JP2008196552A - 炭素繊維断熱材及びその製造方法 - Google Patents

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章 浦野
Satoshi Yamano
智 山野
Fumiyoshi Sakurai
文良 櫻井
Michio Takeda
道夫 武田
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Abstract

【課題】炭素繊維フェルトからなる炭素繊維断熱材の剛性を高めて施工性を高め、発塵性を低減して作業者の健康被害を抑制し、かつ、熱伝導率が低く放散熱量が少ないエネルギー効率の高い断熱材を提供する。
【解決手段】レーヨンの短繊維チョップをカードで開繊し、ニードルパンチで厚さ10mm、嵩密度0.09g/cm3の炭素繊維フェルトSを得た。100重量部の炭素繊維フェルトSに対して30重量部のフェノール樹脂を含浸させた樹脂含浸炭素繊維フェルトRを3層、炭素繊維フェルトSを5層、更に、樹脂含浸炭素繊維フェルトRを2層の合計10層を積層し、熱圧プレスによって150℃で1時間加圧し、厚さ50mmに成形した成形体を窒素雰囲気で1800℃で焼成して嵩密度0.12g/cm3、熱伝導率が0.242W/mKであり、自立性可能で施工性が良好であり、5μm以下の塵の発塵量が1400個/ft3の炭素繊維断熱材1を得た。
【選択図】図1

Description

本発明は、断熱性及び施工性に優れた炭素繊維断熱材及びその製法に関し、詳しくは、高温非酸化性雰囲気の加熱炉の断熱材として使用する炭素繊維断熱材に関する。
高温非酸化性雰囲気の加熱炉の断熱材として炭素繊維フェルト等を使用していたが、フェルトは剛性がほとんどないといってよく、自立性がないため、炉壁に固定する際はボルト、ピンなどの固定部材を必要とし、断熱材の施工に手間がかかっていた。また、施工中にフェルトから微細な炭素繊維が飛散するなど、作業員の健康被害の問題があった。
そのため、炭素繊維フェルトに樹脂を含浸または塗布して加圧して硬化させたものを焼成した炭素繊維断熱材が使用されている。
特開平3−248838号公報
炭素繊維フェルトに樹脂を含浸または塗布して加圧して硬化させたものを焼成した炭素繊維断熱材は、含浸または塗布させた樹脂バインダーが1800℃程度の温度で焼成すると炭化してしまい、剛性は得られるが、得られた炭素繊維断熱材の断熱性が低下するという問題がある。
本発明の目的は、炭素繊維フェルトの剛性を維持しつつ、断熱性能の低下を抑制すると共に、炭素繊維断熱材の施工中に微細な炭素繊維が飛散するなどの作業員に健康被害を与えないようするものである。
樹脂バインダーを含浸または塗布した炭素繊維フェルトと炭素繊維フェルトの積層体を圧縮成形して焼成することによって剛性と高い断熱性を有する炭素繊維断熱材を得たのである。
本発明の炭素繊維フェルトは、炭素繊維が、平均繊維径3〜25μm、平均繊維長10〜50mmであり、レーヨン系炭素繊維が好ましい。
炭素繊維フェルトの片側または両面に、樹脂バインダーを含浸または塗布した炭素繊維フェルトを積層し、熱圧プレスで加圧成形し、更に、成形体を加熱炉で1800℃で焼成する。
本発明の炭素繊維断熱材は、剛性を高くしながらも断熱性の低下を抑制したものであり、加熱炉などの壁体への施工性を容易にした。また、同じ厚さの従来の成形断熱材と比較して熱伝導率が低く放散熱量が少ないため加熱炉等に使用した場合、省エネルギーとなる。
更に、炭素繊維に樹脂バインダーを含浸または塗布したものであるので表面からの炭素繊維の飛散が少なく、作業者の健康被害を防止することができる。
炭素繊維は、ピッチ、メソフェイスピッチ、レーヨン、フェノール、セルロース、PANなどの出発原料から製造されたものである。これらの炭素繊維を単独でまたは二種以上組み合わせて使用することができる。
レーヨン、フェノール、PAN、セルロースを出発原料とする場合、焼成前にカードにより繊維を開繊させ、ニードルパンチにより繊維を交絡させフェルトを得た後、耐炎化処理をし、焼成、黒鉛化工程を経ることにより、炭素繊維からなるフェルトを得ることができる。
また、ピッチ、メソフェイスピッチ、PANを出発原料とする場合は、紡糸した繊維を耐炎化あるいは不融化処理し、焼成することにより、炭素繊維を得た後、20〜100mmの長さに切断しカードによる開繊およびニードルパンチによってフェルトを得ることができる。
樹脂バインダーとしては、熱硬化性樹脂のフェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、アミノ系樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、熱硬化性アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂などが使用でき、炭素繊維フェルトに含浸または塗布する。ピッチ、フラン樹脂(1−オキサ2,4−シクロペンタジエン)、コプナ樹脂などもバインダーとすることができる。
実施例及び比較例
レーヨン系、PAN系、及びピッチ系繊維のチョップをカードで開繊し、ニードルパンチで厚さ10mm、嵩密度0.08〜0.10g/cm3の炭素繊維フェルト(S)を得た。そして、これらの炭素繊維フェルト100重量部に対して30重量部のフェノール樹脂を含浸させて樹脂含浸炭素繊維フェルト(R)を得た。
炭素繊維フェルトSと樹脂含浸炭素繊維フェルトRを図2の表の層配列の欄に示す順番で接触面にフェノール樹脂を塗布して積層した。熱圧プレスによって150℃で1時間加圧して各フェルトの厚さを5mmにしてトータル厚さ50mmのフェルトの成形体を得た。この成形体を窒素雰囲気で1800℃で焼成して繊維を炭素化して積層型の炭素繊維断熱材1を得た。図1(1)に示すものは、中間部に炭素繊維フェルトSを5層積層し、その外側に樹脂含浸炭素繊維フェルトRをそれぞれ2層、3層積層して炭素繊維断熱材としたものである。図1(2)に示すものは、樹脂含浸炭素繊維フェルトRを5層積層し、更に炭素繊維フェルトSを5層積層したものである。
得られた、炭素繊維断熱材の熱特性、発生する発塵量の測定結果及び断熱材の自立性について測定した結果を図2に示す。
積層炭素繊維断熱材の特性の測定方法は以下である。
熱伝導率の測定方法は、ASTM−C117に準じ、高温測定温度を1500℃にして実施した。
施工性の評価は、厚さ50mm、高さ500mm、幅500mmの炭素繊維断熱材の厚さ50mm、幅500mmの面を水平な定盤上に立てて自立の可否で評価した。
発塵性の評価は、パーティクルカウンターを接続した容器に厚さ50mm、幅100mm、長さ100mmの炭素繊維断熱材を入れ、この容器に液体窒素を蒸発させて得られた窒素ガスを100ml/分の流量で5分間維持し、この間において球体換算で直径0.5〜5μmの塵の数を測定した。
本発明の炭素繊維断熱材は、平盤上で自立することができるので板体として取り扱うことができ、壁面などへの取り付けが容易であると共に、熱伝導率は、樹脂含浸炭素繊維フェルトのみのものより低く、断熱性の低下が抑制できた。また、粉塵の発生は、樹脂含浸炭素繊維のみの断熱材と同等であり、作業者の健康被害を防止することができる。
また、炭素繊維断熱材は、板状のみでなく、図1(3)に示すように円筒体に成形することも可能である。円筒形の断熱材を得るには、円筒形の芯型にフェルトを螺旋状に巻きつけて成形する。
炭素繊維フェルトを積層した炭素繊維断熱材の斜視図。 炭素繊維断熱材の層配列とその特性を示す表。
符号の説明
1 炭素繊維断熱材
R 樹脂含浸炭素繊維フェルト
S 炭素繊維フェルト

Claims (5)

  1. 樹脂バインダーを含浸または塗布した樹脂含浸炭素繊維フェルトと炭素繊維フェルトの積層体を圧縮成形して焼成した炭素繊維断熱材。
  2. 請求項1において、樹脂含浸炭素繊維フェルトの間に炭素繊維フェルトを挟み込んで積層した炭素繊維断熱材。
  3. 請求項1または2のいずれかにおいて、樹脂含浸炭素繊維フェルトの厚さが全体の厚さの20〜80%である炭素繊維断熱材。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、炭素繊維がレーヨン系炭素繊維である炭素繊維断熱材。
  5. 炭素繊維原料からなるフェルトに樹脂バインダーを含浸または塗布した樹脂含浸フェルトと炭素繊維原料からなるフェルトを積層して圧縮成形したものを焼成して繊維を炭素化する炭素繊維断熱材の製造方法。
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