JP2008199733A - カーボンコンミテータおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カーボン基材とライザメタルとに樹脂材をモールド成形してボス部が形成されるコンミテータにおいて、モールド成型時の金型形状を改善して、コスト低下、樹脂漏れ防止ができるようにする。
【解決手段】コンミテータ1のライザ部4のセグメント接合片4aとなるライザメタル6の本体部6bに、カーボン基材5の外径よりも大径な平板リング状のシール部6eを形成し、該シール部6eの表裏面に、モールド成形用の上下の金型7、8の開口端面7b、8bが突き当てられる構成とし、金型開口端面7b、8bの形状がフラット形状となるように構成する。
【選択図】図4
【解決手段】コンミテータ1のライザ部4のセグメント接合片4aとなるライザメタル6の本体部6bに、カーボン基材5の外径よりも大径な平板リング状のシール部6eを形成し、該シール部6eの表裏面に、モールド成形用の上下の金型7、8の開口端面7b、8bが突き当てられる構成とし、金型開口端面7b、8bの形状がフラット形状となるように構成する。
【選択図】図4
Description
本発明は、インタンク式の燃料ポンプ等に用いられる電動モータのカーボンコンミテータおよびその製造方法の技術分野に属するものである。
一般に、車両に搭載されるインタンク式の燃料ポンプでは、燃料ポンプ自体が燃料に没入(浸漬)されるため、燃料ポンプを構成するハウジング内部がガソリン等の燃料の流路となっている。このようなものでは、燃料ポンプに組み込まれる各部材を、燃料に浸食される等して機能が損なわれることがないような耐燃料特性が優れた材料で形成する必要がある。一方、近年、環境保護の観点から、燃料としてアルコール(メタノール、エタノール等)を、あるいは、アルコールを含有する混合燃料を用いることが試みられている。ところが、従来のガソリン用の燃料ポンプに組み込まれる電動モータはコンミテータの整流子片が銅製であるため、このようなガソリン燃料用の燃料ポンプをそのままアルコールが含有された燃料のものに採用した場合、銅がアルコール成分により浸食されるという問題が既に指摘されている。そこで、コンミテータの整流子片を、カーボン基材で構成してアルコールの浸食がないようにしたセグメント部と、コイルがフュージングされる部位として例えば銅製の導電性端子部材で構成されたライザ部とを電気的に接続したものとして用いることが提唱されている。
このようなコンミテータは、セグメント部とライザ部との一部を、絶縁性の樹脂材で構成され、モータ軸に外嵌する貫通孔が開設されたボス部に埋設して構成されるが、この場合に、セグメントとライザメタルとを一体化したものに対し、樹脂材をモールド成形することが提唱されている。
特表2002−514038
ところで、モールド成形をする場合、セグメントとライザメタルとに金型を組み込んで、予め設定される空間(ボス部形成部位)のみに樹脂材が充填されるようにシールすることになるが、前記従来のものでは、ライザメタルに形成される複数に分割されたライザ片形成部位をシールして、ライザ片のみがモールドされる樹脂材から外部に露出するように形成されている。このため、モールド成形時に金型によりシールする部位は、ライザ片全体となり、金型に、ライザ片の表裏面および板厚面とをシールするための複雑な形状を形成しなければならず、金型がコスト高となってしまうという問題がある。
さらに、金型がライザメタルの板厚もシールするような形状とした場合では、寸法誤差や金型の摩耗等の原因でライザメタルと金型とのあいだに隙間が形成される可能性が高くなり、ライザメタルに樹脂材が漏れ出したような場合では、該漏れ出した樹脂材を切削する等の後処理等が必要となって、作業性に劣るという問題もあり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
さらに、金型がライザメタルの板厚もシールするような形状とした場合では、寸法誤差や金型の摩耗等の原因でライザメタルと金型とのあいだに隙間が形成される可能性が高くなり、ライザメタルに樹脂材が漏れ出したような場合では、該漏れ出した樹脂材を切削する等の後処理等が必要となって、作業性に劣るという問題もあり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、筒状に形成されたカーボン基材と、該カーボン基材に電気的な接続をする導電性部材で構成されたライザメタルとに、絶縁性樹脂材をモールド成形してボス部を形成してなるコンミテータであって、前記コンミテータは、ライザメタルにカーボン基材の外径よりも大径な平板リング状のシール部が形成され、該シール部の表裏面に、モールド成形用の金型がそれぞれ突き当てられてボス部がモールド成形されているカーボンコンミテータである。
請求項2の発明は、ボス部には、シール部の表裏面に成形される樹脂材を一体化する一体化部が形成されている請求項1に記載のカーボンコンミテータである。
請求項3の発明は、一体化部は、シール部の外径側に形成されている請求項2に記載のカーボンコンミテータである。
請求項4の発明は、一体化部は、シール部に表裏方向貫通状に形成された連通孔に形成されている請求項2または3に記載のカーボンコンミテータである。
請求項5の発明は、シール部は、金型に形成される凸部により金型が押圧状に組み込まれるように構成されている請求項1乃至4の何れか1項に記載のカーボンコンミテータである。
請求項6の発明は、筒状に形成されたカーボン基材と、該セグメントに電気的な接続をする導電性部材で構成されたライザメタルとに、絶縁性樹脂材をモールド成形してボス部を形成してなるコンミテータであって、前記コンミテータは、ライザメタルにカーボン基材の外径よりも大径な平板リング状のシール部を形成し、該シール部の表裏面に、モールド成形用の金型をそれぞれ突き当てて樹脂材をモールド成形してボス部を形成するようにしたカーボンコンミテータの製造方法である。
請求項2の発明は、ボス部には、シール部の表裏面に成形される樹脂材を一体化する一体化部が形成されている請求項1に記載のカーボンコンミテータである。
請求項3の発明は、一体化部は、シール部の外径側に形成されている請求項2に記載のカーボンコンミテータである。
請求項4の発明は、一体化部は、シール部に表裏方向貫通状に形成された連通孔に形成されている請求項2または3に記載のカーボンコンミテータである。
請求項5の発明は、シール部は、金型に形成される凸部により金型が押圧状に組み込まれるように構成されている請求項1乃至4の何れか1項に記載のカーボンコンミテータである。
請求項6の発明は、筒状に形成されたカーボン基材と、該セグメントに電気的な接続をする導電性部材で構成されたライザメタルとに、絶縁性樹脂材をモールド成形してボス部を形成してなるコンミテータであって、前記コンミテータは、ライザメタルにカーボン基材の外径よりも大径な平板リング状のシール部を形成し、該シール部の表裏面に、モールド成形用の金型をそれぞれ突き当てて樹脂材をモールド成形してボス部を形成するようにしたカーボンコンミテータの製造方法である。
請求項1、6の発明とすることにより、金型のシール部における形状を簡略化して、コスト低下に寄与できるうえ、樹脂漏れが防止されたモールド成形を長期に亘り実施することができる。
請求項2、3、4の発明とすることにより、シール部の表裏にモールドされた樹脂材が剥離するような不具合を防止することができる。
請求項5の発明とすることにより、モールド成形時の樹脂漏れを一層防止することができる。
請求項2、3、4の発明とすることにより、シール部の表裏にモールドされた樹脂材が剥離するような不具合を防止することができる。
請求項5の発明とすることにより、モールド成形時の樹脂漏れを一層防止することができる。
つぎに、本発明の第一の実施の形態について、図1〜4の図面に基づいて説明する。
図面において、1は図示しない電動モータのモータ軸に一体的に外嵌するコンミテータであって、該コンミテータ1は、絶縁性樹脂材で構成され、モータ軸が回り止め状に貫通する貫通孔2aが開設された円筒状のボス部2と、ボス部外周に配される複数(本実施の形態では六個)のセグメント部3と、これら各セグメント部3にそれぞれ電気的な接続がなされれ、ボス部2の外径方向に突出して配されるライザ部4とを備えて構成されている。そして、前記セグメント部3は、カーボン基材で構成され、前記ボス部2の軸芯方向(筒孔方向)に長く、ボス部2の外周から外部に露出する露出面3aを備えて構成されており、隣接するセグメント3とのあいだに絶縁溝Hが形成されている。また、ライザ部4は、導電性部材で構成され、前記各セグメント部3の長尺方向一端部にそれぞれ電気的に接続され、ボス部2に埋設されるセグメント接続片4aと、ボス部2から外部に露出し、巻線が懸け回されるライザ片4bとにより構成されるが、本実施の形態のライザ片4bは、ボス部2の外周に沿う第一折曲片4cと、該第一折曲片4cの先端から外径方向に突出状に折り返される第二折曲片4dとを備えて構成されている。さらに、セグメント部4は、セグメント接続片4aの内周部に、ボス部2に埋設される状態でボス部2との強固な一体化を実現するための係止爪片4eが複数(本実施の形態では六個)形成されているが、これらの基本構成は従来通りとなっている。
図面において、1は図示しない電動モータのモータ軸に一体的に外嵌するコンミテータであって、該コンミテータ1は、絶縁性樹脂材で構成され、モータ軸が回り止め状に貫通する貫通孔2aが開設された円筒状のボス部2と、ボス部外周に配される複数(本実施の形態では六個)のセグメント部3と、これら各セグメント部3にそれぞれ電気的な接続がなされれ、ボス部2の外径方向に突出して配されるライザ部4とを備えて構成されている。そして、前記セグメント部3は、カーボン基材で構成され、前記ボス部2の軸芯方向(筒孔方向)に長く、ボス部2の外周から外部に露出する露出面3aを備えて構成されており、隣接するセグメント3とのあいだに絶縁溝Hが形成されている。また、ライザ部4は、導電性部材で構成され、前記各セグメント部3の長尺方向一端部にそれぞれ電気的に接続され、ボス部2に埋設されるセグメント接続片4aと、ボス部2から外部に露出し、巻線が懸け回されるライザ片4bとにより構成されるが、本実施の形態のライザ片4bは、ボス部2の外周に沿う第一折曲片4cと、該第一折曲片4cの先端から外径方向に突出状に折り返される第二折曲片4dとを備えて構成されている。さらに、セグメント部4は、セグメント接続片4aの内周部に、ボス部2に埋設される状態でボス部2との強固な一体化を実現するための係止爪片4eが複数(本実施の形態では六個)形成されているが、これらの基本構成は従来通りとなっている。
そして、前記コンミテータ1はつぎのように形成されている。
まず、前記セグメント部3の構成部材となるカーボン基材5と、銅製板材(導電性部材)を打ち抜いて構成され、ライザ部4の構成部材となるライザメタル6とをそれぞれ用意するが、前記カーボン基材5は、予め設定される内径、外径に寸法設定された筒状体に形成されている。
一方、ライザメタル6は、図2(A)に示すように、矩形状の表裏面を備えた板材を打ち抜いて形成されており、カーボン基材5の外径よりは大径な外径を有し、カーボン基材5の内径と略同様の内径を備えた貫通孔6aが開設され、ライザ部4のセグメント接続片4aとなるリング状の本体部6bを備えて構成されている。さらに、ライザメタル6は、前記貫通孔6aの孔縁から係止爪片4eとなる係止爪片形成部6cが複数形成され、また、本体部6bの外周縁には、ボス部2をモールド成形後に折曲することでライザ片4bとなるライザ片形成部6dが周回り方向複数形成されている。
まず、前記セグメント部3の構成部材となるカーボン基材5と、銅製板材(導電性部材)を打ち抜いて構成され、ライザ部4の構成部材となるライザメタル6とをそれぞれ用意するが、前記カーボン基材5は、予め設定される内径、外径に寸法設定された筒状体に形成されている。
一方、ライザメタル6は、図2(A)に示すように、矩形状の表裏面を備えた板材を打ち抜いて形成されており、カーボン基材5の外径よりは大径な外径を有し、カーボン基材5の内径と略同様の内径を備えた貫通孔6aが開設され、ライザ部4のセグメント接続片4aとなるリング状の本体部6bを備えて構成されている。さらに、ライザメタル6は、前記貫通孔6aの孔縁から係止爪片4eとなる係止爪片形成部6cが複数形成され、また、本体部6bの外周縁には、ボス部2をモールド成形後に折曲することでライザ片4bとなるライザ片形成部6dが周回り方向複数形成されている。
そして、前記平板状のライザメタル6の一方の面(表面)上に、カーボン基材5の一方の筒端面(下端面)を、内径同士を位置合わせする状態で突き当てて一体化手段を実施し、図2(B)に示すように、カーボン基材5とライザメタル6とを電気的な接続がなされた状態で一体化するが、該一体化手段としては、半田付けによる接合等の適宜手段を用いることができる。このとき、カーボン基材5は、ライザメタル本体部6aの内径側半部に位置しており、本体部6aの外径側半部は、カーボン基材5よりも大径に形成されていることから外部に露出する状態となっている。そして、図2(B)に示すように、露出する部位における外径側部位が本発明のシール部6eとして設定され、該シール部6eの表裏面に、後述する上下金型7、8が突き当てられてシールがなされ、シール部6eの内側に樹脂材がモールドされるように設定されている。
つまり、前記カーボン基材5とライザメタル6とを一体化したものに対し、上下一対の金型7、8を組み込むが、各金型7、8は、互いに対向する端面から同様の内径寸法に設定された凹部7a、8aが凹設されており、各凹部7a、8aの開口端面7b、8bの内径側部位が、ライザメタル本体部6aに形成された平板状のシール部6eに突き当てられるように設定され、これによって、金型7、8の外部にライザ片形成部6dが外部に露出した状態で、シール部6eの内外がシールされるように設定されている。そして、これら凹部7a、8aの内側に樹脂材を上金型7側から充填(モールド成形)することにより、図4(A)に示すように、カーボン基材5とライザメタル6とがインサートされた状態でボス部2となる樹脂材部9が形成されるように設定されている。
尚、本実施の形態では、ライザメタル6のシール部6eの内径は、カーボン基材5の外径よりも大径に設定されているため、カーボン基材5と上金型凹部7aの内周面とのあいだに隙間が形成され、これによって、樹脂材部9は、カーボン基材5の外周面を覆うように成形されるように設定されている。
そして、上下の金型7、8を取り外すことにより、図4(B)に示すように、外観視で円柱状の樹脂材部9の一端側から、ライザメタル6のシール部6eとライザ片形成部6dとが外径方向に突出したインサートモールド成形体M1が形成されるように設定されている。尚、9aは下金型に形成された軸部8cにより形成されるボス穴であって、該ボス穴9aは、上端部の穴底を貫通状に切削加工することによりボス部2の貫通孔2aに相当するように設定されている。
尚、本実施の形態では、ライザメタル6のシール部6eの内径は、カーボン基材5の外径よりも大径に設定されているため、カーボン基材5と上金型凹部7aの内周面とのあいだに隙間が形成され、これによって、樹脂材部9は、カーボン基材5の外周面を覆うように成形されるように設定されている。
そして、上下の金型7、8を取り外すことにより、図4(B)に示すように、外観視で円柱状の樹脂材部9の一端側から、ライザメタル6のシール部6eとライザ片形成部6dとが外径方向に突出したインサートモールド成形体M1が形成されるように設定されている。尚、9aは下金型に形成された軸部8cにより形成されるボス穴であって、該ボス穴9aは、上端部の穴底を貫通状に切削加工することによりボス部2の貫通孔2aに相当するように設定されている。
前記モールド成形時において、前述したように、ライザメタル本体部6aの外径側にはリング板状のシール部6eが形成されていて、上下の金型7、8は、開口端面7b、8bをそれぞれシール部6eの表裏面に突き当てることで、内外をシールすることができるように設定されている。このため、金型7、8の開口端面7b、8bの形状をフラット形状にすることができ、金型にライザ片形成部の表裏面と板厚とをシールするもののように形状が複雑化することがなく、構成の簡略化が図れるように構成されている。
さらに、金型7、8は、ライザメタル6の板厚方向においてシールする構成であるため、ライザ片形成部6dの形状にバラツキがあったとしてもその影響を受けることがなく、そのうえ、金型7、8のライザメタル6との接触面積が開口端面7b、8bにおける面積のみになるので金型7、8の摩耗が低減されて、樹脂漏れが防止されるように構成されている。
さらに、金型7、8は、ライザメタル6の板厚方向においてシールする構成であるため、ライザ片形成部6dの形状にバラツキがあったとしてもその影響を受けることがなく、そのうえ、金型7、8のライザメタル6との接触面積が開口端面7b、8bにおける面積のみになるので金型7、8の摩耗が低減されて、樹脂漏れが防止されるように構成されている。
また、本実施の形態の上側の金型7は、シール部6eに突き当てられる部位に位置して凸部7cが形成されており、樹脂材をモールドするべく金型7、8同士をライザメタルシール部6eに突き当てて組み込んだときに、シール部6eが押し潰される(押圧される)ように設定されており、これによって、ライザメタル6の板厚にバラツキがあったとしても、該バラツキを解消することができるように設定されている。そして、このように構成されることにより、金型7、8によるシール性が向上し、金型7、8内に充填される樹脂材がライザ片形成部6d側に漏れ出すことが防止されるように設定されている。
そして、前記インサートモールド成形体Mに対し、樹脂材部9に形成されるボス穴9aを貫通状に切削加工して、貫通孔2aが形成されたボス部2に成形するとともに、樹脂材部9の外周面を、ライザ片形成部6dが突出する部位よりも上方部位において切削加工してカーボン基材5の外周面を外部に露出させるが、このようにすることにより、カーボン基材5の外周面の軸芯精度が高められるように設定されている。さらに、この切削により、カーボン基材5の下端部には樹脂材部9が残されていてカーボン基材5外周面の下端部に絶縁部2bが形成されるように設定されている。
また、インサートモールド成形体Mに対し、カーボン基材5とライザメタル本体部6aとに対し、軸芯方向に長く、かつ、切削深さが内径側の樹脂材部9に至る形状の溝9aを周回り方向六箇所に位置して切削加工することにより絶縁溝Hを形成し、これによって、互いに絶縁状態となる周回り方向複数のセグメント部3とライザ部4とが形成されるように設定されている。
このように構成されたものに対し、ライザメタル6の外径部を切断し、ライザ片形成部6dをそれぞれ分割して折曲することにより、第一、第二折曲片4c、4dで構成されるライザ片4bが形成され、これによって、インサートモールド成形体M1がコンミテータ1となるように設定されている。
また、インサートモールド成形体Mに対し、カーボン基材5とライザメタル本体部6aとに対し、軸芯方向に長く、かつ、切削深さが内径側の樹脂材部9に至る形状の溝9aを周回り方向六箇所に位置して切削加工することにより絶縁溝Hを形成し、これによって、互いに絶縁状態となる周回り方向複数のセグメント部3とライザ部4とが形成されるように設定されている。
このように構成されたものに対し、ライザメタル6の外径部を切断し、ライザ片形成部6dをそれぞれ分割して折曲することにより、第一、第二折曲片4c、4dで構成されるライザ片4bが形成され、これによって、インサートモールド成形体M1がコンミテータ1となるように設定されている。
叙述の如く構成された本形態において、カーボン基材5とライザメタル6とを用いて、セグメント部3とライザ部4とを備えたコンミテータ1を形成する場合に、コンミテータ1のライザメタル6に、セグメント接続片4aとなる本体部6bの外径側に位置して、カーボン基材5の外径よりも大径な平板リング状のシール部6eを形成したので、樹脂材をモールド成形する際に用いる金型7、8の開口端面7b、8bを、前記シール部6eに突き当ててシールすることにより、金型7、8の開口端面7b、8bの形状をフラットにすることができる。この結果、金型7、8形状の簡略化を図ることができて、コスト低下に寄与できる。さらに、金型7、8は、ライザメタル6のライザ片形成部6dの板厚方向をシールする必要がなくなるので、金型によりライザ片形成部6dの表裏面とともに板厚方向をシールする場合のように、ライザ片形成部6dの形状のバラツキに基づいて樹脂漏れするようなことをなくすことができ、しかも、ライザメタル6との接触面積を小さくできるので、金型7、8の摩耗に基づく樹脂漏れを低減でき、長期に亘り樹脂漏れのないモールド成形を行うことができる。
さらにこのものでは、上側の金型7の開口端面7bに凸部7cが形成され、金型7、8を組み込んだとき、凸部7cがシール部6eを押圧する状態で組み込まれてシールすることになり、ライザメタル6の板厚にバラツキがあってもこれを解消できて、樹脂漏れの一層の防止を図ることができる。
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないことは勿論であって、前記第一の実施の形態のものにおいて、樹脂材は、ライザメタルのシール部を基準としてモールドされる。そしてめ、シール部の内側であって、セグメント部とのあいだにモールドされた樹脂材部は、ライザメタルの板面の表裏を基準として分離した状態でモールドされるため、これら表裏の樹脂材部がそれぞれ剥離しやすくなることが考えられ、このようになると、切削加工時に支障が生じたり、最悪不良品となることが想定される。そこで、図5、6に示す第二の実施の形態、図7、8に示す第三の実施の形態のものでは、前記ライザメタルの表裏にモールドされる樹脂材部を連結する一体化部が形成され、これによって、樹脂材部の剥離防止を図るように構成されている。
尚、第二、第三の実施の形態を説明するにあたり、同様の部材を用いる場合は図面に同様の符号を付すことで、ここでの説明を省略する。
尚、第二、第三の実施の形態を説明するにあたり、同様の部材を用いる場合は図面に同様の符号を付すことで、ここでの説明を省略する。
前記第二の実施の形態のコンミテータ10は、ボス部2、セグメント部3、ライザ部4を備えて構成されることは前記第一の実施の形態と同様であり、セグメント部3をカーボン基材5により構成し、ライザ部4をライザメタル6により構成することも第一の実施の形態と同様である。
そして、このものでは、ボス部2の外周面に、隣接するライザ部4のライザ片4b同士のあいだに、それぞれ一体化部2cが一体形成されているが、該一体化部2cは、セグメント3を構成するカーボン基材5とライザ片4を構成するライザメタル6とを電気的な接続がなされた状態で一体化したものに対し、樹脂材をモールド成形してボス部2を形成する際に、ボス部2とともに一体形成されるように設定されている。
そして、このものでは、ボス部2の外周面に、隣接するライザ部4のライザ片4b同士のあいだに、それぞれ一体化部2cが一体形成されているが、該一体化部2cは、セグメント3を構成するカーボン基材5とライザ片4を構成するライザメタル6とを電気的な接続がなされた状態で一体化したものに対し、樹脂材をモールド成形してボス部2を形成する際に、ボス部2とともに一体形成されるように設定されている。
この場合に、上下の金型11、12の開口端面11a、12aには、ライザメタル6のリング板状のシール部6eのうち、ライザ片形成部6d対向部位については、前記第一の実施の形態の上下金型7、8と同様の形状であって、シール部6eに突き当てられるフラット面となっているが、隣接するライザ片形成部6d同士のあいだに対向する部位については、一体化部2cを形成するための凹部11b、12bが形成され、これら凹部11b、12bの溝底とシール部6eとのあいだに樹脂材モールド用の間隙が形成されるように設定されている。これによって、外観視で円柱状に形成されたインサートモールド成形体M2の樹脂材部13の外周面に、隣接するライザ片形成部6d同士のあいだに位置し、シール部6eの外径方向に突出し、シール部6eを樹脂材により埋設する状態の一体化部13a(2c)が周回り方向に複数形成され、シール部6e(内径側部位)を基準とする表裏方向の樹脂材、即ち、ボス部2を構成する絶縁部2bと、シール部6bの裏面側にモールドされるボス部2とを一体化して、絶縁部2bと、シール部6e裏面側のボス部2との剥離防止がなされるように設定されている。、
このように構成することにより、前記第一の実施の形態と同様に、金型11、12の形状の簡略化が図れてコスト低下に寄与できるうえ、樹脂漏れのないモールド成形を長期に亘って実現できる。
さらに、このものでは、シール部6e内径側部位の表裏面にモールドされる樹脂材を表裏方向(ボス部2の軸芯方向)に一体化する一体化部2c(13a)が形成されているので、シール部6e(内径側部位)を基準として表裏方向の樹脂材の一体化が強固になされ、これらが剥離するような不具合がない。尚、このものにおいて、絶縁溝Hは一体化部2c(13a)形成部位の周回り方向中央部に位置して形成されている。
このように構成することにより、前記第一の実施の形態と同様に、金型11、12の形状の簡略化が図れてコスト低下に寄与できるうえ、樹脂漏れのないモールド成形を長期に亘って実現できる。
さらに、このものでは、シール部6e内径側部位の表裏面にモールドされる樹脂材を表裏方向(ボス部2の軸芯方向)に一体化する一体化部2c(13a)が形成されているので、シール部6e(内径側部位)を基準として表裏方向の樹脂材の一体化が強固になされ、これらが剥離するような不具合がない。尚、このものにおいて、絶縁溝Hは一体化部2c(13a)形成部位の周回り方向中央部に位置して形成されている。
一方、第三の実施の形態のコンミテータ14は、ボス部2、セグメント部3、ライザ部4を備えて構成されることは前記第一の実施の形態と同様であり、セグメント部3をカーボン基材5により構成することも第一の実施の形態と同様であるが、本実施の形態のライザ部4は、前記第一、第二の実施の形態とは異なる形状のライザメタル15により構成されている。
前記ライザメタル15は、カーボン基材5の外径よりは大径な外径を有し、カーボン基材5の内径と略同様の内径を備えた貫通孔15aが開設され、ライザ部4のセグメント接続片4aとなるリング状の本体部15bを備えて構成されている。さらに、ライザメタル15は、前記貫通孔15aの孔縁から係止爪片4eとなる係止爪片形成部15cが複数形成され、また、本体部15bの外周縁には、ボス部2をモールド成形後に折曲することでライザ片4bとなるライザ片形成部15dが周回り方向複数形成されている。さらに、ライザメタル15は、本体部15の外径側部位であって、カーボン基材5接合部よりも外径側にシール部15eが形成されている。さらに、本実施の形態のライザメタル15は、シール部15eの内径側部位に位置して表裏方向を貫通する状態の連通孔15fが複数開設されており、図2に示すように、ライザメタル15にカーボン基材5を一体化した状態において、連通孔15fがカーボン基材5の外径側に露出するように設定されている。
前記ライザメタル15は、カーボン基材5の外径よりは大径な外径を有し、カーボン基材5の内径と略同様の内径を備えた貫通孔15aが開設され、ライザ部4のセグメント接続片4aとなるリング状の本体部15bを備えて構成されている。さらに、ライザメタル15は、前記貫通孔15aの孔縁から係止爪片4eとなる係止爪片形成部15cが複数形成され、また、本体部15bの外周縁には、ボス部2をモールド成形後に折曲することでライザ片4bとなるライザ片形成部15dが周回り方向複数形成されている。さらに、ライザメタル15は、本体部15の外径側部位であって、カーボン基材5接合部よりも外径側にシール部15eが形成されている。さらに、本実施の形態のライザメタル15は、シール部15eの内径側部位に位置して表裏方向を貫通する状態の連通孔15fが複数開設されており、図2に示すように、ライザメタル15にカーボン基材5を一体化した状態において、連通孔15fがカーボン基材5の外径側に露出するように設定されている。
そして、前記一体化したものに対し、前記第一の実施の形態に用いたものと同様の金型7、8を用いて樹脂材をモールドすることにより、カーボン基材5とライザメタル本体部15bとが樹脂材部16により覆われたインサートモールド成形体M3が形成されるが、該インサートモールド成形体M3において、シール部15eに形成される連通孔15fにモールドされる樹脂材が、ボス部2の構成部材としての一体化部2d(16a)となって、シール部15e(内径側部位)を基準として表裏方向にモールドされる樹脂材、即ち、カーボン基材5一端側に形成される絶縁部2bと、シール部15bの裏面側にモールドされるボス部2とを一体化するように設定されている。
このように構成することにより、前記第一、第二の実施の形態と同様に、金型7、8の形状の簡略化が図れてコスト低下に寄与できるうえ、樹脂漏れのないモールド成形を長期に亘って実現できる。
さらに、このものでは、シール部15eに、該シール部15eの表裏面にモールドされる樹脂材を一体化する一体化部2c(13a)が形成されているので、表裏方向の樹脂材の一体化が強固になされてこれらが剥離するような不具合を防止できる。
このように構成することにより、前記第一、第二の実施の形態と同様に、金型7、8の形状の簡略化が図れてコスト低下に寄与できるうえ、樹脂漏れのないモールド成形を長期に亘って実現できる。
さらに、このものでは、シール部15eに、該シール部15eの表裏面にモールドされる樹脂材を一体化する一体化部2c(13a)が形成されているので、表裏方向の樹脂材の一体化が強固になされてこれらが剥離するような不具合を防止できる。
1 コンミテータ
2 ボス部
3 セグメント
4 ライザ部
4a セグメント接続片
4b ライザ片
5 カーボン基材
6 ライザメタル
6b 本体部
6d ライザ片形成部
6e シール部
7 上金型
7a 凹部
7b 開口端面
8 下金型
2 ボス部
3 セグメント
4 ライザ部
4a セグメント接続片
4b ライザ片
5 カーボン基材
6 ライザメタル
6b 本体部
6d ライザ片形成部
6e シール部
7 上金型
7a 凹部
7b 開口端面
8 下金型
Claims (6)
- 筒状に形成されたカーボン基材と、該カーボン基材に電気的な接続をする導電性部材で構成されたライザメタルとに、絶縁性樹脂材をモールド成形してボス部を形成してなるコンミテータであって、前記コンミテータは、ライザメタルにカーボン基材の外径よりも大径な平板リング状のシール部が形成され、該シール部の表裏面に、モールド成形用の金型がそれぞれ突き当てられてボス部がモールド成形されているカーボンコンミテータ。
- ボス部には、シール部の表裏面に成形される樹脂材を一体化する一体化部が形成されている請求項1に記載のカーボンコンミテータ。
- 一体化部は、シール部の外径側に形成されている請求項2に記載のカーボンコンミテータ。
- 一体化部は、シール部に表裏方向貫通状に形成された連通孔に形成されている請求項2または3に記載のカーボンコンミテータ。
- シール部は、金型に形成される凸部により金型が押圧状に組み込まれるように構成されている請求項1乃至4の何れか1項に記載のカーボンコンミテータ。
- 筒状に形成されたカーボン基材と、該セグメントに電気的な接続をする導電性部材で構成されたライザメタルとに、絶縁性樹脂材をモールド成形してボス部を形成してなるコンミテータであって、前記コンミテータは、ライザメタルにカーボン基材の外径よりも大径な平板リング状のシール部を形成し、該シール部の表裏面に、モールド成形用の金型をそれぞれ突き当てて樹脂材をモールド成形してボス部を形成するようにしたカーボンコンミテータの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007030535A JP2008199733A (ja) | 2007-02-09 | 2007-02-09 | カーボンコンミテータおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63253634A (ja) * | 1987-04-09 | 1988-10-20 | Mitsubishi Electric Corp | 樹脂封止型半導体装置の製造方法 |
JPH0946978A (ja) * | 1995-07-28 | 1997-02-14 | Mitsuba Corp | コミテータおよびその製造方法 |
JP2005137096A (ja) * | 2003-10-29 | 2005-05-26 | Mitsuba Corp | コンミテータおよびその製造方法 |
-
2007
- 2007-02-09 JP JP2007030535A patent/JP2008199733A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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