JP2008200006A - 核酸増幅装置、核酸増幅容器及び核酸増幅方法 - Google Patents

核酸増幅装置、核酸増幅容器及び核酸増幅方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 PCR等の核酸増幅反応を簡便かつ短時間に行なうための、核酸増幅装置及び核酸増幅容器を提供する。
【解決手段】 本発明の核酸増幅装置は、核酸増幅容器10を搭載するための搭載手段と、上記搭載手段上にそれぞれ異なる温度に調整された複数の加温領域を形成するための、第一の加温手段2とを備える。また、本発明の核酸増幅容器は、基板14に開口部11、流路12及び槽部13が設けられ、上記開口部11及び上記槽部13は上記流路によって連結されており、上記開口部11は、上記基板14から突起した筒状構造である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、核酸増幅装置、核酸増幅容器及び核酸増幅方法に関するものである。さらに詳しくは、核酸増幅反応液に対する温度の調整効率を向上させ、さらに試料の注入を容易とした核酸増幅装置、核酸増幅容器及び核酸増幅方法に関するものである。
PCR(Polymerase Chain Reaction)等の核酸増幅反応はバイオテクノロジーにおける様々な分野で応用されている。例えば、医学分野では、DNAやRNAの塩基配列に基づいた診断が注目を集めており、農業分野では遺伝子組み換え作物の判定等でDNA鑑定が活用されている。
PCRは、一般に、二本鎖DNAの解離反応(以下、単に「解離反応」と表記する。)、解離して生じた一本鎖DNAとプライマーとのアニーリング反応(以下、単に「アニーリング反応」と表記する。)、アニーリングした一本鎖DNAとプライマーとの二本鎖DNAの伸長反応(以下、単に「伸長反応」と表記する。)を繰り返すことにより行なう。具体的には、従来、PCR反応液を個々のマイクロチューブに入れて、昇温又は冷却を繰り返すことで、上記各反応に必要な反応温度に調整する方法が主に用いられてきた。
しかし、PCRを行なうためには、この温度の調整の繰り返しや、微小な量のサンプルを扱うこと等により、煩雑な作業や多大な時間を要する。例えば、上述のマイクロチューブを用いる方法では、マイクロチューブを加温する部材自体の温度の調整に時間を要する。そのため、上記温度の調整の繰り返しを行なうために、約2〜3時間を要する。
そこで、近年、より簡便かつ短時間にPCRを行なうための技術が提案されている(特許文献1〜3)。
特許文献1には、予め、上述の解離反応等の各反応温度に調整することが可能な、複数のヒートブロックを備えた装置が開示されている。特許文献2には、当該装置に用いるための核酸増幅基板が開示されており、当該核酸増幅基板にはPCRを行なうときにPCR反応液が充填される反応液溜部が形成されている。そして、特許文献1及び2では、当該反応液溜部にPCR反応液を充填した上記核酸増幅基板を、上記ヒートブロックに順次接触させることでPCRが行なう技術が開示されている。これにより、上述のような、マイクロチューブを加温する部材の温度の調整に時間を要するという問題が生じないとされている。
特許文献3には、DNAサンプルの調整から、PCRまでを一つの微量システムプラットホームで行なう技術が開示されている。上記微量システムプラットホームには、DNAを抽出するための試料及び試薬を注入又は混合するための、ポート、流路、チャンバ等が形成されている。そして、上記微量システムプラットホームを回転させた遠心力によって上記試料及び試薬が流路やチャンバ内を移動することにより、DNAが抽出される。さらに、上記微量システムプラットホームはヒーターを備えており、抽出されたDNAサンプル及びPCR試薬を、上記微量システムプラットホーム内のチャンバで混合した上で、当該ヒーターによってPCRを行なうことができる。そのため、PCRを行なうために必要なDNA抽出等の作業を簡略化することができ、PCRを短時間で行なうことができるとされている。
特開2006−115742号公報(2006年5月11日公開) 特開2006−115741号公報(2006年5月11日公開) 特表2003−502656号公報(2003年1月21日公開)
しかしながら、特許文献1〜3に開示の装置等では、PCR反応液の温度の調整に長時間を要し、作業が簡便でないという問題を有する。
特許文献1及び2に開示の装置等では、核酸増幅基板を一つのヒートブロックのみに接触させて、それぞれの反応温度に調整する工程を繰り返す必要がある。
これでは、反応液溜部の周囲には、各反応で接触しているヒートブロックの温度を有する領域が広く形成される。そのため、次のヒートブロックに当該核酸増幅基板を接触させても、核酸増幅基板上の前回接触していたヒートブロックの温度の影響を受けることによって、反応液溜部内の温度調整に長時間を要することとなる。
例えば、まず、95℃のヒートブロックに核酸増幅基板を接触させて解離反応を行ない、次に、アニーリング反応のために65℃のヒートブロックに核酸増幅基板を接触させたとする。当該解離反応時では、反応液溜部のみならず、その周辺にも95℃又はその近辺の温度を有する領域が広く形成される。そのため、当該アニーリング反応時においても、この領域の影響によって、反応液貯留部が65℃になるまでに長時間を要する。つまり、反応液貯留部がこの影響を受けなくなるように、反応液溜部の周囲を冷却するために長時間を要する。
特許文献3に開示の微量システムプラットホームでは、ヒーター自体の温度の調整に長時間を要するため、PCR反応液の温度の調整には長時間を要する。
このように、核酸増幅反応に用いる容器を、それぞれの反応温度に調整されたヒートブロックのみに接触させたり、一つのヒーター上で当該ヒーターの温度を変化させたりすることにより温度調整を行なうと、温度調整に多大な時間を要する。
また、特許文献1〜3に開示の核酸増幅基板等では、微量の反応液を用いる。しかし、微量の反応液の注入には、精密な作業が要求される。そのため作業効率を向上させることができない。そして、特許文献1〜3には、このような問題は一切記載されておらず、よって、微量の反応液を簡易に注入するための技術も一切開示されていない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、PCR等の核酸増幅反応を簡便かつ短時間に行なうための、核酸増幅装置、核酸増幅容器及び核酸増幅方法を提供することにある。
本発明に係る核酸増幅装置は、上記課題を解決するために、核酸増幅容器を搭載するための搭載手段と、上記搭載手段上にそれぞれ異なる温度に調整された複数の加温領域を形成するための第一の加温手段とを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、上記搭載手段上に、それぞれ異なる温度に調整された複数の加温領域を形成することができる。例えば、解離反応やアニーリング反応等のための反応温度に調整された、複数の加温領域を一つの搭載手段上に形成することができる。
そして、上記搭載手段には、核酸増幅容器を、当該核酸増幅容器全体を複数の加温領域で同時に加温する状態で搭載することができる。これにより、当該状態を維持したまま、核酸増幅容器中の核酸増幅反応液を貯留した部位を、順次それぞれの上記加温領域中に配置することができる。つまり、異なる温度に調整された少なくとも二つの加温領域によって核酸増幅容器全体を加温する状態を維持しながら、核酸増幅反応液をそれぞれの上記加温領域で順次加温させることで、解離反応からアニーリング反応等のように、順次反応を移行させることができる。
これにより、核酸増幅反応液の加温効率を向上させることができる。
この理由を、95℃の解離反応の後、65℃に冷却してアニーリング反応及び伸長反応を行ない、核酸増幅容器全体を95℃の加温領域及び65℃の加温領域によって同時に加温する場合を例にして説明する。
まず、解離反応時、核酸増幅反応液を貯留した部位及びその周囲は95℃に加温される。上記の構成によれば、核酸増幅容器には65℃で加温されている領域も存在する。そのため、当該核酸増幅容器を95℃のみで加温する場合に比べて、核酸増幅反応液を貯留した部位周囲に形成される95℃の領域は少なくなる。つまり、当該核酸増幅容器上には65℃又はこれに近い温度の領域が増える。これにより、アニーリング反応時には、冷却すべき領域も狭く、また、冷却のために吸収すべき熱量も低減できる。そのため迅速に核酸増幅反応液を65℃に調整することができる。
このように、核酸増幅容器全体を、複数の加温領域で加温する状態を維持することで、次の反応のために核酸増幅反応液を加温するとき、前回核酸増幅反応液に加温した温度による影響を抑えることができる。これにより、核酸増幅反応液の温度調整に必要な熱量を少なくすることができ、迅速に温度調整を行なうことができる。
よって、核酸増幅を迅速に行なうことが可能な核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、核酸増幅容器を移動させるための移動手段を備え、上記移動手段は、核酸増幅容器全体を、上記複数の加温領域のうち、それぞれ異なる温度に調整された少なくとも二つの加温領域によって同時に加温される状態で移動させるものであること好ましい。
上記の構成によれば、上述した、異なる温度に調整された少なくとも二つの加温領域によって核酸増幅容器全体を加温しながら、核酸増幅反応液をそれぞれの上記加温領域で順次加温するように核酸増幅容器を移動させるという作業を、手動ではなく、上記移動手段によって行なうことができる。
つまり、上記移動手段を備えることによって、より簡便かつ高効率に核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記移動手段は、核酸増幅容器を回転させるものであることがより好ましい。
核酸増幅容器を回転させるための機構は、回転以外の移動をさせるものに比べて、核酸増幅装置を小型化及び簡略化することができる。例えば、直線的に移動させる部材を設ける場合、核酸増幅容器を支持する部品や、駆動させるため部品に加えて、移動の方向を定めるためのレール等がさらに必要となる。しかし、核酸増幅容器を回転させる部材は、当該核酸増幅容器を支持して回転させるだけでよいため、簡易な部品等により実現できる。よって、より簡易な構造を有する核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記回転の回転軸は、上記核酸増幅容器に交わることがより好ましい。
上記核酸増幅容器を通る直線を回転軸とすることで、核酸増幅容器から離れた直線を回転軸とする場合に比べて、回転させるために必要なスペースを省スペースにすることができる。よって、装置を小型化することができる。なお、核酸増幅容器に貫通孔が形成されている場合、上記回転軸が当該貫通孔の開口面に交わる場合も、本発明に含まれる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記回転軸は、上記核酸増幅容器の中心に交わることがより好ましい。
上記回転軸が、上記核酸増幅容器の中心を通ることで、当該核酸増幅容器を回転させるために必要なスペースをさらに省スペースにすることができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記移動手段は、核酸増幅容器を、一定方向に、一定速度で移動させるものであることがより好ましい。
上記核酸増幅容器の移動の速度や方向を変化させる場合、複雑な機構や当該移動を制御するための手段が必要になるが、一定方向に、一定速度で移動させるための機構は、簡易なものでよい。よって、さらに簡易な構造を有する核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記第一の加温手段は、核酸増幅容器が移動するとき、当該核酸増幅容器の任意の点がそれぞれの上記加温領域を通過する時間と、予め設定された、当該加温領域により加温する時間とが一致するように、それぞれの上記加温領域を形成するものであることがより好ましい。
上記核酸増幅容器は一定の速度及び一定の方向に移動する。そこで、上記第一の加温手段によって、上記のように加温領域を形成することで、核酸増幅容器の任意の点、例えば核酸増幅反応液が充填された部位が、予め所望の核酸増幅反応条件に基づいて設定したそれぞれの加温領域で加温する時間で、当該加温領域を通過する。これにより、核酸増幅反応液に対して、所望の時間、所望の温度を加えることができる。よって、より様々な条件で核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記移動手段が核酸増幅容器を回転移動させるものであり、上記第一の加温手段は、上記回転の回転軸と上記搭載手段とが交わる点から放射状に広がる形状になるように、上記加温領域を形成するものであることがより好ましい。
上記放射状に広がる形状は、回転の回転軸が上記搭載手段に交わる点を中心とした、二本の線分で加温領域の形状が規定される。そして、二本の線分により形成される角度は、それぞれの加温領域で加温する時間に比例している。そのため、当該回転軸を中心に核酸増幅容器を一定の回転速度で一定の回転方向に回転させるだけで、核酸増幅反応液に対して、所望の時間、所望の温度を加えることが可能となる。よって、様々な条件を核酸増幅反応を、より小型化した装置で行なうことができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記搭載手段上に核酸増幅容器を搭載した際に、二つの加温手段により当該核酸増幅容器を挟むように、上記搭載手段の上方に第二の加温手段を備えることがより好ましい。
上記第二の加温手段によって、核酸増幅容器を二方向から加温することができるため、核酸増幅容器の温度調整に要する時間を短縮することができる。よって、さらに迅速に核酸増幅反応を行なうことができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記第一の加温手段及び第二の加温手段は、それぞれ、互いに重畳する領域が同じ温度に調整された加温領域を形成するものであることがより好ましい。
上記第一の加温手段及び第二の加温手段の互いに重畳する領域に、同じ温度に調整された加温領域を形成することで、核酸増幅容器を、二方向から同じ温度で加温することができる。これにより、核酸増幅反応液の温度調整に要する時間をさらに短縮することができる。よって、さらに迅速に核酸増幅反応を行なうことができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記核酸増幅容器が、基板に開口部、流路及び槽部が設けられ、上記開口部及び上記槽部は上記流路によって連結されており、上記開口部は、上記基板から突起した筒状構造であるとき、上記開口部から注入された核酸増幅反応液を、上記流路を介して上記槽部内に移動させる外力を付加する外力付加手段を備えることがより好ましい。
上記開口部は、核酸増幅反応液を注入しやすい形状を有している。つまり、上記開口部は筒状であるので、その内壁によって、核酸増幅反応液が漏れること等を防ぐことができ、ピペット等の微細な分注管を用いても照準を定めやすい。
そして、上記外力付加手段によって、上記開口部に注入された核酸増幅反応液に外力を付加することで、当該核酸増幅反応液を容易に上記槽部に充填することができる。例えば、核酸増幅反応液に対する熱伝導率を向上させるためには、核酸増幅反応液を充填する槽部を扁平形状等にして、充填された核酸増幅反応液と加温領域とが重畳する領域の面積を増やすことが好ましい。そして、上記の構成によれば、このような扁平形状の槽部であっても、容易に充填することができる。よって、簡便かつ高効率に核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記外力付加手段は、上記槽部より上記開口部に近い点で、上記基板と交差する直線を回転軸として上記核酸増幅容器を回転させるものであることがより好ましい。
上記回転軸で上記核酸増幅容器を回転させると、遠心力によって、上記開口部から上記槽部の方向に外力が生じる。そのため、上記核酸増幅容器を回転させるだけで、上記開口部に注入された核酸増幅反応液に当該外力を付加して、上記槽部に核酸増幅反応液を充填することができる。よって、さらに簡便かつ高効率に核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、核酸増幅容器を移動させるための移動手段を備え、上記移動手段は、当該核酸増幅容器全体を、上記複数の加温領域のうち、互いに異なる温度に調整された少なくとも二つの加温領域によって同時に加温される状態で、当該核酸増幅容器を回転させるものであり、上記移動手段と上記外力付加手段とが同一部材で構成されていることがより好ましい。
上記移動手段と上記外力付加手段とを同一の部材で構成することで、同一の直線を回転軸によって、上述した上記槽部への核酸増幅反応液の充填及び上記加温領域による核酸増幅反応液の温度調整を行なうことができる。これにより、上記槽部への核酸増幅反応液の充填を行なった後、核酸増幅反応液の温度調整を行なう際に、上記移動手段と上記外力付加手段とを切り替える必要がないので、より簡便かつ迅速に核酸増幅反応を行なうことができる。また、核酸増幅装置の部品数を削減することができる。よって、さらに迅速かつ簡便に核酸増幅反応を行なうことが可能であり、構造が簡略化された核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記搭載領域に窓部が設けられており、上記窓部から発せられる光を検出する光検出手段をさらに備えることがより好ましい。
核酸増幅反応液として、核酸の増幅に応じて発せられる蛍光等の光が変化するものを用いた場合、上記窓部を介して、上記光検出手段によって当該光を検出して解析することで、リアルタイムに核酸増幅反応の進行状況等を判断することができる。よって、核酸増幅反応の結果を確認する作業を簡便に行なうことが可能な核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅容器は、上記課題を解決するために、基板に開口部、流路及び槽部が設けられ、上記開口部及び上記槽部は上記流路によって連結されており、上記開口部は、上記基板から突起した筒状構造であることを特徴としている。
上記の構成によれば、上記開口部は、核酸増幅反応液を注入しやすい形状を有している。つまり、上記開口部は筒状であるので、その内壁によって、核酸増幅反応液が漏れること等を防ぐことができる。
さらに、上記開口部に注入された核酸増幅反応液に、遠心力や圧力等の外力を付加することで、当該核酸増幅反応液を、容易に上記槽部に充填することができる。一般に、核酸増幅反応液に対する熱伝導率を向上させるためには、核酸増幅反応液を充填する槽部を扁平状構造等にして、充填された核酸増幅反応液と加温領域とが重畳する領域の面積を増やすことが好ましい。そして、上記の構成によれば、このような扁平状構造の槽部であっても、容易に充填することができる。
つまり、核酸増幅反応液を注入しやすい形状の開口部に、核酸増幅反応液を注入して、当該核酸増幅反応液に外力を付加するだけで、核酸増幅反応液を注入し難い形状の槽部であっても簡便に核酸増幅反応液を充填することができる。
よって、簡便かつ高効率に核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅容器を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅容器では上記基板は円盤状であり、上記開口部は上記槽部より上記基板の中心に近い位置に設けられていることがより好ましい。
上記基板の中心を通り、上記基板に交差する直線を回転軸として回転させることで、上記開口部に注入された核酸増幅反応液には、上記槽部に向かう遠心力が付加される。また、上記基板は円盤状であるため、当該回転軸により回転させても、核酸増幅容器全体の位置は移動しない。そのため、上記の構成を有する核酸増幅容器を用いるための核酸増幅装置を製造する場合、当該核酸増幅装置を小型化することができる。
また、円盤状であれば、上記槽部より上記開口部のほうが基板の中心に近くなるような、上記開口部、流路及び槽部の組み合わせを、円盤の中心から流路を放射状に形成することで、より多く形成することができる。よって、一度に大量の核酸増幅を行なうことが可能な核酸増幅容器を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅容器では、上記基板は、上記槽部内から発せられる光を透過する光透過部を備えていることがより好ましい。
核酸増幅反応液として、核酸の増幅に応じて発せられる蛍光等の光が変化するものを用いた場合、上記窓部を介して、上記光検出手段によって当該光を検出して解析することで、リアルタイムに核酸増幅反応の進行状況等を判断することができる。よって、核酸増幅反応の結果を確認する作業を簡便に行なうことが可能な核酸増幅容器を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅方法は、上記課題を解決するために、核酸増幅容器に核酸増幅反応液を充填する充填工程及び、充填された上記核酸増幅反応液の温度を調整する温度調整工程を含み、上記温度調整工程は、当該核酸増幅容器全体を、それぞれ異なる温度に調整された複数の加温領域によって同時に加温される状態で、上記核酸増幅容器を移動させる工程を含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、核酸増幅容器全体を複数の加温領域で同時に加温する状態を維持したまま、核酸増幅容器中の核酸増幅反応液を貯留した部位を、順次それぞれの上記加温領域中に配置することができる。つまり、異なる温度に調整された少なくとも二つの加温領域によって核酸増幅容器全体を加温する状態を維持しながら、核酸増幅反応液をそれぞれの上記加温領域で順次加温させて、解離反応からアニーリング反応にというように、次の反応に移行させることができる。
そのため、次の反応のために核酸増幅反応液を加温するとき、前回核酸増幅反応液に加温した温度による影響を抑えることができる。これにより、核酸増幅反応液の温度調整に必要な熱量を少なくすることができ、迅速に温度調整を行なうことができる。
よって、核酸増幅を迅速に行なうことができる。
本発明に係る核酸増幅方法では、上記核酸増幅容器として、基板に開口部、流路及び槽部が設けられ、上記開口部及び上記槽部は上記流路によって連結されており、上記開口部は、上記基板から突起した筒状構造である核酸増幅容器を用い、上記充填工程は、上記開口部から注入された核酸増幅反応液に対して外力を付加して、上記槽部内に移動させる工程を含むことがより好ましい。
上記の構成によれば、上記開口部は、核酸増幅反応液を注入しやすい形状を有している。つまり、上記開口部は筒状であるので、その内壁によって、核酸増幅反応液が漏れること等を防ぐことができ、ピペット等の微細な分注管を用いても照準を定めやすい。
さらに、上記開口部に注入された核酸増幅反応液に、遠心力や圧力等の外力を付加することで、当該核酸増幅反応液を、容易に上記槽部に充填することができる。
つまり、核酸増幅反応液を注入しやすい形状の開口部に、核酸増幅反応液を注入して、当該核酸増幅反応液に外力を付加するだけで、核酸増幅反応液を注入し難い形状の槽部であっても簡便に核酸増幅反応液を充填することができる。
よって、より簡便に核酸増幅を行なうことができる。
本発明に係る核酸増幅装置は、以上のように、核酸増幅容器を搭載するための搭載手段と、上記搭載手段上にそれぞれ異なる温度に調整された複数の加温領域を形成するための、第一の加温手段とを備える。そのため、核酸増幅反応液を加温するとき、前回加温した温度による影響を抑えることができる。これにより、核酸増幅反応液の温度調整に必要な熱量を少なくすることができ、迅速に温度調整を行なうことができる。よって、核酸増幅を迅速に行なうことが可能な核酸増幅装置を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る核酸増幅容器は、以上のように、基板に開口部、流路及び槽部が設けられ、上記開口部及び上記槽部は上記流路によって連結されており、上記開口部は、上記基板から突起した筒状構造である。そのため、核酸増幅反応液を注入しやすい形状である筒状の開口部に、核酸増幅反応液を注入して、当該核酸増幅反応液に外力を付加するだけで、核酸増幅反応液を注入し難い形状の槽部であっても簡便に核酸増幅反応液を充填することができる。よって、簡便かつ高効率に核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅容器を提供することができるという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明に係る核酸増幅装置の一実施形態について図1〜3に基づいて説明すると以下の通りである。
(PCR装置1の構成)
まず、図1を用いて本実施の形態に係るPCR装置1(核酸増幅装置)の概略構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るPCR装置1の概略構成を示す図であり、PCR装置1に搭載されたPCR用ディスク10(核酸増幅容器)をも示している。
図1に示すように核酸増幅装置1は、ヒートブロック2(搭載手段、第一の加温手段)、ヒートブロック3(第二の加温手段)、ディスク駆動部4(移動手段)、蛍光検出部6(光検出手段)、分注アーム7、試料容器15を備えている。
ヒートブロック2は、ディスク駆動部4上に設けられている。ヒートブロック2上には、後述するPCR用ディスク10を搭載することができる。つまり、本実施の形態では、本発明に係る核酸増幅装置が備える搭載手段及び第一の加温手段が同一部材であるヒートブロック2で構成されている場合について説明するが、これに限定されるものではない。例えば、熱伝導性の高い材質で形成された基板を上記搭載手段とし、当該基板の下に電熱線等によって構成した第一の加温手段を配置した構造によっても、上記基板上に加温領域を形成することができる。
ヒートブロック3は、ヒートブロック2と共に、PCR用ディスク10を上下から挟むことが可能なように設けられている。
ヒートブロック2、3には蛍光透過部9a、9bが形成されている。ヒートブロック2、3のより詳細な構造等については後述する。
ディスク駆動部4上には回転部5が設けられている。ディスク駆動部4は、PCR用ディスク10を、図1に示す直線Aを回転軸として、矢印a方向に一定の回転速度で回転させることができる。また、回転部5は、PCR用ディスク10の中心に設けられた穴に嵌合することができる。これにより、PCR用ディスク10を回転させることができる。
蛍光検出部6は、蛍光透過部9a、9bを挟むように備えられている。蛍光検出部6は、蛍光透過部9a、9bを介して反応液貯留部13から発せられる蛍光を受光して、その照度等を算出することができる。
分注アーム7は、分注管8を備えている。分注アーム7は矢印B方向に回動可能であり、分注管8は図1に示す矢印B方向に伸縮可能である。分注アーム7の回動及び分注管8の伸長の動作は、予め設定可能であり、設定に応じて自動的に、試料容器15に予め格納された所定の試薬及び/又はサンプルを、PCR用ディスク10上の反応液注入部11に注入することができる。なお、本発明に係る核酸増幅装置は、分注アーム7や試料容器15を備える構成に限定されるものではない。例えば、別途、人手によって、所望の試薬、サンプル等をPCR用ディスク10に注入してもよく、従来公知のオートサンプラー等を外付けしてもよい。
(ヒートブロック2、3の構成)
次に、ヒートブロック2、3の構成について、図1及び2を用いてより詳細に説明する。図2は、ヒートブロック2、3の構成を模式的に示す図であり、搭載するPCR用ディスク10をも示している。
図2に示すように、ヒートブロック2には、加温部2a、2bが形成されており、ヒートブロック3には加温部3a、3bが形成されている。加温部2a、2b、3a、3bはそれぞれ独立して温度調整することが可能である。そして、それぞれ温度調整された各加温部によって、加温領域が形成される。図2では、加温部2a及び3aの温度は65℃に、加温部2b及び3bの温度は95℃に設定されている状態を示している。これはPCR装置1によってシャトルPCRを行なう場合を想定して設定したものである。つまり、2本鎖DNAの解離反応の温度を95℃として、アニーリング反応の温度及び伸長反応の温度を65℃として設定したものである。なお、加温部2a、2b、3a、3bの温度は、所望の核酸増幅反応の条件等に応じて、変更することができる。例えば、ホットスタートPCRを行なう場合、最初に加温部2a及び3aの温度を95℃としてPCRを開始した後、所望の時間を経過した後、65℃となるように調整すればよい。
加温部2aと加温部3aとは重畳するように形成されている。同様に、加温部2bと加温部3bとは重畳するように形成されている。これは、それぞれ重畳する加温部同士を同じ温度に調整して、当該加温部同士でPCR用ディスク10を上下から挟むことで、PCR反応液に対して、より正確かつ迅速に所定の反応温度を与えるためである。これにより、加温部2a及び3aによって65℃の加温領域が形成され、加温部2b及び3bによって95℃の加温領域が形成される。
加温部2a、2bは、図1に示す点a’から放射状に広がる形状を有している。点a’は、直線Aと、PCR用ディスク10を搭載するヒートブロック2上の面とが交わる点である。
加温部2a、2bは、それぞれ形状を変更することができる。加温部3a、3bは、それぞれ加温部2a、2bに重畳するように形成される。
具体的には、一定の回転速度で移動するPCR用ディスク10の任意の点が、それぞれの加温部によって形成される加温領域を通過する時間と、予め設定された、当該加温領域により加温する時間とが一致するように、加温部2a、2bは形成される。予め設定された、当該加温領域により加温する時間とは、核酸増幅反応液を各加温領域で加温する時間であり、解離反応、アニーリング反応、伸長反応等を行なう所望の反応時間である。
このように形成された加温部2a、2bの形状は、点a’からヒートブロック2の外縁に向けて伸びる線分L及びLによって規定され、線分L、L及びヒートブロック2の外縁によってそれぞれの形状が形成される。換言すれば、上述の任意の点が加温領域を通過する時間と、上記所望の反応時間とが一致するように、線分L、Lの位置を算出して加温部2a、2bを形成する。さらに、線分L、Lにそれぞれ平行な、ヒートブロック3上の線分L、Lの位置を算出して、3a、3bを形成する。これにより、核酸増幅反応液に対して、所望の時間だけ加温することが可能な加温領域を形成することができる。
線分L〜Lを算出する方法は特に限定されるものではない。例えば、線分Lと線分Lとが形成する角度である、θ1と360−θ1との比が、解離反応時間と、アニーリング反応時間及び伸長反応時間との比となるように算出すればよい。また、本発明に係る核酸増幅装置は、このような算出が可能な制御手段をさらに設けてもよい。なお、上記任意の点として、例えば、PCR用ディスク10のPCR反応液が貯留された部位を基準にして上記算出を行なえばよい。本実施の形態に係るPCR装置1では、後述する実施例に用いるためにθ1を90度となるように形成している。
ヒートブロック2及び3上には、所望のPCR条件に応じて、所望の数の加温部を、所望の形状で形成することができる。例えば、ヒートブロック2、3上をそれぞれ点a’から放射状に伸びる4本の線分で4分割して、95℃の加温領域及び65℃の加温領域を2ヶ所ずつ形成して、PCR用ディスクが1周する間に、95℃、65℃、95℃、65℃と交互に加温される形状にしてもよい。このように互いに異なる温度に調整された複数の加温領域が、複数組形成される構成も、本発明に係る核酸増幅装置の範囲に含まれる。また、アニーリング反応と伸長反応とを異なる温度で行なう場合、ヒートブロック2、3上に、それぞれ加温部を3箇所ずつ形成すればよい。
ヒートブロック2、3の中心部には穴が形成されている。これは回転部5を貫通させるためである。また、ヒートブロック3に形成されている穴は、PCR装置1がPCR用ディスク10を搭載したとき、図1に示すように、反応液注入部11をヒートブロック3より上に突出させるためである。
また、ヒートブロック2、3には、それぞれ、PCR用ディスク10に形成された反応液貯留部13から発せられる蛍光を検出するための蛍光透過部9a、9b(窓部)が形成されている。
(本発明に係る核酸増幅容器)
次に、図3を用いて本発明に係る核酸増幅容器の一実施態様について説明する。図3は、本実施の形態に係るPCR用ディスク10の構造を模式的に示す図であり、(a)は平面図であり(b)は斜視図である。
図3(a)及び(b)に示すように、PCR用ディスク10は、反応液注入部11(開口部)、流路12、反応液貯留部13(槽部)、基板14から形成されている。
また、図3(a)に示すように、基板14上には、反応液注入部11、流路12、反応液貯留部13が、複数個ずつ形成されている。なお、説明の便宜上、図3(b)には、反応液注入部11、流路12、反応液貯留部13を一個ずつ示している。
図3(b)に示すように、反応液注入部11は、基板14から突起した筒状構造を有している。これにより、PCR反応液を注入したとき、反応液注入部11からPCR反応液が漏れることを、当該筒状構造の内壁部分によって防止することができ、また、ピペット等の微細な分注管を用いても照準を定めやすいため、PCR反応液の注入が容易となる。
流路12は一方の端で反応液注入部11に連結しており、他方の端で反応液貯留部13に連結している。また、流路12は基板14の中心から放射状に伸びている。なお、流路12は反応液注入部11及び反応液貯留部13のみを連絡している。これにより、反応液注入部11から反応液貯留部13へのPCR反応液の移動を、迅速かつ正確に行なうことができる。
反応液貯留部13は基板14の内部に形成されている。また、反応液貯留部13は扁平状に形成されている。これにより、反応液貯留部13内のPCR反応液の表面積を大きくすることができるため、当該PCR反応液に対する熱伝導性を上げることができる。そのため、PCR反応液の温度調整をさらに迅速に行なうことができる。
基板14は円盤状の構造を有している。また、基板14の中心には穴が形成されている。当該穴を介して、PCR用ディスク10と回転部5とが嵌合することができる。このように本発明に係る核酸増幅容器の基板として、円盤状の基板を採用することで、上記本発明に係る核酸増幅装置に好適に用いることができ、かつ、多くの開口部、流路、槽部を形成することができる。
ここで、図2に示すように、全ての反応液注入部11、流路12、反応液貯留部13は、加温部2a及び3aに重畳する領域内に収まることができる範囲に形成されている。これは、PCR用ディスク10を回転させたとき、それぞれの反応液貯留部13が、最初に、加温部2bと3bとが重畳する領域を通過する時間を等しくするためである。
つまり、最初に、加温部2a及び3aによる加温領域内に配置された反応液貯留部13にとって、加温部2b及び3bによる加温領域を通過する時間は、加温部2b及び3bによる加温領域に入ってから出るまでの時間である。一方、最初に、加温部2b及び3bによる加温領域内に配置された反応液貯留部13にとって、加温部2b及び3bによる加温領域を通過する時間とは、反応を開始させた時から、第二の加温領域から出るまでの時間である。このように、最初に反応液貯留部13が配置された位置によって、最初に加温部2b及び3bによる加温領域を通過する時間が異なる場合が生じる。そこで、全ての反応液貯留部13を、最初に、加温部2a及び3aに重畳する領域内に収まるように搭載することができれば、この時間のずれを解消することができる。
PCR用ディスク10の材料としては、従来公知の、核酸増幅反応用の容器の材料を用いればよく、限定されるものではない。例えば、ポリカーボネートやポリプロピレン等を用いればよい。本実施の形態に係るPCR用ディスク10は、ポリカーボネートを用いて形成されている。ポリカーボネートは透明性が高いので、リアルタイムPCR(RT−PCR)等の、DNAの増幅によって、発せられる蛍光が変化するPCR反応液を用いた場合、蛍光の検出が容易となる。つまり、本発明に係る核酸増幅容器が備える光透過部を、別途、透明度の高い材料を用いて槽部周辺を形成する必要がなく、槽部内から発せられる蛍光を透過するための光透過部を形成することができる。
(PCR装置1及びPCR用ディスク10を用いた核酸増幅反応)
次に、PCR装置1及びPCR用ディスク10を用いて核酸増幅反応を行なう方法を、図1〜4を用いて説明する。
まず、PCR用ディスク10をPCR装置1に搭載する。図1及び2に示すように、PCR用ディスク10は、ヒートブロック2上に搭載する。次に、PCR用ディスク10の上面からも加温を行なうため、ヒートブロック3を、ヒートブロック2と共にPCR用ディスク10を挟むように配置する。
このとき、全ての反応液貯留部13が加温部2a及び3aに重畳する領域内に収まるように搭載するとよい。これにより、上述のように、全ての反応液貯留部13が加温部2b及び3bにより形成された加温領域を通過する時間を一致させることができる。
次に、図1に示すように、分注アーム7によって、PCRに必要な試薬やサンプルを、反応液注入部11に注入する。具体的には、まず、分注管8は、伸長して試料容器15から、所定の量の試薬及び/又はサンプルを吸引した後、収縮する。次に、分注アーム7を回動させて、分注管8を反応液注入部11上に配置する。次に、分注管8は、反応液注入部11付近まで伸長した後、吸引していた試薬及び/又はサンプルを反応液注入部11に注入する。
反応液注入部11にPCR反応液を注入した後、ディスク駆動部4によって、PCR用ディスク10を高速回転させる。これにより、当該PCR反応液を反応液貯留部13に充填させる。具体的には、図3(b)に示すように、直線Aを回転軸として、PCR用ディスク10を矢印a方向に回転させる。当該回転により反応液注入部11に注入されたPCR反応液には矢印C方向に遠心力が働く。そして、当該遠心力によって、当該PCR反応液は流路12を通って、反応液貯留部13に充填される。
このようにPCR用ディスク10を回転させることで、反応液貯留部13にPCR反応液を充填させることができる。これにより、PCR反応液を直接注入することが困難な形状の反応液貯留部であっても、容易にPCR反応液を注入することができる。
つまり、上述のように、反応液貯留部13は、PCR反応液に対する熱伝導率の向上のため、扁平状構造を有している。ここで、一般に、扁平状構造の槽部に対して、試薬等を充填させることは困難である。例えば、薄く凹んだ皿に反応液を注入する場合、ピペットの先端の照準を定めにくく、また、外側に漏れやすい。さらに、当該皿の上から蓋をする場合、これを上から蓋によって押さえつけることで、当該皿の外に反応液が漏れ、他の皿に入る恐れがある。また、扁平状の槽を容器中に形成して、当該槽に微小な穴を形成して、当該穴から反応液を注入する構成では、その注入のために精密な作業を要する。これでは、人手で行なうことも困難であり、また、オートサンプラー等を用いて自動化する場合も、オートサンプラーに精密な構造が要求され、コストが高くなる。そこで、本発明者らは、微量な核酸増幅反応液であっても注入しやすい筒状構造を有する開口部を設けて、別途、扁平状の槽部を容器中に形成して、当該開口部及び槽部を流路で連結すれば、開口部にPCR反応液を注入して、これを回転させるだけで、扁平状の槽部に容易にPCR反応液を充填させることができることを見出した。本発明は、当業者といえども着想し得ない、この全く新しい技術的思想に基づいて、完成に到達したものである。
また、直線Aは、PCR用ディスク10の中心である点a''を通る。このようにPCR用ディスク10を、その中心を通り、面に垂直な直線を回転軸として回転させることで、回転の際に、PCR用ディスク10全体の位置が移動することがない。このため、PCR装置を小型化することができる。なお、当該回転軸は、核酸増幅容器の中心に交わる形態に限られるものではない。つまり、槽部より開口部に近い点を通る直線を回転軸とすれば、回転させたとき、遠心力によって開口部に充填された核酸増幅反応液は槽部に向かう方向に力を受けるため、容易に槽部に充填することができる。
なお、反応液貯留部13にPCR反応液を充填するときのPCR用ディスク10の回転数は、反応液注入部11に注入されたPCR反応液を反応液貯留部13に充填させることが可能な遠心力が得られればよく、例えば1000rpm〜6000rpmでPCR用ディスク10を回転させればよい。本発明者らは後述する実施例において3000rpmで回転させた。
本実施の形態では、反応液注入部11に注入されたPCR反応液を反応液貯留部13に移動させる手段として、PCR用ディスク10を回転させる場合について説明したが、これに限定されるものではない。つまり、反応液注入部11に注入されたPCR反応液を反応液貯留部13に移動させるための外力を、PCR反応液に付加することが可能であればよい。例えば、PCR反応液を反応液注入部11に注入した後、反応液注入部11に空気を送り込み、圧力によって、当該PCR反応液を反応液貯留部13に送り込んでもよい。
反応液貯留部13にPCR反応液を充填させた後、PCR反応液に対して、解離反応、アニーリング反応、伸長反応のそれぞれに必要な温度を繰り返し加えることでPCRを行なう。本実施の形態では、上述のように解離反応を95℃で行ない、アニーリング反応及び伸長反応を65℃で行なう場合について説明する。
まず、加温部2a、3aを65℃に調整し、加温部2b、3bを95℃に調整する。これにより、ヒートブロック2及び3の間に95℃の加温領域及び65℃の加温領域が形成される。加温部2a、2b、3a、3bの形状は上述のように所望の反応時間等に応じて形成される。なお、この加温領域の形成は、PCR反応液を反応液貯留部13に充填させる工程の前後で行なってもよく、又は併行して行なってもよい。例えば、予め加温領域を形成した後、上述のPCR反応液の充填を行なっても、当該充填のための回転速度は上述のように高速であるので、反応に与える影響は極めて少ない。
次に、ディスク駆動部4によってPCR用ディスク10を回転させる。当該回転の回転数は、所望の、解離反応やアニーリング反応等の時間に応じて適宜設定すればよい。例えば、本発明者らは後述する実施例において7rpmでPCR用ディスク10を回転させた。
この回転によりPCRが行なわれる様子を、図4を用いて説明する。図4は、PCR用ディスク10を回転させて、PCRを行なう様子を模式的に示す図であり、(a)はヒートブロック3上から見たPCR用ディスク10が回転する様子を模式的に示す図であり、(b)は、PCR用ディスク10が回転する様子を模式的に示す斜視図である。
図4(a)(b)に示すようにPCR用ディスクは、矢印a方向に回転する。これにより、図4(a)に示すように、それぞれの反応液貯留部13は、まず95℃に加温される。そして、さらに回転が進むことで、それぞれの反応液貯留部13は65℃に加温される。これが繰り返され、反応液貯留部13内のPCR反応液は95℃、65℃に繰り返し調整されPCRが行なわれる。
このとき、PCR用ディスク10全体は、同時に95℃及び65℃に加温される状態となる。そのため、PCR用ディスク10上には、65℃より高く95℃より低い温度を有する領域が存在し、いずれか一方の温度となる領域は少ない。これにより、反応液貯留部13を95℃又は65℃に調整するために必要な熱量を低減することができる。そのため、各反応液貯留部13を、65℃又は95℃に調整するための時間を短縮することができる。
従来は、PCR用の容器を、解離反応等に必要な各温度に、それぞれ接触させたり、PCR用の容器を一つのヒーターに搭載して、当該ヒーターの温度全体を繰り返し調整したりしていた。しかし、これでは、反応液を貯留した箇所以外にも当該反応温度になる領域が多く存在し、次の温度調整でも、前回の反応温度を有する領域の影響により昇温又は冷却に必要な熱量が多くなっていた。そのため、熱量のロスにより温度調整の効率が低下して、温度調整に長時間を有していた。本発明者らは、反応液貯留部は所望の温度に加温しつつも、容器全体を複数の加温領域で同時に加温することにより、上述した温度調整の効率が向上することを見出した。本発明は、当業者といえども着想し得ない、この全く新しい技術的思想に基づいて、完成に到達したものである。
本実施の形態では、PCR反応液を加温するときに回転させるPCR用ディスク10の回転軸は、図4(b)に示すように直線Aである。直線Aは、上述の通り、PCR用ディスク10の中心である点a''を通り、PCR用ディスク10の面方向に垂直な直線である。このように、PCR用ディスク10を加温するときに回転させる回転軸は、PCR用ディスク10の中心を通ることが好ましいが、これに限定されるものではない。つまり、本発明に係る核酸増幅装置が備える移動手段は、核酸増幅容器を回転させる構成であれば、移動手段の機構を簡易にすることができ、部品数を削減することができるという点や、装置を小型化できるという効果が得られる。つまり、回転のみの場合は、核酸増幅容器を支持する機構と、これを回転させるモーター等があればよいが、直線方向の移動等、回転以外の移動を伴う場合は、移動の方向を定めるためのレール等の部品がさらに必要となる。ただし、回転軸が、PCR用ディスク10と交差する直線であれば、PCR用ディスク10が移動する範囲をさらに省スペースにすることができ、装置をさらに小型化することができる。さらに、本実施の形態のように、当該回転軸をPCR用ディスク10の中心を通る直線とすることで、PCR用ディスク10の搭載位置を固定したまま、反応液貯留部13の位置のみを移動させることができ、さらに装置を小型化することが可能となる。
また、本実施の形態では、反応液貯留部13にPCR反応液を充填するための回転と、反応液貯留部13を加温するための回転とを、同一の直線Aを回転軸で行なう場合について説明したが、これに限定されるものではない。それぞれの回転を行なうために複数の回転手段を設けて、別々の回転軸によりそれぞれの回転を行なってもよい。しかし、本実施の形態で説明したように、反応液貯留部13にPCR反応液を充填するための回転と、反応液貯留部13を加温するための回転とを、同一の回転軸とすることで、一つの部材(ディスク駆動部4)を用いて、両方の回転を行なうことができる。そのため、部品数を削減したり、装置を小型化したりすることができる。
また、本発明に係る核酸増幅装置が備える移動手段は、核酸増幅容器を回転させる構成のみに限定されるものではない。核酸増幅容器全体を、複数の加温領域のうち、それぞれ異なる温度に調整された少なくとも二つの加温領域によって同時に加温される状態で移動させるものであればよい。例えば、帯状のプレート(搭載手段)に、95℃の加温領域及び65℃の加温領域を交互に縞状に形成して、95℃の加温領域及び65℃の加温領域の一つずつに、同時に跨るように核酸増幅容器を載せる。これを当該プレートの長さ方向に往復するように移動させると、当該核酸増幅容器全体は95℃及び65℃で同時に加温させながら、当該核酸増幅容器中の核酸増幅反応液が充填された部位を95℃又は65℃で加温させることができる。ただし、本実施の形態のように核酸増幅容器を回転させる構成は、上述の部品数の削減や、装置を小型化できるという効果を得ることができるという点で好ましい。
また、ディスク駆動部4によるPCR用ディスク10は一定の方向に一定の回転速度で駆動させたが、これに限られるものではない。例えば、加温領域を形成可能な領域が限定されている場合等は、当該加温領域や所望の反応条件等に応じて、移動速度及び移動方向を適宜変更可能な構成であってもよい。ただし、本実施の形態のように、一定の方向に一定の速度で核酸増幅容器を移動させることで、方向及び速度の制御が不要となり、また、上述の加温領域の形状を規定する線分の算出等を容易に行なえる。そのため、核酸増幅装置の動作の制御が容易になる。
PCRによるDNAの増幅の確認は、従来公知の電気泳動法等によって行なえばよく、限定されるものではないが、DNAの増幅によって発せられる蛍光が変化するPCR反応液を用いれば、蛍光の検出をするだけで増幅を確認することができる。つまり、反応液貯留部13から発せられる蛍光を、蛍光透過部9a、9bを介して、蛍光検出部6で検出することによって、リアルタイムにPCRによるDNAの増幅を確認することができる。
〔実施の形態2〕
本発明に係る核酸増幅容器の他の実施の形態について、図5を用いて説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1に係る構成要素と同様の機能を有する構成要素については、その説明を省略する。本実施の形態では、主に、上記実施の形態1との相違点について説明するものとする。
図5は、本実施の形態に係るPCR用チップ20の構造を模式的に示す斜視図であり、(a)は反応液注入部21に注入されたPCR反応液を反応液貯留部23に充填する様子の一例を示し、(b)は反応液注入部21に注入されたPCR反応液を反応液貯留部23に充填する様子の他の例を示している。
図5(a)及び(b)に示すように、PCR用チップ20は、反応液注入部21(開口部)、流路22、反応液貯留部23(槽部)、基板24から形成されている。
反応液注入部21は、基板24から突起した筒状構造を有している。これにより、当該反応液注入部21の内壁部分によって、反応液注入部21からPCR反応液が漏れることを防止することができ、また、ピペット等の微細な分注管を用いても照準を定めやすい等の理由により、PCR反応液の注入が容易となる。
流路22は一方の端で反応液注入部21に連結しており、他方の端で反応液貯留部23に連結している。また、後述のように基板24は長方形状を有しており、流路22は、基板24の長さ方向に平行に形成されている。
反応液貯留部23は基板24の内部に形成されている。反応液貯留部23は扁平状に形成されている。これにより、反応液貯留部23内に充填されたときのPCR反応液の表面積を大きくすることができるため、当該PCR反応液に対する熱伝導率を上げることができる。そのため、PCR反応液の温度調整をさらに迅速に行なうことができる。
基板24は、長方形状を有している。長方形状であれば、基板24の材料で形成された一枚のシートから、大量に基板24を切り出すことができ、円盤状の基板を用いる場合に比べて、廃棄される材料が少なくなるため、製造コストを低減させることができる点で有利である。
反応液注入部21に注入されたPCR反応液を反応液貯留部23に充填するときは、基板24上の点であって、反応液貯留部23よりも反応液注入部21に近い点を通る直線を回転軸として回転させればよい。
例えば図5(a)に示すように、基板24の面方向に垂直な直線Dを回転軸として回転させるとよい。これにより、注入されたPCR反応液は矢印E方向の遠心力を受け、反応液貯留部23に充填される。
また、例えば、図5(b)に示すように、図5(a)の場合に比べてPCR用チップ20を水平から傾けた状態で、直線Dを回転軸として回転させてもよい。これにより、これにより、注入されたPCR反応液は、当該回転による遠心力及び重力によって、矢印E方向の力を受け、反応液貯留部23に充填される。
PCR用チップ20を用いてPCRを行なう場合、従来公知のPCR装置を用いてもよいが、本発明に係る核酸増幅装置を用いれば、上述のように簡便かつ迅速にPCRを行なうことができる。
例えば、PCR用チップ20をPCR装置1に用いる場合、回転部5の代わりに、PCR用チップ20を把持して回転させることが可能なアーム構造の部材等を設ければよい。そして、加温部2a及び3aにより形成される加温領域と、加温部2b及び3bにより形成される加温領域とで、同時に加温される状態を保ちながら、反応液貯留部23はそれぞれの加温領域に交互に加温されるように、当該アーム構造の部材によって、PCR用チップ20を把持して回転させればよい。例えば、まず回転軸が直線D1となるように当該アーム構造の部材でPCR用チップ20を把持して回転させることで、反応液貯留部23にPCR反応液を充填し、PCR反応液の加温時には、PCR用チップ20の中心を通り、PCR用チップ20の面に垂直な直線を回転軸とするように、当該アーム構造の部材により把持する箇所を変更するか、別途回転させるための部材を設けて、回転させればよい。
〔実施例:CytoChrome P450 2C19(CYP2C19)遺伝子の検出〕
(CYP2C19遺伝子を検出するプライマーの合成)
まず、正鎖プライマー及び逆鎖プライマーを合成した。正鎖プライマーの塩基配列を配列番号1に、逆鎖プライマーの塩基配列を配列番号2に示す。
正鎖プライマー及び逆鎖プライマーは、DNAシンセサイザー(パーキンエルマー社製;392型)を用いて、添付のマニュアルに従い、ホスホアミダイト法により合成した。合成した正鎖プライマー及び逆鎖プライマーを、アンモニア水に溶解して、55℃の環境下で、一晩静置することによって、脱保護した。その後、OPCカラム(パーキンエルマー社製)にて精製した。なお、プライマーの合成は、DNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、シグマアルドリッチジャパン(株)、オペロンバイオテクノロジー(株)等)に依頼してもよい。
(PCRによるCYP2C19遺伝子の解析)
PCRに供するサンプルとして、ヒト白血球からフェノール・クロロフォルム法によって得たDNA溶液を用いた。ヒト白血球として、2種類の個体から得たものを用い、DNA溶液を2種類調製した(以下、「サンプルA」、「サンプルB」と表記する)。
次に、PCR反応液を調製した。PCR反応液は、全量を25μlとして、正鎖プライマー 20pmol、逆鎖プライマー 20pmol、KOD plus DNAポリメラーゼ(東洋紡社製、品番KOD−201)、KOD plus DNAポリメラーゼに添付の×10緩衝液 2.5μl、2mM dNTP 2.5μl、25mM MgCl 2μl及びサンプルA又はBを、溶解しているDNAが100ngとなるように混合し、残部は水とした。
PCRには上記実施の形態1で説明したPCR装置1及びPCR用ディスク10を用いた。
まず、反応液注入部11に、調製したPCR反応液のうち20μlを注入した。次に、3000rpmで5秒間PCR用ディスク10を回転させて、反応液注入部11内のPCR反応液を反応液貯留部13に移動させた。
PCRの温度条件は、加温部2a及び3aを95℃として5分間静置した後、加温部2a及び3aを65℃に調整して、7rpmで5分間、PCR用ディスクを回転させた。上述の通り、角度θ1は90度であるため、当該回転によりPCR反応液は95℃で2.1秒、65℃で6.4秒の加温調整を35サイクル行なったこととなる。
(アガロースゲル電気泳動による核酸増幅の確認)
PCR反応後、反応液貯留部13からPCR反応液5μlを回収した。回収したPCR反応液を、3%アガロースゲルによる電気泳動に供した。電気泳動では、100Vの電圧を印加して、60分間行なった。その結果を図6に示す。図6は本実施例における電気泳動の結果を示す図であり、レーン1及びレーン2は、それぞれサンプルA及びBを用いたPCRの結果を示し、レーン3には比較のためサンプルA及びBの代わりに水を混合して、本実施例に記載の方法でPCRを行なった結果を示している。また、レーンMには分子量マーカーを供して電気泳動を行なった結果を示している。
図6に示されるように、サンプルA及びBのいずれのサンプルを用いたPCRにおいても、良好にCYP2C19遺伝子を検出することができた。これは、5分という短時間で良好にPCRが行なわれたことを示している。
本発明は上述した各実施形態及び実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
本発明に係る核酸増幅装置及び核酸増幅容器は、極めて迅速かつ簡便に核酸増幅反応を行なうことができる。遺伝子解析や、遺伝子をモニタリングすることにより行われるバイオアッセイなど、PCR等の核酸増幅反応を用いるあらゆる産業で利用可能である。
本発明の実施形態に係るPCR装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係るPCR装置が備えるヒートブロックの構造を模式的に示す図である。 本発明の実施形態に係るPCR用ディスクの構造を模式的に示す図である。 本発明の実施形態に係るPCR用ディスクを回転させて、PCRを行なう様子を模式的に示す図である。 本発明の他の実施形態係るPCR用チップの構造を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施例における電気泳動の結果を示す図である。
符号の説明
1 PCR装置(核酸増幅装置)
2 ヒートブロック(搭載手段、第一の加温手段)
2a、2b、3a、3b 加温部
3 ヒートブロック(第二の加温手段)
4 ディスク駆動部(移動手段)
5 回転部
6 蛍光検出部(光検出手段)
9a、9b 蛍光透過部(窓部)
10 PCR用ディスク(核酸増幅容器)
11、21 反応液注入部(開口部)
12、22 流路
13、23 反応液貯留部(槽部)
14、24 基板
20 PCR用チップ(核酸増幅容器)
A、D 直線(回転軸)

Claims (19)

  1. 核酸増幅容器を搭載するための搭載手段と、
    上記搭載手段上にそれぞれ異なる温度に調整された複数の加温領域を形成するための、第一の加温手段とを備えることを特徴とする核酸増幅装置。
  2. 核酸増幅容器を移動させるための移動手段を備え、
    上記移動手段は、核酸増幅容器全体を、上記複数の加温領域のうち、それぞれ異なる温度に調整された少なくとも二つの加温領域によって同時に加温される状態で移動させるものであることを特徴とする請求項1に記載の核酸増幅装置。
  3. 上記移動手段は、核酸増幅容器を回転させるものであることを特徴とする請求項2に記載の核酸増幅装置。
  4. 上記回転の回転軸は、上記核酸増幅容器に交わることを特徴とする請求項3に記載の核酸増幅装置。
  5. 上記回転軸は、上記核酸増幅容器の中心に交わることを特徴とする請求項4に記載の核酸増幅装置。
  6. 上記移動手段は、核酸増幅容器を、一定方向に、一定速度で移動させるものであることを特徴とする請求項2に記載の核酸増幅装置。
  7. 上記第一の加温手段は、核酸増幅容器が移動するとき、当該核酸増幅容器の任意の点がそれぞれの上記加温領域を通過する時間と、予め設定された、当該加温領域により加温する時間とが一致するように、それぞれの上記加温領域を形成するものであることを特徴とする請求項6に記載の核酸増幅装置。
  8. 上記移動手段が核酸増幅容器を回転移動させるものであり、
    上記第一の加温手段は、上記回転の回転軸と上記搭載手段とが交わる点から放射状に広がる形状になるように、上記加温領域を形成するものであることを特徴とする請求項7に記載の核酸増幅装置。
  9. 上記搭載手段上に核酸増幅容器を搭載した際に、二つの加温手段により当該核酸増幅容器を挟むように、上記搭載手段の上方に第二の加温手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の核酸増幅装置。
  10. 上記第一の加温手段及び第二の加温手段は、それぞれ、互いに重畳する領域が同じ温度に調整された加温領域を形成するものであることを特徴とする請求項9に記載の核酸増幅装置。
  11. 上記核酸増幅容器が、基板に開口部、流路及び槽部が設けられ、上記開口部及び上記槽部は上記流路によって連結されており、上記開口部は、上記基板から突起した筒状構造であるとき、
    上記開口部から注入された核酸増幅反応液を、上記流路を介して上記槽部内に移動させる外力を付加する外力付加手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の核酸増幅装置。
  12. 上記外力付加手段は、上記槽部より上記開口部に近い点で、上記基板と交差する直線を回転軸として上記核酸増幅容器を回転させるものであることを特徴とする請求項11に記載の核酸増幅装置。
  13. 核酸増幅容器を移動させるための移動手段を備え、上記移動手段は、当該核酸増幅容器全体を、上記複数の加温領域のうち、互いに異なる温度に調整された少なくとも二つの加温領域によって同時に加温される状態で、当該核酸増幅容器を回転させるものであり、
    上記移動手段と上記外力付加手段とが同一部材で構成されていることを特徴とする請求項12に記載の核酸増幅装置。
  14. 上記搭載領域に窓部が設けられており、
    上記窓部から発せられる光を検出する光検出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の核酸増幅装置。
  15. 基板に開口部、流路及び槽部が設けられ、
    上記開口部及び上記槽部は上記流路によって連結されており、
    上記開口部は、上記基板から突起した筒状構造であることを特徴とする核酸増幅容器。
  16. 上記基板は円盤状であり、上記開口部は上記槽部より上記基板の中心に近い位置に設けられていることを特徴とする請求項15に記載の核酸増幅容器。
  17. 上記基板は、上記槽部内から発せられる光を透過する光透過部を備えていることを特徴とする請求項15に記載の核酸増幅容器。
  18. 核酸増幅容器に核酸増幅反応液を充填する充填工程及び、
    充填された上記核酸増幅反応液の温度を調整する温度調整工程を含み、
    上記温度調整工程は、当該核酸増幅容器全体を、それぞれ異なる温度に調整された複数の加温領域によって同時に加温される状態で、上記核酸増幅容器を移動させる工程を含むことを特徴とする核酸増幅方法。
  19. 上記核酸増幅容器として、基板に開口部、流路及び槽部が設けられ、上記開口部及び上記槽部は上記流路によって連結されており、上記開口部は、上記基板から突起した筒状構造である核酸増幅容器を用い、
    上記充填工程は、上記開口部から注入された核酸増幅反応液に対して外力を付加して、上記槽部内に移動させる工程を含むことを特徴とする請求項18に記載の核酸増幅方法。
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