加した際に、容易に分散できるような、液状油ベースのチョコレート添加剤が提案されている(特許文献4)。
しかしながら、液状油ベースのチョコレート添加剤の場合、その製造工程において、液状の油に油脂結晶を分散させる際に、油脂結晶を均一に液状油中に分散させることが容易でなく製造効率に問題がある。
さらに、チョコレートのシードとなるような、安定型結晶の油脂を得るため、油脂結晶を安定型に転移させる必要がある。そのためには油脂結晶を安定型融点の直下で長時間エージングさせる工程が必須であり、製造コストは高くなる。特に油脂を構成する脂肪酸が炭素数20以上の長鎖飽和脂肪酸である場合、その傾向は著しく、高価な安定型結晶の使用量を少しでも減らすことができるようなチョコレート添加剤が望まれていた。
特開昭63−240745公報 特開昭64−060330公報 特開平2−000406公報 特開平2−242639公報
粘性のあるチョコレートに添加した際に、容易に均一に分散できるような作業性の良い、チョコレート添加剤において、より製造しやすく、かつ低コストである製品が望まれていた。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ペースト状油脂にSUS型トリグリセリドの安定型結晶を加えてなるチョコレート添加剤がチョコレート生地中への分散がよく、作業性が良好なテンパリング促進剤であり、かつチョコレートのファットブルームの発生を効果的に抑制でき、さらに、安定型結晶の分散工程における製造効率がよく、製品コストの低減にも寄与するという知見を得、本発明を完成した。
すなわち、本発明の
第1は20℃におけるSFCが0.5〜20であるペースト状油脂にSUS型トリグリセリド(Sは飽和脂肪酸残基、Uは不飽和脂肪酸残基)の安定型結晶を加えてなるチョコレート添加剤である。
第2はSUS型トリグリセリド中のSの炭素数が20以上である、第1記載のチョコレート添加剤である。
第3はペースト状油脂中にもSUS型トリグリセリドを含んでなる第1記載のチョコレート添加剤である。
第4はペースト状油脂中のS、および安定型結晶として加えるSUS型トリグリセリド中のSの炭素数がともに20以上である、第3記載のチョコレート添加剤である。
第5はチョコレート添加剤中の1,3−ジベヘニル−2−オレオイルグリセリンにおいて、安定型結晶の比率が50〜90%である第4記載のチョコレート添加剤である。
本発明のチョコレート添加剤は、チョコレート生地中への分散がよいため、作業性が良好なテンパリング促進剤であり、かつチョコレートのファットブルームの発生を効果的に抑制でき、さらに、製造効率がよく、製品コストの低減にも寄与するところ大である。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明は、ペースト状油脂にSUS型トリグリセリドの安定型結晶を加えてなるチョコレート添加剤であるが、SUS型トリグリセリドとは、1、3ジ飽和−2−不飽和グリセリドのことを表す(Sは飽和脂肪酸残基、Uは不飽和脂肪酸残基)。上記飽和脂肪酸には、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸などがあり、上記不飽和脂肪酸には、オレイン酸、リノール酸などがある。
本発明において、ペースト状油脂に加えるSUS型トリグリセリドは安定型結晶である必要があるが、ここでいう安定型結晶とは、X線回折スペクトルで短面間隔(側面間隔)のピークが4本以上あらわれる結晶型であり、好ましくは、R.L.WilleおよびE.S.Luttonがココアバターの結晶型について命名している方法[J.A.O.C.S.,43,491−496(1966)]での、V型以上の安定な結晶型をいう。
ペースト状油脂に加えるSUS型トリグリセリドが安定型結晶でないと、チョコレート添加剤をそのまま用いたときに、テンパリング促進効果を得ることが困難となり、ペースト状油脂中で安定化させようとしても極めて長時間を要し実際的ではない。
本発明におけるペースト状油脂は、20〜35℃において、液状ではなくペースト状であり、粘性を有するペースト状態であることにより、チョコレート添加剤の製造工程において、SUS型トリグリセリドの安定型結晶を容易に、均一に分散させることが容易になる。また、本発明のペースト状油脂は、20℃におけるSFCが下限は0.5以上好ましくは11以上、上限は20以下好ましくは15以下である。このSFCとは油脂の固体脂含量のことであるが、その測定方法は油脂を80℃で30分置くことによって、完全融解後、60℃で30分、0℃で1時間置いた後に、20℃で30分温調後に測定した値によって規定される。ペースト状油脂の20℃におけるSFCが0.5未満の場合は、ペースト状油脂の粘性が低すぎるため液状を示し、SUS型トリグリセリドの安定型結晶の分散が容易でなく、製造効率が低下する。また、ペースト状油脂の20℃におけるSFCが20を超えると、ペースト状油脂の粘性が高すぎ、SUS型トリグリセリドの安定型結晶の分散が困難となり、製造効率が低下する。
ペースト状油脂に用いられる油脂としては、食用油脂であれば特に限定されないが、例えば、動物油、植物油等の天然油、及びこれらの油脂の硬化油、分別油、エステル交換油、ランダムエステル交換油等の単独油あるいは混合油が使用できる。
本発明において、ペースト状油脂に安定型結晶として加えるSUS型トリグリセリドのSの炭素数は20以上であることが好ましく、チョコレート添加剤を使用したチョコレートが比較的高温のファットブルームに耐える性質のためには、或いは、体温を超えるような高温に曝された後に、艶のあるチョコレートに復帰する機能(自動復帰機能)を期待するには、1、3−ジベヘノイル−2−オレイルグリセリド(BOB)が好適である。
安定型の結晶は、トリグリセリドを融点付近の温度よりも低温(特に安定型結晶の融点以下の温度)で一定時間以上熟成することによって得ることができるが、トリグリセリド油脂を小分割された状態、例えば粉末状にすることによりその熟成時間を短縮することができる。また、トリグリセリドを溶剤(例えばヘキサン、アセトン等の有機溶剤、超臨界ガス)とのミセラにし、それから析出させた結晶は、特に熟成させずとも一般に安定であるので、この析出した結晶を融解することなく脱溶剤(例えば、真空化に脱溶剤)することにより、安定型結晶にして使用することができる。
本発明において、ペースト状油脂に加えるSUS型トリグリセリドの配合量は、ペースト状油脂100に対して30以上〜45の比率であることが好ましく、20未満では、テンパリング促進効果を得るために、チョコレートに添加する量が多くなってしまい不適であり、50を超えると、得られたチョコレート添加剤の物性が硬くなってしまい、チョコレートに添加した際に容易に分散しないといった問題が生じる。
本発明において、チョコレート添加剤としてのテンパリング促進機能を高めるため、ペースト状油脂にもSUS型トリグリセリドを含んでいることが好ましいが、このSUS型トリグリセリドは安定型結晶である必要はない。
また、本発明において、ペースト状油脂中のS、およびペースト状油脂に安定型結晶として加えるSUS型トリグリセリド中のSの炭素数がともに、20以上であることが好ましく、これにより、チョコレート添加剤として、より効果的にシード機能および自動復帰機能を発揮させることができる。
さらに、本発明において、ペースト状油脂中のSUS型トリグリセリド、および安定型結晶として加えるSUS型トリグリセリドが、ともに1、3−ジベヘノイル−2−オレイルグリセリド(BOB)であることが好適であり、これにより、安定型結晶として加える1、3−ジベヘノイル−2−オレイルグリセリド(BOB)の比率を減らすことができる。その比率は、チョコレート添加剤中の1,3−ジベヘニル−2−オレオイルグリセリン(BOB)中において、安定型結晶の比率が50〜90%である。もちろん、チョコレート添加剤中のBOBが100%安定型結晶でもよく、この場合は、安定型結晶のBOBの使用量を減らすことができる、しかし、安定型結晶の比率が下限未満では、シード機能が失われてしまい不適である。
本発明のチョコレート添加剤は、主にテンパリング型チョコレート、即ち、配合油脂がココアバターを初め、SUS型トリグリセリドに富む、シア脂、パーム油、サル脂、マンゴ核油、イリッペ脂又はその分別油等のテンパリング型油脂を使用したチョコレート類に好ましく適用される。
本発明のチョコレート添加剤は、添加剤中の安定型結晶の量(重量比)に換算して、チョコレートに対し、通常0.1〜10重量%添加するのが適当である。
本発明のチョコレート添加剤は、チョコレートの製造工程において、チョコレートを冷却固化する過程で添加することにより、テンパリング促進効果を得ることができるが、その際チョコレートの品温は30〜38℃であることが好ましい。チョコレートの品温が39℃を超えると、チョコレート添加剤中の安定型結晶が融解する恐れがあり、28℃未満の場合、チョコレート添加剤の安定型結晶によるシード機能が不十分となってしまう。
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、例中、%および部はいずれも重量基準を意味する。
(1、3−ジベヘノイル−2−オレイルグリセリド含有油脂の調製)
高エルシン酸菜種油の極度硬化油を加水分解して得た脂肪酸またはその低級アルコールエステルとエステル交換し、さらには精溜することにより得られる、炭素原子数20〜24個が豊富である飽和脂肪酸エステルと高オレイン酸ヒマワリ油とを用い、1−、3−位選択性を有する酵素剤にて既知の方法によりエステル交換反応を行い、さらに溶剤分別により高融点画分を分取した。この画分には63%の1、3−ジベヘノイル−2−オレイルグリセリド(BOB)が含まれており、融点は53.3℃であった。これをBOB脂とした。
(1、3−ジステアロイル−2−オレイルグリセリド含有油脂の調製)
オレイン酸エチルエステルと高オレイン酸ヒマワリ油とを用い、1−、3−位選択性を有する酵素剤にて既知の方法によりエステル交換反応を行い、さらに溶剤分別により高融点画分を分取した。この画分には67%の1、3−ジステアロイル−2−オレイルグリセリド(StOSt)が含まれており、融点は33.0℃であった。これをStOSt脂とした。
(実施例1)
パームスーパーオレイン(不二製油株式会社製、製品名:「パームエースN」)66.7部にStOSt脂6.6部を混合し、湯浴にて完全融解後、35℃に温調しペースト状油脂を調製した(20℃におけるSFC=2.9)。同じく、35℃に温調したBOB脂の安定型結晶26.7部を加え、35℃下、ホモミキサーを用いて分散、混合させた。これを20℃まで冷却し、ペースト状のチョコレート添加剤600gを製造した。このとき、ペースト状油脂に安定型結晶が均一に分散し、結晶粉末が目視で見えなくなるまでに要した時間は115分であった。
(実施例2)
パームスーパーオレイン66.7部にBOB脂3.3部を混合し、湯浴にて完全融解後、35℃に温調しペースト状油脂を調製した(20℃におけるSFC=3.2)。同じく35℃に温調したBOB脂の安定型結晶30部を加え、実施例1と同様の方法でチョコレート添加剤600gを製造した。このとき、ペースト状油脂に安定型結晶が均一に分散し、結晶粉末が目視で見えなくなるまでに要した時間は142分であった。
(実施例3)
パームスーパーオレイン66.7部にBOB脂6.6部を混合し、湯浴にて完全融解後、35℃に温調しペースト状油脂を調製した(20℃におけるSFC=6.5)。同じく35℃に温調したBOB脂の安定型結晶26.7部を加え、実施例1と同様の方法でチョコレート添加剤600gを製造した。このとき、ペースト状油脂に安定型結晶が均一に分散し、結晶粉末が目視で見えなくなるまでに要した時間は85分であった。
(実施例4)
菜種油(不二製油株式会社製、製品名:「菜種白絞油」)66.7部にBOB脂6.6部を混合し、湯浴にて完全融解後、35℃に温調しペースト状油脂を調製した(20℃におけるSFC=6.3)。同じく35℃に温調したBOB脂の安定型結晶26.7部を加え、実施例1と同様の方法でチョコレート添加剤600gを製造した。このとき、ペースト状油脂に安定型結晶が均一に分散し、結晶粉末が目視で見えなくなるまでに要した時間は102分であった。
(実施例5)
パームスーパーオレイン66.7部にBOB脂8.3部を混合し、湯浴にて完全融解後、35℃に温調しペースト状油脂を調製した(20℃におけるSFC=8.5)。同じく35℃に温調したBOB脂の安定型結晶25部を加え、実施例1と同様の方法でチョコレート添加剤600gを製造した。このとき、ペースト状油脂に安定型結晶が均一に分散し、結晶粉末が目視で見えなくなるまでに要した時間は54分であった。
(実施例6)
パームスーパーオレイン66.7部にBOB脂10部を混合し、湯浴にて完全融解後、35℃に温調しペースト状油脂を調製した(20℃におけるSFC=10.3)。同じく35℃に温調したBOB脂の安定型結晶23.3部を加え、実施例1と同様の方法でチョコレート添加剤600gを製造した。このとき、ペースト状油脂に安定型結晶が均一に分散し、結晶粉末が目視で見えなくなるまでに要した時間は40分であった。
(実施例7)
パームスーパーオレイン66.7部にBOB脂13.3部を混合し、湯浴にて完全融解後、35℃に温調しペースト状油脂を調製した(20℃におけるSFC=13.5)。同じく35℃に温調したBOB脂の安定型結晶20部を加え、実施例1と同様の方法でチョコレート添加剤600gを製造した。このとき、ペースト状油脂に安定型結晶が均一に分散し、結晶粉末が目視で見えなくなるまでに要した時間は28分であった。
(実施例8)
パームスーパーオレイン66.7部にBOB脂16.7部を混合し、湯浴にて完全融解後、35℃に温調しペースト状油脂を調製した(20℃におけるSFC=14.8)。同じく35℃に温調したBOB脂の安定型結晶16.7部を加え、実施例1と同様の方法でチョコレート添加剤600gを製造した。このとき、ペースト状油脂に安定型結晶が均一に分散し、結晶粉末が目視で見えなくなるまでに要した時間は21分であった。
(実施例9)
パームスーパーオレイン66.7部にBOB脂6.6部を混合し、湯浴にて完全融解後、35℃に温調しペースト状油脂を調製した(20℃におけるSFC=6.5)。同じく、35℃に温調したStOSt脂の安定型結晶26.7部を加え、実施例1と同様の方法でチョコレート添加剤600gを製造した。このとき、ペースト状油脂に安定型結晶が均一に分散し、結晶粉末が目視で見えなくなるまでに要した時間は78分であった。
(比較例1)
パームスーパーオレイン66.7部(20℃におけるSFC=0.1)を、湯浴にて完全融解後、35℃に温調し、同じく35℃に温調したBOB脂の安定型結晶33.3部を加え、実施例1と同様の方法でチョコレート添加剤600gを製造した。なお、パームスーパーオレイン単品は35℃にて完全に液状であった。このとき、液状油脂に安定型結晶が均一に分散し、結晶粉末が目視で見えなくなるまでに要した時間は205分であった。
(比較例2)
パームスーパーオレイン66.7部にBOB脂23.3部を混合し、湯浴にて完全融解後、35℃に温調しペースト状油脂を調製した(20℃におけるSFC=20.5)。同じく35℃に温調したBOB脂の安定型結晶10部を加え、実施例1と同様の方法でチョコレート添加剤600gを製造した。このとき、ペースト状油脂に安定型結晶が均一に分散し、結晶粉末が目視で見えなくなるまでに要した時間は70分であった。
(比較例3)
パームスーパーオレイン66.7部にBOB脂30部を混合し、湯浴にて完全融解後、35℃に温調しペースト状油脂を調製した(20℃におけるSFC=23.9)。同じく35℃に温調したBOB脂の安定型結晶3.3部を加え、実施例1と同様の方法でチョコレート添加剤600gを製造した。このとき、ペースト状油脂に安定型結晶が均一に分散し、結晶粉末が目視で見えなくなるまでに要した時間は81分であった。
(比較例4)
パームスーパーオレイン66.7部にBOB脂33.3部を混合し、湯浴にて完全融解後、35℃に温調しチョコレート添加剤600gを製造した。(20℃におけるSFC=26.8)。
(シード機能テスト)
上記の製法で得られた、実施例1〜9、比較例1〜4のチョコレート添加剤を用いてチョコレートのテンパリングテストを行った。すなわち、完全融解後、35℃に保温したミルクチョコレート(不二製油株式会社製)中に、各チョコレート添加剤を3.0%添加し、手攪拌により、チョコレート添加剤を分散させた。攪拌後、リヒート無しで、モールドに流し、モールド中で5℃、30分冷却固化し成型した。その後、モールドから取り出した直後及び、20℃で24時間保存後の表面のブルームの有無を観察し、シード機能を評価した。
(自動復帰機能テスト)
実施例1〜9、比較例1〜4で得られたチョコレート添加剤を用いてテンパリングしたチョコレートを、20℃〜37℃、24時間1サイクルのサイクルテストに供した。5サイクルまでの表面のブルーム、艶を観察し、自動復帰機能を評価した。
製造効率(分散時間)、テンパリング試験、自動復帰機能テストの評価を以下に示す。

Figure 2008206490
※1シード機能評価:○/ブルーム発生なし、△/24時間後でブルーム発生、×/直後にブルーム発生
※2自動復帰機能評価:○/5サイクル後もブルーム発生なし、△/3サイクル後にブルーム発生、×/1サイクル後にブルーム発生
以上のように、本発明のチョコレート添加剤は、製造効率がよく、製品コストも低減でき、かつ作業性の良好なテンパリング促進剤として、チョコレートのファットブルームを効果的に抑制することができる。

Claims (5)

  1. 20℃におけるSFCが0.5〜20であるペースト状油脂にSUS型トリグリセリド(Sは飽和脂肪酸残基、Uは不飽和脂肪酸残基)の安定型結晶を加えてなるチョコレート添加剤。
  2. SUS型トリグリセリド中のSの炭素数が20以上である、請求項1記載のチョコレート添加剤。
  3. ペースト状油脂中にもSUS型トリグリセリドを含んでなる請求項1記載のチョコレート添加剤。
  4. ペースト状油脂中のS、および安定型結晶として加えるSUS型トリグリセリド中のSの炭素数がともに20以上である、請求項3記載のチョコレート添加剤。
  5. チョコレート添加剤中の1,3−ジベヘニル−2−オレオイルグリセリンにおいて、安定型結晶の比率が50〜90%である請求項4記載のチョコレート添加剤。
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