JP2008201060A - 射出成形装置における成形条件の決定方法及び射出成形装置 - Google Patents

射出成形装置における成形条件の決定方法及び射出成形装置 Download PDF

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Abstract

【課題】温度センサのみで、成形条件の良否が直接判定できる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】ST04で測温装置により、第1ショットにおける樹脂温度を連続的に記録する。ST05で温度曲線から微小時間当たりの積分値を算出する。ST09で第1の成形条件で実施した20ショット分の標準偏差を、算術平均することで、平均標準偏差σ1aveを求める。ST12で(平均標準偏差σ1ave,σ2ave・・・σNave)のうちから、最小の平均標準偏差σxaveを特定する。ST13で最小の平均標準偏差σxaveに対応する成形条件が、最適であると判定する。
【効果】温度の変化率に基づいて成形条件の良否を判定するようにした。この判定では、温度のばらつきによる判定よりも格段に信頼性の高い良否判定が可能となった。
【選択図】図2

Description

本発明は、射出成形装置における成形条件の決定方法に関する。
樹脂原料を、射出機で溶かし、金型へ射出して、樹脂製品(成形品)を得ることは広く行われている。そのためには射出成形装置に成形条件を設定し、この成形条件で射出成形を行う。成形品が不良であれば、成形条件を変更する。
成形条件は、加熱筒温度、金型温度、射出力、型締め力、スクリュー背圧、射出時間、保圧時間、冷却時間、射出速度、スクリュー回転速度など、複数の条件要素で構成される。
一方、成形品の良否は、樹脂自体の温度、圧力、比容積に強く影響されることが知られている。しかし、樹脂自体の温度と加熱筒温度とは差があり、樹脂自体の圧力と射出力とは差がある。そこで、理想的には、樹脂自体の温度や樹脂自体の圧力で成形条件の良否を評価した。
そこで、樹脂自体の温度や圧力を実測して、評価を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2000−263618公報(図7)
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図7は従来の技術の基本原理を説明する図であり、特許文献1は、樹脂温度を測定することができる温度センサと、樹脂圧力を測定することができる圧力センサを備えている。 特許文献1の段落番号[0029]には「図7は成形機A及び成形機Bの比容積を比較した図である。比容積vは、温度センサで測定した樹脂温度Tと圧力センサで測定した樹脂圧力pから、p−v−T曲線を用いて求めることができる。そして、成形機Aの方が、成形不良が出る。」と説明されている。
特許文献1によれば、成形機Aと成形機Bの比較は可能である。しかし、成形機Bに設定した成形条件が、本当に好適条件であるか否かを直接示すものではない。
設定した成形条件が、好ましいものであるか否かを、直接判定することができる判定法が望まれる。
また、特許文献1を実施するには、温度センサを樹脂の通路に臨ませて温度を測定し、圧力センサを樹脂の通路に臨ませて圧力を測定することが不可欠である。
温度センサと圧力センサは、先端が液状の樹脂に接触していることを前提とする。しかし、温度センサや圧力センサで冷やされて、センサの先端に凝固した樹脂膜ができることがある。
温度であれば、この樹脂膜を伝わって熱が温度センサに伝達するため、検出精度の低下を心配する必要はない。
一方、圧力であれば、凝固した樹脂膜で遮断される。そのため、圧力センサは低い圧力を検出することになり、検出精度が著しく低下する。
圧力の測定値に誤差があると、求めた比容積にも誤差が含まれ、可塑化の評価の信頼性が低下する。
したがって、圧力センサを使用しないで、評価ができる技術が求められる。
本発明は、温度センサのみで、成形条件の良否が直接判定できる技術を提供することを課題とする。
本発明者らは、先ず、次表で示す3つの成形条件(第1の成形条件、第2の成形条件、第3の成形条件)で、射出成形を行い、そのときの樹脂温度を測定した。また、比較のために、上記各成形条件で成形した際に得られる成形品の重量を測定した。
Figure 2008201060
第1の成形条件で、20ショットの成形を実施した。このときに得た温度曲線(20本)を、図8(a)に示す。縦軸が測定した樹脂温度で、横軸がスクリューストロークであり、スクリューは横軸の右から左へ移動する。20本の温度曲線は上下に大きくばらついている。
第2の成形条件で、20ショットの成形を実施した。このときに得た温度曲線(20本)を、図8(b)に示す。20本の温度曲線のばらつきは、かなり改善された。
第3の成形条件で、20ショットの成形を実施した。このときに得た温度曲線(20本)を、図8(c)に示す。20本の温度曲線のばらつきは、かなり改善された。
また、上記各成形条件で成形した成形品の重量の測定値から変動係数を求めた。
変動係数の計算法を説明する。先ず、第1の成形条件で得た20個の重量データから平均値(m1)を求める。また、第1の成形条件で得た20個の重量データから標準偏差(σ1)を求める。±3σの範囲に対応させるために、標準偏差(σ1)は6倍する。さらに、百分率表記するために100倍する。
変動係数は、(6・(σ1)/(m1))×100の算式で求める。以下、この変動係数を、変動係数6CVと呼ぶ。
3つの成形条件(第1の成形条件、第2の成形条件、第3の成形条件)での変動係数6CVを次表で示す。
Figure 2008201060
変動係数6CVは、成形品の重量のばらつきを示す係数であり、係数が小さいほど、ばらつきが少なく安定した成形品であることを示し、品質を測る指標として使用される。
第1の成形条件では、変動係数6CVは0.20であり、第2の成形条件では、変動係数6CVは0.16であり、第3の成形条件では、変動係数6CVは0.07であった。
すなわち、実際に成形された成形品の質量を測定し、これにより得られた変動係数を見れば最良の成形条件を知ることができるが、質量が安定した状態で測定する必要があるため、変動係数を即座に得ることは出来ず、成形条件の判定に使用することが出来ない。
そのため、作業者は、得られたモニタ値を見て判断しなければならない。温度変動をモニタ値として成形条件の判定に使用する場合、図8(a)から、第1の成形条件では良品が得られないことは理解できる。しかし、図8(b)は図8(c)と大差がないため、第2の成形条件が第3の成形条件よりも、大いに悪いことは理解できない。
そこで、本発明者らは、図8(b)に、温度の急変部b1、b2、b3が存在し、図8(c)にはそのような温度の急変部が認められない、という差異に注目した。そして、樹脂温度の急変が成形不良の要因であると推定した。
樹脂温度の急変を、定量化するために、温度曲線を微小時間で微分し、得られた多数個の微分値から標準偏差を求めた。この標準偏差が小さいほど、温度は穏やかに変化するから、良品が得られると考えた。
詳細は後述するが、以上の知見に基づいてデータを整理したところ、樹脂温度の変化と成形品との良好な相関を見出すことができた。
すなわち、請求項1に係る発明は、射出成形装置に設定する成形条件を変えながら運転を繰り返して、成形条件の最適化を図る成形条件の決定方法であって、
射出機と金型との間に、樹脂の温度を測ることができる測温装置をセットする工程と、
第1の成形条件で射出成形を実施し、前記測温装置で射出時間中の第1ショットの温度を連続的に記録し、この第1ショットの温度を微小時間で区切って、微小温度差を微小時間で割ることにより多数個の微分値を得、この多数個の微分値をデータとして第1ショットの標準偏差を求める第1ショットの標準偏差取得工程と、
この第1ショットの標準偏差取得工程と同様の工程を、第2ショット〜第nショットまで実施して第2ショット〜第nショットまでの標準偏差を取得する工程と、
得られた第1〜第nまでの標準偏差を算術平均処理して、第1の成形条件における平均標準偏差を求める工程と、
前記第1の成形条件とは異なる第2の成形条件で、前記第1ショットの標準偏差取得工程及び前記第2ショット〜第nショットまでの標準偏差を取得する工程と同様の工程を実施し、得られた第1〜第nまでの標準偏差を算術平均処理して、第2の成形条件における平均標準偏差を求める工程と、
前記第1の成形条件における平均標準偏差を求める工程で得た第1の成形条件における平均標準偏差と、前記第2の成形条件における平均標準偏差を求める工程で得た第2の成形条件における平均標準偏差とを比較して、小さい方が好ましい成形条件であると判定する判定工程とからなり、
測定した温度を、微分処理し、複数の微分値から標準偏差を求め、この標準偏差に基づいて、成形条件の良否を判断することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、第1の成形条件における平均標準偏差を求める工程の次に、前記第1の成形条件における平均標準偏差を、第1の成形条件に含まれる第1の射出率で割ることで、補正した第1の平均標準偏差を求める工程を加え、
第2の成形条件における平均標準偏差を求める工程の次に、前記第2の成形条件における平均標準偏差を、第2の成形条件に含まれる第2の射出率で割ることで、補正した第2の平均標準偏差を求める工程を加え、
判定工程では、補正した第1の平均標準偏差と、補正した第2の平均偏差とを比較することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2記載の射出成形装置における成形条件の決定方法を実施する制御部を備えていることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、温度の変化率に基づいて成形条件の良否を判定するようにした。この判定では、温度のばらつきによる判定よりも格段に信頼性の高い良否判定が可能となった。成形条件の良否判定が高い精度で行えるため、効率よく、最良の成形条件を定めることができる。このことにより、量産生産前の試運転の回数や時間を大いに短縮することができる。
請求項2に係る発明では、射出率で補正することにより、射出速度の影響を排除することができる。温度変動は、成形条件により変動し、特に射出速度の影響を顕著に受ける。そのため、複数の成形条件間で、射出速度に差異があっても、射出率で補正することにより、信頼性の高い良否判定が可能となる。
請求項3に係る発明では、射出成形装置に、請求項1又は請求項2記載の射出成形装置における成形条件の決定方法を実施する制御部を備えた。
射出成形装置を操作する作業者は、成形条件の良否判定が高い精度で行える。そのため、効率よく、最良の成形条件を定めることができ、量産生産前の試運転の回数や時間を大いに短縮することができる。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る射出成形装置の側面図であり、射出成形装置10は、基台11に射出機20及び型締機30を載せると共に、基台11に、制御部を兼ねる制御パネル12を備えた横型射出成形装置である。
射出機20は、スクリューを内蔵した加熱筒21、この加熱筒21に成形材料を供給するホッパー22、スクリューを高速で押出すためのボールねじ機構23及び射出用モータ24などを備える。
型締機30は、圧受盤31、固定盤32、複数本のタイバー33、可動盤34、この可動盤34を型締方向へ押出すトグルリンク35及び型締用モータ36とからなり、固定盤32に固定側金型37を固定し、可動盤34に可動側金型38を固定することにより、可動側金型38を型締方向及び型開き方向へ任意に移動させることができる。なお、この例ではトグルリンク式型締機を採用したが、シリンダで直接若しくは間接的に型締めするシリンダ式型締機であってもよく、型締機の形式は問わない。
射出に際しては、加熱筒22と固定側金型37との間に、樹脂の温度を測定することができる測温装置40をセットする。この測温装置40の詳細構造は省略するが、温度センサを内蔵し、この温度センサで得た温度情報を制御パネル12へ送る役割を果たす。
以上の説明した射出成形装置10を用いて行う成形条件の決定方法を次に説明する。
図2は好適な成形条件を決定するまでのフロー図である。
ステップ(以下、ST)01:射出機と金型との間に測温装置をセットする(図1参照)。
ST02:図1の制御パネルに成形条件をインプットする。Mは1〜Nまでの数であり、最初はM=1であるため、成形条件は、第1の成形条件となる。
ST03:この成形条件で第1ショットの射出成形を実施する。mは1〜mまでの数であり、最初はm=1であるため、ショットは、第1ショットとなる。
ST04:測温装置により、第1ショットにおける樹脂温度を連続的に記録する。
ST05:記録した温度曲線から微小時間当たりの積分値を算出する。
図3は微分法の説明図であり、第1ショットの温度曲線41を、微小時間Δt(例えば、20ms)で分割し、ある分割部での前後の温度がTjとTkであったとすれば、微分値は、(Tk−Tj)/Δtで求めることができる。第1ショットでの射出時間が2s(秒)であれば、約100個の微分値データが得られる。
図2に戻る。
ST06:多数個(例えば100個)の微分値データから、標準偏差σmを算出する。標準偏差は、[((微分値データ)−(微分値データの平均値))の和/微分値データの数]で求めることができる。最初はm=1であるから、第1ショットの標準偏差はσ1となる。
ST07:標準偏差を累積する。最初は、σ1だけが蓄積される。
ST08:次のショットを実施するか否かを決める。
20ショット実施するとすれば、ST03に戻って、第2ショットを開始する。
ST04〜ST06を実施することで、第2ショットの標準偏差σ2を得る。ST07では、累積結果が、σ1+σ2となる。
20ショットを繰り返すと、ST07での累積は、σ1+σ2+・・・+σ20となる。これを、一般化してΣσと表記する。
なお、ST03で、第1ショットの次に第2ショット、第3ショット・・・第nショットを順次実施するため、ST03は第mショット(m=1,2・・・n)と記載した。
第nショット(所定のショット回数)を実施したら、ST09へ進む。
ST09:σMave=(Σσ/n)、(ただしM=1,2・・・N)の算式で、第1の成形条件における平均標準偏差σ1aveを求める。
すなわち、第1の成形条件で実施した20ショット分の標準偏差を、算術平均することで、平均標準偏差σ1aveを求めた。
ST10:平均標準偏差σ1aveを保存する。
ST11:成形条件を変えて、射出成形を続ける否かを決める。成形条件の良否を判定するために、少なくとも1回はST02へ戻す。
ST02:第2の成形条件を設定する。そして、ST03〜ST08を実施することで、第2の成形条件で射出成形を行い、温度を測定し、温度を微分し、標準偏差を求め、20ショット分の標準偏差を累積する。
ST09:第2の成形条件で実施した20ショット分の標準偏差を、算術平均することで、平均標準偏差σ2aveを求める。
ST02〜ST11をN回繰り返す。するとST10に、(平均標準偏差σ1ave,σ2ave・・・σNave)が保存できる。
ST12:(平均標準偏差σ1ave,σ2ave・・・σNave)のうちから、最小の平均標準偏差σxaveを特定する。
ST13:最小の平均標準偏差σxaveに対応する成形条件が、最適であると判定する。
以上に説明したST10〜ST13の理解を容易にするために、図4で具体例を説明する。なお、この例で使用する成形条件は、上述の表1に示した値を使用する。
図4は本発明の方法を制御パネルに表示した例を示す図である。
(a)に示すように、制御パネル12(図1)に、第1の成形条件として、スクリュー外径:40mm、樹脂:ポリプロピレン、加熱筒温度:210℃、サイクル時間41秒、スクリュー回転速度:200rpm(1分間当たりの回転数)、ショット数:20を、設定する。
そして、図2のフローを実施する。すると、図2のST09により、平均標準偏差σ1aveが計算でき、その値が16であった。
(b)に示すように、右から2番目の欄に「16」が表示され、その右にランクを示す「1」が表示される。
次に、(c)に示すように、第2の成形条件を設定する。すなわち、第1の成形条件からサイクル時間を51秒に変更し、スクリュー回転速度を100rpmに変更した。
そして、図2のフローを実施する。すると、図2のST09により、平均標準偏差σ2aveが計算でき、その値が13であった。
(d)に示すように、右から2番目の欄に「13」が表示された。この13は、第1の成形条件から得た「16」より小さい。第2の成形条件の右端に、ランクを示す「1」を表示し、第1の成形条件のランクを示す「2」を表示する。
(e)に示すように、第3の成形条件を設定する。今までで最良である第2の成形条件から加熱筒温度だけを230℃に変更した。そして、図2のフローを実施する。すると、図2のST09により、平均標準偏差σ3aveが計算でき、その値が9であった。
右端に、第3の成形条件のランクが「1」、第2の成形条件のランクが「2」、第3の成形条件がのランク「3」と表示された。
作業者は、現在、第3の成形条件がベストであると認識することができる。さらに、第4の成形条件〜第Nの成形条件を試し、第4の成形条件〜第Nの成形条件のうちから、ランク「1」、すなわち平均標準偏差が最も小さなものを見出せば、それが最適な成形条件となる。
なお、上述のST12では、(平均標準偏差σ1ave,σ2ave・・・σNave)のうちから、最小の平均標準偏差σxaveを特定したがこれは次のように単純化することが可能である。
現在の平均標準偏差と、次の射出成形で得た平均標準偏差を比較して、小さい方を好適と判断する。すなわち、その時点での好適な平均標準偏差と次の標準偏差とを比較して、小さい方をランク「1」とする。
したがって、ST12は、第1の成形条件における平均標準偏差を求める工程で得た第1の成形条件における平均標準偏差と、第2の成形条件における平均標準偏差を求める工程で得た第2の成形条件における平均標準偏差とを比較して、小さい方が好ましい成形条件であると判定することにしても、差し支えない。
次に、平均標準偏差と成形品品質との相関を確認する。
次表は、上述の表2に、図4(e)に示した平均標準偏差を合成して作成した。
Figure 2008201060
上表をグラフ化する。
図5は平均標準偏差と変動係数6CVとの関係を示すグラフである。縦軸の変動係数6CVは、成形品の重量のばらつきを示す指標であり、小さいほどよく、「0」が理想である。そこで、原点を通る理想直線を、想像線で示すように引くことができる。
第1の条件でのσ1aveと第2の条件でのσ2aveは、理想直線に載っている。第3の条件でのσ3aveは、理想直線から若干は外れているが、実験値から求めたものであるから、この程度の外れは起こりうる。
グラフから明らかなように、平均標準偏差σMaveが小さいほど、変動係数6CVが小さくなり、成形品の品質を高めることができる。この結果、平均標準偏差σMaveを指標として、成形条件の良否を判定することが有効であるが確認できた。
以上を総合すると、第1の発明は次のようにまとめることができる。なお、(ST01)などは、図2のフローのステップを示す。
図1の射出成形装置の制御部12に設定する成形条件を変えながら運転を繰り返して、成形条件の最適化を図る成形条件の決定方法であって、
射出機20と金型37との間に、樹脂の温度を測ることができる測温装置40をセットする工程(ST01)と、
第1の成形条件で射出成形を実施し(ST03)、前記測温装置で射出時間中の第1ショットの温度を連続的に記録し(ST04)、この第1ショットの温度を微小時間で区切って、微小温度差を微小時間で割ることにより多数個の微分値を得(ST05)、この多数個の微分値をデータとして第1ショットの標準偏差を求める第1ショットの標準偏差取得工程(ST03〜ST06)と、
この第1ショットの標準偏差取得工程と同様の工程を、第2ショット〜第nショットまで実施して第2ショット〜第nショットまでの標準偏差を取得する工程(ST03〜ST06)と、
得られた第1〜第nまでの標準偏差を算術平均処理して、第1の成形条件における平均標準偏差を求める工程(ST09)と、
前記第1の成形条件とは異なる第2の成形条件で、前記第1ショットの標準偏差取得工程及び前記第2ショット〜第nショットまでの標準偏差を取得する工程と同様の工程を実施し、得られた第1〜第nまでの標準偏差を算術平均処理して、第2の成形条件における平均標準偏差を求める工程(ST02〜ST09)と、
前記第1の成形条件における平均標準偏差を求める工程で得た第1の成形条件における平均標準偏差と、前記第2の成形条件における平均標準偏差を求める工程で得た第2の成形条件における平均標準偏差とを比較して、小さい方が好ましい成形条件であると判定する判定工程(ST12、ST13)とからなり、
測定した温度を、微分処理し、複数の微分値から標準偏差を求め、この標準偏差に基づいて、成形条件の良否を判断することを特徴とする射出成形装置における成形条件の決定方法。
すなわち、第1の発明では、温度の変化率に基づいて成形条件の良否を判定するようにした。この判定では、温度のばらつきによる判定よりも格段に信頼性の高い良否判定が可能となった。成形条件の良否判定が高い精度で行えるため、効率よく、最良の成形条件を定めることができる。このことにより、量産生産前の試運転の回数や時間を大いに短縮することができる。
ところで、詳細な説明は省略するが、射出速度が温度の変動に影響することが分かってきた。そこで、射出速度の影響を無くするために、射出率で補正することが有効であると考えた。
射出率は、単位時間当たりの成形材料の理論射出体積であり、スクリューの断面積×スクリューの前進速度で計算できる。
上述した平均標準偏差を射出率で割ることにより、補正した平均標準偏差とすることができ、この補正した平均標準偏差に基づいて成形条件の良否の判定を行えばよい。
補正した平均標準偏差に基づくフローを次図で説明する。
図6は図2の変更例図である。図2のST09〜ST13を修正した。図2のST01〜ST13の各ステップ番号に20を加えた、ST21〜ST33により図6を説明する。
ST21:射出機と金型との間に測温装置をセットする。
ST22:制御パネルに成形条件をインプットする。
ST23:この成形条件で第1ショットの射出成形を実施する。
ST24:第1ショットにおける樹脂温度を連続的に記録する。
ST25:記録した温度曲線から微小時間当たりの積分値を計算する。
ST26:多数個(例えば100個)の微分値データから、標準偏差σmを算出する。
ST27:標準偏差を累積する。
ST28:次のショットを実施するか否かを決める。
20ショット実施するとすれば、ST23に戻って、第2ショットを開始する。
ST24〜ST26を実施することで、第2ショットの標準偏差σ2を得る。ST27では、累積結果が、σ1+σ2となる。
第nショット(すなわち所定のショット回数)を実施したら、ST29へ進む。
ST29:σ’Mave=(Σσ/n)/射出率、(ただしM=1,2・・・N)の算式で、第1の成形条件における補正した平均標準偏差σ’1aveを求める。
ST30:補正した平均標準偏差σ’1aveを保存する。
ST31:成形条件を変えて、射出成形を続ける否かを決める。成形条件の良否を判定するために、少なくとも1回はST22へ戻す。
ST22:第2の成形条件を設定する。そして、ST23〜ST28を実施することで、第2の成形条件で射出成形を行い、温度を測定し、温度を微分し、標準偏差を求め、20ショット分の標準偏差を累積する。
ST29:第2の成形条件で実施した20ショット分の標準偏差を、算術平均し、射出率で割ることで、補正した平均標準偏差σ’2aveを求める。
ST22〜ST31をN回繰り返す。するとST30に、(補正した平均標準偏差σ’1ave,σ’2ave・・・σ’Nave)が保存できる。
ST32:(補正した平均標準偏差σ’1ave,σ’2ave・・・σ’Nave)のうちから、最小の平均標準偏差σ’xaveを特定する。
ST33:最小の平均標準偏差σ’xaveに対応する成形条件が、最適であると判定する。
なお、上述のST29で、σ’Mave=(Σσ/n)/射出率の計算を実施したが、この計算は、第1段階でσMave=(Σσ/n)を計算し、第2段階でσ’Mave=σMave/射出率を計算するように、2段階で実施することは差し支えない。すなわち、1つの計算を、複数の計算を経て実施しても結果は同一である。
以上を総合すると、第2の発明は次のようにまとめることができる。
第2の発明は、第1の発明を前提とし、第1の成形条件における平均標準偏差を求める工程の次に、第1の成形条件における平均標準偏差を、第1の成形条件に含まれる第1の射出率で割ることで、補正した第1の平均標準偏差を求める工程を加え(ST29)、
第2の成形条件における平均標準偏差を求める工程の次に、第2の成形条件における平均標準偏差を、第2の成形条件に含まれる第2の射出率で割ることで、補正した第2の平均標準偏差を求める工程を加え(ST29)、
判定工程(ST31、ST32)では、補正した第1の平均標準偏差と、補正した第2の平均偏差とを比較することを特徴とする。
この第2の発明によれば、射出率で補正することにより、射出速度の影響を排除することができる。すなわち、複数の成形条件間で、射出速度に差異があっても、射出率で補正することにより、信頼性の高い良否判定が可能となる。
また、射出率にはスクリューの断面積の要素を含むため、射出率で補正することにより、スクリューの径の影響を排除することができる。すなわち、複数の成形条件間で、スクリューの径に差異があっても、射出率で補正することにより、信頼性の高い良否判定が可能となる。
尚、成形条件は、図4で5つの条件要素としたが、これらの条件要素は、差し替え、増減することは差し支えない。
本発明は、射出成形装置の成形条件の決定方法に好適である。
本発明に係る射出成形装置の側面図である。 好適な成形条件を決定するまでのフロー図である。 微分法の説明図である。 本発明の方法を制御パネルに表示した例を示す図ある。 平均標準偏差と変動係数6CVとの関係を示すグラフである。 図2の変更例図である。 従来の技術の基本原理を説明する図である。 樹脂温度の変化を示すグラフである。
符号の説明
10…射出成形装置、12…制御部(制御パネル)、20…射出機、37…金型(固定側金型)、40…測温装置。

Claims (3)

  1. 射出成形装置に設定する成形条件を変えながら運転を繰り返して、成形条件の最適化を図る成形条件の決定方法であって、
    射出機と金型との間に、樹脂の温度を測ることができる測温装置をセットする工程と、
    第1の成形条件で射出成形を実施し、前記測温装置で射出時間中の第1ショットの温度を連続的に記録し、この第1ショットの温度を微小時間で区切って、微小温度差を微小時間で割ることにより多数個の微分値を得、この多数個の微分値をデータとして第1ショットの標準偏差を求める第1ショットの標準偏差取得工程と、
    この第1ショットの標準偏差取得工程と同様の工程を、第2ショット〜第nショットまで実施して第2ショット〜第nショットまでの標準偏差を取得する工程と、
    得られた第1〜第nまでの標準偏差を算術平均処理して、第1の成形条件における平均標準偏差を求める工程と、
    前記第1の成形条件とは異なる第2の成形条件で、前記第1ショットの標準偏差取得工程及び前記第2ショット〜第nショットまでの標準偏差を取得する工程と同様の工程を実施し、得られた第1〜第nまでの標準偏差を算術平均処理して、第2の成形条件における平均標準偏差を求める工程と、
    前記第1の成形条件における平均標準偏差を求める工程で得た第1の成形条件における平均標準偏差と、前記第2の成形条件における平均標準偏差を求める工程で得た第2の成形条件における平均標準偏差とを比較して、小さい方が好ましい成形条件であると判定する判定工程とからなり、
    測定した温度を、微分処理し、複数の微分値から標準偏差を求め、この標準偏差に基づいて、成形条件の良否を判断することを特徴とする射出成形装置における成形条件の決定方法。
  2. 前記第1の成形条件における平均標準偏差を求める工程の次に、前記第1の成形条件における平均標準偏差を、第1の成形条件に含まれる第1の射出率で割ることで、補正した第1の平均標準偏差を求める工程を加え、
    前記第2の成形条件における平均標準偏差を求める工程の次に、前記第2の成形条件における平均標準偏差を、第2の成形条件に含まれる第2の射出率で割ることで、補正した第2の平均標準偏差を求める工程を加え、
    前記判定工程では、補正した第1の平均標準偏差と、補正した第2の平均偏差とを比較することを特徴とする請求項1記載の射出成形装置における成形条件の決定方法。
  3. 請求項1又は請求項2記載の射出成形装置における成形条件の決定方法を実施する制御部を備えていることを特徴とする射出成形装置。
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