JP2006160562A - 熱可塑性樹脂シート及び透明積層板 - Google Patents

熱可塑性樹脂シート及び透明積層板 Download PDF

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Abstract

【課題】自着力が低く、合わせガラス製造時の作業性に優れた合わせガラスの中間膜として用い得る熱可塑性樹脂シートを提供する。
【解決手段】可塑剤と、炭素数4〜6のアルデヒドからなる群から選択された少なくとも1種のアルデヒド及び炭素数1〜3のアルデヒドからなる群から選ばれた少なくとも1種のアルデヒドによるポリビニルアルコールの共アセタール化で得られた共アセタール化物であるポリビニルアセタール樹脂からなる熱可塑性樹脂シートであって、前記第1のアルデヒド由来のアセタール化ユニットを重合体ユニット(X)、第2のアルデヒド由来のアセタール化ユニットを重合体ユニット(Y)としたときに、重合体ユニット(X)と重合体ユニット(Y)の合計が、該共アセタール化物全体の55モル%以上を占め、かつ第1の重合体ユニット(X)の割合が20〜80モル%であることを特徴とする熱可塑性樹脂シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビニルアセタール系樹脂層を用いた熱可塑性樹脂シート及び透明積層板に関し、例えば車両等に用いられる合わせガラスの中間膜に好適に用いられる熱可塑性樹脂シート及び該熱可塑性樹脂シートを用いた透明積層板に関する。
自動車、鉄道車両、航空機等の交通機関や、建築物において、窓などに取り付けられるガラスとして合わせガラスが広く用いられている。合わせガラスでは、透明な第1のガラス板もしくは樹脂板と、透明な第2のガラス板もしくは樹脂板との間に中間膜として熱可塑性樹脂シートが介在されている。熱可塑性樹脂シートを間に存在させることにより、合わせガラスは割れ難くされている。
合わせガラスなどの積層構成体を製造するときに中間膜として用いられる熱可塑性樹脂シートでは、接着性、耐候性、耐貫通性、透明性などが良好であることのほかに、保管中に中間膜同士がブロッキングしないこと、並びにガラス板の間に中間膜を挟む際の取り扱い性や作業性が良好であること等が要求される。
ところが、中間膜では表面における粘着性が強いため、ブロッキングし易い、すなわち自着力が比較的高いという問題があった。そのため、製膜後の巻き取り時に中間膜同士が合着しがちであった。このような合着を防ぐために、膜表面にエンボス加工を施し、更に重炭酸ソーダなどの粘着防止剤を散布したりしていた。しかし、このような方法では、中間膜とガラスとを接着する際には、事前に粘着防止剤を除去しなければならない。従って、粘着防止剤を除去するための水洗工程および、その後の中間膜の含水率調整のための乾燥工程を施さねばならなかった。
下記の特許文献1においては、中間膜として用いられるポリビニルブチラール樹脂の水酸基の連鎖状態を制御することにより、中間膜の中の水酸基の会合状態を調整し、かつ水素結合力を制御することにより自着力を改善する試みがなされている。しかし、樹脂の反応条件の制御のみで、固体である樹脂中の水酸基の連鎖状態を調整することは難しく、また、水酸基の連鎖状態が均一な樹脂を生成することは困難であった。従って、このような方法にて製造された樹脂を使用して中間膜を製造した場合、水酸基の連鎖状態が、中間膜中で不均一になりがちであった。よって、自着力が不均一になり、合わせガラス作成時の中間膜の巻き出し強度が不均一になることがあった。
特公昭61−46425号公報
上記のように、従来のポリビニルブチラール樹脂を用いた中間膜では、ブロッキングを防止すること、すなわち中間膜同士が自着する現象を抑制することが困難であった。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、車両等の合わせガラスの中間膜に好適に用いることができる物性を有するだけでなく、自着力を低くすることが可能とされている熱可塑性樹脂シート及び該熱可塑性樹脂シートを用いた透明積層板を提供することにある。
本願発明によれば、可塑剤と、炭素数4〜6のアルデヒドからなる群から選択された少
なくとも1種のアルデヒド(a)及び炭素数1〜3のアルデヒドからなる群から選ばれた少なくとも1種のアルデヒド(b)によるポリビニルアルコールの共アセタール化で得られた共アセタール化物であるポリビニルアセタール樹脂からなる熱可塑性樹脂シートであって、前記第1のアルデヒド(a)由来のアセタール化ユニットを重合体ユニット(X)、第2のアルデヒド(b)由来のアセタール化ユニットを重合体ユニット(Y)としたときに、重合体ユニット(X)と重合体ユニット(Y)の合計が、該共アセタール化物全体の55モル%以上を占め、かつ第1の重合体ユニット(X)の割合が20〜80モル%であることを特徴とする熱可塑性樹脂シートが提供される。
本発明に係る熱可塑性樹脂シートでは、好ましくは、前記共アセタール化物において、重合体ユニット(Y)と、重合体ユニット(X)とのモル比である重合体ユニット(Y)/重合体ユニット(X)が3.5未満とされている。
また、本発明の他の特定の局面では、可塑剤と、炭素数4〜6のアルデヒドからなる群から選択された少なくとも1種のアルデヒド(a)によるポリビニルアルコールのアセタール化で得られた第1のポリビニルアセタール樹脂を含む第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)と、本発明に従って構成された熱可塑性樹脂シートからなる第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)とが積層された構造を有する積層型の熱可塑性樹脂シートであって、積層型の熱可塑性樹脂シートの両面が第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)とされていることを特徴とする熱可塑性樹脂シートが提供される。
すなわち、上記積層型の熱可塑性樹脂シートは、前述した本発明の熱可塑性樹脂シートからなる第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)に加えて、上記第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)を積層した構造を有し、かつ積層体の両面に第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)が配置されていることを特徴とする。
本発明に係る積層型の熱可塑性樹脂シートの他の特定の局面では、積層型の熱可塑性樹脂シートに配される第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)の23℃においての中間膜同士の90°剥離試験における接着力が0.25N/cm以下である。
本発明に係る積層型の熱可塑性樹脂シートのある特定の局面では、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)同士、及び第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)同士の23℃においての90°剥離試験における接着力をそれぞれ、P(A)、P(B)としたときに、P(B)/P(A)が1.0未満とされている。
本発明に係る積層型熱可塑性樹脂シートのさらに他の特定の局面では、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)の23℃及び80Hzにおける剪断貯蔵弾性率をG(A)、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)の23℃及び80Hzにおける剪断貯蔵弾性率をG(B)としたときに、G(B)/G(A)が1.0〜10の範囲内とされている。
本発明に係る積層型熱可塑性樹脂シートのさらに別の特定の局面では、23℃及び引っ張り歪み速度1250%/分で測定された第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)の引っ張り弾性率を引っ張り弾性率(B)、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)の引っ張り弾性率を引っ張り弾性率(A)としたときに、引っ張り弾性率(B)/引っ張り弾性率(A)が1.1以上とされている。
本発明に係る積層型熱可塑性樹脂シートのさらに別の特定の局面では、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)の可塑剤含有割合を可塑剤含有率(A)とし、第2のポリビニルアセタール樹脂中の可塑剤含有割合を可塑剤含有率(B)としたときに、可塑剤含有率(A)/可塑剤含有率(B)が1〜3の範囲内とされている。
本発明に係る透明積層板は、本発明の熱可塑性樹脂シートが一対の透明板に吸着されていることを特徴とする。
以下、本発明の詳細を説明する。
まず、前述した積層型の熱可塑性樹脂シートの第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)及び第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)を説明することとする。
(第1のポリビニルアセタール樹脂層(A))
本発明の熱可塑性樹脂シートにおいて、上記第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)は、可塑剤と、炭素数4〜6のアルデヒドからなる群から選択された少なくとも1種のアルデヒド(a)によるポリビニルアルコールのアセタール化で得られた第1のポリビニルアセタール樹脂とを含む層である。
上記炭素数4〜6のアルデヒドとしては、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒドなどを挙げることができ、特にn−ブチルアルデヒドが好ましい。
第1のポリビニルアセタール樹脂は、これらのアルデヒドから選択された少なくとも1種のアルデヒド(a)によりポリビニルアルコールをアセタール化することにより得られる。
上記ポリビニルアルコールについては好ましくは平均重合度が500〜4500の範囲のポリビニルアルコールが用いられ、より好ましくは1000〜2500のPVAが用いられる。PVAの平均重合度が500未満では、合わせガラスを構成した場合に耐貫通性能が低下することがあり、3000を超えると押出し成形が悪くなり、中間膜の強度が大きくなりすぎ、安全ガラスとして使用できなくなることがある。
上記第1のポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール化度は、40〜70モル%が好ましい。アセタール化度が40モル%未満では、可塑剤との相溶性が悪くなり、可塑剤がブリードアウトする。従って、本発明の熱可塑性樹脂シートからなる中間膜と、ガラスとの接着力が低下するなどの悪影響が生じるおそれがある。アセタール化度が70モル%を超えると、中間膜が柔らかくなりすぎ、十分な耐貫通性能を発現しなくなることがある。
上記可塑剤としては、従来より使用されているものすべてを用いることができ、例えば、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−カプリエート等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
(第2のポリビニルアセタール樹脂層(B))
本発明において、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)は、炭素数4〜6のアルデヒドからなる群から選択された少なくとも1種のアルデヒド(a)及び炭素数1〜3のアルデヒドからなる群から選択された少なくとも1種のアルデヒド(b)によるポリビニルアルコールの共アセタール化で得られた第2のポリビニルアセタール樹脂と、可塑剤とを含む。
アルデヒド(a)については、前述した第1のポリビニルアセタール樹脂を得るのに用いたアルデヒド(a)と同様のアルデヒドを用いることができる。
また、アルデヒド(b)としては、炭素数1〜3のアルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドを用いることができる。アルデヒド(b)についても2種以上が併用されてもよい。
上記、ポリビニルアルコールをアルデヒド(a)、および(b)で共アセタール化して得られる第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)において、第1のアルデヒド(a)由来のアセタール化ユニットを重合体ユニット(X)、第2のアルデヒド(b)由来のアセタール化ユニットを重合体ユニット(Y)としたときに、重合体ユニット(X)と重合体ユニット(Y)の合計は、少なくなると可塑剤との相溶性が悪くなり、ブリードアウトなどの問題が発生するので共アセタール化物全体の55モル%以上とされる。また、最終的に得られる構成体の耐貫通性能が全温度域にわたって性能を発揮するために、第1の重合体ユニット(X)の割合が重合体ユニット(X)と重合体ユニット(Y)の合計量に対して、20〜80モル%の範囲とされる。
また、第2のポリビニルアセタール樹脂を得るためのポリビニルアルコールについても、第1のポリビニルアセタール樹脂を得るのに用いたポリビニルアルコールと同様の平均重合度のものを用いることができる。
第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)に含有される可塑剤としては、前述した第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)に含有される可塑剤として示したものを用いることができるが、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)と第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)に同一の可塑剤を用いても良いし、種類の異なる可塑剤を用いてもよい。
また、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)の両面に第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)を積層する場合には、両層のポリビニルアセタール樹脂層(B)の可塑剤としては、種類の異なる可塑剤を用いても、同一の種類の可塑剤を用いてもよい。上記第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)は、比較的剛性が高く、かつ自着力が小さいという特徴を有する。
すなわち、一般に、ポリビニルアセタール樹脂層を用いた中間膜において剛性を高めるには、(1)ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度を低下させる方法、(2)中間膜に含まれている可塑剤の量を少なくする方法、あるいは(3)ポリビニルアセタール樹脂中の水酸基の連鎖状態を調整し、水素結合力を強化する方法などが考えられる。
しかしながら、(1)のポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度を低下させる方法では、アセタール化度が低くなりすぎると、可塑剤との相溶性が低下する。また、アセタール化度が高過ぎると、合わせガラスを構成した場合の種々の物性、例えば、耐貫通性能が低下したり、自着力が強くなりすぎ、取り扱い性が悪くなることがある。従って、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、通常、60〜75モル%の範囲が好ましいと考えられている。ところが、このような範囲では、自着力を十分に低くすることはできなかった。
また、(2)の中間膜中の可塑剤の量を少なくする方法では、中間膜が固くなりすぎ、中間膜の巻取りができなくなるおそれがあった。また、低温における中間膜の耐貫通性能が極端に低下し、合わせガラスにおいて求められる耐貫通性能を満足できなくなるおそれがあった。
さらに、(3)の樹脂の反応条件を制御する方法により、水酸基の連鎖状態を調整することは現実には困難であった。そのため、このような方法で製造された樹脂を用いて中間
膜を製造した場合、水酸基の連鎖状態が中間膜中で不均一であるため、自着力も不均一となりがちであった。従って、合わせガラスを作製した場合、中間膜の巻出し強度が均一にならないという問題があった。
これに対して、本発明における第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)を構成している共アセタール化物は、通常のポリビニルブチラールに比べて剛性が高い。そのため、可塑剤の含有量がある程度多い場合であっても、自着力を低減することが可能となる。
(本発明の単層の熱可塑性樹脂シート)
本発明では、上記第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)と同様に構成された単層の熱可塑性樹脂シートも提供される。この単層の熱可塑性樹脂シートでは、上記ポリビニルアルコールの上記共アセタール化物により構成されているため、前述したように、可塑剤がある程度含有されていたとしても、剛性が高く、自着力が小さい。この理由は、内層が上記重合体ユニット(X),(Y)を特定の割合で含む共アセタール化物からなるポリビニルアセタール樹脂を用いて構成されていることによる。つまり、アルデヒド(a)は分子構造が大きく、アセタール化された時の立体障害が大きいので、生成されたアセタール樹脂は柔軟になる。本発明においては、アルデヒド(a)よりも立体障害の小さいアルデヒド(b)を部分的に用いることで、分子間の距離を短くし、分子間力をより強固にし、アルデヒド(a)のみを用いて製造されたアセタール樹脂よりも樹脂の剛性を向上させている。さらに、本発明のポリビニルアセタール樹脂(B)は前記の様な特徴を持っているので、ポリビニルアセタール樹脂層(B)は、より多くの可塑剤を含有しているにもかかわらず、ポリビニルアセタール樹脂層(A)よりも剛直にすることが可能である。従って、本発明により提供される単層の熱可塑性樹脂シートを製膜し、ロールに巻回した場合、ロールから無理なく引き出すことができる。よって、本発明により提供される上記単層の熱可塑性樹脂シートは、予め単層の熱可塑性樹脂シートとし成形された後、ロールに巻回された状態で用意し、他の樹脂シートとの積層に対しロールから容易に繰り出すことができる。
後述するように、本発明の積層型熱可塑性樹脂シートを製造するに際しては、一般に共押出法が用いられるが、本発明により提供される単層の熱可塑性樹脂シートは、上記共押出法により得られる積層型の熱可塑性樹脂シート以外の積層型の熱可塑性樹脂シートを製造する用途、あるいは単層の該熱可塑性樹脂シートのみを用いる様々な用途に用いることができる。
(積層型熱可塑性樹脂シート及びその積層構造)
本発明のある局面によれば、前述した第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)と、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)とが積層されている積層型の熱可塑性樹脂シートが提供される。この場合、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)が積層体の両面に配置されるように、第1,第2のポリビニルアセタール樹脂層(A),(B)が積層されている。
第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)は、前述した共アセタール化物からなり、可塑剤をある程度含有していても剛性が高く、自着力が低い。従って、本発明により構成される積層型熱可塑性樹脂シートは、自着力が低く、取り扱いが容易である。
よって、本発明に係る積層型の熱可塑性樹脂シートを合わせガラスの中間膜として用いた場合、自着力が低く取り扱いが容易な中間膜を提供することができる。
なお、積層構造における第1,第2のポリビニルアセタール樹脂層(A),(B)の積層態様は、両面に第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)が配置される限り、特に限定
されない。好ましい積層構成としては、a)層(B)/層(A)/層(B)の3層積層膜、b)層(B)/層(A)/層(B)/層(A)/層(B)の5層積層膜等が例示される。3層以上の積層膜の場合では、表層の少なくともいずれか一方が層(B)であれば、積層構成が非対称であってもよい。
上記層(B)/層(A)/層(B)の3層積層膜が好ましい理由は、層(A)と層(B)の動的粘弾性の相対的関係の他に、得られる中間膜の合わせ加工法において、通常のPVB系中間膜と同様に良好な作業性が得られる点にある。
上記のように、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)−第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)−第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)の3層構造の積層構造に限らず、積層方向両側に第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)が配置されている限り、その間には2以上の第1,第2のポリビニルアセタール樹脂層(A),(B)が適宜の態様で積層されていてもよい。
本発明に係る積層型の熱可塑性樹脂シートでは、両面が自着力の低いポリビニルアセタール樹脂層(B)で構成されているが、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)が積層構造中に配置されている。第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)は、自着力が高いものの、可塑剤を含有させることにより、十分な柔軟性を有するように構成されている。従って、第1,第2のポリビニルアセタール樹脂層(A),(B)を積層した本発明の積層型熱可塑性樹脂シートでは、全体の柔軟性が十分な大きさとされ、例えば湾曲したガラスにも無理なく追随し得る中間膜として好適に用いることができる。
(好ましい態様)
本発明においては、好ましくは、上記第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)を構成している共アセタール化物において、重合体ユニット(Y)と、重合体ユニット(X)との重合体ユニット比、重合体ユニット(Y)/重合体ユニット(X)がモル比で3.5未満とされる。3.5未満とすることにより、可塑剤をブリードアウトさせることなく相溶させることができる。好ましくは、1.0〜2.0である。
また、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)と第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)から構成される積層体構成の熱可塑性樹脂シートにおいては、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)の両面に配される第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)同士の23℃においての90°剥離試験における接着力が0.25N/cm以下である。23℃における第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)同士、及び第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)同士の90°剥離試験における接着力をP(A)、P(B)としたときに、P(B)/P(A)が1.0未満とされる。中間膜同士の層の接着力が低い層同士が接触するので、中間膜同士が接着しにくく、合わせガラス作成時の中間膜の巻出し強度を均一にすることができ、安定して、合わせガラスを製造することが可能となる。より好ましくは、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)同士の接着力が0.1N/cm以下であり、かつ、P(B)/P(A)が0.5以下である。
また、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)と第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)から構成される積層体構成の熱可塑性樹脂シートにおいては、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)の23℃及び10Hzにおける剪断貯蔵弾性率をG(A)、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)の23℃及び10Hzにおける剪断貯蔵弾性率をG(B)としたときに、G(B)/G(A)を1.0〜10の範囲として、より剛性の高い第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)同士が接触するような構成体とすることが好ましい。
また、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)と第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)から構成される積層体構成の熱可塑性樹脂シートにおいては、好ましくは、23℃及び引っ張り歪み速度1250%/分で測定された第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)の引っ張り弾性率を引っ張り弾性率(B)、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)の引っ張り弾性率を引っ張り弾性率(A)としたときに、引っ張り弾性率(B)/引っ張り弾性率(A)が1.1以上とされる。好ましくは10以上である。この場合には、第2のポリビニルアセタール樹脂層の23℃における引っ張り弾性率が上記特定の割合で高められているため、より剛性を高めることができ、常温における中間膜同士の接着力をより一層低下させることができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂シートの製造に用いられるポリビニルアルコールの重合度については特に制約されないが、重合度が低いと耐貫通性能などの諸特性を満足出来ない可能性があり、重合度が高くなると、中間膜の強度が高くなりすぎて押し出し成型性が悪くなる場合がある。しかし、高重合度のポリビニルアルコールを用いて中間膜の強度をさらに高めた第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)を第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)の両面に配して、自着力をさらに改善することも可能である。
本発明に係る積層体構成の熱可塑性樹脂シートでは、好ましくは、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)の可塑剤含有割合を可塑剤含有率(A)とし、第2のポリビニルアセタール樹脂中の可塑剤含有割合を可塑剤含有率(B)としたときに、可塑剤含有率(A)/可塑剤含有率(B)が1〜3の範囲内とされる。可塑剤含有率(A)/可塑剤含有率(B)を1〜3倍の範囲とすることにより、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)を相対的に硬くし、中間膜同士の接着力をより一層低下させることができる。好ましくは1〜2である。この可塑剤含有比率が1倍未満では、積層体構成の熱可塑性樹脂シート全体が剛直となり、柔軟性が不充分となり、例えば湾曲したガラスに追随することができなくなる。また、3倍を超えると第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)が柔らかくなりすぎ成形が困難となったり、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)が硬くなりすぎ、柔軟性が損なわれるおそれがある。
本発明に係る単層体構成及び/または積層体構成の熱可塑性樹脂シートでは、ポリビニルアセタール樹脂層(A)及び/または(B)に機能性微粒子が含有されていても良い。このような機能性微粒子としては特に限定されないが、ITO、LaB6などの中赤外線
吸収作用や近赤外線吸収作用を有する微粒子が好適に用いられる。このような微粒子の含有により、遮熱機能を熱可塑性樹脂シートに持たせることができる。
本発明に係る単層体構成及び/または積層体構成の熱可塑性樹脂シートでは、好ましくは、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)及び/または第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)に架橋ポリビニルブチラール樹脂が含有されていても良い。また、第1のポリビニルアセタール樹脂(A)、及び/または第2のポリビニルアセタール樹脂(B)が分子間架橋されたポリビニルアセタール樹脂であり、それらが積層されたものでも良い。さらに第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)及び/または第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)を架橋させることにより、より剛性を高め、中間膜同士の接着力を低下させてもよい。このとき、熱可塑性樹脂層の剛性をより高めるには第2のポリビニルアセタール層(B)を架橋するのが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂を架橋する場合、ポリビニルアセタール樹脂を架橋する方法としては、例えば、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドなどのアルデヒドによりアセタール化する際に、グルタルアルデヒドのようなジアルデヒドを用いて、分子間をジアセタール結合により軽度に架橋させる方法;ポリビニルアルコールのアセタール化反応において目的のアセタール化度の少なくとも90%に達した後、これに酸触媒を追加して、60〜95℃で反応させることにより、ポリビニルアセタール分子間をモノブチラール結合によって架橋する方法;得られたポリビニルアセ
タール樹脂に残存する水酸基と反応する架橋剤を添加し、水酸基を架橋する方法などが挙げられる。水酸基と反応する架橋剤としては、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、ホウ酸化合物などが挙げられる。
(ポリビニルアセタール樹脂層(A)または(B)に含有させ得る他の成分)
中間膜のガラスとの接着力を調節する目的で、上記ポリビニルアセタール樹脂層(A)及び/または(B)には、カルボン酸金属塩、変性シリコーンオイル等の他の成分を添加することができる。
上記カルボン酸金属塩としては、炭素数12以下の脂肪族モノカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩が好ましく、金属成分としてはMg、Na、K等、カルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸等がそれぞれ挙げられる。上記好ましいカルボン酸金属塩としては、例えば、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム等が挙げられ、中でも酢酸カリウム、酢酸マグネシウムが好ましい。
上記変性シリコーンオイルとしては、例えば、エーテル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エステル変性シリコーンオイル、アミン変性シリコーンオイル、アルカリ変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらは、一般にポリシロキサンに変性すべき化合物を反応せしめて得られる粘稠な液体である。
また、必要に応じて、従来公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、染料等が添加されてもよい。
本発明に係る熱可塑性樹脂シートの厚みは特に限定されないが、該熱可塑性樹脂シートを合わせガラスの中間膜として用いる場合、熱可塑性樹脂シートの厚みは0.3〜1.6mmが好ましい。厚さは厚い方がより耐貫通性能が優れるが、合わせガラスとして最低限必要な耐貫通性能を考慮すると、上記範囲が好ましい。
上記熱可塑性樹脂シートは単層体であっても、複層体であっても良いが、熱可塑性樹脂シート自体の柔軟性を維持するためには、第1のポリビニルブチラール樹脂層(A)を内部に含有し、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)を表層に配した構成が好ましい。また、積層構成とした場合の第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)の厚みは積層中間膜全体の柔軟性を維持するために、中間膜全体の10%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上である。
また、本発明の積層型熱可塑性樹脂シートの製造方法としては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂層(A)とポリビニルアセタール樹脂層(B)を形成する膜をそれぞれ別々に成膜する方法;ポリビニルアセタール樹脂層(A)とポリビニルアセタール樹脂層(B)を多層成形機を用いて一体成形する方法等、従来公知の種々の方法が採用される。しかし、合わせガラス製造時の作業の容易さの点より、合わせガラス製造に使用する中間膜は1枚であることが好ましい。従って、積層構成体を合わせガラス製造に使用するときには、多層成形機を用いて一体成形された中間膜を用いるのが好ましい。
また、本発明の積層型熱可塑性樹脂シートを使用して合わせガラスを製造するには、通常の合わせガラスの製造に用いられる方法が採用され、例えば、両側からガラス板で中間膜を挟み込み、熱圧プレスにより合わせガラスを製造する方法が挙げられる。
また、本発明に係る熱可塑性樹脂シートが中間膜として用いられる用途は、必ずしも合わせガラスに限定されるものではない。すなわち、本発明によれば、上記熱可塑性樹脂シ
ートを少なくとも1つの層として備える積層体が適宜の用途に応じて提供され得る。
本発明に係る透明積層体としては、一対の透明板内に上記熱可塑性樹脂シートが狭着されている適宜の構造、例えば、上記熱可塑性樹脂シートが、ガラス板と透明樹脂板との間に狭着されている構造、一対の透明樹脂板に熱可塑性樹脂シートが狭着されている構造、一対のガラス板に熱可塑性樹脂シートが狭着されている構造などを例示することができる。
上記透明樹脂板としては、特に限定されないが、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリル共重合体樹脂、及びポリエステルからなる群から選択された1種を好適に用いることができる。また、透明樹脂板は、透明エラストマーで被覆されていてもよい。
本発明に係る熱可塑性樹脂シートでは、可塑剤と、炭素数4〜6のアルデヒドからなる群から選択された少なくとも1種のアルデヒド(a)及び炭素数1〜3のアルデヒドからなる群から選択された少なくとも1種のアルデヒド(b)によるポリビニルアルコールの共アセタール化物で得られた共アセタール化物であるポリビニルアセタール樹脂からなり、上記重合体ユニット(X)と重合体ユニット(Y)の合計が共アセタール化物全体の55モル%以上を占め、かつ第1の重合体ユニット(X)の割合が20〜80モル%の範囲とされているため、可塑剤が含有されているにもかかわらず、剛性が十分に高く、自着力が低い。従って、本発明に係る熱可塑性樹脂シートは、例えば合わせガラス用中間膜として用いられる熱可塑性樹脂シートとして配置された場合、中間膜同士の接着力が低く、取り扱いが容易な中間膜を容易に提供することができる。
本発明に係る積層型の熱可塑性樹脂シートは、上記本発明の熱可塑性樹脂シートからなる第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)と、可塑剤と、炭素数4〜6のアルデヒドからなる群から選択された少なくとも1種のアルデヒド(a)によるポリビニルアルコールの共アセタール化で得られた第1のポリビニルアセタール樹脂を含む第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)とを積層した構造を有し、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)が積層構造の両面に配置されているため、自着力が低く、従って取り扱いが容易な積層型の熱可塑性樹脂シートを提供することができるとともに、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)が柔軟性に優れているため、全体としての柔軟性が十分な積層型の熱可塑性樹脂シートを提供することかできる。よって、例えば車両の湾曲ガラス面などにも適用することが容易な合わせガラス用中間膜として好適な積層型熱可塑性樹脂シートを提供することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を説明することにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
重合度2000のポリビニルアルコールをアセトアルデヒド及びブチルアルデヒドを用いて共アセタール化することにより得られたPVB(平均重合度2000、全アセタール化度69.5モル%、残存アセチル基1.3モル%、アセトアルデヒドによるアセタール化度37.8モル%、ブチルアルデヒドによるアセタール化度31.8モル%)100重量部に対し、可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)30重量部を混合し、樹脂組成物を調製した。
押出し成形機に、上記樹脂組成物を供給し、押出成形することにより、ポリビニルアセタール樹脂層からなる厚さ0.75mmの熱可塑性樹脂シートを得た。
また、上記熱可塑性樹脂シートの23℃における剪断貯蔵弾性率、引っ張り弾性率、90°剥離力、及び自着力を下記の要領で評価した。
(a)23℃における剪断貯蔵弾性率の測定
動的粘弾性試験機で設定歪み量0.08%、測定周波数80Hzにて剪断歪みを与え、−50℃から3℃/分で150℃まで昇温しながら各温度における剪断貯蔵弾性率を測定し、23℃における数値を、23℃における剪断貯蔵弾性率とした。
(b)引っ張り弾性率
熱可塑性樹脂シートを幅1cm、長さ8cmの試験片に切断し、引っ張り試験機にチャック間距離40mmで試験片を取り付け、引っ張り速度500mm/分(引っ張り歪み速度1250%/分)で引っ張り試験を行った。得られた応力−歪み曲線より引っ張り弾性率を求めた。
(c)90°剥離力
150℃、100kgf/cmにて15分間プレスした表面の平滑な厚さ0.75mmの均一なフィルムを作成し、このフィルムを13cm×13cmの大きさに切り取り、2枚の中間膜を13cm×10cmの面積が重なり合うように重ね合わせ、13.5kgの荷重をかけた状態で、23℃、20%RHの室内に24時間保管した。このようにして得られた試料の一端を互いに剥がし、剥がされた90°方向に曲げて全体をT字型にした後、剥がされたフィルムの両方の端を引っ張り試験機でつかみ、23℃にて引っ張り速度200mm/分の引っ張り速度でT型剥離強度を測定した。得られた引っ張り距離に対する応力のグラフより、剥離に要したエネルギーを計算し、得られた剥離に要したエネルギー値を、引っ張り距離と2枚の中間膜貼り合わせ部分の幅で除することにより中間膜の幅方向の単位長さ当たりの接着力を算出した。
(d)自着力の評価
90°剥離力に基づいて上記のようにして得られた熱可塑性樹脂シートの自着力を測定した。結果を下記の表1に示す。
(実施例2)
下記の表1に示すように、熱可塑性樹脂シートを構成している樹脂の組成を変更したこと以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂シートを作成し、評価を行った。
(実施例3〜5)
下記の表1に示すように、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)及び第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)を有するように共押出しにより得た積層型の熱可塑性樹脂シートとしたこと、及び必要に応じて第2のポリビニルアセタール樹脂層の組成を変化させたことを除いては、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂シートを得、評価した。結果を表1に示す。なお、実施例3〜5では、積層型の熱可塑性樹脂シートを構成したため、剪断貯蔵弾性率比(80Hz、B/A)、引っ張り弾性率比(B/A)、90°剥離力比(B/A)及び可塑剤比率(B/A)もまとめた。上記剪断貯蔵弾性率比、引っ張り弾性率比及び90°剥離力比は、いずれも、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)における値の第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)における値に対する比、すなわちB/Aで示される。
また、可塑剤比率(A/B)は、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)における可塑剤含有割合に対する第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)における可塑剤含有割合の比をいうものとする。
(比較例1〜3)
下記の表1に示す構成となるように、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)のみからなる厚み0.75mmの熱可塑性樹脂シートを得、実施例1と同様の方法で作成し、評価を行った。
(比較例4〜5)
下記の表1に示す構成となるように、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)の組成を変化させたこと以外は実施例3〜5と同様の方法でシートを作成し、評価を行った。
Figure 2006160562

Claims (9)

  1. 可塑剤と、炭素数4〜6のアルデヒドからなる群から選択された少なくとも1種のアルデヒド(a)及び炭素数1〜3のアルデヒドからなる群から選ばれた少なくとも1種のアルデヒド(b)によるポリビニルアルコールの共アセタール化で得られた共アセタール化物であるポリビニルアセタール樹脂からなる熱可塑性樹脂シートであって、前記第1のアルデヒド(a)由来のアセタール化ユニットを重合体ユニット(X)、第2のアルデヒド(b)由来のアセタール化ユニットを重合体ユニット(Y)としたときに、重合体ユニット(X)と重合体ユニット(Y)の合計が、該共アセタール化物全体の55モル%以上を占め、かつ第1の重合体ユニット(X)の割合が20〜80モル%であることを特徴とする熱可塑性樹脂シート。
  2. 前記共アセタール化物において、重合体ユニット(Y)と、重合体ユニット(X)とのモル比である重合体ユニット(Y)/重合体ユニット(X)が3.5未満であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂シート。
  3. 可塑剤と、炭素数4〜6のアルデヒドからなる群から選択された少なくとも1種のアルデヒド(a)によるポリビニルアルコールのアセタール化で得られた第1のポリビニルアセタール樹脂を含む第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)と、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂シートからなる第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)とが積層された構造を有する積層型の熱可塑性樹脂シートであって、積層型の熱可塑性樹脂シートの両面が第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)とされていることを特徴とする、熱可塑性樹脂シート。
  4. 積層型の熱可塑性樹脂シートに配される第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)の23℃においての中間膜同士の90°剥離試験における接着力が0.25N/cm以下であることを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性樹脂シート
  5. 第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)同士、及び第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)同士の23℃においての90°剥離試験における接着力をそれぞれ、P(A)、P(B)とした時に、P(B)/P(A)が1.0未満であることを特徴とする請求項3または4に記載の熱可塑性樹脂シート。
  6. 第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)の23℃及び80Hzにおける剪断貯蔵弾性率をG(A)、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)の23℃及び80Hzにおける剪断貯蔵弾性率をG(B)としたときに、G(B)/G(A)が1.0〜10の範囲にあることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂シート。
  7. 23℃及び引っ張り歪み速度1250%/分で測定された第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)の引っ張り弾性率を引っ張り弾性率(B)、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)の引っ張り弾性率を引っ張り弾性率(A)としたときに、引っ張り弾性率(B)/引っ張り弾性率(A)が1.1以上であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂シート。
  8. 第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)の可塑剤含有割合を可塑剤含有率(A)とし、第2のポリビニルアセタール樹脂中の可塑剤含有割合を可塑剤含有率(B)としたときに、可塑剤含有率(A)/可塑剤含有率(B)が1〜3の範囲にあることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂シート。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂シートが、一対の透明板に狭着され
    ていることを特徴とする、透明積層板。
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