JP3842868B2 - 射出成形方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金型内の樹脂の粘度を計算して、成形品の良否判別を行い、この良否判別結果に基づいて成形条件の制御を的確に行うことができる射出成形方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の射出成形方法としては、図10に示すような、特開平5−329864号公報に記載されたものがある。
【0003】
この射出成形方法では、射出成形機の金型1に入る手前の位置にあるノズル12に圧力センサ3を設け、この圧力センサ3によって樹脂の圧力を測定し、この圧力から粘度を、理論式に基づいて計算している。そして、このようにして計算された粘度に基づいて、成形品不良の推定判別を行い、または、不良が発生しないように成形条件を制御するようにしている。
【0004】
一般に射出成形用の樹脂は、その乾燥状態の良否、製造ロット間の物性のバラツキなどに基因して、成形不良が発生することがある。しかし、以上のようにして成形される製品の粘度を調べることができるので、成形不良の発生を推定して判別することができるとともに、成形条件を調節することによって、成形不良の発生を未然に防ぐこともできる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来例にあっては、成形品の成形性に、直接、影響がある金型1内の樹脂の圧力について調べているわけではないので、製品の良否判別を行い、この良否判別結果に基づいて成形条件の制御が、十分な精度でなされいないことがある点で問題がある。つまり、実際に成形が行われる位置に最も近い金型1内での圧力を測定できることが好ましいのである。
【0006】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、金型内の粘度を測定された圧力に基づいて計算することによって、成形品の不良判別または不良を出さないような成形条件の制御を、十分に精度がよく行うことができる射出成形方法およびその装置の提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明は、内部にホットランナーチップ8を具備した金型1における、このホットランナーチップ8の樹脂流路において樹脂の圧力を測定し、さらに前記樹脂流路の樹脂の温度を測定し、この温度と前記圧力とから樹脂の流量を算出し、この流量と前記圧力とから粘度を計算し、この計算された粘度を、成形不良が製造されないような樹脂の粘度範囲として製造実験データに基づいて予め求められる基準粘度と比較して、この基準粘度の粘度範囲から同計算された粘度が外れているか否かにより成形品の良否判別を行い、この良否判別結果に基づいて成形条件の制御を行うことを特徴として構成している。
【0008】
このような射出成形方法によれば、金型1内で成形される直前の粘度を計算し、この粘度に基づいて成形品の良否判別または成形条件の制御を行っているので、計算される粘度が成形品の良否に直に反映されて、判別または制御の精度が向上している。
【0009】
請求項1記載の発明において、金型1にホットランナーチップ8を具備させ、このホットランナーチップ8における樹脂流路2の圧力を測定することを特徴として構成している。
【0010】
このような射出成形方法によれば、ホットランナーチップ8内の樹脂は常に溶融状態になっているので、ランナー、スプルーなどのロス材を発生させることなく射出成形することができる。その上、ホットランナーチップ8に圧力センサ3を設けて、圧力測定を行うことができるので、圧力センサ3を金型1の本体部分に設ける必要がなくて、その設置が容易になっている。
【0035】
請求項2記載の発明は、金型1内にホットランナーチップ8を具備させ、このホットランナーチップ8における樹脂流路2における樹脂の圧力を測定する圧力センサ3と、前記樹脂流路の樹脂の温度を測定する温度センサ6を具備し、この温度センサ6によって測定された温度と圧力センサ3の測定した圧力とから樹脂の流量を算出し、この流量と圧力センサ3の測定した圧力とから粘度を計算する演算回路4と、計算された粘度を、成形不良が製造されないような樹脂の粘度範囲として製造実験データに基づいて予め求められる基準粘度と比較して、この基準粘度の粘度範囲から同計算された粘度が外れているか否かにより成形品の良否判別を行い、この良否判別結果に基づいて成形条件の制御を行う判別制御回路5とを有して成ることを特徴として構成している。
【0036】
このような射出成形装置によれば、金型1内の成形される直前の粘度を計算して、この粘度に基づいて成形品の良否判別または成形条件の制御を行っているので、計算される粘度が成形品の良否に直に反映されて、判別または制御の精度が向上している。
【0038】
このような射出成形装置によれば、樹脂の、温度と圧力と流量との関係式から流量を正確に算出しているので、精度が高い粘度を求めることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下に添付図を参照して説明する。
【0040】
図1ないし図4を参照して、この実施の形態の一つの射出成形方法および射出成形装置を以下に説明する。
【0041】
図1はこの実施の形態の射出成形装置の全体構成を概略示す断面図であり、図2は同射出成形装置の金型1を概略示す断面図であり、図3は同金型1に設けられた圧力センサ3を示す一部破断の正面図である。また、図4は圧力センサ3の検出した圧力を処理する回路の構成を示すブロック図である。
【0042】
図1に示すように、この射出成形装置は、一般的な射出成形装置と略同様に構成されるものであって、射出シリンダー11内に、成形材料である樹脂を、ノズル12より金型1内に充填するスクリュー13を有している。また、樹脂はホッパー14より射出シリンダー11内に供給され、射出シリンダー11外周に設けられたヒーター15によって、加熱溶融されて金型1内に充填されるように構成されている。
【0043】
図2に示すように、金型1内には、スプルー16、ランナー17、ゲート18、キャビティ19が、順に連通するように形成され、スプルー16の一端は金型1の一面に開口させて設けられ、ノズル12に連通するように接続される。スプルー16、ランナー17およびゲート18は樹脂流路2を形成している。
【0044】
なお、この場合、ランナー17の二個所に、適宜間隔を開けて圧力センサ3が設けられているが、この圧力センサ3は樹脂流路2のいずれかの位置に設けられればよいものである。また、二個所に限定するわけでもなく、たとえば、三個所以上設けて、切り替えて使うこともできる。
【0045】
図3に示すように、この圧力センサ3は、管状の本体先端にダイヤフラム3aを備え、このダイヤフラム3aで受けた圧力を、本体内部に、先端をダイヤフラム3aに接続させて設けられたキャピラリー3b内の液体によって、歪みゲージに伝えて圧力を検出するように形成されている。また、このようなキャピラリー3bに代えて金属製のプッシュロッドを設け、このプッシュロッドによって圧力を歪みゲージに伝達するように形成されるものであってもよい。
【0046】
図4に示すように、ランナー17を通過する際に検出された樹脂の二個所の位置における圧力は、それぞれ演算回路4に取り込まれる。また、このときのスクリュー13の位置信号も同時に演算回路4に取り込まれる。二つの圧力センサ3、3間を流れる樹脂の流量は、スクリュー13の位置信号によって求めることができる。また、ランナー17の断面形状は円形であるので、以下のよく知られた粘度の関係式(1)より、このランナー17を流れる樹脂の粘度を、演算回路4で計算することができる。
【0047】
η=(πR4 ・(P1 −P2 ))/(((3α+1)/α)・Q・2L)・・・・(1)
この式において、ηは粘度、Rは樹脂流路2の半径、P1 は上流側の圧力センサ3の検出圧力、P2 は下流側の圧力センサ3の検出圧力、αは樹脂によって定まる定数、Qは流量、Lは検出されるP1 、P2 それぞれの位置の距離である。なお、この関係式(1)は山口章三郎著の「プラスチックの成形加工」に示されている。
【0048】
以上のようにして、演算回路4にて計算された粘度は判別制御回路5に送られる。一方、この判別制御回路5における判別器5aには、あらかじめ実験などによって求められた基準粘度が記憶されている。この基準粘度は、たとえば、成形不良が製造されないような樹脂の粘度範囲として、製造実験データなどに基づいて求められている。そして、計算された粘度がこの基準粘度から外れている場合には、不良信号が製品の取り出し機に送られ、取り出し機はこの不良と判定された製品を良品と区別して取り出すように制御される。または、基準粘度との偏差を偏差信号として制御回路5bに送り、この制御回路5bは偏差信号に基づいて、成形条件を制御する信号をこの射出成形装置の制御部に送るようにしている。つまり、この制御回路5bは、偏差信号に対応した制御ゲインを算出し、対象となる成形条件パラメータを適正値にするように制御しているのである。
【0049】
以上の圧力の計測から樹脂粘度の算出比較、不良判別または成形条件パラメータの制御までを、樹脂が金型1のキャビティ19に完全に充填されるまでの間に行うようにしている。
【0050】
以上のように構成されるこの射出成形装置または射出成形方法によれば、樹脂の成形過程の溶融状態の粘度に基づいて、成形しながら不良品の良否判別を行い、この良否判別結果に基づいて成形条件の制御を行うことができるので、不良品の判別が容易かつ的確に行われるものであり、また、不良発生に迅速に対応して成形条件を制御し、良品率の高い成形を行うことができるので、原料となる樹脂の浪費を行うこともないものになっている。
【0051】
その上、金型1内で成形される直前の粘度を計算し、この粘度に基づいて成形品の良否判別を行い、この良否判別結果に基づいて成形条件の制御を行っているので、計算される粘度が成形品の良否に直に反映されて、成形条件の制御の精度が向上したものになっている。
【0052】
図5を参照して、上記のものとは異なる射出成形装置および射出成形方法を以下に説明する。この図はこの射出成形装置の金型1の本体部1aとホットランナーとの接続部を示す断面図である。
【0053】
この図5に示すように、この金型1は、本体部1aとホットランナーとから成り、ホットランナーはホットランナー本体7とホットランナーチップ8とから構成されている。ホットランナー本体7はシリンダー11先端のノズル12に接続され、ホットランナーチップ8は本体部1aに接続されている。そして、この射出成形装置では、ホットランナーチップ8における樹脂流路2に、圧力センサ3を設けて樹脂流路2の圧力を測定するように構成している。
【0054】
つまり、この射出成形装置では、ノズル12から射出された樹脂は、ホットランナー本体7からホットランナーチップ8を経てキャビティ19に充填されていく。したがって、この場合にも、金型1内での粘度を計算しているので、計算される粘度が成形品の良否に直に反映されて、判別または制御の精度が向上しているものである。
【0055】
また、この場合、ホットランナーチップ8内の樹脂は常に溶融状態になっているので、ランナー、スプルーなどのロス材を発生させることなく射出成形することができるものである。したがって、このようなホットランナーを用いる成形は、高価な樹脂を用いて成形を行う場合に有効である。または、成形サイクルを短くしたい場合にも有効である。つまり、スプルー、ランナーを冷却する必要がないためである。その上、ホットランナーチップ8に圧力センサ3を設けて、圧力測定を行うことができるので、圧力センサ3を金型1の本体部1a内に設ける必要がなくて、その設置が容易になっていると言う利点もある。
【0056】
図6を参照して、上記のものとはさらに異なる射出成形装置および射出成形方法を以下に説明する。この図はこの射出成形装置の金型1を示す断面図である。
【0057】
この図6に示すように、この射出成形装置の金型1では、圧力センサ3を一つだけ設けて、樹脂流路2における一個所の圧力を測定するように構成している。つまり、前記の図2に示した金型1における二つの圧力センサ3のうちの一方を省いているものである。
【0058】
前記図2の射出成形装置では、二個所の圧力を測定するように構成しているのであるが、この二個所のうちのいずれか一方を、この図6の射出成形装置を用いる射出成形方法では、大気圧に解放された任意位置として、粘度を計算するように構成している。この任意位置は圧力センサ3の下流側の任意な位置であればよい。この場合、圧力センサ3によって圧力測定された時点で、充填されてくる樹脂の先端部が任意位置に達している場合、この任意位置における樹脂の圧力は大気圧と見なされる。つまり、この時点での任意位置における樹脂は大気に接しているからである。したがって、前記した粘度の関係式(1)において、P2 を大気圧として、同様に樹脂粘度を計算できるのである。
【0059】
このような射出成形方法によれば、圧力測定が一個所で、一つの圧力センサ3によって容易に行われる。したがって、圧力センサ3を設ける部分の構成が簡単になるとともに、圧力測定がしやすくなっている。
【0060】
図7を参照して、上記のものとはさらに異なる射出成形装置および射出成形方法を以下に説明する。この図はこの射出成形装置の金型1を示す断面図である。
【0061】
この図7に示すように、この射出成形装置の金型1では、樹脂流路2の上流側と下流側とに設けられた二つの圧力センサ3の位置に、温度センサ6をそれぞれ設けている。そして、温度センサ6によって測定された温度から樹脂の流量を計算し、この計算された流量と圧力センサ3の測定した圧力とから粘度を計算するように演算回路4を構成している。
【0062】
この場合、測定された樹脂の温度から流量を求めるには、以下のよく知られた樹脂流量の関係式(2)を用いることができる。なお、この関係式(2)は、前記の粘度の関係式(1)と同様に、山口章三郎著の「プラスチックの成形加工」などに示されている。
【0063】
Q=Q0 ・em(t-t0) ・Pn ・・・・(2)
この式において、Qは流量、Q0 は温度t0における流量、m、nは定数、tは樹脂の温度である。
【0064】
なお、上記のQ0 、m、nは、あらかじめ実験などで求められる数値である。
以上のようにして、樹脂の、温度と圧力と流量との関係から流量を正確に算出しているので、精度が高い粘度を求めることができる。つまり、樹脂の圧力から粘度を計算する際に必要な流量を、スクリュー13の移動から求めると、樹脂の圧縮、滞留などの影響によって、実際の圧力を測定した位置における流量との間に誤差があって、正確な粘度が計算できない恐れを回避できるのである。
【0065】
図8または図9を参照して、計算された粘度に基づく、成形品の良否判別または成形条件の制御の具体例を以下に説明する。
【0066】
図8は、圧力センサ3で測定された圧力の、一成形ショットにおける変化の一例を示すグラフ図である。また、図9は測定された圧力に基づいて計算された粘度の、成形ショット間の変化の一例を示すグラフ図である。
【0067】
図8に示すように、圧力センサ3で測定される圧力の変化は、一成形ショットの間の中程より前半に約450kg/cm2 のピークを有し、このピークからある程度減少した後に約100kg/cm2 程度の圧力で穏やかに減少するカーブを描いている。
【0068】
この成形の場合、型閉してから約15秒経過した後に最大ピークを示し、この最大の圧力を測定するので、圧力を正確に測定しやすくなっている。したがって、常に型閉してから約15秒の所定時間を経過した後の所定時圧力を測定することによって粘度を計算し、この正確な粘度と基準粘度との偏差に基づいて、成形品の良否判別を行い、この良否判別結果に基づいて成形条件の制御を行うようにすることができる。
【0069】
このような方法によれば、一時点の計算された粘度によって判別または制御を行うので、圧力の測定、粘度の計算回数が少なくなり、成形品の良否判別または成形条件の制御が簡便に行われる。
【0070】
また、同じ図8に示すように、一成形ショット内における所定時間間隔内の粘度の平均値を求め、この平均値と基準粘度との偏差に基づいて、成形品の良否判別または成形条件の制御を行うことも好ましい方法の一つである。この図に示す例では、型閉後10〜20秒間の圧力が大きい範囲の圧力を連続的に測定し、この連続した圧力に対応する粘度の平均値を求めるようにしている。
【0071】
このような方法によれば、所定時間間隔内の粘度の平均値と基準粘度との偏差に基づいているので、一時点の異常値にしたがって、誤った判別または制御を行う可能性が減少している。
【0072】
なお、所定時間間隔を複数のショット間にまたがる所定時間間隔とすることもできる。
【0073】
また、各成形ショットで圧力を測定し、それぞれの圧力から計算される粘度と、基準粘度との偏差が一定範囲を超える割合が、基準超過率を超えたときに射出成形を自動停止させることも好ましい制御方法の一つである。
【0074】
このような方法によれば、樹脂の粘度が連続して一定の基準をはずれて、不良品を多数製造するような状態になったときには、射出成形が自動的に停止するので、不良品を多数続けて製造することが防止される。
【0075】
以下に、成形パラメータの制御をより具体的に説明する。
その一つの制御としては、計算された粘度が基準粘度より高くずれている場合に、射出成形圧力を増加させるように、または、計算された粘度が基準粘度より低くずれている場合に、射出成形圧力を減少させるように制御することができる。
【0076】
このような制御によれば、射出成形速度を大きく変化させずに、粘度に対応して良品が成形されるように、成形圧力が制御されている。たとえば、射出速度を上げるとヤケ不良が発生しやすい場合には、焼け不良が発生しない低速の射出速度とするとともに、射出成形圧力を上げて成形性を改善することができる。
【0077】
また、別な制御の例としては、計算された粘度が基準粘度より高くずれている場合に、射出速度を増加させるように、または、計算された粘度が基準粘度より低くずれている場合に、射出速度を減少させるように制御することができる。
【0078】
このような制御によれば、粘度に対応して良品が成形されるように、射出速度が制御されている。つまり、成形品にエアトラップまたはウェルドラインなどが目立ちやすい場合には、たとえば、低圧力で射出速度を上げるようにして対応することができる。
【0079】
また、さらに別な制御の例としては、計算された粘度が基準粘度より高くずれている場合に、保圧力を増加させるように、または、計算された粘度が基準粘度より低くずれている場合に、保圧力を減少させるように制御することができる。
【0080】
このような制御によれば、粘度に対応して良品が成形されるように、保圧力が制御されている。つまり、粘度が高くヒケ不良が発生しやすい場合に、保圧力を増加させてヒケ不良が起こらないようにしている。このような保圧力の制御は、冷却時間が比較的短い樹脂の成形の場合に、特に効果的に行われる。
【0081】
また、さらに別な制御としては、計算された粘度が基準粘度より高くずれている場合に、保圧時間を増加させるように、または、計算された粘度が基準粘度より低くずれている場合に、保圧時間を減少させるように制御することができる。
【0082】
このような制御によれば、粘度に対応して良品が成形されるように、保圧時間が制御されている。つまり、粘度が高くヒケ不良が発生しやすい場合に、保圧時間を増加させてヒケ不良が起こらないようにしている。
【0083】
また、図9に示すように、通常、樹脂の粘度は、成形ショット間で異なり、長期脈動するように変化する。この図において、実線で示される折れ線グラフは、各成形ショットにおける粘度をプロットしている。また、破線は粘度の移動平均値を滑らかに結んだ曲線を示している。
【0084】
このような移動平均値は粘度の増減の傾向をよく示しているので、この移動平均値の増減量に基づいて、射出成形圧力、射出速度、保圧力または保圧時間などの成形パラメータを制御することによって、長期間の脈動による樹脂の粘度変化に対応した制御を実現しようとするものである。
【0085】
たとえば、この図9における一例を上げれば、移動平均値が68Pa・Sを超えて、その増量が0.5Pa・Sを超えたときに、樹脂粘度が高すぎる場合の制御を行うようにする。また、逆に、67Pa・Sを下回り、その減量が0.5Pa・Sを超えたときに、樹脂粘度が低すぎる場合の制御を行うようにするのである。このような制御を行うことによって、図中の矢印AまたはBで示したように、良品範囲を逸脱させることなく成形を行うことができる。
【0086】
このような方法によれば、移動平均値の増減量に基づいて制御するので、粘度の変化の傾向が正確に予測され、長期間の脈動による粘度変化に対応した制御を行うことができ、前記脈動が原因となる成形不良を減少させることができる利点がある。
【0087】
また、この場合、移動平均値が増加するときに、シリンダー温度を上げるように、または、移動平均値が減少するときに、シリンダー温度を下げるように制御して、計算される粘度に適合して不良の発生しないような射出成形を行うことができる。この場合、シリンダー温度を制御しているので、樹脂の粘度に直接影響を及ぼすことができて、レスポンスのよい制御ができる。
【0088】
また、上記シリンダー温度に代えて、移動平均値が増加するときに金型温度を上げるように、または、移動平均値が減少するときに金型温度を下げるように制御してもよい。この場合、熱劣化しやすい樹脂をシリンダー11内で加熱しすぎることがなくなく、熱劣化しやすい樹脂を成形する場合に特に好適である。
【0089】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、成形される直前の粘度を計算しているので、計算される粘度が成形品の良否に直に反映されるものになっている。そして、このような粘度に基づいて成形品の良否判別または成形条件の制御が行なわれるので、良否判別が間違いなく行い、また、成形条件を的確に制御して成形不良が発生しないように制御することができる。
【0090】
請求項1記載の発明によれば、ホットランナ−チップを用いているので、ランナ−、スプル−などのロス材を発生させることなく射出成形することができる。そして、このようなホットランナ−チップに圧力センサを設けているので、圧力センサを金型の本体部に設ける場合に比べて、その設置が容易になっている。
【0103】
請求項2記載の発明によれば、金型内の成形される直前の粘度を計算して、この粘度に基づいて成形品の良否判別を行い、この良否判別結果に基づいて成形条件の制御を行っているので、計算される粘度が成形品の良否に直に反映されて、判別の精度が向上している。
【0104】
請求項2記載の発明によれば、樹脂の温度と圧力と圧力との関係式から流量を算出し、この正確な流量に基づいて粘度が計算されるので、精度の高い粘度を求めることができ、判別の精度が向上している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る一つの射出成形装置の全体構成を概略示す断面図である。
【図2】同上の射出成形装置における金型を概略示す断面図である。
【図3】同上の金型に設けられた圧力センサを示す一部破断の正面図である。
【図4】同上の射出成形装置における検出した圧力を処理する回路の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る一つの射出成形装置の、金型における本体部とホットランナーとの接続部を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る一つの射出成形装置の金型を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る一つの射出成形装置の金型を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る一つの射出成形装置における圧力センサで測定された圧力の、一成形ショットにおける変化の一例を示すグラフ図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る一つの射出成形装置における圧力センサで測定された圧力に基づいて計算された粘度の、成形ショット間の変化の一例を示すグラフ図である。
【図10】従来の射出成形装置の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 金型
1a 本体部
2 樹脂流路
3 圧力センサ
3a ダイヤフラム
3b キャピラリー
4 演算回路
5 判別制御回路
5a 判別器
5b 制御回路
6 温度センサ
7 ホットランナー本体
8 ホットランナーチップ
11 射出シリンダー
12 ノズル
13 スクリュー
14 ホッパー
15 ヒーター
16 スプルー
17 ランナー
18 ゲート
19 キャビティ
Claims (2)
- ホットランナーチップを具備した金型における、このホットランナーチップの樹脂流路において樹脂の圧力を測定し、さらに前記樹脂流路の樹脂の温度を測定し、この温度と前記圧力とから樹脂の流量を算出し、この流量と前記圧力とから粘度を計算し、この計算された粘度を、成形不良が製造されないような樹脂の粘度範囲として製造実験データに基づいて予め求められる基準粘度と比較して、この基準粘度の粘度範囲から同計算された粘度が外れているか否かにより成形品の良否判別を行い、この良否判別結果に基づいて成形条件の制御を行うことを特徴とする射出成形方法。
- 金型内にホットランナーチップを具備させ、このホットランナーチップにおける樹脂流路における樹脂の圧力を測定する圧力センサと、前記樹脂流路の樹脂の温度を測定する温度センサを具備し、この温度センサによって測定された温度と圧力センサの測定した圧力とから樹脂の流量を算出し、この流量と圧力センサの測定した圧力とから粘度を計算する演算回路と、計算された粘度を、成形不良が製造されないような樹脂の粘度範囲として製造実験データに基づいて予め求められる基準粘度と比較して、この基準粘度の粘度範囲から同計算された粘度が外れているか否かにより成形品の良否判別を行い、この良否判別結果に基づいて成形条件の制御を行う判別制御回路とを有して成ることを特徴とする射出成形装置。
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JP13456297A JP3842868B2 (ja) | 1997-05-26 | 1997-05-26 | 射出成形方法およびその装置 |
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JPH10323874A JPH10323874A (ja) | 1998-12-08 |
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