図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、カラー画像を形成可能であるカラーレーザプリンタであるが、他のタイプのプリンタ、ファクシミリ、複写機、複写機とプリンタとの複合機等、他の画像形成装置であっても良い。画像形成装置100は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体として画像形成を行なうことが可能である。
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体としての感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKを並設したタンデム構造、言い換えるとタンデム方式を採用している。各符号の数字の後に付されたY、C、M、BKは、イエロー、シアン、マゼンタ、黒用の部材であることを示している。
感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKは、画像形成装置100の本体99の内部のほぼ中央部に配設された無端のベルトである中間転写体としての転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に位置している。
転写ベルト11は、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対峙しながら矢印A1方向に移動可能となっている。各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKは、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。
各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに形成された可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する転写ベルト11に対しそれぞれ重畳転写され、その後、記録媒体である転写紙Sに一括転写されるようになっている。よって、画像形成装置100は中間転写方式の画像形成装置となっている。
転写ベルト11は、その下側の部分が各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対向しており、この対向した部分が、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BK上のトナー像を転写ベルト11に転写する転写部98を形成している。
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに形成されたトナー像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対向する位置に配設された1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
転写ベルト11は、ベース層を伸びの少ない材質で構成し、ベース層の表面を平滑性の良い材質によって覆ったコート層とし、ベース層にコート層を重ねて形成した多層構造となっている。ベース層の材質としては、たとえばフッ素樹脂、PVDシート、ポリイミド系樹脂が挙げられる。コート層の材質としては、たとえばフッ素系樹脂等が挙げられる。
転写ベルト11は、その縁部にそれぞれ、寄り止め部材としての図示しない寄り止めガイドを有している。寄り止めガイドは、転写ベルト11がA1方向に回転するときに、図1における紙面と垂直な何れかの方向に偏倚することを防止するために配設されている。寄り止めガイドは、ウレタンゴム製であるが、その他、シリコンゴムなど各種ゴム材料により構成することができる。
各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKはそれぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像を形成するための、画像形成部としてのトナー像形成部たる画像形成ユニット60Y、60C、60M、60BKに備えられている。
画像形成装置100は、4つの画像形成ユニット60Y、60C、60M、60BKと、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKの上方に対向して配設され、転写ベルト11を備えたユニットとしての転写ベルトユニット10と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11に従動し、連れ回りする転写部材としての2次転写ローラ5と、画像形成ユニット60Y、60C、60M、60BKの下方に対向して配設された書込ユニットとしての光走査装置8とを有している。
画像形成装置100はまた、感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKと転写ベルト11との間に向けて搬送される転写紙Sを積載した給紙カセットとしてのシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた記録紙Sを、画像形成ユニット60Y、60C、60M、60BKによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKと転写ベルト11との間の転写部98に向けて繰り出すレジストローラ対4と、転写紙Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
画像形成装置100はまた、トナー像を転写された転写紙Sに同トナー像を定着させるためのローラ定着方式の定着ユニットとしての定着装置6と、定着済みの転写紙Sを本体99の外部に排出する排紙ローラ7と、転写ベルトユニット10の上方に配設され、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填された、本体99に着脱されるトナー補給部材としてのトナーボトル9Y、9C、9M、9BKと、本体99の上側に配設され排出ローラ7により本体99の外部に排出された転写紙Sを積載する排紙トレイ17と、廃トナー等の不要物を収納する廃トナータンク83とを有している。
画像形成装置100はまた、トナーボトル9Y、9C、9M、9BK内のトナーを画像形成ユニット60Y、60C、60M、60BKのそれぞれに備えられた、現像装置50Y、50C、50M、50BKに供給する、図5に示すトナー補給手段としてのトナー供給機構80とを有している。
画像形成装置100はまた、画像形成装置100に対する各種設定を行うための入力手段としての図示しない操作パネルと、画像形成装置100全体の動作を制御する、図示しないCPU、メモリ等を備えた制御手段とを有している。
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11の他に、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKと、転写ベルト11を巻き掛けられた、駆動部材である駆動ローラ72と、転写入口ローラ73と、クリーニング対向ローラ74と、クリーニング対向ローラ74を転写ベルト11の張力を増加する方向に付勢する付勢手段としてのばね75とを有している。
転写ベルトユニット10はまた、本体99に着脱自在に支持され、駆動ローラ72、転写入口ローラ73、クリーニング対向ローラ74、ばね75を保持し、転写ベルトユニット10の筐体をなす中間転写ベルトケース14と、中間転写ベルトケース14と一体をなし、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11上をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置としてのクリーニング装置13とを有している。
転写ベルトユニット10はまた、駆動ローラ72を回転駆動する図示しない駆動系と、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKに1次転写バイアスを印加する図示しない1次転写バイアス印加手段としての電源及びバイアス制御手段とを有している。
転写入口ローラ73、クリーニング対向ローラ74は、駆動ローラ72によって回転駆動される転写ベルト11に連れ回りする従動ローラとなっている。1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKは、転写ベルト11をその裏面から感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに向けて押圧してそれぞれ1次転写ニップを形成する。この1次転写ニップは、転写ベルト11の、転写入口ローラ73、クリーニング対向ローラ74の間に張り渡した部分において形成されている。転写入口ローラ73、クリーニング対向ローラ74は、1次転写ニップを安定化する機能を有する。
各1次転写ニップには、1次転写バイアスの作用により、感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKと1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKとの間に1次転写電界が形成される。感光体ドラム20Y、20C、20M、20BK上に形成された各色のトナー像は、この1次転写電界やニップ圧の影響によって転写ベルト11上に1次転写される。
駆動ローラ72は、転写ベルト11を介して2次転写ローラ5を当接されており、2次転写部90を形成している。
クリーニング対向ローラ74は、ばね75の作用により、転写ベルト11に、転写に適した所定の張力を与える加圧部材としてのテンションローラたる機能を有している。
クリーニング装置13は、図1におけるクリーニング対向ローラ74の左方の位置において、転写ベルト11に対向するように配設されている。
クリーニング装置13は、詳細な図示を省略するが、転写ベルト11に対向、当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有しており、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。このクリーニングにより生じた廃トナー等の不要物は、図示しない廃トナー経路を経て廃トナータンク83に収納されるようになっている。
シート給送装置61は、転写紙Sを複数枚重ねた転写紙束の状態で収容するものであり、本体99の下部に配設され、最上位の転写紙Sの上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ3を有しており、給送ローラ3が反時計回り方向に回転駆動されることにより、最上位の転写紙Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
レジストローラ対4は、作像速度、言い換えると転写ベルト11の移動速度と、給紙の速度とを合わせるために、外径を精密に加工されている。その精度は外径で0.03mm以内である。
2次転写部90には、2次転写バイアスの作用により、駆動ローラ72及び転写ベルト11と、2次転写ローラ5との間に2次転写電界が形成される。転写ベルト11上に形成されたトナー像は、この2次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙S上に2次転写される。駆動ローラ72は2次転写対向ローラを兼ねている。
定着装置6は、熱源を内部に有する定着ローラ62と、定着ローラ62に圧接された加圧ローラ63とを有しており、トナー像を担持した転写紙Sを定着ローラ62と加圧ローラ63との圧接部である定着部に通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を転写紙Sの表面に定着するようになっている。
トナーボトル9Y、9C、9M、9BK内のイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーは、図5に示すトナー供給機構80により、所定の補給量だけ、画像形成ユニット60Y、60C、60M、60BKにそれぞれ備えられた現像装置50Y、50C、50M、50BKに補給される。トナーボトル9Y、9C、9M、9BKは、内部のトナーがなくなると交換される消耗品であり、トナーがなくなったとき等に本体99に脱着され、交換される。
なおクリーニング装置13、クリーニング対向ローラ74は、黒色画像形成時には、1次転写ローラ12Y、12C、12Mとともに下方に移動し、転写ベルト11を、感光体ドラム20Y、20C、20Mから離間するように構成されている。
操作パネルによって入力された各種の情報は、制御手段によって認識され、それぞれ識別される。操作パネルによって入力可能な情報としては、例えば、図7ないし図9に示して後述する滞留検知センサ66Y、67Yによって現像剤の滞留を検知する際に用いる基準値等が挙げられる。操作パネルは、制御手段による制御によって所定の表示を行う出力手段としての表示部を有している。
画像形成ユニット60Y、60C、60M、60BKについて、そのうちの一つの、感光体ドラム20Yを備えた画像形成ユニット60Yの構成を代表して構成を説明する。なお、他の画像形成ユニット画像形成ユニット60C、60M、60BKの構成に関しても実質的に同一であるので、以下の説明においては、便宜上、画像形成ユニット60Yの構成に付した符号に対応する符号を、他の画像形成ユニット60C、60M、60BKの構成に付し、詳細な説明については適宜省略することとする。
図2に示すように、感光体ドラム20Yを備えた画像形成ユニット60Yは、感光体ドラム20Yの周囲に、図中時計方向であるその回転方向B1に沿って、1次転写ローラ12Yと、クリーニング手段としてのクリーニング装置40Yと、帯電手段である帯電装置としての帯電装置30Yと、現像手段としての現像ユニットである現像装置50Yとを有している。
帯電装置30Yは、感光体ドラム20Yの表面に当接して従動回転する帯電ローラ31Yと、帯電ローラ31Yに当接し従動回転するクリーニングローラ32Yとを有している。帯電ローラ31Yには、直流に交流成分のバイアスを重畳印加する図示しない電圧印加手段が接続されており、感光体ドラム20Yと対向する帯電領域において、感光体ドラム20Yの表面を除電すると同時に、所定の極性に帯電するようになっている。
クリーニングローラ32Yは帯電ローラ31Yに従動回転することで帯電ローラ31Yをクリーニングするようになっている。
このように、本形態では、接触ローラを用いた帯電システムを採用しているが、帯電システムは、近接ローラを用いたものであっても良いし、コロトロン方式を採用したものであっても良い。
現像装置50Yは、感光体ドラム20Yに近接対向して配設された現像ローラ51Yを有し、現像ローラ51Yと感光体ドラム20Yとの間の現像領域において、イエロートナーが感光体ドラム20Yの表面に形成された静電潜像に静電的に移行して、静電潜像をイエロートナー像として可視像化するものである。現像装置50Yの詳細については後述する。
1次転写ローラ12Yには、1次転写バイアス印加手段によって、バイアス制御手段による制御に基づき、電源から、1次転写に適した所定の電圧が印加されるようになっている。
図1に示した光走査装置8は、図2に示すように、感光体ドラム20Yにおける帯電領域と現像領域との間の領域に、光変調されたレーザー光Lを照射して帯電ローラ31Yにより帯電された後の感光体ドラム20Yの表面を露光し、露光部分の電位を低下させて感光体ドラム20Yの表面上に静電的な電位差を設け、静電潜像を形成する。電位が低下した部分に現像装置50Yによってイエロートナーが供給されて付着し、イエロートナー像として可視像化される。
クリーニング装置40Yは、感光体ドラム20Yに対向する部分に開口部を有するクリーニングケース43Yと、感光体ドラム20Yに当接し感光体ドラム20Y上の残留トナー、キャリア、紙粉等の不要物を掻き取ってクリーニングするクリーニングローラ45Yと、感光体ドラム20Yの回転方向B1において、クリーニングローラ45Yよりも下流側の位置で感光体ドラム20Yに当接し感光体ドラム20Y上の不要物を掻き取ってクリーニングするためのブレードとしてのクリーニングブレード41Yとを有している。
クリーニング装置40Yはまた、クリーニングケース43Yに回転自在に支持され、クリーニングローラ45Y、クリーニングブレード41Yによって掻き取られ、また除去されることによって生じた廃トナー等の不要物を廃トナータンク83に向けて搬送するための図示しない廃トナー経路の一部を構成する排出スクリュ42Y等を有している。
画像形成ユニット60Yを構成する、感光体ドラム20Yと、1次転写ローラ12Yと、クリーニング装置40Yと、帯電装置30Yと、現像装置50Yとのうち、1次転写ローラ12Yを除くもの、すなわち感光体ドラム20Yと、クリーニング装置40Yと、帯電装置30Yと、現像装置50Yとは、ユニットとしてのプロセスユニットであるプロセスカートリッジ95Yを構成しており、プロセスカートリッジ95Yは一体で、画像形成装置100本体に対し、図1における紙面手前側に離脱自在であって、着脱自在である。
また、感光体ドラム20Yは、単独で、画像形成装置100本体に対し、図1における紙面手前側に離脱自在であって、着脱自在であるとともに、プロセスカートリッジ95Yを構成する、感光体ドラム20Yと、クリーニング装置40Yと、帯電装置30Yと、現像装置50Yとのうち、感光体ドラム20Yを除くもの、すなわち、クリーニング装置40Yと、帯電装置30Yと、現像装置50Yとは、ユニットを構成しており、このユニットは一体で、画像形成装置100本体に対し、図1における紙面手前側に離脱自在であって、着脱自在である。
また、現像装置50Yは、現像剤の交換作業等のため、単独で、画像形成装置100本体に対し、図1における紙面手前側に離脱自在であって、着脱自在であるとともに、プロセスカートリッジ95Yを構成する、感光体ドラム20Yと、クリーニング装置40Yと、帯電装置30Yと、現像装置50Yとのうち、現像装置50Yを除くもの、すなわち、感光体ドラム20Y、クリーニング装置40Yと、帯電装置30Yとは、ユニットを構成しており、このユニットは一体で、画像形成装置100本体に対し、図1における紙面手前側に離脱自在であって、着脱自在である。
かかる構成の画像形成装置100において、カラー画像を形成すべき旨の信号が入力されると、駆動ローラ72が駆動され、転写ベルト11、転写入口ローラ73、クリーニング対向ローラ74が従動回転するとともに、感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKがB1方向に回転駆動される。
感光体ドラム20Yは、B1方向への回転に伴い、帯電ローラ31Yにより表面を一様に帯電され、光走査装置8からのレーザー光Lの露光走査によりイエロー色に対応した静電潜像を形成され、この静電潜像を現像装置50Yによりイエロー色のトナーにより現像され、現像により得られたイエロー色の単色画像であるトナー像を1次転写ローラ12YによりA1方向に移動する転写ベルト11に1次転写され、転写後に残留したトナーを含む不要物をクリーニング装置40Yにより良好に除去されて帯電ローラ31Yによる次の除電、帯電に供される。
他の感光体ドラム20C、20M、20BKにおいても同様に各色のトナー像が形成等され、形成された各色の単色画像であるトナー像は、1次転写ローラ12C、12M、12BKにより、A1方向に移動する転写ベルト11上の同じ位置に順次1次転写される。転写ベルト11上に重ね合わされたトナー像は、転写ベルト11のA1方向の回転に伴い、2次転写ローラ5との対向位置である2次転写部90まで移動し、2次転写部90において転写紙Sに2次転写される。
転写ベルト11と2次転写ローラ5との間に搬送されてきた転写紙Sは、シート給送装置61から給送ローラ3によって繰り出されてフィードされ、レジストローラ対4によって、センサによる検出信号に基づいて、転写ベルト11上のトナー像の先端部が2次転写ローラ5に対向するタイミングで送り出されたものである。
転写紙Sは、すべての色のトナー像を転写され、担持すると、定着装置6に進入し、定着ローラ62と加圧ローラ63との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を定着され、転写紙S上に合成カラー画像であるカラー画像を定着される。定着装置6を通過した定着済みの転写紙Sは、排紙ローラ7を経て、本体99の上部の排紙トレイ17上にスタックされる。一方、2次転写を終えた転写ベルト11は、クリーニング装置13に備えられたクリーニングブラシ及びクリーニングブレードによってクリーニングされ、次の帯電工程、現像工程に備える。
このような画像形成工程において、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーは、現像装置50Y、50C、50M、50BKにおいてそれぞれ消費されるため、消費に応じて、図5に示すトナー供給機構80が、トナーボトル9Y、9C、9M、9BK内のイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを、所定の補給量だけ、それぞれ現像装置50Y、50C、50M、50BKに供給するようになっている。
現像装置50Y、50C、50M、50BKは、各色のトナーで各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKの静電潜像を現像するために、各色のトナーを帯電するようになっている。
現像装置50Y、50C、50M、50BKについて、そのうちの一つの、現像装置50Yの構成を代表して説明する。なお、他の現像装置50C、50M、50BKの構成に関しても実質的に同一であるので、以下の説明においては、現像装置50Yの構成について説明し、他の現像装置50C、50M、50BKの構成については省略する。
図2または図3に示すように、現像装置50Yは、現像ローラ51Yの他に、感光体ドラム20Yに対向する部分に開口部を有する現像剤容器としてのケーシングであるケースとしての現像ケース55Yと、現像ローラ51Y上の現像剤を一定の高さに規制する現像ブレード52Yとを有している。
現像装置50Yはまた、現像ケース55Yの下部に互いに対向するように配設され、現像剤を循環するように搬送しつつ攪拌する、搬送手段である第1の搬送部材としての第1搬送スクリュ53Y及び搬送手段である第2の搬送部材としての第2攪拌スクリュ54Yとを有している。
現像装置50Yはまた、現像ケース55Y内の現像剤中に含まれるトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段としてのトナー濃度検知センサ92Yと、直流成分の現像バイアスを印加する図示しないバイアス印加手段等と、第1搬送スクリュ53Yと第2攪拌スクリュ54Yとを互いに同じ方向に回転駆動する図示しない駆動手段とを有している。
現像装置50Yは、非磁性トナーであるイエロートナーと、主に鉄粉で構成された磁性体であるキャリアとを含有する2成分現像剤たる現像剤を用いて現像を行うものであり、現像ケース55Y内にかかる現像剤を収容している。
現像ローラ51Yは、現像ケース55Yの開口部から感光体ドラム20Yに臨むよう感光体ドラム20Yに近接対向して配設されている。
図3に示すように、現像ローラ51Yは、回転自在でありその表面に現像剤を担持する非磁性材料であるアルミニウムで構成された薄肉円筒状の現像スリーブとしてのスリーブ56Yと、スリーブ56Yの内部にスリーブ56Yによって覆われるように固定配置されスリーブ56Yに現像剤を担持させるための磁界を発生するマグネット57Yとを有している。
図3又は図4に示すように、現像ケース55Yは、第1搬送スクリュ53Yを収容した現像室58Yと、第2搬送スクリュ54Yを収容した攪拌室59Yと、現像室58Yと攪拌室59Yとを仕切り、区画する隔壁81Yと、図5に示すトナー供給機構80を介して図1に示したトナーボトル9Yからイエロー色のトナーを受け入れる供給口91Yとを有している。
図3又は図5に示すように、第1搬送スクリュ53Yが現像ローラ51Yに現像剤を供給するよう、現像ローラ51Yに対向しているため、現像室58Yと攪拌室59Yとでは、現像室58Yの方が現像ローラ51Yに近くに位置している。
なお、図4及び図5では、説明の便宜上、現像ケース55Yの上方が開口しているように図示しているが、実際には、図2及び図3に示すように、現像ケース55Yは、現像ローラ51Yが感光体ドラム20Yに臨む開口部を除き、現像剤が外部に飛散することのないようにその内部を密封した構成となっている。このことは、後述する図7についても同様である。
図4又は図6に示すように、第1搬送スクリュ53Y、第2搬送スクリュ54Yはそれぞれ、回転中心をなす回転軸83Y、84Yと、回転軸83Y、84Y上に形成されたスパイラル状の突条によって構成されたスクリュ部85Y、86Yとを有している。
スクリュ部85Y、86Yは互いに逆向きの螺旋状をなしている。第1搬送スクリュ53Yと第2搬送スクリュ54Yとは、互いに平行に配設されており、且つ現像ローラ51Yに平行に配設されている。
第1搬送スクリュ53Y、第2搬送スクリュ54Yはそれぞれ、回転軸83Y、84Yが駆動手段によって同方向に回転駆動され、この回転軸83Y、84Yを中心とする回転により、スクリュ部85Y、86Yの作用によって、その回転軸方向すなわち回転軸83Y、84Yが延在する図2、図3における紙面と垂直な方向に、現像剤を搬送するようになっている。
第1搬送スクリュ53Y、第2搬送スクリュ54Yによる現像剤の搬送方向をさらに具体的に説明すると、第1搬送スクリュ53Yは、現像室58Yにおいて、図2、図3における紙面奥側であって図4における左方側に対応する第1の方向に現像剤を搬送し、第2搬送スクリュ54Yは、攪拌質59Yにおいて、図2、図3における紙面手前側であって図4における右方側に対応する第2の方向に現像剤を搬送する。
現像室58Yと攪拌室59Yとは、隔壁81Yによって区画されているが、隔壁81Yの両端部は、現像ケース55Yの側壁の内面との間に間隙を有しており、この間隙の部分において現像室58Yと攪拌室59Yとは連通している。
したがって、現像剤は、第1搬送スクリュ53Y、第2搬送スクリュ54Yの回転により、かかる連通部分において、現像室58Yから攪拌室59Yへ、また攪拌室59Yから現像室58Yへと移動することで、現像室58Yと攪拌室59Yとにおいて図4における反時計方向である一定方向に循環するように搬送される。
現像室58Yは、現像剤が第1の方向に搬送されながら現像ローラ51Yに供給される第1の区画をなし、攪拌室59Yは、現像剤が現像室58Yから搬送されてくる第2の区画をなしている。攪拌室59Yはまた、現像剤を第2の方向に搬送されて現像室58Yに供給される第3の区画としても機能している。
第2の区画、第3の区画は、本形態においては攪拌室59Yとして共通の空間となっているが、これらは、現像剤の循環が行なわれるのであれば、別個の空間であっても良い。第1の方向と第2の方向とは本形態では互いに平行であるが、第2の方向が曲線を描いたり、第2の区画、第3の区画が別個の空間によって構成されている場合に屈曲したりするなど、互いに非平行であっても良い。
駆動手段は、制御手段の制御によって第1搬送スクリュ53Y、第2搬送スクリュ54Yの回転速度を変更できるようになっており、第1搬送スクリュ53Y、第2搬送スクリュ54Yの回転速度を変更することで現像剤の搬送速度を変更するようになっている。
トナー濃度検知センサ92Yは、現像ケース55Y内の現像剤の透磁率を検知し、検知した値を換算することで、現像剤に含まれるトナー濃度を検知する。トナー濃度センサ92Yは第2搬送スクリュ54Yの下方に配設されているが、第1搬送スクリュ53Yの下方に配設し、後述するように現像剤が現像ローラ51Yから離脱して落下したときに、この落下直後の現像剤のトナー濃度を検知するようにしても良い。
トナー供給機構80は、図示しないコイルと、このコイルを回転駆動するコイル駆動手段とを備えている。
トナー供給機構80は、トナー濃度検知センサ92Yが、現像ケース55Y内の現像剤に含まれるトナー濃度が所定濃度よりも低下した場合に、トナー濃度が不足していると判断してコイルを回転駆動し、トナーボトル9Yから供給口91Yを経てイエロートナーを現像装置50Y内の現像剤に適量補給、供給する。
供給口91Yを経て現像装置50Y本体内に供給されたトナーは、第2の区画たる攪拌室59Y内において第2搬送スクリュ54Y上に落下するようになっている。すなわち、供給口91Yは、トナーを第2搬送スクリュ54Yに供給する位置に配設されている。
供給口91Yから補給されたイエロートナーは、第2搬送スクリュ54Y及び第1攪拌スクリュ53Yによって現像剤と攪拌混合され、攪拌混合された現像剤が現像ローラ51Yに供給される。
新たに補給されたトナーと現像剤との攪拌混合は、主に第2の区画たる攪拌室59Y内で行われるため、第2の区画たる攪拌室59Yはトナー濃度調整スペースとして機能する。新たに補給されたトナーは、攪拌混合の際にトナー同士又はキャリアとの摩擦により帯電作用を受け、帯電する。
第1搬送スクリュ53Y及び第2攪拌スクリュ54Yは、現像ケース55Y内の現像剤を攪拌する現像剤攪拌手段として機能する。この攪拌作用は、現像剤がスクリュ部85Y、86Yに沿って移動する際に上下にかき回される動きを生ずること等によって得られるものである。
現像装置50Yにおいては、現像室58Y内の現像剤が、マグネット57Yの磁力により、現像スリーブ56Y上に、穂状に担持される。現像ローラ51Yは、現像ケース55Y内に収容された現像剤を担持する剤担持体として機能する。現像スリーブ56Yによる現像剤の担持量は、現像ブレード52Yによって規制される。
現像スリーブ56Y上において規制され適量とされた層状の現像剤は、現像スリーブ56Yの矢印C1方向への回転により、現像ローラ51Yと感光体ドラム20Yとの間の現像領域に運ばれる。
現像領域において、第1搬送スクリュ53Y及び第2攪拌スクリュ54Yの攪拌によって帯電している現像剤中のイエロートナーが、バイアス印加手段による現像バイアスの作用を受け、感光体ドラム20Yの表面に形成された静電潜像に静電的に移行して、静電潜像をイエロートナー像として可視像化する。
このようにして感光体ドラム20Y表面上の静電潜像を現像することでイエロートナーを消費しイエロートナーの濃度が低下した現像剤は、現像スリーブ56Yに担持されたまま現像スリーブ56YのC1方向への回転によってさらに搬送され、マグネット57Yの磁力の弱い部分において現像スリーブ56Yから離脱して落下し、他の現像剤と攪拌混合される。
なお、本形態では、バイアス印加手段により直流成分の現像バイアスを印加しているが、現像バイアスは、交流成分であっても良いし、直流成分に交流成分を重畳したものであっても良い。
すでに述べたように、現像剤は、静電潜像を現像するために、これに含まれるトナーを帯電させるために攪拌されるが、トナーは攪拌により次第に劣化する。一方、トナーの消費率が低い画像形成、例えば画像面積率の低い画像形成を連続して行うと、トナーが消費される前に劣化し易くなり、流動性が低下して滞留し、現像性能が低下する。
そこで、現像装置50Y、50C、50M、50BKは、現像剤の流動性の低下を滞留によって検知し、滞留を検知したときに現像剤中のトナー濃度を調整することでかかる不具合を防止ないし抑制するようになっている。
これを行なうための手段、構成等は、現像装置50Y、50C、50M、50BKにそれぞれ、同様に備えられている。そこで、現像装置50Yを代表して説明する。なお、他の現像装置50C、50M、50BKに関しても実質的に同一であるので、以下の説明においては、他の現像装置50C、50M、50BKの構成については省略する。
図7に示すように、現像装置50Yは、現像ケース55Y内における現像剤を検知してこの現像剤の滞留を所定の基準値に基づいて検知する滞留検知手段として、第1の滞留検知手段としての第1の滞留検知センサ66Yと、第2の滞留検知手段としての第2の滞留検知センサ67Yとを有している。
現像装置50Yは、これら一対の滞留検知センサ66Y、67Yが現像剤の滞留を検知したときに、制御手段による制御に基づき、現像剤の流動性を調整する調整モードを行うようになっている。
第1の滞留検知センサ66Yは、現像剤が第1の区画たる現像室58Yから第2の区画たる攪拌室59Yに移動する箇所の現像室58Y側であって、現像ローラ51Yの軸方向における現像室58Yと攪拌室59Yとの連通部分に対応する位置に配設されている。
第2の滞留検知センサ67Yは、現像剤が第3の区画たる攪拌室59Yから第1の区画たる現像室58Yに移動する箇所の現像室58Y側であって、現像ローラ51Yの軸方向における現像室58Yと攪拌室59Yとの連通部分に対応する位置に配設されている。
図7又は図8に示すように、第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yはそれぞれ、現像ローラ51Yの軸方向における現像室58Yと攪拌室59Yとの連通部分に対応する位置において現像剤の表面に当接する当接部としてのフィラー68Y、69Yと、フィラー68Y、69Yをその周面において支持している円筒形状の支持部70Y、71Yとを有している。
第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yはまたそれぞれ、支持部70Y、71Yの周面の、フィラー68Y、69Yの配設位置と反対側に突設された平板状の被検出部76Y、77Yと、被検出部76Y、77Yを検出する検出部78Y、79Yとを有している。
第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yはまたそれぞれ、支持部70Y、71Yを回転自在に支持した軸87Y、88Yと、現像ケース55Yに固定され軸87Y、88Y及び検出部78Y、79Yを支持した支持体93Y、94Yとを有している。
検出部78Y、79Yは、図7に示すように、被検出部76Y、77Yが進入することが可能な凹部と、この凹部内において上下方向に複数配設され、それぞれが被検出部76Y、77Yを検知する図8に示す検知部Kとを有している。
各検知部Kは、図示しない発光素子とこの発光素子から出射された光を受信する受光素子とを有しており、被検出部76Y、77Yが発光素子と受光素子との間に進入すると発光素子から出射された光が遮られて受光素子によって受信されなくなり被検出部76Y、77Yが検出されたこととなる。被検出部76Y、77Yの検出は、制御手段によって認識される。
支持部70Y、71Yが軸87Y、88Yによって回転自在に支持されていることにより、フィラー68Y、69Yは、現像剤の表面位置すなわち現像剤の嵩の高さに従って上下動する。
フィラー68Y、69Yが上方に移動すると軸87Y、88Yを中心とした支持部70Y、71Yの一方向への回転により被検出部76Y、77Yは下方に移動し、フィラー68Y、69Yが下方に移動すると軸87Y、88Yを中心とした支持部70Y、71Yの他方向への回転により被検出部76Y、77Yは上方に移動する。なお、フィラー68Y、69Y、被検出部76Y、77Yの重さ、位置関係等は、このような動作をするように設計されている。
被検出部76Yは、現像剤の嵩がある高さ以上になると、検知部Kによって検出される。一方、被検出部77Yは、現像剤の嵩がある高さ以下になると、検知部Kによって検出される。制御手段は、どの検知部Kによって被検出部76Y、77Yが検出されたかに応じて、現像剤の表面位置がどのような高さにあるかを判断する。
ここで、現像剤の表面位置の高さと滞留との相関関係について説明する。
トナーを帯電させるために現像剤を攪拌するとトナーは次第に劣化し、摩擦係数が高くなって、現像剤の流動性が低下する。このトナーの劣化は、トナーの消費率が低い画像面積率の低い画像形成を連続して行ったり、現像剤が継続して使用されたりして、古いトナーが現像剤中に多く残ったときに生じる。
現像装置50Yにおいて現像剤の流動性が低下すると、循環している現像剤の方向転換が生じる、現像室58Yと攪拌室59Yとの間で現像剤が滞留する。現像剤が滞留すると、現像剤の滞留位置で現像剤の表面位置が上昇する。一方、現像剤の循環方向における現像剤の滞留位置の下流側では現像剤の表面位置が低下する。
すなわち、第1の滞留検知センサ66Yによって検知する現像剤の表面位置は、現像剤の滞留が生じると現像剤の表面位置が上昇し、第2の滞留検知センサ67Yによって検知する現像剤の表面位置は、現像剤の滞留が生じると現像剤の表面位置が極端に低下する。
現像剤が攪拌室59Yから現像室58Yに移動する箇所の攪拌室59Y側の位置では、第2搬送スクリュ54Yによる直接の現像剤の搬送作用が弱いため、現像剤の滞留が生じるが、現像剤の搬送方向においてこの位置の直下流側に位置する第2の滞留検知センサ67Yの配設位置では、現像剤の表面位置が低下する傾向にあり、特に、現像剤の流動性が低下した場合には、第1の滞留検知センサ66Yの配設位置において現像剤の滞留が生じ表面位置が上昇するにもかかわらず、現像剤の量は一定であるため、第2の滞留検知センサ67Yの配設位置では、現像剤の表面位置が極端に低下する。
よって、現像剤の表面位置の低下を検知する第2の滞留検知センサ67Yは、本形態の配設位置に配設すると、かかる低下を捕らえ易いため、かかる位置に配設することが好ましい。
現像剤の表面位置の上昇を検知する第1の滞留検知センサ66Yは、本形態の配設位置に代えて、又は本形態の配設位置とともに、現像剤が第3の区画たる攪拌室59Yから第1の区画たる現像室58Yに移動する箇所の攪拌室59Y側に配設しても良い。
ただし、攪拌室59Yには、供給口91Yからトナーが補給されるため、劣化したトナーによる現像剤の流動性の低下が生じにくく、現像剤が攪拌室59Yから現像室58Yに移動する箇所の攪拌室59Y側の位置においては、劣化したトナーによる現像剤の滞留は、本形態の配設位置よりも生じにくく、滞留が生じた場合にもその程度が相対的に低く、現像剤の表面位置の上昇も相対的に低い。そのため、第1の滞留検知センサ66Yは、その検知精度において、本形態の位置に配設するのが最も適している。
現像剤の表面位置の低下を検知する第2の滞留検知センサ67Yの配設位置は、本形態の配設位置に限られる。これは、現像剤が第1の区画たる現像室58Yから第2の区画たる攪拌室59Yに移動する箇所の攪拌室59Y側には、供給口91Yが配設されているためである。
供給口91Yは、供給されたトナーが現像ローラ57Yに至るまでに、長い距離で現像剤と攪拌混合されるように、トナーを第2搬送スクリュ54Yに供給する位置であって、現像剤が現像室58Yから攪拌室59Yに移動する箇所の攪拌室59Y側の位置に配設されている。
トナーを第1搬送スクリュ53Yに直接供給すると、トナーが現像剤と十分に攪拌されることなく現像ローラ51Yに供給されてしまい、現像ムラ等の不具合を生じることとなる。また、トナーを第2搬送スクリュ54Yに供給する場合であっても、搬送の過程で攪拌される距離を稼ぐには、現像剤の搬送方向の最上流位置に対応するかかる位置に配設することが好ましい。
第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yの配設位置は以上のような位置であるが、さらには、現像剤が、第1搬送スクリュ53Y、あるいは第2搬送スクリュ54Yによる直接の搬送作用言い換えると推進力を受ける位置からずらした位置とすることが好ましい。
搬送作用を直接受ける位置に配設すると、現像剤が劣化していなくても、搬送作用が働いた瞬間の一時的な現像剤の表面位置の変化を第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yによって拾ってしまい、現像剤の滞留の発生を誤検出し得るためである。
直接の搬送作用を受ける位置からずらすためには、第1搬送スクリュ53Y、あるいは第2搬送スクリュ54Yの端部近傍の現像ケース55Y付近すなわち現像ローラ51Yの軸方向における現像室58Yと攪拌室59Yとの連通部分に対応する位置にスクリュ部85Y、86Yを設けないようにすることが有効である。
制御手段は、第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yのそれぞれの複数の検知部Kのうちの何れによって被検出部76Y、77Yが検出されたかによって、現像剤の表面位置がどのような高さにあるかを判断するため、メモリに、複数の検知部Kによる検出状態と、現像剤の表面位置との対応関係を表したテーブルを有している。
第1の滞留検知センサ66Yの複数の検知部Kによる検出状態は、第1の検出値としての所定の値に換算され、第2の滞留検知センサ67Yの複数の検知部Kによる検出状態は、第2の検出値としての所定の値に換算される。
現像剤の表面位置がどの位置にあるかを判断するのには、第1の検出値、第2の検出値とそれぞれ比較される複数の基準値が用いられ、この複数の基準値と現像剤の表面位置とが関連付けられている。
制御手段は、メモリからかかるテーブルを読み出し、第1の検出値、第2の検出値がテーブルにおける複数の基準値の何れを満たしているかを判別し、満たされている基準値によって現像剤の表面位置を判断する。
制御手段は、第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yからの信号に基づき、第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yの配設位置における現像剤の表面位置を判断するが、第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yの何れか一方を配設した位置において現像剤の表面位置が現像剤の滞留を示す位置である場合に現像剤の滞留が生じていると判断しても良いし、第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yのそれぞれを配設した位置において現像剤の表面位置が現像剤の滞留を示す位置である場合に現像剤の滞留が生じていると判断しても良い。
ただし、第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yは、第1搬送スクリュ53Yの現像剤の搬送によって現像剤の表面が波打ったようになることの影響を受け得るため、第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yのそれぞれを配設した位置において現像剤の表面位置が現像剤の滞留を示す位置である場合に現像剤の滞留が生じていると判断することが好ましい。
なお、第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yは、その一方のみを配設しても良いが、同様の理由等により、現像剤の滞留が生じているか否かの検知精度の向上のためには、両者を配設することが好ましい。
両者を配設する場合には、第1の検出値と第2の検出値との差を算出し、この算出値に基づいて現像剤の滞留が生じているか否かを判断するようにしても良い。この場合には、算出値と比較される基準値が用いられ、この基準値が現像剤の滞留が生じているか否かと関連付けられている。基準値は1つでも複数でも良い。
メモリにはかかる関連付けを表したテーブルが記憶されており、制御手段は、かかるテーブルを読み出し、算出値がテーブルの基準値を満たしているかを判別し、満たされている場合には現像剤の滞留が生じていると判断する。すなわち例えば第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yの配設位置における現像剤の表面位置の差が一定以上に達したときに現像剤の滞留が生じていること、言い換えると現像剤が劣化していることを検知する。
このようにして現像剤の滞留を検知することで、現像ケース55Y、特に現像室58Yの両端部における現像剤の表面位置を考慮した検知が行なわれる。すなわち、第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yを配設した各部における現像剤の表面位置の相対関係により、比較的広範囲にわたる現像剤の分布を考慮した現像剤の滞留の検知が行なわれることとなり、検知精度が向上する。
第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yによる現像剤の滞留の検知の向上策としては、上述したようなこれらの配設位置のほか、検知のタイミング言い換えると制御手段による判断のタイミングを限定することも有効である。
現像剤の攪拌開始直後や、攪拌速度の変更直後、攪拌の停止時、トナーの補給直後などは、検知を避けることが好ましい。トナーの補給後所定の時間が経過した後であって一定の搬送速度である程度搬送した状態においては、現像剤の状態は安定しておりその表面位置の大きな変動は少ないが、攪拌開始直後などの場合には、現像剤の状態が安定しているとは限らないためである。
攪拌の停止時も、攪拌の停止直前に現像剤の表面位置が何らかの原因で変動した場合、放置されてからの時間が長い場合、現像装置50Yに振動が加わり、現像ケース55Y内での現像剤のバランスが悪い場合などには、現像剤の表面位置を誤検知することとなるため、検知を避けることが好ましい。
さらには、制御手段が一瞬でも現像剤の滞留が生じたと判断すれば現像剤の滞留が生じたものとすることとしても良いし、制御手段が所定時間以上現像剤の滞留が生じたと判断し続けなければ現像剤の滞留が生じたものとしないこととしても良いし、これらに加えて、画像形成を所定回数以上行ったことを現像剤の滞留が生じたものとする条件としても良い。
このような条件を用いる場合は、上述のテーブルに、条件に対応した条件値として所定の基準値を加えることとなる。テーブルを構成する、第1の検出値、第2の検出値、算出値、条件値等は、操作パネルその他の入力手段によってユーザーの操作により変更可能とし、これらの値を変更することでより適切に現像剤の滞留を検知するようにしても良い。他の入力手段としては、画像形成装置100にUSB接続等によって接続された外部端末を含む。このような入力手段によるかかる値の変更は、メモリに随時記憶される。
また、すでに述べたように、制御手段は、第1搬送スクリュ53Y、第2搬送スクリュ54Yの回転速度を変更することで現像剤の搬送速度を変更することが可能となっている。現像剤の搬送速度は、現像剤の使用期間等に応じて制御手段により自動的に変更されるものでも良いし、操作パネル等によってユーザーの操作により変更可能となっていても良い。
現像剤の搬送速度が変更されると、現像剤の搬送力が変わることから、同じ現像剤を用いても現像剤の表面位置が変化する。そのため、現像剤の滞留が生じているか否かの判断基準も変更する必要がある。
そこで、制御手段は、現像剤の搬送速度を変更したときには、言い換えると現像剤の搬送速度に応じて、テーブルを構成する第1の検出値、第2の検出値、算出値、条件値を変更制御する。
制御手段は、現像剤の滞留を検知したときに現像剤中のトナー濃度を調整することで現像剤の流動性を調整する調整モードを行なう。
具体的には、調整モードにおいては、現像剤中のトナーを排出するトナー排出モードを行う。トナーの排出は、ユーザーが指定した画像形成とは別の画像形成によりトナーを強制的に消費させることによって行なう。
トナー排出モードにおいては、トナー濃度検知センサ92Yがトナー濃度の低下を検知しても、トナーの補給を行なわない。これにより、トナーの排出時に補給されたばかりの新規なトナーが劣化したトナーとともに排出されてしまうことが防止され、劣化したトナーの排出が効率的に行われるとともに、新規のトナーがトナー排出モードにおいて排出されることが防止される。トナー排出モードの終了後に新規なトナーの補給を行うことで、トナーの交換が効率よく行なわれる。
トナー排出モードにおける画像形成は、トナー像の形成が可能な全ての範囲にトナー像を形成するいわゆる全面ベタ画像の形成であっても良いし、部分的な画像の形成であっても良い。
前者では、短時間で劣化したトナーを消費させ得る。ただし、現像剤中のトナーを大量に消費するため、現像剤中のトナー濃度の偏りが生じる可能性がある。そのため、現像剤の攪拌性能が要求される。
後者は、現像剤中のトナー濃度の偏りが前者に比べて生じにくいため、現像剤の攪拌性能が前者に比べて低くても良い。ただし、劣化したトナーの排出が十分に行えない可能性がある、劣化したトナーの排出に時間がかかる、といった可能性がある。
前者後者ともに一長一短があるため、現像剤の使用開始からの経過時間等に応じて、これらを組み合わせて用いることが望ましい。例えば、現像剤の使用開始からの初期においては、劣化したトナーの割合が低いため、まずは後者によるトナー排出モードを行なって劣化したトナーの割合を漸減させることで現像剤の滞留の回復を見て、後者によるトナー排出モードを数回繰り返しても現像剤の滞留の回復が十分でないときあるいは回復度合いが低いときには前者によるトナー排出モードを行う。現像剤の使用開始から相当の時間が経過しているときには前者によるトナー排出モードを行い、現像剤の滞留の回復が見られた場合には必要に応じて後者によるトナー排出モードを行う。
画像形成の例としては、感光体ドラム20Yにベタ画像を形成する潜像の電位を帯電装置30Yによって形成し、たとえばこの電位VDを−700Vし、バイアス印加手段による現像バイアスVbを−550Vとして現像を行い、画像部電位VLを−50Vとすることで、ベタ画像を感光体ドラム20Y上に形成することが挙げられる。
このようにして劣化したトナーを排出して現像剤の滞留を解消ないし緩和することで、言い換えると、現像剤の流動性を回復ないし向上することで、現像性能が回復ないし向上し、経時的に良好な現像及び画像形成を行う。
トナー排出モードにおいて感光体ドラム20Y、20C、20M、20BK上に形成したトナー像は、転写ベルト11に転写した後、転写紙Sに対する2次転写を行うことなく、クリーニング装置13によってクリーニングして転写ベルト11上から除去する。クリーニングはクリーニング装置40Yにより感光体ドラム20Y上において直接行ってもよい。これは、転写紙Sの無駄や定着装置6における電力消費の無駄を防止するためである。
トナー排出モードは、排出されたトナー量が所定の量に達したこと、現像ケース55Y内の現像剤のトナー濃度が所定の値まで低下したことを条件として終了する。これらの条件は、必要に応じて、何れか一方、または両方が用いられる。
これらを条件とするのは、トナー排出モードにおいてトナーを排出しすぎると、現像ケース55Yのトナー濃度が低下してしまい、たとえばトナーと一緒にキャリアまでもが排出され得るためである。よって、かかる条件の下にトナー排出モードを終了することで、たとえばキャリアの排出に至らない程度でトナー排出が行われる。
そのため、メモリには、トナー排出モード時において排出されるトナー量の上限値、トナー排出モード時におけるトナー濃度の下限値が、用いられる条件に応じて記憶されている。かかる上限値、下限値は、たとえばキャリアの排出に至らない程度となるように定められたものである。メモリは、かかる上限値を記憶する場合には排出トナー量記憶手段として機能し、かかる下限値を記憶する場合には排出時トナー濃度記憶手段として機能する。
排出されたトナー量すなわち排出トナー量が上限値に達したか否かは、上述したベタ画像等の、排出されるトナーが付着する画像の面積その他の画像形成条件によって制御手段によって算出された排出トナー量に基づいて、制御手段によって判断される。排出トナー量はトナー濃度検知センサ92Yによる検知に基づいて制御手段によって算出してもよい。よって、トナー排出モード時におけるトナー排出量はかかる上限値を超えることがなく、たとえばキャリアが排出されることが防止される。
トナー排出モード時におけるトナー濃度すなわち排出時トナー濃度がかかる下限値に達したか否かは、トナー濃度検知センサ92Yによる検知に基づいて制御手段によって判断する。よって、トナー排出モード時におけるトナー濃度はかかる下限値を下回ることがなく、たとえばキャリアが排出されることが防止される。
かかる上限値、下限値、その他かかる下限値と上限値との何れを用いるかは、操作パネルその他の入力手段によってユーザーの操作により変更可能とし、これらの値を変更することでより適切にたとえばキャリアの排出を防止するようにしても良い。他の入力手段としては、画像形成装置100にUSB接続等によって接続された外部端末を含む。このような入力手段によるかかる設定値の変更は、メモリに随時記憶される。
かかる変更を行えば、たとえば、トナー濃度検知センサ92Yによる検知誤差等に起因する排出トナー量の算出誤差、トナー濃度検知センサ92Yによる排出時トナー濃度の検知誤差が修正されることによって、たとえばキャリアが感光体ドラム20Yに付着することを早期に防止、解消し、この場合には感光体ドラム20Y、転写ベルト11の損傷が必要最小限に抑制される。
調整モードにおいては、かかるトナー排出モードと併せてあるいはこれに代えて、トナー供給機構80によって新規のトナーの補給を行うトナー補給モードと、このトナー補給モードによる新規のトナーの補給の開始後に第1搬送スクリュ53Y、第2搬送スクリュ54Yによって現像剤を攪拌する攪拌モードとを行うようにしても良い。
これらのモードは、上述のようにして現像剤の滞留が検知された場合であって、その後に現像剤の滞留が非検知となった場合に行う。現像剤の滞留が非検知となってからトナー補給モードを行うのは、現像剤の滞留が生じているときにトナーを補給すると、現像ケース55Y内の現像剤の量が増加するために、現像剤の滞留が生じている部分において現像剤相互間の圧力、言い換えると負荷が高まり、現像剤の塊が生じ得るためである。
現像剤の滞留が検知されなくなってからトナーを補給することで、現像剤の塊が生じることが防止ないし抑制され、現像剤の流動性の低下を防止ないし抑制し、現像性能を維持して、経時的に良好な現像及び画像形成を行う。
また、新規のトナーを補給することで、現像剤中における劣化したトナーの濃度言い換えると比率を低減し、現像剤の流動性を向上させることにより、現像性能が維持され、経時的に良好な現像及び画像形成が行われる。
攪拌モードは、トナーを帯電させるために、トナー補給モードの開始後すなわちトナー補給モードの開始と同時又は開始より後に行う。攪拌モードの継続時間は、トナー補給モードによって補給されるトナーの補給量、現像剤の滞留度合い、第1搬送スクリュ53Y、第2搬送スクリュ54Yの回転速度等に応じて決定される。
攪拌モードの開始タイミングは、補給されたトナーを速やかに帯電させる点ではトナー補給モードの開始と同時であることが好ましく、トナーの劣化を軽減する点ではトナー補給モードの開始より後であることが好ましい。
トナー補給モード及び攪拌モードをトナー排出モードと併せて行う場合には、トナー補給モード及び攪拌モードはトナー排出モードの終了後に行う。これは、トナー排出モードにおいて、トナー濃度検知センサ92Yがトナー濃度の低下を検知しても、トナーの補給を行なわないのと同様の理由による。
このように、調整モードにおいては、現像剤に対するトナーの加減によって現像剤中のトナー濃度を調整し、特に現像剤中の劣化したトナーの濃度を低減し、現像剤の流動性を調整することで、現像性能を維持して、経時的に良好な現像及び画像形成を行う。
制御手段は、これらの調整モードを行った後、調整モードの終了直後に、感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKや転写紙S上に形成されるトナー像のトナー濃度言い換えると画像濃度を調整するためのプロセスコントロールを行う。
これは、調整モードを実行することにより、現像剤中のトナーが入れ替わる等するため、調整モードの前後で同トナーの帯電量が異なってしまう可能性があるためである。攪拌モードはかかる帯電量の変化を防止ないし抑制するために行うのであるが、単に現像剤の攪拌を行う攪拌モードのみで調整モードの前後でトナーの帯電量を同一とし、またかかる画像濃度を同一とすることは困難な場合があるためである。
調整モードの前後で現像剤中のトナーの帯電量が異なった場合、現像ポテンシャル等の作像条件が調整モードを実行する前と同じであると、かかる画像濃度が異なってしまうが、プロセスコントロールを行うことで、調整モード後におけるトナーの帯電量に見合った作像条件に調整がなされ、調整モードの前後でかかる画像濃度が同一となり、経時的に均一な画像形成が行われる。
なお、調整モードの終了直後とは、調整モードの終了と同時であっても調整モードの終了より後であってもよいが、少なくとも、調整モードの終了後、ユーザーの指示による1回目の画像形成を行うより前とされる。
制御手段は、調整モードを行った回数をカウントし、メモリに記憶する。制御手段は、この回数又は単位時間あたりのこの回数と、所定の基準値とを比較し、この基準値を超えた場合には、トナーのみならずキャリアなど、現像剤全体としての劣化が進んだと判断して、現像剤又はプロセスカートリッジ95Y、95C、95M、95BKのうち少なくとも現像装置50Y、50C、50M、50BKを含む部分を交換するべき旨を、操作パネルの表示部等の出力手段によって表示し、ユーザーに報知する。
かかる基準値は、操作パネルその他の入力手段によってユーザーにより変更可能とされている。これにより、ユーザーは、形成される画像の画像濃度等の画質に応じて、かかる基準値を変更し、かかる交換を行うべき旨が報知される時期を調整することが可能となっている。
また特殊な環境や使用方法で現像、画像形成を行う場合にも、適切な時期にかかる旨を報知するように調整することが可能となっている。特殊な環境や使用方法には、画像面積率や使用Duty等が想定外な状態で現像・画像形成が行われる場合を含む。他の入力手段としては、画像形成装置100にUSB接続等によって接続された外部端末を含む。他の入力手段としては、画像形成装置100にUSB接続等によって接続された外部端末を含む。このような入力手段によるかかる基準値の変更は、メモリに随時記憶される。
また、制御手段は、現像剤の劣化が進んだと判断した場合やかかる旨を表示した場合には、それ以降、攪拌の時間を減らしたり、現像剤の搬送速度を低下させたり、調整モードを頻繁に行うよう制御したり、トナー濃度が不足していると判断する際に用いる所定濃度を上昇させたり、所期の画像濃度よりも画像濃度が上昇するものの画像濃度を上昇させてトナーの使用率を上げたりすることで、現像剤の滞留を抑制するとともに、現像剤、特にトナーへの負荷を低減して現像剤の長寿命化を図る。
図9に、滞留検知手段たる第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yの別の構成例を示す。この第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yは、図7、図8に示した第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yと同様に、現像剤との接触により現像剤の滞留を検知するものであるが、図7、図8に示した第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yが現像剤の表面位置を検出することによって現像剤の滞留を検知するのに対し、この第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yは、現像剤の圧力、具体的には内圧を検出することによって現像剤の滞留を検知するようになっている。
この第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yは、プッシュスイッチの一種となっており、それぞれ、現像ケース55Yの底部に穿たれたスライド孔35Y、36Yに沿ってスライドする棒状のロッド35Y、36Yと、ロッド35Y、36Yの一端に設けられ、現像ケース55Yの内部側に位置し、主にその表面側で現像ケース55Y内部の現像剤の圧力を受ける平板状の被押圧部37Y、38Yとを有している。
第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yはまた、ロッド35Y、36Yに巻き付けられ、その一端が被押圧部37Y、38Yの裏面に当接し、その他端が現像ケース55Yの内壁面に当接した押圧バネ46Y、47Yと、現像ケース55Yの外部に配設され、ロッド35Y、36Yの他端が進入ことがある孔96Y、97Yを有する検出部48Y、49Yとを有している。
検出部48Y、49Yは、図示しないが、孔96Y、97Y内においてロッド35Y、36Yの進入する方向に沿って複数配設されそれぞれがロッド35Y、36Yを検知する、図8に示した検知部Kと同様の検知部を有している。
各検知部は、図示しない発光素子とこの発光素子から出射された光を受信する受光素子とを有しており、ロッド35Y、36Yが発光素子と受光素子との間に進入すると発光素子から出射された光が遮られて受光素子によって受信されなくなりロッド35Y、36Yが検出されたこととなる。ロッド35Y、36Yの検出は、制御手段によって認識される。
押圧バネ46Y、47Yが被押圧部37Y、38Yの裏面と現像ケース55Yの内壁面との間に介在していることで、被押圧部37Y、38Yは現像ケース55Yの内壁面から離間する方向に付勢されており、ロッド35Y、36Yは孔96Y、97Yから離脱する方向に付勢されている。
ただし、押圧バネ46Y、47Yの付勢力は、ロッド35Y、36Yがスライド孔35Y、36Yから離脱することのないように調整されている。スライド孔35Y、36Yは現像剤が現像ケース55Yの外部に漏れることのない構造とされている。
第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yにおいては、現像剤の圧力が上昇すると、被押圧部37Y、38Yが受ける圧力が増加し、押圧バネ46Y、47Yの付勢力に抗して、ロッド35Y、36Yが現像ケース55Yの外方に向けて押し出され、圧力がある圧力以上になるとその先端が検出部48Y、49Yによって検出される。
現像剤の圧力が低下すると、被押圧部37Y、38Yが受ける圧力が低下し、押圧バネ46Y、47Yの付勢力によって、ロッド35Y、36Yが現像ケース55Yの内方に向けてスライドし、圧力が上記の圧力を下回るとその先端が検出部48Y、49Yによって検出されなくなる。
このように、現像剤の圧力に応じて、ロッド35Y、36Yが孔96Y、97Yに進退する。また、ロッド35Y、36Yが孔96Y、97Yに進入している場合には、この進入量は検出部によって検出され、制御手段によって認識される。
ここで、現像剤の圧力と滞留との相関関係について説明する。
トナーを帯電させるために現像剤を攪拌するとトナーは次第に劣化し、摩擦係数が高くなって、現像剤の流動性が低下する。このトナーの劣化の原因については既に述べたとおりである。
現像装置50Yにおいて現像剤の流動性が低下すると、循環している現像剤の方向転換が生じる、現像室58Yと攪拌室59Yとの間で現像剤が滞留する。現像剤が滞留すると、これ自身によって、またこれに加えて現像剤の滞留位置で現像剤の表面位置が上昇することによって、現像剤の内部の圧力が上昇する。
一方、現像剤の循環方向における現像剤の滞留位置の下流側では現像剤が搬送されにくくなることによって、またこれに加えて現像剤の表面位置が低下することによって、現像剤の内部の圧力が低下する。
すなわち、第1の滞留検知センサ66Yによって検知する現像剤の圧力は、現像剤の滞留が生じると上昇し、第2の滞留検知センサ67Yによって検知する現像剤の圧力は、現像剤の滞留が生じると極端に低下する。この理由については既に述べたとおりである。
よって、ロッド35Y、36Yが孔96Y、97Yに進退する際における進入量を検出部で検出することで現像剤の圧力を検出すれば、現像剤の滞留が検出される。
第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yの配設位置、例えば特に被押圧部37Y、38Yを現像ローラ51Yの軸方向における現像室58Yと攪拌室59Yとの連通部分に対応する位置に配設すべきこと、その他、検知のタイミング、滞留が生じているか否かの判断基準を含む判断方法等の検知方法などは、図7、図8に示した第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yと同様であるため、説明を省略する。
ただし、検知部に代えて、受ける圧力によって抵抗値が変化する圧力センサを用い、孔96Y、97Yの底部のロッド35Y、36Yの先端が突き当たる位置にかかる圧力センサを配設し、この圧力センサを介した電流値や電圧値の変化を圧力の大きさとして検出して、現像剤の滞留が起こっているか否か及び現像剤の滞留の度合いを検出するようにしてもよい。
このような圧力センサは、図7、図8に示した第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yにおいて、検知部Kに代えて、被検出部76Y、77Yが当接する位置に配設するようにしてもよい。
以上述べた、現像剤の流動性の低下を滞留によって検知するか否か、すなわち第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Y等によって現像ケース55Y内の現像剤が滞留したことを検知するか否か、また調整モードを行うか否かといったオン・オフは、操作パネルその他の入力手段によってユーザーの操作により変更可能としても良い。他の入力手段としては、画像形成装置100にUSB接続等によって接続された外部端末を含む。このような入力手段によるかかる変更は、メモリに随時記憶される。
調整モードを必要とする状況は、主に、ユーザーの画像形成装置100の使用頻度などの、使用環境や使用条件が現像装置50Yにとって負荷のかかる場合であるため、必要なときにのみ、第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Y等によって現像ケース55Y内の現像剤が滞留したことを検知したり、調整モードへの移行を行ったりすればよいためである。
現像装置50Yにとって負荷のかかる場合とは、その他、高温高湿環境化、低画像面積率、低Dutyなどによる状況下での使用が続いた場合等が挙げられる。そして、たとえば、デフォルト設定はオフとしておき、顧客の使用状況に応じてサービスマンがオンに変更するといった態様でかかる変更を行う。不要なときにオフとしておくことで、滞留の検知に待ち時間を要する構成の場合にはユーザーのかかる待ち時間がなくなり、またオフによってたとえば第1の滞留検知センサ66Y、第2の滞留検知センサ67Yへの通電が切れるように構成すれば消費電力が低減される。
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
たとえば、上記の説明における滞留検知手段は、現像剤との接触により現像剤の滞留を検知するものであったが、滞留検知手段は現像剤の滞留を検知できるものであれば現像剤と非接触であってもよい。例えば、現像剤の表面位置を光学的に検知するセンサである。
このセンサは、例えば、発光素子と受光素子との組を鉛直方向に複数配設した、検知部Kと同様の構成であって現像剤によって発光素子の光が遮られるものでもよいし、現像剤の表面に向けて発光する発光素子と現像剤の表面からの反射光を受光する受光素子を有し、受光素子が受けた光の強度に応じて現像剤の表面位置を検知し現像剤の滞留を検知する構成であってもよい。
このように、滞留検知手段は、現像ケース内の現像剤との何らかの干渉を行い、現像剤の滞留を検知するものであればよい。また、各種の方法によって現像剤の滞留を検知する滞留検知手段を適宜組み合わせて配設し用いるようにしてもよい。
また、以上述べた形態においては、現像剤として、トナーとともにキャリアを含む2成分現像剤を用いているが、現像剤は、少なくともトナーを含むものであればよいのであり、1成分現像剤であってもよい。
また、本発明は、画像形成装置100のようないわゆるタンデム方式の画像形成装置ではなく、1つの感光体ドラム上に順次各色のトナー像を形成して各色トナー像を順次重ね合わせてカラー画像を得るいわゆる1ドラム方式の画像形成装置にも同様に適用することができ、また、カラー画像形成装置でなく、モノクロ画像形成装置にも適用することができる。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。