JP5381100B2 - 核酸増幅装置 - Google Patents

核酸増幅装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5381100B2
JP5381100B2 JP2008528285A JP2008528285A JP5381100B2 JP 5381100 B2 JP5381100 B2 JP 5381100B2 JP 2008528285 A JP2008528285 A JP 2008528285A JP 2008528285 A JP2008528285 A JP 2008528285A JP 5381100 B2 JP5381100 B2 JP 5381100B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nucleic acid
acid amplification
reaction
opening
pcr
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008528285A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2008102772A1 (ja
Inventor
楠本  正博
裕 宝田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2008528285A priority Critical patent/JP5381100B2/ja
Publication of JPWO2008102772A1 publication Critical patent/JPWO2008102772A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5381100B2 publication Critical patent/JP5381100B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B04CENTRIFUGAL APPARATUS OR MACHINES FOR CARRYING-OUT PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES
    • B04BCENTRIFUGES
    • B04B15/00Other accessories for centrifuges
    • B04B15/02Other accessories for centrifuges for cooling, heating, or heat insulating
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01LCHEMICAL OR PHYSICAL LABORATORY APPARATUS FOR GENERAL USE
    • B01L7/00Heating or cooling apparatus; Heat insulating devices
    • B01L7/52Heating or cooling apparatus; Heat insulating devices with provision for submitting samples to a predetermined sequence of different temperatures, e.g. for treating nucleic acid samples
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01LCHEMICAL OR PHYSICAL LABORATORY APPARATUS FOR GENERAL USE
    • B01L2300/00Additional constructional details
    • B01L2300/08Geometry, shape and general structure
    • B01L2300/0832Geometry, shape and general structure cylindrical, tube shaped
    • B01L2300/0838Capillaries
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01LCHEMICAL OR PHYSICAL LABORATORY APPARATUS FOR GENERAL USE
    • B01L2400/00Moving or stopping fluids
    • B01L2400/04Moving fluids with specific forces or mechanical means
    • B01L2400/0403Moving fluids with specific forces or mechanical means specific forces
    • B01L2400/0409Moving fluids with specific forces or mechanical means specific forces centrifugal forces
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01LCHEMICAL OR PHYSICAL LABORATORY APPARATUS FOR GENERAL USE
    • B01L9/00Supporting devices; Holding devices
    • B01L9/06Test-tube stands; Test-tube holders
    • B01L9/065Test-tube stands; Test-tube holders specially adapted for capillary tubes
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N35/00Automatic analysis not limited to methods or materials provided for in any single one of groups G01N1/00 - G01N33/00; Handling materials therefor
    • G01N2035/00346Heating or cooling arrangements
    • G01N2035/00356Holding samples at elevated temperature (incubation)

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Clinical Laboratory Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Description

本発明は、核酸増幅装置に関するものである。より詳しくは、簡易な構造で、核酸増幅反応の自動化に適しており、さらに核酸増幅反応を短時間でおこなうことが可能な核酸増幅装置に関するものである。
PCR(Polymerase Chain Reaction)等の核酸増幅反応はバイオテクノロジーにおける様々な分野で応用されている。例えば、医学分野では、DNA又はRNAの塩基配列に基づいた診断が注目を集めており、農業分野では遺伝子組み換え作物の判定等でDNA鑑定が活用されている。
PCRは、一般に、二本鎖DNAを一本鎖DNAに解離する反応(以下、「変性反応」と表記する。)、解離して生じた一本鎖DNAとプライマーとのアニーリング反応(以下、「アニーリング反応」と表記する。)、アニーリングした一本鎖DNAとプライマーとの二本鎖DNAの伸長反応(以下、「伸長反応」と表記する。)を繰り返すことにより行なう。具体的には、従来、PCR反応液を個々のマイクロチューブに入れて、昇温又は冷却を繰り返すことで、上記各反応に必要な反応温度に調整する方法が主に用いられてきた。
しかし、PCRを行なうためには、この温度の調整の繰り返し、微量のサンプルを扱うこと等により、煩雑な作業及び多大な時間を要する。例えば、上述のマイクロチューブを用いる方法では、マイクロチューブを加温する部材自体の温度の調整に時間を要する。そのため、上記温度の調整の繰り返しを行なうために、約2〜3時間を要する。
そこで、近年、より簡便かつ短時間にPCRを行なうための技術が提案されている(特許文献1〜6)。
特許文献1及び2には、空気等の気体を熱媒とすることで、変性反応等のための温度調整を行なう装置が開示されている。具体的には、ヒーターで加熱した空気をPCR反応液の周囲に送り込むことで、それぞれの反応温度に調整している。これにより、ヒートブロック等を用いるより迅速に温度調整が可能になるとされている。核酸増幅容器としては、キャピラリーサンプルチューブ、予め核酸増幅反応液の注入口及び貯留部が設けられたディスクが用いられている。キャピラリーサンプルチューブは、PCR反応液の貯留部位が極めて細く形成されているため、温度調整の時間を短縮することができる。また、上記ディスクを用いる場合は、予めPCR反応液を注入して、ディスクを回転させることで遠心力によって当該貯留部位にPCR反応液を充填することができる。また、当該装置では、キャピラリーサンプルチューブ等に含まれたPCR反応液の蛍光を検出する手段も備えている。つまり、核酸の増幅に応じて発する蛍光が変化するPCR試料を用いれば、リアルタイムにPCRの結果を確認することができる。
特許文献3及び4には、PCRによって得られる二本鎖核酸に結合して蛍光を発する蛍光染料を用いて、当該蛍光を検出することで、迅速にPCRの結果を確認する技術が開示されている。
特許文献5には、PCRによって得られる二本鎖核酸に結合する化合物と、当該化合物が当該二本鎖核酸に結合したときに発する蛍光が変化する反応分子で標識したプライマーとを用いるIFP法が開示されている。当該蛍光の変化を検出することで、PCRの結果を簡便に確認することができるとされている。
特許文献6には、3’末端にC(シトシン)を有し、C(シトシン)とG(グアニン)とが水素結合したときに蛍光が消える蛍光色素で標識したプライマーを用いてPCRを行なうQ−Probe法が開示されている。これにより、当該蛍光の変化を確認することで、PCRの結果を簡便に確認することができるとされている。
日本国公表特許公報「特表2000−511435(公表日:2000年9月5日)」 日本国公表特許公報「特表2000−512138(公表日:2000年9月19日)」 日本国公開特許公報「特開平5−184397(公開日:1993年7月27日)」 日本国公開特許公報「特開平10−210464(公開日:1998年8月4日)」 日本国公表特許公報「特表2003−500001(公表日:2003年1月7日)」 日本国公開特許公報「特開2001−286300(公開日:2001年10月16日)」
PCRに必要な作業工程の自動化をすれば、PCRの操作を簡便に行なうことができる。しかしながら、上記従来の構成では、PCRの作業工程を自動化するためには装置が大型化、複雑化するという問題を有する。また、上記従来の構成では、PCRの温度調整に長時間を要するという問題をも有する。
特許文献1及び2に開示の装置では、キャピラリーサンプルチューブ内又はディスク内の蛍光を、蛍光検出器を用いて自動的に検出するために、キャピラリーサンプルチューブ等の位置固定をする部品を別途設ける必要があり、部品数が増える。また、核酸増幅容器としてキャピラリチューブを用いる装置の場合、別途、遠心機によって試料等を充填する工程が必要となる。つまり、キャピラリチューブは、液溜部が細いため、試料等を当該液溜部に充填するためには、注入口に注いだ上で遠心機にかける工程が必要となり、当該工程を行なった上で、装置に搭載する必要がある。これらの工程を自動化するためには、遠心機からPCR装置まで、キャピラリチューブを運搬する手段が必要となるなど、装置が複雑化する。さらに、これらの装置では、高温に加熱された空気がそのまま装置外に放出されることを防ぐために装置を閉鎖するための部品も必要である。このようにPCR装置は多数の部品が必要とされ、作業工程を自動化するためにはさらに多くの部品が必要となり、構造が複雑になる。
また、特許文献1及び2の開示の装置は、キャピラリチューブを用いる装置及び上記ディスクを用いる装置のいずれも、装置内の気体を熱媒としている。そのため、気体を変性反応等の各反応温度に調整する工程を繰り返す必要があり、気体が当該核反応温度に調整されるまでに長時間を要する。
特許文献3〜6に開示の技術は、核酸増幅反応の結果を簡便に確認するための技術であり、温度調整に要する時間の短縮、装置の複雑化を解決するために資する技術ではない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、より簡便かつ短時間で核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅装置を提供することにある。さらに具体的な本発明の目的としては、核酸増幅反応液の充填から核酸増幅反応までの作業の自動化に適した構造で、かつ簡易な構造の核酸増幅装置を提供して、さらには、温度調整の効率を向上して核酸増幅反応に要する時間を短縮した核酸増幅反応装置を提供することにある。
本発明に係る核酸増幅装置は、上記課題を解決するために、核酸増幅容器を加温するための加温手段と、開口部が設けられた筐体と、上記開口部を開閉するための開閉手段と、核酸増幅容器を搭載して遠心する遠心手段とを備え、上記加温手段は上記筐体内に配置されており、上記遠心手段は、上記開口部の開口面を通る直線を回転軸として、上記核酸増幅容器を回転させるものであり、上記開閉手段は、上記開口部を閉じたとき、上記遠心手段の位置を固定するものであることを特徴としている。
上記の構成によれば、上記開閉手段によって、上記開口部の開閉及び上記遠心手段の位置固定をも行なう。これにより、部品数が削減できて、構造を簡易にすることができる。
また、上記遠心手段の位置の固定によって、これに搭載された核酸増幅容器の位置も固定されることで、例えば、核酸増幅容器に対してヒートブロック等を直接接触させて加温したり、核酸増幅容器内の蛍光を検出したりするときに、必要な部品の位置調整が容易となる。つまり、核酸増幅容器の位置を基準とする部品の移動の、自動的な制御が容易となる。
よって、核酸増幅反応液の充填から核酸増幅反応までの作業の自動化に適した構造で、かつ簡易な構造の核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記遠心手段の、核酸増幅容器を搭載する部位は、上記遠心手段の回転により描かれる円の接線方向に平行な直線を軸に、回動するものであることがより好ましい。
上記遠心機は、核酸増幅容器を搭載する部位が上述のように回動するものである。そのため、遠心するときには、核酸増幅容器の底よりも注入口を回転軸に近づけるように回動させることで、又は、スイング式にしておき、遠心に伴って自動に回動させることで、核酸増幅容器の注入口から底に向けた遠心力を生じさせて、注入した核酸増幅反応液を底に充填することができる。そして、遠心しないときには、例えば従来公知のマイクロチューブ及びキャピラリチューブの注入口は上を向かせることができるため、核酸増幅容器に対する核酸増幅反応液の注入が容易となる。
つまり、核酸増幅反応液の注入の自動化に適した核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記遠心手段は、複数の核酸増幅容器を、直線状に並べて搭載するように形成されていることがより好ましい。
上記核酸増幅容器を直線状に並べて搭載できるため、様々な部品の構造を簡略化することができる。例えば、核酸増幅容器を搭載する部位が上記筐体外にある場合、複数の核酸増幅容器の核酸増幅反応液が貯留されている部位を上記筐体内に配置するために、開閉手段には穴等を設ける必要があるが、これを直線状の切れ込み等にすればよい。また、例えば、蛍光検出を行なうための部品を上記筐体内に設ける場合、当該部品に直線状の溝を形成して、溝の中に当該部位が入るようにすれば、当該部品を直線状にずらしていくだけで、複数の核酸増幅容器の蛍光を逐次検出することができる。
このように、上記の構成によれば、より構造の簡易な核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記遠心手段には、上記核酸増幅容器を搭載するための貫通孔が形成されていることがより好ましい。
上記貫通孔を貫通する管状の核酸増幅容器を用いれば、核酸増幅容器の底、即ち核酸増幅反応液が貯留している部位を、上記筐体内に曝露することができる。これにより、上記筐体内に配置された上記加熱手段によって、より効率的に温度調整を行なうことができる。
よって、より短時間で核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記開閉手段は、上記開口部上をスライドして開閉するものであることがより好ましい。
上記開閉手段をスライドさせるだけで、上記開口部の開閉を行なうことができるため、開閉のための操作及び構造を簡易にすることができる。また、例えば、一辺を軸として回動させる扉状の開閉手段を採用する場合に比べて、使用するときに必要なスペースを省スペースにすることができる。
よって、より簡易な構造で簡便に扱うことが可能な核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記遠心手段は基板を備え、上記核酸増幅容器を搭載する部位が上記基板上に設けられており、上記開閉手段は、上記開口部を閉じたとき、上記基板に重畳する領域で上記基板に接するように形成されていることがより好ましい。
上記基板と上記開閉手段とが重なる領域が接することで、上記筐体を閉鎖空間にすることができる。つまり、上記基板と上記開閉手段とが重なる領域の面を、例えばそれぞれ平らにする等、接触するように形成すればよいので、上記開閉手段及び上記基板の構造を簡易にすることができる。
よって、より構造の簡易な核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記加温手段は、上記筐体内の気体を加温するものであることがより好ましい。
上記筐体内の気体によって、核酸増幅容器の温度調整をすることができる。気体は分散性に優れているため、気体を熱媒とすることで、複数の核酸増幅容器間に加えられる熱のムラが無くなり、温度調整を均一に行なうことができる。
よって、複数の核酸増幅容器を用いたとき、加えられる熱の均一性が高い核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、生体試料から核酸増幅反応に供する核酸を抽出する核酸抽出手段と、上記核酸抽出手段によって抽出された核酸を、上記遠心手段に搭載された核酸増幅容器に注入するための分注手段とをさらに備えることがより好ましい。
上記核酸抽出手段によって、核酸を抽出することができ、さらに抽出した核酸を上記分注手段で上記核酸増幅容器に注入することができる。
よって、生体試料からの核酸の抽出から核酸増幅反応までを一つの装置で行なうことが可能な核酸増幅反応装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、核酸増幅容器に対して二本鎖核酸を解離させる刺激を与えるための変性手段をさらに備え、上記加温手段は、上記核酸増幅容器を連続して加温するものであり、上記変性手段は、上記加温手段による加温が行なわれている状態で、さらに、間欠的に上記刺激を与えるものであることがより好ましい。
上記の構成によれば、温度調整を短時間で行なうことができる。
まず、変性反応からアニーリング反応及び伸長反応への移行のための温度調整が短時間で行なうことが可能な理由について、アニーリング反応及び伸長反応を共に65℃で行なうシャトルPCRの場合を例にして説明する。
上記核酸増幅容器の上記筐体内に配置された部位は、65℃で連続して加温されている。そして、上記変性手段による刺激は、核酸増幅容器に対する65℃の加温が行なわれている状態で与えられる。つまり、核酸増幅反応液が貯留されている部位に、変性反応のための刺激が与えられているときでも、その他の部位は65℃に加温される。そのため、当該刺激が解除されたとき、上記加温手段による加温と、65℃に加温されていたその他の部位の影響とによって、核酸増幅反応液が貯留されている部位は速やかに65℃に調整される。
一方、従来のように核酸増幅容器を変性反応のための反応温度(例えば95℃)に加温して、次に65℃に加温する工程を、単に繰り返す場合、95℃に加温したときに核酸増幅容器では、核酸増幅反応液が貯留されている部位のみならず、他の部位も95℃に加温される。そのため、65℃に加温するときにも、核酸増幅反応液が貯留されている部位周囲の95℃に加温された領域の影響によって、当該部位が65℃になるまでに長時間を要する。
また、伸長反応から変性反応への移行も迅速に行なうことができる。つまり、変性手段は間欠的に使用するものであるため、使用していない間に刺激を与えるための準備をすることができる。例えば、変性手段としてヒートブロックを用いる場合、予め95℃に調整しておくことが可能であるし、後述のように電磁波を用いる場合は、電磁波を放出する準備をしておくことができる。
このように、上記の構成によれば、短時間で核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅反応装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記変性手段は、熱、電磁波及び超音波からなる群から少なくとも一つの刺激を発するものであることがより好ましい。
上記刺激のいずれかであれば、速やかに核酸増幅反応液に与えることができる。つまり、上記刺激が熱の場合は、上記変性手段を予め所定の温度に暖めておけばよい。上記変性手段は、間欠的に、変性反応のためだけに用いるものなので、従来のPCR装置のようにアニーリング反応及び伸長反応の反応温度に調整する必要が無いからである。また、電磁波及び超音波は、所望のタイミングで迅速に発生させることが可能である。つまり、伸長反応から変性反応へ、極めて迅速に移行することができる。
よって、より短時間に核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅反応装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記変性手段は、マイクロ波を発するものであることがより好ましい。
マイクロ波は、極めて効率よく二本鎖核酸を解離させることが可能であり、また、所望のタイミングで迅速に発生させることができる。そのため、伸長反応から変性反応へ、極めて迅速に移行することができ、かつ、変性反応の時間を短時間にすることができる。
よって、より短時間に核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅反応装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記変性手段は、上記核酸増幅容器を加温するヒートブロックであることがより好ましい。
上記ヒートブロックを、核酸増幅反応容器の核酸増幅反応液が貯留された部位の近傍に配置又は当該部位に接触させることで、変性反応を行なうことができる。そして、当該ヒートブロックを、予め変性反応に必要な温度に調整しておけば、迅速に変性反応を行なうことができる。
よって、より迅速に核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記ヒートブロックには穴が設けられており、上記変性手段は、上記核酸増幅容器に上記刺激を与えるとき、当該穴に当該核酸増幅容器の底を包含するように移動するものであることがより好ましい。
上記ヒートブロックの穴に、核酸増幅容器の底、即ち核酸増幅反応液が充填された部位を包含させることで、当該部位及びその周囲の狭い範囲にのみ集中的に変性反応のための温度を加温することができ、他の部位には上記加温手段でアニーリング反応及び伸長反応のための温度を連続的に加温し続けることができる。これにより、変性反応、アニーリング反応、伸長反応の各反応間の移行を極めて短時間に行なうことができる。
よって、より迅速に核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、さらに、上記核酸増幅容器内から発せられる光を検出するための光検出手段を備えることがより好ましい。
上記光検出手段によって、核酸増幅反応の結果を確認することができる。
よって、核酸増幅反応液の充填から、核酸増幅反応の結果の確認までを一つの装置で行なうことが可能な、核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記変性手段は、上記光検出手段によって検出する光で融解曲線解析をするための、上記刺激の強度の調整を行なうものであることがより好ましい。
上記変性手段によって上記刺激の強度を徐々に上げていくことができる。そのため、例えば、IFP法、Q−Probe法を行なうことの可能な核酸増幅反応液を用いて、上記光検出手段によって蛍光等を検出することで、当該強度と核酸増幅反応後の二本鎖核酸の解離との関係を解析することができる。
よって、一つの装置で、核酸反応液の充填から融解曲線解析までを行なうことができる核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記加温手段は、上記光検出手段によって検出する光で融解曲線解析をするための温度調整を行なうものであることがより好ましい。
上記加温手段によって、徐々に温度を上昇させることができる。そのため、例えば、IFP法、Q−Probe法を行なうことの可能な核酸増幅反応液を用いて、上記光検出手段によって蛍光等を検出することで、当該温度と核酸増幅反応後の二本鎖核酸の解離との関係を解析することができる。
よって、一つの装置で、核酸反応液の充填から融解曲線解析までを行なうことができる核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置は、上記課題を解決するために、核酸増幅容器を加温するための加温手段と、当該核酸増幅容器に対して二本鎖核酸を解離させる刺激を与えるための変性手段とを備え、上記加温手段は、上記核酸増幅容器を連続して加温するものであり、上記変性手段は、上記加温手段による加温が行なわれている状態で、さらに、間欠的に上記刺激を与えるものであることを特徴としている。
上記の構成によれば、温度調整を短時間で行なうことができる。
まず、変性反応からアニーリング反応及び伸長反応への移行のための温度調整が短時間で行なうことが可能な理由について、アニーリング反応及び伸長反応を共に65℃で行なうシャトルPCRの場合を例にして説明する。
上記核酸増幅容器の上記筐体内に配置された部位は、65℃で連続して加温されている。そして、上記変性手段による刺激は、核酸増幅容器に対する65℃の加温が行なわれている状態で与えられる。つまり、核酸増幅反応液が貯留されている部位に、変性反応のための刺激が与えられているときでも、その他の部位は65℃に加温される。そのため、当該刺激が解除されたとき、上記加温手段による加温と、65℃に加温されていたその他の部位の影響とによって、核酸増幅反応液が貯留されている部位は速やかに65℃に調整される。
一方、従来のように核酸増幅容器を変性反応のための反応温度(例えば95℃)に加温して、次に65℃に加温する工程を、単に繰り返す場合、95℃に加温したときに核酸増幅容器では、核酸増幅反応液が貯留されている部位のみならず、他の部位も95℃に加温される。そのため、65℃に加温するときにも、核酸増幅反応液が貯留されている部位周囲の95℃に加温された領域の影響によって、当該部位が65℃になるまでに長時間を要する。
また、伸長反応から変性反応への移行も迅速に行なうことができる。つまり、変性手段は間欠的に使用するものであるため、使用していない間に刺激を与えるための準備をすることができる。例えば、変性手段としてヒートブロックを用いる場合、予め95℃に調整しておくことが可能であるし、後述のように電磁波を用いる場合は、電磁波を放出する準備をしておくことができる。
このように、上記の構成によれば、短時間で核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅反応装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記加温手段は、気体を加温するものであることがより好ましい。
上記筐体内の気体によって、核酸増幅容器の温度調整をすることができる。気体は分散性に優れているため、気体を熱媒とすることで、複数の核酸増幅容器間に加えられる熱のムラが無くなり、温度調整を均一に行なうことができる。
よって、複数の核酸増幅容器を用いたとき、加えられる熱の均一性が高い核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記変性手段は、熱、電磁波及び超音波からなる群から少なくとも一つの刺激を発するものであることがより好ましい。
上記刺激のいずれかであれば、速やかに核酸増幅反応液に与えることができる。つまり、上記刺激が熱の場合は、上記変性手段を予め所定の温度に暖めておけばよい。上記変性手段は、間欠的に、変性反応のためだけに用いるものなので、従来のPCR装置のようにアニーリング反応及び伸長反応の反応温度に調整する必要が無いからである。また、電磁波及び超音波は、所望のタイミングで迅速に発生させることが可能である。つまり、伸長反応から変性反応へ、極めて迅速に移行することができる。
よって、より短時間に核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅反応装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記変性手段は、マイクロ波を発するものであることがより好ましい。
マイクロ波は、極めて効率よく二本鎖核酸を解離させることが可能であり、また、所望のタイミングで迅速に発生させることができる。そのため、伸長反応から変性反応へ、極めて迅速に移行することができ、かつ、変性反応の時間を短時間にすることができる。
よって、より短時間に核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅反応装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記変性手段は、上記核酸増幅容器を加温するヒートブロックであることがより好ましい。
上記ヒートブロックを、核酸増幅反応容器の核酸増幅反応液が貯留された部位の近傍に配置又は当該部位に接触させることで、変性反応を行なうことができる。そして、当該ヒートブロックを、予め変性反応に必要な温度に調整しておけば、迅速に変性反応を行なうことができる。
よって、より迅速に核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅装置を提供することができる。
本発明に係る核酸増幅装置では、上記ヒートブロックには穴が設けられており、上記変性手段は、上記核酸増幅容器に上記刺激を与えるとき、当該穴に当該核酸増幅容器の底を包含するように移動するものであることがより好ましい。
上記ヒートブロックの穴に、核酸増幅容器の底、即ち核酸増幅反応液が充填された部位を包含させることで、当該部位及びその周囲の狭い範囲にのみ集中的に変性反応のための温度を加温することができ、他の部位には上記加温手段でアニーリング反応及び伸長反応のための温度を連続的に加温し続けることができる。これにより、変性反応、アニーリング反応、伸長反応の各反応間の移行を極めて短時間に行なうことができる。
よって、より迅速に核酸増幅反応を行なうことが可能な核酸増幅装置を提供することができる。
本発明の他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分分かるであろう。また、本発明の利点は、添付図面を参照した次の説明によって明白になるであろう。
本発明の実施形態に係るPCR装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るPCR装置が備える本体の構成を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るPCR装置が備える本体がキャピラリチューブを搭載した様子を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るPCR装置が備える遠心機によって、キャピラリチューブの反応液貯留部に試料等を充填する様子を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るPCR装置が備えるシャッターが閉じた状態の本体を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るPCR装置によって、変性反応を行なっているときの本体を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るPCR装置が備える蛍光検出部によってPCRの結果を確認している状態の本体を模式的に示す斜視図である。 融解曲線解析の原理を模式的に示す図である。 本発明の他の実施形態に係るPCR装置の本体の構造を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施例における電気泳動の結果を示す図である。
符号の説明
1 PCR装置(核酸増幅装置)
2、30 本体
3 ケース(筐体)
4 シャッター(開閉手段)
5 遠心機(遠心手段)
5a バケット支持板
5b バケット
5c シャフト
5d 遠心駆動部
6 熱源(加温手段)
7 ヒートブロック(変性手段)
8 加熱抽出装置(核酸抽出手段)
9 分注アーム(分注手段)
10 蛍光検出部(光検出手段)
20 キャピラリチューブ(核酸増幅容器)
直線(回転軸)
、L 直線(軸)
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図8に基づいて説明すると以下の通りである。
(PCR装置1の構成)
まず、図1を用いて本実施の形態に係るPCR装置1(核酸増幅装置)の概略構成について説明する。図1は本実施の形態に係るPCR装置1の概略構成を示す斜視図である。なお、図1には、PCR装置1に搭載されたキャピラリチューブ20(核酸増幅容器)、ピペットチップ22、抽出用チューブ23をも示している。また、図1では、ケース3内の説明をするため、ケース3の輪郭を二点鎖線にて示し、その内部を示している。
図1に示すようにPCR装置1は、本体2、加熱抽出装置8(核酸抽出手段)、分注アーム9(分注手段)、ピペットチップホルダー21を備えている。
本体2は、ケース3(筐体)、シャッター4(開閉手段)、遠心機5(遠心手段)、熱源(加熱手段)6、ヒートブロック7(変性手段)を備えている。キャピラリチューブ20は遠心機5に搭載することができる。
なお、本体2の構成については、後で図2に基づいて詳述する。
加熱抽出装置8は、生体試料から核酸増幅反応に供する核酸を抽出する核酸抽出手段として機能するものである。加熱抽出装置8は、本体2の脇に備えられている。加熱抽出装置8には穴が複数設けられており、当該穴に抽出用チューブ23を搭載することができる。さらに、搭載した抽出用チューブ23を加熱することができる。つまり、抽出用チューブ23に生体試料を入れて、加熱抽出装置8によって当該生体試料から核酸の抽出に必要な加熱処理を行なうことで、核酸の増幅を行なう。PCR装置1には、種々の生体試料を用いることができ、その種類は特に限定されるものではない。例えば、各種臓器等の組織、血液、喀淡等を挙げることができる。また、臓器等を構成する細胞の核内の核酸を核酸増幅反応の対象にしてもよく、生態試料に含まれる微生物、ウィルス等が有する核酸を対象にしてもよい。
なお、抽出用チューブ23としては、核酸の抽出等に用いる従来公知の反応容器を用いればよく、加熱抽出装置8によって加熱される温度に耐性を有するものである限り、特に限定されるものではない。
ピペットチップホルダー21は、ピペットチップ22を予め搭載しておくための容器である。ピペットチップホルダー21としては、従来公知のピペットチップを搭載するホルダーを用いればよい。ピペットチップホルダー21は、加熱抽出装置8の脇に備えられている。図1は、複数のピペットチップ22が搭載されている状態を示している。
分注アーム9は、加熱抽出装置8によって抽出された核酸を、後述する遠心機5に搭載されたキャピラリチューブ20に注入する機能を有するものである。分注アーム9は、ピペットチップホルダー21、加熱抽出装置8、本体2上を自在に動くことができるように設けられている。また、作業者が予め設定する条件に応じて、自動的にピペットチップ22を着脱することができる。つまり、分注アーム9は、ピペットチップホルダー21上に移動して、ピペットチップ22を先端に搭載して、その後、加熱抽出装置8上に移動して抽出用チューブ23から、生体試料から抽出された核酸を吸入して、キャピラリチューブ20上に移動して、キャピラリチューブ20に注入する。
なお、本実施の形態では、加熱抽出装置8、分注アーム9、ピペットチップホルダー21を備える場合について説明したが、本発明に係る核酸増幅装置はこれに限定されるものではない。例えば、核酸の抽出及び分注アームによる試料等の運搬は、人手によって行なってもよく、別途、既存のオートサンプラー等を外付けしてもよい。ピペットチップホルダーも、既存のものを用いればよい。
本実施の形態1では、核酸増幅容器としてキャピラリチューブ20を用いる。キャピラリチューブ20は、細い管状の部位と、当該部位の断面積より広い面積を有するように形成された注入口とで形成されている。注入口に注入されたPCR反応液は、後述のように遠心機5によって上記細い管状の部位の底に移動され、充填される。なお、以下、キャピラリチューブ20等の核酸増幅容器の、核酸増幅反応液が充填される部位を、説明の簡単のため「反応液貯留部」と表記する。
キャピラリチューブ20の材質としては、特に限定されるものではない。例えば、本発明者らは後述の実施例において、ロシュ・ダイアグノスティクス社製、品番11909339001のキャピラリを用いた。当該キャピラリはガラス製である。このように、キャピラリチューブ20としては、従来公知の市販品を用いればよい。
また、後述のように、遠心機5のキャピラリチューブ20を搭載する部位には貫通孔が形成されている。そのため、当該貫通孔にキャピラリチューブ20を差し込むと、PCR反応液貯留部は、注入口の反対側に貫通する。そのため、反応液貯留部はケース3内に曝露される。これにより、ケース3内の気体で直接加温されるため、より短時間で温度調整をすることができる。
キャピラリチューブ20には蓋をする必要が無い。注入口付近は外気の温度に近い温度で保たれているため、反応液貯留部からPCR反応液が蒸散しても、上昇するに伴い液化して、再度反応液貯留部に戻るからである。ただし、厳密な滅菌状態を維持するとき、増幅後の核酸の飛散を厳密に阻止する必要があるとき等では、必要に応じて蓋をすればよい。
なお、本発明に係る核酸増幅装置に用いる核酸増幅容器は、キャピラリチューブ20のように細い管状構造を有するものに限定されるものではない。従来公知のマイクロチューブ等を用いてもよい。本実施の形態に係るPCR装置1でもマイクロチューブを用いてもよい。このとき、例えば、バケット5bを着脱式にして、マイクロチューブに対応させた径の貫通孔又は凹部を設けたバケットに付け替えて、マイクロチューブを用いればよい。
(本体2の構成)
次に、本体2の構成について図2を用いてより詳細に説明する。図2は、本体2の構成を模式的に示す斜視図であり、搭載するキャピラリチューブ20をも示している。また、図2では、ケース3内の説明をするため、ケース3の輪郭を二点鎖線にて示し、その内部を示している。
図2に示すように、本体2は、上述のようにケース3、シャッター4、遠心機5、熱源6、ヒートブロック7を備え、さらに、蛍光検出部10、ファン11a、11bを備えている。
ケース3は本発明に係る核酸増幅装置が備える筐体として機能するものである。ケース3には開口部が設けられている。開口部の開口面はシャッター4により開閉される。
シャッター4は、ケース3の開口部の開閉手段として機能するものである。シャッター4は、ケース3の開口部が設けられている面上に、2枚設けられている。2枚のシャッター4は、それぞれ矢印A方向にスライドすることができる。これにより、上記開口面を開閉することができる。シャッター4をスライドさせるための構造は特に限定されるものではなく、例えば、上記開口部の縁に、シャッター4がスライドする方向を規定するための溝を設けて、シャッター4に、当該溝に嵌合する突起部等を設ければよい。
2枚のシャッター4には、それぞれ、キャピラリチューブ20をケース3内に導くための凹部4’及び後述する遠心機5のシャフト5cに接触しないための凹部4”が設けられている。つまり、バケット5bの貫通孔に差し込まれたキャピラリチューブ20の反応液貯留部は、この凹部4’を介してケース3内に配置される。
シャッター4が閉じたとき、シャッター4の表面は、後述する遠心機5のバケット支持板5a及びバケット5bの下面に密着する。これにより、シャッター4は遠心機5の位置を固定することができる。
このように、ケース3の開口部の開閉手段であるシャッター4によって、遠心機5の位置固定、ひいてはキャピラリチューブ20の位置固定をも行なうことができる。これにより、部品数が削減できて、構造を簡易にすることができる。キャピラリチューブ20の位置が固定されることで、キャピラリチューブ20の位置のズレ等を補正する必要が少ないため、後述するヒートブロック7及び蛍光検出部10の移動制御を簡易に行なうことができる。
シャッター4とバケット支持板5a及びバケット5bとが重畳する領域が接することで、シャッター4による遠心機5の位置固定を行なう構成は、構造が簡易であるため好ましい。このような構成は、例えば、シャッター4とバケット支持板5a及びバケット5bとの対向する面をそれぞれ平坦にすることで実現できる。
また、シャッター4が閉じたとき、凹部4’及び4”はそれぞれ閉じられた状態となる。つまり、凹部4’の上には、バケット5bの貫通孔及びキャピラリチューブ20が位置しているため、これによって閉じられる。凹部4”の上にはバケット支持板5aが位置しているため、これによって閉じられる。従って、シャッター4が閉じることで、ケース3の開口部は完全に塞がれ、ケース3を密閉することができる。ケース3が密閉されることで、ケース3内から熱が漏れることを防ぐことができ、加温による温度調整の効率がさらに向上する。
本発明に係る核酸増幅装置が備える開閉手段の構成としては、シャッター4のようにスライド式の板状部材を2枚設けるという構成が、部品の構造が簡易で、省スペースであるという観点から好ましい。なお、開閉手段の構成は、これに限定されるものではなく、例えば一枚の蓋を、遠心手段上にかぶせて、密着させることで、遠心手段の位置を固定する等の構成にしてもよい。シャッター4の材料としては、ウレタンを用いている。ウレタンを用いれば、筐体内を好適に密閉状態にすることができる。また、ウレタンは、断熱性にも優れているため、ケース3内からの熱のロスを、さらに好適に防ぐことができる。本発明に係る核酸増幅装置が備える開閉手段の材料は、特に限定されるものではないが、開口手段は、外気に触れる面積の広い部材でもあるので、ウレタン等のように断熱性の高い材料で形成することが好ましく、中でもウレタンが好ましい。
遠心機5はキャピラリチューブ20を遠心するものである。遠心機5は、バケット支持板5a、バケット5b、シャフト5c、遠心駆動部5dを備えている。バケット支持板5aはバケット5bを支持するものであり、板状構造を有している。バケット5bは、キャピラリチューブ20を搭載する部位として機能するものであり、バケット支持板5aに2個設けられている。2個のバケット5bは、それぞれ板状構造を有している。つまり、バケット支持板5a及びバケット5bによって1枚の基板が形成されているといえる。そして、シャッター4が閉じたとき、上述のようにバケット支持板5a及びバケット5bの下面がシャッター4の表面に密着することで、バケット支持板5a及びバケット5bの位置が固定され、ひいては遠心機5の位置が固定される。
また、バケット支持板5a及びバケット5bは、ケース3の開口面より上に位置している。これにより、分注アーム9がPCR反応液の分注を行なうとき、分注アーム9の移動の制御が容易となる。つまり、例えばケース3の中にバケット5bが設けられた場合、分注アーム9に搭載したピペットチップ22も、ケース3内まで移動させる必要があるが、これに比べて、ケース3の上にバケット5bを設けることで、移動を容易に制御することができる。つまり、このように遠心手段の、核酸増幅容器を搭載する部位を、筐体の開口面及び開閉手段より上に設けることで、分注作業が容易となり、自動化もしやすくなる。
バケット5bにはキャピラリチューブ20を搭載するための貫通孔が設けられている。貫通孔とすることで、キャピラリチューブ20内の反応液貯留部が、ケース3内に配置される。そのため、直接キャピラリチューブ20を加温することができるため好ましい。
また、バケット5bはシリコンで形成されている。そのため、上記貫通孔にキャピラリチューブ20を搭載したとき、キャピラリチューブ20の側面は上記貫通孔の側面に密着する。これは、上述のようにケース3の機密性の確保にも資するものであり、さらに、キャピラリチューブ20の位置ずれを防止して、位置を正確に固定することができる。ただし、バケット5bの材料はこれに限定されるものではない。
上記貫通孔は、それぞれのバケット5b上に複数設けられており、直線状に並んでいる。つまり、キャピラリチューブ20を、それぞれのバケット5b上に直線状に並べて搭載することができる。これによりシャッター4に設けられた凹部4’の構造を、直線状に適応した形にすればよく、構造を簡略化することができる。
なお、本発明に係る核酸増幅装置において、核酸増幅容器を搭載する部位の形状は貫通孔に限定されるものではない。例えば、貫通していない穴を遠心手段上に設けて、穴の底が筐体内に位置する構成にしてもよい。このとき、開閉手段の形状は、当該遠心手段の外縁に嵌合する形状等にして、当該穴の設けられた部材の底面は筐体内に配置されるようにすれば、当該穴に搭載された核酸増幅装置は、筐体内の加温手段によって好適に加温される。
また、貫通孔の配置は直線状に限定されるものではなく、例えば円状に並べてもよい。このとき開閉手段は、上述のように上からかぶせて遠心手段を固定するような構成にすればよい。
バケット5bは、従来公知のスイング式遠心機のように、遠心機5の遠心による回転に伴ってスイングする。スイングによる動作の詳細については後述する。
シャフト5cはバケット支持板5a及びバケット5bを回転させる駆動軸として機能するものである。シャフト5cはバケット支持板5aの中央を貫通して設けられている。また、シャフト5cはケース3内を通り、ケース3の底面を貫通して、ケース3の下で遠心駆動部5dに連結している。つまり、遠心駆動部5dはケース3の下に設けられている。
遠心駆動部5dは、シャフト5cを回転させるものである。シャフト5cの回転によってバケット支持板5a及びバケット5bが回転する。バケット5bは、この回転に伴い、搭載したキャピラリチューブ20の注入口から反応液貯留部に向けて遠心力が働くように回動することができる。なお、遠心機5の具体的な動作については後で詳述する。
熱源6は、本発明に係る核酸増幅装置が備える加温手段として機能するものである。熱源6は、ケース3内の気体を加温することで、キャピラリチューブ20を、PCR反応液の伸長反応及びアニーリング反応に必要な温度に加温するものである。当該加温は、PCR反応が行なわれている間、連続して行なわれる。これにより、キャピラリチューブ20の反応液貯留部は、間欠的に変性反応に必要な温度となるように加温される。なお、熱源としては、コイル式ヒーター、ハロゲンランプ等を用いるとよい。
また、熱源6は、後述する融解曲線解析を行なうときの温度調整にも用いることができる。つまり、当該温度調整に必要な範囲の温度に、ケース3内の気体を加温することができる。ここで、本明細書において「融解曲線解析」とは、二本鎖核酸が一本鎖核酸に解離するための温度等の刺激が、その塩基配列によって異なることを利用して、核酸増幅反応の結果を確認するための解析方法を意図している。例えば、上述のIFP法又はQ−Probe法を利用することで、当該刺激の強度と発せられる蛍光との関係によって、二本鎖核酸の増幅の有無及び当該二本鎖核酸の配列の種類を解析することができる。なお、融解曲線解析のための上記刺激とは、温度に限定されるものではなく、例えば、超音波及び電磁波等の二本鎖核酸を一本鎖核酸に解離させることが可能な刺激を意図する。
ヒートブロック7は、本発明に係る核酸増幅装置が備える変性手段として機能するものである。ヒートブロック7は、ケース3内に二個設けられており、それぞれ複数の穴7aが形成されている。ヒートブロック7の温度は、二本鎖核酸を解離させるために必要な温度に調整することができる。つまり、PCR装置1では、ヒートブロック7による加温によって変性反応を行なう。
それぞれのヒートブロック7には、突起した筒状構造を複数有している。この筒状構造の数及び配置は、遠心機5に設けられた貫通孔の数及び配置に対応している。上述の穴7aは、当該筒状構造の先端に形成されている。そして、穴7aにはキャピラリチューブ20の反応液貯留部を包含することができる。
また、ヒートブロック7は、2本の移動軸によって移動することができる。これにより、キャピラリチューブ20の反応液貯留部を当該穴に包含したり、当該穴から出したりすることができる。ヒートブロック7の動作の詳細については後述する。
なお、本発明に係る核酸増幅装置が備える変性手段の構成は、上述のヒートブロック7のような構成に限定されるものではなく、核酸増幅容器の反応液貯留部に変性反応の反応温度を加温することができる構成であればよい。単に直方体形状のヒートブロックに、核酸増幅容器を入れることができる穴を設けるだけでもよい。
本実施の形態では、ヒートブロック7によって、二本鎖核酸を解離させる刺激として熱を与える、即ち、PCR反応液を変性反応に必要な温度に加温することで、変性反応を行なう場合について説明するが、これに限定されるものではない。つまり、本発明に係る核酸増幅装置が備える変性手段は、二本鎖核酸を解離させる刺激を発するものであればよい。上記刺激としては、熱の他に、電磁波、超音波等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。また、電磁波の中でもマイクロ波が好ましい。マイクロ波は高エネルギーであるため、短時間で変性反応を行なうことができる。また、マイクロ波は液体の温度を上げやすいため、核酸増幅反応液の温度を上昇させることもできる。よって、核酸増幅反応液のみが変性反応温度になるような刺激を効率よく与えることができる。なお、上記刺激として電磁波を採用する場合、電磁波を発する装置としては、例えばマグネトロン等を用いてもよい。上記刺激として超音波を採用する場合、超音波を発する装置としては、例えば超音波発振器等を用いてもよい。
蛍光検出部10は、本発明に係る核酸増幅装置が備える光検出手段として機能するものである。蛍光検出部10はケース3内に2個設けられている。蛍光検出部10には、溝が形成されており、また、矢印A方向に移動することができる。蛍光検出部10が移動すると、キャピラリチューブ20は当該溝を通る。そして、キャピラリチューブ20が当該溝内にあるときに、蛍光検出部10は、キャピラリチューブ20内から発せられる光を検出する。検出した光によるPCRの結果の解析方法については後に詳述する。
ファン11a及び11bは、ケース3内の気体を撹拌するためのものである。これにより熱源6によるケース3内の気体の加温効率が上昇して、PCR装置1の起動時におけるウォームアップ時間を短くすることができる。また、ヒートブロック7の周囲の気体が、ヒートブロック7の温度の影響を受けることを抑制することができる。ファン11a及び11bとしては従来公知のファンを用いればよく特に限定されるものではない。
ファン11aはケース3内の底に設けられている。また、ファン11bはケース3内の側壁に設けられている。ファン11aはファン駆動部11a’によって回転する。つまり、ファン駆動部11a’が回転することで、上述のシャフト5cを囲うように形成されている歯車が回転する。この歯車とファン11aとは連結しており、当該歯車の回転によりファン11aも回転する。同様に、ファン11bも図示しないファン駆動部によって回転する。ファン11a及び11bによって、ケース3内の気体が撹拌される。
(本体2の動作)
図1及び3〜7を用いて、本体2の動作について説明する。なお、本実施の形態1では、伸長反応及びアニーリング反応を同一の温度で行なう、シャトルPCRを行なう場合について説明するが、これに限定されるものではない。また、PCRの結果の確認を、融解曲線解析によって行なう場合について説明するが、これに限定されるものではない。
まず、図1を用いて加熱抽出装置8によって、生体試料から核酸抽出を行なう工程について説明する。
図1に示すように加熱抽出装置8に抽出用チューブ23を搭載して、抽出用チューブ23に生体試料を入れて、これを加熱することで核酸を抽出する。
抽出用チューブ23には、PCRに供する生体試料を入れる。生体試料は、予め人手によって入れてもよく、別途分注アームを設けるか、分注アーム9を用いて運んでもよい。
抽出用チューブ23は必要な数だけ予め搭載しておけばよい。抽出用チューブ23を過熱する温度は、生体試料の種類に応じて適宜設定すればよい。例えば、ピロリ菌の検査であれば、感染している可能性のある組織を懸濁させた溶液を入れて、85〜100℃で2〜5分間加熱すれば核酸を抽出することができる。また、生体試料の種類によっては、他の処理装置及び/又は試薬を併用してもよい。例えば、増幅対象の核酸が結核菌由来のものである場合は、アルカリ処理を行なうための試薬及び容器を併用すればよく、ウィルス由来のものである場合は、カラム(ビーズ)法を行なうための機器を併用すればよい。
核酸の抽出が終わった後は、分注アーム9を用いて、後述する遠心機5上に搭載されたキャピラリチューブ20に核酸を注入する。
次に、図3を用いて、本体2がキャピラリチューブ20を搭載する様子について説明する。図3は本体2がキャピラリチューブ20を搭載した様子を模式的に示す斜視図であり、図3の(a)はキャピラリチューブ20を搭載した本体2の外観を示し、図3の(b)は、説明の簡単のために、ケース3の底面以外の面及びシャッター4を取り除いた状態の本体2を示す。
図3の(a)に示すように、キャピラリチューブ20を搭載するとき、シャッター4は開いた状態である。これは、後に行なう遠心に速やかに移行するためであるが、これに限定されるものではない。つまり、キャピラリチューブ20の搭載をも分注アーム9等を用いて自動的に行なう場合等、バケット5b上の貫通孔の位置を固定しておくことが好ましいときには、シャッター4を閉じて遠心機5を固定しておけばよい。また、シャッター4を閉じて遠心機5を固定すれば、キャピラリチューブ20の位置が固定されるので、後述の、抽出した核酸の分注等をより正確に行なうことができる。
図3の(b)に示すように、キャピラリチューブ20を搭載するとき、ヒートブロック7及び蛍光検出部10は、後に行なうキャピラリチューブ20の遠心で、キャピラリチューブ20に当たらない位置に配置されている。ヒートブロック7は矢印B及びB方向に移動することができ、蛍光検出部10は矢印B方向に移動することができる。矢印Bは、バケット5b上に設けられた貫通孔の列によって形成される線分に平行な方向であり、矢印Bは鉛直方向を示している。
キャピラリチューブ20を搭載した後は、上述した分注アーム9等を用いて、キャピラリチューブ20の注入口に、抽出した核酸を注入する。また併せて核酸増幅反応に必要な試薬を注入する。当該試薬の注入は、分注アーム9を用いてもよく、別途人手で行なってもよい。
次に図4を用いて、キャピラリチューブ20の注入口に注入された試料等を、キャピラリチューブ20の反応液貯留部に充填する動作について説明する。図4は、遠心機5によって、キャピラリチューブ20の反応液貯留に試料等を充填する様子を模式的に示す斜視図であり、図4の(a)は遠心機5による遠心が行なわれているときの本体2の外観を示し、図4の(b)は、説明の簡単のために、ケース3の底面以外の面及びシャッター4を取り除いた状態における、遠心機5による遠心が行なわれているときの本体2を示す。
図4の(a)に示すように、シャフト5cが、直線Lを回転軸として矢印C方向に回転駆動する。これによりバケット支持板5a及びバケット5bは矢印C方向に回転する。
さらに、当該回転に伴って、2個のバケット5bはそれぞれ、直線L及びLを軸として回動する。直線L及びLは当該回転により描かれる円の接線に平行な直線である。換言すれば、2個のバケット5bは、従来公知のスイング式遠心機のように、それぞれスイングする。これにより、キャピラリチューブ20の注入口は反応液貯留部より回転軸に近い位置で回転することになる。そして、当該注入口から当該反応液貯留部の向きに遠心力が生じて、当該注入口に注入されていた試料等は当該反応液貯留部に充填される。
本発明に係る核酸増幅装置が備える遠心機は、スイング式に限定されるものではなく、核酸増幅容器を遠心できるものであればよい。より具体的には、回転軸が、核酸増幅容器の反応液貯留部より注入口に近い位置となるものであればよい。好ましくは、回転により描かれる円の接線に平行な直線を軸に回動するものがよい。当該回動は遠心機5のように、回転に伴って自然にスイングによって実現してもよく、回動させる角度を手動で設定できるものであってもよい。回動させることにより、核酸増幅反応中等の遠心を行なわないときには核酸増幅容器を鉛直に搭載しておくことができる。核酸増幅容器が鉛直方向に搭載されていると、例えばキャピラリチューブ20を用いる場合、注入口が上を向くので核酸増幅反応液の注入が容易となる。
また、直線Lはケース3の開口部の開口面と垂直に交わる直線である。このように筐体の開口部の開口面を通る直線を回転軸とするように遠心手段を設けることで、開口面に近い箇所で遠心を行なうことができる。つまり、筐体内の加温手段に近い位置で遠心するため、遠心後の核酸増幅反応に移行しやすい。ひいては核酸増幅装置の構造を簡易にすることができる。
この回転のとき、図4の(b)に示すように、キャピラリチューブ20がヒートブロック7等の部品に衝突することはない。これは上述のように、これらの部品が予めキャピラリチューブ20に衝突しない位置に移動しているためである。
なお、反応液貯留部にPCR反応液を充填するために行なう遠心の回転数は特に限定されるものではないが、例えば1000〜5000rpmで行なえばよい。後述する実施例において、本発明者らは3000rpmで行なっている。
遠心が終わると、回動していたバケット5bは元の位置に戻り、キャピラリチューブ20は長さ方向が鉛直方向に並行になる位置で止まる。
次に図5を用いて、シャッター4でケース3の開口部を閉じる動作について説明する。図5は、シャッター4が閉じた状態の本体2を模式的に示す斜視図であり、図5の(a)はシャッター4が閉じた状態の本体2の外観を示し、図5の(b)は、説明の簡単のために、ケース3の底面以外の面及びシャッター4を取り除いた状態における、シャッター4が閉じているときの本体2を示す。
図5の(a)に示すように、2枚のシャッター4は、それぞれ矢印A方向及びA方向にスライドする。これより、ケース3に設けられた開口部は閉じられ、ケース3は密閉される。また、シャッター4が上記開口部を閉じたとき、バケット支持板5a及びバケット5bの下面とシャッター4の表面とが重畳する領域で、これらは密着する。これにより、遠心機5の位置は固定される。
図5の(b)に示すように、シャッター4が閉じた状態では、キャピラリチューブ20は長さ方向が鉛直方向になるように固定されている。また、バケット5bの材質はシリコンであるため、キャピラリチューブ20はバケット5bに対する位置がずれにくく、バケット5bはシャッター4によって位置が固定されている。そのため、キャピラリチューブ20の位置は固定される。
次に、図6を用いて、変性反応を行なっているときの本体2の動作について説明する。図6は、変性反応を行なっているときの本体2を模式的に示す斜視図であり、図6の(a)は変性反応を行なっているときの本体2の外観を示し、図6の(b)は、説明の簡単のために、ケース3の底面以外の面及びシャッター4を取り除いた状態における、変性反応を行なっているときの本体2を示す。
図6の(a)に示すように、変性反応が行なわれているときの本体2の外観と、上述したシャッター4が閉じたときの本体2の外観とは同じである。つまり、キャピラリチューブ20の位置は固定されているので、後述のようにヒートブロック7で、正確にキャピラリチューブ20を加温することができる。
ヒートブロック7は、図6の(b)に示す矢印B方向及びB方向の2本の移動軸で移動することができる。そして、変性反応が行なわれているときには、図6の(b)に示すように、ヒートブロック7は、上述のPCR反応液の充填等を行なっていたときに位置していた場所から、矢印B及びB方向に移動して、ヒートブロック7に設けられた穴7aでキャピラリチューブ20の底を包含する。換言すれば、穴7aでキャピラリチューブ20の反応液貯留部が包含される。これにより、反応液貯留部は変性反応に必要な温度に加温される。
PCRを開始すると同時に、熱源6は熱を発し始める。これにより、ケース3内の気体を、後述する伸長反応及びアニーリング反応の反応温度に加温している。これにより、ケース3内のキャピラリチューブ20の、穴7aに包含されていない部位は、伸長反応及びアニーリング反応の反応温度に加温される。なお、ファン11a及び11bは、熱源6が熱を発し始めると同時に回転を始め、ケース3内の気体は撹拌される。
次に、図5を用いて、伸長反応及びアニーリング反応を行なっているときの本体2の動作について説明する。図5は上述のように、シャッター4を閉じたときの本体2の様子を示すものであるが、伸長反応及びアニーリング反応を行なっているときの、本体2内における各部品の位置は、図5に示す本体2と同様であるため、図5を援用して説明する。
伸長反応及びアニーリング反応時には、キャピラリチューブ20は、ヒートブロック7に包含されていない。そして、熱源6が、ケース3内の気体を伸長反応及びアニーリング反応の反応温度に加温するための熱を発し続け、ファン11a及び11bは回転してケース3内の気体を撹拌している。これによりキャピラリチューブ20は周囲の気体によって、伸長反応及びアニーリング反応の反応温度に加温される。
伸長反応及びアニーリング反応が終わった後は、上述の変性反応を再度行ない、これを使用者が予め設定したサイクル数繰り返すことでPCRは完了する。
以上に説明したように、PCR装置1では、熱源6及びヒートブロック7によって、キャピラリチューブ20を連続的に伸長反応及びアニーリング反応に必要な温度に加温しながら、反応液貯留部を間欠的に、変性反応に必要な温度に加温することができる。これにより、キャピラリチューブ20全体を、それぞれの反応温度に加温する工程を繰り返すことに比べて、極めて短時間でPCR反応液の温度調整を行なうことができる。
ここで、本実施の形態のように、核酸増幅容器の少なくとも一部を常に伸長反応及びアニーリング反応に必要な温度に連続して加温しながら、反応液貯留部を、間欠的に変性反応に必要な温度に加温することで、温度調整時間が短縮できる理由について説明する。説明の便宜のため、伸長反応及びアニーリング反応を65℃で行ない、変性反応を95℃で行なう場合について説明する。
従来、核酸増幅容器を95℃に加温して、次に65℃に加温するという作業を、単に繰り返すという方法が広く行なわれてきた。しかし、この方法では、核酸増幅反応液を95℃に加温したとき、反応液貯留部のみならず、その周囲に95℃に加温される領域が存在する。そして、核酸増幅反応液を65℃に冷却する場合、反応液貯留部の周囲の95℃に加温された領域の影響によって、核酸増幅反応液が65℃に冷却されるまでに時間を要する。
一方、PCR装置1のように、核酸増幅容器を連続的に65℃に加温して、反応液貯留部のみを間欠的に95℃に加温する場合では、当該部位を95℃に加温しても、他の部位は65℃に加温されている。そのため、当該部位周囲の95℃に加温される領域は少なくなる。つまり、反応液貯留部及びその近傍の狭い領域のみが95℃に加温されて、他の領域は65℃に加温された状態が維持される。そのため、反応液貯留部を65℃に冷却するとき、その周囲の95℃に加温された領域の影響を少なくすることができ、短時間で反応液貯留部を65℃にすることができる。
このように、核酸増幅容器を連続して65℃に加温しながら、反応液貯留部を、間欠的に95℃に加温することで、単に核酸増幅容器全体を95℃に加温する工程及び65℃に加温する工程を繰り返すだけに比べて温度調整時間が短縮できる。
また、反応液貯留部を65℃に加温した後、さらに95℃に加温する場合、PCR装置1のように、予め95℃に調整されたヒートブロック7で間欠的に包含することで、反応液貯留部を迅速に95℃に加温することができる。つまり、予め95℃に調整されたヒートブロック7で、反応液貯留部を直接加温することで、反応液貯留部を局所的に加温して、PCR反応液を迅速に95℃にすることができる。
本発明者らは、迅速かつ効率的にPCR反応を行なうための装置を提供すべく、検討を行なったところ、PCRによる核酸増幅効率には、各反応間における温度変化も増幅効率に影響を及ぼすことを見出した。より詳細には、伸長反応及びアニーリング反応の後、変性反応を行なうまでの温度変化は急激な変化でもよく、変性反応後、伸長反応及びアニーリング反応を行なうまでの温度変化は、前者の温度変化に比べて緩やかに行なうほうが好ましいことを見出した。本発明では、変性手段で間欠的に変性反応のための刺激を付加することで急激に変性反応を生じさせて、次に、変性手段による当該刺激の付加を解除することで、急激な変性反応の発生に比べて比較的緩やかに、加温手段による温度調整を行なうことで、伸長反応及びアニーリング反応を行なっている。つまり、連続的に伸長反応及びアニーリング反応のための加温をして、間欠的に変性反応の刺激を与えるという構成を有する核酸増幅装置は、この新たな知見により得た好ましい条件を実現するために、本発明者らが鋭意検討した結果想到した全く新しい核酸増幅装置である。
また、PCR装置1では、ケース3内の気体及びヒートブロック7という二つの熱媒を用いている。二つの熱媒を交互に用いることで、上述の連続的なアニーリング反応及び伸長反応の反応温度への加温及び間欠的な変性反応を行なうという条件を実現することができる。さらに、熱媒自体の温度調整に要する時間を短縮することができるため、PCR反応に要する時間をさらに短縮することができるという効果も得ることができる。従来当業者は、わざわざ熱媒を二つ用いるということには想到しなかった。これは、一般に古くから用いられているヒートブロックのみのPCR装置及び気体のみを熱媒とする特許文献1及び2の装置のように、熱媒は一種類で充分と考えられていたためであるといえる。しかし、本発明者らは、あえて熱媒を二種類用いることで、上記条件を実現することができることにも想到した。この熱媒を二種類用いるという構成も、当業者といえども容易に想到し得ない構成である。
次に図7を用いて、蛍光検出部10によってPCRの結果を確認する動作について説明する。図7は、蛍光検出部10によってPCRの結果を確認している状態の本体2を模式的に示す斜視図であり、図7の(a)は蛍光検出部10によってPCRの結果を確認している状態の本体2の外観を示し、図7の(b)は、説明の簡単のために、ケース3の底面以外の面及びシャッター4を取り除いた状態における、蛍光検出部10によってPCRの結果を確認している状態の本体2を示す。
図7の(a)に示すように、PCRの結果を確認しているときの本体2の概観と、上述したシャッター4が閉じたときの本体2の概観との変化は無い。つまり、キャピラリチューブ20の位置は固定されているので、後述のように蛍光検出部10で、正確にキャピラリチューブ20内の蛍光を検出してPCRの結果の確認を行なうことができる。
図7の(b)に示すように、蛍光検出部10でキャピラリチューブ20内の蛍光を検出する前に、ヒートブロック7は矢印B方向であって、蛍光検出部10とは逆の方向に移動する。これにより蛍光検出部10は、蛍光検出部10に設けられた溝の中に、キャピラリチューブ20内の反応液溜部が入るように、矢印B方向に移動することができる。そして、個々のキャピラリチューブ20内の反応液溜部から発せられる蛍光を順次検出する。
また、上述のように本実施の形態1では、融解曲線解析によりPCRの結果を確認するものである。融解曲線解析では、PCR後にキャピラリチューブ20の温度を、所定の温度から徐々に上げることが必要となる。PCR装置1では、この温度の上昇を、熱源6によって行なう。例えば、PCRの終了後、蛍光検出部10が個々のキャピラリチューブ20からの光検出を行なうごとに、熱源6はケース3内の気体の温度を、所定の温度から徐々に高い温度に上昇させる。または、熱源6によって、ケース3内の気体の温度を、所定の温度から徐々に高い温度に上昇させながら、蛍光検出部10を、矢印B方向に繰り返し往復運動させて光検出を行なっても、すべてのキャピラリチューブ20について同時に融解曲線解析を行なうこともできる。
このように、本実施の形態では、熱源6により融解曲線解析のための温度調整を行なったが、これに限定されるものではない。つまり、本発明に係る核酸増幅装置では変性手段を用いても融解曲線解析を行なうことができる。例えば、ヒートブロック7によって融解曲線解析のための温度調整を行なってもよい。このとき、ヒートブロック7に、キャピラリチューブ20内のPCR反応液から発せられる蛍光を透過するための窓部を設けて、当該窓部を介して蛍光検出部10によって当該蛍光を検出すればよい。当該窓部の構成は特に限定されるものではなく、透明性の高い材質で設けてもよく、貫通孔を設けるだけでもよい。
また、本発明に係る核酸増幅装置では融解曲線解析を応用したPCRの結果の確認を行なうことも可能である。例えば、変性手段が超音波及び電磁波等を発するものである場合、出力を徐々に上げて、出力と二本鎖DNAの解離との関係を検出することで、PCRの結果を確認することができる。
ここで、図8を用いて、融解曲線解析の原理について説明する。図8は融解曲線解析の原理を模式的に示す図であり、図8の(a)はIFP法による融解曲線解析の原理を示し、図8の(b)はQ−Probe法による融解曲線解析の原理を示し、図8の(c)は融解曲線解析でPCRの結果を確認した結果の一例を示す。
図8の(a)に示すようにIFP法では、特許文献5に記載のように、二本鎖DNAに結合する化合物と、当該化合物が当該二本鎖DNAに結合したときに、発する蛍光が変化する反応分子で標識したプライマーとを用いる。つまり、二本鎖DNAが一本鎖DNAに解離した状態の当該反応分子が発する蛍光を検出してもよく、解離していない状態の当該反応分子が発する蛍光を検出してもよい。
図8の(b)に示すようにQ−Probe法では、特許文献6に記載のように、3’末端にC(シトシン)を有し、C(シトシン)とG(グアニン)とが水素結合したときに蛍光が消える蛍光色素で標識したプライマーを用いてPCRを行なう。PCR後に温度を徐々に上昇させて、二本鎖DNAが一本鎖DNAに解離すると、消光していた蛍光色素が再度発光する。この蛍光を検出すれば、PCRの確認を行なうことができる。
図8の(c)に示すように融解曲線解析の結果は、温度及び蛍光強度の変化量によってアウトプットすればよい。図8の(c)は縦軸を蛍光強度の変化量としている。これは、上述のIFP法では、二本鎖DNAが一本鎖DNAに解離した状態で、上記反応分子が発する蛍光を検出した場合を示す。また、Q−Probe法での蛍光色素の発光を検出した場合でもある。IFP法で、解離していない状態の上記反応分子が発する蛍光を検出する場合は、解離した状態で発する蛍光を検出した場合と比べて、蛍光強度の変化量の正負が反対になる。つまり、得られる表の形は、図8の(c)に示す表の各線の形を、温度軸を対象に反転させた形となる。換言すれば、解離していない状態の上記反応分子が発する蛍光を検出して、縦軸を、蛍光強度の変化量のマイナスとすれば、図8の(c)に示す表の各線の形と同じになる。
また、図8の(c)では3通りの試料に対してPCRを行なった結果を示している。つまり、形成される二本鎖DNAの配列によって解離する温度が異なるため、各線のピークを示す温度が異なることが試料中に含まれたDNAの塩基配列が異なっていたことを示している。実線及び破線の結果を示した試料には、それぞれ異なる塩基配列を有する標的核酸が、1種類ずつ含まれていたことを示す。一点鎖線の結果を示した試料には、実線及び破線の結果を示した試料に含まれていた標的核酸が共に含まれていたことを示す。
このように融解曲線解析を行なうことでPCRによる増幅及び試料中に含まれていた標的核酸の塩基配列の種類等を判別することができる。そして、上述のいずれの解析もPCR装置1を用いれば、熱源6による温度調整及び蛍光検出部10による蛍光の検出によって好適に行なうことができる。使用者がPCR装置1を用いて融解曲線解析を行なう場合は、蛍光検出部10により得られた蛍光に基づいて融解曲線解析を行なうためのソフトウェアをインストールしたコンピューター等の解析手段を用いればよい。
以上にPCR装置1の動作について説明した。各動作における遠心機5の駆動、ヒートブロック7及び蛍光検出部10の移動は、従来公知のコンピューター等の制御手段をPCR装置1に内蔵させる等して制御すればよい。PCR装置1では、遠心機5によってキャピラリチューブ20の位置が固定されるため、キャピラリチューブ20の位置ズレを補正する必要性が少なく、特にヒートブロック7及び蛍光検出部10の移動の制御を簡易に行なうことができる。
〔実施の形態2〕
本発明の実施の他の形態について図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1にかかる構成要素と同様の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。本実施の形態では、主に、上記実施の形態1との相違点について説明するものとする。図9は、本実施の形態に係るPCR装置の本体30の構造を模式的に示す斜視図であり、図9の(a)は本体30の外観を示し、図9の(b)は、説明の簡単のために、ケース3の底面以外の面及びシャッター4を取り除いた状態における、本体30を示す。
本体30と、上述した本体2との相違は、ヒートブロック7を備えていない点である。つまり、本体30では、PCR反応液に対する、変性反応、伸長反応及びアニーリング反応のそれぞれの反応温度への温度調整を熱源6のみで行なう。
具体的には、まず図9の(a)に示すようにバケット5b上にキャピラリチューブ20を搭載する。次に、上記実施の形態1と同様に、キャピラリチューブ20に試料等を注入した後、遠心駆動部5dによってシャフト5cを回転させることで、キャピラリチューブ20の遠心を行なって、反応液貯留部に試料等を充填する。次に、シャッター4を閉じて遠心機5を固定する。
次に、熱源6によるケース3内の気体の加温を開始することで、PCRを開始する。図9の(b)に示すファン11a及び11bも、熱源6による加温の開始と同時に回転を始めて、ケース3内の気体を撹拌する。熱源6が、ケース3内の気体を、変性反応、アニーリング反応、伸長反応のそれぞれの反応温度に繰り返して加温することで、キャピラリチューブ20内の試料は、それぞれの反応温度に繰り返し調整されてPCRが進行する。
PCRの終了後は、上記実施の形態1と同様に、蛍光検出部10によって、キャピラリチューブ20内から発せられる蛍光を検出することで、PCRの結果を確認することができる。
〔実施例:CytoChrome P450 2C19(CYP2C19)遺伝子の検出〕
(CYP2C19遺伝子を検出するプライマーの合成)
まず、正鎖プライマー及び逆鎖プライマーを合成した。正鎖プライマーの塩基配列を配列番号1に、逆鎖プライマーの塩基配列を配列番号2に示す。
正鎖プライマー及び逆鎖プライマーは、DNAシンセサイザー(パーキンエルマー社製;392型)を用いて、添付のマニュアルに従い、ホスホアミダイト法により合成した。合成した正鎖プライマー及び逆鎖プライマーを、アンモニア水に溶解して、55℃の環境下で、一晩静置することによって、脱保護した。その後、OPCカラム(パーキンエルマー社製)にて精製した。なお、プライマーの合成は、DNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、シグマアルドリッチジャパン(株)、オペロンバイオテクノロジー(株)等)に依頼してもよい。
(PCRによるCYP2C19遺伝子の解析)
PCRに供するサンプルとして、ヒト白血球からフェノール・クロロフォルム法によって得たDNA溶液(以下、「サンプル」と表記する)を用いた。
次に、PCR反応液を調製した。PCR反応液は、全量を25μlとして、正鎖プライマー 20pmol、逆鎖プライマー 20pmol、KOD plus DNAポリメラーゼ(東洋紡社製、品番KOD−201)、KOD plus DNAポリメラーゼに添付の×10緩衝液 2.5μl、2mM dNTP 2.5μl、25mM MgCl 2μl、5mg/ml ウシ血清アルブミン(BSA) 0.5μl及びサンプルを、溶解しているDNAが100ng、10ng又は1ngとなるように混合し、残部は水とした。
PCRには上記実施の形態1で説明したPCR装置1を用いた。また、核酸増幅反応容器としてキャピラリ(ロシュ・ダイアグノスティクス社製、品番11909339001)を用いた。
熱源6はケース3内の気体を65℃に加温するように設定して、ヒートブロック7は100℃に調整した。
まず、キャピラリの注入口に、調製したPCR反応液のうち10μlを注入した。次に、3000rpmで5秒間遠心することで、PCR反応液をキャピラリの底に移動させた。
PCRの条件は、ヒートブロック7をキャピラリに5秒間接触させて、次にヒートブロック7をキャピラリから離して10秒間維持する動作を35サイクル行なった。
また、比較のため、従来品であるチューブ型PCR装置(ABI社製、GeneAmp9700型)を用いてPCRを行なった。当該PCRには調製したPCR反応液のうち10μlを供した。PCRの温度条件は、94℃で2分間静置した後、94℃で30秒、65℃で30秒を35サイクル行なった。
(アガロースゲル電気泳動による核酸増幅の確認)
PCR反応後、それぞれのPCR装置からPCR反応液5μlを回収した。次に、回収したPCR反応液を、3%アガロースゲルによる電気泳動に供した。電気泳動では、100Vの電圧を印加して、60分間行なった。その結果を図10に示す。図10は本実施例における電気泳動の結果を示す図であり、レーン1〜4はPCR装置1を用いたPCRの結果を示し、レーン5〜8はチューブ型PCR装置によるPCRの結果を示す。また、レーン1及び5は、調製したPCR反応液25μl当たりのDNAの溶解量が100ngとしたPCR反応液を用いた結果を示し、レーン2及び6は、調製したPCR反応液25μl当たりのDNAの溶解量が10ngとしたPCR反応液を用いた結果を示し、レーン3及び7は、調製したPCR反応液25μl当たりのDNAの溶解量が1ngとしたPCR反応液を用いた結果を示す。また、レーン4及び8は比較のためサンプルの代わりに水を混合したPCR反応液を用いた結果を示す。
図10に示すように、PCR装置1は従来品のチューブ型PCR装置より、高感度にCYP2C19遺伝子を検出することができた。これは、本発明の一実施形態であるPCR装置1を用いれば約10分間という短時間で、従来品による75分間を要するPCR以上の感度でPCRを行なうことができたことを示している。
本発明は上述した各実施形態及び実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
本発明に係る核酸増幅装置は、以上のように、核酸増幅容器を加温するための加温手段と、開口部が設けられた筐体と上記開口部を開閉するための開閉手段と核酸増幅容器を搭載して遠心する遠心手段とを備え、上記加温手段は上記筐体内に配置されており、上記遠心手段は、上記開口部の開口面を通る直線を回転軸として、上記核酸増幅容器を回転させるものであり、上記開閉手段は、上記開口部を閉じたとき、上記遠心手段の位置を固定するものである。よって、核酸増幅反応液の充填から核酸増幅反応までの作業の自動化に適した構造で、かつ簡易な構造の核酸増幅装置を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る核酸増幅装置は、以上のように、核酸増幅容器を加温するための加温手段及び当該核酸増幅容器に対して二本鎖核酸を解離させる刺激を与えるための変性手段を備え、上記加温手段は、上記核酸増幅容器を連続して加温するものであり、上記変性手段は、上記加温手段による加温が行なわれている状態で、さらに、間欠的に上記刺激を与えるものである。よって、温度調整の効率を向上して核酸増幅反応に要する時間を短縮した核酸増幅反応装置を提供することができるという効果を奏する。
発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する請求の範囲内において、いろいろと変更して実施することができるものである。
本発明に係る核酸増幅装置及び核酸増幅容器は、極めて迅速かつ簡便に核酸増幅反応を行なうことができる。遺伝子解析等の遺伝子をモニタリングすることにより行われるバイオアッセイなど、PCR等の核酸増幅反応を用いるあらゆる産業で利用可能である。

Claims (15)

  1. 核酸増幅容器を加温するための加温手段と、
    開口部が設けられた筐体と、
    上記開口部を開閉するための開閉手段と、
    核酸増幅容器を搭載して遠心する遠心手段とを備え、
    上記加温手段は上記筐体内に配置されており、
    上記遠心手段は、上記開口部の開口面を通る直線を回転軸として、上記核酸増幅容器を回転させるものであり、
    上記開閉手段は、上記開口部を閉じたとき、上記遠心手段の位置を固定するものであり、
    上記遠心手段は基板を備え、上記核酸増幅容器を搭載する部位が上記基板上に設けられており、
    上記開閉手段は、上記開口部を閉じたとき、上記基板に重畳する領域で上記基板に接するように形成されており、
    上記基板は上記開口部の開口面より上に位置しており、
    上記開閉手段が閉じることで筐体を密閉することを特徴とする核酸増幅装置。
  2. 上記遠心手段における核酸増幅容器を搭載する部位は、
    上記遠心手段の回転により描かれる円の接線方向に平行な直線を軸に、回動するものであることを特徴とする請求項1に記載の核酸増幅装置。
  3. 上記遠心手段は、複数の核酸増幅容器を、直線状に並べて搭載可能に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の核酸増幅装置。
  4. 上記遠心手段には、上記核酸増幅容器を搭載するための貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の核酸増幅装置。
  5. 上記開閉手段は、上記開口部上をスライドして開閉するものであることを特徴とする請求項1に記載の核酸増幅装置。
  6. 上記加温手段は、上記筐体内の気体を加温するものであることを特徴とする請求項1に記載の核酸増幅装置。
  7. 生体試料から核酸増幅反応に供する核酸を抽出する核酸抽出手段と、
    上記核酸抽出手段によって抽出された核酸を、上記遠心手段に搭載された核酸増幅容器に注入するための分注手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の核酸増幅装置。
  8. 核酸増幅容器に対して二本鎖核酸を解離させる刺激を与えるための変性手段をさらに備え、
    上記加温手段は、上記核酸増幅容器を連続して加温するものであり、
    上記変性手段は、上記加温手段による加温が行なわれている状態で、さらに、間欠的に上記刺激を与えるものであることを特徴とする請求項1に記載の核酸増幅装置。
  9. 上記変性手段は、熱、電磁波及び超音波からなる群から少なくとも一つの刺激を発するものであることを特徴とする請求項に記載の核酸増幅装置。
  10. 上記変性手段は、マイクロ波を発するものであることを特徴とする請求項に記載の核酸増幅装置。
  11. 上記変性手段は、上記核酸増幅容器を加温するヒートブロックであることを特徴とする請求項に記載の核酸増幅装置。
  12. 上記ヒートブロックには穴が設けられており、上記変性手段は、上記核酸増幅容器に上記刺激を与えるとき、当該穴に当該核酸増幅容器の底を包含するように移動するものであることを特徴とする請求項11に記載の核酸増幅装置。
  13. さらに、上記核酸増幅容器内から発せられる光を検出するための光検出手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の核酸増幅装置。
  14. さらに、上記核酸増幅容器内から発せられる光を検出するための光検出手段を備え、
    上記変性手段は、上記光検出手段によって検出する光で融解曲線解析をするために、上記刺激の強度の調整を行なうものであることを特徴とする請求項に記載の核酸増幅装置。
  15. 上記加温手段は、上記光検出手段によって検出する光で、融解曲線解析をするための温度調整を行なうものであることを特徴とする請求項13に記載の核酸増幅装置。
JP2008528285A 2007-02-22 2008-02-19 核酸増幅装置 Active JP5381100B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008528285A JP5381100B2 (ja) 2007-02-22 2008-02-19 核酸増幅装置

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007042643 2007-02-22
JP2007042643 2007-02-22
JP2008528285A JP5381100B2 (ja) 2007-02-22 2008-02-19 核酸増幅装置
PCT/JP2008/052758 WO2008102772A1 (ja) 2007-02-22 2008-02-19 核酸増幅装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2008102772A1 JPWO2008102772A1 (ja) 2010-05-27
JP5381100B2 true JP5381100B2 (ja) 2014-01-08

Family

ID=39710049

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008528285A Active JP5381100B2 (ja) 2007-02-22 2008-02-19 核酸増幅装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5381100B2 (ja)
WO (1) WO2008102772A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018139788A1 (ko) * 2017-01-25 2018-08-02 주식회사 유진셀 고속 핵산증폭 장치 및 핵산증폭 반응의 온도조절 방법
KR20180087892A (ko) * 2017-01-25 2018-08-03 주식회사 유진셀 고속 핵산증폭 장치

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
MX2012012172A (es) * 2010-04-20 2013-01-18 Corbett Res Pty Ltd Metodo y aparato de control de temperatura.
US20130199298A1 (en) * 2012-02-03 2013-08-08 Microsonic Systems Inc. Apparatus for automation of fluid sample processing using ultrasonic waves
EP2687294A1 (en) * 2012-07-18 2014-01-22 Qiagen Instruments AG Rotor for a thermal cycler and thermal cycler
CN109266547A (zh) * 2018-11-27 2019-01-25 嘉兴领宇科技有限公司 核酸提取装置
CN116348586A (zh) * 2020-10-26 2023-06-27 株式会社岛津制作所 容器的开盖装置、分析装置、容器的闭盖装置及试剂盒
CN112221545B (zh) * 2020-12-10 2021-03-16 天津德祥生物技术有限公司 多通道微流控加样装置及其应用
CN113684120A (zh) * 2021-08-20 2021-11-23 圣湘生物科技股份有限公司 核酸检测设备及核酸检测方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6436051U (ja) * 1987-08-28 1989-03-06
JP2000511435A (ja) * 1996-06-04 2000-09-05 ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファウンデーション 生物学的プロセスを実行し且つモニタリングするためのシステムと方法
WO2003000428A1 (en) * 2001-06-21 2003-01-03 Alphahelix Ab Thermocycling device and rotor means therefor
JP2005516588A (ja) * 2001-09-15 2005-06-09 アーラム バイオシステムズ インコーポレイテッド 熱対流を利用した核酸配列増幅方法及び装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60241884A (ja) * 1984-05-15 1985-11-30 Tokyo Daigaku 自動サイクリング反応装置およびこれを用いる自動分析装置
US5455175A (en) * 1990-06-04 1995-10-03 University Of Utah Research Foundation Rapid thermal cycling device
AUPO652997A0 (en) * 1997-04-30 1997-05-29 Kindconi Pty Limited Temperature cycling device and method
CN1125687C (zh) * 1999-03-25 2003-10-29 阿尔法赫里克斯有限公司 用于化学或生物化学反应的涉及调温和均匀化的方法及设备
JP2004033146A (ja) * 2002-07-05 2004-02-05 Terametsukusu Kk 遺伝子増幅反応モニター
JP4755588B2 (ja) * 2004-05-27 2011-08-24 ユニバーサル・バイオ・リサーチ株式会社 反応容器、反応測定装置、および液回転処理装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6436051U (ja) * 1987-08-28 1989-03-06
JP2000511435A (ja) * 1996-06-04 2000-09-05 ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファウンデーション 生物学的プロセスを実行し且つモニタリングするためのシステムと方法
JP2000512138A (ja) * 1996-06-04 2000-09-19 ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファウンデーション Dna増幅を蛍光でモニタリングするためのシステムと方法
WO2003000428A1 (en) * 2001-06-21 2003-01-03 Alphahelix Ab Thermocycling device and rotor means therefor
JP2005516588A (ja) * 2001-09-15 2005-06-09 アーラム バイオシステムズ インコーポレイテッド 熱対流を利用した核酸配列増幅方法及び装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018139788A1 (ko) * 2017-01-25 2018-08-02 주식회사 유진셀 고속 핵산증폭 장치 및 핵산증폭 반응의 온도조절 방법
KR20180087892A (ko) * 2017-01-25 2018-08-03 주식회사 유진셀 고속 핵산증폭 장치
KR102081480B1 (ko) 2017-01-25 2020-04-24 주식회사 유진셀 고속 핵산증폭 장치
US11173491B2 (en) 2017-01-25 2021-11-16 U-gene & Cell Co. Apparatus for high-speed nucleic acid amplification and method for temperature control of nucleic acid amplification reaction

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2008102772A1 (ja) 2010-05-27
WO2008102772A1 (ja) 2008-08-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5381100B2 (ja) 核酸増幅装置
CN105004596B (zh) 用于整合的样品制备、反应和检测的器械和方法
US20080057544A1 (en) System for rapid nucleic acid amplification and detection
JP5638806B2 (ja) ポリメラーゼ連鎖反応試験のためのランダムアクセスシステムおよび方法
CN212894763U (zh) 用于核酸提取和检测的装置和仪器
CN104023834B (zh) 用于集成的样品制备、反应和检测的设备与方法
US7625746B2 (en) Method of denaturing and fragmenting DNA or RNA using ultrasound
JP4205947B2 (ja) 試料処理装置及び方法
US20080206751A1 (en) Method For Carrying Out A Multi-Step Reaction, Breakable Container For Storing Reagents And Method For Transferring Solid Reagent Using An Electrostatically Charged Wand
JP2021505204A (ja) ポリメラーゼ連鎖反応システム
JP5593205B2 (ja) 核酸分析装置
CN102220237B (zh) 生物芯片、反应装置以及反应方法
JP5258835B2 (ja) ポリヌクレオチドの検出及び定量装置
JP2007535323A (ja) サンプル調製コントロールのための方法およびデバイス
JP2004504828A (ja) 標的核酸配列の熱依存性連鎖増幅のための装置
JP2011147411A (ja) 核酸増幅方法および核酸増幅装置、ならびに核酸増幅用チップ
JP5141039B2 (ja) 核酸増幅装置及び核酸増幅方法
EP3447117B1 (en) Nucleic acid analysis device and nucleic acid analysis method
EP3954458A1 (en) Polymerase chain reaction system
EP4029929A1 (en) Instrument and method for extracting and detecting nucleic acids
US20100227384A1 (en) Portable Genomic Analyzer
JP5384903B2 (ja) 温度制御反応処理装置および温度制御反応処理方法
JP7468935B2 (ja) 携帯用rt-pcr装置およびこれを用いたrt-pcr測定方法
CN218026075U (zh) 一种两阶段核酸扩增用反应管以及装置
CA2252571A1 (en) Method and apparatus for thermal cycling and for automated sample preparation with thermal cycling

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121106

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130903

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130916

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5381100

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350