JP2009108440A - ゴム物品補強用ブラスめっき鋼線とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ブラスめっき鋼線とゴムとの初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能の全ての接着性能を確実に向上させる。
【解決手段】ゴム物品補強用ブラスめっき鋼線として、表面に結晶質のブラスめっき層11を形成した鋼線12を潤滑性をある程度下げた状態で伸線して、表面側の20nm以下の粒径の結晶粒により形成された非結晶質性部11aと内側の20nmを超える粒径の結晶粒により形成された結晶質性部11bとが積層された積層構造部分13を備えた、銅67〜70重量%、亜鉛30〜33重量%であるブラスめっき層11を備えたブラスめっき鋼線10を用いるとともに、上記非結晶質性部11aの表面がブラスめっき層11の表面全体に対して占める割合である面積割合を20%以上とし、積層構造部分13がブラスめっき層11の全体に対して占める割合である体積割合を20%以上80%以下にした。
【選択図】図1
【解決手段】ゴム物品補強用ブラスめっき鋼線として、表面に結晶質のブラスめっき層11を形成した鋼線12を潤滑性をある程度下げた状態で伸線して、表面側の20nm以下の粒径の結晶粒により形成された非結晶質性部11aと内側の20nmを超える粒径の結晶粒により形成された結晶質性部11bとが積層された積層構造部分13を備えた、銅67〜70重量%、亜鉛30〜33重量%であるブラスめっき層11を備えたブラスめっき鋼線10を用いるとともに、上記非結晶質性部11aの表面がブラスめっき層11の表面全体に対して占める割合である面積割合を20%以上とし、積層構造部分13がブラスめっき層11の全体に対して占める割合である体積割合を20%以上80%以下にした。
【選択図】図1
Description
本発明は、タイヤ補強用スチールコードの素線等に用いられる、表面にブラスめっき層が設けられたゴム物品補強用ブラスめっき鋼線に関するもので、特に、建設用タイヤに適応されるスチールコードの素線等に用いられる、長時間加硫後の耐熱劣化性に優れたブラスめっき鋼線とその製造方法に関する。
従来、ラジアルタイヤのベルトやカーカス用ボディプライ、及び、各種工業用ベルト部材などのゴム物品においては、ブラスめっきを施したスチールワイヤまたはこれらのスチールワイヤを複数本撚り合わせてなるスチールコードをゴムで被覆したものを用い、ゴムに対する補強効果を得てきた。その際、上記補強効果を実現するためには、上記スチールワイヤもしくはスチールコードと被覆するゴムとの接着性能を十分に確保する必要がある。例えば、タイヤ製造時の加硫工程においては、上記スチールコードがゴムとの接触下で加熱されることにより、ゴム中の硫黄とブラスめっき中の銅とが反応して接着層が形成される。この接着層を速やかにかつ確実に形成する性能(初期接着性能)を高めることがゴム物品用スチールコードには求められる。
また、タイヤ、特に、ゴム層の体積が大きな建設車両用タイヤでは、長時間加硫を行うため、この長時間加硫時の熱によって上記接着層が劣化しないこと(過加硫時の接着性能)が求められている。更に、建設車両用タイヤは、過酷な使用条件で長時間使用されるため、走行中のタイヤ温度の上昇に伴うスチールコードとコーティングゴムとの接着不良による故障が無視できなくなっている。そのため、近年では、タイヤ使用時の熱により劣化しない性能(耐熱接着性能)についても求められている。
また、タイヤ、特に、ゴム層の体積が大きな建設車両用タイヤでは、長時間加硫を行うため、この長時間加硫時の熱によって上記接着層が劣化しないこと(過加硫時の接着性能)が求められている。更に、建設車両用タイヤは、過酷な使用条件で長時間使用されるため、走行中のタイヤ温度の上昇に伴うスチールコードとコーティングゴムとの接着不良による故障が無視できなくなっている。そのため、近年では、タイヤ使用時の熱により劣化しない性能(耐熱接着性能)についても求められている。
ブラスめっき鋼線とゴムとの接着性能を改善する方法としては、従来、めっき成分にFeやNiなどの合金元素を添加して、その表面層を合金化する方法(例えば、特許文献1,2参照)や、ブラスめっきを施した鋼線にプラズマ照射を行って表面処理する方法(例えば、特許文献3)や、めっき層最表面の酸素比率を限定する方法(例えば、特許文献4参照)、あるいは、伸線加工後にブラスト処理を行う方法(例えば、特許文献5参照)が知られている。
また、ブラスめっき層の表面側に、20nm以下の粒径の結晶粒から成る非結晶質性部を設け、上記非結晶質性部により初期接着性能を確保するとともに、上記非結晶質性部の内層側の20nmを超える粒径の結晶粒から成る結晶質性部により、接着耐久性能を確保する方法が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
特開平8−209386号公報
特開2002−13081号公報
特開2003−160895号公報
特開2004−68102号公報
特開平5−278147号公報
特開2006−283270号公報
また、ブラスめっき層の表面側に、20nm以下の粒径の結晶粒から成る非結晶質性部を設け、上記非結晶質性部により初期接着性能を確保するとともに、上記非結晶質性部の内層側の20nmを超える粒径の結晶粒から成る結晶質性部により、接着耐久性能を確保する方法が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
しかしながら、上記従来の表面層を合金化する方法、プラズマ照射やブラスト処理を行って表面処理する方法、あるいは、めっき層最表面の酸素比率を限定する方法では、いずれも、接着性能にある程度の改善は見られるものの、十分な初期接着性能と接着耐久性能とをともに満足できるものではなかった。
また、ブラスめっき層の表面側に非結晶質性部を設ける方法では、初期接着性能や接着耐久性能を得ることはできるが、ブラスめっき層の組成(銅、亜鉛、及び、Fe,Niなどの添加元素とその割合)によっては、過加硫時の接着性能や耐熱接着性能が十分とはいえなかった。
また、ブラスめっき層の表面側に非結晶質性部を設ける方法では、初期接着性能や接着耐久性能を得ることはできるが、ブラスめっき層の組成(銅、亜鉛、及び、Fe,Niなどの添加元素とその割合)によっては、過加硫時の接着性能や耐熱接着性能が十分とはいえなかった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、ブラスめっき鋼線とゴムとの初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能の全ての接着性能を確実に向上させることのできるゴム物品補強用ブラスめっき鋼線とその製造方法を提供することを目的とする。
本願の請求項1に記載の発明は、表面にブラスめっき層を有するゴム物品補強用ブラスめっき鋼線であって、上記ブラスめっき層が20nm以下の粒径の結晶粒により形成された非結晶質性部を有し、かつ、上記ブラスめっき層の組成が、銅67〜70重量%、亜鉛30〜33重量%であることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、表面にブラスめっき層を有するゴム物品補強用ブラスめっき鋼線であって、上記ブラスめっき層は、表面側の非結晶質性部と内側の結晶質性部とが積層された積層構造部分を備え、非結晶質性部が20nm以下の粒径の結晶粒により形成され、結晶質性部が20nmを超える粒径の結晶粒により形成されており、かつ、上記ブラスめっき層の組成が、銅67〜70重量%、亜鉛30〜33重量%であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のゴム物品補強用ブラスめっき鋼線であって、積層構造部分がブラスめっき層の全体に対して占める体積割合が50%以上であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載のゴム物品補強用ブラスめっき鋼線であって、非結晶質性部の表面がブラスめっき層の表面全体に対して占める面積割合が80%以上であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載のゴム物品補強用ブラスめっき鋼線であって、積層構造部分の非結晶質性部の表面がブラスめっき層の表面全体に占める面積割合は20%以上であり、積層構造部分の非結晶質性部が積層構造部分全体に対して占める体積割合は20%以上80%以下であることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、表面にブラスめっき層を有するゴム物品補強用ブラスめっき鋼線であって、上記ブラスめっき層は、表面側の非結晶質性部と内側の結晶質性部とが積層された積層構造部分を備え、非結晶質性部が20nm以下の粒径の結晶粒により形成され、結晶質性部が20nmを超える粒径の結晶粒により形成されており、かつ、上記ブラスめっき層の組成が、銅67〜70重量%、亜鉛30〜33重量%であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のゴム物品補強用ブラスめっき鋼線であって、積層構造部分がブラスめっき層の全体に対して占める体積割合が50%以上であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載のゴム物品補強用ブラスめっき鋼線であって、非結晶質性部の表面がブラスめっき層の表面全体に対して占める面積割合が80%以上であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載のゴム物品補強用ブラスめっき鋼線であって、積層構造部分の非結晶質性部の表面がブラスめっき層の表面全体に占める面積割合は20%以上であり、積層構造部分の非結晶質性部が積層構造部分全体に対して占める体積割合は20%以上80%以下であることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のゴム物品補強用ブラスめっき鋼線を製造する方法であって、鋼線の表面に結晶質のブラスめっき層を形成した後、この結晶質のブラスめっき層の表面に非結晶質のブラスめっき層を形成することによって、鋼線の表面に、下層の結晶質性部と表面層の非結晶質性部とからなる積層構造を有するブラスめっき層を形成したことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のゴム物品補強用ブラスめっき鋼線を製造する方法であって、鋼線の表面に結晶質のブラスめっき層を形成した後、この結晶質のブラスめっき層の極表面層のみを強加工することによって、鋼線の表面に、下層の結晶質性部と表面層の非結晶質性部とからなる積層構造を有するブラスめっき層を形成したことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のゴム物品補強用ブラスめっき鋼線を製造する方法であって、鋼線の表面に結晶質のブラスめっき層を形成した後、この結晶質のブラスめっき層の極表面層のみを強加工することによって、鋼線の表面に、下層の結晶質性部と表面層の非結晶質性部とからなる積層構造を有するブラスめっき層を形成したことを特徴とする。
本発明のブラスめっき鋼線は、表面のブラスめっき層が、20nm以下の粒径の結晶粒により形成された非結晶質性部を有しており、かつ、ブラスめっき層の組成を、銅67〜70重量%、亜鉛30〜33重量%としたので、ゴムとの初期接着性能だけでなく、過加硫時の接着性能や耐熱接着性能についても向上させることができた。
このとき、ブラスめっき層の表面側を非結晶質性部としその内層側を結晶質性部とすれば、初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能を確実に向上させることができる。
また、初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能を確実に向上させるためには、積層構造部分がブラスめっき層の全体に対して占める体積割合は50%以上とすることが好ましく、これに加えて、非結晶質性部の表面がブラスめっき層の表面全体に対して占める面積割合を80%以上とすれば、更に好ましい。
あるいは、積層構造部分の非結晶質性部の表面がブラスめっき層の表面全体に占める面積割合を20%以上とし、積層構造部分の非結晶質性部が積層構造部分全体に対して占める体積割合は20%以上80%以下としても、初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能を確実に向上させることができる。
また、本発明によるゴム物品補強用ブラスめっき鋼線の製造方法によれば、上述したように、初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能に優れたブラスめっき鋼線を作製できる。
このとき、ブラスめっき層の表面側を非結晶質性部としその内層側を結晶質性部とすれば、初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能を確実に向上させることができる。
また、初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能を確実に向上させるためには、積層構造部分がブラスめっき層の全体に対して占める体積割合は50%以上とすることが好ましく、これに加えて、非結晶質性部の表面がブラスめっき層の表面全体に対して占める面積割合を80%以上とすれば、更に好ましい。
あるいは、積層構造部分の非結晶質性部の表面がブラスめっき層の表面全体に占める面積割合を20%以上とし、積層構造部分の非結晶質性部が積層構造部分全体に対して占める体積割合は20%以上80%以下としても、初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能を確実に向上させることができる。
また、本発明によるゴム物品補強用ブラスめっき鋼線の製造方法によれば、上述したように、初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能に優れたブラスめっき鋼線を作製できる。
最良の形態
以下、本発明の最良の形態について図面に基づき説明する。
図1は、本最良形態に係るゴム物品補強用ブラスめっき鋼線10の断面を示す模式図である。同図において、11はブラスめっき鋼線10の下地層である鋼線12の表面に形成されたブラスめっき層で、このブラスめっき層11は、表面側の非結晶質性部11aと、この非結晶質性部11aの内側にある結晶質性部11bとが積層された積層構造部分13を有している。非結晶質性部11aは、結晶粒径が20nm以下の微細結晶粒、または、結晶粒が判別できない非結晶質から成る。一方、結晶質性部11bは結晶粒径が20nmを超える多結晶体から成る。
上記結晶質性部11bは、例えば、後方散乱電子線パターンをとると、銅の結晶方位に対応する明確な菊池パターンが得られるが、上記非結晶質性部11aでは明確な結晶構造を有しないため、明確な菊池パターンが得られない。
本例のブラスめっき層11では、積層構造部分13の非結晶質性部11aの表面がブラスめっき層11の表面全体に対して占める面積割合(以下、面積割合Aという)を80%以上とするとともに、積層構造部分13がブラスめっき層11の全体に対して占める体積割合(以下、体積割合Bという)を50%以上としている。
以下、本発明の最良の形態について図面に基づき説明する。
図1は、本最良形態に係るゴム物品補強用ブラスめっき鋼線10の断面を示す模式図である。同図において、11はブラスめっき鋼線10の下地層である鋼線12の表面に形成されたブラスめっき層で、このブラスめっき層11は、表面側の非結晶質性部11aと、この非結晶質性部11aの内側にある結晶質性部11bとが積層された積層構造部分13を有している。非結晶質性部11aは、結晶粒径が20nm以下の微細結晶粒、または、結晶粒が判別できない非結晶質から成る。一方、結晶質性部11bは結晶粒径が20nmを超える多結晶体から成る。
上記結晶質性部11bは、例えば、後方散乱電子線パターンをとると、銅の結晶方位に対応する明確な菊池パターンが得られるが、上記非結晶質性部11aでは明確な結晶構造を有しないため、明確な菊池パターンが得られない。
本例のブラスめっき層11では、積層構造部分13の非結晶質性部11aの表面がブラスめっき層11の表面全体に対して占める面積割合(以下、面積割合Aという)を80%以上とするとともに、積層構造部分13がブラスめっき層11の全体に対して占める体積割合(以下、体積割合Bという)を50%以上としている。
ブラスめっき層11の非結晶質性部11aは、格子欠陥濃度がきわめて高いので活性度が高く、Cu原子の拡散速度が速い。このため、ブラスめっき鋼線10をタイヤ補強用スチールコードの素線として用いてタイヤを製造する際の加硫工程において、ブラスめっき鋼線10の非結晶質性部11aとゴムとが接触された状態でブラスめっき鋼線10が加熱されると、ブラスめっき鋼線10とゴムとの接着反応が速やかに進行する。このため、加硫工程においてブラスめっき鋼線10とゴムとの接着層が速やかに形成されるので、初期接着性能が向上する。
また、上記ブラスめっき鋼線10を補強用のスチールコードとして用いて建設車両用タイヤを製造する場合、加硫時間が一般の乗用車用タイヤの加硫時間に比べて長時間となるが、本例では、ブラスめっき層11の組成が、銅67〜70重量%、亜鉛30〜33重量%であるので、銅が67重量%未満である従来のブラスめっき層に比べて、銅の供給を多くすることができる。したがって、加硫時間が長時間になったとしても、接着層中のCu原子の希薄化を防止することができるので、強固な接着層を形成することができる。すなわち、ブラスめっき層11の銅を67〜70重量%とすることにより、初期接着性能のみならず、過加硫時の接着性能についても向上させることができる。
また、上記ブラスめっき鋼線10を補強用のスチールコードとして用いて建設車両用タイヤを製造する場合、加硫時間が一般の乗用車用タイヤの加硫時間に比べて長時間となるが、本例では、ブラスめっき層11の組成が、銅67〜70重量%、亜鉛30〜33重量%であるので、銅が67重量%未満である従来のブラスめっき層に比べて、銅の供給を多くすることができる。したがって、加硫時間が長時間になったとしても、接着層中のCu原子の希薄化を防止することができるので、強固な接着層を形成することができる。すなわち、ブラスめっき層11の銅を67〜70重量%とすることにより、初期接着性能のみならず、過加硫時の接着性能についても向上させることができる。
また、ブラスめっき層11の結晶質性部11bは、非結晶質性部11aと比べて活性度が低く、Cu原子の拡散速度も遅い。したがって、ブラスめっき層11が、活性度の高い非結晶質性部11aのみを備えた構成の場合、劣悪な湿熱劣化環境においては、ブラスめっき/スチール界面が脆弱化しやすく、破壊の起点となりやすい。本例では、ブラスめっき層11に結晶質性部11bを設けることで、接着耐久性能を向上させるようにしている。つまり、ブラスめっき層11は、ゴムとの接着反応を緩やかに進行させる結晶質性部11bを有しているので、タイヤ等のゴム物品の使用時における水分や熱による反応が進行しても銅が早期に枯渇せず、接着耐久性を確保することができる。
本例のブラスめっき層11の組成は、銅67〜70重量%、亜鉛30〜33重量%であるので、長時間の加硫後にも結晶質性部11bには銅成分が十分に残っているので、接着耐久性だけでなく、タイヤ使用時の発熱によって接着性が劣化することはない。すなわち、本発明によるブラスめっき鋼線10は、高い耐熱接着性能をも有している。
本例のブラスめっき層11の組成は、銅67〜70重量%、亜鉛30〜33重量%であるので、長時間の加硫後にも結晶質性部11bには銅成分が十分に残っているので、接着耐久性だけでなく、タイヤ使用時の発熱によって接着性が劣化することはない。すなわち、本発明によるブラスめっき鋼線10は、高い耐熱接着性能をも有している。
本例の面積割合Aが80%以上で体積割合Bが50%以上であるブラスめっき層11を有するブラスめっき鋼線10は、例えば、結晶質のブラスめっきを施した鋼線12のブラスめっき層の極表面のみを強加工して、このブラスめっき層の表面を非結晶質性部11aに変質させることで製造できる。
ブラスめっき層の極表面の強加工は、例えば、ダイスによる伸線加工により行う。
伸線加工で潤滑が不十分な場合、被加工線材と工具とが直接あるいは不完全な被膜を介して接触すると、被加工線材の表面に強加工層が生じることが知られている。この強加工層は、きわめて高い密度の格子欠陥が導入された部分である。このような強加工層の生成は、一般に、ブラスめっきの脱落や鋼線材質の劣化、あるいは、断線やダイス摩耗をもたらす問題があるといわれているが、潤滑性をある程度下げた状態で伸線加工することにより、ブラスめっき層の極表面に極めて薄い強加工層を形成することができる。
例えば、液体潤滑液を用いた湿式伸線によって潤滑性をある程度下げた状態での伸線加工を行うには、潤滑液中の潤滑成分の濃度を、通常の伸線に用いる時の濃度よりも下げて伸線したり、潤滑液の温度を潤滑剤の使用推奨温度よりも下げて伸線する。
どの程度に潤滑性を下げた状態で伸線するかについては、製造する鋼線の強度や線径にもよるが、例えば、潤滑成分の濃度を下げる場合、鋼線の伸線作業で通常使用する潤滑液の濃度の80%〜20%の濃度とすればよい。潤滑性を下げ過ぎると、ブラスめっきの脱落、鋼線材質の劣化、あるいは、断線やダイス摩耗をもたらす。逆に、潤滑性の下げ方が足りないと、上記ブラスめっき層表面の非結晶質性部11aの割合が少なくなるので、接着性能が劣化する。
ブラスめっき層の極表面の強加工は、例えば、ダイスによる伸線加工により行う。
伸線加工で潤滑が不十分な場合、被加工線材と工具とが直接あるいは不完全な被膜を介して接触すると、被加工線材の表面に強加工層が生じることが知られている。この強加工層は、きわめて高い密度の格子欠陥が導入された部分である。このような強加工層の生成は、一般に、ブラスめっきの脱落や鋼線材質の劣化、あるいは、断線やダイス摩耗をもたらす問題があるといわれているが、潤滑性をある程度下げた状態で伸線加工することにより、ブラスめっき層の極表面に極めて薄い強加工層を形成することができる。
例えば、液体潤滑液を用いた湿式伸線によって潤滑性をある程度下げた状態での伸線加工を行うには、潤滑液中の潤滑成分の濃度を、通常の伸線に用いる時の濃度よりも下げて伸線したり、潤滑液の温度を潤滑剤の使用推奨温度よりも下げて伸線する。
どの程度に潤滑性を下げた状態で伸線するかについては、製造する鋼線の強度や線径にもよるが、例えば、潤滑成分の濃度を下げる場合、鋼線の伸線作業で通常使用する潤滑液の濃度の80%〜20%の濃度とすればよい。潤滑性を下げ過ぎると、ブラスめっきの脱落、鋼線材質の劣化、あるいは、断線やダイス摩耗をもたらす。逆に、潤滑性の下げ方が足りないと、上記ブラスめっき層表面の非結晶質性部11aの割合が少なくなるので、接着性能が劣化する。
また、伸線加工中の発熱が大きすぎると、温度上昇によるブラスめっきの格子欠陥密度の減少の可能性や、鋼線の延性劣化の可能性があるので、例えば下記のような、発熱が小さくなる伸線条件を設定し、ダイスからの出線温度を接触式温度計で測定したときに、150℃以下とすることが好ましい。
・伸線条件
−1ダイス当たりの減面率を低めに設定する。
−伸線速度を低めに設定する。
−ダイスを冷却して温度上昇を抑制する。
−ダイスに入線する線材及び/又はダイスから出線する線材を冷却する。
このとき、非結晶質性部と結晶質性部との積層構造部分を形成するには、ブラスめっき層の厚さを厚めにする方がよい。
また、湿式連続伸線にて製造する場合には、仕上げダイス、または、仕上げダイスを含む伸線下流の数ダイスにおける伸線を、上記したような潤滑性をある程度下げた状態で行い、他のダイスでは良好な潤滑条件で行うようにすれば、内部が結晶質で表面が非結晶質であるブラスめっき層を確実に製造することができる。
こうして製造されたブラスめっき層11の面積割合Aは、上記ブラスめっき鋼線10の表面について、後方散乱電子パターンをとり、銅の結晶方位に対応する明確な菊池パターンが得られる度合いにより算出する。一方、体積割合Bは、作製したブラスめっき鋼線10の断面観察画像を画像解析して算出することができる。
・伸線条件
−1ダイス当たりの減面率を低めに設定する。
−伸線速度を低めに設定する。
−ダイスを冷却して温度上昇を抑制する。
−ダイスに入線する線材及び/又はダイスから出線する線材を冷却する。
このとき、非結晶質性部と結晶質性部との積層構造部分を形成するには、ブラスめっき層の厚さを厚めにする方がよい。
また、湿式連続伸線にて製造する場合には、仕上げダイス、または、仕上げダイスを含む伸線下流の数ダイスにおける伸線を、上記したような潤滑性をある程度下げた状態で行い、他のダイスでは良好な潤滑条件で行うようにすれば、内部が結晶質で表面が非結晶質であるブラスめっき層を確実に製造することができる。
こうして製造されたブラスめっき層11の面積割合Aは、上記ブラスめっき鋼線10の表面について、後方散乱電子パターンをとり、銅の結晶方位に対応する明確な菊池パターンが得られる度合いにより算出する。一方、体積割合Bは、作製したブラスめっき鋼線10の断面観察画像を画像解析して算出することができる。
このように、本最良の形態によれば、タイヤの補強部材であるベルトやプライに用いられるゴム物品補強用ブラスめっき鋼線として、表面に結晶質のブラスめっき層11を形成した鋼線12を、潤滑性をある程度下げた状態で伸線して、表面側の20nm以下の粒径の結晶粒により形成された非結晶質性部11aと内側の20nmを超える粒径の結晶粒により形成された結晶質性部11bとが積層された積層構造部分13を備えた、銅67〜70重量%、亜鉛30〜33重量%であるブラスめっき層11を備えたブラスめっき鋼線10を用いたので、ブラスめっき鋼線とゴムとの初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能を向上させることができる。
このとき、上記非結晶質性部11aの表面がブラスめっき層11の表面全体に対して占める割合である面積割合Aを80%以上とし、積層構造部分13がブラスめっき層11の全体に対して占める割合である体積割合Bを50%以上とすれば、非結晶質性部11aによる加硫時のCu原子の拡散を確実に行うことができるとともに、結晶質性部11bによるタイヤの発熱時における銅の枯渇抑制を確実に行うことができるので、上記各接着性能を更に向上させることができる。
このとき、上記非結晶質性部11aの表面がブラスめっき層11の表面全体に対して占める割合である面積割合Aを80%以上とし、積層構造部分13がブラスめっき層11の全体に対して占める割合である体積割合Bを50%以上とすれば、非結晶質性部11aによる加硫時のCu原子の拡散を確実に行うことができるとともに、結晶質性部11bによるタイヤの発熱時における銅の枯渇抑制を確実に行うことができるので、上記各接着性能を更に向上させることができる。
なお、上記最良の形態では、表面に結晶質のブラスめっき層を形成した鋼線を、潤滑性をある程度下げた状態で伸線して、内部が結晶質性部11bで表面が非結晶質性部11aであるブラスめっき鋼線10を形成したが、鋼線の表面に結晶質のブラスめっき層を形成した後、この結晶質のブラスめっき層の表面に、例えば、プラズマCVDなどにより、非結晶質のブラスめっき層を形成してもよい。この場合には、上記ブラスめっき層内部の結晶性を良好に保持したまま、その最表面をほぼ非結晶質化することが可能である。
また、上記例では、面積割合Aが80%以上で体積割合Bが50%以上であるブラスめっき層11について説明したが、面積割合Aを20%以上とし、体積割合Bを20%以上80%以下としても、上記実施の形態と同様の、初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能に優れたブラスめっき鋼線を得ることができる。
なお、面積割合Aを20%未満とした場合には、接着時において、非結晶質性部11aからCuが十分に拡散しないので、初期接着性能が得られない。また、体積割合Bを20%未満とした場合には、結晶質性部11bと非結晶質性部11aとを積層した効果が得られないため、初期接着性能だけでなく、過加硫時の接着性能、及び耐熱接着性能も得られない。一方、体積割合Bが80%を超えると、加硫時にCu原子の拡散が進み、タイヤの発熱時においてCuが枯渇してしまうため、十分な耐熱接着性能が得られない。したがって、面積割合Aを20%以上とし、体積割合Bを20%以上80%以下とすることが好ましい。
[実施例]
また、上記例では、面積割合Aが80%以上で体積割合Bが50%以上であるブラスめっき層11について説明したが、面積割合Aを20%以上とし、体積割合Bを20%以上80%以下としても、上記実施の形態と同様の、初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能に優れたブラスめっき鋼線を得ることができる。
なお、面積割合Aを20%未満とした場合には、接着時において、非結晶質性部11aからCuが十分に拡散しないので、初期接着性能が得られない。また、体積割合Bを20%未満とした場合には、結晶質性部11bと非結晶質性部11aとを積層した効果が得られないため、初期接着性能だけでなく、過加硫時の接着性能、及び耐熱接着性能も得られない。一方、体積割合Bが80%を超えると、加硫時にCu原子の拡散が進み、タイヤの発熱時においてCuが枯渇してしまうため、十分な耐熱接着性能が得られない。したがって、面積割合Aを20%以上とし、体積割合Bを20%以上80%以下とすることが好ましい。
[実施例]
ブラスめっきの組成、面積割合A、体積割合Bの異なるブラスめっき鋼線を作製し、各ブラスめっき鋼線の初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能を評価した結果を図2に示す。図2(a)は各ブラスめっき鋼線のデータを示す表で、図2(b)は評価結果を示す表である。
実施例1はブラスめっき中の銅が68重量%、亜鉛が32重量%、面積割合Aが97%、体積割合Bが45%であるブラスめっき層を有するブラスめっき鋼線である。
比較例1は、面積割合Aが60%、体積割合Bが15%である他は実施例1と同じである。
比較例2は、ブラスめっき中の銅を63重量%と本発明の範囲よりも少なくしたもので、銅を少なくした分だけ、面積割合Aを98%、体積割合Bを50%と、それぞれ、実施例1の面積割合Aと体積割合Bよりも若干大きくしている。
比較例3は、ブラスめっき中の銅を73重量%と本発明の範囲よりも多くしたもので、面積割合Aは96%、体積割合Bは40%と、それぞれ、実施例1の面積割合Aと体積割合Bよりも若干小さくしている。
接着性能については、素線径0.30mmのブラスめっき鋼線を1×3構造に撚り、スチールコードを作製し、これらのスチールコードを等間隔に並べて両側からゴムでコーティングした後、加硫、過加硫、及び、耐熱性試験をそれぞれ行って、初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能を評価した。
初期接着性能評価には、145℃×60分の加硫を行ったものを用いた。
過加硫接着性能評価には、145℃×300分の加硫を行ったものを用いた。
耐熱接着性能評価には、145℃×300分の加硫を行ったサンプルを更に100℃の高温環境に20日間放置したものを用いた。
接着性の評価は、JISG3510(1992)を参考に、規定されたゴム接着試験を行い、試験後のスチールコードに付着しているゴム量で測定し、このゴム量を各接着性の指標とした。指標が100より小さいとゴム付着量が少ない。
表2の結果から、ブラスめっき中の銅が67〜70重量%の範囲を満たしており、かつ、面積割合Aが20%以上であり、体積割合Bが20%以上80%以下である実施例1のブラスめっき鋼線が、初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能をすべて満たしていることが確認された。
これに対して、銅の割合が67〜70重量%の範囲内にない比較例2,3は、初期接着性能と過加硫時の接着性能については実施例1と同レベルであるが、耐熱接着性能が低下している。
また、比較例1はブラスめっき中の銅の割合については実施例1と同じであるが、面積割合Aも体積割合Bも少ないため、十分な初期接着性が得られなかった。
実施例1はブラスめっき中の銅が68重量%、亜鉛が32重量%、面積割合Aが97%、体積割合Bが45%であるブラスめっき層を有するブラスめっき鋼線である。
比較例1は、面積割合Aが60%、体積割合Bが15%である他は実施例1と同じである。
比較例2は、ブラスめっき中の銅を63重量%と本発明の範囲よりも少なくしたもので、銅を少なくした分だけ、面積割合Aを98%、体積割合Bを50%と、それぞれ、実施例1の面積割合Aと体積割合Bよりも若干大きくしている。
比較例3は、ブラスめっき中の銅を73重量%と本発明の範囲よりも多くしたもので、面積割合Aは96%、体積割合Bは40%と、それぞれ、実施例1の面積割合Aと体積割合Bよりも若干小さくしている。
接着性能については、素線径0.30mmのブラスめっき鋼線を1×3構造に撚り、スチールコードを作製し、これらのスチールコードを等間隔に並べて両側からゴムでコーティングした後、加硫、過加硫、及び、耐熱性試験をそれぞれ行って、初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能を評価した。
初期接着性能評価には、145℃×60分の加硫を行ったものを用いた。
過加硫接着性能評価には、145℃×300分の加硫を行ったものを用いた。
耐熱接着性能評価には、145℃×300分の加硫を行ったサンプルを更に100℃の高温環境に20日間放置したものを用いた。
接着性の評価は、JISG3510(1992)を参考に、規定されたゴム接着試験を行い、試験後のスチールコードに付着しているゴム量で測定し、このゴム量を各接着性の指標とした。指標が100より小さいとゴム付着量が少ない。
表2の結果から、ブラスめっき中の銅が67〜70重量%の範囲を満たしており、かつ、面積割合Aが20%以上であり、体積割合Bが20%以上80%以下である実施例1のブラスめっき鋼線が、初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能をすべて満たしていることが確認された。
これに対して、銅の割合が67〜70重量%の範囲内にない比較例2,3は、初期接着性能と過加硫時の接着性能については実施例1と同レベルであるが、耐熱接着性能が低下している。
また、比較例1はブラスめっき中の銅の割合については実施例1と同じであるが、面積割合Aも体積割合Bも少ないため、十分な初期接着性が得られなかった。
本発明のブラスめっき鋼線は、初期接着性能、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能に優れているので、このブラスめっき鋼線を、過酷な使用条件で長時間使用される建設車両用タイヤに用いられるベルトやプライなどに用いられるスチールコードとして使用すれば、荷重負荷時の走行による熱が原因となる故障を低減することができ、建設車両用タイヤの耐久性を向上させることができる。
10 ブラスめっき鋼線、11 ブラスめっき層、11a 非結晶質性部、
11b 結晶質性部、12 鋼線、13 積層構造部分。
11b 結晶質性部、12 鋼線、13 積層構造部分。
Claims (7)
- 表面にブラスめっき層を有するゴム物品補強用ブラスめっき鋼線であって、上記ブラスめっき層が20nm以下の粒径の結晶粒により形成された非結晶質性部を有し、かつ、上記ブラスめっき層の組成が、銅67〜70重量%、亜鉛30〜33重量%であることを特徴とするゴム物品補強用ブラスめっき鋼線。
- 表面にブラスめっき層を有するゴム物品補強用ブラスめっき鋼線であって、上記ブラスめっき層は、表面側の非結晶質性部と内側の結晶質性部とが積層された積層構造部分を備え、非結晶質性部が20nm以下の粒径の結晶粒により形成され、結晶質性部が20nmを超える粒径の結晶粒により形成されており、かつ、上記ブラスめっき層の組成が、銅67〜70重量%、亜鉛30〜33重量%であることを特徴とするゴム物品補強用ブラスめっき鋼線。
- 積層構造部分がブラスめっき層の全体に対して占める体積割合は50%以上であることを特徴とする請求項2に記載のゴム物品補強用ブラスめっき鋼線。
- 非結晶質性部の表面がブラスめっき層の表面全体に対して占める面積割合は80%以上であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のゴム物品補強用ブラスめっき鋼線。
- 積層構造部分の非結晶質性部の表面がブラスめっき層の表面全体に占める面積割合は20%以上であり、積層構造部分の非結晶質性部が積層構造部分全体に対して占める体積割合は20%以上80%以下であることを特徴とする請求項2に記載のゴム物品補強用ブラスめっき鋼線。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のゴム物品補強用ブラスめっき鋼線を製造する方法であって、鋼線の表面に結晶質のブラスめっき層を形成した後、この結晶質のブラスめっき層の表面に非結晶質のブラスめっき層を形成することによって、鋼線の表面に、下層の結晶質性部と表面層の非結晶質性部とからなる積層構造を有するブラスめっき層を形成したことを特徴とするゴム物品補強用ブラスめっき鋼線の製造方法。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のゴム物品補強用ブラスめっき鋼線を製造する方法であって、鋼線の表面に結晶質のブラスめっき層を形成した後、この結晶質のブラスめっき層の極表面層のみを強加工することによって、鋼線の表面に、下層の結晶質性部と表面層の非結晶質性部とからなる積層構造を有するブラスめっき層を形成したことも特徴とするゴム物品補強用ブラスめっき鋼線の製造方法。
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- 2007-10-30 JP JP2007281828A patent/JP2009108440A/ja active Pending
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