JP2008195557A - 合わせガラス用中間膜及びこれを用いた合わせガラス - Google Patents

合わせガラス用中間膜及びこれを用いた合わせガラス Download PDF

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Abstract

【課題】優れた透明性を有し、耐貫通性の温度依存性が少ないPVB樹脂層とEVA樹脂層との積層体からなる合わせガラス用中間膜を提供する。
【解決手段】エチレン酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(1)と、ポリビニルアセタール樹脂を含む樹脂層(2)とを含む積層体からなる合わせガラス用中間膜であって、
前記樹脂層(2)が、炭素原子数4〜6個のアルデヒド(a)及び炭素原子数1〜3個のアルデヒド(b)によりポリビニルアルコールをアセタール化して得られたポリビニルアセタール樹脂と、可塑剤とを含み、
前記アルデヒド(a)由来のアセタール化単位(A)及び前記アルデヒド(b)由来のアセタール化単位(B)の含有量が、前記ポリビニルアセタール樹脂の全質量に対して60〜90質量%であり、
前記アセタール化単位(A)と前記アセタール化単位(B)との質量比(A:B)が、10〜80:90〜20であることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
【選択図】図1

Description

本発明は、合わせガラス用中間膜に関し、特にエチレン酢酸ビニル共重合体を含む層と、ポリビニルブチラール樹脂を含む層との積層体からなる合わせガラス用中間膜に関する。
従来から、二枚の透明基板の間に中間膜として接着樹脂層を介在させた構造を有する合わせガラスが知られている。合わせガラスでは、中間膜の存在により、耐貫通性等が向上している。したがって、例えば自動車の合わせガラスは、盗難や侵入等を目的として破壊されても窓の開放を自由にすることができないため、防犯用ガラスとしても有用である。また外部からの衝撃に対し、破損したガラスの破片は中間膜に貼着したままとなるので、その飛散を防止している。
このような合わせガラスは、航空機、自動車のフロントガラスやサイドガラス、建築物の窓ガラス、ショーウィンドウ、水槽、プールの覗き窓、OA関連機器、事務機器、および、電気・電子機器など種々の用途に用いられている。したがって、合わせガラスは、耐貫通性や割れたガラスの飛散防止などの安全性を確保するとともに、透明性に優れ高度な外観特性を有することが必要とされている。
従来の合わせガラスにおける中間膜としては、ポリビニルブチラール樹脂(以下、「PVB」とも言う)及び可塑剤を含む組成物をシート状に成形したPVB樹脂膜が使用されている(特許文献1)。PVBは、耐衝撃性、耐貫通性などに優れる一方で、上述した水分の影響を受けやすく耐湿性が十分ではない。すなわち、高温時の湿気ないし水の透過により、経時的に中間膜において曇点(白点)を生じ、合わせガラスの外観特性、透明性の低下を招く場合があった。
そこで、PVBの代わりに耐湿性、遮音性に優れたエチレン酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA」とも言う)を含む樹脂膜が合わせガラス用中間膜として提案されている。
また、合わせガラス用中間膜では、PVB及びEVAがそれぞれ有する優れた特性を活かすことができるため、PVB樹脂層とEVA樹脂層とを積層させた積層体が使用されている(特許文献2〜4)。これにより、耐衝撃性、耐貫通性、耐湿性及び遮音性に優れる合わせガラス用中間膜が得られる。
特開2006−160562号公報 特開2004−050750号公報 特開2003−176159号公報 特開2005−213068号公報
しかしながら、上述したPVB樹脂層とEVA樹脂層とを積層させた合わせガラス用中間膜では、耐貫通性が十分ではない場合がある。すなわち、合わせガラス用中間膜は合わせガラスの使用環境によって容易に温度の影響を受け易く、合わせガラス用中間膜の耐貫通性が温度によって変化し易い問題があった。このような問題は、室温を超える高温、特に50℃以上におけるPVB樹脂層の耐貫通性の低下に基づくものと考えられる。
さらに、PVB樹脂層とEVA樹脂層との積層体では、複数の層を積層させるため厚さが厚くなり、透明性が低下する。合わせガラスの透明性は高い方が望ましいため、前記積層体の透明性の向上も必要とされている。
したがって、本発明は、優れた透明性を有し、耐貫通性の温度依存性が少ないPVB樹脂層とEVA樹脂層との積層体からなる合わせガラス用中間膜を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することを目的とする。
本発明は、
エチレン酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(1)と、ポリビニルアセタール樹脂を含む樹脂層(2)とを含む積層体からなる合わせガラス用中間膜であって、
前記樹脂層(2)が、炭素原子数4〜6個のアルデヒド(a)及び炭素原子数1〜3個のアルデヒド(b)によりポリビニルアルコールをアセタール化して得られたポリビニルアセタール樹脂と、可塑剤とを含み、
前記アルデヒド(a)由来のアセタール化単位(A)及び前記アルデヒド(b)由来のアセタール化単位(B)の含有量が、前記ポリビニルアセタール樹脂の全質量に対して60〜90質量%であり、
前記アセタール化単位(A)と前記アセタール化単位(B)との質量比(A:B)が、10〜80:90〜20であることを特徴とする合わせガラス用中間膜により、上記課題を解決する。
本発明の合わせガラス用中間膜の好適態様を以下に列記する。
(1)前記アルデヒド(a)由来のアセタール化単位(A)及び前記アルデヒド(b)由来のアセタール化単位(B)の含有量が、前記ポリビニルアセタール樹脂の全質量に対して60〜85質量%である。
(2)前記アセタール化単位(A)と前記アセタール化単位(B)との質量比(A:B)が、10〜40:90〜60である。
(3)前記樹脂層(2)が、さらに酸化防止剤を、前記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して0.1〜1.0質量部含む。
(4)前記酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤である。
(5)前記エチレン酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニルの含有量が、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の全質量に対して20〜35質量%である。
本発明によれば、広い温度範囲において優れた耐貫通性を発揮することができ、透明性、耐衝撃性、耐湿性及び遮音性に優れるに合わせガラス用中間膜を提供することができる。したがって、このような合わせガラス用中間膜は、航空機、自動車のフロントガラスやサイドガラス、建築物の窓ガラスなどとして用いられる合わせガラスに好適に用いられる。
本発明の合わせガラス用中間膜は、エチレン酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(1)と、ポリビニルアセタール樹脂を含む樹脂層(2)とを含む積層体からなる。さらに、前記樹脂層(2)として、炭素原子数4〜6個のアルデヒド(a)及び炭素原子数1〜3個のアルデヒド(b)によりポリビニルアルコールをアセタール化して得られたポリビニルアセタール樹脂と、可塑剤とを含み、
前記アルデヒド(a)由来のアセタール化単位(A)及び前記アルデヒド(b)由来のアセタール化単位(B)の含有量が、前記ポリビニルアセタール樹脂の全質量に対して60〜90質量%であり、
前記アセタール化単位(A)と前記アセタール化単位(B)との質量比(A:B)が、10〜80:90〜20であるものを用いる。
上記構成を有する樹脂層(2)は、透明性に優れるだけでなく、耐貫通性の温度依存性が少なく、特に50℃以上の高温においても優れた耐貫通性を発揮することができる。したがって、エチレン酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(1)と、ポリビニルアセタール樹脂を含む樹脂層(2)との積層体からなる合わせガラス用中間膜において、上記構成を有する樹脂層(2)を用いることにより、耐衝撃性、耐湿性及び遮音性に優れ、温度変化に関係なく優れた耐貫通性及び透明性を発揮することが可能な合わせガラス用中間膜が得られる。
(ポリビニルアセタール樹脂を含む樹脂層(2))
本発明の合わせガラス用中間膜に用いられるポリビニルアセタール樹脂を含む樹脂層(2)は、炭素原子数4〜6個のアルデヒド(a)及び炭素原子数1〜3個のアルデヒド(b)によるポリビニルアルコールのアセタール化で得られたポリビニルアセタール樹脂と、可塑剤とを含む。
炭素原子数4〜6個のアルデヒド(a)としては、n−ブチルアルデヒド、tert−ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド及びヘキシルアルデヒドなどが挙げられる。
炭素原子数1〜3個のアルデヒド(b)としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びプロピオンアルデヒドなどが挙げられる。
アルデヒド(a)及び(b)のそれぞれにおいて、アルデヒドを一種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリビニルアルコールとしては、ポリビニルアセタール樹脂の製造において従来一般的に用いられているものであればよく、平均重合度200〜4000のものを用いることができる。また、ポリビニルアルコールは、一種単独あるいは2種類以上を併用して用いることができる。
本発明において、ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールの一部又は全部をアルデヒド(a)及び(b)により縮合させてアセタール化することにより得られるものである。ポリビニルアセタール樹脂は、通常は、下記式(1)で示されるアルデヒド(a)由来のポリビニルアセタール化単位(A)、下記式(2)で示されるアルデヒド(b)由来のアセタール化単位(B)、下記式(3)で示されるポリ酢酸ビニル単位及び下記式(4)で示されるポリビニルアルコール単位を有する。
Figure 2008195557
(式中、R1は炭素原子数3〜5のアルキル基であり、R2は水素原子又は炭素原子数1もしくは2のアルキル基である。)
ポリビニルアセタール樹脂において、アルデヒド(a)由来のアセタール化単位(A)及びアルデヒド(b)由来のアセタール化単位(B)の含有量は、前記ポリビニルアセタール樹脂の全質量に対して、好ましくは60〜90質量%、より好ましくは60〜85質量%、特に好ましくは65〜75質量%である。これにより、可塑剤との相溶性に優れ、温度変化によらず十分な耐貫通性を維持できる樹脂層(2)を形成することが可能となる。
また、ポリビニルアセタール樹脂において、アセタール化単位(A)と前記アセタール化単位(B)との質量比(A:B)は、好ましくは10〜80:90〜20、より好ましくは10〜40:90〜60、特に好ましくは10〜35:90〜65である。これにより、高い透明性を有する樹脂層(2)を形成することが可能となる。
樹脂層(2)に用いられる可塑剤としては、ポリビニルアセタール樹脂用の従来公知の可塑剤を適宜選択して採用でき、一塩基酸エステル、多塩基酸エステル等の有機系可塑剤や燐酸系可塑剤が挙げられる。
一塩基酸エステルとしては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)、デシル酸等の有機酸とトリエチレングリコールとの反応によって得られるエステルが好ましく、より好ましくは、トリエチレン−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキソエート、トリエチレングリコール−ジ−カプロネート、トリエチレングリコール−ジ−n−オクトエート等である。なお、上記有機酸とテトラエチレングリコール又はトリプロピレングリコールとのエステルも使用可能である。
多塩基酸エステル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の有機酸と炭素原子数4〜8個の直鎖状又は分岐状アルコールとのエステルが好ましく、より好ましくは、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート等が挙げられる。
燐酸系可塑剤としては、トリブトキシエチルフォスフェート、イソデシルフェニルフォスフェート、トリイソプロピルフォスフェート等が挙げられる。
可塑剤の含有量は、ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、好ましくは30〜60質量部、好ましくは30〜50質量部である。これにより、耐貫通性及び成膜性に優れる樹脂層(2)を形成することができる。
樹脂層(2)は、上述したポリビニルアセタール樹脂及び可塑剤の他、酸化防止剤をさらに含むのが好ましい。これにより、成膜時に加わる熱により樹脂層(2)中に含まれる成分の劣化を防止して、高い透明性を有する樹脂層(2)を得ることが可能となる。
前記酸化防止剤は、ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、0.1〜1.0質量部、特に0.1〜0.5質量部とするのが好ましい。これにより優れた透明性を確保することができる。
酸化防止剤としては、従来公知のものを用いることができるが、高い透明性を有する樹脂層(2)が得られることから、フェノール系酸化防止剤を用いるのが好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、チオジエチレン−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド)、ジエチル((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスフェート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス(3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)、ヘキサメチレン−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス((4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどが挙げられる。その中でも、極めて透明性に優れたものとなることから、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチレンビス(オキシエチレン)ビス(3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)であることが特に好ましい。
前記樹脂層(2)には、紫外線吸収剤(UV吸収剤)として、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物及び、ヒンダードアミン系化合物などが含まれていてもよい。ベンゾフェノン系化合物が、黄変性が抑制され好ましい。
上記ベンゾフェノン系化合物の好ましい例としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルベンゾフェノン、2,2’、4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンを挙げることができ、特に2−ヒドロキシ−4−n−オクチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンが好ましい。
前記樹脂層(2)においては、上記紫外線吸収剤を、PVB100質量部に対して0.01〜3.0質量部、特に0.1〜2.0質量部、使用することが好ましい。
さらに、前記樹脂層(2)は、一般に接着力調整剤として使用される脂肪酸のアルカリ又はアルカリ土類金属塩を含んでもよい。
上記脂肪酸のアルカリ土類金属塩の例としては、ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、オクチル酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、オクチル酸カルシウム、ギ酸バリウム、酢酸バリウム、乳酸バリウム、ステアリン酸バリウム、オクチル酸バリウム等;また脂肪酸のアルカリ金属塩の例としては、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、乳酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オクチル酸カリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オクチル酸ナトリウム等を挙げることができる。
樹脂層(2)には、劣化防止などのため、安定剤、染料などの添加剤がさらに添加されていてもよい。
前記樹脂層(2)の作製は、PVB及び可塑剤の他、必要に応じて上述した各種成分を含むPVB組成物を公知の手段を用いてシート状に成形することにより行われる。例えば、前記PVB組成物をロールミル等によって充分に混和した後、通常の押出成形、カレンダー成形等によりシート状とすることができる。また、PVB組成物を溶剤に溶解させ、この溶液を適当な塗布機(コーター)で適当な支持体上に塗布、乾燥して塗膜を形成することによりシート状とすることもできる。
本発明の合わせガラス用中間膜において、前記樹脂層(2)の厚さは、薄すぎると十分な耐衝撃性、耐貫通性を得ることができず、厚すぎると積層体が厚くなり透明性が低下するため、0.05〜5mm、特に0.4〜1.2mmとするのが好ましい。
(エチレン酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(1))
次に、本発明の合わせガラス用中間膜は、上述したポリビニルブチラール樹脂を含む樹脂層(2)の他に、さらにエチレン酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(1)を有する。
前記樹脂層(1)におけるエチレン酢酸ビニル共重合体としては、酢酸ビニル単位の含有量が、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の全質量に対して20〜35質量%、特に24〜28質量%のものを用いるのが好ましい。酢酸ビニル単位の含有量が、20質量%未満であると樹脂層(1)の透明性が充分でない恐れがあり、35質量%を超えると各樹脂層を加熱圧着する際に樹脂層(1)の硬さが不十分となる恐れがある。
前記樹脂層(1)は、エチレン酢酸ビニル共重合体の他に、架橋剤を含むのが好ましい。これにより、エチレン酢酸ビニル共重合体の架橋密度を向上させることができ、優れた接着力を発現することが可能となる。
前記架橋剤としては、100℃以上の温度で分解してラジカルを発生する有機過酸化物を使用することができる。有機過酸化物は、一般に、成膜温度、組成物の調整条件、硬化温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して選択される。特に、半減期10時間の分解温度が70℃以上のものが好ましい。
前記有機過酸化物としては、樹脂の加工温度・貯蔵安定性の観点から例えば、ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジ−n−オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、スクシニックアシドパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、4−メチルベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、m−トルオイル+ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサネート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサネート、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシマレイックアシド、tert−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、等が挙げられる。
また、前記ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。また、架橋剤は1種でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
架橋剤としては、有機過酸化物、特にtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが好ましく挙げられる。この有機過酸化物であれば、エチレン酢酸ビニル共重合体の架橋密度を向上させることができる。
前記樹脂層(1)における架橋剤の含有量は、エチレン酢酸ビニル共重合体100質量部に対して、好ましくは0.05〜5.0質量部、より好ましくは0.1〜3.0質量部である。架橋剤の含有量は、多すぎると共重合体との相溶性が悪くなる恐れがある。
さらに、前記樹脂層(1)は、必要に応じて、架橋助剤を含んでいてもよい。前記架橋助剤は、エチレン酢酸ビニル共重合体のゲル分率を向上させ、合わせガラス用中間膜の機械的強度を向上させるために組成物に添加することができる。この目的に供される架橋助剤(官能基としてラジカル重合性基を有する化合物)としては、公知のものとしてトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の3官能の架橋助剤の他、(メタ)アクリルエステル(例、NKエステル等)の単官能又は2官能の架橋助剤等も挙げることができる。なかでも、トリアリルシアヌレートおよびトリアリルイソシアヌレートが好ましく、特にトリアリルイソシアヌレートが好ましい。これらの架橋助剤は、エチレン酢酸ビニル共重合体100質量部に対して、一般に10質量部以下、好ましくは0.1〜5質量部で使用される。
さらに、前記樹脂層(1)は、膜の種々の物性(機械的強度、接着性、透明性等の光学的特性、耐熱性、耐光性、架橋速度等)の改良あるいは調整、特に機械的強度の改良のため、必要に応じて、接着向上剤などの各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
前記接着向上剤は、シランカップリング剤を用いることができる。前記シランカップリング剤の例として、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。また前記接着向上剤の含有量は、エチレン酢酸ビニル共重合体100質量部に対して5質量部以下であることが好ましい。
さらに、前記樹脂層(1)には、紫外線吸収剤、光安定剤および老化防止剤を含んでいてもよい。
前記紫外線吸収剤としては、特に制限されないが、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく挙げられる。なお、上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の配合量は、エチレン酢酸ビニル共重合体100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましい。
前記光安定剤としてはヒンダードアミン系と呼ばれる光安定剤を用いることが好ましく、例えば、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63LA−63p、LA−67、LA−68(いずれも株式会社ADEKA製)、Tinuvin744、Tinuvin 770、Tinuvin 765、Tinuvin144、Tinuvin 622LD、CHIMASSORB 944LD(いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、UV−3034(B.F.グッドリッチ社製)等を挙げることができる。なお、上記光安定剤は、単独で使用しても、2種以上組み合わせて用いてもよく、その配合量は、エチレン酢酸ビニル共重合体100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましい。
前記老化防止剤としては、例えばN,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド〕等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤、ラクトン系熱安定剤、ビタミンE系熱安定剤、イオウ系熱安定剤等が挙げられる。
樹脂層(1)の厚さは、薄過ぎると十分な耐湿性、遮音性が得られず、厚過ぎると積層体が厚くなり透明性も低下することから、0.05〜5mm、特に0.2〜1.2mmとするのが好ましい。
また、樹脂層(1)と樹脂層(2)との厚さの比は、積層体に特に要求される特性に応じて適宜決定されるが、耐湿性、遮音性、耐貫通性、耐衝撃性のバランスに優れた積層体とするためには、樹脂層(2)の厚さ:樹脂層(1)の厚さ=1:0.2〜2の範囲とすることが好ましい。
なお、上記した樹脂層(1)及び樹脂層(2)の厚さは、合わせガラス用中間膜を構成する樹脂層(1)及び樹脂層(2)の総厚とする。したがって、合わせガラス用中間膜が2層以上の樹脂層(1)及び樹脂層(2)を有する場合は、それぞれの合計の厚さが上記範囲内となるようにするのが好ましい。
樹脂層(1)を作製するには、EVAの他、必要に応じて架橋剤など上述した各主成分を含むEVA組成物を用いる以外は、樹脂層(2)と同様の方法を用いて作製することができる。
なお、樹脂層(1)と樹脂層(2)とは、それぞれ別途、作製して積層する他、樹脂層(1)と樹脂層(2)との2層押出成形で、PVB/EVA複合フィルムとしたものを用いて形成しても良く、また、いずれか一方の樹脂フィルムに他方の樹脂組成物を塗工して、例えば予め成膜したPVB樹脂フィルムにEVA樹脂組成物を塗工して2層樹脂フィルムとしたものを用いて形成しても良い。
本発明の合わせガラス用中間膜は、樹脂層(1)と樹脂層(2)とを、それぞれ1層以上有する積層体であればよい。各層の積層順序などは合わせガラス用中間膜の用途に応じて決定すればよい。
例えば、合わせガラス用中間膜110が、図1に示すように、エチレン酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(1)111と、ポリビニルアセタール樹脂を含む樹脂層(2)112との2層積層体からなってもよい。これにより、優れた透明性を有し、耐貫通性の温度依存性が少ない合わせガラス用中間膜とすることができる。
また、合わせガラス用中間膜210が、図2に示すように、2層の前記ポリビニルアセタール樹脂を含む樹脂層(2)212の間に、前記エチレン酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(1)211を介在させた3層積層体からなってもよい。これにより、優れた透明性を有し、耐貫通性の温度依存性がより少ない合わせガラス用中間膜とすることができる。
また、合わせガラス用中間膜310が、図3に示すように、2層の前記エチレン酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(1)311の間に、前記ポリビニルアセタール樹脂を含む樹脂層(2)312を介在させた3層積層体であってもよい。これにより、優れた透明性を有し、耐貫通性の温度依存性が少ない合わせガラス用中間膜とすることができる。また、前記構成を有する合わせガラス用中間膜では、樹脂層(1)が最外層に配置されることにより、優れた接着性を発揮することができる。
合わせガラス用中間膜は、上記構成の他に、エチレン酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(1)と、ポリビニルアセタール樹脂を含む樹脂層(2)とを交互に少なくとも4層以上、好ましくは5〜7層積層させたものであってもよい。これにより耐貫通性をさらに向上させることができる。また、4層以上積層させたあわせガラス用中間膜では、優れた接着性を確保するために、最外層に樹脂層(1)が配置されるのが好ましい。
(合わせガラス)
上述した本発明の合わせガラス用中間膜によれば、優れた透明性を有し、耐貫通性の温度依存性が少ない樹脂層(2)を用い、さらに樹脂層(1)及び樹脂層(2)を用いることにより耐衝撃性、耐湿性及び遮音性などの基本特性にも優れる。したがって、このような合わせガラス用中間膜によれば、透明性、耐衝撃性、耐貫通性、耐湿性及び遮音性などに優れる合わせガラスを提供することができる。
本発明の合わせガラスの層構成としては、図1〜3に示すように、合わせガラス用中間膜(110、210、310)を、2枚の透明基板(120、220、320)の間に狭持して接着一体化させた構成などが挙げられる。前記接着一体化は、樹脂層(1)に含まれるエチレン酢酸ビニル共重合体を架橋することにより行われるのが好ましい。
このような合わせガラスを作製するには、合わせガラス用中間膜を2枚の透明基板の間に狭持して未圧着積層体を得た後、この未圧着積層体を脱気し、加熱圧着する手段などが用いられる。加熱圧着することにより、合わせガラス用中間膜と透明基板とを接着一体化することができる。
加熱圧着は、例えば80〜120℃の温度で予備圧着し、100〜150℃(特に130℃付近)で、10分〜1時間加熱処理することにより行われる。架橋後の冷却は一般に室温で行われるが、特に、冷却は速いほど好ましい。
なお、本発明において、合わせガラスにおける「ガラス」とは透明基板全般を意味するものであり、したがって「合わせガラス」とは透明基板に中間膜を挟持してなるものを意味する。
合わせガラスに用いられる透明基板としては、特に限定されないが、例えば珪酸塩ガラス、無機ガラス板、無着色透明ガラス板などのガラス板の他、プラスチックフィルムを用いてもよい。前記プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンアフタレート(PEN)フィルム、ポリエチレンブチレートフィルムを挙げることができ、PETフィルムが好ましい。透明基板の厚さは、1〜20mm程度が一般的である。
合わせガラスにおいて中間膜の両側に配置されるそれぞれの透明基板は、同一の透明基板を用いてもよく、異なる透明基板を組み合わせて用いてもよい。透明基板の強度と合わせガラスの用途とを考慮して、透明基板の組み合わせを決定するのが好ましい。
本発明の合わせガラスにおける透明基板が、一方がガラス板で、他方がプラスチックフィルムである場合、耐衝撃性、耐貫通性、透明性等において適度な性能を有するように設計することもできる。このため、例えば各種車体、ビル等に装備される窓ガラス等のガラス、又はショーケース、ショーウインド等のガラスに使用することができる。
また、透明基板が共にガラス板の場合は、特に優れた耐衝撃性、向上した耐貫通性を示すように設計することができ、合わせガラスを含む種々な用途に使用することができる。
一方がプラスチックフィルムの合わせガラス、例えば自動車のサイドガラス及び嵌め込みガラスの場合、フロントガラス程の厚さは必要としないため、プラスチックフィルム3の厚さは、0.02〜2mmの範囲が一般的であり、0.02〜1.2mmの範囲が好ましい。中間膜及びプラスチックフィルムの厚さは、当該ガラスを使用する場所等に応じて変えることができる。
本発明で使用されるガラス板は、通常珪酸塩ガラスである。ガラス板厚は、フィルム強化ガラスの場合、それを設置する場所等により異なる。例えば、自動車のサイドガラス及び嵌め込みガラスに使用する場合、フロントガラスのように厚くする必要はなく、0.1〜10mmが一般的であり、0.3〜5mmが好ましい。前記1枚のガラス板1は、化学的に、或いは熱的に強化させたものである。
自動車のフロントガラス等に適当な両方がガラス板である合わせガラスの場合は、ガラス板の厚さは、0.5〜10mmが一般的であり、1〜8mmが好ましい。
本発明の合わせガラスが透明基板としてプラスチックフィルムを有する場合、プラスチックフィルム表面にはさらにハードコート層を有するのが好ましい。これに合わせガラスに耐傷付き性を付与することができる。
ハードコート層に使用される樹脂としては、紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂が使用される。ハードコート層の層厚は、一般に1〜50μm、好ましくは3〜20μmの範囲である。
紫外線硬化性樹脂としては、公知の紫外線硬化性樹脂を使用することができ、その他ハードコート処理に適した低分子量且つ多官能な樹脂であれば、特に限定されるものではない。この紫外線硬化性樹脂は、例えばエチレン性二重結合を複数有するウレタンオリゴマー、ポリエステルオリゴマー又はエポキシオリゴマー等のオリゴマー、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)、ペンタエリスリトールテトラメタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPEHA)等の一官能又は多官能オリゴマーなどが挙げられる。樹脂には、反応性稀釈剤、光重合開始剤などがさらに使用される。オリゴマー、反応性稀釈剤及び開始剤は、それぞれ一種用いても良く、二種以上組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂としては、反応性アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を利用することができ。前記紫外線硬化性樹脂も使用することもできる。
紫外線硬化性樹脂を用いてハードコート層を形成する場合、紫外線硬化性樹脂をそのまま、又は有機溶剤で適当な濃度に稀釈して、得られた溶液を適当な塗布機(コーター)で適当なフィルム上に塗布し、必要により乾燥した後、直接又は剥離シートを介して(真空脱気後)UVランプにて紫外線を数秒〜数分間照射し、ハードコート層を形成することができる。UVランプとしては、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ等使用することができる。
熱硬化性樹脂を用いてハードコート層を形成する場合、熱硬化性樹脂の有機溶剤溶液を、適当な塗布機(コーター)で適当なフィルム上に塗布し、必要により剥離シートを設け、ラミネータ等にて脱気後、熱硬化、熱圧着を行う。剥離シートを用いない場合は、加熱、圧着前に、60秒程度乾燥して塗布層の溶剤を蒸発させ表面が粘着しない程度に乾燥させることが好ましい。剥離シートを使用する場合も、少し乾燥して剥離シートを設けることが好ましい。
以下、本発明を実施例により説明する。本発明は、以下の実施例により制限されるものではない。
(実施例1)
1.EVAを含む樹脂層(1)の作製
樹脂層(1)の作製は、以下のように行なった。すなわち、以下に示す化合物を約80℃に加熱したロールミルによって充分に混和することによってEVA組成物を得、このEVA組成物を厚さ0.1mmのポリエチレンテレフタレートフィルム間に挟み、プレス成形機にて90℃、10MPaでプレス成形した。放冷し室温になった後にポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して、樹脂層(1)(厚さ0.2mm、大きさ50mm×50mm)を得た。
EVA組成物配合:
(1)EVA(EVA100質量部に対して酢酸ビニルの含有量26質量%)100質量部
(2)有機過酸化物(tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート)2.5質量部
(3)架橋助剤(トリアリルイソシアヌレート)2質量部
(4)添加剤(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)0.5質量部
(5)紫外線吸収剤(2,2’−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノン)0.15質量部
2.PVBを含む樹脂層(2)の作製
樹脂層(2)の作製を、以下のように行った。すなわち、以下に示す化合物を約80℃に加熱したロールミルによって充分に混和することによってPVB組成物を得、このPVB組成物を厚さ0.1mmのポリエチレンテレフタレートフィルム間に挟み、プレス成形機にて120℃、10MPaでプレス成形した。放冷し室温になった後にポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して、樹脂層(2)(厚さ0.76mm、大きさ50mm×50mm)を作製した。
PVB組成物配合:
(1)PVB(平均重合度1750、全アセタール化度83質量%、アセトアルデヒドによるアセタール化度26質量%、ブチルアルデヒドによるアセタール化度57質量%)100質量部
(2)可塑剤1(トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート)35質量部
(3)酸化防止剤(1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;アデカスタブA−330 旭電化工業(株)製)0.5質量部
3.合わせガラスの作製
上記で作製した樹脂層(1)及び樹脂層(2)を、樹脂層(1)/樹脂層(2)/樹脂層(1)の順となるように積層し、得られた積層体を二枚のケイ酸塩ガラス板(厚さ2.5mm)の間に挟み、ゴム袋にいれて真空脱気し、110度の温度で予備圧着した。次に、予備圧着した積層体をオートクレーブ中に入れ、温度140℃、1MPaの圧力で、
30分間、加圧処理して合わせガラス(大きさ50mm×50mm)を作製した。
(比較例1)
樹脂層(2)の作製において、PVB(平均重合度1750、全アセタール化度80質量%、アセトアルデヒドによるアセタール化度0質量%、ブチルアルデヒドによるアセタール化度80質量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
(評価)
上記で作製した各合わせガラスについて、以下の手順に従って評価した。結果はまとめて表1に示す。
1.へイズ
スガ試験機製カラーコンピューターSM−3型を用いて合わせガラスのヘイズ値を3箇所測定し、その各平均値を求めた。
2.光線透過率
全自動直読ヘイズコンピューターHGM−2DP(スガ試験機株式会社製)を用いて、合わせガラスの厚み方向の全光線透過率を測定した。前記測定を合わせガラスにおいて3箇所、実施し、その平均値を、合わせガラスの全光線透過率とした。
3.耐貫通性
JIS R 3201(年度1998)の落球試験を、落球高さを4mとし、23℃、40℃、60℃の温度雰囲気下で行った。合わせガラスに、球が貫通しなかったものを「○」、球が貫通したものを「×」とする。
Figure 2008195557
本発明の一実施形態である合わせガラス用中間膜の断面図を示す。 本発明の一実施形態である合わせガラス用中間膜の断面図を示す。 本発明の一実施形態である合わせガラス用中間膜の断面図を示す。
符号の説明
110、210、310 合わせガラス用中間膜、
111、211、311 エチレン酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(1)、
112、212、312 ポリビニルアセタール樹脂を含む樹脂層(2)、
120A、120B、220A 透明基板、
220B、320A、320B 透明基板。

Claims (15)

  1. エチレン酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(1)と、ポリビニルアセタール樹脂を含む樹脂層(2)とを含む積層体からなる合わせガラス用中間膜であって、
    前記樹脂層(2)が、炭素原子数4〜6個のアルデヒド(a)及び炭素原子数1〜3個のアルデヒド(b)によりポリビニルアルコールをアセタール化して得られたポリビニルアセタール樹脂と、可塑剤とを含み、
    前記アルデヒド(a)由来のアセタール化単位(A)及び前記アルデヒド(b)由来のアセタール化単位(B)の含有量が、前記ポリビニルアセタール樹脂の全質量に対して60〜90質量%であり、
    前記アセタール化単位(A)と前記アセタール化単位(B)との質量比(A:B)が、10〜80:90〜20であることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
  2. 前記アルデヒド(a)由来のアセタール化単位(A)及び前記アルデヒド(b)由来のアセタール化単位(B)の含有量が、前記ポリビニルアセタール樹脂の全質量に対して60〜85質量%であることを特徴とする請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
  3. 前記アセタール化単位(A)と前記アセタール化単位(B)との質量比(A:B)が、10〜40:90〜60であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  4. 前記樹脂層(2)が、さらに酸化防止剤を、前記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して0.1〜1.0質量部含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  5. 前記酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤であることを特徴とする請求項4に記載の合わせガラス用中間膜。
  6. 前記エチレン酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニルの含有量が、前記エチレン酢酸ビニル共重合体の全質量に対して20〜35質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  7. 前記積層体が、エチレン酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(1)と、ポリビニルアセタール樹脂を含む樹脂層(2)との2層積層体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  8. 前記積層体が、2層の前記ポリビニルアセタール樹脂を含む樹脂層(2)の間に、前記エチレン酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(1)を介在させた3層積層体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  9. 前記積層体が、2層の前記エチレン酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(1)の間に、前記ポリビニルアセタール樹脂を含む樹脂層(2)を介在させた3層積層体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  10. 前記積層体が、エチレン酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(1)と、ポリビニルアセタール樹脂を含む樹脂層(2)とを交互に少なくとも4層以上積層させたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜を、2枚の透明基板の間に狭持して接着一体化されてなる合わせガラス。
  12. 前記エチレン酢酸ビニル共重合体が架橋されることにより接着一体化されてなる請求項11に記載の合わせガラス。
  13. 前記2枚の透明基板の一方がガラス板で、他方がプラスチックフィルムである請求項11又は12のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  14. 前記プラスチックフィルムが、ポリエチレンテレフタレートからなる請求項13に記載の合わせガラス用中間膜。
  15. 前記プラスチックフィルム上にハードコート層をさらに有する請求項13又は14のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
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