以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
1.画像形成装置の全体構成及び動作
先ず、図8を参照して、本発明に係る画像形成装置の一実施例の全体構成及び動作について説明する。本実施例の画像形成装置Aは、電子写真方式を利用してフルカラー画像を形成することのできる、複写機能、プリンタ機能、FAX機能を併せ持つ複合機である。
画像形成装置Aは、像形成手段として4個の画像形成部(画像形成ステーション)Sa、Sb、Sc、Sdを有する。4個の画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdは、中間転写体としての中間転写ベルト7の図中矢印R7で示す画像被転写面の移動方向に沿って上流側から下流側に直列に配設されている。
各画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdは、この順に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する画像形成部である。本実施例では、各画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdの構成及び動作は、使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同一である。従って、以下、各色用に設けられた要素については、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを示すために図中符号に与えた添え字a、b、c、dは省略して、総括的に説明する。
画像形成部Sは、像担持体としてドラム形の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)1を有する。感光ドラム1は、図示矢印R1方向(時計回り)に回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に沿って順に、次の各手段が配設されている。先ず、一次帯電手段としての一次帯電器2である。次に、露光手段としての露光装置3である。次に、現像手段としての現像装置100である。次に、一次転写手段としての一次転写ローラ5である。次に、二次帯電手段(帯電補助手段)としての二次帯電器6である。
又、各画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdの各感光ドラム1a、1b、1c、1dに対向して、中間転写体としての無端ベルト状の中間転写ベルト7が配設されている。中間転写ベルト7は、一次転写ローラ5a、5b、5c、5d、二次転写対向ローラ8、テンションローラ17、18に掛け渡されている。又、中間転写ベルト7は、その内周面(裏面)側から一次転写ローラ5によって押圧されており、その表面が感光ドラム1に当接している。これにより、各感光ドラム1a、1b、1c、1dと中間転写ベルト7との間には、一次転写ニップ(一次転写部)T1a、T1b、T1c、T1dが形成されている。中間転写ベルト7は、駆動ローラも兼ねる二次転写対向ローラ8が図示矢印R8方向に回転駆動されることによって、図示矢印R7方向に回転(周回移動)する。中間転写ベルト7の回転速度(周速度)は、各感光ドラム1a、1b、1c、1dの回転速度(周速度)とほぼ同じに設定されている。
中間転写ベルト7の外周面(表面)側の二次転写対向ローラ8に対応する位置には、二次転写手段としての二次転写ローラ9が配設されている。二次転写ローラ9は、二次転写対向ローラ8との間に中間転写ベルト7を挟持しており、二次転写ローラ9と中間転写ベルト7との間には、二次転写ニップ(二次転写部)T2が形成されている。又、中間転写ベルト7の外周面(表面)側のテンションローラ17に対応する位置には、中間転写体クリーナとしてのベルトクリーナ11が配設されている。ベルトクリーナ11は、中間転写ベルト7に当接されている。
画像形成に供される転写材Pは、カセット10に積載された状態で収納されている。この転写材Pは、供給ローラ、搬送ローラ、レジストローラなどを有する給搬送装置(図示せず)によって、二次転写ニップT2に供給される。
転写材Pの搬送方向において二次転写ニップT2の下流側には、定着手段としての定着装置13が配設されている。定着装置13は、定着ローラ14と、これに加圧された加圧ローラ15とを有する。転写材Pの搬送方向において定着装置13の下流側には、転写材Pの排出トレイ(図示せず)が配設されている。
本実施例では、一次帯電器2と露光装置3とによって、感光ドラム1に静電像を形成する静電像形成手段が構成される。
フルカラー画像の形成を例として画像形成動作について説明する。先ず、画像形成装置Aが有するかこれに接続された原稿読み取り装置(図示せず)によって原稿が読み取られると、マゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの成分の画像信号が決定される。続いて、各感光ドラム1a、1b、1c、1dは、駆動モータによって図示矢印R1方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動され、一次帯電器2a、2b、2c、2dによって所定の極性・電位に一様に帯電させられる。帯電した感光ドラム1a、1b、1c、1dには、露光装置3a、3b、3c、3dによって画像情報に基づく露光が行われ、露光部分の電荷が除去されて、各感光ドラム1a、1b、1c、1dに各色の画像の静電潜像(静電像)が形成される。
各感光ドラム1a、1b、1c、1d上の静電潜像は、各現像装置100a、100b、100c、100dによって、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像として現像される。各現像装置100a、100b、100c、100dは、現像剤担持体としての現像スリーブ102a、102b、102c、102dによって現像剤を搬送して、静電潜像にトナーを供給する。
各感光ドラム1a、1b、1c、1dに形成された4色のトナー像は、各一次転写ニップT1a、T1b、T1c、T1dにおいて、各一次転写ローラ5a、5b、5c、5dの作用により、中間転写ベルト7上に順次に転写(一次転写)される。こうして、4色のトナー像が中間転写ベルト7上で重ね合わされる。
中間転写ベルト7上で重ね合わされた4色のトナー像は、二次転写ニップT2において、二次転写ローラ9の作用により、転写材Pに一括して転写(二次転写)される。カセット10から給搬送装置によって搬送された転写材Pは、レジストローラによって中間転写ベルト7上のトナー像にタイミングを合わせるようにして二次転写ニップT2に供給される。
一次転写時に中間転写ベルト7に転写されないで各感光ドラム1上に残ったトナー、及び二次転写時に転写材Pに転写されないで中間転写ベルト7上に残り感光ドラム1に逆転写されたトナーは、各二次帯電器6により帯電電荷が与えられる。そして、このトナーは、一次帯電器2を通過した後、各現像スリーブ102により各現像装置100に回収され、再利用される。
一方、4色のトナー像が二次転写された転写材Pは、定着装置13に搬送され、ここで加熱・加圧されて、その表面にトナー像が定着される。トナー像が定着された後の転写材Pは、排紙トレイ上に排出される。以上で、1枚の転写材Pの片面(表面)に対するフルカラー画像の形成が終了する。
2.現像装置
次に、本実施例における現像装置100について更に説明する。図9は、現像装置100を上方から見た様子を示す。
現像装置100は、現像剤収容部である現像容器101を有する。現像容器101の感光ドラム1に対向する位置には開口部が設けられており、この開口部に現像剤担持体として非磁性の現像スリーブ102が設けられている。現像容器101の内部は、仕切り壁103によって、現像室101Aと、攪拌室101Bとに区画されている。現像室101Aには、現像スリーブ102に最も近接した第1の現像剤搬送部材としての第1のスクリュー104Aが配置されている。又、攪拌室101Bには、第1のスクリュー104Aと平行に配置された第2の現像剤搬送部材としての第2のスクリュー104Bが配置されている。第1のスクリュー104Aと第2のスクリュー104Bは、長手方向においてそれぞれ逆方向に現像剤を搬送する。攪拌室101Bから現像室101Aへの現像剤の受け渡しは、第1の連通部107BAを介して行われ、現像室101Aから攪拌室101Bへの現像剤の受け渡しは、第2の連通部107ABを介して行われる。これにより、現像剤は、現像容器101内で現像室101Aと攪拌室101Bとを循環する。
現像室101A及び攪拌室101B内には、現像剤として、主にトナー(非磁性トナー粒子)とキャリア(磁性キャリア粒子)とが混合された二成分現像剤が収容される。攪拌室101Bにおける現像剤の搬送方向の上流側の上方には、トナー補給機構105が形成されている。補給現像剤収容部としてのトナーボトル(図示せず)に収容されたトナーは、トナー搬送経路(図示せず)を通じてトナー補給機構105まで搬送され、トナー補給口106を通過して攪拌室101B内に落下して補給される。本実施例では、画像形成装置Aは、制御電圧が入力されることで現像装置内のトナー濃度に応じた信号を出力するセンサとしてインダクタンスセンサ20を有し、インダクタンス検知ATRによって、現像装置内の二成分現像剤にトナーが補給される。
図10は、初期状態における現像装置100を上方から見た様子を示す。又、図11は、初期状態における現像装置100の断面を示す。
イエロー、マゼンタ、シアンの現像装置100a、100b、100cでは、攪拌室101BにはT/D=10wt%の初期二成分現像剤50が240g封入されている。ブラックの現像装置100dでは、攪拌室101BにはT/D=8wt%の初期二成分現像剤50が240g封入されている。又、第1の連通部107BAには連通部シール部材51A、第2の連通部107ABには連通部シール部材51Bがそれぞれ貼付されている。
攪拌室101Bに充填された初期二成分現像剤50がトナー補給口106からトナー補給機構105に入ることを防止するために、攪拌室101Bには、トナー補給機構105の下流近傍に、トナー補給機構シール部材53が設けられている。本実施例では、各シール部材51A、51B、53には、厚さ0.05mm程度のポリエステル樹脂の薄板を用いた。尚、各シール部材51A、51B、53に用いられる材料及び形状は本実施例のものに限定されるものではない。
本実施例で使用した二成分現像剤のキャリアは、サブミクロンオーダーの磁性体微粒子を樹脂材料で結着させたものであり、体積平均粒径は35μmである。又、本実施例で使用した二成分現像剤のトナーは、スチレン−アクリルのような樹脂の母体に顔料を混合して着色し、粉砕及び分級により粒度を揃えたものであり、体積平均粒径は5.5μmである。
本実施例では、現像装置100は、画像形成装置本体から取り外し可能である。現像装置100は、現像装置100の寿命や故障の際に画像形成装置本体から取り外され、新たな現像装置100に交換されたり、修理などの済んだ同じ現像装置100が再度装着されたりする。
攪拌室101Bの外側壁面には、画像形成装置本体に設置されるインダクタンス検知手段としてのインダクタンスセンサ(トナー濃度センサ)20によるT/Dの検知用の開口部108が設けられている。開口部108の、現像容器101の長手方向(現像スリーブ102の回転軸線方向)における位置は、現像剤の搬送方向においてトナー補給口106の下流端から15mmの位置を中心とした。又、開口部108の高さ位置は、第2のスクリュー101Bの回転中心と同等の箇所を中心とした。又、直径が8.1mmの略円形の範囲が開口部108となっている。更に、開口部108を遮蔽するように、遮蔽部材として厚さ0.05mmのマイラーシート109が現像容器101に貼付されている。
このように、本実施例では、インダクタンスセンサ20は、現像装置100の現像容器101に対して着脱可能である。そして、インダクタンスセンサ20の検知部(透磁率検知部分)は、現像容器101に固定された壁面を構成するマイラーシート109を介して、現像容器101と接触する。この壁面の厚さは、インダクタンスセンサ20によるT/Dの検知精度などの観点から、0.01mm以上1mm以下であることが好ましい。又、この壁面は、樹脂材料で形成されていることが好ましい。本実施例では、上述のように、インダクタンスセンサ20の検知部は、上記壁面としての所定の厚さの樹脂材料であるマイラーシート109を介して現像容器101に接触する。
本実施例では、インダクタンスセンサ20は、インダクタンス検知部(センサヘッド)の略円形の検知面(センサ面)の直径が8mmである。そして、現像装置100が画像形成装置本体に適正に装着された状態で、インダクタンスセンサ20は、現像容器101の開口部108に添付されたマイラーシート109に検知部の検知面が当接(面接触)するように突き当てられる。
図15は、本実施例の画像形成装置Aにおけるインダクタンス検知ATRの概略制御態様を示す。本実施例では、画像形成装置Aの動作を統括的に制御する制御部Bの制御手段たる演算処理装置であるCPU40が、インダクタンス検知ATRの制御機能を有する。CPU40は、インダクタンスセンサ20によって検知した現像装置100内の二成分現像剤のT/Dに応じてトナー補給機構105を制御して、現像により消費した分のトナーの量に対応するトナーを現像装置100に補給する。画像形成装置本体に設置されたインダクタンスセンサ20は、現像装置100内の二成分現像剤のT/Dに応じた透磁率に応じた出力(検出電圧)に係る情報をCPU40に入力する。CPU40は、詳しくは後述するようにして、インダクタンスセンサ20の検出電圧から、現像装置100内の二成分現像剤のT/Dを検知する。そして、CPU40は、概略、現像装置100内の二成分現像剤のT/Dが所定の値で一定となるように、トナー補給機構105が有するトナー補給部材としての補給スクリューの駆動量を制御して、トナーボトルから現像容器101へのトナーの補給量を制御する。
図15に示すように、本実施例では、現像装置100に第1の記憶手段としての後述するT/Dメモリ30が設けられている。現像装置100が画像形成装置本体に適正に装着された状態で、CPU40は、T/Dメモリ30に対する情報の読み書きが可能である。又、画像形成装置本体の制御部Bには、第2の記憶手段としての本体メモリ41が設けられている。本体メモリ41には、図7に示すような後述の検出感度補正テーブル(検出感度補正情報)が記憶される他、各種プログラム、データが記憶される。CPU40は、本体メモリ41に記憶されたプログラム、データに従って、インダクタンス検知ATRの制御を行う。又、CPU40は、本体メモリ41に記憶されたプログラム、データ、T/Dメモリ30に記憶されたデータに従って、後述するインダクタンスセンサ20の検出感度の補正制御を行う。本実施例では、CPU40と、本体メモリ41とで、現像装置内のトナー濃度に対するインダクタンスセンサ20の出力特性を補正する補正手段が構成される。
3.インダクタンスセンサ
画像形成装置Aは、インダクタンス検知ATRを採用しており、現像装置100内の二成分現像剤のT/Dを検知するために使用するインダクタンス検知手段としてのインダクタンスセンサ20を有する。そして、このインダクタンスセンサ20は、現像装置100に直接設置されているのではなく、画像形成装置本体側に固定されている。
ここで、インダクタンスセンサ20により二成分現像剤のT/Dを検知する方法を説明する。本実施例では、初期二成分現像剤のT/Dが10%である、例えば、シアンの現像装置100cを例として説明する。
インダクタンスセンサ20は、インダクタンス検知部(センサヘッド)に組み込まれたコイルに制御電圧を印加し、二成分現像剤が有するマクロな透磁率によってコイルに生じる誘起電圧を検出電圧としてモニターする。
図1は、T/Dが一定の二成分現像剤に対する、制御電圧と検出電圧との関係を示す。現像装置100内の二成分現像剤のT/Dを検知する場合、基準となる所定のT/Dにおいて、検出電圧が所定の基準値となるような、制御電圧を設定する。そして、制御電圧を一定としたときの出力電圧の値から、被測定二成分現像剤のT/Dを検知する。
図2は、制御電圧を一定としたときのT/D(より詳細には、二成分現像剤中トナーの重量パーセント濃度T/D(wt%))と検出電圧との関係を示す。インダクタンスセンサ20内の回路を最適化することにより、所望のT/Dの範囲におけるT/Dと検出電圧との関係をほぼ線形にすることができる。図2に示すような、T/Dを変化させたときのインダクタンスセンサ20の検出電圧のグラフの直線性を有する部分の傾きが、インダクタンスセンサ20の検出感度である。
次に、インダクタンスセンサ20の検出感度と、インダクタンスセンサ20の検知部の検知面と二成分現像剤との間の距離(以下、「センサギャップ」という。)との関係を説明する。
図3は、二成分現像剤のT/Dを一定とし、インダクタンスセンサ20に印加する制御電圧を一定としたときの、センサギャップと検出電圧との関係を示す。図3から、センサギャップが数十μm程度微小に変化しただけでも、インダクタンスセンサ20の出力自体が大幅に変化することが分かる。
又、インダクタンスセンサ20の検出感度もセンサギャップに依存する。図4は、センサギャップを変化させたときの、T/Dとインダクタンスセンサ20の検出電圧との関係を示す。図4から、センサギャップが広がると、インダクタンスセンサ20の検出感度が低下することが分かる。
従って、センサギャップのずれによって生じたインダクタンスセンサ20の出力のずれを制御電圧の合わせ込みによって補正したとしても不十分である。T/Dの補正後にも正確にT/Dを検知することを実現するためには、インダクタンスセンサ20の検出感度の補正も行わなければならない。
本実施例のインダクタンスセンサ20は、本実施例の二成分現像剤に関して、センサギャップが0mm(インダクタンス検知部の検知面を隔壁を介さずに二成分現像剤に直接接触させた状態)のときに、図12に示すような検出感度を示す。即ち、T/D=10wt%において検出電圧が2.5Vとなる制御電圧を印加した場合に、T/D=4wt%〜14wt%の範囲で、検出電圧が、T/D=1wt%当たり−0.350Vの変化率で直線的に変化する特性を有する。
本実施例では、現像装置100が駆動されているときには、インダクタンスセンサ20によって現像容器101内の二成分現像剤のT/Dを常時検知する。インダクタンスセンサ20によって検知したT/Dの情報は、第1の記憶手段としてのT/Dメモリ30に記憶される。現像装置100の使用前には、現像装置100の初期二成分現像剤のT/Dの情報(本実施例ではT/D=10wt%)が予め記憶されている。即ち、現像装置100の使用前に、T/Dメモリ30には、現像装置内の現像剤の初期のトナー濃度が記憶されている。そして、現像装置100の使用に伴って、T/Dメモリ30には、インダクタンスセンサ20の検出電圧に基づいてCPU40が求めた現像装置内の現像剤のトナー濃度が逐次記憶される。そして、詳しくは後述するように、T/Dメモリ30に記憶されているT/Dの情報は、センサギャップが新たに定義される場面で、その状態におけるインダクタンスセンサ20の検出感度を決定するのに使用される。ここで、センサギャップが新たに定義される場面とは、例えば、画像形成装置Aの初期立ち上げ時、現像装置100の交換時、現像装置100を取り外して再装着したときなどである。
画像形成装置Aの画像形成装置本体に設けられる第2の記憶手段としての本体メモリ41には、詳しくは後述するように、図7に示すような検出感度決定情報としての検出感度補正テーブルが記憶されている。インダクタンス感度テーブルは、詳しくは後述する入出力特性曲線の傾きと二成分現像剤のT/Dとの2つの数値から、インダクタンスセンサ20の検出感度を決定するように予め設定されて体系的に構成された情報である。
4.インダクタンスセンサの検出感度の補正の原理
先ず、本発明に従ってセンサギャップの変化に応じてインダクタンスセンサ20の検出感度を決定する方法の原理を説明する。
インダクタンスセンサ20の制御電圧と検出電圧との関係は、図1に示した通りである。二成分現像剤のT/Dが変化すると、この制御電圧と検出電圧との関係は、図5に示すように変化する。
このとき、それぞれのT/Dにおける制御電圧と検出電圧との関係を示す曲線の中央付近(例えば、検出電圧1V〜4Vの範囲)の変化率に着目する。即ち、インダクタンスセンサ20の入出力特性曲線の直線性を有する部分の傾き(本明細書では、これを「入出力特性曲線の傾き」という。)に着目する。この場合、T/Dが大きくなるほど、入出力特性曲線の傾きの大きさが小さくなっていくことが分かる。又、この入出力特性曲線の傾きは、センサギャップによっても変化する。典型的には、センサギャップが大きくなるほど、入出力特性曲線の傾きの大きさは小さくなる。従って、この入出力特性曲線の傾きは、T/Dとセンサギャップとの2つのパラメータが固定された場合には、一意に決定されるものである。
図6は、センサギャップを変化させたときの、それぞれのセンサギャップにおけるT/Dと入出力特性曲線の傾きとの関係を示す。図6から、T/Dと入出力特性曲線の傾きとから、センサギャップに相当するパラメータを見積ることができることが分かる。
又、インダクタンスセンサ20の検出感度は、センサギャップに応じて一意に決まる値である(図4参照)。
従って、図6に示されるT/Dと入出力特性曲線の傾きとの2つの可変パラメータの値が分かればセンサギャップが分かり、そしてセンサギャップが分かればそのセンサギャップに対応するインダクタンスセンサ20の検出感度を決定することができる。但し、実際には、センサギャップ自体を求めることは必ずしも必要ではない。そこで、T/Dと入出力特性曲線の傾きとの組み合わせと、その組み合わせに対応するインダクタンスセンサ20の検出感度との関係を予め求めておく。これにより、T/Dと入出力特性曲線の傾きとから、インダクタンスセンサ20の検出感度を求めることが可能となる。本実施例では、インダクタンスセンサ20の検出感度を求めるためのT/Dとして、初期二成分現像剤のT/Dとして予め設定されている値を用いる。又、入出力特性曲線の傾きは、異なる複数の制御電圧をインダクタンスセンサ20に印加したときにそれぞれ出力されるインダクタンスセンサ20の検出電圧を測定することで求めることができる。
このように、本実施例では、補正手段は、次の情報に基づいて、現像装置内の現像剤のトナー濃度に対するインダクタンスセンサ20の出力特性を補正する。即ち、予め設定されている現像装置内の現像剤のトナー濃度に関する情報、及び異なる複数の制御電圧をインダクタンスセンサ20に印加したときにそれぞれ出力されるインダクタンスセンサ20の出力値である。
本実施例では、インダクタンスセンサ20の検出感度について、複数の検出感度の情報を、図7に示す検出感度補正テーブルとして本体メモリ41に予め記憶させておく。図7に示す検出感度補正テーブルは、図6に示すような、現像容器101内の二成分現像剤のT/Dと、入出力特性曲線の傾きとの関係から導かれる。
そして、本実施例では、画像形成装置Aの初期立ち上げ時、現像装置100の交換時、現像装置100を取り外して再装着したときなど、センサギャップが新たに定義される状況において、次のようにしてインダクタンスセンサ20の検出感度を決定する。T/Dメモリ30が記憶しているT/Dの情報と、その状況において取得した入出力特性曲線の傾きの情報との2つのパラメータ情報を利用する。即ち、これら2つのパラメータ情報から、本体メモリ41に記憶している図7に示す検出感度補正テーブルを参照することによって、その状況におけるインダクタンスセンサ20の検出感度を決定する。
このように、本実施例では、補正手段は、より詳細には、次の情報に基づいて、現像装置内の現像剤のトナー濃度に対するインダクタンスセンサ20の出力特性を補正する。即ち、記憶手段に記憶された現像装置内の現像剤のトナー濃度に関する情報、及び異なる複数の制御電圧をインダクタンスセンサ20に印加したときにそれぞれ出力されるインダクタンスセンサ20の出力値である。
5.インダクタンスセンサの検出感度の補正制御
次に、図13を参照して、画像形成装置Aの初期立ち上げ時にインダクタンスセンサ20の検出感度を決定する過程を説明する。
尚、本実施例では、4色の現像装置100a、100b、100c、100dについてインダクタンスセンサ20の検出感度の補正制御は同じであるため、代表としてひとつの現像装置について説明する(例えば、シアン現像装置100c)。
先ず、使用者は、新規の現像装置100の連通部シール部材51A、51B、トナー補給機構シール部材53を取り外し、画像形成装置本体へ装着する(S101)。本実施例では、現像容器101内に封入された初期二成分現像剤50のT/Dは10wt%であり、現像装置100に装備されたT/Dメモリ30には、T/Dが10wt%であると記憶されている。
現像装置100が画像形成装置本体に装着された後、CPU40は、感光ドラム1、現像スリーブ102、第1のスクリュー104A、及び第2のスクリュー104Bを30秒間駆動させる(S102)。これは、現像容器101内の初期二成分現像剤50の現像剤面安定化、初期二成分現像剤50に含まれるトナーの帯電の立ち上げ及び安定化のためである。本実施例では、感光ドラム1の周速度(プロセススピード)は135mm/secであり、現像スリーブ102、第1のスクリュー104A、第2のスクリュー104Bの回転速度は、それぞれ250rpm、300rpm、400rpmである。
上述の30秒間の駆動後、CPU40は、感光ドラム1、現像スリーブ102、第1のスクリュー104A、及び第2のスクリュー104Bの駆動を継続させながら、次の制御を行う。即ち、CPU40は、インダクタンスセンサ20に印加する制御電圧Vcontを0.005Vずつ増加させながら、インダクタンスセンサ20の検出電圧Voutを監視する。そして、CPU40は、検出電圧Voutが1.000V、2.500V、4.000Vにそれぞれ最も近い値となる制御電圧Vcont(1V)、Vcont(2.5V)、Vcont(4V)を決定する(S103)。
その後、CPU40は、次の計算式(1)により、入出力特性曲線の傾きを算出する(S104)。
傾き=[4(V)−1(V)]/[Vcont(4V)−Vcont(1V)]
=3/[Vcont(4V)−Vcont(1V)] ・・・(1)
次に、CPU40は、計算式(1)により算出した入出力特性曲線の傾きと(S104)、T/Dメモリ30から読み込んだ初期二成分現像剤50のT/D(=10wt%)とから(S106)、インダクタンスセンサ20の検出感度を決定する(S105)。即ち、CPU40は、本体メモリ41に記憶されている検出感度補正テーブル(図7)を参照して、初期二成分現像剤のT/D(=10wt%)と入出力特性曲線の傾きとの組み合わせに該当するインダクタンスセンサ20の検出感度を選び出す。CPU40は、決定したインダクタンスセンサ20の検出感度の情報を本体メモリ41に記憶させる。例えば、初期二成分現像剤のT/Dが10%であり、入出力特性曲線の傾きが2と算出された場合を考える。この場合、CPU40は、図7の検出感度補正テーブルを参照して、T/D=10%、傾き=2.00の組み合わせに対応する、−0.340をインダクタンスセンサ20の検出感度として読み出し、本体メモリ41に記憶させる。
CPU40は、上述のようにして検出感度を決定した後は、インダクタンスセンサ20に印加する制御電圧Vcontは、Vcont(2.5V)で一定とする。そして、上述のようにして決定した検出感度の情報を用いて、インダクタンスセンサ20から出力される検出電圧Voutから、現像容器101内の二成分現像剤のT/Dを随時検知する。即ち、例えば、上述のように、初期二成分現像剤のT/Dが10%であり、入出力特性曲線の傾きが2と算出され、検出感度が−0.34と決定された場合を考える。この場合、T/Dは、T/D=10%、検出電圧=2.5Vを通る、傾き−0.34の検出電圧とT/Dとの関係を示す直線から求めることができる。CPU40は、このようにして得られた現像容器101内の二成分現像剤のT/Dの情報を、トナー自動補給制御(ATR)にフィードバックする。
尚、本実施例では、画像形成装置Aの初期立ち上げ時を例として説明したが、画像形成装置Aに対して現像装置100を交換する場合にも、新たな現像装置100の使用開始時に、上記同様の制御を行うことができる。この場合、T/Dメモリ30には、当該新たな現像装置100の初期二成分現像剤50のT/D(例えば、10wt%)の情報が予め記憶されている。
又、T/Dメモリ30を画像形成装置本体に対して着脱可能な現像装置100に設けることで、例えば現像装置100の若干の設計変更があった場合などでも、実際の現像装置100の初期二成分現像剤のT/Dに即した制御を行うことが容易となる。しかし、T/Dメモリ30は、所望により画像形成装置本体に設けてもよい。この場合、本実施例における第1の記憶手段としてのT/Dメモリと、第2の記憶手段としての本体メモリとの機能は、単一の記憶媒体にて実現してもよい。
又、本実施例では、現像装置100が単独で画像形成装置本体から取り外しできるものとして説明するが、現像装置と他の手段とを有するカートリッジが画像形成装置本体から取り外しできる場合も、同様に本実施例を適用できる。例えば、感光体と、感光体に作用するプロセス手段として少なくとも現像手段と、が一体的にカートリッジ化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとされていてよい。感光体に作用するプロセス手段として、現像手段の他に、更に帯電手段及びクリーニング手段のうち少なくとも一つが一体的にカートリッジ化されていてもよい。この場合、インダクタンスセンサ20は、画像形成装置本体から取り外しできるカートリッジに直接設置されるのではなく、カートリッジに対して着脱可能とされ、典型的には画像形成装置本体に固定される。そして、T/Dメモリ30は、典型的にはカートリッジに取り付けられ、当該カートリッジが備える現像装置100内の初期二成分現像剤のT/Dの情報が記憶される。
本実施例の効果を確認するために、画像形成装置Aのシアン現像装置100cに関して、上述の一連の動作を行った。その結果、インダクタンスセンサ20の検出感度(T/D=1wt%当たりの検出電圧の変化率)は−0.332Vと決定された。その後、トナー補給をしない状態での任意枚数のべた画像(最高濃度レベルの画像)の形成と、任意量のトナーの補給を行いながらの任意枚数のべた白画像の形成(画像無しで通紙)を行った。そして、それぞれの画像形成後のインダクタンスセンサ20の検出電圧Voutと検出感度とから算出される現像容器101内の二成分現像剤のT/Dと、実測された現像容器101内の二成分現像剤のT/Dとを比較した。結果を表1に示す。
表1より、本実施例に従ってインダクタンスセンサ20の検出電圧Voutから算出されるT/Dと、現像容器101内の二成分現像剤の実際のT/Dとが、非常によく一致することが確認された。
以上、本実施例によれば、画像形成装置本体から取り外しできる現像装置100に対し着脱可能なインダクタンスセンサ20を用いて、現像装置100内の二成分現像剤のトナー濃度を正確に検知することができる。そして、そのトナー濃度の検知結果に基づいて、現像装置100内の二成分現像剤のトナー濃度を正確に制御することができる。インダクタンスセンサ20は、典型的には画像形成装置本体に固定して設置される。従って、例えば現像装置の寿命や故障により現像装置を交換するような場合でも、現像装置とともにインダクタンス検知手段が交換されることがなく、現像装置のコストを低減して、画像形成装置のランニングコストを低減することが可能となる。
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1のものと同じである。従って、実施例1の画像形成装置のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例では、図14を参照して、現像装置100を画像形成装置Aから取り外して再装着した際に、インダクタンスセンサ20の検出感度を補正する過程を説明する。
尚、本実施例では、4色の現像装置100a、100b、100c、100dについてインダクタンスセンサ20の検出感度の補正制御は同じであるため、代表としてひとつの現像装置について説明する(例えば、シアン現像装置100c)。
本実施例で用いたインダクタンスセンサ20の基本検出感度は実施例1で用いたインダクタンスセンサ20の感度特性と同じである。即ち、センサギャップが0mm、T/D=10wt%において、検出電圧が2.5Vとなる制御電圧を印加した場合に、T/D=4wt%〜14wt%の範囲で、検出電圧が、T/D=1wt%当たり−0.35Vの変化率で直線的に変化する特性を有する。
本実施例では、CPU40は、一のジョブ(一の画像形成開始指令による単一又は複数の転写材に対する一連の画像形成動作)を行った後に、必ず後回転工程を実行させる(S201)。この後回転工程は、感光ドラム1、現像スリーブ102、第1のスクリュー104A、及び第2のスクリュー104Bの回転が5秒間に渡って行われるものであり、画像形成後の現像容器101内の二成分現像剤の状態が安定化される。後回転工程における感光ドラム1、現像スリーブ102、第1のスクリュー104A、第2のスクリュー104Bの回転速度は、実施例1における画像形成装置Aの初期立ち上げ時と同じである。
そして、CPU40は、上述の後回転工程時に、同時に、インダクタンスセンサ20により、そのときの現像容器101内の二成分現像剤のT/DであるDbを検知し、その値をT/Dメモリ30に記憶させる(S202)。
その後、使用者は、現像装置100を画像形成装置本体から取り外す(S203)。現像装置100が画像形成装置本体から取り外される際、インダクタンスセンサ20は画像形成装置本体内に残留する。
その後、使用者は、再び同じ現像装置100を画像形成装置本体に装着する(S204)。再び現像装置100が画像形成装置本体に装着された後、CPU40は、感光ドラム1、現像スリーブ102、第1のスクリュー104A、及び第2のスクリュー104Bを30秒間駆動させる(S205)。これは、現像容器101内の二成分現像剤50の現像剤面安定化、二成分現像剤50に含まれるトナーの帯電の立ち上げ及び安定化のためである。このときの感光ドラム1、現像スリーブ102、第1のスクリュー104A、第2のスクリュー104Bの回転速度は、画像形成後の後回転工程と同じである。
上述の30秒間の駆動後、CPU40は、感光ドラム1、現像スリーブ102、第1のスクリュー104A、及び第2のスクリュー104Bの駆動を継続させながら、次の制御を行う。即ち、CPU40は、インダクタンスセンサ20に印加する制御電圧Vcontを0.005Vずつ増加させながら、インダクタンスセンサ20の検出電圧を監視する。そして、CPU40は、検出電圧Voutが1.000V、4.000Vにそれぞれ最も近い値となる制御電圧Vcont(1V)、Vcont(4V)を決定する(S206)。
その後、CPU40は、実施例1と同じ計算式(1)により、入出力特性曲線の傾きを算出する(S207)。又、CPU40は、計算式(1)により算出した入出力特性曲線の傾きの値と(S207)、T/Dメモリ30に記憶されている二成分現像剤のT/Dとから(S202)、インダクタンスセンサ20の検出感度Sを決定する(S208)。即ち、CPU40は、本体メモリ41に記憶されている検出感度補正テーブル(図7)を参照して、二成分現像剤のT/Dと入出力特性曲線の傾きとの組み合わせに該当するインダクタンスセンサ20の検出感度を選び出す。CPU40は、決定したインダクタンスセンサ20の検出感度の情報を本体メモリ41に記憶させる。
このように、本実施例では、現像装置が再装着される場合、補正手段は、次の情報に基づいて、現像装置内の現像剤のトナー濃度に対するインダクタンスセンサ20の出力値の変化率を補正する。即ち、現像装置が装置本体から取り外される直前にインダクタンスセンサ20を用いて検知されて記憶手段に記憶されたトナー濃度に関する情報、及びインダクタンスセンサ20に異なる複数の制御電圧を印加したときのセンサの複数の出力値である。
CPU40は、上述のようにして検出感度を決定した後に、次の計算式(2)を計算する(S209)。
Vout(a)=S*(Db−10)+2.5 ・・・(2)
これは、検出感度Sを採用した際に、現像容器101内の二成分現像剤のT/Dが10wt%となったときに検出電圧Voutが2.5Vとなる制御電圧Vcont(=Vcont(a))を決定するためである。計算式(2)によりVout(a)を算出した後、CPU40は、制御電圧Vcontを0.005Vずつ徐々に増加させてゆき、Vout(a)に最も近くなる制御電圧Vcontを決定する(S209)。この制御電圧の値が上記Vcont(a)に相当する。
このように、本実施例では、現像装置が再装着された後にインダクタンスセンサ20に印加される制御電圧は、次の情報に基づいて決定される。即ち、第1に、現像装置が装置本体から取り外される直前にインダクタンスセンサ20を用いて検知されて記憶手段に記憶されたトナー濃度に関する情報である。第2に、現像装置が再装着された後に補正手段にて補正された現像装置内の現像剤のトナー濃度に対するインダクタンスセンサ20の出力の変化率である。
以後、CPU40は、インダクタンスセンサ20に印加する制御電圧Vcontは、Vcont(a)で一定とする。そして、上述のようにして決定した検出感度Sの情報を用いて、インダクタンスセンサ20から出力される検出電圧Voutから、現像容器101内の二成分現像剤のT/Dを随時検知する。CPU40は、このようにして得られた現像容器101内の二成分現像剤のT/Dの情報を、トナー自動補給制御(ATR)にフィードバックする。
尚、T/Dメモリ30を画像形成装置本体に対して着脱可能な現像装置100に設けることで、現像装置100自体に現在の二成分現像剤のT/Dを付帯させて、各現像装置100の現状に即した制御を行うことが容易となる。しかし、T/Dメモリ30は、所望により画像形成装置本体に設けてもよい。
又、本実施例では、現像装置100が単独で画像形成装置本体から取り外しできるものとして説明するが、現像装置と他の手段とを有するプロセスカートリッジなどのカートリッジが画像形成装置本体から取り外しできる場合も、同様に本実施例を適用できる。この場合、インダクタンスセンサ20は、画像形成装置本体から取り外しできるカートリッジに直接設置されるのではなく、カートリッジに対して着脱可能とされ、典型的には画像形成装置本体に固定される。そして、T/Dメモリ30は、典型的にはカートリッジに取り付けられ、当該カートリッジが備える現像装置100内の二成分現像剤のT/Dの情報が記憶される。
又、本実施例は、実施例1と共に実施することができる。これにより画像形成装置Aの初期立ち上げ時、現像装置100の交換時、現像装置100を画像形成装置Aが取り外して再装着するときのいずれにおいても、インダクタンスセンサ20の検出感度を補正することができる。
本実施例の効果を確認するために、実施例1における効果確認実験に引き続いて、画像形成装置Aのシアン現像装置100cに関して、上述の本実施例の一連の感度補正動作を行った。尚、現像装置100の取り外し前のインダクタンスセンサ20の検出感度は引き続き−0.332Vであり、取り外し直前のT/Dはインダクタンスセンサ20で検知された値から算出して8.4wt%であった。
現像装置100を画像形成装置本体から取り外し、再装着して、上述の本実施例の一連の感度補正動作を行った。その結果、インダクタンスセンサ20の検出感度(T/D=1wt%当たりの検出電圧の変化率)は−0.324Vであった。その後、トナー補給をしない状態での任意枚数のべた画像の形成と、任意量のトナーの補給を行いながらの任意枚数のべた白画像の形成を行った。それぞれの画像形成後のインダクタンスセンサ20の検出電圧Voutと検出感度とから算出される現像容器101内の二成分現像剤のT/Dは表2に示すとおりである。比較のために、インダクタンスセンサ20の検出感度の再設定を行わない(取り外し時にT/Dを記憶するが、検出感度の再設定を行わない)場合に、検出電圧Voutから算出されるT/Dを見積もった(表2参照)。この場合、現像装置100の再装着後も、インダクタンスセンサ20の検出感度として−0.332Vを用いることになる。又、現像容器101内の二成分現像剤のT/Dを実測した(表2参照)。
表2中、算出T/Dの「あり」、「なし」の列はそれぞれ、インダクタンスセンサ20の検出感度の再設定を行った場合と、行わなかった場合とにおける、インダクタンスセンサ20の検出感度を用いて算出したT/Dの値を示す。又、誤差(%)の「あり」、「なし」の列はそれぞれ、インダクタンスセンサ20の検出感度の再設定を行った場合と、行わなかった場合とにおける、次式にて算出される値を示す。
誤差(%)=(|実測T/D−算出T/D|/実測T/D)×100
表2より、本実施例に従ってインダクタンスセンサ20の検出感度の再設定を行うことで、現像装置100を画像形成装置Aから取り外し、再装着を行ったときでも、T/Dを正確に検知できることが確認された。即ち、インダクタンスセンサ20の検出電圧Voutから算出されるT/Dと、現像容器101内の二成分現像剤の実際のT/Dとが、非常によく一致することが確認された。
以上、本実施例によれば、現像装置100を画像形成装置本体から取り外して再装着する場合でも、現像装置100内の二成分現像剤のトナー濃度を正確に検知することができる。そして、そのトナー濃度の検知結果に基づいて、現像装置100内の二成分現像剤のトナー濃度を正確に制御することができる。
本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。例えば、上記実施例では、インダクタンスセンサは、画像形成装置本体に固定され、現像装置(或いはカートリッジ)が画像形成装置本体から取り外しできることによって、インダクタンスセンサは現像装置に対して着脱可能とされている。しかし、本発明は、インダクタンスセンサの検知部の検知面と二成分現像剤との間の距離が変化する状況において、新たな状況に対応してインダクタンスセンサの検出感度を補正することに特徴がある。従って、例えば、現像装置に設置されるインダクタンスセンサが交換された場合などに、新たなインダクタンスセンサの検知部の検知面と二成分現像剤との間の距離に対応してインダクタンスセンサの検出感度を補正するのに本発明を適用することができる。
又、上記実施例では、インダクタンスセンサは現像装置に着脱可能であるとして説明したが、本発明はインダクタンスセンサが現像装置に対して着脱可能でない場合にも適用することができる。例えば、現像装置にインダクタンスセンサが固定されており、センサギャップが装置の個体差で異なる場合において本発明は有効である。即ち、この場合、例えば、画像形成装置を初めて使用するとき、又は現像装置を交換した後に現像装置を初めて使用するときに、上記実施例1と同様にして各現像装置におけるセンサギャップに対応したインダクタンスセンサの検出感度を求めることができる。例えば、このように現像装置にインダクタンスセンサが固定される場合に、上記実施例1においてCPU40と本体メモリ41とで構成されるとした補正手段の機能を、現像装置が備えるようにすることができる。更に、上記実施例1においてT/Dメモリ30で構成されるとした、初期二成分現像剤のT/Dに関する情報を記憶する記憶手段を、現像装置が備えるようにすることができる。