JP2016528181A - β−ケトホスホン酸およびそれをベースとする歯科材料 - Google Patents

β−ケトホスホン酸およびそれをベースとする歯科材料 Download PDF

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Abstract

一般式Iによるβ−ケトホスホン酸[式中、A=−O−、−S−、−CO−O−または−O−CO−O−によって割り込まれていてよい脂肪族C1〜C18ラジカルであり、n=1、2、3または4であり、m=1または2であり、X=非存在であるかまたは−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−NH−もしくは−CO−NR1−によって割り込まれていてよいC1〜C10ラジカルであり、ここでR1はHまたはC1〜C7−アルキルであり、PG=フリーラジカル重合することが可能な基である。]。β−ケトホスホン酸は、特に歯科材料の調製に適する。

Description

本発明は、フリーラジカル重合することが可能なβ−ケトホスホン酸、およびこのようなβ−ケトホスホン酸を含む歯科材料に関する。これらの歯科材料は、接着剤、セメント、またはコーティング材料に特に適する。
フリーラジカル重合することが可能であり、酸性基を有するモノマーは、通例、歯科材料の調製に使用される。これらモノマーは、歯科材料に、一方で自己エッチングの性質を与え、そのため歯の表面をエッチングし、いわゆるスメア層を除去するために上記材料を利用する前に歯の表面に酸で処理を施すことができる。これらはその上、歯質とのイオン性または共有結合性の相互作用により、歯に対する接着を改善する。
モノマーのエッチング力は、モノマーの酸性度によって大部分が決定される。酸性度はスルホン酸から酸性ホスフェートおよびホスホン酸を経て、カルボン酸まで低下する。酸性ホスフェートは現在、自己エッチング性の歯科接着剤の調製に主に使用されている。スルホン酸の酸性度は比較的高いが、スルホン酸の、重合化能力および天然の歯質に結合する能力などの他の性質は最適ではないため、実践上は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸だけが比較的非常に重要である。
EP 1 057 468 A1は、酸性成分として、リン酸二水素メタクリロイルオキシデシル(MDP)、リン酸水素フェニルメタクリロイルオキシエチル(MEPP)、またはリン酸二水素メタクリロイルオキシエチル(MEP)などのリン酸基を含有するモノマーを含む歯科接着剤を開示している。これらのモノマーは、自己エッチング性歯科材料の調製に依然として広く用いられている。
これらの化合物の短所は、これらが水溶液中では安定でないことである。これらのリン酸のエステル結合およびこれらのメタクリレートのエステル結合の両方とも、水の存在下で加水分解性の開裂を起こす。加水分解は、酸性モノマーから遊離するプロトンにより加速される。水は歯質のエッチング中に起こるイオン性のプロセスに必要であるので、自己エッチング性の歯科材料における溶媒として通例用いられる。
自己エッチング性の歯科材料の、加水分解に対する抵抗性を改善するために、加水分解に対してより安定である、重合性基と酸性基との間に結合を有する酸性モノマーが提唱されている。
DE 100 18 968 C1は、加水分解に対して高い安定性を有する重合性のアクリルホスホン酸を開示している。ホスホン酸では、リン酸のエステル結合が、炭素とリンとの間の直接結合によって置き換えられており、こちらのほうが加水分解を受けにくい。アクリルホスホン酸は、重合性基が、好ましくは、エステル官能基の代わりにエーテルを介して結合していることをさらに特徴とする。
DE 102 34 326 B3は、例えば、加水分解に対する安定性が特に高い、2,4,6−トリメチルフェニル−2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)−2−オキサブチル]アクリレートなどのアクリル酸エステルホスホン酸に関する。加水分解に対する安定性の改善は、立体相互作用に起因する。
DE 199 18 974 A1は、歯質に対する強力かつ耐久性のある結合によって特徴付けられると言われる、2−メタクリルオキシエタンホスホン酸などのヒドロキシアルキルホスホネートの(メタ)アクリレートを開示している。加水分解に対するこれらのモノマーの安定性は、しかしながら十分ではない。
EP 1 169 996 A1は、接着の性質が良好であり、加水分解に対して安定性が高いと言われる歯科材料に関する。材料は、例えば、1−(2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエニル)ホスホン酸(DMHD)および4−メタクリルアミド−4−メチルペンチルホスホン酸(MAMPA)などの重合性のホスホン酸を含んでいる。DMHDは少なくとも、フリーラジカル重合にあまり適さない。
酸性ホスフェートと比べたホスホン酸の短所は、酸性度が低く、歯のエナメル質および象牙質に関して付随するエッチング力が低いことである。
本発明の目的は、特に歯科材料の調製に適し、高酸性度と組み合わせて、加水分解に対して安定性が高い、酸性の重合性モノマーを提供することである。さらに、上記モノマーは、歯科使用に求められる性質のプロファイルを有さなければならない。特に、これらは極性溶媒、および極性溶媒と水との混合物に容易に溶解し得、フリーラジカル重合において重合速度が高く、歯の構造、特に歯のエナメル質に対する良好な接着を示さなければならない。
欧州特許出願公開第1057468号明細書 独国特許出願公開第10018968号明細書 独国特許出願公開第10234326号明細書 独国特許出願公開第19918974号明細書 欧州特許出願公開第1169996号明細書
上記目的は、本発明に従って、一般式Iによるβ−ケトホスホン酸によって実現され、
Figure 2016528181
式中、
A=−O−、−S−、−CO−O−、または−O−CO−O−によって割り込まれていてよい脂肪族C〜C18ラジカルであり、
n=1、2、3または4であり、
m=1または2であり、
X=非存在であるかまたは−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−NH−もしくは−CO−NR−によって割り込まれていてよいC〜C10ラジカルであり、ここでRはHまたはC〜C−アルキル、好ましくはH、CHまたはCであり、
PG=フリーラジカル重合することが可能な基(eine radikalisch polymerisierbare Gruppe)である。
基Aは、ラジカル[(PG)−X]によってm回、またはXが非存在である場合はPGによってn回、およびβ−ケトホスホン酸基によって1回置換されている脂肪族基である。式には、化学原子価理論に適合する化合物だけが含まれる。よって、例えばAが炭素原子を1個だけ含む場合、この炭素原子は最大4個の置換基を保有することができる。
ラジカルがヘテロ原子または官能基によって割り込まれるという指摘は、ヘテロ原子または官能基が炭素鎖中に挿入され、C原子によって両側の境界が定められることを意味すると理解されたい。一連のヘテロ原子および/または官能基は、この定義に該当しない。
好ましくは、Aは、割り込まれていないか、または1から4個の、特に1から2個のヘテロ原子もしくは官能基により、特に好ましくは1もしくは2個のO原子により割り込まれている。
Xは、PGによってn回置換されており、さらなる結合によってAに結合している脂肪族基である。Xが、C〜C10アルキレン基、特に直鎖状アルキレン基であるのが好ましい。Xは、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−NH−または−CO−NR−によって割り込まれてよく、Xは、ヘテロ原子または官能基によって割り込まれていないのが好ましい。
PGは、フリーラジカル重合することが可能な基である。フリーラジカル重合することが可能な好ましい基は、ビニル、アリル、CH=CR−CO−Y−、RO−CO−C(=CH)−CH−Y−であり、ここでYはOもしくはNRであるか、または非存在であり、RはHまたはCHであり、RおよびRは互いに独立に、各々HまたはC〜C−アルキルである。(メタ)アクリロイルオキシ基(CH=CR−CO−Y−、ここでY=O)、特に(メタ)アクリロイルアミノ基(CH=CR−CO−Y−、ここでY=NR)およびRO−CO−C(=CH)−CH−Y−(ここでY=好ましくはO)が特に好ましく、Rは各場合においてHまたはCHであり、RはCHまたはCであり、RはH、CHまたはCである。
上記変数の上述の好ましい規定は、互いに独立に選択することができる。しかし、本発明に従って、全ての変数が好ましい規定のうち一つ、特に、特に好ましい規定のうち一つを有する化合物が、当然特に好ましい。
よって、変数が以下の通り規定される化合物が好ましい。
A=−O−によって割り込まれていてよい脂肪族C〜C15ラジカル、好ましくは、1個または2個のO原子によって割り込まれていてよい直鎖状C〜C10ラジカルであり、
n=1または2、好ましくは1であり、
m=1または2であり、
X=C〜C−アルキレンラジカルまたは非存在であり、好ましくは、CもしくはCラジカルまたは非存在であり、
PG=ビニル、アリル、CH=CR−CO−Y−またはRO−CO−C(=CH)−CH−Y−であり、ここでYはOもしくはNRであるかまたは非存在であり、RはHまたはCHであり、RおよびRは互いに独立に、各々HまたはC〜C−アルキルであり、特に好ましくは、CH=CR−CO−Y−(ここで、Y=OもしくはNRである)、またはRO−CO−C(=CH)−CH−Y−(ここで、Y=Oである)であり、R=HまたはCHであり、R=CHまたはCであり、R=H、CHまたはCである。
一般式Iの重合性のβ−ケトホスホン酸は容易に調製することができる。例えば、OH−官能基化したβ−ケトホスホネートを、COOH−アルキル−官能基化した重合性ラジカルと反応させて対応する重合性のβ−ケトホスホネートを得、次いで、トリメチルシリルブロミド(TMSiBr)などとのシリル化、およびメタノリシスにより、一般式Iの重合性のβ−ケトホスホン酸を得ることができる。
Figure 2016528181
具体的には、例えば、メタクリル酸3−カルボキシプロピルエステルを、5−ヒドロキシ−2−オキソペンチルホスホン酸ジエチルエステルと反応させ、ホスホン酸基を引き続き遊離させてもよい。
Figure 2016528181
この状況において、ケトホスホネートは、α−ハロケトンをトリアルキル亜リン酸と反応させることにより(例えば、A. K. Bhattacharya、G. Thyagarajan、Chem. Rev.、81巻(1981年)415〜430頁を参照されたい)、化学量論量の有機金属試薬の存在下、アルキルホスホネートのカルボン酸誘導体とのアシル化により(例えば、K. M. Maloney、J. Y. L. Chung、J. Org. Chem.、74巻(2009年)7554〜7576頁を参照されたい)、β−ヒドロキシアルキルホスホネートの酸化により(例えば、Koprowskiら、Tetrahedron、65巻(2009年)4017〜4024頁を参照されたい)、ならびにアルカンのOおよびH−ホスホネートとの直接的または触媒によるオキシリン酸化(oxyphosphorylation)により(W. Wie、J.−X. Ji、Angew. Chem. 123巻(2011年)9263〜9265頁)、Arbuzov反応に従って調製することができる。
本発明による一般式Iの重合性のβ−ケトホスホン酸の好ましい例は以下の
Figure 2016528181
Figure 2016528181
である。
一般式Iの重合性のβ−ケトホスホン酸は、歯科材料、特に自己エッチングの性質を有する歯科材料の調製に特に適する。これらは、例えば、エタノールおよびイソプロパノールなどのアルコール中に、ならびにアセトン中、またはこれらの混合水溶液中に非常に容易に溶解し得る。匹敵するスペーサーの長さを有する公知の重合性のアルキルホスホン酸に比べて、例えば水性−アルコール性溶液は、驚くべきことに顕著により低いpHを示し、すなわち、これらは顕著により酸性であり、これは自己エッチングの性質に関して有利である。これらはその上、従来のアルキルホスホン酸に比べて、エナメル質に対する高度な接着を示す。さらなる利点は、酸性ホスフェートに比べて加水分解に対する安定性が改善されていることである。したがって、本発明によるβ−ケトホスホン酸は、ホスホン酸の加水分解に対する高安定性を、リン酸エステルの高酸性と組み合わせる。
式Iのβ−ケトホスホン酸は、歯科材料の合計重量をベースとして、0.1から50重量%の量、特に好ましくは1から40重量%、極めて特に好ましくは2から30重量%の量を用いるのが好ましい。
一般式Iの重合性のβ−ケトホスホン酸をベースとする本発明による歯科材料は、フリーラジカル重合することが可能なさらなるモノマー(コモノマー)、特に好ましくは単官能性または多官能性の(メタ)アクリル酸誘導体を含むことができるのが好ましい。単官能性のモノマーは一つの、フリーラジカル重合することが可能な基を有するモノマーを意味すると理解され、多官能性のモノマーは二つまたはそれより多くの、好ましくは二つから四つの、フリーラジカル重合することが可能な基を有するモノマーを意味すると理解される。この点における例として、メチル、エチル、ヒドロキシエチル、ブチル、ベンジル、テトラヒドロフルフリル、またはイソボルニル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビス−GMA(メタクリル酸とビスフェノールAジグリシジルエーテルとの付加生成物)、UDMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と2,2,4−トリメチルヘキサメチレン−ジイソシアネートとの付加生成物)、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、またはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびグリセロールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、または1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレートがある。
さらに好ましいコモノマーは、N−一置換または二置換アクリルアミド、例えば、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、またはN−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、またはN−一置換メタクリルアミド、例えば、N−エチルメタクリルアミドもしくはN−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、およびN−ビニルピロリドン、またはアリルエーテルである。これらのモノマーは、加水分解に対する高安定性、および比較的低い粘性によって特徴付けられ、したがって、希釈性モノマーなどに適する。
同様に好ましいコモノマーは、例えば、1,6−ビス(3−ビニル−2−ピロリドニル)ヘキサンなどの架橋性ピロリドン、あるいはメチレンビスアクリルアミドもしくはエチレンビスアクリルアミド、またはN,N’−ジエチル−1,3−ビス(アクリルアミド)プロパン、1,3−ビス(メタクリルアミド)プロパン、1,4−ビス(アクリルアミド)ブタンもしくは1,4−ビス(アクリロイル)ピペラジンなどのビス(メタ)アクリルアミドなどの市販のビスアクリルアミドであり、これらは対応するジアミンを(メタ)アクリル酸塩化物と反応させることにより合成され得る。これらのモノマーも、加水分解に対する高安定性により特徴付けられる。これらは、フリーラジカル重合することが可能な基を二つまたはそれより多く含み、したがって、架橋性モノマーなどに適する。
単官能性および架橋性のモノマーの混合物をコモノマーとして使用するのが好ましく、2−ヒドロキシエチルメタクリレートをビス−GMA、UDMA、トリエチレングリコールジメタクリレートおよび/またはデカンジオールジメタクリレートと組み合わせて含むモノマー混合物が特に有利である。
最後に、上記モノマーの一つまたは複数と、酸性基を含有しかつフリーラジカル重合することが可能なさらなる接着性モノマーとの混合物も、使用することができる。酸性基を含有する適切なモノマーは、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物、10−メタ−アクリロイルオキシデシルマロン酸、N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシ−プロピル)−N−フェニルグリシン、または4−ビニル安息香酸などの重合性のカルボン酸である。適切なホスホン酸モノマーの例には、ビニルホスホン酸、4−ビニルフェニルホスホン酸、4−ビニルベンジルホスホン酸、2−メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、2−メタクリルアミドエチルホスホン酸、4−メタクリルアミド−4−メチルペンチル−ホスホン酸、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)−2−オキサブチル]アクリル酸または2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)−2−オキサブチル]アクリル酸エチルまたは2,4,6−トリメチルフェニルエステルがある。適切な酸性の重合性のホスホン酸エステルの例には、リン酸一水素2−メタクリロイルオキシプロピル、リン酸二水素2−メタクリロイルオキシプロピル、リン酸一水素2−メタクリロイルオキシエチル、リン酸二水素2−メタクリロイルオキシエチル、リン酸水素フェニル2−メタクリロイルオキシエチル、ジペンタエリスリトールペンタメタクリロイルオキシホスフェート、リン酸二水素10−メタクリロイルオキシデシル、リン酸モノ−(1−アクリロイルピペリジン−4−イル)エステル、リン酸二水素6−(メタクリルアミド)ヘキシル、およびリン酸二水素1,3−ビス(N−アクリロイル−N−プロピルアミノ)プロパン−2−イルがある。適切な重合性のスルホン酸の例には、ビニルスルホン酸、4−ビニルフェニルスルホン酸、または3−(メタクリルアミド)プロピルスルホン酸がある。酸性基を含有するさらなるモノマーの合計量が式Iのケトホスホン酸(複数可)の量を超えないように選択するのが好ましく、それ未満であるのが特に好ましい。
フリーラジカル重合を開始させるために、本発明による歯科材料が、フリーラジカル重合のための開始剤を含むのが好ましい。光重合のために、ベンゾフェノン、ベンゾインおよびこれらの誘導体またはα−ジケトンもしくはその誘導体、例えば、9,10−フェナントレンキノン、1−フェニルプロパン−1,2−ジオン、ジアセチルまたは4,4’−ジクロロベンジルを用いるのが好ましい。好ましくはカンファーキノンおよび2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、特に好ましくは、還元剤としてのアミンと組み合わせたα−ジケトン、例えば、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エステル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチル−sym.−キシリジンまたはトリエタノールアミンなどが使用される。ノリッシュI型光開始剤、とりわけ、アシルホスフィンオキシドまたはビスアシルホスフィンオキシド、モノアシルトリアルキルゲルマニウム化合物またはジアシルジアルキルゲルマニウム化合物、例えば、ベンゾイルトリメチルゲルマニウム、ジベンゾイルジエチルゲルマニウムまたはビス(4−メトキシベンゾイル)ジエチルゲルマニウムなども特に適する。様々な光開始剤の混合物、例えば、カンファーキノンおよび4−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルと組み合わせたジベンゾイルジエチルゲルマニウムなども用いることができる。
室温で行われる重合に使用される開始剤は、酸化還元開始剤の組合せ、例えば、過酸化ベンゾイルと、N,N−ジメチル−sym.−キシリジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−3,5−ジ−tert−ブチルアニリンまたはN,N−ジエタノール−p−トルイジンとの組合せなどである。さらには、過酸化物またはヒドロペルオキシド、および例えば、アスコルビン酸、バルビツレート、チオ尿素またはスルフィン酸などの還元剤を含む酸化還元系も、特に適する。
本発明による歯科材料が、光開始剤、または光開始剤と酸化還元開始剤、好ましくは過酸化物の組合せを含むのが好ましい。二重硬化に特に有利な開始剤の組合せは、カンファーキノンと過酸化ベンゾイルの混合物であり、これらの開始剤をアミンと組み合わせるのも好ましい。
本発明に従って用いる組成物が、機械的性質を改善するか、または粘性を調節するための有機または無機の充填剤粒子を含むのがさらに好ましい。好ましくは、機械的性質を適合させるための充填剤の平均粒径は10nmから10μm、好ましくは10nmから1.0μmであり、粘性を調節するための充填剤は好ましくは10から1000nm、好ましくは10から200nmである。これらの充填剤のタイプを一緒に用いるのが好ましい。別段の記載がなければ、平均粒径は重量平均値である。
好ましい無機の微粒子充填剤は、酸化物をベースとする非晶質の球状材料、例えば、ZrOおよびTiO、またはSiO、ZrOおよび/もしくはTiOの混合酸化物、ナノ微粒子または超微粒子充填剤、例えば、焼成シリカまたは沈降シリカ、およびミニフィラー、例えば、平均粒径が0.01から1μmである石英、ガラスセラミックまたはガラス粉末、および放射線不透過性充填剤、例えば、三フッ化イッテルビウム、またはナノ微粒子状の酸化タンタル(V)もしくは硫酸バリウムである。好ましい有機充填剤は、例えば、PMMAなど、ポリ(メタ)アクリレートをベースとする充填剤、または、硬化後、上記の粒径に粉砕される、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体である。有機充填剤は、ひいては、言及した無機充填剤の充填剤含有量を有してもよい。
溶媒含有歯科材料は、本発明のさらに好ましい一実施形態を表す。特に、水と、アセトン、イソプロパノール、および、特に、エタノール、ならびにこれらの溶媒の混合物などの極性有機溶媒を、本明細書中で考慮に入れる。水と極性有機溶媒との混合物、特に水とエタノール、水とアセトン、または水とエタノールとアセトンとの混合物が特に好ましい。
本発明に従って用いる組成物は、例えば、安定化剤、香味物質、着色剤、殺菌活性化合物、フッ化物イオンを放出する添加剤、蛍光増白剤、可塑剤および/または紫外線吸収剤などのさらなる添加剤を任意選択で含むことができる。
以下の成分を含む、本発明による歯科材料が好ましい。
a)0.1から50重量%の、好ましくは1から40重量%の、特に好ましくは2から30重量%の、一般式Iの重合性のβ−ケトホスホン酸、
b)0.01から10重量%の、特に好ましくは0.1から3.0重量%の開始剤、
c)0から80重量%の、好ましくは0から60重量%の、特に好ましくは5から50重量%の追加的なモノマー、
d)0から80重量%の充填剤、
e)0から70重量%の、好ましくは0から60重量%の、特に好ましくは0から50重量%の溶媒、および任意選択で、
f)0.01から10重量%、好ましくは0.01から3重量%のさらなる添加剤。
本発明による歯科材料が、追加的なモノマー(c)として5から40重量%の非酸性の単官能性もしくは多官能性モノマー、および/または0から60重量%の、好ましくは0から30重量%の酸性モノマーを含むのが好ましい。
充填剤(一種または複数種)(d)の量は、意図される用途に依存する。接着剤として使用するための歯科材料は、0から20重量%の充填剤を含むのが好ましく、セメントまたは充填材料(複合材)として使用するための歯科材料は、20から80重量%の充填剤を含むのが好ましい。セメントまたは充填材料として使用するための歯科材料は溶媒を含まないのが好ましい。
接着剤として使用するための歯科材料は以下の組成を有するのが好ましい。
a)0.1から50重量%の、好ましくは1から40重量%の、特に好ましくは2から30重量%の、一般式Iの重合性のβ−ケトホスホン酸、
b)0.01から10重量%の、特に好ましくは0.1から3.0重量%の開始剤、
c)0から60重量%の、好ましくは0から40重量%の、特に好ましくは5から40重量%の、非酸性の単官能性もしくは多官能性モノマー、および/または0から60重量%、好ましくは0から30重量%の酸性コモノマー、
d)0から20重量%の充填剤、
e)0から70重量%の、好ましくは0から60重量%の、特に好ましくは0から50重量%の溶媒、好ましくは水、または水、エタノールおよび/もしくはアセトンの混合物、ならびに任意選択で、
f)0.01から3重量%のさらなる添加剤。
全てのパーセンテージは、各々の場合において、組成物の合計重量に関する。
上述の成分からなる歯科材料が特に好ましい。個々の成分が各々の場合に上記の好ましい、および特に好ましい物質から選択される材料が、さらに一層好ましい。
歯科材料は、接着剤、セメント、充填材料またはコーティング材料に特に適する。歯科材料は、損傷を受けた歯の再建のための歯科医による口腔内使用に主に適する(臨床材料)。しかし、これらは口腔外で、例えば、歯科再建物の生成または修復において用いることもできる(技術グレードの材料)。
本発明を、実施例を用いてより詳しく以下に説明する。
(実施例1)
9−メタクリロイルオキシ−2−オキソノニルホスホン酸(MOPA)の合成
a)2−オキソ−9−THP−オキシノニルホスホン酸(oxynonylphosphonic acid)ジエチルエステル1の合成
Figure 2016528181
文献同様に調製した(Kosobokov,M.D.、Titanyuk,I.D.、Beletskaya,I.P.、Mendeleev Communications、2011年、21巻、142〜143頁)、市販のジエチル(2−オキソプロピル)ホスホネート(10.0g、51.5mmol、1.1当量)の乾燥THF(15ml)溶液を、鉱油中60%のNaH(2.27g、56.7mmol、1.2当量)の分散物をヘキサン(2×20ml)で予め洗浄したものを含む無水THF(20ml)の撹拌混合物に0℃で滴下添加した。反応混合物を室温まで加熱し、1時間撹拌し、次いで再び0℃に冷却し、n−BuLi(ヘキサン中2.5M溶液の22.5ml、56.2mmol、1.2当量)の溶液を滴下添加し、溶液を0℃で30分間撹拌した。文献同様に調製した(Fu,Y.、Wen,Y.、Wen−Xu,H.、Qinghai,Z.、Synlett、2011年、6巻、809〜812頁)、2−(6−ブロモヘキシルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(12.4g、46.8mmol)の乾燥THF(15ml)溶液を次いで添加し、反応混合物を室温まで加熱し、15時間撹拌した。反応生成物を、次いで、氷冷したNHCl水溶液(150ml)中に慎重に導入し、水相をジエチルエーテルで抽出した(3×100ml)。有機相を合わせ、無水NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。得られた粗製生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン:75/25)によって精製し、淡黄色がかった液体としてホスホネート1を9.6g(25.4mmol)得た。収率54%。
Figure 2016528181
b)9−ヒドロキシ−2−オキソノニルホスホン酸ジエチルエステル2
Figure 2016528181
ホスホネート1(47.2mmol)およびトルエンスルホン酸ピリジニウム(1.19g、4.72mmol)をエタノール(500ml)に加え、混合物を55℃で3時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。得られた粗製生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン:95/5)、淡黄色がかった液体としてホスホネート2を11.04g(37.6mmol)得た。収率80%。
Figure 2016528181
c)9−メタクリロイルオキシ−2−オキソノニルホスホン酸ジエチルエステル3
Figure 2016528181
無水メタクリル酸(6.14ml、41.2mmol、1.1当量)を、撹拌しながら、ヒドロキシホスホネート2(37.5mmol)、トリエチルアミン(5.75ml、41.2mmol、1.1当量)および4−ジメチルアミノピリジン(229mg、1.9mmol、5mol%)の無水塩化メチレン(100ml)溶液に滴下添加した。15時間撹拌後、反応混合物を蒸留水(100ml)で洗浄し、有機相を分離し、無水NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。得られた粗製生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン:80/20)、淡黄色がかった液体としてホスホネート3を11.53g(31.9mmol)得た。収率:85%。
Figure 2016528181
d)9−メタクリロイルオキシ−2−オキソノニルホスホン酸(MOPA)
Figure 2016528181
臭化トリメチルシリル(12.5ml、94.7mmol、3.0当量)を、ホスホネート3(11.43g、31.6mmol)の無水塩化メチレン(100ml)溶液に加え、この混合物を30℃で5時間撹拌した。その後、反応生成物を真空中で濃縮し、メタノール(100ml)を加え、混合物を室温で30分間撹拌した。BHT(250ppm)を加えた後、溶液を高真空(fine vacuum)下で恒量になるまで濃縮し、淡黄色がかった液体としてケトホスホン酸MOPAを9.6g(31.4mmol)得た。収率:99%。
Figure 2016528181
(実施例2)
DSCによる9−メタクリロイルオキシ−2−オキソノニルホスホン酸MOPAの光重合の調査
光開始剤ビス(4−メトキシベンゾイル)−ジエチルゲルマニウム0.1重量%を、架橋剤N,N’−ジエチル−1,3−ビス(アクリルアミド)プロパン(DEPBA)およびMOPAのモル比8:2の混合物に加えた。混合物を、光重合アタッチメントを備えた示差走査熱量計(Diamond、Perkin Elmer)において、37℃で2分間、LEDランプ(Bluephase、Ivoclar Vivadent)で照射することにより重合化させた。純粋な架橋剤に比べて同様に高い最高重合速度(0.078s−1)という結果であり、そして、同時発生の、混合物の二重結合転換(63%)が生じた。
(実施例3)
MOPA溶液のpHの決定
水およびエタノールの重量比1:1の混合物中、MOPA、リン酸二水素10−(メタクリロイルオキシ)デシル(MDP)、および10−(メタクリロイルオキシ)デシルホスホン酸(MDPA)の20%溶液のpHを決定した。MOPAに対してpH1.9が得られ、その一方で、MDP二水素リン酸に対してpH1.6、MDPAホスホン酸モノマーに対してpH2.3と決定された。よって、驚くべきことに、調査したケトホスホン酸は、スペーサー基のCの数が同様であるアルキルホスホン酸よりも、著しく強く酸性であることが見出される。
(実施例4)
9−メタクリロイルオキシ−2−オキソノニルホスホン酸MOPAをベースとした接着剤および接着の調査
ウシの歯上の象牙質およびエナメル質に対する接着を調査するために、表1に示す組成を有する接着剤を調製した。ウシの歯を、象牙質またはエナメル質とプラスチックが一平面であるように、プラスチックの円柱に埋め込んだ。上記の組成の接着剤の層をマイクロブラシで塗布し、接着剤をおよそ20秒、歯の構造物上で揺り動かし、換気扇で短時間送風して溶媒を除去し、LEDランプ(Bluephase、Ivoclar Vivadent)の光に10秒間暴露した。Tetric(登録商標)EvoCeram(Ivoclar Vivadent)の複合材料の円柱を、接着剤の層上に重合化させた。
次いで、試験検体を37℃の水中に24時間貯蔵し、せん断粘着力をISOガイドライン「ISO 2003−ISO TR 11405:歯の構造物に対する接着試験に対する歯科材料ガイドライン(Dental Materials Guidance on Testing of Adhesion to Tooth Structure)」に従って決定した。接着剤A:象牙質:34.4MPaおよびエナメル質30.3MPa;接着剤B:22.6MPaおよびエナメル質16.8MPa。
結果は、重合性のβ−ケトホスホン酸をベースとするエナメル質/象牙質接着剤は、歯科複合体とのエナメル質および象牙質の高い接着値をもたらすことを実証するものである。
Figure 2016528181
1)メタクリル酸およびビスフェノールAジグリシジルエーテルの付加生成物
2)平均粒径40nmのメタクリロシラン化(methacrylosilanized)焼成シリカ(Degussa)
3)カンファーキノン(0.9%)、4−ジメチル安息香酸エチルエステル(0.4%)およびアシルホスフィンオキシドLucerin TPO(BASF;1.3%)の混合物

Claims (15)

  1. 一般式Iによるβ−ケトホスホン酸であって、
    Figure 2016528181
    式中、
    A=−O−、−S−、−CO−O−または−O−CO−O−によって割り込まれていてよい脂肪族C〜C18ラジカルであり、
    n=1、2、3または4であり、
    m=1または2であり、
    X=非存在であるかまたは−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−NH−もしくは−CO−NR−によって割り込まれていてよいC〜C10ラジカルであり、ここでRはHまたはC〜C−アルキルであり、
    PG=フリーラジカル重合することが可能な基である、
    β−ケトホスホン酸。
  2. A=−O−によって割り込まれていてよい脂肪族C〜C15ラジカル、好ましくは、1個または2個のO原子によって割り込まれていてよい直鎖状C〜C10ラジカルであり、
    n=1または2、好ましくは1であり、
    m=1または2であり、
    X=C〜C−アルキレンラジカルまたは非存在であり、好ましくはCもしくはCラジカルまたは非存在であり、
    PG=ビニル、アリル、CH=CR−CO−Y−またはRO−CO−C(=CH)−CH−Y−であり、ここでYはOもしくはNRであるかまたは非存在であり、RはHまたはCHであり、RおよびRは互いに独立に、各々HまたはC〜C−アルキルである、
    請求項1に記載のβ−ケトホスホン酸。
  3. A=1個または2個の−O−によって割り込まれていてよい直鎖状脂肪族C〜C10ラジカルであり、
    n=1であり、
    m=1または2であり、
    X=C〜Cラジカルまたは非存在であり、
    PG=CH=CR−CO−Y−(ここでYはOもしくはNRである)、またはRO−CO−C(=CH)−CH−Y−(ここでYはOである)であり、ここでRはHまたはCHであり、RはCHまたはCであり、RはH、CHまたはCである、
    請求項2に記載のβ−ケトホスホン酸。
  4. 請求項1から3の一項に記載の少なくとも1種のβ−ケトホスホン酸を含むことを特徴とする、歯科材料。
  5. フリーラジカル重合のための少なくとも1種の開始剤をさらに含む、請求項4に記載の歯科材料。
  6. フリーラジカル重合することが可能なさらなるモノマーをさらに含む、請求項4または5に記載の歯科材料。
  7. さらなるモノマーとして、一つまたは複数の単官能性および/または多官能性(メタ)アクリル酸誘導体および/または(メタ)アクリルアミド誘導体を含む、請求項6に記載の歯科材料。
  8. 少なくとも1種の溶媒をさらに含む、請求項4から7の一項に記載の歯科材料。
  9. 溶媒として、水、または水と極性有機溶媒との混合物を含む、請求項8に記載の歯科材料。
  10. a)0.1から50重量%の一般式Iのβ−ケトホスホン酸、
    b)0.01から10重量%の開始剤、
    c)0から80重量%のさらなるモノマー、
    d)0から80重量%の充填剤、
    e)0から70重量%の溶媒
    を含む、請求項4から9の一項に記載の歯科材料。
  11. 0から20重量%の充填剤を含む、接着剤として使用するための、請求項10に記載の歯科材料。
  12. a)0.1から50重量%の、好ましくは1から40重量%の、特に好ましくは2から30重量%の、一般式Iの重合性のβ−ケトホスホン酸、
    b)0.01から10重量%の、好ましくは0.1から3.0重量%の開始剤、
    c)0から60重量%の、好ましくは0から40重量%の、特に好ましくは5から40重量%の、非酸性の単官能性もしくは多官能性モノマー、および/または0から60重量%、好ましくは0から30重量%の酸性モノマー
    d)0から20重量%の充填剤、
    e)0から70重量%の、好ましくは0から60重量%の、特に好ましくは0から50重量%の溶媒
    を含む、請求項11に記載の歯科材料。
  13. 20から80重量%の充填剤を含む、セメントまたは充填材料として使用するための、請求項10に記載の歯科材料。
  14. 接着剤、充填材料またはセメントとして口腔内で使用するための、請求項4から13の一項に記載の歯科材料。
  15. 歯科再建物の口腔外生成または修復のための、請求項4から13の一項に記載の歯科材料の使用。
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