JP2006160562A - 熱可塑性樹脂シート及び透明積層板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】可塑剤と、炭素数4〜6のアルデヒドからなる群から選択された少なくとも1種のアルデヒド及び炭素数1〜3のアルデヒドからなる群から選ばれた少なくとも1種のアルデヒドによるポリビニルアルコールの共アセタール化で得られた共アセタール化物であるポリビニルアセタール樹脂からなる熱可塑性樹脂シートであって、前記第1のアルデヒド由来のアセタール化ユニットを重合体ユニット(X)、第2のアルデヒド由来のアセタール化ユニットを重合体ユニット(Y)としたときに、重合体ユニット(X)と重合体ユニット(Y)の合計が、該共アセタール化物全体の55モル%以上を占め、かつ第1の重合体ユニット(X)の割合が20〜80モル%であることを特徴とする熱可塑性樹脂シート。
【選択図】なし
Description
なくとも1種のアルデヒド(a)及び炭素数1〜3のアルデヒドからなる群から選ばれた少なくとも1種のアルデヒド(b)によるポリビニルアルコールの共アセタール化で得られた共アセタール化物であるポリビニルアセタール樹脂からなる熱可塑性樹脂シートであって、前記第1のアルデヒド(a)由来のアセタール化ユニットを重合体ユニット(X)、第2のアルデヒド(b)由来のアセタール化ユニットを重合体ユニット(Y)としたときに、重合体ユニット(X)と重合体ユニット(Y)の合計が、該共アセタール化物全体の55モル%以上を占め、かつ第1の重合体ユニット(X)の割合が20〜80モル%であることを特徴とする熱可塑性樹脂シートが提供される。
本発明の熱可塑性樹脂シートにおいて、上記第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)は、可塑剤と、炭素数4〜6のアルデヒドからなる群から選択された少なくとも1種のアルデヒド(a)によるポリビニルアルコールのアセタール化で得られた第1のポリビニルアセタール樹脂とを含む層である。
本発明において、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)は、炭素数4〜6のアルデヒドからなる群から選択された少なくとも1種のアルデヒド(a)及び炭素数1〜3のアルデヒドからなる群から選択された少なくとも1種のアルデヒド(b)によるポリビニルアルコールの共アセタール化で得られた第2のポリビニルアセタール樹脂と、可塑剤とを含む。
膜を製造した場合、水酸基の連鎖状態が中間膜中で不均一であるため、自着力も不均一となりがちであった。従って、合わせガラスを作製した場合、中間膜の巻出し強度が均一にならないという問題があった。
本発明では、上記第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)と同様に構成された単層の熱可塑性樹脂シートも提供される。この単層の熱可塑性樹脂シートでは、上記ポリビニルアルコールの上記共アセタール化物により構成されているため、前述したように、可塑剤がある程度含有されていたとしても、剛性が高く、自着力が小さい。この理由は、内層が上記重合体ユニット(X),(Y)を特定の割合で含む共アセタール化物からなるポリビニルアセタール樹脂を用いて構成されていることによる。つまり、アルデヒド(a)は分子構造が大きく、アセタール化された時の立体障害が大きいので、生成されたアセタール樹脂は柔軟になる。本発明においては、アルデヒド(a)よりも立体障害の小さいアルデヒド(b)を部分的に用いることで、分子間の距離を短くし、分子間力をより強固にし、アルデヒド(a)のみを用いて製造されたアセタール樹脂よりも樹脂の剛性を向上させている。さらに、本発明のポリビニルアセタール樹脂(B)は前記の様な特徴を持っているので、ポリビニルアセタール樹脂層(B)は、より多くの可塑剤を含有しているにもかかわらず、ポリビニルアセタール樹脂層(A)よりも剛直にすることが可能である。従って、本発明により提供される単層の熱可塑性樹脂シートを製膜し、ロールに巻回した場合、ロールから無理なく引き出すことができる。よって、本発明により提供される上記単層の熱可塑性樹脂シートは、予め単層の熱可塑性樹脂シートとし成形された後、ロールに巻回された状態で用意し、他の樹脂シートとの積層に対しロールから容易に繰り出すことができる。
本発明のある局面によれば、前述した第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)と、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)とが積層されている積層型の熱可塑性樹脂シートが提供される。この場合、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)が積層体の両面に配置されるように、第1,第2のポリビニルアセタール樹脂層(A),(B)が積層されている。
されない。好ましい積層構成としては、a)層(B)/層(A)/層(B)の3層積層膜、b)層(B)/層(A)/層(B)/層(A)/層(B)の5層積層膜等が例示される。3層以上の積層膜の場合では、表層の少なくともいずれか一方が層(B)であれば、積層構成が非対称であってもよい。
本発明においては、好ましくは、上記第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)を構成している共アセタール化物において、重合体ユニット(Y)と、重合体ユニット(X)との重合体ユニット比、重合体ユニット(Y)/重合体ユニット(X)がモル比で3.5未満とされる。3.5未満とすることにより、可塑剤をブリードアウトさせることなく相溶させることができる。好ましくは、1.0〜2.0である。
吸収作用や近赤外線吸収作用を有する微粒子が好適に用いられる。このような微粒子の含有により、遮熱機能を熱可塑性樹脂シートに持たせることができる。
タール樹脂に残存する水酸基と反応する架橋剤を添加し、水酸基を架橋する方法などが挙げられる。水酸基と反応する架橋剤としては、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、ホウ酸化合物などが挙げられる。
中間膜のガラスとの接着力を調節する目的で、上記ポリビニルアセタール樹脂層(A)及び/または(B)には、カルボン酸金属塩、変性シリコーンオイル等の他の成分を添加することができる。
ートを少なくとも1つの層として備える積層体が適宜の用途に応じて提供され得る。
重合度2000のポリビニルアルコールをアセトアルデヒド及びブチルアルデヒドを用いて共アセタール化することにより得られたPVB(平均重合度2000、全アセタール化度69.5モル%、残存アセチル基1.3モル%、アセトアルデヒドによるアセタール化度37.8モル%、ブチルアルデヒドによるアセタール化度31.8モル%)100重量部に対し、可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)30重量部を混合し、樹脂組成物を調製した。
動的粘弾性試験機で設定歪み量0.08%、測定周波数80Hzにて剪断歪みを与え、−50℃から3℃/分で150℃まで昇温しながら各温度における剪断貯蔵弾性率を測定し、23℃における数値を、23℃における剪断貯蔵弾性率とした。
熱可塑性樹脂シートを幅1cm、長さ8cmの試験片に切断し、引っ張り試験機にチャック間距離40mmで試験片を取り付け、引っ張り速度500mm/分(引っ張り歪み速度1250%/分)で引っ張り試験を行った。得られた応力−歪み曲線より引っ張り弾性率を求めた。
150℃、100kgf/cm2にて15分間プレスした表面の平滑な厚さ0.75mmの均一なフィルムを作成し、このフィルムを13cm×13cmの大きさに切り取り、2枚の中間膜を13cm×10cmの面積が重なり合うように重ね合わせ、13.5kgの荷重をかけた状態で、23℃、20%RHの室内に24時間保管した。このようにして得られた試料の一端を互いに剥がし、剥がされた90°方向に曲げて全体をT字型にした後、剥がされたフィルムの両方の端を引っ張り試験機でつかみ、23℃にて引っ張り速度200mm/分の引っ張り速度でT型剥離強度を測定した。得られた引っ張り距離に対する応力のグラフより、剥離に要したエネルギーを計算し、得られた剥離に要したエネルギー値を、引っ張り距離と2枚の中間膜貼り合わせ部分の幅で除することにより中間膜の幅方向の単位長さ当たりの接着力を算出した。
90°剥離力に基づいて上記のようにして得られた熱可塑性樹脂シートの自着力を測定した。結果を下記の表1に示す。
下記の表1に示すように、熱可塑性樹脂シートを構成している樹脂の組成を変更したこと以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂シートを作成し、評価を行った。
下記の表1に示すように、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)及び第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)を有するように共押出しにより得た積層型の熱可塑性樹脂シートとしたこと、及び必要に応じて第2のポリビニルアセタール樹脂層の組成を変化させたことを除いては、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂シートを得、評価した。結果を表1に示す。なお、実施例3〜5では、積層型の熱可塑性樹脂シートを構成したため、剪断貯蔵弾性率比(80Hz、B/A)、引っ張り弾性率比(B/A)、90°剥離力比(B/A)及び可塑剤比率(B/A)もまとめた。上記剪断貯蔵弾性率比、引っ張り弾性率比及び90°剥離力比は、いずれも、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)における値の第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)における値に対する比、すなわちB/Aで示される。
下記の表1に示す構成となるように、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)のみからなる厚み0.75mmの熱可塑性樹脂シートを得、実施例1と同様の方法で作成し、評価を行った。
下記の表1に示す構成となるように、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)の組成を変化させたこと以外は実施例3〜5と同様の方法でシートを作成し、評価を行った。
Claims (9)
- 可塑剤と、炭素数4〜6のアルデヒドからなる群から選択された少なくとも1種のアルデヒド(a)及び炭素数1〜3のアルデヒドからなる群から選ばれた少なくとも1種のアルデヒド(b)によるポリビニルアルコールの共アセタール化で得られた共アセタール化物であるポリビニルアセタール樹脂からなる熱可塑性樹脂シートであって、前記第1のアルデヒド(a)由来のアセタール化ユニットを重合体ユニット(X)、第2のアルデヒド(b)由来のアセタール化ユニットを重合体ユニット(Y)としたときに、重合体ユニット(X)と重合体ユニット(Y)の合計が、該共アセタール化物全体の55モル%以上を占め、かつ第1の重合体ユニット(X)の割合が20〜80モル%であることを特徴とする熱可塑性樹脂シート。
- 前記共アセタール化物において、重合体ユニット(Y)と、重合体ユニット(X)とのモル比である重合体ユニット(Y)/重合体ユニット(X)が3.5未満であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂シート。
- 可塑剤と、炭素数4〜6のアルデヒドからなる群から選択された少なくとも1種のアルデヒド(a)によるポリビニルアルコールのアセタール化で得られた第1のポリビニルアセタール樹脂を含む第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)と、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂シートからなる第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)とが積層された構造を有する積層型の熱可塑性樹脂シートであって、積層型の熱可塑性樹脂シートの両面が第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)とされていることを特徴とする、熱可塑性樹脂シート。
- 積層型の熱可塑性樹脂シートに配される第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)の23℃においての中間膜同士の90°剥離試験における接着力が0.25N/cm以下であることを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性樹脂シート
- 第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)同士、及び第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)同士の23℃においての90°剥離試験における接着力をそれぞれ、P(A)、P(B)とした時に、P(B)/P(A)が1.0未満であることを特徴とする請求項3または4に記載の熱可塑性樹脂シート。
- 第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)の23℃及び80Hzにおける剪断貯蔵弾性率をG(A)、第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)の23℃及び80Hzにおける剪断貯蔵弾性率をG(B)としたときに、G(B)/G(A)が1.0〜10の範囲にあることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂シート。
- 23℃及び引っ張り歪み速度1250%/分で測定された第2のポリビニルアセタール樹脂層(B)の引っ張り弾性率を引っ張り弾性率(B)、第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)の引っ張り弾性率を引っ張り弾性率(A)としたときに、引っ張り弾性率(B)/引っ張り弾性率(A)が1.1以上であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂シート。
- 第1のポリビニルアセタール樹脂層(A)の可塑剤含有割合を可塑剤含有率(A)とし、第2のポリビニルアセタール樹脂中の可塑剤含有割合を可塑剤含有率(B)としたときに、可塑剤含有率(A)/可塑剤含有率(B)が1〜3の範囲にあることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂シート。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂シートが、一対の透明板に狭着され
ていることを特徴とする、透明積層板。
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