JP6187753B2 - 断熱材前駆体用炭素繊維不織布の製造方法および断熱材の製造方法 - Google Patents

断熱材前駆体用炭素繊維不織布の製造方法および断熱材の製造方法 Download PDF

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本発明は、高温電気炉などに使用される断熱材の製造方法と、該断熱材の前駆体である炭素繊維不織布の製造方法に関する。
例えば、シリコン等の結晶成長炉;カーボン、セラミック、超硬金属等の焼結炉;銀、銅、SUS、ニッケルなどのろう付炉;アルミニウムなどの真空蒸着炉に代表される高温電気炉の断熱材には、金属を含まず高純度であり、熱的安定性の高い炭素材からなる断熱材が広く使用されている。
このような断熱材は、例えば炭素繊維フェルトに熱硬化性樹脂を含浸し、硬化させた後、焼成する方法などで製造される(例えば特許文献1参照。)。
炭素繊維フェルトとしては、炭素繊維をニードルパンチ処理で交絡させて得られたニードリングフェルトがある。ニードリングフェルトの製造に用いられる炭素繊維には、充分な交絡が可能なように、繊維長が長いこと(例えば10〜100mm。)が求められる。
特開2008−196552号公報
本発明は、繊維長が比較的短い炭素繊維からなる集合体を材料とした場合でも、断熱材前駆体に好適な炭素繊維不織布を製造できる方法の提供を目的とする。また、該炭素繊維不織布から断熱材を製造する方法の提供を目的とする。
本発明の断熱材前駆体用不織布の製造方法は、多数の炭素繊維からなる炭素繊維集合体を解繊する解繊工程と、解繊された炭素繊維に熱融着性繊維を混合し、得られた繊維混合物からエアレイドウェブを形成するウェブ形成工程と、前記エアレイドウェブを熱風処理して、該エアレイドウェブ中の前記炭素繊維を前記熱融着性繊維により結合させる繊維結合工程と、を有することを特徴とする。
前記炭素繊維集合体は、ピッチ系等方性炭素繊維の集合体であることが好ましい。
また、本発明の製造方法では、比較的短い炭素繊維からなる集合体を材料とすることができるため、ニードリングフェルトの端材を炭素繊維集合体として用いることができる。
前記繊維混合物中の前記熱融着性繊維の割合は、1〜30質量%であることが好ましい。
前記繊維混合物中の炭素繊維の繊維長は、1〜10mmであることが好ましい。
前記断熱材前駆体用炭素繊維不織布の坪量は、40〜3000g/mであることが好ましい。
本発明の断熱材の製造方法は、本発明の製造方法で製造された前記断熱材前駆体用炭素繊維不織布に熱硬化性樹脂を含浸させ、プリプレグを形成する含浸工程と、前記プリプレグを硬化し、硬化物とする硬化工程と、前記硬化物を焼成する焼成工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、繊維長が比較的短い炭素繊維からなる集合体を材料とした場合でも、断熱材前駆体に好適な炭素繊維不織布を製造できる。また、該炭素繊維不織布から断熱材を製造できる。
熱伝導率を測定する方法を説明する説明図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<断熱材前駆体用炭素繊維不織布の製造方法>
本発明の断熱材前駆体用炭素繊維不織布(以下、単に炭素繊維不織布という場合がある。)の製造方法は、多数の炭素繊維からなる炭素繊維集合体を解繊する解繊工程と、解繊された炭素繊維に熱融着性繊維を混合し、得られた繊維混合物から、エアレイド法によりエアレイドウェブを形成するウェブ形成工程と、エアレイドウェブを熱風処理して、該エアレイドウェブ中の炭素繊維を熱融着性繊維により結合させる繊維結合工程とを有する。
(解繊工程)
解繊工程では、多数の炭素繊維からなる炭素繊維集合体を解繊する。
ここで炭素繊維集合体とは、多数の炭素繊維が物理的に絡み合った集合体であり、例えば、紡糸後の繊維が一括で捕捉(集綿)され、焼成されて得られるマット(綿状物);マットをカットしたチョップ;マットにニードルパンチ処理を施したニードリングフェルト;などの形態が挙げられる。これらの炭素繊維集合体は、1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
ニードリングフェルトとしては、ニードリングフェルトの端材も好ましく使用できる。
ニードリングフェルトの端材は、トリミング工程においてニードリングフェルトから切り落とされた不要な端部分であって、ニードリングフェルト材料としての再利用が困難なものである。そのため、ニードリングフェルトの端材は、一般には産業廃棄物として処分されている。本発明の製造方法は、従来は廃棄されていたニードリングフェルトの端材であっても、炭素繊維不織布の材料として問題なく使用できる。
炭素繊維集合体を構成している炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ(等方性、異方性)系、フェノール樹脂系、レーヨン系、セルロース系、ポリビニルアルコール(PVA)系などの炭素繊維が挙げられる。炭素繊維集合体は、これらの炭素繊維の1種以上から構成されていればよいが、炭素繊維自体の熱伝導率が小さいなどの点から、ピッチ系等方性炭素繊維から構成されていることが好ましい。
炭素繊維集合体を構成する炭素繊維は、捲縮を有する曲線状であっても、捲縮を有していない直線状のいずれでもよい。例えば、炭素繊維集合体がニードリングフェルトまたはニードリングフェルトの端材である場合、これらを構成している炭素繊維は、交絡しやすさの点から、捲縮を有している場合が多い。
炭素繊維集合体を構成している炭素繊維の繊維長には特に制限はなく、炭素繊維集合体の形態に応じた繊維長であってよい。マット、ニードリングフェルトなどの場合、炭素繊維の繊維長は例えば10〜100mmであり、チョップの場合、炭素繊維の繊維長は例えば2〜10mmである。ニードリングフェルト端材の場合、上述のトリミング工程の条件などにもよるが、例えば10〜100mmである。
炭素繊維集合体を構成している炭素繊維の繊維径についても特に制限はないが、例えば8〜18μmの範囲であれば、エアレイドウェブを形成しやすく、また、断熱性能の点で好ましい。8μm未満では、炭素繊維の機械的強度が弱くなり、エアレイドウェブを形成しにくくなる傾向がある。18μmを超えると、断熱性能の低下を招く傾向がある。
本明細書において繊維長とは、200本の繊維について、画像解析装置を用いて測定した繊維長の加重平均繊維長のことを意味する。
また、繊維径とは、拡大鏡を用いて200本の繊維について測定した繊維径の加重平均繊維径を意味する。
炭素繊維集合体を解繊する方法としては、後述のウェブ形成工程においてエアレイドウェブを形成できる程度に、炭素繊維集合体を解繊できる方法であればよく、炭素繊維集合体の形態に応じて採用できる。具体的には、サンプルローラーカード機、ブロアーなどを用いた解繊方法が挙げられる。解繊方法によっては、炭素繊維集合体を構成している多数の炭素繊維のうちの少なくとも一部は、折れたり切断されたりして繊維長が短くなることもあるが、後述のウェブ形成工程では、繊維長が比較的短い繊維であっても良好にウェブ化できるエアレイド法が採用されるため、何ら問題はない。また、解繊工程の前、あるいは、解繊工程とウェブ形成工程との間には、必要に応じて、炭素繊維集合体または解繊された炭素繊維を断裁する断裁工程を実施してもよい。
(ウェブ形成工程および繊維結合工程)
ウェブ形成工程では、解繊された炭素繊維に熱融着性繊維を混合した繊維混合物を用いて、エアレイド法でエアレイドウェブを調製する。エアレイド法とは、空気流を利用して繊維を3次元的にランダムに積層させるウェブの形成方法である。そのため、エアレイド法によれば、比較的短い繊維長の繊維から良好なウェブを形成できる。繊維混合物中の炭素繊維の繊維長は、1〜10mmが好ましく、2〜6mmがより好ましい。繊維混合物中の炭素繊維の繊維長がこのような範囲であれば、ウェブ形成工程においてエアレイドウェブを形成しやすい。
熱融着性繊維は、後述の繊維結合工程での熱風処理により、その少なくとも一部が溶融して、解繊された炭素繊維を結合させるバインダーとして作用するものである。
このような熱融着性繊維には、融点の異なる2種類の樹脂を複合化させて得られ、繊維の表面のみが溶融する芯鞘型構造の熱融着性複合繊維がある。芯鞘型構造の熱融着性複合繊維は、融点の高い樹脂からなる芯の外周上に、融点の低い樹脂からなる鞘が形成された構造を有し、例えば、ポリプロピレン繊維(融点160℃)からなる芯の外周上にポリエチレン(融点130℃)からなる鞘が形成されたPE/PP複合繊維などがある。
このような芯鞘型構造の熱融着性複合繊維を使用する場合には、鞘が溶融し芯は溶融しない温度(例えば140℃。)で、繊維結合工程において熱風処理し、鞘のみを溶融させる。
熱融着性複合繊維としては、その他に、例えばPET/PET複合繊維、PE/PE複合繊維、PP/PP複合繊維、PE/PET複合繊維、PP/PET複合繊維、PE/PP複合繊維などがある。熱融着性複合繊維は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、PETはポリエチレンテレフタレート、PEはポリエチレン、PPはポリプロピレンを意味する。
熱融着性繊維の繊維長は、1〜10mmが好ましく、2〜6mmがより好ましい。このような繊維長であれば、エアレイドウェブを形成しやすい。
熱融着性繊維の繊度は、例えば1〜30dtexの範囲であれば、炭素繊維との混合、結着性の点で好ましい。
繊維混合物中における熱融着性繊維の割合は、繊維混合物100質量%中、1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。上記範囲の下限値以上であると、繊維結合工程において炭素繊維同士を充分に結合させることができる。
上記範囲の上限値以下であると、最終的に得られる断熱材のかさ密度が適切な範囲内となる。
ウェブ形成工程では、例えば、エアレイド法のウェブフォーミング機などにより、解繊された炭素繊維と熱融着性繊維とを空気中で均一に混合し、繊維混合物を調製しつつ、サクションボックスを備えたコンベアに装着されて走行するメッシュ状無端ベルト側に、吸気流とともに該繊維混合物を下降させる。そして、該ベルト上に繊維混合物を落下堆積させることで、エアレイドウェブを形成できる。この場合、メッシュ状無端ベルト上には、はじめに第1の通気性キャリアシートを繰り出し、該第1の通気性キャリアシート上に、上述のようにしてエアレイドウェブを形成し、その後、該エアレイドウェブ上に第2の通気性キャリアシートを積層して、3層のウェブ積層体を形成することが、後述の繊維結合工程を安定に行う観点から好ましい。
繊維結合工程では、ウェブ形成工程で形成されたエアレイドウェブに対して熱風処理を行い、エアレイドウェブ中の炭素繊維を熱融着性繊維により結合させる。エアレイドウェブが、上述のように両面側に通気性キャリアシートを備えた3層のウェブ積層体を成している場合には、該ウェブ積層体に対して熱風処理を行ってから、両面側の通気性キャリアシートを剥離すればよい。
このような方法により、断熱材前駆体用の炭素繊維不織布が得られる。
熱風処理としては、エアレイドウェブを、周面に通気性を有する回転ドラムを備えたスルーエアードライヤに通し、熱処理する方法(熱風循環ロータリードラム方式)や、エアレイドウェブをボックスタイプドライヤに通し、エアレイドウェブに熱風を貫通させることで熱処理する方法(熱風循環コンベアオーブン方式)などが挙げられる。
なお、繊維結合工程の後には、炭素繊維不織布の密度を微調整する目的などで、熱プレス処理を行ってもよい。
このようにして製造された炭素繊維不織布の坪量は、40〜3000g/mの範囲が好ましく、300〜1500g/mの範囲がより好ましい。坪量がこのような範囲であれば、断熱材前駆体として適切な厚みの炭素繊維不織布が得られる。
炭素繊維不織布の坪量は、エアレイドウェブを形成する際の炭素繊維および熱融着性繊維の供給速度を制御したり、エアレイドウェブを形成する際のメッシュ状無端ベルトの速度(抄速)を制御したりして、単位面積あたりの炭素繊維および熱融着性繊維の供給量を調整する方法で制御できる。
このような炭素繊維不織布の引張強度は10N/50mm以上、破断伸度は5%以上であることが好ましい。引張強度および破断伸度が上記範囲を満たさないと、プリプレグを製造する際に、プリプレグの破断を招きやすくなる傾向がある。
<断熱材の製造方法>
本発明の断熱材の製造方法は、上述のようにして製造された炭素繊維不織布に熱硬化性樹脂を含浸させ、プリプレグを形成する含浸工程と、プリプレグを硬化し、硬化物とする硬化工程と、硬化物を焼成する焼成工程とを有する。
(含浸工程)
含浸工程で使用される熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられ、1種以上を使用できる。好ましい熱硬化性樹脂は、炭素化収率などの点から、フェノール樹脂である。
熱硬化性樹脂は、溶剤に溶解した溶液の状態で用いることが好ましい。溶剤は、熱硬化性樹脂の種類によって異なるが、メチルアルコール、エチルアルコール、変性アルコール等のアルコール類、水などが挙げられる。その場合、熱硬化性樹脂が溶解した溶液の不揮発分濃度(固形分濃度)は、樹脂の種類によって異なるが、30〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。不揮発分濃度が大きすぎると、粘度が高くなり過ぎて含浸が困難になりやすい。不揮発分濃度が小さすぎると、溶剤の除去に手間がかかる。
熱硬化性樹脂の含浸量は、炭素繊維不織布100質量部に対して、5〜120質量部が好ましく、10〜80質量部がより好ましい。含浸量が上記範囲の下限値未満であれば、断熱材の機械的強度が低くなり過ぎる傾向にあり、上限値を超えると、断熱性能の低下を招く傾向にある。
(硬化工程および焼成工程)
硬化工程では、炭素繊維不織布に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを加熱して、硬化させる。
具体的には、例えば2枚の押圧板を備えたプレス機などでプリプレグを所定の厚みになるように圧縮し、この状態で加熱することにより、熱硬化性樹脂を硬化させるとともにプリプレグを成形し、平板状の硬化物とする方法が挙げられる。圧縮条件、加熱温度、加熱時間などは、目的とする断熱材の厚み、密度、含浸した熱硬化性樹脂の種類などに応じて、適宜設定できる。
焼成工程では、ヘリウム、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下または真空条件下において、硬化工程で得られた硬化物を加熱、焼成することにより、断熱材を得る。焼成工程は、硬化物を炭素化する炭素化工程を少なくとも有し、さらに、炭素化工程の後により高温で加熱し、炭素化物を黒鉛化する黒鉛化工程を有していてもよい。焼成工程は、黒鉛化工程のみであってもよい。炭素化工程での加熱温度(最高温度)は、例えば800〜1200℃で、その際、最高温度で保持する最高温度保持時間は、0.5〜5時間である。黒鉛化工程での加熱温度(最高温度)は、例えば1500〜2500℃で、その際、最高温度で保持する最高温度保持時間は、0.5〜5時間である。
このようして製造された断熱材は、高純度の炭素からなり、優れた断熱特性を有する。
例えば、該断熱材の熱伝導率(条件:絶対圧力1気圧(101kPa)の窒素ガス雰囲気、試料平均温度1400℃。)は、0.2〜0.7[W/m・K]であり、線熱膨張係数は、0.5〜5[10−6/K]である。なお、線熱膨張係数は、室温から1000℃までの値の平均値である。
このような断熱材は、高温電気炉(シリコン等の結晶成長炉;カーボン、セラミック、超硬金属等の焼結炉;銀、銅、SUS、ニッケルなどのろう付炉;アルミニウムなどの真空蒸着炉;太陽電池セル結晶成長炉;サファイヤ単結晶成長炉;炭化ケイ素単結晶成長炉など。)の断熱材として好適に使用される。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<炭素繊維不織布の製造>
(解繊工程)
炭素繊維集合体として、ピッチ系等方性炭素繊維(繊維径:13μm)100%からなるニードリングフェルト(A)(大阪ガスケミカル株式会社製、ドナカーボフェルト(炭素質グレード))から切り落とされたニードリングフェルトの端材を用い、該端材をサンプルローラーカード機(インテック社製)で解繊し、解繊された炭素繊維を得た。
(ウェブ形成工程)
解繊された炭素繊維と、芯鞘型の熱融着性複合繊維(PE/PP複合繊維)とを均一に混合して繊維混合物としつつ、サクションボックスを備えたコンベアに装着されて走行するメッシュ状無端ベルト上に、第1の通気性キャリアシートを繰り出し、該第1の通気性キャリアシート上に吸気流とともに繊維混合物を下降させた。そして、該ベルト上に落下堆積させることで、エアレイドウェブを形成し、その後、該エアレイドウェブ上に第2の通気性キャリアシートを積層して、3層のウェブ積層体を形成した。
ここで、エアレイドウェブ単位面積あたりの炭素繊維の量は425g/m、熱融着性複合繊維の量は75g/mであり、繊維混合物中の熱融着性複合繊維の割合は15質量%である。
(繊維結合工程)
ウェブ形成工程で得られた3層のウェブ積層体をボックスタイプドライヤに通し、140℃で熱風処理し(熱風循環コンベアオーブン方式)、エアレイドウェブ中の炭素繊維を熱融着性複合繊維により結合させた。ついで、両面側の第1および第2の通気性キャリアシートを剥離して、炭素繊維不織布を得て、巻き取り機で巻き取った。
この炭素繊維不織布の坪量は、500g/mであった。
(1)繊維混合物中の炭素繊維の繊維長の測定
エアレイドウェブを観察し、その中の炭素繊維のみ200本について、画像解析装置((株)ニレコ製、LUZEX−AP)を用いて、繊維長(加重平均繊維長)を測定した。
なお、ここで測定される繊維長は、エアレイドウェブ形成前の繊維混合物中の炭素繊維の繊維長と同じである。
測定結果を表1に示す。
(2)炭素繊維不織布の引張強度、破断伸度の測定
得られた炭素繊維不織布を長さ150mm、幅50mmに切り出したものをサンプルとし、該サンプルについて、23℃、50%RHの環境下で引張試験を行い、引張強度と破断伸度を測定した。
炭素繊維不織布の長さとは、シートの流れ方向に沿う長さであり、炭素繊維不織布の幅とは、シートの流れ方向に直交する長さである。また、引張試験の条件は、スパン100mm、引張速度200mm/分とし、サンプルの長さ方向に沿って引張った。
測定結果を表1に示す。
<断熱材の製造>
次のようにして、得られた炭素繊維不織布から断熱材を製造した。
得られた炭素繊維不織布にフェノール樹脂(レゾール系、メチルアルコール溶液であり、不揮発分濃度60質量%)を含浸し、プリプレグとした(含浸工程)。フェノール樹脂(レゾール系)の含浸量は、得られた炭素繊維不織布100質量部に対して、60質量部とした。
このプリプレグを15枚重ねてホットプレス機に設置し、加圧しつつ200℃で1時間保持して、フェノール樹脂を熱硬化させてプリプレグを相互に結着させ、成形体を得た。このとき、成形体の厚みが43mmとなるように加圧した(硬化工程)。
ついで、成形体を不活性雰囲気中、最高温度2000℃で、5時間焼成した(焼成工程)。
これにより、長さ1200mm、幅600mm、厚さ40mm、かさ密度0.21g/cmの断熱材を得た。
断熱材の長さとは、上述の炭素繊維不織布の長さと同様にシートの流れ方向に沿う長さであり、断熱材の幅とは、上述の炭素繊維不織布の幅と同様にシートの流れ方向に直交する長さである。断熱材の厚さとは、長さおよび幅に直交する方向の長さである。また、かさ密度は、得られた断熱材の質量(測定値)を、該断熱材の長さ、幅、厚さの測定値から算出した体積(長さ×幅×厚さ)で除して、求めた。
得られた断熱材について、以下の測定を行った。結果を表1に示す。
(1)熱伝導率の測定
断熱材から、直径350mm、厚み(プリプレグ積層方向)30mmの円板形の試料を切り出した。この試料を用い、絶対圧力1気圧(101kPa)の窒素ガス雰囲気中で、定常法である標準平板法(大阪ガスケミカル株式会社「DONACARBO」カタログ参照。)により、熱伝導率を測定した。試料平均温度は、1400℃とした。
なお、試料平均温度とは、試料の高温側(加熱側)の面の温度と低温側の面の温度との算術平均値を意味する。
標準平板法による熱伝導率の測定方法について、図1を参照して、より具体的に説明する。
炭素材料からなり、各温度における熱伝導率λsが既知である円板形の標準板(直径:350mm、厚みds:100mm)10と、該標準板10の一方の面に重ねられた計測板(直径D:100mm)11とを備えた測定部を有する測定装置を用いる。計測板11の内部には流路12が形成され、計測板11の内部に冷却水を流通させることができるようになっている。
この装置の標準板10における他方の面10a上に、断熱材から切り出した上述の円板形の試料(直径:350mm、厚みd:30mm)20を重ねる。そして、試料20における標準板10が接していない側の面20aを外側からヒーター等の加熱手段で加熱するとともに、流路12には冷却水を流量Fw(例えば0.04m/h)で流す。定常状態になった後、下記(a)〜(c)を実測する。
(a)試料20の面20aにおける中心温度Ts
(b)標準板10における計測板11に接している側の面10bの中心温度To
(c)冷却水の流路12の入口12aにおける温度Tinと出口12bにおける温度Toutとの温度差(絶対値)ΔTw
ついで、計測板11における(Q/S)の値を求める。なお、Qは熱流量、Sは熱流束面積である。
具体的には、上記(c)で測定された温度差ΔTwの値と、冷却水の流量Fw(既知)の値と、冷却水の比熱と密度の積C(既知)とから、下記式(1)により、計測板11における熱流量Qを求める。また、計測板11の直径D(既知)から、下記式(2)により、熱流速面積Sを求める。よって、求められたQおよびSの値から、(Q/S)の値が決定する。
Q=Fw×C×ΔTw・・・(1)
S=π(D/2)・・・(2)
ここで(Q/S)の値と、試料20の熱伝導率λm、試料20の厚みd、中心温度Ts、試料20における標準板10が接している側の面20bの中心温度Tuとは、下記式(3)の関係にある。
また、(Q/S)の値と、試料20に接している標準板10の熱伝導率λs、標準板10の厚みds、試料20における標準板10が接している側の面20bの中心温度Tu(すなわち、標準板10における試料20が接している側の面10aの中心温度と同じ温度。)、標準板10における計測板11に接している側の面10bの中心温度Toとは、下記式(4)の関係にある。
Q/S=(λm/d)×(Ts−Tu)・・・(3)
Q/S=(λs/ds)×(Tu−To)・・・(4)
次に、中心温度Tuを以下のようにして求める。
まず、中心温度Tuを仮定する。ここで標準板10の各温度における熱伝導率λsは、上述のように既知であるため、仮定した中心温度Tuを用いた標準板10の平均温度((Tu+To)/2)における標準板10の熱伝導率λsも既知である。そうすると、上記式(4)における各パラメーターのうち、熱伝導率λs、標準板10の厚みds、中心温度To、上記式(1)および(2)から算出した(Q/S)は、いずれも既知であるため、上記式(4)から、中心温度Tuを求めることができる。
そして、このように上記式(4)から求められた中心温度Tuと、始めに仮定した中心温度Tuとの値が一致するまで、中心温度Tuの仮定と、上記式(4)からの中心温度Tuの算出とを繰り返すトライアル・アンド・エラーにより、中心温度Tuを求める。
このように中心温度Tuが決まると、上記式(3)においては、試料20の熱伝導率λm以外のパラメータは既知であるため、上記式(3)から、熱伝導率λmを求めることができる。
(2)線熱膨張係数の測定
株式会社リガク製の高温型熱機械分析装置、モデルTMA8310/Hを用いて、室温から1000℃の温度範囲で測定した。表1には、室温から1000℃までの値の平均値を示した。
[比較例1]
実施例1と同様に解繊工程を行い、解繊された炭素繊維を得た。この炭素繊維のみを用いた以外は実施例1と同様にしてウェブ形成工程を行い、エアレイドウェブを得た。そして、このエアレイドウェブをボックスタイプドライヤに通したが、エアレイドウェブには熱融着性繊維が含まれていないため、炭素繊維が結合せず、炭素繊維不織布を製造できなかった。なお、エアレイドウェブ単位面積あたりの炭素繊維の使用量は500g/mとした。
[参考例1]
断熱材の材料として、実施例1で得られた炭素繊維不織布に代えて、実施例1に記載のニードリングフェルト(A)を用いた以外は、実施例1と同様にして断熱材(長さ1200mm、幅600mm、厚さ40mm、かさ密度0.16g/cm)を製造した。
得られた断熱材について、実施例1と同様の評価を行った。
Figure 0006187753
実施例1で得られた断熱材は、繊維長が短い炭素繊維からなり従来は廃棄されていたニードリングフェルトの端材を材料として製造されたものであるが、参考例1で得られた断熱材と同等の断熱性能を有していた。
本発明の製造方法によれば、繊維長が比較的短い炭素繊維からなる炭素繊維集合体を材料とした場合でも、断熱材前駆体に好適な炭素繊維不織布を製造できる。よって、例えばニードリングフェルトの端材など、繊維長の短い炭素繊維からなり再利用が困難で、従来は産業廃棄物として処分されていたような炭素繊維集合体であっても、炭素繊維不織布、さらには断熱材の材料として使用できる。したがって、本発明の製造方法は、資源の有効利用、廃棄物削減などの環境面からもきわめて有用である。

Claims (5)

  1. 炭素材からなる断熱材の前駆体である、炭素繊維不織布の製造方法であって、
    多数の炭素繊維からなる炭素繊維集合体を解繊する解繊工程と、
    解繊された炭素繊維に熱融着性繊維を混合し、得られた繊維混合物からエアレイドウェブを形成するウェブ形成工程と、
    前記エアレイドウェブを熱風処理して、該エアレイドウェブ中の前記炭素繊維を前記熱融着性繊維により結合させる繊維結合工程と、を有し、
    前記炭素繊維集合体が、ニードリングフェルトの端材であり、
    前記炭素繊維不織布の坪量が300〜1500g/m であるとともに、
    前記断熱材は、前記炭素繊維不織布に熱硬化性樹脂を含浸させ、前記熱硬化性樹脂を硬化した後に焼成して得られるものであることを特徴とする断熱材前駆体用炭素繊維不織布の製造方法。
  2. 前記炭素繊維集合体が、ピッチ系等方性炭素繊維の集合体であることを特徴とする請求項1に記載の断熱材前駆体用炭素繊維不織布の製造方法。
  3. 前記繊維混合物中の前記熱融着性繊維の割合が、1〜30質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱材前駆体用炭素繊維不織布の製造方法。
  4. 前記繊維混合物中の炭素繊維の繊維長が、1〜10mmであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の断熱材前駆体用炭素繊維不織布の製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法で製造された前記断熱材前駆体用炭素繊維不織布に熱硬化性樹脂を含浸させ、プリプレグを形成する含浸工程と、
    前記プリプレグを硬化し、硬化物とする硬化工程と、
    前記硬化物を焼成する焼成工程と、を有することを特徴とする断熱材の製造方法。
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