JP2008200729A - ブラスめっき鋼線の製造方法、スチールコードおよびタイヤ - Google Patents

ブラスめっき鋼線の製造方法、スチールコードおよびタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】従来技術における問題点であった最終ダイスの寿命および伸線性を改善して、高接着性および高延性を確保するとともに、生産性についても向上したブラスめっき鋼線の製造方法、それにより得られるスチールコードおよびタイヤを提供する。
【解決手段】ブラスめっきが施された鋼線を、多段スリップ型伸線機10により湿式伸線する工程を経て製造する方法である。鋼線のブラスめっきを、下層部と、下層部よりCu含有率が高い表層部とからなる2層めっきとし、多段スリップ型伸線機10の最終引き抜きダイス14を潤滑剤液11中に浸漬して伸線するとともに、最終引き抜きダイス14の後段に、減面率2%未満の焼結ダイヤモンドダイス15を設けて最終伸線を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、ブラスめっき鋼線の製造方法(以下、単に「製造方法」とも称する)に関し、詳しくは、タイヤの補強材として好適に用いられるスチールコード用のブラスめっき鋼線の製造方法、並びに、これにより得られるスチールコードおよびこれを用いたタイヤに関する。
従来より、タイヤ補強用スチールコードの素線等に用いられるゴム物品補強用スチールワイヤ(鋼線)として、表面にブラスめっきを施した鋼線が用いられている。ブラスめっき鋼線は、通常、パテンティング等の熱処理とブラスめっき処理とを施した鋼線材を、多段スリップ型湿式伸線方法を用いて所定の線径まで伸線することにより製造される。
鋼線材の延性の改良に係る技術としては、例えば、連続湿式伸線工程において、最終段の引き抜きを3枚以上のダイスで、かつ頭ダイスを除く上り側の2枚以上のダイスでスキンパス伸線する方法が知られている(特許文献1)。この場合、これらダイスとして焼結ダイヤモンドダイスを使用することも公知である。
しかし、焼結ダイヤモンドダイスは高価であり、最終ダイスを含む数個のダイスとして、かかる焼結ダイヤモンドダイスを用いた場合にはコスト高となるため、低コストかつ高延性であって接着性にも優れた、品質性能安定性の高いブラスめっき鋼線の製造方法ないし伸線方法が確立されることが望ましい。これに対し、タングステンカーバイト(WC)ダイスを複数個用いて、ベアリング長さを規定した方法も知られているが、WCダイスはダイヤモンドダイスに比べて耐摩耗性に劣るため、品質安定性に難があることが分かっている。特に、液切りダイスに用いた場合には耐摩耗性がさらに劣り、ダイス摩耗が非常に早く、生産に支障をきたすことも判明した。
また、ブラスめっき鋼線とゴムとの接着に関しては、例えば、タイヤ製造時の加硫工程において、ゴムとの接触下で過熱されることにより、ゴム中の硫黄やコバルト等とブラスめっき中の銅とが反応して、接着層が形成されることが知られている。また、特に、冬場の乾燥環境条件下においては、ゴムとの接着反応性が低下することが知られている。このゴム−鋼線間の接着層には、加硫工程において速やかに、かつ、確実に形成されること(初期接着性能)、および、形成された接着層がゴム物品の使用時に水分や熱によって劣化しないこと(接着耐久性能)が要求される。
例えば、特許文献2には、湿熱耐久接着性能の改善を目的として、ブラスめっき鋼線の平均Cu含有率を60〜66%とし、かつ、Cu含有率を深さ方向に増大させて表面より0.02〜0.04μmのところでCu含有率50%とする技術が開示されているが、その手段の詳細については開示されておらず、工業的に安定して製造し得るか否かについては大いに疑問である。
また、特許文献3には、ブラスめっき鋼線のCu含有率を50〜60重量%とし、ブラスメッキ結晶構造(β相/α相)のX線回折強度比を0.2〜2.0とすることで、多湿環境下での接着性能が向上することが開示されており、Cu含有率50%以下では硬く脆いβ相の影響で伸線困難であるため好適には55重量%以上で、多湿条件下での初期および耐久接着性が改善されるとしているが、特に、冬場の乾燥環境下での接着性能の確保および伸線性の改善に関しての具体的方策については明示されていない。
これに対し、本発明者は、接着性能に優れるとともに延性についても改善したブラスめっき鋼線を得るための技術として、特許文献4において、ブラスメッキしたスチールワイヤを湿式伸線方法により引き抜き加工する際に、最終引き抜きダイスを潤滑剤液中に浸漬して伸線するとともに、最終引き抜きダイス、または、最終引き抜きダイスとこれより上流側の数段のダイスにダイヤモンドダイスを使用するスチールワイヤの製造方法を提案している。
特開平11−33617号公報(特許請求の範囲等) 特開平11−93086号公報(特許請求の範囲等) 特公昭60−30543号公報(特許請求の範囲等) 特開2004−66271号公報(特許請求の範囲等)
特許文献4に開示された方法によれば、接着性および耐久性に優れたブラスめっき鋼線が得られるが、その一方、最終ダイスおよび液切りダイスの寿命で決まる伸線性の改善効果が不十分であり、その結果、接着性や延性等の品質が安定して得られないことが分かった。
そこで本発明の目的は、上記従来技術における問題点であった最終ダイスの寿命および伸線性を改善して、高接着性および高延性を確保するとともに、生産性についても向上したブラスめっき鋼線の製造方法、それにより得られるスチールコードおよびタイヤを提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、鋼線のブラスめっきを、Cu含有率を変えた2層のめっき層からなる2層めっきとするとともに、湿式伸線工程における最終引き抜きダイスを潤滑剤液中に浸漬して伸線を行い、かつ、この最終引き抜きダイスの後段で、最終ダイスとして焼結ダイヤモンドダイスを用いたスキンパス伸線を行うものとすることにより、上記問題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のブラスめっき鋼線の製造方法は、ブラスめっきが施された鋼線を、多段スリップ型伸線機により湿式伸線する工程を経て製造する方法において、
前記鋼線のブラスめっきを、下層部と、該下層部よりCu含有率が高い表層部とからなる2層めっきとし、前記多段スリップ型伸線機の最終引き抜きダイスを潤滑剤液中に浸漬して伸線するとともに、該最終引き抜きダイスの後段に、減面率2%未満の焼結ダイヤモンドダイスを設けて最終伸線を行うことを特徴とするものである。
本発明において好適には、前記下層部のCu含有率を55〜62%とし、前記表層部のCu含有率が65〜75%とする。また、本発明においては、前記焼結ダイヤモンドダイスとして、粒径1μm以下のダイヤモンド粒子の焼結体からなるものを用いることが好ましい。
また、本発明のスチールコードは、上記本発明のブラスめっき鋼線の製造方法により製造されたスチールワイヤの単線または複数本の撚り合わせからなることを特徴とするものである。
さらに、本発明のタイヤは、上記本発明のスチールコードを補強材として用いたことを特徴とするものである。
本発明によれば、上記構成としたことにより、低コストであって、伸線加工性に優れるとともに、ゴムに対する乾燥および湿熱環境条件下における初期接着性能、並びに各種耐久接着性能に優れた高品質のブラスめっき鋼線を、安定して工業的に製造することができ、生産性にも優れるブラスめっき鋼線の製造方法、それを用いたスチールコードおよびタイヤを実現することが可能となった。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、ブラスめっきが施された鋼線を、多段スリップ型伸線機により湿式伸線する工程を経て製造する方法の改良に係る技術である。
本発明においては、伸線工程に供するブラスめっき鋼線として、下層部と、下層部よりCu含有率が高い表層部との2層からなるブラスめっき組成を有する鋼線を用いる。すなわち、表層部には伸線加工性に優れたαブラス結晶からなる高Cu%めっきを施し、その下層部には、接着性能に優れた低Cu%めっきを施したブラスめっき鋼線である。
本発明においては、このブラスめっき鋼線を、多段スリップ型伸線機にて複数のダイスを用いて伸線加工する際に、最終引き抜きダイスを潤滑剤液中に浸漬して伸線を行うとともに、その後段の最終段において耐摩耗性および自己潤滑性能に優れた焼結ダイヤモンドダイスを用いて、その穴径を、この最終段のダイスに入線する鋼線の線径とほとんど変わらない減面率2%未満として、最終伸線となるスキンパス伸線を行う。
従来の最終引き抜きダイス出口側は大気中に晒されており、液中伸線である中間のダイスに比べて伸線加工時の発熱冷却効果は望めないため、結果として時効硬化による鋼鉄の脆化が生ずるとともにダイス寿命にも悪影響を及ぼすこととなり、さらに、伸線直後は高温状態にあるために大気中の水分の影響により接着阻害成分である酸化亜鉛が増加してしまうという問題も生じていた。これに対し本発明においては、最終引き抜きダイスを液中に浸漬したことで、液中伸線により、伸線加工による発熱を低減、抑制するとともにダイスおよび鋼線の冷却効果を得ることができ、鋼線の延性やダイス寿命を改善することができるとともに、加工時における発熱の抑制効果に伴って、鋼線−ゴム間の接着を阻害する酸化亜鉛被膜を減少させる効果も得ることができる。
また、最終段において焼結ダイヤモンドダイスを用いてスキンパス伸線することで、ブラスめっき鋼線の表層部を集中的かつ安定的に加工できるとともに、優れた自己潤滑性(低摩擦抵抗)と耐摩耗性とを有する材質からなる焼結ダイヤモンドダイスを用いることで、伸線時の発熱を抑制することができるので、ブラスめっき鋼線の接着性および生産性を大幅に向上させることができる。
以上より、本発明においては、最終引き抜きダイスの液中浸漬伸線と、最終段の焼結ダイヤモンドダイスによる減面率2%のスキンパス伸線とを組み合わせ、さらに、表層部が高Cu%めっき+下層部が低Cu%めっきである2層めっき鋼線を用いたことで、低コストで、かつ、ゴム側の乾燥および多湿環境条件下における初期接着性能および各種耐久接着性能に優れ、延性等にも優れた高品質のブラスめっき鋼線を安定して工業的に製造することが可能となった。
図1に、本発明に係る多段スリップ型伸線機の概略図を示す。図示する伸線機10は、潤滑剤が満たされた潤滑剤槽11と、潤滑槽内に設置された多段の駆動キャプスタン12a〜12dおよび複数のダイス13〜16とを備える。かかる伸線機10においては、互いに対向して配置された一対の駆動キャプスタン12a,12bおよび12c,12d間においてそれぞれ、各段に交互にブラスめっき鋼線1を掛け渡す過程で、各段ごとにダイス13による伸線を行い、最終引き抜きダイス14および最終段の液切りダイス15を経て、所定の径までの伸線処理を施すものである。
図2に、図1中のダイス14,15による伸線工程の拡大図を示す。図示するように、本発明においては、かかる多段スリップ型伸線機10の最終引き抜きダイス14を潤滑剤液中に浸漬して伸線するとともに、その後段に、最終段のダイスとして減面率2%未満の焼結ダイヤモンドダイス15を設けて最終伸線を行う。
最終引き抜きダイス14を液中に浸漬したことで、伸線加工時における発熱の抑制および冷却効果により、最終引き抜きダイス14の寿命を向上することができるとともに、鋼線の延性を改善する効果を得ることができる。さらに、加工時における発熱の抑制効果にともなって、鋼線−ゴム間の接着を阻害する酸化亜鉛被膜を減少させる効果も得られる。
最終段の焼結ダイヤモンドダイス15の減面率は、1%以下が好ましいが、ダイスの仕上げ公差を考慮すると、2%未満の減面率での伸線であれば効果は十分に得られる。なお、ダイスの穴径が入線する鋼線の直径以上の場合には、ダイスによる減面率は実質0%となるが、実際の工程時(操業時)においては微妙な心ずれや鋼線の振動を伴うので、ダイスの穴径を最大でも入線する鋼線材の直径とすることにより、鋼線の表面とダイス壁面とが接触して、ブラスめっき表面はダイスによる加工を受けることになる。減面率が実質0%であると下地の鋼材への影響が少ないため、却って好ましい場合もある。
また、このスキンパス伸線に用いる焼結ダイヤモンドダイス15としては、好適には、粒径1μm以下のダイヤモンド粒子の焼結体からなるものを用いる。これにより、最終段で使用する焼結ダイヤモンドダイス15のダイヤ粒子が細くなることで耐摩耗性が向上するとともに、優れた自己潤滑作用(低摩耗抵抗)が得られることで、伸線時の発熱抑制効果をより持続させることができ、さらにダイス寿命が伸びて、延性値の向上はもとより、長期にわたり安定して高接着性および高生産性を維持させることができ、品質安定性に寄与できる。
また、本発明において伸線加工に供される鋼線のブラスめっきは、前述したように、下層部の低Cu%めっきと表層部の高Cu%めっきとからなる2層めっきであり、好適には、下層部のCu含有率を55〜62%、表層部のCu含有率を65〜75%とする。すなわち、鋼線のブラスめっき処理時において、最初に高接着性能が得られる低Cuブラスめっき(Cu含有率55〜62%)を施し、その後、その上側に伸線加工性に優れた高Cu%ブラスめっき(Cu含有率65〜75%)を施して、2層からなるブラスめっき組成を形成している。
最表層部のブラスめっきのCu含有率を65〜75%の高含有率にすることで、ブラスめっきの機械的性質である硬さ及び引張り強さを高めることなく、伸びを最大限にすることができ、ブラスめっき結晶は柔らかいα相単体とすることで、伸線加工性を向上させることが可能となる。但し、高Cu含有めっきは、伸線加工性にはよいが接着性に対してはほとんど改善効果が見込めないため、表層部のブラスめっき付着量は伸線加工性を確保する程度とし、多段スリップ型伸線機にて複数のダイスを用いて伸線加工した後には、伸線加工時のめっき脱落によりほとんど残留しない程度の、0.3〜0.5g/kgが好適付着量である。
一方、伸線加工後のブラスめっき鋼線の表面部には低Cu含有めっき層が現れているため、伸線加工性を損なうことなく、耐久接着性能に優れた55〜62%の低Cu含有率のブラスめっき組成が得られることになる。ブラスめっきのCu含有率を低くすることで、加硫反応で生成した接着層の厚さを薄く均一に強固にできるので、耐久接着性能を向上させることができる。この低Cuブラスめっき層のブラスめっきCu含有率の好適範囲としては、58〜62%である。Cu含有率が58%未満でも効果はあるが、硬くて脆いβ相が多くなるという問題があり、62%を超えると接着層が厚く脆くなる問題が伴うので、好ましくない場合がある。
上記のことから、ブラスめっき鋼線の表層部のブラスめっきのCu含有率を65〜75%にすることで、伸線加工し易いαブラス結晶が得られるため、その下層部(内部)のブラスめっきとしてCu含有率55〜62%の高接着性能が得られる硬くて脆いβブラス結晶の多いめっきを施しても、その後の多段スリップ型伸線機での伸線工程における最終引き抜きダイスおよび最終段のダイスの寿命および伸線性をいずれも損なうことなく、伸線加工を行うことが可能となる。
本発明の製造方法においては、上記ブラスめっきおよび伸線工程に係る条件以外の伸線条件や、多段湿式伸線以外の工程、例えば、最初の乾式伸線、パテンティング処理、ブラスめっき処理等については、常法に従い適宜実施することができ、特に制限されるものではない。本発明の製造方法は、直径0.08mm〜0.6mmのゴム物品補強用等に用いられるブラスめっき鋼線を製造する際に好適に適用される。
また、本発明のスチールコードは、上記本発明のブラスめっき鋼線の製造方法により製造されたブラスめっき鋼線の単線、または、複数本の撚り合わせ(撚線機により撚り合わせてなる撚り合わせコード)からなるものであり、ゴムに対する優れた接着性能を備えることから、タイヤや工業用ベルト等のゴム物品の補強材として好適に使用できる。なお、本発明のスチールコードを撚りコードとする場合の撚り構造については、用途に応じ適宜決定することができ、特に制限されるものではない。
さらに、本発明のタイヤは、上記スチールコードをベルトまたはカーカスプライの補強材として用いたものであり、それ以外のタイヤ構造や材質等については、特に制限されるものではない。本発明によれば、上記スチールコードを補強材として用いたことにより、耐久性に優れたタイヤを得ることができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
図1に示す多段スリップ型伸線機を用いて、線径0.30mm,抗張力約3200MPa級のブラスめっき鋼線の湿式伸線加工を行った。伸線機の最終引き抜きダイスおよび最終段のダイスについての条件は、下記表1中に示すとおりである。なお、断らない限り、各例において、最終引き抜きダイス出口側は大気中に晒されている。
従来例1ではすべてのパスに超硬WC合金ダイスを使用した。また、比較例1では最終引き抜きダイスを液中に浸漬して伸線し、最終引き抜きダイスを含む上流3枚に焼結ダイヤモンドダイスを使用した。したがって、ダイスコストは非常に高い。さらに、比較例2では、最終引き抜きダイスのみ焼結ダイヤモンドダイスのスキンパス伸線とし、鋼線における低Cu%めっき条件を組み合わせている。さらにまた、実施例1および実施例2では、いずれも最終引き抜きダイスを潤滑剤液中に浸漬して伸線した。
また、用いた鋼線のブラスめっきのCu含有率は下記表1中に示すとおりである。表層部と下層部とでブラスめっき付着量を変えた実施例1,実施例2におけるブラスめっき処理に関しては、最初に低Cu%めっき(63Cu%ないし60Cu%)処理を付着量3.6g/kgにて行い、再度その上側に高Cu%めっき(70Cu%)処理を付着量0.3g/kgにて行って、ブラスめっき2層からなる鋼線材を作製した。
(延性)
延性は繰り返し捻り試験値(RT値)により、以下の方法で評価した。
試験に際し、鋼線試料長Lを100mmとし、荷重には1.0kgの重りを用いた。鋼線の線径dの100倍の長さ当たり3回に相当する回転数Noは、No=3×(L/100d)により、No=10.0回である。そこで、各鋼線試料に時計方向および反時計方向に10回転させることを繰り返し与えて、クラックが入るまでの繰り返し回数を数えた。なお、回転速度は約30回転/分とした。その結果を、従来例1を100として、指数値で表示した。数値が大きいほどRT値が良好であることを示す。
(初期接着性)
上記湿式伸線後のブラスめっき鋼線をゴムで被覆し、これを160℃×7分間〜15分間の条件で加硫して得られたゴム−スチールコード複合体について、ゴムからスチールコードを剥離して、その後のゴム付着率を目視判定し、ゴム付レベルを0〜100%で評価した。その結果を、従来例1を100として、指数値で表示した。数値が大きいほど初期接着性に優れていることを示す。なお、評価に際しては、使用するゴムを調湿によりそれぞれ乾燥(ゴム中水分率0.3%)および多湿(ゴム中水分率1.2%)環境状態にして、各環境条件で試験を実施した。
(耐久接着性)
上記湿式伸線後のブラスめっき鋼線をゴムで被覆し、これを160℃×15分間の条件で加硫して得られたゴム−スチールコード複合体を、湿度95%温度75℃の大気圧雰囲気中に7日〜14日間放置し、その後ゴムからスチールコードを剥離して、ゴム付着率を目視判定し、ゴム付レベルを0〜100%で評価した。その結果を、従来例1を100として、指数値で表示した。数値が大きい程耐久接着性に優れていることを示す。
(生産性)
最終ダイスのダイス寿命は、(1)ダイス穴径太り、変形、(2)ダイス出口の線温異常(発熱)、(3)色調外観異常等によるダイス交換時までの生産量で評価した。超硬合金ダイスの場合の交換理由は主にダイス太り変形であり、焼結ダイヤの場合は線温異常および色調外観異常による交換が多い。その結果を、従来例1を100として、指数値で表示した。数値が大きいほど生産性に優れていることを示す。
上記各評価結果を、下記の表1中に併せて示す。
Figure 2008200729
1)超硬合金:WC(タングステンカーバイト),焼結ダイヤ:焼結ダイヤモンドダイス(比較例1,2:粒径1.0μm、実施例1,2:粒径1.0μm以下)
生産性評価結果として、従来例1は超硬合金ダイスの太り変形による交換であった。また、比較例1,2では粒径1μmの焼結ダイヤを使用したが、比較例1は最終段の超硬合金ダイスの太り変形で、比較例2は焼結ダイヤ伸線による色調外観異常でダイス交換した。これらに対し、実施例1,2では最終段に粒径1μm以下の焼結ダイヤを用いたことで、粒欠落起因の影響緩和により寿命は1.5倍以上となり、良好な生産性を示した。なお、交換理由は焼結ダイヤの特徴である発熱線温異常であったが、まれに色調外観異常での交換も見られた。
以上より、上記表1の結果からわかるように、本発明に係る、最終引き抜きダイスとしてWC超硬ダイスを用いた液中浸漬伸線、最終段の焼結ダイヤモンドダイスでの減面率2%のスキンパス伸線、および鋼線における表層部高Cu%めっき+下層部低Cu%めっきの製造条件を組み合わせることで、ゴム側の乾燥および多湿環境条件下における初期接着性能並びに耐久接着性能に優れ、延性等にも優れた高品質のブラスめっき鋼線を得られることが確認できた。また、生産性の改善効果も得られることが確認できた。
本発明に係る多段スリップ型伸線機を示す概略図である。 図1中のダイス14,15による伸線工程を示す拡大図である。
符号の説明
1 ブラスめっき鋼線
10 多段スリップ型伸線機
11 潤滑剤槽
12a〜12d 多段駆動キャプスタン
13,14,15 ダイス

Claims (5)

  1. ブラスめっきが施された鋼線を、多段スリップ型伸線機により湿式伸線する工程を経て製造する方法において、
    前記鋼線のブラスめっきを、下層部と、該下層部よりCu含有率が高い表層部とからなる2層めっきとし、前記多段スリップ型伸線機の最終引き抜きダイスを潤滑剤液中に浸漬して伸線するとともに、該最終引き抜きダイスの後段に、減面率2%未満の焼結ダイヤモンドダイスを設けて最終伸線を行うことを特徴とするブラスめっき鋼線の製造方法。
  2. 前記下層部のCu含有率を55〜62%とし、前記表層部のCu含有率を65〜75%とする請求項1記載のブラスめっき鋼線の製造方法。
  3. 前記焼結ダイヤモンドダイスとして、粒径1μm以下のダイヤモンド粒子の焼結体からなるものを用いる請求項1または2記載のブラスめっき鋼線の製造方法。
  4. 請求項1〜3のうちいずれか一項記載のブラスめっき鋼線の製造方法により製造されたブラスめっき鋼線の単線または複数本の撚り合わせからなることを特徴とするスチールコード。
  5. 請求項4記載のスチールコードを補強材として用いたことを特徴とするタイヤ。
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