JP2008194719A - 基材の分割方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び基板の製造方法 - Google Patents

基材の分割方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、加工対象物に固着した固着物によって加工対象物の切断が阻害されることを抑制して、効率良く加工対象物の分割を実行することができる基材の分割方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び基板の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による基材の分割方法は、複数の部材が区画形成された基材をそれぞれの部材に分割する基材の分割方法であって、基材の表面に固着した固着物における、少なくとも基材を個々の部材に分割する際に分離される部分である分割予定面の上に固着した固着物を除去する固着物除去工程と、分割予定面に対して、当該分割予定面の周辺における基材の強度に比べて分割予定面の強度が小さくなるような加工である分割前加工を実行する前加工工程と、分割予定面において基材を部材に分割する分割工程と、を有する分割方法である。
【選択図】図8

Description

本発明は、複数の部材が区画形成された基材をそれぞれの部材に分割する基材の分割方法、並びに当該基材の分割方法を用いる液滴吐出ヘッドの製造方法、及び基板の製造方法に関する。
従来から、任意の形状を有する膜などを形成する技術として、液体を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドを有する液滴吐出装置を用いて、液滴を吐出して描画対象上の任意の位置に着弾させ、着弾した液状材料を乾燥させて任意の形状の膜を形成する技術が知られている。このような膜形成に用いられる液滴吐出装置の液滴吐出ヘッドは、その多数の液滴吐出ノズルが微小間隔で形成されていることで基板上の任意の位置に効率良く液滴を着弾させることができる。微小間隔で連なる液滴吐出ノズルや、当該液滴吐出ノズルに液体を供給する流路などの微細形状を高精度で効率良く形成することができる液滴吐出ヘッドの構造としては、液滴吐出ノズルや流路などを構成する孔を形成した板状やフィルム状の部材を積層する構造が知られている。微細な流路などを効率良く形成できる方法の一つとして、エッチングが用いられている。
このような板状やフィルム状の部材は、最初に大判シート状の板やフィルムに多数の部材を区画形成し、次に大判シートを各部材に分割することで、効率良く製造される。大判シートなどの加工対象物を任意の切断線に沿って切断する技術として、加工対象物の内部に多光子吸収による改質領域を、切断予定ラインに沿って形成し、当該改質領域を利用して切断する技術が知られている。特許文献1には、レーザ加工装置を用いてパルスレーザ光を加工対象物に照射し、当該パルスレーザ光を集光させることによって、加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工方法が開示されている。この技術によれば、わずかな力を加えるだけで、改質領域を起点にして加工対象物を切断することができる。この技術は、切断屑が生じ難いので、微細な加工に適している。特許文献2には、加工対象物の厚さが加工対象物の厚さ方向の改質領域の幅に比べて大きい場合に、一つの切断予定ラインに対して、加工対象物の厚さ方向についての集光点の位置を変えながら複数回の改質領域形成工程を実行することで、改質領域を加工対象物の厚さ方向に積層して、加工対象物の平面方向の改質領域の面積を増すことなく、厚さ方向全域にわたる改質領域を形成する方法が開示されている。
特開2002−192367号公報 特開2002−205180号公報
しかしながら、エッチング法を用いて加工する場合には、加工しない部分を保護するために、エッチング液に侵されにくい保護膜などで覆う必要がある。当該保護膜はエッチング終了後に取り除かれるが、エッチング液が進入しないように充分密着するように貼り付けられた保護膜や貼り付けるための接着剤は非常に剥がし難いため、充分除去できない場合があった。大判シートなどを効率良く切断する方法は、大判シートを構成する材料を好適に切断できる方法が用いられ、必ずしも、保護膜や接着剤の切断も効率良くできるとは限らないため、保護膜や接着剤が固着して残留した固着物によって、大判シートなどの切断が阻害されるという課題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、加工対象物に固着した固着物によって加工対象物の切断が阻害されることを抑制して、効率良く加工対象物の分割を実行することができる基材の分割方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び基板の製造方法を実現することを目的とする。
本発明による基材の分割方法は、複数の部材が区画形成された基材をそれぞれの部材に分割する基材の分割方法であって、基材の表面に固着した固着物における、少なくとも基材を個々の部材に分割する際に分離される部分である分割予定面の上に固着した固着物を除去する固着物除去工程と、分割予定面に対して、当該分割予定面の周辺における基材の強度に比べて分割予定面の強度が小さくなるような加工である分割前加工を実行する前加工工程と、分割予定面において基材を部材に分割する分割工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係る基材の分割方法によれば、分割前加工に先立って分割予定面の上に固着した固着物を除去するため、分割予定面に対して分割前加工を実施する際に、固着物によって分割前加工が阻害されることを抑制することができる。
本発明において、基材の分割方法は、固着物除去工程において、固着物にレーザ光を集光させることにより、レーザ光が集光された固着物の部分を除去するレーザ加工を用いることが好ましい。
レーザ光は任意の位置に正確に照射することができる。この基材の分割方法によれば、除去するべき固着物に正確にレーザ光を集光させることにより、除去するべき固着物を効率良く除去することができる。
本発明において、基材の分割方法は、固着物は樹脂材料からなり、レーザ加工は、炭酸ガスレーザ、又はNd:YAG−SHGレーザを用いることが好ましい。
この基材の分割方法によれば、炭酸ガスレーザ、又はNd:YAG−SHGレーザによって発生させる熱によって、樹脂材料からなる固着物を溶融させることにより、除去することができる。
本発明において、基材の分割方法は、固着物は樹脂材料からなり、レーザ加工は、Nd:YAG−THGレーザ、又はNd:YAG−FHGレーザを用いることが好ましい。
この基材の分割方法によれば、Nd:YAG−THGレーザ、又はNd:YAG−FHGレーザによって、樹脂材料からなる固着物を光化学分解して蒸発させることにより、除去することができる。
本発明において、基材の分割方法は、レーザ加工において、レーザマーカを用いることことが好ましい。
レーザマーカは、レーザ光を対象物に照射して被照射部を加工しながら、当該レーザ光の光軸の方向を変動させることにより、加工跡で文字やマークを形成するためのものである。この基材の分割方法によれば、レーザマーカを用いて、レーザ光の光軸の方向を変動させることにより、任意の位置の固着物を除去することができる。
本発明において、基材の分割方法は、前加工工程における分割前加工が、分割予定面の部分を含む領域にレーザ光を集光させることにより、領域に改質領域を形成する第一のレーザ加工であることが好ましい。
レーザ光は任意の位置に正確に照射することができる。この基材の分割方法によれば、分割予定面に対して正確にレーザ光を集光させることにより、分割前加工を正確な分割予定面の位置に対して実行することができる。
本発明において、基材の分割方法は、第一のレーザ加工が、基材の内部における分割予定面の部分を含む領域にレーザ光を集光させることにより、基材の内部において、分割予定面の部分を含む領域に改質領域を形成するレーザ内部改質加工であることが好ましい。
この基材の分割方法によれば、基材に小さな力を加えるだけで、基材の内部に形成された改質領域を起点として基材を部材に分割することができる。なお、レーザ光は完全な光学素子によって集光されれば一点に集光するが、実際には光学素子の収差などに起因して広がりをもって集光されており、集光されたレーザ光によって改質領域を形成できる領域が存在する。分割予定面の近傍とは、当該領域を示す。
本発明において、基材の分割方法は、基材が単結晶シリコンからなり、第一のレーザ加工は、Nd:YAG基本波レーザを用いることが好ましい。
この基材の分割方法によれば、単結晶シリコンに対して透過性を有するNd:YAG基本波レーザ光を、基材の内部に集光させることにより、基材の内部に改質領域を形成することができる。
本発明による基板の製造方法は、基材の分割方法を用いて、基板が区画形成されたマザー基板を基板に分割することを特徴とする基板の製造方法。
本発明に係る基板の製造方法によれば、分割前加工に先立って分割予定面の上に固着した固着物を除去することにより、分割予定面に対して分割前加工を実施する際に、固着物によって分割前加工が阻害されることを抑制することができる基材の分割方法を用いて、マザー基板を基板に分割する。これにより、マザー基板を基板に分割する工程において、マザー基板に固着した固着物によってマザー基板の分割が阻害されることを抑制して、好適にマザー基板を基板に分割することができる。
本発明による液滴吐出ヘッドの製造方法は、上記した基材の分割方法を用いて、液滴吐出ヘッドが区画形成されたマザーヘッド基板を液滴吐出ヘッドに分割することを特徴とする。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法によれば、分割前加工に先立って分割予定面の上に固着した固着物を除去することにより、分割予定面に対して分割前加工を実施する際に、固着物によって分割前加工が阻害されることを抑制することができる基材の分割方法を用いて、マザーヘッド基板を液滴吐出ヘッドに分割する。これにより、マザーヘッド基板を液滴吐出ヘッドに分割する工程において、マザーヘッド基板に固着した固着物によってマザーヘッド基板の分割が阻害されることを抑制して、好適にマザーヘッド基板を液滴吐出ヘッドに分割することができる。
本発明による液滴吐出ヘッドの製造方法は、上記した基材の分割方法を用いて、液滴吐出ヘッドを構成する構成部材が区画形成されたマザー構成部材を構成部材に分割することを特徴とする。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法によれば、分割前加工に先立って分割予定面の上に固着した固着物を除去することにより、分割予定面に対して分割前加工を実施する際に、固着物によって分割前加工が阻害されることを抑制することができる基材の分割方法を用いて、マザー構成部材を構成部材に分割する。これにより、マザー構成部材を構成部材に分割する工程において、マザー構成部材に固着した固着物によってマザー構成部材の分割が阻害されることを抑制して、好適にマザー構成部材を構成部材に分割することができる。
以下、本発明に係る基材の分割方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び基板の製造方法の一実施形態について図面を参照して、説明する。なお、以下の説明に用いる図面は、各部材及び各層を認識可能な大きさとするために、各部材及び各層の縮尺を適宜変更している。
(第一の実施形態)
本実施形態は、基材の分割方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び基板の製造方法の一例として、複数の液滴吐出ヘッドが形成されたマザーヘッド基板を個別の液滴吐出ヘッドに分割する工程で用いられる分割方法を例に説明する。
<レーザ加工装置>
最初に、本実施形態でマザーヘッド基板を液滴吐出ヘッドに分割するために用いるレーザ加工装置10について、図1を参照して説明する。図1は、レーザ加工装置の構成を示す模式図である。
図1に示すように、レーザ加工装置10は、レーザ光源21と、ダイクロイックミラー22と、集光レンズ23と、Z軸スライド機構24と、撮像装置29と、ステージ20と、回動機構25と、X軸スライド機構27と、Y軸スライド機構26と、機台28と、を備えている。
レーザ光源21は、例えばイットリウム−アルミニウム−ガーネットにネオジウムをドープした結晶をレーザ媒質として用いるNd:YAGレーザであり、レーザ光源21の励起方式は、LD励起である。レーザ光源21から射出されたレーザ光は、ダイクロイックミラー22で反射され、集光レンズ23によって加工対象物Wの内部に集光される。集光レンズ23はZ軸スライド機構24から延びたスライドアーム24aによって支持されており、Z軸スライド機構24は、ステージ20に載置された加工対象物Wに対して集光レンズ23を相対的に移動させてレーザ光の集光の位置を加工対象物Wの厚み方向(図1のZ軸方向)で移動させる。撮像装置29は、ダイクロイックミラー22を挟んで集光レンズ23と反対側に位置しており、加工対象物Wの像などを撮影する。
機台28は、レーザ加工装置10を構成する各機構などを支持する枠体である。X軸スライド機構27を構成するX軸スライド台27bが機台28に固定されており、X軸スライド機構27を構成するX軸スライダ27aが、X軸方向に摺動自在且つ固定可能にX軸スライド台27bと係合している。Y軸スライド機構26を構成するY軸スライド台26bがX軸スライダ27aに固定されており、Y軸スライド機構26を構成するY軸スライダ26aが、Y軸方向に摺動自在且つ固定可能にY軸スライド台26bと係合している。回動機構25を構成する回動機構台25bがY軸スライダ26aに固定されており、回動機構25を構成する回動テーブル25aが、Z軸回りに回動自在且つ固定可能に回動機構台25bと係合している。X軸スライダ27a、Y軸スライダ26a、回動テーブル25aは、それぞれX軸スライド台27b、Y軸スライド台26b、回動機構台25bとの間に構成されたサーボモータ(図示省略)によって駆動される。
ステージ20は、回動テーブル25aに固定されており、加工対象物Wを載置するために用いられる。ステージ20に載置された加工対象物Wは、ステージ20に構成された例えば吸引装置で吸引されて、ステージ20に固定される。ステージ20に固定された加工対象物Wは、回動機構25によって、Z軸回りに回動可能であり、集光レンズ23に対するX軸とY軸とに平行な方向(平面方向)の姿勢が調整される。さらに、ステージ20に固定された加工対象物Wは、X軸スライド機構27と、Y軸スライド機構26とによって、X軸とY軸とに平行な平面方向に移動され、加工対象物Wの任意の部位が集光レンズ23に対向する位置に移動される。ステージ20に載置され固定された加工対象物Wの厚さ方向がZ軸方向となる。
レーザ加工装置10は、上記各構成を制御する制御部としてのメインコンピュータ30を備えている。メインコンピュータ30には、CPUや各種メモリーの他に撮像装置29が撮像した画像情報を処理する画像処理部34を有している。撮像装置29は、同軸落射型光源とCCD(固体撮像素子)が組み込まれたものである。同軸落射型光源から出射した可視光は、集光レンズ23を透過して焦点を結ぶ。
また、メインコンピュータ30には、レーザ加工の際に用いられる各種加工条件のデータを入力する入力部35とレーザ加工時の各種情報を表示する表示部36が接続されている。そして、レーザ光源21の出力やパルス幅、パルス周期を制御するレーザ制御部31と、Z軸スライド機構24を駆動して集光レンズ23のZ軸方向の位置を制御するレンズ制御部32とが接続されている。さらに、回動機構25と、X軸スライド機構27と、Y軸スライド機構26とを駆動するサーボモータ(図示省略)を制御するステージ制御部33が接続されている。
集光レンズ23をZ軸方向に移動させるZ軸スライド機構24には、移動距離を検出可能な位置センサが内蔵されており、レンズ制御部32は、この位置センサの出力を検出して集光レンズ23のZ軸方向の位置を制御可能となっている。したがって、撮像装置29の同軸落射型光源から出射した可視光の焦点が加工対象物Wの表面と合うように集光レンズ23をZ軸方向に移動させれば、加工対象物Wの厚みを計測することが可能である。また、加工対象物Wの表面から任意の位置に集光レンズ23の集光位置を合わせることも可能である。
<改質領域の形成>
ここで、レーザ加工の一例である多光子吸収による改質領域40(図2参照)の形成について、説明する。加工対象物Wが当てられた光に対して透過性を有する材料からなっていても、当該材料の吸収のバンドギャップEgよりも光子のエネルギhνが非常に大きいと吸収が生じる。この吸収を多光子吸収と言う。多光子吸収を加工対象物Wの内部に起こさせると、多光子吸収のエネルギが熱エネルギに転化することで、加工対象物Wの内部に微小クラックが形成される。あるいは、レーザ光のパルス幅を極めて短くして、多光子吸収を加工対象物Wの内部に起こさせると、多光子吸収のエネルギが熱エネルギに転化せずに、イオン価数変化、結晶化又は分極配向等の永続的な構造変化が誘起されて屈折率変化領域が形成される。本実施形態では、これらの微小クラック形成領域や屈折率変化領域を改質領域40と呼ぶ。
パルスレーザ光によって改質領域40を形成する場合、1パルスのレーザ光で1個の改質領域40を形成する。集光位置を加工対象物Wの平面方向に移動させながら当該改質領域40を形成することで、加工対象物Wの平面方向に連続して、又は若干の間隔を隔てて並ぶ、改質領域40の列を形成する。この改質領域40の列を、以降、改質層42(図2参照)と表記する。集光位置を加工対象物Wの厚さ方向に移動して、形成されている改質層42と加工対象物Wの平面方向で重なる位置にさらに改質層42を形成することで、改質層42が積層して改質領域40が面状に並んだ領域を形成する。この改質領域40が面状に並んだ領域を、以降、改質帯44(図2参照)と表記する。改質帯44が形成された加工対象物Wは、加えられた力が微小な力であっても、改質帯44をきっかけとして割れが発生し、当該改質帯44の部分で容易に分割される。
次に、加工対象物Wに改質帯44を形成する工程について、図2を参照して説明する。図2は、加工対象物に改質帯を形成する工程を示す加工対象物の模式断面図である。最初に、図2(a)に示したように、レーザ光を、加工対象物Wのレーザ光の入射面の反対側の面の近傍に集光することで改質領域40を形成する。図2に示したレンズ23aは、集光レンズ23を構成する対物レンズである。改質領域40の形成と並行して、Y軸スライド機構26によって加工対象物Wを矢印aの方向に移動することで、改質領域40が連続した、又は連なった改質層42を形成する。上述したように、レーザ光の光源であるレーザ光源21は、LD励起のNd:YAGレーザである。
1層の改質層42の形成が終了したところで、集光位置を加工対象物Wの厚さ方向に移動して、その位置において同様に改質層42を形成することで、加工対象物Wの厚さ方向に改質層42を積層する。最後に、図2(b)に示したように、レーザ光を、加工対象物Wのレーザ光の入射面の近傍に集光して改質領域40を形成すると共に、加工対象物Wを矢印aの方向に移動することで、入射面の近傍に改質層42を形成して、図2(c)及び(d)に示したように、加工対象物Wの断面の略全面に改質領域40を連ねた改質帯44を形成する。なお、図2(d)は、図2(c)に示した断面と略直交する断面を示す断面図である。加工対象物Wに、改質帯44を挟んだ両側を互いに分離するように力を加えることで、改質帯44の部分が分断され、概ね改質帯44を構成する改質領域40の中心を通る面を切断面として、加工対象物Wが切断される。
次に、液滴吐出ヘッドの構成、及び複数の液滴吐出ヘッドが形成されたマザーヘッド基板の構成について説明する。
<液滴吐出ヘッド>
最初に液滴吐出ヘッド102の構成について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、液滴吐出ヘッドの一部を切り取った状態を模式的に示す分解斜視図であり、図4は、液滴吐出ヘッドの模式断面図である。図3及び図4に示したように、液滴吐出ヘッド102は、ノズルプレート120、流路形成基板110、封止実装基板125、弾性シート140、後述する直載ドライバ106(図3では図示省略)、及び流路形成基板110上に形成される弾性膜150等からなる圧電アクチュエータ104、を有している。なお、直線的に配置されるノズル孔121が液滴を吐出する吐出口であり、1列のノズル孔121は全て同色の液滴を吐出する。したがって、異なる色の液滴を吐出するためには、上記ノズル孔121の列を複数有するヘッドを形成する。液滴吐出ヘッド102は、複数のノズル孔121から成るノズル列を2本有している。図3には、2本のノズル列のうちの1本のノズル列に対応する部分の構成を示しており、図4には、2本のノズル列の各1個のノズル孔121を示している。カラー印刷を行う場合は、さらに多くのノズル列を有するヘッドを形成するか、複数のヘッドを並列して用いる。
流路形成基板110は所定の面方位の単結晶シリコンからなり、上面には弾性膜150が、下面にはマスク膜151が形成されている。図3に示した弾性膜150は、流路形成基板110から距離をおくように図示してあるが、図4に示したように流路形成基板110の表面に形成されている。弾性膜150は当該流路形成基板110の表面を熱酸化することで形成され、厚さが0.5μm〜2μmのため弾性を有する。一方、マスク膜151は別途CVD等で形成される。そして流路形成基板110は、マスク膜151をマスクとし、面方位によりエッチングレートが異なることを利用した異方性エッチングによりパターニングされる。すなわち、流路形成基板110が弾性膜150に達するまでエッチングされることで、液状体供給路115、圧力発生室112、連通部116、等が形成される。それぞれの圧力発生室112は液状体供給路115を介して連通部116とつながっており、連通部116は後述する封止実装基板125のリザーバ部127と連通している。
弾性膜150上には、膜厚が約0.4μmの絶縁体膜155が形成され、この絶縁体膜155上には、膜厚が約0.2μmの、各々の圧力発生室(アクチュエータ)の共通電極である下電極膜160と、膜厚が約1μmの強誘電体薄膜(圧電体層)170と、膜厚が約0.05μmの上電極膜180とが積層配置されて、圧電素子103を構成している。圧電素子103とは、下電極膜160、強誘電体薄膜170、及び上電極膜180を含む部分をいう。そして、圧電素子103と当該圧電素子の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータ104と表記する。なお振動板は、弾性膜150、絶縁体膜155及び下電極膜160の3層を合わせたものである。
流路形成基板110の下面には、マスク膜151及び図示しない接着材等を介してノズルプレート120が接着されている。ノズルプレート120には各々の圧力発生室112に対応して、各1つのノズル孔121が形成されており、上記したアクチュエータにより圧力発生室112に生じる圧力により、当該圧力室に充填されている液状体を吐出する。
流路形成基板110の圧電素子103側には、圧電素子103に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を有する封止実装基板125が接着剤等により接合されている。封止実装基板125には、各圧力発生室112の共通の液状体室となるリザーバを構成するリザーバ部127が設けられている。また、封止実装基板125の圧電素子保持部126とリザーバ部127との間の領域には、封止実装基板125を厚さ方向に貫通する貫通部128が設けられている。そして、各圧電素子103から引き出されたリード電極190は、その端部近傍が貫通部128内で露出している。そして、封止実装基板125上に接着剤等により配置される直載ドライバ106に、リード線108により電気的に接続される。
さらに、このような封止実装基板125上には、封止膜141及び固定板142とからなる弾性シート140が接合されている。また、固定板142は、金属等の硬質の材料で形成される。この固定板142のリザーバ部127に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部143となっているため、リザーバ部127の一方面は可撓性を有する封止膜141のみで封止されている。リザーバ部127には図示省略した供給孔が連設されており、この供給孔を介して液状体がリザーバ部127に供給される。
このような構成により、液滴吐出ヘッド102は、ノズル孔121から液状体の液滴を吐出する。より詳細には、予め、図示しない外部タンクと連通するリザーバ部127からノズル孔121に至るまで内部を液状体で満たす。その後、直載ドライバ106からの駆動信号に従い、圧力発生室112に対応するそれぞれの下電極膜160と上電極膜180との間に駆動電圧を印加する。駆動電圧を印加することで、弾性膜150、絶縁体膜155、下電極膜160及び強誘電体薄膜170をたわみ変形させることにより、各圧力発生室112内の圧力を高めて、ノズル孔121から液状体の液滴を吐出する。
<マザーヘッド基板>
次に、マザーヘッド基板102Aの構成について、図5及び図6を参照して説明する。図5は、液滴吐出ヘッドの一部分を構成する各要素が形成された基板を積層する態様を示す模式図である。ノズルプレート120を区画形成した基板A、流路形成基板110を区画形成した基板B、封止実装基板125を区画形成した基板C、弾性シート140を区画形成した基板Dの、計4枚の基板を、接着剤等で接合する。なお、ノズルプレート120、流路形成基板110、封止実装基板125、弾性シート140の境界は、基板A、基板B、基板C、基板Dに区画形成された状態では形成されていない。したがって、実際には視認できないが、区画形成されたそれぞれのノズルプレート120、流路形成基板110、封止実装基板125、弾性シート140を明示するために、図5では実線で表記している。
上述したように、流路形成基板110は所定の面方位の単結晶シリコンからなり、下面(図5で表示されない面)にはマスク膜151が形成されており、エッチングによりパターニングされる。エッチングの際に上面(図5で表示されている面)をエッチング液から保護するために、基板Bにはエッチング保護膜109を、予め接着する。エッチング保護膜109は、エッチング液の滲入を阻止できるように、また、接着するための接着剤が流路形成基板110に付着することがないように、基板Bにおける流路形成基板110が形成されない部分である外周部114において、基板Bに接着する。流路形成基板110のエッチングによるパターニングの終了後、エッチング保護膜109は除去されるが、強固に接着された部分は除去し難いため、外周部114には除去し残されたエッチング保護膜109が固着している。封止実装基板125も単結晶シリコンからなり、流路形成基板110と同様にエッチングによりパターニングされるため、基板Cの外周部124には除去し残されたエッチング保護膜119が固着している。
マザーヘッド基板102Aは、基板C上に形成された封止実装基板125の上に、基板A、基板B、又は基板Dを、それぞれ個別のノズルプレート120、流路形成基板110、又は弾性シート140に分割したものを接合して形成する。図6は、マザーヘッド基板を示す模式図である。図6(a)は、マザーヘッド基板を弾性シート側からみた平面図であり、図6(b)は、マザーヘッド基板を、直載ドライバを含めて示す断面図である。図6(a)に示すように、マザーヘッド基板102Aの1面は、封止実装基板125が区画形成された基板C上に弾性シート140が接着されている。弾性シート140が接着された領域の周囲は、基板Cにおける封止実装基板125が形成されていない領域である外周部124である。外周部124には、除去し残されたエッチング保護膜119が固着している。図6(b)に示すように、マザーヘッド基板102Aの図6(a)に示した1面の反対側の面は、封止実装基板125の上に流路形成基板110が、さらに流路形成基板110の上にはノズルプレート120が接着されている。マザーヘッド基板102Aを図6(b)に示した区画面195で分割することで、個別の液滴吐出ヘッド102を分離する。液滴吐出ヘッド102が部材に相当し、マザーヘッド基板102Aが基材に相当する。
<マザーヘッド基板の分割>
マザーヘッド基板102Aは、上述したレーザ加工装置10を用いたレーザスクライブ方法によって、個々の液滴吐出ヘッド102に分割される。図6(a)及び(b)に二点鎖線で示した区画面195に、図2を参照して説明したように改質帯44を形成し、改質帯44の近傍に弱い曲げ力又は引張り力を加えることで、改質帯44の部分で分割して、液滴吐出ヘッド102を分離する。
マザーヘッド基板102Aの分割工程を含む液滴吐出ヘッド102の製造工程について、図7を参照して説明する。図7は、液滴吐出ヘッドの製造工程を示すフローチャートである。
図7のステップS1では、封止実装基板125を形成するための基板であって、単結晶シリコンからなり、一方の面にマスク膜が形成された基板の、マスク膜が形成された面の反対側の面にエッチング保護膜119を接着する。エッチング保護膜119を接着する接着剤が封止実装基板125に付着することがないように、エッチング保護膜119は、その周縁部分を基板Cの外周部124に接着される。
次に、ステップS2では、基板をマスク膜が形成された側からエッチングすることにより、マスク膜によって規定されるパターニングを実行する。これにより、封止実装基板125を形成する。
次に、ステップS3では、封止実装基板125が形成された部分を覆うエッチング保護膜119を除去する。このとき、外周部124に強固に接着されたことによって、剥がすのに大きな力を加えることを必要とする接着部分はそのまま残し、封止実装基板125が形成された部分を覆う部分を切り取るなどすることにより除去する。これにより、上述した基板Cが形成される(図5参照)。
次に、ステップS4では、封止実装基板125が区画形成された基板C上に、予め別工程で形成した弾性シート140と、流路形成基板110と、ノズルプレート120とを接着する。ステップS4を実行することで、図6を参照して説明したマザーヘッド基板102Aが形成される。
次に、ステップS5では、外周部124に残留するエッチング保護膜119の、少なくとも区画面195を覆う部分を除去する。図8は、エッチング保護膜の、区画面を覆う部分の近傍を除去した状態を示すマザーヘッド基板の平面図である。当該部分の除去は、後述する改質領域40の形成に対して妨げとなるような位置にあるエッチング保護膜119の除去であり、レーザ光の透過を阻害しないように充分除去することが必要である。一方、レーザ光が透過する範囲にあるエッチング保護膜119のみを除去すれば充分である。図8に示したマザーヘッド基板102Aでは、除去部分118に在ったエッチング保護膜119が除去されている。
このように、位置が定められた狭い範囲を確実に除去する加工は、上述したレーザ加工装置10と同様のレーザ加工装置を用いることで、好適に実行することができる。これらのレーザ加工装置のレーザ光源としては、CO2(炭酸ガス)レーザや、Nd:YAGSHG(第2高調波)レーザや、Nd:YAGTHG(第3高調波)レーザや、Nd:YAGFHG(第4高調波)レーザを用いることができる。これらのレーザ光源のうちで、CO2レーザや、Nd:YAGSHGレーザを用いると、樹脂で形成されたエッチング保護膜119を、高熱で溶融することにより除去することができる。Nd:YAGTHGレーザや、Nd:YAGFHGレーザを用いると、樹脂で形成されたエッチング保護膜119を、光化学分解することにより蒸発させて除去することができる。
次に、図7のステップS6では、改質帯44を形成する。上述したレーザ加工装置10を用いて、パルスレーザ光を基板Cの内部に集光させることによって、基板Cの内部に設定された区画面195に沿った位置に、改質領域40を形成することで、改質帯44を形成する。ノズルプレート120側から、ノズルプレート120と流路形成基板110とが積層された先の基板Cにレーザ光を集光させることは困難であって、ノズルプレート120側から基板Cにレーザ光を集光させることは効率的ではない。一方、弾性シート140は薄いため、弾性シート140が在っても、基板Cにレーザ光を集光させる際の障害とは殆どならないため、レーザ光は、弾性シート140側から基板Cに照射する。
単結晶シリコンからなる基板Cに改質領域40を形成するために、本実施形態では、波長1060nmのYAG基本波を用いる。図2を参照して説明したように、改質領域40を連ねて改質層42を形成し、改質層42を積層して、区画面195の略全面に改質領域40を連ねた改質帯44を形成する。図8に示したマザーヘッド基板102Aの全ての区画面195に沿って、改質帯44を形成する。
次に、ステップS7では、マザーヘッド基板102Aを、個々の液滴吐出ヘッド102に分割する。マザーヘッド基板102Aの全ての区画面195に改質帯44が形成されると、図8に示した弾性シート140の周囲に沿った位置に、即ち、液滴吐出ヘッド102に相当する部分の周囲に、改質帯44が形成されている。それぞれの液滴吐出ヘッド102に相当する部分は、周囲の区画面195の位置に改質帯44が形成されており、隣り合う液滴吐出ヘッド102間に、相対的に移動させる力を加えることにより、区画面195の位置に形成された改質帯44の部分で容易に分割することができる。外周部124も同様に、区画面195の位置に形成された改質帯44の部分で容易に分割することができる。隣り合う液滴吐出ヘッド102を相対的に移動させる力は、マザーヘッド基板102Aを弾性伸展シートに貼り付けて当該弾性伸展シートを伸展させるエキスパンド法などの周知の方法を用いて、加えることができる。
<基板Bの分割>
上述したように、マザーヘッド基板102Aは、基板C上に形成された封止実装基板125の上に、基板A、基板B、又は基板Dを、それぞれ個別のノズルプレート120、流路形成基板110、又は弾性シート140に分割したものを接合して形成する。また、流路形成基板110は、基板Bに区画形成される。上述した基板Cを分割することによりマザーヘッド基板102Aを液滴吐出ヘッド102に分離する工程と同様の工程を実行して、基板Bを分割することで、個々の流路形成基板110を形成する。流路形成基板110が、部材及び構成部材に相当し、基板Bが、基材及びマザー構成部材に相当する。
以下、本実施形態の効果を記載する。本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)改質領域40を形成することによって改質帯44を形成する工程に先立って、残留するエッチング保護膜119の、少なくとも区画面195を覆う部分を除去するため、残留するエッチング保護膜119によって改質領域40を形成するためのレーザ光が遮られることを、抑制することができる。
(2)マザーヘッド基板102Aを分割する工程に先立って、残留するエッチング保護膜119の、少なくとも区画面195を覆う部分を除去するため、区画面195を覆うエッチング保護膜119が恰も補強材のように作用することによって、マザーヘッド基板102Aが分割され難くなることを防止することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、前記実施形態に限らない。本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
(変形例1)前記実施形態においては、マザーヘッド基板102Aは、封止実装基板125が区画形成された基板Cに、流路形成基板110、ノズルプレート120及び弾性シート140は分割したものを個別に貼り合わせていたが、分割済みの流路形成基板110やノズルプレート120や弾性シート140を貼り合わせることは必須ではない。マザーヘッド基板は、基板Bと基板Cとを貼り合わせ、ノズルプレート120及び弾性シート140は分割したものを個別に貼り合わせる構成であってもよいし、基板Bと、基板Cと、基板Aと基板Dとの両方又はどちらか一方を貼り合わせて、3枚又は4枚の基板からなる構成であってもよい。
(変形例2)前記実施形態においては、基板Cを容易に分割できるようにするための分割前加工として、基板Cの区画面195の全面に改質領域40を形成していたが、分割前加工は、改質領域40の形成のみに限らない。基板Cにおいて、封止実装基板125を形成するための半導体プロセスを実行する際に、境界面をハーフエッチングすることで予め基板Cの厚さを減じることと、ハーフエッチングの残りの区画面に改質領域40を形成することとで、容易に分割できるようにしてもよい。
(変形例3)前記実施形態においては、分割する対象物として、液滴吐出ヘッド102が区画形成されたマザーヘッド基板102Aと、液滴吐出ヘッド102を構成する流路形成基板110が区画形成された基板Bと、を例にして説明したが、分割する対象物は液滴吐出ヘッドや液滴吐出ヘッドの構成要素が形成されたものに限らない。分割する対象物に分割を阻害するような固着物が付く可能性がある場合には、本発明を用いることで、好適に分割を実施することができる。
(変形例4)前記実施形態においては、改質層は改質領域40を互いに略連接するように連ねて形成していたが、改質領域40が略連接することは必須ではない。小さい応力をかけて分割できれば、改質領域40を互いに間隔を隔てて連ねる構成であってもよい。間隔を隔てることで、改質領域を略連接させる構成に比べて相対移動速度を速くして、加工速度を速くすることができる。
(変形例5)前記実施形態においては、改質帯は改質層を互いに略連接するように積層して形成していたが、改質層が略連接することは必須ではない。小さい応力をかけて分割できれば、改質層を互いに間隔を隔てて積層する構成であってもよい。間隔を隔てることで、改質層を略連接させる構成に比べて改質帯の形成に要する時間を短縮することがすることができる。
(変形例6)前記実施形態においては、集光レンズ23に対してステージ20をZ軸に直交する方向に移動することで、集光レンズ23と、マザーヘッド基板102A、又は基板Bと、を相対移動させていたが、ステージ20側を移動させることは必須ではない。集光レンズ23側を移動することで、集光レンズ23と、マザーヘッド基板102A、又は基板Bとの相対移動を行ってもよい。
(変形例7)前記実施形態においては、マザーヘッド基板102A、又は基板Bに対する集光点のZ軸方向の位置調整は、Z軸スライド機構24によって集光レンズ23を移動することで行っていたが、集光レンズ23を移動することは必須ではない。マザーヘッド基板102A、又は基板Bに対する集光点のZ軸方向の位置調整は、ステージ20をZ軸方向に移動して調整してもよい。レーザ光源21や集光レンズ23を含むレーザ光照射装置が調整装置を持たなくてすみ、レーザ光照射装置が調整装置を持つ場合に比べてレーザ光照射装置全体を軽量小型にすることができる。
(変形例8)前記実施形態においては、加工対象物の基板はシリコン基板であったが、本発明は、石英ガラス基板、水晶から成る水晶基板や、パイレックス(登録商標)やネオセラム(登録商標)やOA−10から成る基板にも適用することができる。
(変形例9)前記実施形態においては、レーザ光源21は、イットリウム−アルミニウム−ガーネットにネオジウムをドープした結晶をレーザ媒質として用いるNd:YAGレーザであったが、レーザ光源は他のレーザ媒質を用いるレーザ光源であってもよい。例えば、他のYAGレーザやYLFレーザやYVO4レーザなどを使用してもよい。Nd:YAGレーザも、Nd:YAG基本波以外にも、第3高調波などを用いることができる。加工対象の材質によって、改質領域を形成するのに適した波長などが異なるため、レーザ媒質や発振させるレーザ光は、加工する材質に合わせて適切なものを選択することが好ましい。
(変形例10)前記実施形態においては、改質領域を形成する各走査の走査方向が同一方向であったが、各走査の走査方向が同一方向であることは必須ではない。積層する改質層ごとに走査方向を変えてもよい。往復両方向の走査で改質領域を形成することにより、各走査の走査方向が単一方向である場合に比べて、改質帯を形成する時間を短縮することができる。
(変形例11)前記実施形態においては、基板などの内部に多光子吸収による改質領域を形成するレーザ内部改質加工によるレーザ加工について説明したが、レーザ加工はレーザ内部改質加工に限らない。レーザ光によって基板表面から内部に向かって加工するようなレーザ加工であってもよい。
(変形例12)前記実施形態においては、エッチング保護膜119を除去するためにレーザ加工装置10と同様のレーザ加工装置を用いていたが、分割予定面上の固着物を除去するために用いる装置は、レーザ加工装置10と同様の装置に限らない。分割予定面上の固着物を除去するために、レーザマーカを用いてもよい。レーザマーカは、平面方向の集光位置の移動の自由度が高く、また、速度で移動させることができるため、固着物の除去を効率よく実行することができる。
上述した実施形態においては、加工対象物の一例として、ヘッドを構成するシリコン基板の分割方法について説明したが、本発明による加工方法は様々な加工対象物の加工方法として利用できる。例えば、ガラス基板の切断に用いられるガラス基板分割方法、水晶発振器などの水晶基板の切断に用いられる水晶基板分割方法、ピエゾ素子などの圧電素子分割方法、プラスチック板分割方法、集積回路などのシリコン基板の分割方法、液晶表示パネルが区画形成されたマザーパネル基板の分割方法などとして、利用することができる。
レーザ加工装置の構成を示す模式図。 加工対象物に改質帯を形成する工程を示す加工対象物の模式断面図。 液滴吐出ヘッドの一部を切り取った状態を模式的に示す分解斜視図。 液滴吐出ヘッドの模式断面図。 液滴吐出ヘッドの一部分を構成する各要素が形成された基板を積層する態様を示す模式図。 マザーヘッド基板を示す模式図。 液滴吐出ヘッドの製造工程を示すフローチャート。 エッチング保護膜の、区画面を覆う部分の近傍を除去した状態を示すマザーヘッド基板の平面図。
符号の説明
10…レーザ加工装置、21…レーザ光源、40…改質領域、42…改質層、44…改質帯、102…液滴吐出ヘッド、102A…マザーヘッド基板、109,119…エッチング保護膜、110…流路形成基板、114…外周部、118…除去部分、120…ノズルプレート、124…外周部、125…封止実装基板、140…弾性シート、150…弾性膜、151…マスク膜、155…絶縁体膜、195…区画面。

Claims (11)

  1. 複数の部材が区画形成された基材をそれぞれの前記部材に分割する基材の分割方法であって、
    前記基材の表面に固着した固着物における、少なくとも前記基材を個々の前記部材に分割する際に分離される部分である分割予定面の上に固着した前記固着物を除去する固着物除去工程と、
    前記分割予定面に対して、当該分割予定面の周辺における前記基材の強度に比べて前記分割予定面の強度が小さくなるような加工である分割前加工を実行する前加工工程と、
    前記分割予定面において前記基材を前記部材に分割する分割工程と、を有することを特徴とする基材の分割方法。
  2. 前記固着物除去工程において、前記固着物にレーザ光を集光させることにより、前記レーザ光が集光された前記固着物の部分を除去するレーザ加工を用いることを特徴とする請求項1に記載の基材の分割方法。
  3. 前記固着物は樹脂材料からなり、前記レーザ加工は、炭酸ガスレーザ、又はNd:YAG−SHGレーザを用いることを特徴とする請求項2に記載の基材の分割方法。
  4. 前記固着物は樹脂材料からなり、前記レーザ加工は、Nd:YAG−THGレーザ、又はNd:YAG−FHGレーザを用いることを特徴とする請求項2に記載の基材の分割方法。
  5. 前記レーザ加工は、レーザマーカを用いることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の基材の分割方法。
  6. 前記前加工工程における前記分割前加工が、前記分割予定面の部分を含む領域にレーザ光を集光させることにより、前記領域に改質領域を形成する第一のレーザ加工であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基材の分割方法。
  7. 前記第一のレーザ加工が、前記基材の内部における前記分割予定面の部分を含む前記領域にレーザ光を集光させることにより、前記基材の内部において、前記分割予定面の部分を含む前記領域に前記改質領域を形成するレーザ内部改質加工であることを特徴とする請求項6に記載の基材の分割方法。
  8. 前記基材は単結晶シリコンからなり、前記第一のレーザ加工は、Nd:YAG基本波レーザを用いることを特徴とする請求項7に記載の基材の分割方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の基材の分割方法を用いて、基板が区画形成されたマザー基板を前記基板に分割することを特徴とする基板の製造方法。
  10. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の基材の分割方法を用いて、液滴吐出ヘッドが区画形成されたマザーヘッド基板を前記液滴吐出ヘッドに分割することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  11. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の基材の分割方法を用いて、液滴吐出ヘッドを構成する構成部材が区画形成されたマザー構成部材を前記構成部材に分割することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
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