JP2008201079A - 難燃性積層体 - Google Patents

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雅俊 稲垣
Ayumi Okada
あゆみ 岡田
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Abstract

【課題】ハロゲン系難燃剤を使用せずに難燃性が付与され、機械的物性や成型特性を損なわない難燃性ポリオレフィン架橋発泡体を提供すること。
【解決手段】ポリオレフィン系架橋発泡体の少なくとも片側に難燃性ポリエステル層を有する、難燃性積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハロゲン含有化合物を全く使用せずに優れた難燃性を付与した積層体に関する。更に詳しくは、特に自動車内装材、弱電エアコン断熱材等に効果的に使用されるポリオレフィン系架橋発泡体において優れた機械的特性、成型特性の低下なく、優れた難燃性を持つ積層体を提供する。
日常消費生活の中に占める高分子材料は年々増加し、様々な用途に使用されている。しかしこれら高分子材料は燃焼しやすい欠点を持つ。この欠点を補うため、従来は臭素系を代表とするハロゲン系難燃剤と、三酸化アンチモンなどの難燃助剤を高分子材料に混錬する方法が主として利用されている。
しかし、これらを燃焼させると多量の刺激性の煙を発生させ、機器を腐食させてしまう欠点があり、また、一部化合物はダイオキシン類を発生させる懸念があるため、ハロゲンを含まない難燃性高分子材料が求められている。
ナイロンやポリブチレンテレフタレートなどのエンプラ樹脂においては、非ハロゲン系難燃剤とドリップ防止剤としてポリテトラフルオロエチレンを添加した成形品がUL-94のV-0レベルの難燃性を有しているとの特許文献がある(特許文献1)。 ポリオレフィン系樹脂においても、類似の報告はされているが、エンプラ樹脂に比べて、非ハロゲン系難燃剤の添加量は多い。特に分子中に炭素と水素しか存在しないポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂では、難燃性能を向上させることが困難である。また、この発泡体は発泡することにより単位体積あたりの樹脂量が少なく低密度になるので、単位断面積当たりに含まれる難燃剤量も少なく、その難燃化は非常に困難である。この様な背景の下、非ハロ難燃剤を使ったポリオレフィン架橋発泡体については、例えば、金属水酸化物の水酸化アルミニウムを添加する方法が知られている。この方法では、樹脂100重量部に対して水酸化アルミニウムを100重量部以上添加しなければならないため、高発泡を得ることが難しく、かつセル強度の低下により成形時の潰れ等が生じる(特許文献2)。また、リン系、窒素系化合物によるポリオレフィン系樹脂の難燃化が検討されているが、この組み合わせは、自己消化するまでに著しく熱変形してしまう事に加え、燃焼中に分解した低分子量化合物が液状となり滴下するドリップ現象が発生するなどの問題点がある(特許文献3)。
特開2000−319492号公報 特開昭59−179635号公報 特開平08−041234号公報
本発明の目的は、機械的物性や成型特性を損なわない難燃性ポリオレフィン架橋発泡体を提供することである。特に場合によっては、ハロゲン系難燃剤を使用せずに難燃性を付与することも可能とする。
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、次の方法で上記課題を解決するに至った。すなわち、ポリオレフィン系架橋発泡体の少なくとも片側に難燃性ポリエステル層を有する、難燃性積層体による。なお、本発明の難燃性ポリエステル層が、水溶性非ハロゲン系の難燃性ポリエステルであること、水溶性非ハロゲン系難燃性ポリエステルが、難燃性材料としてリン原子を300ppm〜100000ppm含有し、水溶性付与成分として金属スルホネート基がカルボン酸成分に導入されていること、難燃性ポリエステル層の厚さが10μm〜1000μmであることが、いずれも好ましい条件としてあげられる。
機械的物性や成型特性を損なわずに、難燃性ポリオレフィン架橋発泡体を提供することにある。更に好ましくは、ハロゲン含有化合物を全く使用せずに優れた難燃性を付与した積層体を提供することである。更に詳しくは、特に自動車内装材等に効果的に使用されるポリオレフィン系架橋発泡体の優れた機械的特性、成型特性の低下なく、優れた難燃性を持つ積層体を提供することにある。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明に用いるポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、プロピレンとエチレン及び/または1−ブテンとのあらゆる比率でのランダム共重合体またはブロック共重合体、エチレンとプロピレンとのあらゆる比率においてジエン成分が50重量%以下であるエチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンとエチレン及び/またはプロピレンとの共重合体などの環状ポリオレフィン、エチレンまたはプロピレンと50重量%以下の例えば酢酸ビニル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸エステル、芳香族アルキルエステル、芳香族ビニルなどのビニル化合物などとのランダム共重合体、ブロック共重合体またはグラフト共重合体などを使用することができる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独または2種以上混合して用いることができる。ポリオレフィン系樹脂の中でも、PP、HDPE、LDPE、LLDPE、エチレン−プロピレンランダムまたはブロック共重合体から選ばれた少なくとも1種が、汎用性が高く、安価であるという点で好ましく使用される。
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂のMFRは、0.1〜30g/10分が好ましく、さらに0.3〜20g/10分であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂のMFRが0.1g/10分未満では、流動性が充分でなく、発泡性シートの成形が困難であり、また、MFRが30g/10分を超えると、樹脂の溶融張力が低下して、該シートの発泡における安定性が不充分であるとともに、発泡セルが大きくなり、表面での破泡とガス抜けが起こり、良好な発泡成形品を提供しにくくなる。これらのMFRの値は後述するポリオレフィン系樹脂架橋発泡体の架橋度と密接に関係する。尚、ここにおいて、MFRの値とはJISK6760に準じて測定した数値であり、ポリエチレン系樹脂においては190℃で、ポリプロピレン系樹脂においては、230℃で測定した数値のことである。
本発明において、発泡体の特性を妨げることのない範囲でポリオレフィン系樹脂中に補助的に非ハロゲン系難燃剤を添加でき、その種類は特に限定されるものではないが、水和金属化合物、リン含有化合物、窒素含有化合物、膨張性黒鉛、層状ケイ酸塩などが挙げられる。上記水和金属化合物として水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムが挙げられ、リン含有化合物として赤リン、リン酸亜鉛、リン酸メラミン、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、ポリリン酸アミド、ポリリン酸アンモニウム、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェートが挙げられ、窒素含有化合物として尿素、メラミン、シアヌル酸、ビウレット、バルビツール酸、尿酸、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。リン含有化合物を単独で使用しても良いが、窒素含有化合物と併用すると相乗効果があるため好ましい。この非ハロゲン系難燃剤の添加量は、マトリックス樹脂100重量部に対し、50重量部以下である必要であり、好ましくは30重量部以下であることが重要である。50重量部を超えると機械的物性と成型性が低下してしまい、好ましくない。また、その他に、発泡体の特性を妨げることのない範囲で有機過酸化物、酸化防止剤、滑剤、熱安定剤、顔料、帯電防止剤、核剤、可塑剤、抗菌剤、生分解促進剤、発泡剤分解促進剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、充填剤、防臭剤、増粘剤、気泡安定剤などを、単独もしくは2種類以上併用しても良い。
本発明において、上記樹脂組成物からなる樹脂マトリックス成分を架橋する方法は特に限定されず、例えば、電離性放射線を所定線量照射する方法、過酸化物による架橋、シラン架橋などを挙げることができる。この中でも架橋の均一性、生産安定性を考慮し電離性放射線照射が好ましい。
電離性放射線としては、例えば、α線、β線、γ線、電子線等を挙げることができる。電離性放射線の照射線量は、目的とする架橋度等によって異なるが、通常1〜500kGy、好ましくは5〜300kGyである。照射線量が少なすぎると得られる発泡体の耐熱性が不十分となり、多すぎると得られる発泡体の成形加工性が低下する。
また、樹脂組成物のみでは架橋構造を導入することが困難な場合には、架橋助剤を用いて上記方法と併用することで架橋構造を導入することができる。架橋助剤としては特に制限はないが、多官能モノマーを使用するのが好ましい。多官能モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、エチルビニルベンゼンなどを使用することができる。これらの多官能モノマーは、それぞれ単独で用いても、あるいは2種以上を組み合わせて使用しても良い。これらの多官能モノマーは、樹脂マトリックス成分100重量部に対して好ましくは0.5〜10重量部添加される。
本発明において、樹脂組成物を発泡する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。好ましくは熱分解型発泡剤を樹脂組成物に添加する方法が用いられ、特に好ましくは有機系熱分解型発泡剤が用いられる。
有機系熱分解型発泡剤としては、具体的には、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。有機系熱分解型発泡剤は、樹脂マトリックス成分100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは1〜25重量部の割合で添加される。有機系熱分解型発泡剤の添加量は、少なすぎると樹脂組成物の発泡性が低下し、多すぎると得られる発泡体の強度、並びに耐熱性が低下する傾向がある。
熱分解型発泡剤を用いた場合の発泡は、架橋した樹脂組成物を該発泡剤の熱分解温度以上に加熱することで通常行われる。
本発明のポリオレフィン架橋樹脂発泡体の発泡倍率は3〜50倍であることが好ましい。発泡倍率が3倍を下回ると成型品の柔軟性が低下傾向となり、発泡倍率が50倍を上回ると耐熱性の低下や高温での成形加工性の低下を招くことがある。
本発明において、架橋発泡体表面の接着性を向上させるために発泡体表面にコロナ放電処理を施す、あるいは原料段階でアルキルスルホン酸ナトリウムなどの低分子化合物群やカルボ変性ポリプロピレンなどを代表とする酸変性されたポリオレフィンを添加しても良い。酸変性されたポリオレフィンとしては、特に限定されないがエチレン、プロピレン、1−ブテン等のオレフィンとアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の極性基を有するビニルポリマーとの共重合体や不飽和カルボン酸もしくはその誘導体をポリオレフィンにグラフト重合させたもの等が挙げられる。特に、後者は簡易な方法で製造可能であることから好適であり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィンおよび不飽和カルボン酸もしくはその無水物を有機過酸化物の存在下で溶融混練して得る方法が広く知られている。本発明においては、特にポリプロピレンを変性したものが好ましい。
上記の不飽和カルボン酸またはその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸が挙げられ、中でも無水マレイン酸が好ましい。
酸変性されたポリオレフィンの酸価は20〜70が好ましい。酸価が20以下では十分な表面改質効果が得られず、また酸価70以上は製造が困難となる。本発明においては酸価30〜70のものが発泡体の表面変性の点で特に好ましい。酸価はJIS K 0070により測定される。
酸変性されたポリオレフィンの重量平均分子量は、3,000〜100,000が好ましい。重量平均分子量が3,000以下ではそれが樹脂表面にブリードアウトし、製造工程内でのロール汚れの原因となり、また重量平均分子量が100,000以上は製造が困難となる。10,000〜80,000のものが製造上、特に好ましい。なお、本発明での重量平均分子量は、日本Warters(株)製GPC 150CV、カラムとしてTSKgel GMH-HTを用い、ポリスチレンを標準とし、カラム温度: 135℃、オルトジクロロベンゼン溶媒を用いて測定した値である。酸変性されたポリオレフィンの添加量は樹脂マトリックス成分100重量部に対して2〜20重量%である。添加量2重量%以下では表面改質効果が十分でなく、また添加量20重量%以上ではマトリックス樹脂との混練性が悪化し、均一な発泡体を得ることが出来ない上、発泡体としての物性、耐熱性が低下する。なお、これら発泡体の改質により、架橋発泡体のぬれ指数は40mN/m以上となり、水性難燃性ポリエステルと接着する上で好ましい。なお、ヌレ指数は一般のヌレ試薬を使って測定する。ぬれ指数試薬は、純正化学製のぬれ張力試験液を使い、JISK6768に準拠して評価する。
本発明における非ハロゲン系難燃剤をポリエステル樹脂中に導入する方法には2通りあり、単に難燃剤と樹脂を混練する方法(ポリエステル樹脂と難燃剤の化学反応はなく、物理的な混ぜ合わせ)と、ポリエステル骨格の中に難燃成分を導入する方法がある。
前者の方法によるポリエステル化合物への非ハロゲン系難燃剤の導入方法は、例えば非ハロゲン系難燃剤を縮合反応あるいは重縮合反応段階において、非ハロ難燃剤を添加する方法が行われる。添加する非ハロゲン系難燃剤としては、特に限定されるものではなく、水和金属化合物、リン含有化合物、窒素含有化合物、膨張性黒鉛、層状ケイ酸塩などが挙げられる。上記水和金属化合物として水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムが挙げられ、リン含有化合物として赤リン、リン酸亜鉛、リン酸メラミン、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、ポリリン酸アミド、ポリリン酸アンモニウム、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェートが挙げられ、窒素含有化合物として尿素、メラミン、シアヌル酸、ビウレット、バルビツール酸、尿酸、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。なお、リン含有化合物を単独で使用しても良いが、窒素含有化合物と併用すると相乗効果があるため好ましい。これら難燃剤はポリエステル100重量部に対し30〜100重量部添加する事が難燃性能を満たすためには必要である。30重量部よりも少ないと難燃性能が劣り、100重量部を超えるとポリエステルの成形表面平滑性が損なわれてしまうので、好ましくない。得られた難燃剤入りポリエステルを架橋ポリオレフィン発泡体表面に積層させる方法は、成型フィルムあるいは架橋オレフィンフォームに粘着剤を塗った後に貼り付る方法や、溶融樹脂をフィルム状に成型する段階で架橋ポリオレフィンフォームへ、直接、熱ラミネートする方法がある。しかしこれら方法は、樹脂中の難燃剤分散性が劣るため難燃性能のバラツキがある積層体となった。
一方、後者、すなわちポリエステル骨格の中に難燃成分を導入する方法としては、水性難燃性ポリエステル樹脂を用いる方法がある。水性難燃性ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分、グリコール成分、水溶性付与成分、反応性リン含有化合物を、縮合反応又は重縮合反応させて得られるものである。以下、水性難燃性ポリエステル樹脂の原料を、ジカルボン酸成分、グリコール成分、水溶性付与成分、反応性リン含有化合物と分類した場合における、ジカルボン酸成分及びグリコール成分には、水溶性付与成分及び反応性リン含有化合物に該当するものは含まれないものとする。
上記のジカルボン酸成分としては、例えば芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸を挙げることができる。芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェン酸、ナフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができ、脂肪族ジカルボン酸としては例えば直鎖、分岐及び脂環式のシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタール酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸等を挙げることができる。
また、ジカルボン酸成分には、上記のようなジカルボン酸のほか、その無水物、エステル、酸クロライド、ハロゲン化物等のように、ジカルボン酸の誘導体であって後述するグリコール成分と反応してエステルを形成するもの(ジカルボン酸のエステル形成性誘導体)も含む。
これらの中でもテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、並びにコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸類が、反応の容易性、得られる樹脂の耐候性、耐久性等の点から好適である。特に芳香族ジカルボン酸類のみを用いるか、芳香族ジカルボン酸類を主成分とするのが最適である。
また、本発明の水性難燃性ポリエステル樹脂の製造に用いられるグリコール成分としては、例えばエチレングリコール及びジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール等のポリエチレングリコール、並びにプロピレングリコール及びジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール、並びに1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、1,5−ジヒドロキシナフタリン、2,5−ジヒドロキシナフタリン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビスフェノールS等を挙げることができる。
また、グリコール成分には、上記のようなグルコールのほか、これらのグリコールに対応するジアセテート化合物等のように、グリコールの誘導体であって前記ジカルボン酸成分と反応してエステルを形成するもの(グリコールのエステル形成性誘導体)も含む。
これらグリコール成分は1種又は2種以上を併せて使用することができる。これらの中でも特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、並びに1,4−ブタンジオール等のブタンジオール類、並びに1,6−ヘキサンジオール等のヘキサンジオール類、並びに1,4−シクロヘキサンジメタノール類、ネオペンチルグリコール及びビスフェノールA等が反応の容易性、得られる樹脂の耐久性等の点から好適である。 本発明の水性難燃性ポリエステル樹脂の製造に用いられる水溶性付与成分は、上記のジカルボン酸成分とグリコール成分とのうちの少なくとも一方と反応して、水性難燃性ポリエステル樹脂の骨格構造の一部を構成するものであり、また、このとき水性難燃性ポリエステル樹脂の骨格中に水溶性付与成分に起因するイオン性の極性基を導入するなどして、水性難燃性ポリエステル樹脂に親水性を付与し、水性難燃性ポリエステル樹脂を水系溶媒に分散又は溶解可能なものとするものである。このような水溶性付与成分としては、例えば金属スルホネート基を有するジカルボン酸成分、三塩基酸無水物や四塩基酸無水物等の3価以上の多価カルボン酸成分等が挙げられる。
水溶性付与成分のうち、金属スルホネート基を有するジカルボン酸成分としては、例えば5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホナフタレン−2,6−ジカルボン酸等のアルカリ金属塩が挙げられ、またこれらのエステル、酸クロライド、ハロゲン化物等のような、他のグリコール成分と反応してエステルを形成するエステル形成性誘導体も含まれる。ここで、水性難燃性ポリエステル樹脂に良好な水分散性又は水溶性を付与するためには、上記のアルカリ金属がナトリウム又はカリウムであることが好ましい。
このような金属スルホネート基を有するジカルボン酸成分を用いると、水性難燃性ポリエステル樹脂中に金属スルホネート基を有効に残存させて、優れた親水性を付与することができる。特に5−ソジウムスルホイソフタル酸又はそのエステル(例えば5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸)を用いると、水性難燃性ポリエステル樹脂中にスルホン酸ナトリウム基を有効に残存させて、優れた親水性を付与させることができるものである。
また、三価以上の多価カルボン酸成分である三塩基酸無水物、四塩基酸無水物等を用いて本発明の水性難燃性ポリエステル樹脂に水分散性もしくは水溶性を付与する場合、縮合反応又は重縮合反応による水性難燃性ポリエステル樹脂の調製時に、多価カルボン酸に起因するカルボキシル基を骨格中に残存させた状態で反応を終了させた後、この残存カルボキシル基を、例えばアンモニア、アルカノールアミン、アルカリ金属化合物等の塩基性化合物で中和することにより、水性難燃性ポリエステル樹脂を水系溶媒に分散又は溶解可能に調整することができる。
三価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメジン酸、メロファン酸、ピロメリット酸、ベンゼンペンタカルボン酸、メリット酸、シクロプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、エタンテトラカルボン酸等の多価カルボン酸が挙げられ、またこれらの無水物、エステル、酸クロライド、ハロゲン化物等のように、多価カルボン酸の誘導体であってグリコール成分と反応してエステルを形成するもの(多価カルボン酸のエステル形成性誘導体)も含まれる。水性難燃性ポリエステル樹脂の三次元架橋をできるだけ防止し、重縮合反応後においてもカルボキシル基を有効に残存させるためには、これらの中でも特に無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸を用いるのが好ましい。
このような三価以上の多価カルボン酸成分、特に三塩基酸無水物、四塩基酸無水物のうちの少なくとも一方を用いると、水性難燃性ポリエステル樹脂中に、カルボキシル基を有効に残存させて、優れた親水性を付与させることができるものである。
水溶性付与成分は、上記の三価以上の多価カルボン酸成分、金属スルホネート基を有するジカルボン酸成分等のうちから、1種のみを用い、或いは2種以上を併用することができる。
水溶性付与成分として金属スルホネート基を有するジカルボン酸成分を用いる場合、その水性難燃性ポリエステル樹脂調製時の使用量は、水性難燃性ポリエステル樹脂を調製するために用いる各成分のうち、ジカルボン酸成分及び水溶性付与成分の合計量に対して50モル%以下とすることが好ましく、この場合、引張破壊強さ等の特に良好な樹脂強度を有すると共に、皮膜形成性組成物に用いる場合に特に良好な耐水性、耐久性を有することとなる。この金属スルホネート基を有するジカルボン酸成分の使用量の下限は特に制限されず、任意成分であるため0モル%としても良いが、水溶性付与成分として金属スルホネート基を有するジカルボン酸成分のみを用いる場合には、使用量を1モル%以上とすることにより優れた親水性を維持することが好ましい。
また水溶性付与成分として多価カルボン酸成分を用いる場合、その使用量は、ジカルボン酸成分及び水溶性付与成分の合計量中で40モル%以下とすることが好ましく、この場合、製造工程における不必要な架橋反応を排除できる重合条件下において、充分な重合度を得ることができる。この多価カルボン酸成分の使用量の下限は特に制限されず、任意成分であるため0モル%としても良いが、水溶性付与成分として多価カルボン酸成分のみを用いる場合には、使用量を1モル%以上とすることにより優れた親水性を維持することが好ましい。
また、水溶性付与成分の総使用量については、ジカルボン酸成分及び水溶性付与成分の合計量に対して1〜60モル%とすることが好ましく、このようにすれば、水性難燃性ポリエステル樹脂に十分な水分散性若しくは水溶性を付与することができ、且つ良好な樹脂強度を維持することとなるものである。水溶性付与成分として、金属スルホネート基を有するジカルボン酸成分と、三塩基酸無水物、四塩基酸無水物等の多価カルボン酸成分を併用する場合にも、この二種の成分からなる水溶性付与成分の総使用量が、ジカルボン酸成分及び水溶性付与成分の合計量に対して1〜60モル%であることが好ましい。
また、水溶性付与成分として金属スルホネート基を有するジカルボン酸成分のみを使用する場合には、水溶性付与成分を、ジカルボン酸成分及び水溶性付与成分の合計量に対して1〜30モル%使用することが好ましく、また3価以上の多価カルボン酸成分を単独で使用する場合は、水溶性付与成分を、ジカルボン酸成分及び水溶性付与成分の合計量に対して5〜40モル%使用することが好ましく、更に金属スルホネート基を有するジカルボン酸成分と多価カルボン酸成分を併用する場合には水溶性付与成分を、ジカルボン酸成分及び水溶性付与成分の合計量に対して2〜40モル%使用することが好ましい。このようにして水溶性付与成分の配合量を調整すると、水性難燃性ポリエステル樹脂を皮膜形成性組成物に用いる場合に、特に高い難燃性、耐久性等を得ることができる。
尚、水系溶媒とは、水単独のほか、水と親水性溶媒との混合溶媒を含むものである。ここで、親水性溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブ及びブチルセロソルブ等のグリコールエーテル等、シクロヘキサノン等を例示できる。上記の水と親水性溶媒との混合溶媒において、水と親水性溶媒の比率は特に限定されるものではないが、ポリエステル樹脂液の安定性及び作業性環境の安全性等を考慮すれば、混合溶媒中に0.1〜50重量%の親水性溶媒を用いるのが好ましい。
なお、本発明のポリエステル樹脂において、多価カルボン酸成分を水溶性手段として用いる場合には、既述のように例えばアンモニア、アルカノールアミン等の塩基性化合物で中和することにより水系溶媒に分散又は溶解可能なものとなるが、このような手段を用いる場合であっても、上記と同様である。
反応性リン含有化合物は、上記ジカルボン酸成分、グリコール成分、水溶性付与成分のうちの少なくともいずれかと反応して縮合または重縮合可能なものが用いられ、具体的にはその分子中にエステル形成性官能基を有するものを用いることが好ましい。
上記のエステル形成性官能基とは、他のカルボキシル基又はヒドロキシル基と反応してエステル結合を形成する官能基を意味するものであり、カルボキシル基及びヒドロキシル基のほか、カルボキシル基を無水物化、エステル化、酸クロライド化、ハロゲン化するなどして誘導されるものであって、他のヒドロキシル基と反応してエステル結合を形成するもの(カルボキシル基のエステル形成性誘導基)や、ヒドロキシル基をアセテート化するなどして誘導されるものであって、他のカルボキシル基と反応してエステル結合を形成するもの(ヒドロキシル基のエステル形成性誘導基)も含まれる。
特にエステル形成性官能基が、カルボキシル基又はヒドロキシル基である場合には、製造工程において良好な反応性が得られるため好ましい。
また、特に反応性リン含有化合物が、その一分子中にエステル形成性官能基を1又は2個有するものであることが好ましく、このようにすると、水性難燃性ポリエステル樹脂の製造工程において、不必要な架橋反応を排除するように重合条件を調整した場合にも、充分な重合度を有する水性難燃性ポリエステル樹脂を得ることができる。更に、反応性リン含有化合物がエステル形成性官能基を2個有する場合においては、2個のエステル形成性官能基が共にカルボキシル基であるか、ヒドロキシル基である場合により良好な結果が得られる。
上記の反応性リン含有化合物としては、反応の容易性、難燃効果等が特に優れている点から、下記一般式(I)〜(III)で表される化合物を好適なものとして例示できる。なお、得られる水性難燃性ポリエステル樹脂の耐候性や、この水性難燃性ポリエステル樹脂から調製される皮膜形成用樹脂組成物の安定性等が特に優れている点から、これらの中でも特に一般式(I)で表される化合物が最適である。
Figure 2008201079
式中、R〜Rはそれぞれ水素原子又は有機基を示し、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。また、Aは水素原子又は有機基を示し、R〜Rと同一であっても、異なっていてもよい。但し、R〜R並びにAのうちの少なくとも一つはエステル形成性官能基を有する。
Figure 2008201079
式中、R及びR10はそれぞれ水素原子又は有機基を示し、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。ただし、R及びR10の少なくとも一方はエステル形成性官能基を有する。
Figure 2008201079
式中、R11〜R13はそれぞれ水素原子又は有機基を示し、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。ただし、R11〜R13の少なくともいずれかはエステル形成性官能基を有する。
上記一般式(I)〜(III)に示す化合物としては、特に一分子中にエステル形成性官能基を1個又は2個有するものが好ましい。
ここで上記一般式(I)〜(III)における有機基とは、適宜の置換基が選ばれるものであり、特に限定されるものではないが、炭素数1〜1000の1価の有機基が好ましい。1価の有機基としては例えば、アルキル基、アルケニル基等の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル基等の脂環族炭化水素基、アリール基等の芳香族炭化水素基、アルキル基等の炭化水素基、並びにカルボキシル基、アルキルオキシ基等が例示される。これらの基は、更にそのなかに官能基を含んでもよい。例えば、エステル形成性官能基(カルボキシル基、ヒドロキシル基並びにこれらから誘導されるエステル形成性誘導基)を含む置換基を有していてもよい。ただし、既述のように、一分子中に存在するエステル形成性官能基の数は1又は2個であることが好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物はエステル形成性官能基を好ましくは1個又は2個有するものであるが、これらは有機基であるA中に存在することが望ましい。なお、上記一般式(I)で表される化合物のうち特に好適なものは、R〜Rが水素原子であり、かつAがエステル形成性官能基としてヒドロキシル基、カルボキシル基又はこれらから誘導されるエステル形成性誘導基を1個又は2個有するものであり、この場合には、水性難燃性ポリエステル樹脂の調製時における反応性を良好なものとし、また得られる水性難燃性ポリエステル樹脂の耐候性や、この水性難燃性ポリエステル樹脂から調製される皮膜形成用樹脂組成物の安定性等を特に優れたものとすることができる。
反応性リン含有化合物は、本発明の水性難燃性ポリエステル樹脂を製造する際にメタノール、エタノールなどの1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの2価アルコールに溶解もしくは分散させて反応系に添加するのが好ましい。
本発明において反応性リン含有化合物の使用量は、得られる水性難燃性ポリエステル樹脂中における反応性リン含有化合物に由来するリン原子の含有量が、水性難燃性ポリエステル樹脂の全量に対する重量比率で300ppm以上となるように調整された量であることが好ましく、更に好ましくは500ppm以上となるようにするものである。このようにすれば、水性難燃性ポリエステル樹脂に対して特に優れた難燃性が付与できる。またこの反応性リン含有化合物の使用量の上限は特に限定されるものではないが、上記のリン原子の含有量が100000ppm以下となる範囲で配合することが好ましく、この場合、重合性不良等の発生を防止して水性難燃性ポリエステル樹脂の樹脂特性が損なわれることを防止することができる。
また、本発明の必須成分であるジカルボン酸成分、グルコール成分、水溶性付与成分、並びに反応性リン含有化合物の配合量は、各成分に含まれるカルボキシル基及びそのエステル形成性誘導基の総数と、ヒドロキシル基及びそのエステル形成性誘導基の総数とが、モル比率で1:1〜2.5の範囲となるように配合することが好ましい。
また、水性難燃性ポリエステル樹脂を調製する際には、分子量を調整するために、公知の多官能性化合物、例えば、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジメチロールブタン酸、3官能性カルボン酸などを適宜の量用いることも好ましい。特に反応性リン含有化合物としてその官能基(エステル形成性官能基)が1個のものを用いる場合には末端停止剤として作用することがあるので、上記の多官能性化合物を適宜併用するのが好ましい。
また、上記以外の反応成分として、例えばp−ヒドロキシ安息香酸、1価の脂肪族アルコール等を併せて用いることも可能である。
本発明の水性難燃性ポリエステル樹脂は、公知のポリエステル製造方法により得ることができる。例えばジカルボン酸とグリコールを用いる直接エステル化反応或いはジカルボン酸のエステル形成性誘導体とグリコールとのエステル交換反応を第1段反応とし、この反応生成物を重縮合させる第2段反応により製造することができる。
本発明の水性難燃性ポリエステル樹脂は各種用途に用いることができる。その中でも、上述した如く、難燃性、耐久性等に優れかつ水系溶媒に分散又は溶解可能であるという特徴により、皮膜形成用樹脂組成物に好適に用いられる。なお、皮膜形成用樹脂組成物に用いる場合の本発明の水性難燃性ポリエステル樹脂は、数平均分子量が5000〜50000であることが好ましい。この数平均分子量が5000以上のとき、水性難燃性ポリエステル樹脂の耐久性及び耐水性が特に優れたものとなり、また、耐加水分解性の向上の点で充分な効果を得られる。またこの数平均分子量が50000以下であれば、皮膜形成用樹脂組成物として水系溶媒に分散又は溶解させた場合に、優れた溶液安定性を維持することができる。
また皮膜形成用樹脂組成物に用いる場合の本発明の水性難燃性ポリエステル樹脂は、より優れた難燃性、耐久性及び耐水性を得やすくすると共に分散液もしくは溶液の長期保存安定性を良好なものとしやくするために、固有粘度が0.05〜1.0であることが好ましく、固有粘度を0.05以上とすることにより特に優れた強度のフィルムを得ることができるようになると共に、固有粘度を1.0以下とすることにより分散液もしくは溶液の長期保存安定性を特に優れたものとすることができる。特に固有粘度が0.12〜0.9の範囲において特に好適な効果が得られる。また更に上記固有粘度が0.2〜0.9のときに最適な効果が得られる。
なお、必要に応じ、例えば浸透剤、難燃剤、静電気防止剤、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、分散助剤等の添加剤を加えることもできる。
本発明の水性難燃性ポリエステル樹脂は、例えば浸漬法、カーテンコート法、グラビアコート法、ワイヤーバー法、スプレーコート法、リバースコート法、スプレー法またはダイコート法等によりポリオレフィン架橋発泡体表面に塗布することができる。
本発明の水性難燃性ポリエステル樹脂の厚さは、通常10μm〜1000μmでありより好ましくは100μm〜800μmである。10μmよりも薄いと難燃性能を発揮しないため好ましくなく、1000μmよりも厚いと、成型加工で難燃層の脱離あるいは伸びの低下による成型不良が発生してしまうため好ましくない。
実施例、比較例で用いた測定方法は以下の通りである。
(燃焼試験)
燃焼性は、自動車用有機資材の燃焼性試験方法(MVSS No.302)に準拠してサンプルの長手方向、幅方向の燃焼速度を測定した。長手方向、幅方向の両方向について自己消火性を示すものを◎、または燃焼するものの燃焼速度が100mm/min.以下の場合を○とし、燃焼速度が100mm/min.を超えてサンプルが燃え切る場合か、一方向についてのみ自己消火性を示すか、または燃焼速度が100mm/min.以下の場合を×とした。
(MFR測定)
MFRはJIS K6760に準じて、190℃にて測定を行った値である。
(塗布厚み)
積層体断面を拡大顕微鏡で観察し、数値化した。
(機械的強度評価)
機械的強度の評価として引張伸度を用いた。引張伸度は、JIS K 6767(1999年)に準拠して測定を行い、試験片を常温下で、速度500mm/分で試験片を引張り、破断点の伸度を測定した。難燃剤を加えず、ポリオレフィン系樹脂のみで作成した発泡体の伸度に対する各サンプルの伸度の比から伸度低下率を測定した。
◎・・・伸度低下率 90%以上
○・・・伸度低下率 80%以上〜90%未満
×・・・伸度低下率 80%未満
(成形性評価)
直径D、深さHの垂直円筒状の雌型上において、発泡体を表面温度が160℃になるようにラジエーションヒーターにより加熱し、真空成型機を用いてストレート成形したときに、発泡体が破れることなく円筒状に展開、伸長される限界での成型絞り比H/Dの値を測定し、以下の基準で判断した。なお、ここではD=50mmで評価を行った。
◎・・・成型絞り比0.64以上
○・・・成形絞り比0.60〜0.64
×・・・成形絞り比0.60未満。
次に本発明を実施例、比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されず、幅広い応用範囲を持つものである。なお実施例、比較例における部および%表示は、すべて重量基準である。
(実施例1)
密度925kg/m3、MFR=2.3のポリエチレン100部、酸化防止剤として、イルガノックス1010(チバスペシャリティケミカルズ製) を0.5部、熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド(大塚化学製)15部をヘンシェルミキサーにて均一に混合し、シリンダー前半部分を160〜170℃の温度に、後半部分を130〜140℃の温度に設定したスクリュー径60mmφの2軸押出機を用い、スクリュー回転数18rpmでTダイから押し出し、厚さ2.1mmの長尺の発泡性シートを作成した.。このシートに加速電圧650Kvで, 50kGyに相当する線量を両面から照射して架橋させた。次いで、このシートを225℃に設定したソルト浴に連続的に投入し加熱するとともに、ソルト面に接触していない面を赤外線ヒーターで加熱させることで、シート状の発泡体を得た。このフォームにコロナ放電処理を加え、表面のぬれ指数は44mN/mに改質した。このフォームの表面にリン系難燃剤を7%含む固形分25%の難燃性ポリエステル水溶液(互応化学製)をメタバーを使って塗布し、110℃、5分乾燥させ、180℃下1分放置した。難燃ポリエステルの厚みは500μmの積層体を得た。この積層体は、難燃性能は自己消火性であり、機械的強度評価結果は92%であり、成型絞り比は0.64であった。
(実施例2)
発泡体製造段階で、酸価52、重量平均分子量30,000のマレイン酸変性ポリプロピレン共重合体をポリオレフィン樹脂100重量部に対し5部添加し、コロナ放電処理を行わない事以外は、実施例1と同様の方法で架橋発泡体、難燃積層体を得た。ぬれ指数は48mN/mであり、難燃ポリエステルの厚みは530μmの積層体を得た。この積層体は、難燃性は自己消火性であり、機械的強度評価結果は95%であり、成型絞り比は0.62であった。
(実施例3)
発泡体製造段階で、水和金属化合物を50部添加した以外は実施例1と同様の方法で難燃積層体を得た。この積層体は、難燃性は自己消化性であり、機械的強度評価結果は85%であり、成型絞り比は0.60であった。
(実施例4)
・ 水性難燃性ポリエステル濃度が200ppmの溶液を塗布した事以外は実施例1と同様の方法で積層体を得た。難燃剤濃度が少ないため、難燃速度が60mm/minであり、機械的強度評価結果は96%であり、成型絞り比は0.68であった。
(実施例5)
水性難燃性ポリエステル濃度が15%の溶液を塗布した事以外は実施例1と同様の方法で積層体を得た。難燃剤濃度が高いため、難燃性は自己消火性で、機械的強度は82%、成型絞り比は0.60であった。
(実施例6)
発泡体製造段階は実施例1と同様に行い、スプレー法塗布方式で水性難燃性ポリエステルを塗布した。この塗布厚みが5μmであった。この積層体は機械的強度評価結果は97%、成型絞り比は0.64であったが、難燃速度が85mm/minであった。
(実施例7)
発泡体製造段階は実施例1と同様に行い、浸漬法塗布方式で水性難燃性ポリエステルを塗布した。この塗布厚みは1.1mmであった。この積層体は難燃性は自己消火性で、機械的強度評価結果は82%であり、成型絞り比は0.60であった。
(比較例1)
発泡体製造段階で水和金属化合物として水酸化マグネシウムをポリエチレン樹脂100重量部に対し、100重量部添加し、発泡体を得た。積層加工せずに評価を行った結果、難燃速度が30mm/min、機械的強度評価結果は75%であり、成型絞り比は0.54であった。
(比較例2)
発泡体製造段階は実施例2と同様に行い、難燃剤を含まない水溶性ポリエステルを実施例1の積層方法と同様に処理し、ポリエステル厚み400μmの積層体を得た。この積層体は難燃速度が120mm/min、機械的強度評価結果は90%であり、成型絞り比は0.62であった。
Figure 2008201079
自動車内装材、弱電エアコン断熱材等に効果的に使用される可能性がある。

Claims (4)

  1. ポリオレフィン系架橋発泡体の少なくとも片側に難燃性ポリエステル層を有する、難燃性積層体。
  2. 前記難燃性ポリエステル層が、水溶性非ハロゲン系の難燃性ポリエステルであることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性積層体。
  3. 難燃性ポリエステルが、リン原子を300ppm〜100000ppm含有し、金属スルホネート基がカルボン酸成分に導入されたことを特徴とする、請求項2に記載の難燃性積層体。
  4. 難燃性ポリエステル層の厚さが10μm〜1000μmであることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の難燃性積層体。
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