JP2015040232A - 成形断熱材の製造方法および成形断熱材 - Google Patents

成形断熱材の製造方法および成形断熱材 Download PDF

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Abstract

【課題】かさ密度が小さく、しかも断熱性能に優れた成形断熱材とその製造方法を提供する。【解決手段】炭素繊維を含むエアレイドウェブから形成された断熱材前駆体用炭素繊維不織布と、樹脂とを用いて製造された炭素化物からなり、かさ密度が0.10〜0.15g/cm3と小さく、しかも断熱性能に優れる成形断熱材。該成形断熱材は、例えば、定常法により、絶対圧力1気圧(101kPa)の窒素ガス雰囲気下、試料平均温度1400℃で測定した熱伝導率が、0.2〜0.38[W/m・K]程度である。【選択図】なし

Description

本発明は、高温電気炉などに使用される成形断熱材と、その製造方法に関する。
炭素繊維を材料として得られる成形断熱材は、金属を含まず高純度で、熱的安定性に優れ、かつ、自立性を有し、軽量である。そのため、例えば単結晶シリコン引き上げ炉、多結晶シリコン成長炉、サファイヤ単結晶引き上げ炉、シリコンカーバイド単結晶引き上げ炉、金属およびセラミクスの焼結炉、真空蒸着炉等の様々な高温電気炉で使用されている。
特に、最近では、省エネルギーやコスト低減の要求が一層高まり、より熱伝導率が低く、断熱性能に優れる成形断熱材が求められるようになっている。断熱性能に優れた成形断熱材を使用することは、電力使用量を低減できるのはもちろん、所定の断熱性能を得るために必要な成形断熱材の体積を小さく抑えることができる。そのため、炉内を広く有効に使用できるという点からもコスト低減に寄与する。
断熱性能に優れる成形断熱材を得るためには、例えば、断熱性能を担う炭素繊維の単位体積あたりの量を高めることによって、成形断熱材のかさ密度を大きくすることが考えられる。しかし、かさ密度を大きくすることは、成形断熱材のコスト高を招く。また、かさ密度の大きな成形断熱材は、それ自身の熱容量が大きいため、かさ密度の高い成形断熱材を配置した炉内は総熱容量が大きくなり、電力使用量が増加する方向になる。
特許文献1には、かさ密度の小さい成形断熱材として、炭素繊維フェルト(ニードリングフェルト)を材料とした断熱材が記載されている。炭素繊維フェルトは、一般にニードリングフェルトとも呼ばれ、ニードルパンチにより炭素繊維を交絡させたものである。特許文献1には、炭素繊維フェルトに樹脂バインダーを含浸または塗布した樹脂含浸炭素繊維フェルトと、樹脂バインダーを付与していない炭素繊維フェルトとを積層し、圧縮成形、焼成して得られる断熱材が開示されている。
特開2008−196552号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1に開示の方法で得られた断熱材は、断熱性能が充分ではなかった。
本発明は、かさ密度が小さく、しかも断熱性能に優れた成形断熱材とその製造方法の提供を目的とする。
本発明の成形断熱材の製造方法は、多数の炭素繊維からなる炭素繊維集合体を解繊する解繊工程と、解繊された炭素繊維に熱融着性繊維を混合し、得られた繊維混合物からエアレイドウェブを形成するウェブ形成工程と、前記エアレイドウェブを熱風処理して、該エアレイドウェブ中の前記炭素繊維を前記熱融着性繊維により結合させる繊維結合工程と、該繊維結合工程により得られた断熱材前駆体用炭素繊維不織布100質量部に対して、熱硬化性樹脂5〜30質量部を含浸させ、プリプレグを形成する含浸工程と、前記プリプレグを硬化し、硬化物とする硬化工程と、前記硬化物を焼成する焼成工程と、を有することを特徴とする。
前記炭素繊維集合体は、ピッチ系等方性炭素繊維の集合体であることが好ましい。
前記繊維混合物中の炭素繊維の繊維長は、1〜10mmであることが好ましい。
前記繊維混合物中の前記熱融着性繊維の割合は、1〜30質量%であることが好ましい。
前記断熱材前駆体用炭素繊維不織布の坪量は、200〜1500g/mであることが好ましい。
本発明の成形断熱材は、炭素繊維を含むエアレイドウェブから形成された断熱材前駆体用炭素繊維不織布と樹脂とを用いて製造された炭素化物からなり、かさ密度が0.10〜0.15g/cmであることを特徴とする。
なお、本明細書においてかさ密度は、得られた成形断熱材の質量(測定値)を、該成形断熱材の長さ、幅、厚みの測定値から算出した体積(長さ×幅×厚み)で除して、求めた。
本発明によれば、かさ密度が小さく、しかも断熱性能に優れた成形断熱材とその製造方法を提供できる。
実施例1の成形断熱材を模式的に示す概略斜視図である。 実施例1の成形断熱材の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1、比較例1および2の成形断熱材の熱伝導率を示すグラフである。 熱伝導率を測定する方法を説明する説明図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の成形断熱材の製造方法は、多数の炭素繊維からなる炭素繊維集合体を解繊する解繊工程と、解繊された炭素繊維に熱融着性繊維を混合し、得られた繊維混合物からエアレイドウェブを形成するウェブ形成工程と、エアレイドウェブを熱風処理して、該エアレイドウェブ中の炭素繊維を融着性繊維により結合させる繊維結合工程と、該繊維結合工程により得られた断熱材前駆体用炭素繊維不織布(以下、単に炭素繊維不織布という場合がある。)100質量部に対して、熱硬化性樹脂5〜30質量部を含浸させ、プリプレグを形成する含浸工程と、プリプレグを硬化し、硬化物とする硬化工程と、硬化物を焼成する焼成工程と、を有する。
(解繊工程)
解繊工程では、多数の炭素繊維からなる炭素繊維集合体を解繊する。
ここで炭素繊維集合体とは、多数の炭素繊維が物理的に絡み合った集合体であり、例えば、紡糸後の繊維が一括で捕捉(集綿)され、焼成されて得られるマット(綿状物);マットをカットしたチョップ;マットにニードルパンチ処理を施したニードリングフェルト;などの形態が挙げられる。これらの炭素繊維集合体は、1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
ニードリングフェルトとしては、ニードリングフェルトの端材も好ましく使用できる。
ニードリングフェルトの端材は、トリミング工程においてニードリングフェルトから切り落とされた不要な端部分であって、ニードリングフェルト材料としての再利用が困難なものである。そのため、ニードリングフェルトの端材は、一般には産業廃棄物として処分されている。本発明の製造方法は、従来は廃棄されていたニードリングフェルトの端材であっても、これを材料として成形断熱材を問題なく製造できる。
炭素繊維集合体を構成している炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ(等方性、異方性)系、フェノール樹脂系、レーヨン系、セルロース系、ポリビニルアルコール(PVA)系などの炭素繊維が挙げられる。炭素繊維集合体は、これらの炭素繊維の1種以上から構成されていればよいが、炭素繊維自体の熱伝導率が小さいなどの点から、ピッチ系等方性炭素繊維を含むものが好ましい。
炭素繊維集合体を構成する炭素繊維は、捲縮を有する曲線状であっても、捲縮を有していない直線状のいずれでもよい。例えば、炭素繊維集合体がニードリングフェルトまたはニードリングフェルトの端材である場合、これらを構成している炭素繊維は、交絡しやすさの点から、捲縮を有している場合が多い。
炭素繊維集合体を構成している炭素繊維の繊維長には特に制限はなく、炭素繊維集合体の形態に応じた繊維長であってよい。マット、ニードリングフェルト、ニードリングフェルトの端材などの場合、炭素繊維の繊維長は例えば10〜100mmであり、チョップの場合、炭素繊維の繊維長は例えば2〜10mmである。
炭素繊維集合体を構成している炭素繊維の繊維径についても特に制限はないが、例えば8〜18μmの範囲であれば、エアレイドウェブを形成しやすく、また、断熱性能の点で好ましい。8μm未満では、炭素繊維の例えば層間剥離強度等の機械的強度が弱くなり、エアレイドウェブを形成しにくくなる傾向がある。18μmを超えると、断熱性能の低下を招く傾向がある。
本明細書において繊維長とは、200本の繊維について、画像解析装置を用いて測定した繊維長の加重平均繊維長のことを意味する。
また、繊維径とは、拡大鏡を用いて200本の繊維について測定した繊維径の加重平均繊維径を意味する。
炭素繊維集合体を解繊する方法としては、後述のウェブ形成工程においてエアレイドウェブを形成できる程度に、炭素繊維集合体を解繊できる方法であればよく、炭素繊維集合体の形態に応じて採用できる。具体的には、サンプルローラーカード機、ブロアーなどを用いた解繊方法が挙げられる。解繊方法によっては、炭素繊維集合体を構成している多数の炭素繊維のうちの少なくとも一部は、折れたり切断されたりして繊維長が短くなることもあるが、後述のウェブ形成工程では、繊維長が比較的短い繊維であっても良好にウェブ化できるエアレイド法が採用されるため、何ら問題はない。また、解繊工程の前、あるいは、解繊工程とウェブ形成工程との間には、必要に応じて、炭素繊維集合体または解繊された炭素繊維を断裁する断裁工程を実施してもよい。
(ウェブ形成工程および繊維結合工程)
ウェブ形成工程では、解繊された炭素繊維に熱融着性繊維を混合した繊維混合物を用いて、エアレイド法でエアレイドウェブを調製する。エアレイド法とは、空気流を利用して繊維を3次元的にランダムに積層させるウェブの形成方法である。そのため、エアレイド法によれば、比較的短い繊維長の繊維から良好なウェブを形成できる。繊維混合物中の炭素繊維の繊維長は、1〜10mmが好ましく、2〜6mmがより好ましい。繊維混合物中の炭素繊維の繊維長がこのような範囲であれば、ウェブ形成工程においてエアレイドウェブを形成しやすい。
熱融着性繊維は、後述の繊維結合工程での熱風処理により、その少なくとも一部が溶融して、解繊された炭素繊維を結合させるバインダーとして作用するものである。
このような熱融着性繊維には、融点の異なる2種類の樹脂を複合化させて得られ、繊維の表面のみが溶融する芯鞘型構造の熱融着性複合繊維がある。芯鞘型構造の熱融着性複合繊維は、融点の高い樹脂からなる芯の外周上に、融点の低い樹脂からなる鞘が形成された構造を有し、例えば、ポリプロピレン繊維(融点160℃)からなる芯の外周上にポリエチレン(融点130℃)からなる鞘が形成されたPE/PP複合繊維などがある。
このような芯鞘型構造の熱融着性複合繊維を使用する場合には、鞘が溶融し芯は溶融しない温度(例えば140℃。)で、繊維結合工程において熱風処理し、鞘のみを溶融させる。
熱融着性複合繊維としては、その他に、例えばPET/PET複合繊維、PE/PE複合繊維、PP/PP複合繊維、PE/PET複合繊維、PP/PET複合繊維、PE/PP複合繊維などがある。熱融着性複合繊維は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、PETはポリエチレンテレフタレート、PEはポリエチレン、PPはポリプロピレンを意味する。
熱融着性繊維の繊維長は、1〜10mmが好ましく、2〜6mmがより好ましい。このような繊維長であれば、エアレイドウェブを形成しやすい。
熱融着性繊維の繊度は、例えば1〜30dtexの範囲であれば、炭素繊維との混合、結着性の点で好ましい。
繊維混合物中における熱融着性繊維の割合は、繊維混合物100質量%中、1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。上記範囲の下限値以上であると、繊維結合工程において炭素繊維同士を充分に結合させることができる。
上記範囲の上限値以下であると、最終的に得られる成形断熱材のかさ密度が適切な範囲内となる。
ウェブ形成工程では、例えば、エアレイド法のウェブフォーミング機などにより、解繊された炭素繊維と熱融着性繊維とを空気中で均一に混合し、繊維混合物を調製しつつ、サクションボックスを備えたコンベアに装着されて走行するメッシュ状無端ベルト側に、吸気流とともに該繊維混合物を下降させる。そして、該ベルト上に繊維混合物を落下堆積させることで、エアレイドウェブを形成できる。この場合、メッシュ状無端ベルト上には、はじめに第1の通気性キャリアシートを繰り出し、該第1の通気性キャリアシート上に、上述のようにしてエアレイドウェブを形成し、その後、該エアレイドウェブ上に第2の通気性キャリアシートを積層して、3層のウェブ積層体を形成することが、後述の繊維結合工程を安定に行う観点から好ましい。
繊維結合工程では、ウェブ形成工程で形成されたエアレイドウェブに対して熱風処理を行い、エアレイドウェブ中の炭素繊維を熱融着性繊維により結合させる。エアレイドウェブが、上述のように両面側に通気性キャリアシートを備えた3層のウェブ積層体を成している場合には、該ウェブ積層体に対して熱風処理を行ってから、両面側の通気性キャリアシートを剥離すればよい。
このような方法により、断熱材前駆体用の炭素繊維不織布が得られる。
熱風処理としては、エアレイドウェブを、周面に通気性を有する回転ドラムを備えたスルーエアードライヤに通し、熱処理する方法(熱風循環ロータリードラム方式)や、エアレイドウェブをボックスタイプドライヤに通し、エアレイドウェブに熱風を貫通させることで熱処理する方法(熱風循環コンベアオーブン方式)などが挙げられる。
なお、繊維結合工程の後には、炭素繊維不織布の密度を微調整する目的などで、熱プレス処理を行ってもよい。
このようにして製造された炭素繊維不織布の坪量は、40〜3000g/mの範囲が好ましく、200〜1500g/mの範囲がより好ましい。坪量がこのような範囲であれば、断熱材前駆体として適切な厚みの炭素繊維不織布が得られる。例えば、坪量が200〜1500g/mの炭素繊維不織布であれば、厚みは9〜45mmであることが好適である。厚みが上記範囲外であると、後述の含浸工程において、熱硬化性樹脂を均一に含浸できない場合や、含浸後の熱硬化性樹脂からの溶剤の除去が不均一となり、プリプレグとするのが難しくなる場合がある。
炭素繊維不織布の坪量は、エアレイドウェブの形成時において、炭素繊維および熱融着性繊維の供給速度を制御したり、メッシュ状無端ベルトの速度(抄速)を制御したりして、単位面積あたりの炭素繊維および熱融着性繊維の供給量を調整する方法で制御できる。
このような炭素繊維不織布の引張強度は10N/50mm以上、破断伸度は5%以上であることが好ましい。引張強度および破断伸度が上記範囲を満たさないと、プリプレグを製造する際に、プリプレグの破断を招きやすくなる傾向がある。
本発明の成形断熱材は、好ましくは、上述のようにして製造された炭素繊維不織布に熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグを形成した後(含浸工程)、プリプレグを硬化して硬化物とし(硬化工程)、硬化物を焼成する(焼成工程)ことにより、製造できる。
(含浸工程)
含浸工程で使用される熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられ、1種以上を使用できる。樹脂として熱硬化性樹脂を使用することは、作業性、炭素化収率の点で好ましく、なかでもフェノール樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂は、溶剤に溶解した溶液の状態で用いることが好ましい。溶剤としては、熱硬化性樹脂の種類によって異なるが、メチルアルコール、エチルアルコール、変性アルコール等のアルコール類、水などが挙げられる。その場合、熱硬化性樹脂が溶解した溶液の不揮発分濃度(固形分濃度)は、樹脂の種類によって異なるが、30〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。不揮発分濃度が大きすぎると、粘度が高くなり過ぎて含浸が困難になりやすい。不揮発分濃度が小さすぎると、溶剤の除去に手間がかかる。
熱硬化性樹脂の含浸量は、炭素繊維不織布100質量部に対して、5〜30質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましく、10〜15質量部がさらに好ましく、12〜15質量部が特に好ましい。含浸量が上記範囲の下限値未満であれば、成形断熱材の機械的強度が低くなり、実用時に問題となる。上記範囲の上限値を超えると、成形断熱材のかさ密度が高くなりすぎる。かさ密度が高すぎると、成形断熱材のコスト高を招く。また、かさ密度の大きな成形断熱材は、それ自身の熱容量が大きいため、かさ密度の高い成形断熱材を配置した炉内は総熱容量が大きくなり、電力使用量が増加する方向になる。さらに、含浸量が上記範囲の上限値を超えると、相対的に炭素繊維量が少なくなり、成形断熱材の断熱性能が低下する。
(硬化工程および焼成工程)
硬化工程では、炭素繊維不織布に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを加熱して、硬化させる。
製造する成形断熱材の形状が平板状である場合には、プリプレグを所定の長さ(例えば500〜2000mm)に切断したものを複数枚用意し、これらを重ね、積層体とする。ついで、得られた積層体を例えば2枚の押圧板を備えたプレス機などで所定の厚み(例えば10〜80mm)になるように圧縮し、この状態で加熱することにより、成形および硬化を行い、平板状の硬化物を得る。圧縮条件、加熱温度、加熱時間などは、目的とする成形断熱材の厚み、かさ密度、含浸した熱硬化性樹脂の種類などに応じて、適宜設定できる。
製造する成形断熱材の形状が円筒形状である場合には、例えば巻き取り機を使用して、プリプレグを金属製の軸(円柱形)に所定の力を加えながら巻き付けることで、円筒形状に成形する。ついで、この成形体を電気炉内に保持して加熱することにより、成形および硬化を行い、円筒形状の硬化物を得る。加熱温度、加熱時間などは、目的とする成形断熱材の大きさ、かさ密度、含浸した熱硬化性樹脂の種類などに応じて、適宜設定できる。
焼成工程では、ヘリウム、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下または真空条件下において、硬化工程で得られた硬化物を加熱、焼成することにより、成形断熱材を得る。焼成工程は、硬化物を炭素化する工程である。焼成工程での加熱温度(最高温度)は、例えば1500〜2500℃で、その際、最高温度で保持する最高温度保持時間は、0.5〜5時間である。
なお、ここでの炭素化とは、黒鉛化をも含む。一般に炭素化といった場合、黒鉛化を含まない狭義の炭素化を指す場合と、黒鉛化をも含む広義の炭素化を指す場合があるが、本明細書での炭素化とは、広義の炭素化を意味する。
このようして製造された成形断熱材は、炭素繊維を含むエアレイドウェブから形成された断熱材前駆体用炭素繊維不織布と樹脂とを用いて製造された炭素化物からなり、かさ密度が0.10〜0.15g/cmと小さく、しかも断熱性能に優れる。例えば、定常法により、絶対圧力1気圧(101kPa)の窒素ガス雰囲気下、試料平均温度1400℃で測定した熱伝導率は、0.2〜0.38[W/m・K]程度となる。
断熱性能に優れる成形断熱材は、高温電気炉等に使用した際の電力使用量を低減できることはもちろん、所定の断熱性能を得るために必要な成形断熱材の体積が小さくて済むため、炉内を広く有効に使用できる。また、かさ密度が小さいため、コストが低いとともに、それ自身の熱容量も小さいため、該成形断熱材を配置した炉内の総熱容量を小さく抑制でき、その点からも電力使用量を低減できる。したがって、本発明の成形断熱材は、省エネルギーやコスト低減の点からもきわめて有用である。
なお、定常法による熱伝導率の測定は、後の実施例に記載のように、測定対象の成形断熱材から円板形の試料を切り出し、この試料を用いて、測定する。
本発明の成形断熱材の断熱性能が優れる理由は、本発明の成形断熱材が、エアレイドウェブから形成された炭素繊維不織布を材料に用いて得られたものであることに起因すると考えられる。
すなわち、エアレイドウェブは、解繊された炭素繊維と熱融着性繊維との繊維混合物を下降させることで形成される。そのため、エアレイドウェブ中の炭素繊維の大部分は、ウェブの厚み方向(断熱方向)に対してほぼ垂直に選択的に配列し、ウェブの厚み方向に平行に配列した炭素繊維は、ほとんど存在しない。ウェブの厚み方向に平行に配列した炭素繊維は、後述の実施例で具体的に説明するように、断熱性能低下を引き起こす原因となる。よって、断熱方向に平行に配列した炭素繊維をほとんど有しない本発明の成形断熱材は、断熱性能に優れるものと考えられる。
本発明の成形断熱材は、単結晶シリコン引き上げ炉、多結晶シリコン成長炉、サファイヤ単結晶引き上げ炉、シリコンカーバイド単結晶引き上げ炉、金属およびセラミクスの焼結炉、真空蒸着炉等の様々な高温電気炉で好適に使用される。
なお、以上の説明では、成形断熱材の製造方法として、含浸工程において熱硬化性樹脂を用い、含浸工程の後に硬化工程および焼成工程を行う方法を例示した。しかしながら、樹脂として、熱硬化性樹脂に代えて熱可塑性樹脂を用いてもよい。その場合、上述の解繊工程と、ウェブ形成工程と、繊維結合工程とを行った後、含浸工程において、炭素繊維不織布100質量部に対して、溶融した熱可塑性樹脂5〜30質量部を含浸し、プリプレグを形成する。ついで、硬化工程の代わりに、溶融した状態にある熱可塑性樹脂を冷却して固化する固化工程を行い、炭素繊維不織布と固化した熱可塑性樹脂とからなる成形体を得る。ついで、成形体を焼成する焼成工程を行う。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられ、これらの1種以上を使用できる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(解繊工程)
炭素繊維集合体として、ピッチ系等方性炭素繊維(繊維径:13μm)100%からなるニードリングフェルト(大阪ガスケミカル株式会社製、ドナカーボフェルト(炭素質グレード))から切り落とされたニードリングフェルトの端材を用い、該端材をサンプルローラーカード機(インテック社製)で解繊し、解繊された炭素繊維を得た。
(ウェブ形成工程)
解繊された炭素繊維と、芯鞘型の熱融着性複合繊維(PE/PP複合繊維)とを均一に混合して繊維混合物としつつ、サクションボックスを備えたコンベアに装着されて走行するメッシュ状無端ベルト上に、第1の通気性キャリアシートを繰り出し、該第1の通気性キャリアシート上に吸気流とともに繊維混合物を下降させた。そして、該ベルト上に落下堆積させることで、エアレイドウェブを形成し、その後、該エアレイドウェブ上に第2の通気性キャリアシートを積層して、3層のウェブ積層体を形成した。
ここで、エアレイドウェブ単位面積あたりの炭素繊維の量は465g/m、熱融着性複合繊維の量は82g/mであり、繊維混合物中の熱融着性複合繊維の割合は15質量%である。
なお、ウェブ積層体中のエアレイドウェブを観察し、その中の炭素繊維のみ200本について、画像解析装置((株)ニレコ製、LUZEX−AP)を用いて、繊維長(加重平均繊維長)を測定したところ、3mmであった。ここで測定される繊維長は、エアレイドウェブ形成前の繊維混合物中の炭素繊維の繊維長と同じである。
(繊維結合工程)
ウェブ形成工程で得られた3層のウェブ積層体をボックスタイプドライヤに通し、140℃で熱風処理し(熱風循環コンベアオーブン方式)、エアレイドウェブ中の炭素繊維を熱融着性複合繊維により結合させた。ついで、両面側の第1および第2の通気性キャリアシートを剥離して、炭素繊維不織布を得て、巻き取り機で巻き取った。
この炭素繊維不織布の坪量は、547g/mであった。
なお、得られた炭素繊維不織布を長さ150mm、幅50mmに切り出したものをサンプルとし、該サンプルについて、23℃、50%RHの環境下で引張試験を行い、引張強度と破断伸度を測定した。
炭素繊維不織布の長さとは、ウェブ形成工程でのシートの流れ方向に沿う長さであり、炭素繊維不織布の幅とは、シートの流れ方向に直交する長さである。また、引張試験の条件は、スパン100mm、引張速度200mm/分とし、サンプルの長さ方向に沿って引張った。
その結果、引張強度は30N/50mm、破断伸度は9%であった。
(含浸工程)
得られた炭素繊維不織布にフェノール樹脂(レゾール系、メチルアルコール溶液であり、不揮発分濃度60質量%)を含浸し、プリプレグとした。フェノール樹脂(レゾール系)の含浸量は、得られた炭素繊維不織布100質量部に対して、14質量部とした。
(硬化工程)
得られたプリプレグを13枚重ねてホットプレス機に設置し、加圧しつつ200℃で1時間保持して、フェノール樹脂を熱硬化させてプリプレグを相互に結着させ、成形体を得た。このとき、成形体の厚みが45mmとなるように加圧した。
(焼成工程)
ついで、得られた成形体を不活性雰囲気中、最高温度2000℃で、5時間焼成した。
これにより、図1に模式的に示すような長さL:1200mm、幅W:600mm、厚みD:43mmの平板状の成形断熱材を得た。この成形断熱材のかさ密度は、0.14g/cmであった。
成形断熱材の長さとは、上述の炭素繊維不織布の長さと同様にシートの流れ方向に沿う長さであり、成形断熱材の幅とは、上述の炭素繊維不織布の幅と同様にシートの流れ方向に直交する長さである。成形断熱材の厚みとは、長さおよび幅に直交する方向の長さである。
得られた成形断熱材の図1中矢視A方向(側面)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図2に示す。
また、得られた成形断熱材について、熱伝導率、線熱膨張係数および層間剥離強度の測定を後述の方法で行った。結果を表1に示す。なお、熱伝導率の測定結果については、図3に、試料平均温度に対する値をプロットしたものを示すとともに、表1に、試料平均温度600℃、1000℃、1400℃における値を抜粋して示した。
(1)熱伝導率の測定
成形断熱材から、直径350mm、厚み(プリプレグ積層方向)30mmの円板形の試料を切り出した。この試料を用い、絶対圧力1気圧(101kPa)の窒素ガス雰囲気中で、種々の試料平均温度において、定常法である標準平板法(大阪ガスケミカル株式会社「DONACARBO」カタログ参照。)により、熱伝導率を測定した。
なお、試料平均温度とは、試料の高温側(加熱側)の面の温度と低温側の面の温度との算術平均値を意味する。
標準平板法による熱伝導率の測定方法について、図4を参照して、より具体的に説明する。
炭素材料からなり、各温度における熱伝導率λsが既知である円板形の標準板(直径:350mm、厚みds:100mm)10と、該標準板10の一方の面10bに重ねられた計測板(直径D:100mm)11とを備えた測定部を有する測定装置を用いる。計測板11の内部には流路12が形成され、計測板11の内部に冷却水を流通させることができるようになっている。
この装置の標準板10における他方の面10a上に、成形断熱材から切り出した上述の円板形の試料(直径:350mm、厚みd:30mm)20を重ねる。そして、試料20における標準板10が接していない側の面20aを外側からヒーター等の加熱手段で加熱するとともに、流路12には冷却水を流量Fw(例えば0.04m/h)で流す。定常状態になった後、下記(a)〜(c)を実測する。
(a)試料20の面20aにおける中心温度Ts
(b)標準板10における計測板11に接している側の面10bの中心温度To
(c)冷却水の流路12の入口12aにおける温度Tinと出口12bにおける温度Toutとの温度差(絶対値)ΔTw
ついで、計測板11における(Q/S)の値を求める。なお、Qは熱流量、Sは熱流束面積である。
具体的には、上記(c)で測定された温度差ΔTwの値と、冷却水の流量Fw(既知)の値と、冷却水の比熱と密度の積C(既知)とから、下記式(1)により、計測板11における熱流量Qを求める。また、計測板11の直径D(既知)から、下記式(2)により、熱流速面積Sを求める。よって、求められたQおよびSの値から、(Q/S)の値が決定する。
Q=Fw×C×ΔTw・・・(1)
S=π(D/2)・・・(2)
ここで(Q/S)の値と、試料20の熱伝導率λm、試料20の厚みd、中心温度Ts、試料20における標準板10が接している側の面20bの中心温度Tuとは、下記式(3)の関係にある。
また、(Q/S)の値と、試料20に接している標準板10の熱伝導率λs、標準板10の厚みds、試料20における標準板10が接している側の面20bの中心温度Tu(すなわち、標準板10における試料20が接している側の面10aの中心温度と同じ温度。)、標準板10における計測板11に接している側の面10bの中心温度Toとは、下記式(4)の関係にある。
Q/S=(λm/d)×(Ts−Tu)・・・(3)
Q/S=(λs/ds)×(Tu−To)・・・(4)
次に、中心温度Tuを以下のようにして求める。
まず、中心温度Tuを仮定する。ここで標準板10の各温度における熱伝導率λsは、上述のように既知であるため、仮定した中心温度Tuを用いた標準板10の平均温度((Tu+To)/2)における標準板10の熱伝導率λsも既知である。そうすると、上記式(4)における各パラメーターのうち、熱伝導率λs、標準板10の厚みds、中心温度To、上記式(1)および(2)から算出した(Q/S)は、いずれも既知であるため、上記式(4)から、中心温度Tuを求めることができる。
そして、このように上記式(4)から求められた中心温度Tuと、始めに仮定した中心温度Tuとの値が一致するまで、中心温度Tuの仮定と、上記式(4)からの中心温度Tuの算出とを繰り返すトライアル・アンド・エラーにより、中心温度Tuを求める。
このように中心温度Tuが決まると、上記式(3)においては、試料20の熱伝導率λm以外のパラメーターは既知であるため、上記式(3)から、熱伝導率λmを求めることができる。
(2)線熱膨張係数の測定
株式会社リガク製の高温型熱機械分析装置、モデルTMA8310/Hを用いて、室温から1000℃の温度範囲で測定した。表1には、室温から1000℃までの値の平均値を示した。
(3)層間剥離強度の測定
成形断熱材の厚み方向に引張応力を与えた際に、層間が剥離するまでの最大応力が層間剥離強度である。まず、成形断熱材から、厚み43mm、長さ40mm、幅40mmの直方体の試料を切り出した。試料の厚み方向の両面に、引張試験機に取り付けるための金属製の治具を接着剤で接着し、試料を厚み方向に対して平行方向に引張試験機にて引張り、層間が剥離するまでの最大荷重を測定した。その最大荷重を面積(試料の長さ40mm×幅40mm)で除して、層間剥離強度とした。
[比較例1]
実施例1と同様にして、炭素繊維不織布を得た。ただし、エアレイドウェブ単位面積あたりの炭素繊維の量は425g/mとし、熱融着性複合繊維の量は75g/mとし、炭素繊維不織布の坪量は500g/mとした。
ついで、得られた炭素繊維不織布100質量部に対して含浸するフェノール樹脂(レゾール系)の量を60質量部とした以外は、実施例1と同様にして、プリプレグを得た。
ついで、このプリプレグを重ねる枚数を15枚とし、成形体の厚みが43mmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして、成形体を得た。
そして、実施例1と同様の焼成工程を行って、長さ:1200mm、幅:600mm、厚み:40mmの成形断熱材を得た。この成形断熱材のかさ密度を実施例1と同様の方法で測定したところ、0.21g/cmであった。
また、得られた成形断熱材について、実施例1と同様にして、熱伝導率、線熱膨張係数、層間剥離強度を測定した。結果を表1に示す。熱伝導率については、図3にも示す。
[比較例2]
成形断熱材の材料として、ピッチ系等方性炭素繊維(平均直径13μm)100%からなるニードリングフェルト(大阪ガスケミカル株式会社製 ドナカーボフェルト(炭素質グレード、厚み10mm、目付(坪量)500g/m)を用いた。そして、該ニードリングフェルト100質量部に対して、実施例1で使用したものと同じフェノール樹脂(レゾール系)14質量部を含浸し、プリプレグとした。
このプリプレグを10枚重ねてホットプレス機に設置し、加圧しつつ200℃で1時間保持して、フェノール樹脂を熱硬化させてプリプレグを相互に結着させ、成形体を得た。このとき、成形体の厚みが43mmとなるように加圧した。
そして、実施例1と同様の焼成工程を行って、長さ:1500mm、幅:1000mm、厚み:40mmの成形断熱材を得た。この成形断熱材のかさ密度を実施例1と同様の方法で測定したところ、0.14g/cmであった。
また、得られた成形断熱材について、実施例1と同様にして、熱伝導率、線熱膨張係数、層間剥離強度を測定した。結果を表1に示す。熱伝導率については、図3にも示す。
実施例1で得られた成形断熱材は、かさ密度が小さく、かつ、いずれの試料平均温度においても、熱伝導率が低く、断熱性能に優れていた。層間剥離強度は16kPaであり、成形断熱材の主要な機能の1つである機械加工性を充分に備えていた。層間剥離強度が5kPa程度あれば、成形断熱材の自立性を確保できるが、充分な機械加工性を確保するためには、10kPa以上であることが好ましい。
これに対して、比較例1の成形断熱材は、層間剥離強度には優れるものの、かさ密度がやや大きく、断熱性能も実施例1よりも劣った。これは比較例1の成形断熱材は、含浸工程で含浸させるフェノール樹脂の量が多く、相対的に炭素繊維量が少ないことによるものと考えられる。
比較例2の成形断熱材は、かさ密度は実施例1の成形断熱材と同等であったが、熱伝導率が高く、断熱性能が充分ではなかった。これは以下の理由によるものと考えられる。
実施例1の成形断熱材は、エアレイドウェブから形成された炭素繊維不織布を材料に用いて得られたものである。そのため、図2の走査型電子顕微鏡写真から理解できるように、多くの炭素繊維が断熱方向に対してほぼ垂直に選択的に配列しており、断熱方向に対して平行に配列した炭素繊維はほとんど認められない。断熱方向に対してほぼ垂直に配列した炭素繊維によって形成された多数の空間が、熱放射損失を生み出し、断熱効果に寄与しているものと理解できる。一方、比較例2の成形断熱材は、ニードルパンチによる炭素繊維の交絡処理を経たニードリングフェルトを材料に用いて得られたものである。そのため、ニードルパンチによる交絡処理により、ニードルパンチの進行方向に沿う炭素繊維、すなわち断熱方向に平行な方向に添う炭素繊維を多数有する。このように断熱方向に平行な炭素繊維は、高温側から低温側に熱を伝導させる。そのため、比較例2の成形断熱材は、実施例1の成形断熱材と比較して、断熱性能に劣るものと考えられる。
なお、実施例1の成形断熱材は、実用に充分な層間剥離強度を備えているが、これは、断熱方向に対して垂直に配列した炭素繊維の一部が相互に絡み合い、また、部分的に存在するフェノール樹脂の炭素化物が結合作用を奏することによるものと考えられる。
本発明によれば、かさ密度が小さく、しかも断熱性能に優れた成形断熱材を提供できる。該成形断熱材は、断熱性能に優れるため、高温電気炉等に使用した際の電力使用量を低減できることに加え、所定の断熱性能を得るために必要な成形断熱材の体積が小さくて済むため、炉内を広く有効に使用できる。また、かさ密度が小さいため、コストが低いとともに、それ自身の熱容量も小さいため、該成形断熱材を配置した炉内の総熱容量を小さく抑制でき、その点からも電力使用量を低減できる。したがって、本発明は、省エネルギーやコスト低減の点からもきわめて有用である。

Claims (6)

  1. 多数の炭素繊維からなる炭素繊維集合体を解繊する解繊工程と、
    解繊された炭素繊維に熱融着性繊維を混合し、得られた繊維混合物からエアレイドウェブを形成するウェブ形成工程と、
    前記エアレイドウェブを熱風処理して、該エアレイドウェブ中の前記炭素繊維を前記熱融着性繊維により結合させる繊維結合工程と、
    該繊維結合工程により得られた断熱材前駆体用炭素繊維不織布100質量部に対して、熱硬化性樹脂5〜30質量部を含浸させ、プリプレグを形成する含浸工程と、
    前記プリプレグを硬化し、硬化物とする硬化工程と、
    前記硬化物を焼成する焼成工程と、を有することを特徴とする成形断熱材の製造方法。
  2. 前記炭素繊維集合体が、ピッチ系等方性炭素繊維の集合体であることを特徴とする請求項1に記載の成形断熱材の製造方法。
  3. 前記繊維混合物中の炭素繊維の繊維長が、1〜10mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の成形断熱材の製造方法。
  4. 前記繊維混合物中の前記熱融着性繊維の割合が、1〜30質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形断熱材の製造方法。
  5. 前記断熱材前駆体用炭素繊維不織布の坪量が200〜1500g/mであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の成形断熱材の製造方法。
  6. 炭素繊維を含むエアレイドウェブから形成された断熱材前駆体用炭素繊維不織布と、樹脂とを用いて製造された炭素化物からなり、
    かさ密度が0.10〜0.15g/cmであることを特徴とする成形断熱材。
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