JP2008201726A - 歯科用接着性組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 A)リン酸から誘導される酸性基を有する重合性単量体を少なくとも一部として含んでなる重合性単量体成分、
B)多価金属イオン溶出性フィラー等を用いて溶出させた多価金属イオン、
C)水、及び
D)ヒュームドシリカ
を含んでなる歯科用接着材や歯科用前処理材として使用される歯科用接着性組成物。
【選択図】 なし
Description
B)多価金属イオン、
C)水、及び
D)ヒュームドシリカ
を含んでなる歯科用接着性組成物である。
b)多価金属イオン溶出性フィラー
c)水、及び
d)ヒュームドシリカ
を一液に混合し、上記b)多価金属イオン溶出性フィラーから多価金属イオンを溶出させた後に使用に供することを特徴とする請求項1記載の歯科用接着性組成物の製造方法も提供する。
2個/nm2存在しているのが好ましい。ヒュームドシリカ表面のシラノール基数は、該ヒュームドシリカを一度、水に浸漬した後150℃で乾燥して、カールフィッシャー法により測定すれば良い。
b)多価金属イオン溶出性フィラー
c)水、及び
d)ヒュームドシリカ
を一液に混合し、上記b)多価金属イオン溶出性フィラーから多価金属イオンを溶出させた後に使用に供する方法である。ここで、b)多価金属イオン溶出性フィラーは、リン酸から誘導される酸性基を有する重合性単量体全量における酸の総価数に対する、多価金属イオン全量における総イオン価数の割合が0.2〜3.0になる量で含有させ、各成分を一液に混合後は、この量の多価金属イオンが溶出するだけ保存してから使用に供するのが好ましい。c)水やd)ヒュームドシリカの好適な含有量も、前記本発明の接着性組成物で説明した好適な量を適用すれば良い。ここで、多価金属イオン溶出性フィラーとしてフルオロアルミノシリケートガラスを用いた場合において、上記多価金属イオンを、前記好適な量で溶出するのに要する時間は、通常、室温条件下で少なくとも12時間である。
略称及び略号
(1)略称及び略号
[リン酸から誘導される酸性基を有する重合性単量体]
PM1:2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート
PM2:ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェート
PM:PM1とPM2の2:1の混合物
MDP:10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
HP:
BisGMA:2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル)プロパン
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
[多価金属イオン源]
Al(O−i−Pr)3:アルミニウムトリイソプロポキシド
Al(OH)3:アルミニウムヒドロキシド
La(O−i−Pr)3:ランタントリイソプロポキシド
Sc(O−i−Pr)3:スカンジウムトリイソプロポキシド
Yb(O−i−Pr)3:イッテルビウムトリイソプロポキシド
Ca(OH)2:カルシウムヒドロキシド
Ti(O−i−Pr)4:チタニウムテトライソプロポキシド
Fe(OEt)3:鉄(III)エトキシド
Cu(OEt)2:銅(II)エトキシド
W(OEt)6:タングステン(VI)エトキシド
Zn(OCH2CH2OMe)2:亜鉛ビス(2−メトキシエトキシド)
Al2O3:酸化アルミニウム粒子(平均粒径13nm)
MF:フルオロアルミノシリケートガラス粉末(トクソーアイオノマー、トクヤマデンタル社製)を湿式の連続型ボールミル(ニューマイミル、三井鉱山社製)を用いて平均粒径0.5μmまで粉砕し、その後粉末1gに対して、20gの5.0N塩酸でフィラー表面を15分間処理して得た、多価金属イオン溶出性フィラー。
(平均粒径:0.5μm、24時間溶出イオン量:27meq/g−フィラー)
[ヒュームドシリカ]
FS1:平均1次粒径18nm、比表面積220m2/g、シラノール基数5個/nm2
FS2:平均1次粒径18nm、比表面積120m2/g、メチルトリクロロシラン処理、シラノール基数1.2個/nm2
FS3:平均1次粒径18nm、比表面積200m2/g、ジメチルシラン及びジクロロヘキサメチルジシラザン処理、シラノール基数1個/nm2
FS4:平均1次粒径40nm、比表面積50m2/g、メチルトリクロロシラン処理、シラノール基数1.3個/nm2
[その他の無機充填材]
MS:溶融シリカ、平均1次粒径0.4μm、比表面積8m2/g、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン処理、シラノール基数2個/nm2
SS:ゾルゲルシリカ、平均1次粒径60nm、比表面積70m2/g、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン処理、シラノール基数3個/nm2
PS:沈降シリカ、平均1次粒径30nm、比表面積180m2/g、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン処理、シラノール基数>5個/nm2
[揮発性の水溶性有機溶媒]
IPA:イソプロピルアルコール
[重合開始剤]
CQ:カンファーキノン
DMBE:p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
BTPO:ビス(2,4,6−トリメチルベンソイル)−フェニルホスフィンオキサイド
[重合禁止剤]
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
また、以下の実施例および比較例において、各種の測定は以下の方法により実施した。
(1)金属イオンの測定方法
本発明の接着性組成物を調整し、24時間攪拌した後、100mlのサンプル管に0.2gを計り取り、IPAを用いて1質量%に希釈した。この液をシリンジフィルターでろ過し、ろ液をICP(誘導結合型プラズマ)発光分光分析を用いて、重合性単量体1g当りに含まれる各金属イオン濃度(mmol/g)を測定した。
(2)リン酸系モノマーの測定方法
上記の金属イオン量の測定方法に用いたIPA溶液をHPLCで測定し、重合性単量体1g当りに含まれる、リン酸系モノマーの濃度(mmol/g)を測定した。
(3)陰イオンの測定方法
接着性組成物2gと水100g、ジエチルエーテル10gを激しく混合し、静置後、水相をシリンジフィルターでろ過し、ろ液をイオンクロマトグラフィーにより測定し、重合性単量体1g当りに含まれる陰イオン濃度(mmol/g)を測定した。
(4)接着性組成物のpH測定方法
接着性組成物2gを無水エタノール8gと混合し、中性リン酸塩pH標準液(pH6.86)とフタル酸塩pH標準液(pH4.01)で校正したpH電極(GTS−5211C、東亜ディーケーケー社製)を用いて、速やかにそのpHを測定した。
(6)接着耐久性の試験方法
a)接着試験片の作成方法I(歯科用接着性組成物が歯科用接着材の場合に適用)
屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去し、往水下、#600のエメリーペーパーで唇面に平行になるようにエナメル質および象牙質平面を削り出した。次に、これらの面に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した後、エナメル質および象牙質のいずれかの平面に直径3mmの孔の開いた両面テープを固定し、ついで厚さ0.5mm直径8mmの孔の開いたパラフィンワックスを上記円孔上に同一中心となるように固定して模擬窩洞を形成した。この模擬窩洞内に歯科用接着材を塗布し、20秒間放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥し、歯科用可視光照射器(トクソーパワーライト、トクヤマ社製)にて10秒間光照射した。更にその上に歯科用コンポジットレジン(エステライトΣ、トクヤマデンタル社製)を充填し、可視光線照射器により30秒間光照射して、接着試験片Iを作製した。
b)接着試験片の作成方法II(歯科用接着性組成物が歯科用前処理材の場合に適用)
上記a)接着試験片の作成方法Iと同様の方法により形成した模擬窩洞内に歯質用前処理材を塗布し、20秒放置後圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥し、その上に2ステップ型コンポジットレジン用接着材(トクソーマックボンドIIのボンディング材、トクヤマ社製)を塗布し、歯科用可視光照射器(トクソーパワーライト、トクヤマ社製)にて10秒間光照射した。更にその上に歯科用コンポジットレジン(エステライトΣ、トクヤマデンタル社製)を充填し、可視光線照射器により30秒間光照射して、接着試験片IIを作製した。
C)接着試験方法
接着試験片Iまたは接着試験片IIを熱衝撃試験器に入れ、4℃の水槽に1分間浸漬後、60℃の水槽に移し1分間浸漬し、再び4℃の水槽に戻す操作を、6000回繰り返した。
重合性単量体として1.5gのPM、3.0gのBisGMA、2.0gの3G及び3.5gのHEMAと、多価金属イオン源として0.4gのアルミニウムイソプロポキシド、ヒュームドシリカとして0.7gのFS2と、重合開始剤として0.1gのカンファーキノン、0.15gのDMBEと、8.5gのIPA、1.5gの蒸留水、及びその他成分としてBHTを0.03質量部用い、これらを24時間攪拌混合して本発明の1ステップ型コンポジットレジン用接着材を得た。
実施例1の方法に準じ、表1に示した組成の異なる接着材を調整した。
表17および19に記載した原料組成の前処理材を、実施例1の接着材と同様の方法により調整した。得られた前処理材を、2ステップ型コンポジットレジン用接着材の前処理材として用いた。
Claims (11)
- A)リン酸から誘導される酸性基を有する重合性単量体を少なくとも一部として含んでなる重合性単量体成分、
B)多価金属イオン、
C)水、及び
D)ヒュームドシリカ
を含んでなる歯科用接着性組成物。 - 酸性を呈し、リン酸から誘導される酸性基を有する重合性単量体全量における酸の総価数に対する、多価金属イオン全量における総イオン価数の割合が0.2〜3.0であり、且つリン酸の第一解離に基づくpKa値以下のpKa値を有する強酸の共役塩基イオンを実質的に含有していない、請求項1記載の歯科用接着性組成物。
- C)水の含有量が、A)リン酸から誘導される酸性基を有する重合性単量体を少なくとも一部として含んでなる重合性単量体成分100質量部に対して3〜150質量部の範囲である請求項1または請求項2に記載の歯科用接着性組成物。
- D)ヒュームドシリカの含有量が、A)リン酸から誘導される酸性基を有する重合性単量体を少なくとも一部として含んでなる重合性単量体成分100質量部に対して0.5〜20質量部の範囲である請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯科用接着性組成物。
- D)ヒュームドシリカが、表面処理剤で疎水化処理されたものである請求項1〜4のいずれか一項に記載の歯科用接着性組成物。
- A)リン酸から誘導される酸性基を有する重合性単量体を少なくとも一部として含んでなる重合性単量体成分において、該リン酸から誘導される酸性基を有する重合性単量体の含有量が5質量%以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載の歯科用接着性組成物。
- B)多価金属イオンが、少なくとも一部として土類金属イオンを含んでなる請求項1〜6のいずれか一項に記載の歯科用接着性組成物。
- さらに、E)重合開始剤を含有してなる請求項1〜7のいずれか一項に記載の歯科用接着性組成物。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の歯科用接着性組成物からなる歯科用接着材。
- 請求項1〜8いずれか一項に記載の歯科用接着性組成物からなる歯質用前処理剤。
- a)リン酸から誘導される酸性基を有する重合性単量体を少なくとも一部として含んでなる重合性単量体、
b)多価金属イオン溶出性フィラー
c)水、及び
d)ヒュームドシリカ
を一液に混合し、上記b)多価金属イオン溶出性フィラーから多価金属イオンを溶出させた後に使用に供することを特徴とする請求項1記載の歯科用接着性組成物の製造方法。
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