JP2008188689A - 表面被覆切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、高温での安定性に優れるとともに、刃先のチッピングを抑制することにより工具寿命を長期化させた表面被覆切削工具を提供することにある。
【解決手段】本発明の表面被覆切削工具は、基材と該基材の表面上に形成された被覆層とを含むものであって、該被覆層は、A層とB層とが交互にそれぞれ1層以上積層された交互層を含み、該A層は、AlとCrとを含む窒化物からなり、該A層を構成する金属原子の総数を1としたときのCrの原子数の比が0よりも大きく0.4以下であり、該B層は、TiとSiとを含む窒化物からなり、該B層を構成する金属原子の総数を1としたときのSiの原子数の比が0.05以上0.3以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材上に被覆層を形成した表面被覆切削工具に関する。
切削工具を構成する基材は、その表面保護を目的とするとともに耐摩耗性や靭性等の諸特性の更なる向上を目的として、各種の被覆層でその表面を被覆することが古くから行なわれてきた。近年、切削工具の動向として、地球環境保全の観点から切削油剤を用いないドライ加工が求められていること、被削材が多様化していること、および加工能率を一層向上させるため切削速度がより高速になってきていることなどから、切削加工時の切削工具の刃先温度はますます高温に曝される傾向にあり、切削工具用材料に要求される特性は厳しくなる一方である。
特にそのような切削工具用材料の要求特性として、高温での被覆層の安定性(耐酸化特性や密着性)はもちろんのこと、工具寿命に関係する耐摩耗性、すなわち被覆層の高温における硬度の向上や潤滑油剤に代わる被覆層の潤滑特性が一段と重要となっている。
このため、この種の硬質の被覆層として従来より用いられてきたTiAlNに代えて、AlとCrとを含む窒化物の使用が提案されている(特許文献1)。このAlとCrとを含む窒化物はTiAlNに比べて高温での安定性は優れているものの、大きな残留応力を有する傾向にあり、このため基材や他の被覆層との密着性が劣ることから耐摩耗性あるいは耐剥離性が不十分であるという問題があった。
そこで、この問題を解決するべく、AlとCrとを含む窒化物の層と、TiとAlとSiとを含む層とを交互に積層させた構造の被覆層が提案されている(特許文献2)。この提案により上記の問題はほぼ解決されているが、次のような新たな問題点が存した。
すなわち、上記提案による交互積層物から構成される被覆層は、積層される各層が柱状組織の結晶構造を有するものであり、当該被覆層全体を単一の層で形成した場合に比べてその結晶構造は微細化される傾向を示すものの、上記のような使用状況下において切削工具にさらに高い負荷が適用されるような条件下では、その結晶構造をさらに微細化させることが求められている。これは、その結晶構造が十分に微細化されないと、切削加工時に被覆層に発生するクラックの進展を十分に抑制することができず、刃先のチッピングを誘発し結果的に工具寿命を低下させることになるためである。
特開2004−106183号公報 国際公開第2006/070730号パンフレット
本発明は、上記のような状況に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、高温での安定性に優れるとともに、刃先のチッピングを抑制することにより工具寿命を長期化させた表面被覆切削工具を提供することにある。
本発明の表面被覆切削工具は、基材と該基材の表面上に形成された被覆層とを含むものであって、該被覆層は、A層とB層とが交互にそれぞれ1層以上積層された交互層を含み、該A層は、AlとCrとを含む窒化物からなり、該A層を構成する金属原子の総数を1としたときのCrの原子数の比が0よりも大きく0.4以下であり、該B層は、TiとSiとを含む窒化物からなり、該B層を構成する金属原子の総数を1としたときのSiの原子数の比が0.05以上0.3以下であることを特徴とする。
ここで、上記交互層におけるA層の厚みをλaとし、B層の厚みをλbとしたとき、A層とB層との厚みの比であるλa/λbは、1≦λa/λb<5であることが好ましい。
また、上記交互層におけるA層の厚みをλaとし、B層の厚みをλbとしたとき、互いに隣接するA層とB層との厚みの比であるλa/λbは、上記基材に最も近い側ではλa/λb=1であり、該基材から遠ざかるにしたがってλa/λbの値は連続的に大きくなっていき、該基材から最も遠い側では1<λa/λb<5であることが好ましい。
また、上記被覆層の最下層は、A層であることができ、またB層であっても差し支えない。また、上記被覆層の最上層は、C層であり、このC層は、TiとSiとを含む炭窒化物からなり、このC層を構成する金属原子の総数を1としたときのSiの原子数の比が0.05以上0.3以下であることが好ましい。
また、上記交互層においてA層とB層とは、中間遷移層を挟んで積層されており、該中間遷移層は、それに接する下層の組成から同じくそれに接する上層の組成へと厚み方向にその組成が連続的に変化することが好ましい。
また、上記被覆層は、−8GPa以上0GPa以下の平均残留応力を有していることが好ましい。また、上記被覆層の残留応力は、厚み方向において変化し、基材から遠ざかるにしたがってその残留応力の絶対値が大きくなることが好ましい。さらに、上記被覆層の結晶構造は、立方晶であることが好ましい。
本発明の表面被覆切削工具は、高温での安定性に優れるとともに、刃先のチッピングを抑制することにより工具寿命を長期化させることに成功したものである。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明では、図面を用いて説明しているが、本願の図面において同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示している。
<表面被覆切削工具>
本発明の表面被覆切削工具は、基材と、該基材の表面上に形成された被覆層とを備えるものである。このような基本的構成を有する本発明の表面被覆切削工具は、たとえばドリル、エンドミル、フライス加工用刃先交換型切削チップ、旋削加工用刃先交換型切削チップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、タップ、またはクランクシャフトのピンミーリング加工用チップ等として極めて有用に用いることができる。
<基材>
本発明の表面被覆切削工具の基材としては、このような切削工具の基材として知られる従来公知のものを特に限定なく使用することができる。たとえば、超硬合金(たとえばWC基超硬合金、WCの他、Coを含み、あるいはさらにTi、Ta、Nb等の炭窒化物等を添加したものも含む)、サーメット(TiC、TiN、TiCN等を主成分とするもの)、高速度鋼、セラミックス(炭化チタン、炭化硅素、窒化硅素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、およびこれらの混合体など)、立方晶型窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体等をこのような基材の例として挙げることができる。このような基材として超硬合金を使用する場合、そのような超硬合金は、組織中に遊離炭素やη相と呼ばれる異常相を含んでいても本発明の効果は示される。
なお、これらの基材は、その表面が改質されたものであっても差し支えない。たとえば、超硬合金の場合はその表面に脱β層が形成されていたり、サーメットの場合には表面硬化層が形成されていても良く、このように表面が改質されていても本発明の効果は示される。
<被覆層>
本発明の表面被覆切削工具の上記基材の表面上に形成される被覆層は、A層とB層とが交互にそれぞれ1層以上積層された交互層を含むことを特徴としている。本発明の被覆層は、このような交互層を含む限り、この交互層以外に他の層を含んでいても差し支えない。このような他の層としては、たとえば後述のような被覆層の最下層としてのA層やB層、または被覆層の最上層としてのC層を挙げることができるが、これらのみに限られるものではない。このような他の層は、基材と交互層との間に形成することができるとともに交互層上に形成することもでき、その積層配置は特に限定されない。なお、交互層を上記基材上に直接形成することも勿論可能である。
このような被覆層は、基材上の全面を被覆するもののみに限られるものではなく、部分的に被覆層が形成されていない態様も含み、さらにまた部分的に被覆層の一部の積層構成が異なっているような態様をも含む。
なお、このような被覆層の厚み(被覆層全体の厚み)は、0.8μm以上15μm以下とすることが好ましく、より好ましくはその上限が10μm以下、さらに好ましくは5μm以下、その下限が1μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上である。その厚みが0.8μm未満の場合、被覆層の厚みが薄すぎて本発明の表面被覆切削工具の寿命が短くなる傾向にあり、15μmを超えると切削初期において被覆層がチッピングしやすくなってやはり工具としての寿命が短くなる傾向にある。
なお、本発明においては、被覆層の全体の厚みおよび後述の各層の厚みならびに積層数は、いずれも本発明の表面被覆切削工具を切断し、その断面をSEM(走査型電子顕微鏡)またはTEM(透過型電子顕微鏡)を用いて観察することにより求めることができる。また、被覆層を構成する後述のような各層の組成は、XPS(X線光電子分光分析装置)を用いて測定することができる。
<交互層>
本発明の上記被覆層に含まれる交互層は、下記のA層とB層とが交互にそれぞれ1層以上積層されたものであり、該A層は、AlとCrとを含む窒化物からなり、該A層を構成する金属原子の総数を1としたときのCrの原子数の比が0よりも大きく0.4以下であり、該B層は、TiとSiとを含む窒化物からなり、該B層を構成する金属原子の総数を1としたときのSiの原子数の比が0.05以上0.3以下であるという構成を有している。
このように本発明の交互層は、応力緩和作用を有するB層に隣接させてA層を積層させたことにより、比較的大きな残留応力を有するためにそれ単独では基材や他の被膜との密着性が劣るというA層が有する固有のデメリットを抑制しつつ、従来のTiAlNに比し高温での安定性に優れるというA層の優れた作用効果を十分に発揮させることが可能となったため、表面被覆切削工具の高温での安定性を飛躍的に向上させることに成功したものである。
しかも、上記のような応力緩和作用を有するB層がAlを含んでいないため、このB層をA層に隣接して形成することにより(特に2つのB層間にA層を挟むことにより)Alを含むA層における結晶成長の粗大化を効果的に防止することができ、以ってA層の結晶構造をより微細化することが可能となった。さらに、このB層も異なった組成のA層に隣接して形成されることになるので、結果的にB層自体の結晶成長の粗大化も同時に防止されることになる。
このため、高温で高い負荷が適用されるような切削条件下においても被覆層の表面に発生するクラックが基材方向に進展するのを十分に抑制することができ、以って刃先のチッピングを極めて有効に防止することに成功したものである。特にこの点は、先行技術である前述の特許文献2が有していた問題点(すなわち、B層にAlが含まれているためにA層の結晶構造の微細化を十分に達成できないという問題点)を解消させたものであり、極めて大きな産業上の利用性を有するものである。
本発明の交互層の上記のような構成によりクラックの進展が抑制されるのは、恐らく次のような理由であると考えられる。すなわち、A層の結晶構造の微細化により、被覆層の表面に発生したクラックが大規模な層剥離に発展することなくA層とB層との界面でその進展が効果的に遮断されるためではないかと推測される。
このようにして、本発明の表面被覆切削工具は、高温での安定性に優れるとともに刃先のチッピングを抑制することにより、高温でしかも高い負荷がかかるような切削条件下においても耐摩耗性と耐欠損性とを高度に両立させることができ、以って工具寿命を長期化させることに成功したものである。
なお、本発明において、上記の交互層におけるA層の積層数およびB層の積層数は、交互層を構成しているA層およびB層のそれぞれの積層数のことを意味するものとする。たとえば、上記の交互層が、基材側から順にA層、B層、A層、B層およびA層の順序で積層された構成を有している場合には、交互層におけるA層の積層数は3層となり、B層の積層数は2層となる。勿論、最少積層数は、A層およびB層とも1層であるが、最大積層数は特に限定されない。通常、A層およびB層の各層の積層数は、10層以上5000層以下とすることが好ましい。10層未満の場合、各層における結晶構造の微細化への寄与が小さくなる傾向にあり、5000層を超えると、1層当りの厚みが薄くなり過ぎ各層が混合する傾向にある。
また、本発明における交互層においては、積層はA層から開始されていても良いし、B層から開始されていても良い(すなわち交互層において、最も基材側に近く位置する層はA層であっても良いしB層であっても良い)。また、交互層における積層は、A層で終了しても良いし、B層で終了しても良い(すなわち交互層において、基材側から最も遠く離れて位置する層はA層であっても良いしB層であっても良い)。
このような交互層の厚みは、0.8μm以上15μm以下とすることが好ましく、より好ましくはその上限が10μm以下、さらに好ましくは5μm以下、その下限が1μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上である。その厚みが0.8μm未満では、工具寿命が低下する場合があり、15μmを超えると大きな残留応力に起因して被膜自体がチッピングする場合がある。
<A層>
上記の交互層におけるA層は、AlとCrとを含む窒化物からなるものであるが、Alを含んでいるために高い耐酸化性を有している。また、A層はAlだけでなくCrも含むために耐酸化性がさらに高くなっている。また、A層においては、Alの含有量がたとえ高くなったとしてもCrを含有するためにA層の結晶構造が立方晶となって高硬度化する傾向にある。そして、これらの諸特性は高温においても発揮され、十分なる高温安定性を示すものとなる。なお、A層は、AlとCrとを含む限り窒素以外の他の元素を含んでいても差し支えない。
また、A層を構成する金属原子の総数を1としたときのCrの原子数の比は、0よりも大きく0.4以下である。ここで、上記のCrの原子数の比が0.4よりも大きい場合にはA層の硬度が低下してしまう。また、A層の硬度がより高くなる観点からは、上記のCrの原子数の比は0.2以上0.35以下であることがより好ましい。なお、本発明において「金属原子」とは、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン、酸素、硫黄、セレン、テルル、窒素、リン、ヒ素、アンチモンおよび炭素以外の元素の原子のことをいう。
また、このようなA層において、AlとCrとを含む金属原子の総数を1としたとき、窒素の原子数の比は0.8以上1.5以下とすることが好ましい。0.8未満では膜硬度が低下する傾向にあり、1.5を超える場合も同様に膜硬度が低下する傾向がある。
<B層>
上記の交互層におけるB層は、TiとSiとを含む窒化物からなり、TiとSiとを含む限り窒素以外の他の元素を含んでいても差し支えない。このようにB層は、TiとともにSiを含んでいることから小さい残留応力値を示し応力緩和層としての作用を有している。また、B層の結晶構造は立方晶となっており、十分なる高温安定性を示すものとなる。なお、前述の通り、このB層はAlを含まないことを特徴とするものである。
また、上記のB層を構成する金属原子の総数を1としたときのSiの原子数の比は、0.05以上0.3以下である。上記のB層のSiの原子数の比が0.3を超える場合にはB層の硬度が低下して摩耗が促進してしまい、0.05未満では十分に残留応力値を小さくすることができなくなってしまう。なお、B層の硬度がより高くなる観点からは、上記のB層のSiの原子数の比は0.1以上0.25以下であることがより好ましい。
また、このようなB層において、TiとSiとを含む金属原子の総数を1としたとき、窒素の原子数の比は0.8以上1.5以下とすることが好ましい。0.8未満では膜硬度が低下する傾向にあり、1.5を超える場合も同様に膜硬度が低下する傾向がある。
<A層またはB層に含まれる他の元素の例>
本発明においては、A層およびB層の少なくとも一方にバナジウムが原子%で30原子%未満含まれていてもよい。この場合には、切削時における高温環境においてA層および/またはB層の表面が酸化したとしても、バナジウムの酸化物は低融点を有するのでバナジウムの酸化物が切削時の潤滑剤として作用するようになり、結果として被削材の融着を抑制できる傾向にある。バナジウムが30原子%以上含有される場合にはA層および/またはB層の硬度が低下する傾向にある。また、バナジウムが15原子%未満含有される場合には上記の被削材の融着を抑制できるとともにA層および/またはB層の硬度も高くすることができる。なお、本発明において、「原子%」とは、層を構成する金属原子の総原子数に対する原子数の割合(%)のことをいう。
また、本発明においては、A層およびB層の少なくとも一方にホウ素が原子%で10原子%未満含まれていてもよい。この場合には、メカニズムはわかっていないが層の硬度をさらに高くすることができる傾向にある。また、切削中の表面酸化によって形成されるホウ素の酸化物が特にA層中のAlの酸化物を緻密化する傾向にあることからも好ましい。さらに、ホウ素の酸化物は低融点であるので切削時の潤滑剤として作用し、被削材の溶着を抑える傾向もある。
また、本発明のA層においては、Siを原子%で10原子%未満含有させることもできる。これにより、A層の硬度が高くなる傾向にあり、またA層の結晶構造も微細化する傾向にある。
<A層およびB層の厚み>
上記A層およびB層の厚みは、それぞれ0.002μm以上2μm以下であることが好ましい。この範囲の厚みとすることにより、被覆層の表面で発生したクラックの進展(基材方向への進展)を最も効果的に抑制することができる傾向にある。また、A層およびB層の厚みがそれぞれ0.002μm未満である場合には、両層が混ざり合ってA層およびB層を交互に積層したことによる効果を得ることができない傾向にあり、2μmを超える場合にはクラックの進展の効果的な抑制効果が得られにくい傾向にある。
なお、上記A層の厚みは、交互層中に含まれる各々のA層において実質的に全て同じ厚みを有していても良いし、互いに異なる厚みを有していても良い。また、同じくB層についても上記交互層中に含まれる各々のB層において実質的に全て同じ厚みを有していても良いし、互いに異なる厚みを有していても良い。
また、本発明の表面被覆切削工具1の模式的断面図である図1に示すように、基材2上に形成された交互層13におけるA層12の厚みをλaとし、B層15の厚みをλbとしたとき、A層12とB層15との厚みの比であるλa/λbは、1≦λa/λb<5であることが好ましく、1≦λa/λb<3であることがより好ましい。上述したように、A層は高い耐酸化性を有していることに加えて、熱伝導率も低く、切削時に発生した熱を基材に伝えにくい性質を持つ。したがって、被覆層中のA層の割合が相対的に増えると、表面被覆切削工具全体としての耐熱性が向上するので、特に、このような厚みの比を有することにより連続切削時の表面被覆切削工具の耐摩耗性が向上する傾向にある。また、被覆層中のTiの量が相対的に減少するので、たとえばTi合金の切削時において、表面被覆切削工具の損傷部へのTi合金の融着が抑制され、結果として、表面被覆切削工具の寿命の延長を図ることができる傾向にある。なお、λa/λb<1の場合には被覆層の耐酸化性が低下する傾向にあり、λa/λb>5の場合にはA層とB層とを積層したことによるクラックの進展の抑制効果が得られにくい傾向にある。
また、同じく本発明の表面被覆切削工具1の模式的断面図である図2に示すように、基材2上に形成される交互層13におけるA層12の厚みをλaとし、B層15の厚みをλbとしたとき、互いに隣接するA層12とB層15との厚みの比であるλa/λbは、基材2に最も近い側ではλa/λb=1であり、基材2から遠ざかるにしたがってλa/λbの値は連続的に大きくなっていき、基材2から最も遠い側では1<λa/λb<5であることが好ましく、1<λa/λb<3であることがより好ましい(なお、図2において、交互層13の中央部に示されている矢印はその部分のA層およびB層が省略されていることを示している)。なお、本発明において、λa/λbの値が「連続的に大きく」なるとは、実質的に大きくなる傾向を示せば足りるものであって、部分的に同じ数値を示す部分が含まれていたり、部分的に小さくなる傾向を示す部分が含まれていても「連続的に大きく」という規定を逸脱するものではない。
上述したように、A層は高い耐酸化性を有していることに加えて、熱伝導率も低く、切削時に発生した熱を基材に伝えにくい性質を持つ。したがって、被覆層中のA層の割合が相対的に増えると、表面被覆切削工具全体としての耐熱性が向上するので、特に、連続切削時の表面被覆切削工具の耐摩耗性が向上する傾向にある。しかし、被覆層の密着性の観点からは、応力の低いB層を交互に積層することは効果的である。そこで、基材に最も近い側ではB層の割合を高くし、基材から遠ざかるにしたがってA層の割合を連続的に高めていくことによって、刃先に負荷のかかる断続切削においても性能が向上する傾向にある。また、被覆層中のTi量が基材から遠ざかるにしたがって相対的に減少していくので、たとえばTi合金の切削時において、表面被覆切削工具の損傷部へのTi合金の融着が抑制され、結果として、表面被覆切削工具の寿命の延長を図ることができる傾向にある。なお、基材から最も遠い側において、λa/λb<1の場合には被覆層の耐酸化性が低下する傾向にあり、λa/λb>5の場合にはA層とB層とを積層したことによるクラックの進展の抑制効果が得られにくい傾向にある。
<中間遷移層>
上記交互層においてA層とB層とは、中間遷移層を挟んで積層されており、該中間遷移層は、それに接する下層の組成から同じくそれに接する上層の組成へと厚み方向にその組成が連続的に変化することが好ましい。たとえば、上記交互層においてA層から積層が開始される場合を例にとると、まずそのA層上に中間遷移層が形成され、その中間遷移層上にB層が形成され、引き続きそのB層上に中間遷移層が形成され、次いでその中間遷移層上にA層が形成され、以後もこのような積層態様が繰り返されることにより交互層を形成することができる。なお、本発明においては、このように中間遷移層が形成される場合であっても、A層とB層とは交互に積層されるという表現を用いるものとする。
また、上記例において、積層が開始されるA層上に形成される中間遷移層の場合、その中間遷移層に接する下層とは上記A層を意味し、またその中間遷移層に接する上層とはB層を意味する。したがって、この中間遷移層における組成は、厚み方向にかけて(すなわち基材側から基材から遠ざかる側にかけて)A層の組成からB層の組成へと連続的に変化するものとなる。
このような中間遷移層は、A層およびB層とは独立して形成する必要はなく、その製造方法にもよるが通常はA層を形成後B層を形成するとき、またはB層を形成後A層を形成するときにそれら両層の形成の途中段階で不可避的に形成されるものである。換言すれば、この中間遷移層は、その観察条件により観察されたり観察されなかったりする程度のものであり、通常TEM等による観察倍率を200万倍以上にする場合において観察されるものである。
なお、A層およびB層の境界部にこのような中間遷移層が形成されるために、これら両層の境界部を明確に定めることができない場合は、このような中間遷移層における厚み方向の中間点をこれら両層の境界部とみなし、各層の厚み等を測定するものとする。
<被覆層の最下層>
本発明においては、被覆層の最下層を上記のA層とすることができる。ここで、最下層とは、基材と直接に接触する被覆層中の層のことである。被覆層の最下層をA層とした場合には、切削初期に基材が露出したとしても、基材と被覆層との間の界面からの酸化を抑制することができる傾向にある。なお、最下層であるA層上に上記の交互層を形成する場合には、最下層であるA層上には交互層としてA層が積層されてもよく、またB層が積層されてもよい。
また、被覆層の最下層としてのA層にSiを原子%で10原子%未満含有させることもできる。この場合には最下層であるA層の硬度が高くなる傾向にあり、最下層であるA層の構造も微細化する傾向にある。
また、被覆層の最下層としてのA層の厚みは、上記交互層の場合とは異なり0.1μm以上2μm以下であることが好ましい。最下層であるA層の厚みが0.1μm未満の場合には被覆層の最下層をA層とした効果を得ることができない傾向にあり、2μmを超えた場合には最下層をA層とした効果のさらなる向上が認められない傾向にある。
また、本発明においては、被覆層の最下層を上記B層とすることもできる。被覆層の最下層をB層とした場合には、B層は応力が小さい傾向にあることから、特に、負荷が刃先に繰り返しかかるようなフライス加工やエンドミル加工などの断続加工の場合に被覆層の耐剥離性が格段に向上する傾向にある。なお、最下層であるB層上に上記の交互層を形成する場合には、最下層であるB層上には交互層としてA層が積層されてもよく、またB層が積層されてもよい。
また、被覆層の最下層としてのB層の厚みは、上記交互層の場合とは異なり0.1μm以上2μm以下であることが好ましい。最下層であるB層の厚みが0.1μm未満の場合には被覆層の最下層をB層とした効果を得ることができない傾向にあり、2μmを超えた場合には最下層をB層とした効果のさらなる向上が認められない傾向にある。
なお、このような被覆層の最下層としては、上記A層およびB層以外に他の層を形成することもできる。
<被覆層の最上層>
本発明においては、被覆層の最上層をC層とすることができる。ここで、C層はTiとSiとを含む炭窒化物(炭素と窒素を含む化合物)からなり、C層を構成する金属原子の総数を1としたときのSiの原子数の比が0.05以上0.3以下である。なお、本発明において、被覆層の最上層とは被覆層の表面を構成する層である。通常、このような最上層は、上記の交互層上に形成される。
被覆層の最上層としてこのようなC層を形成した場合には、被削材に対する被覆層の摩擦係数が低下して、本発明の表面被覆切削工具の長寿命化に寄与する傾向にある。一般的に、炭窒化物は窒化物よりも被削材に対する摩擦係数が低い傾向にあり、このような摩擦係数の低下は炭素原子の寄与によるものと考えられる。また、C層の表面は切削時において他の層の表面と比べて最も高温となるため、本発明においては、耐酸化性を付与する目的でC層の組成を上記のものとしている。なお、耐酸化性を向上する観点からは、C層における上記のSiの原子数の比は0.1以上0.25以下であることがより好ましい。
また、C層にはホウ素が原子%で10原子%未満含まれていてもよい。この場合には、メカニズムはわかっていないが層の硬度をさらに高くすることができる傾向にある。また、切削中の表面酸化によって形成されるホウ素の酸化物が特に層中のSiの酸化物を緻密化する傾向にあることからも好ましい。さらに、ホウ素の酸化物は低融点であるので切削時の潤滑剤として作用し、被削材の凝着を抑える傾向もある。
また、C層の厚みは0.1μm以上2μm以下であることが好ましい。C層の厚みが0.1μm未満である場合には被覆層の最表面の潤滑性の付与による効果が得られにくい傾向にあり、2μmを超える場合にはその効果をさらに向上することができない傾向にある。
また、上記のC層において、窒素と炭素の組成比を調整することにより、所定の色を付与することが可能である。これにより、本発明の表面被覆切削工具の外観に意匠性を付与でき、商業上有用となる。窒素と炭素との組成比は、特に限定されるものではないが、両者の原子の総数を1としたときの炭素の原子数の比が0.05以上0.6以下となることが好ましい。0.05未満では潤滑性の付与による効果が得られない傾向にあり、0.6を超えると膜硬度が高くなり過ぎ被膜自体がチッピングしやすくなる傾向がある。
なお、このようなC層において、TiとSiとを含む金属原子の総数を1としたとき、窒素と炭素との原子数の総数は0.8以上1.5以下とすることが好ましい。0.8未満では膜硬度が低下する傾向にあり、1.5を超える場合も同様に膜硬度が低下する傾向がある。
<被覆層の残留応力>
本発明においては、被覆層は−8GPa以上0GPa以下の平均残留応力を有していることが好ましい。すなわち、被覆層の残留応力を平均すると上記範囲の圧縮残留応力となることが好ましく、便宜的に応力が解放されて残留応力を有さない場合も含むものとする。このように被覆層が、上記範囲の平均圧縮残留応力を有することにより、被覆層にチッピングが発生することを抑制することができ刃先の信頼性が向上し、以って切削工具の寿命を長期化することができる。
被覆層の平均残留応力が0GPaを超えて「正」の数値を有するようになると、引張残留応力となるため被覆層の表面で発生したクラックの基材方向への進展を抑制できない傾向となる。一方、平均残留応力が−8GPa未満になると圧縮残留応力が大きすぎて(すなわち応力値の絶対値が大きくなりすぎる場合)、切削開始前に表面被覆切削工具のエッジ部から被覆層が剥離して本発明の表面被覆切削工具の寿命が短くなるおそれがある。なお、本発明において被覆層の平均残留応力とは、被覆層全体の残留応力の平均値のことである。また、圧縮残留応力という記載と数値とを併記する場合は、数値にあえてマイナスの符号を付さないで表記するものとする。
また、上記被覆層の残留応力は、厚み方向において変化し、基材から遠ざかるにしたがってその残留応力の絶対値が大きくなること(すなわち圧縮残留応力が大きくなること)が好ましい。被覆層の表面に発生するクラックの基材側への進展をより効果的に抑制することができるからである。このような残留応力の分布態様は、前述のように交互層におけるA層とB層との厚みの比であるλa/λbを、基材から遠ざかるにしたがって連続的に大きくすることにより達成することができる。A層は相対的に大きな圧縮残留応力を有するからである。
なお、本発明において残留応力は、X線応力測定装置を用いたsin2ψ法により測定することができる。
<被覆層の結晶構造>
本発明において、被覆層の結晶構造は立方晶であることが好ましい。被覆層が立方晶である場合、被覆層の硬度が向上する傾向にある。たとえば、上記A層の場合、窒化物であるAlNを例にとると、AlNは通常六方晶であるが、準安定相である立方晶となった場合の格子定数は0.412nmであるのに対して、常温常圧で立方晶が安定相であるCrNの格子定数は0.414nmであり立方晶のAlNと非常に格子定数が近いため、その引き込み効果によりAlNは立方晶化して高硬度化する。このため、上記A層は、AlとCrとを含む窒化物とすることにより立方晶とすることが可能となる。
このように、被覆層中の各層のそれぞれの結晶構造を立方晶とすることにより、硬度が向上し耐摩耗性に優れたものとなるため好ましい。なお、被覆層および被覆層中の各層の結晶構造はそれぞれ、当該分野で公知のX線回折装置により解析することができる。
<表面被覆切削工具の具体例>
図3に、本発明の表面被覆切削工具の一例の刃先の模式的な拡大断面図を示す。この表面被覆切削工具1は、基材2と、基材2の表面上に形成された最下層であるA層12と、最下層であるA層12上にA層とB層とが交互にそれぞれ1層以上積層された交互層13と、交互層13上に積層された最上層であるC層14とから構成されている。なお、被覆層3は、最下層であるA層12と、交互層13と、最上層であるC層14とから構成されている。なお、この表面被覆切削工具1は、刃先交換型切削チップであり、すくい面4と逃げ面5との交差部が刃先稜線(刃先6)となる。
ここで、最上層であるC層14は被削材に対する摩擦係数が低いことから、切削時において刃先が被削材に対して滑りやすく、チッピングすることなく被覆層3が摩耗する傾向にある。また、基材2と接する最下層であるA層12が形成されている場合には基材2側からの酸化を抑制することができ、摩耗が進行した後も基材2と被覆層3との密着性を維持することができる。また、最下層であるA層12と最上層であるC層14との間に耐摩耗性および靭性に優れた交互層13が形成されていることで本発明の表面被覆切削工具1の寿命を長くすることができる。
図4は、図3に示すIV−IVに沿った模式的な拡大断面図である。ここで、交互層13は、最下層であるA層12上にA層12とB層15とが交互に積層されている。交互層13においては、A層12が4層積層されており、B層15が3層積層されている。
ここで、A層12としては、たとえば(Al1-aCra)(ただし、0<a≦0.4)の窒化物を用いることができる。また、B層15としては、たとえば(Ti1-xSix)(ただし、0.05≦x≦0.3)の窒化物を用いることができる。また、C層14としては、たとえば(Ti1-ySiy)(ただし、0.05≦y≦0.3)の炭窒化物を用いることができる。
図5は、図4に相当する本発明の表面被覆切削工具の他の一例の模式的な拡大断面図である。ここでは、被覆層3の最下層としてB層15が用いられていることに特徴がある。このように、最下層としてB層15を用いた場合には、上述したように、B層15は応力が小さい特性を有することから、基材2と被覆層3との耐剥離性を向上することができる。
ここで、図5に示す最下層であるB層15としては、たとえば0.3μm以上1μm以下の厚みを有する(Ti1-xSix)(ただし、0.05≦x≦0.3)の窒化物を用いることができる。また、図5に示す交互層13としては、たとえば(Al1-aCra)(ただし、0.2≦a≦0.35)の窒化物からなるA層12と、たとえば(Ti1-xSix)(ただし、0.1≦x≦0.25)の窒化物からなるB層15とを交互に積層した層を用いることができる。ここで、図5では交互層13が模式的にA層12が4層、B層15が3層積層された状態が記載されているが、交互層13を構成するA層12およびB層15の各々は、それぞれたとえば10層以上5000層以下の積層数とすることができ、交互層13の全体の厚みはたとえば0.8μm以上10μm以下とすることができる。また、図5に示す最上層であるC層14としては、たとえば0.1μm以上0.5μm以下の厚みを有する(Ti1-ySiy)(ただし、0.1≦y≦0.25)の炭窒化物を用いることができる。
<製造方法>
本発明の表面被覆切削工具は、たとえば、基材を準備する工程と、物理的蒸着法を用いてA層とB層とを交互にそれぞれ1層以上積層して交互層を形成する工程と、を少なくとも含む方法により製造することができる。ここで、物理的蒸着法としては、カソードアークイオンプレーティング法、バランスドマグネトロンスパッタリング法およびアンバランスドマグネトロンスパッタリング法からなる群から選択された少なくとも1種を用いることができる。
なお、被覆層として交互層以外の層が形成される場合にも、上記のような物理的蒸着法により形成することができる。
本発明において、耐摩耗性を有する被覆層を基材の表面上に形成するためには、結晶性の高い化合物からなる層を形成することが好ましい。そこで、被覆層の形成方法として種々の方法を検討した結果、物理的蒸着法を用いることが好ましいことがわかった。また、物理的蒸着法には、カソードアークイオンプレーティング法、バランスドマグネトロンスパッタリング法またはアンバランスドマグネトロンスパッタリング法などがあるが、特に、原料元素のイオン化率の高いカソードアークイオンプレーティング法が適している。このカソードアークイオンプレーティング法を用いた場合には、被覆層を形成する前に、基材の表面に対して金属のイオンボンバードメント処理が可能となるため、基材と被覆層との密着性が格段に向上する観点からも好ましい。
ここで、カソードアークイオンプレーティング法は、たとえば、装置内に基材を設置するとともにカソードとしてターゲットを設置した後に、ターゲットに高電流を印加してアーク放電を生じさせることによってターゲットを構成する原子を蒸発、イオン化させて、基材上に物質を堆積させることにより行なうことができる。
また、バランスドマグネトロンスパッタリング法は、たとえば、装置内に基材を設置するとともに平衡な磁場を形成する磁石を備えたマグネトロン電極上にターゲットを設置し、マグネトロン電極と基材との間に高周波電力を印加してガスプラズマを発生させ、このガスプラズマの発生により生じたガスのイオンをターゲットに衝突させてターゲットから放出された原子をイオン化させ基材上に堆積させることにより行なうことができる。
また、アンバランストマグネトロンスパッタリング法は、たとえば、上記のバランスドマグネトロンスパッタリング法におけるマグネトロン電極により発生する磁場を非平衡にして行なうことができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1〜6および13〜20>
<表面被覆切削工具の作製>
(1)基材の洗浄
図6にその概略断面図を示したカソードアークイオンプレーティング装置に、基材2としてグレードがJIS規格P30の超硬合金であって、形状がJIS規格のSPGN120308であるチップを装着した。なお、図7は図6の装置の概略上面図である。
図6および図7の装置において、チャンバ101内に、被覆層の金属原料となる合金製ターゲットであるA層用のカソード106、B層用のカソード107およびC層用のカソード120と、基材2を設置するための回転式の基材ホルダ104とが取り付けられている。カソード106にはアーク電源108が取り付けられ、カソード107にはアーク電源109が取り付けられている。また、基材ホルダ104には、バイアス電源110が取り付けられている。また、チャンバ101内には、ガス105が導入されるガス導入口102が設けられるとともにチャンバ101内の圧力を調節するためにガス排出口103が設けられており、ガス排出口103から真空ポンプによりチャンバ101内のガスを吸引できる構造となっている。
図6の装置において、まず、真空ポンプによりチャンバ101内を減圧するとともに、基材2を回転させながら装置内に設置されたヒータにより温度を500℃に加熱し、チャンバ101内の圧力が1.0×10-4Paとなるまで真空引きを行なった。次に、ガス導入口102からガス105(アルゴンガス)を導入してチャンバ101内の圧力を3.0Paに保持し、バイアス電源110の電圧を徐々に上げながら−1000Vとし、基材2の表面のクリーニングを15分間行なった。その後、チャンバ101内からアルゴンガスを排気した。
(2)被覆層の形成
次に、基材2を中央で回転させた状態で、被覆層として表1に示す組成の最下層および交互層が得られるように、反応ガスとして窒素を導入しながら、基材2の温度を500℃、反応ガス圧を2.0Pa、バイアス電源110の電圧を−50V〜−200Vの範囲のある一定値に維持したまま、または徐々に変化させながらカソード106、107にそれぞれ100Aのアーク電流を供給することによって、カソード106、107から金属イオンを発生させて、表1に示す実施例1〜6および13〜20のそれぞれの最下層(ただし実施例13は形成しない)および交互層を形成した。ここで、交互層は、最下層上にA層とB層とを交互に1層ずつ表1に示す積層数だけそれぞれ積層することにより形成した。最下層は実施例1〜6、14、18〜20はB層とし、実施例15〜17はA層とした。また、交互層はA層から積層を開始し、B層で終了するようにした。なお、最下層の厚み、交互層中におけるA層およびB層のそれぞれの厚みならびに交互層の積層数については基材の回転速度で調整した。そして、最下層および交互層の厚みがそれぞれ表1に示す厚みとなったところで蒸発源(カソード)に供給する電流をストップした。
引き続き、表2に示す組成の実施例1〜6および13〜20のそれぞれの最上層であるC層を形成した(ただし実施例14は形成しなかった)。ここでは、チャンバ101内に反応ガスとして窒素とメタンガスを導入しながら、基材2の温度を400℃、反応ガス圧を2.0Pa、バイアス電源110の電圧を−350Vに維持したまま、カソード120に100Aのアーク電流を供給することによって、カソード120から金属イオンを発生させて、表2に示す最上層を形成した。そして、最上層の厚みが表2に示す厚みとなったところで蒸発源に供給する電流をストップした。なお、表2に示す最上層の組成の窒素と炭素の比率は、窒素の導入量とメタンガスの導入量との比によって調整した。これにより、実施例1〜6および13〜20のそれぞれの表面被覆切削工具(刃先交換型切削チップ)が作製された。
すなわち、これらの表面被覆切削工具は、基材と該基材の表面上に形成された被覆層とを含むものであって、該被覆層は、基材と接する最下層としてA層またはB層(実施例13は除く)を含み、その最下層上にA層とB層とが交互にそれぞれ1層以上積層された交互層を含み、該A層は、AlとCrとを含む窒化物からなり、該A層を構成する金属原子の総数を1としたときのCrの原子数の比が0よりも大きく0.4以下であり、該B層は、TiとSiとを含む窒化物からなり、該B層を構成する金属原子の総数を1としたときのSiの原子数の比が0.05以上0.3以下であり、この交互層上に最上層であるC層(実施例14は除く)を含む構成となっている。
また、比較として、これらの実施例のそれぞれと同一の基材上にこれらの実施例と同様にして表1に示す組成の層が形成された比較例1〜4のそれぞれの表面被覆切削工具(刃先交換型切削チップ)も作製した。なお、これらの比較例1〜3においては、本発明のような交互層を形成していないが、表1においては便宜上交互層のA層の欄に相当する被覆層(単一の層)を記載した。
<表面被覆切削工具の寿命評価>
上記の工程で作製した実施例1〜6、13〜20および比較例1〜4の刃先交換型切削チップのそれぞれについて、実際に表3に示す条件で乾式の連続切削試験および断続切削試験を行ない、刃先の逃げ面摩耗量を測定した。その寿命評価結果を表2に示す。なお、表2において、逃げ面摩耗量の値が小さい方が寿命がより長いことを示している。
Figure 2008188689
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表2から明らかなように、被覆層として本発明の交互層を形成した実施例1〜6および13〜20の刃先交換型切削チップは、被覆層として本発明の交互層を形成しなかった比較例1〜4の刃先交換型切削チップと比べて、連続切削試験および断続切削試験のいずれにおいても刃先の逃げ面摩耗量が大きく低減しており、刃先交換型切削チップの寿命が大幅に長くなることが確認された。
すなわち、本発明の実施例1〜6および13〜20の刃先交換型切削チップは、高温での安定性に優れるとともに、刃先のチッピングを抑制することによりこのように工具寿命を長期化したものと考えられる。
なお、表1における最下層の組成において、たとえば実施例1の「Ti0.8Si0.2N」はTiとSiとを含む窒化物からなり、最下層を構成する金属原子(すなわちTiとSi)の総数を1としたときのSiの原子数の比が0.2であること(金属原子の総数を1としたとき、Nの原子数の比は1であること)を示す。また、交互層のA層の組成において、たとえば実施例1の「Al0.7Cr0.3N」はAlとCrとを含む窒化物からなり、A層を構成する金属原子(すなわちAlとCr)の総数を1としたときのCrの原子数の比が0.3であること(金属原子の総数を1としたとき、Nの原子数の比は1であること)を示す。また、交互層のB層の組成において、たとえば実施例1の「Ti0.8Si0.2N」は上記最下層の組成と同様、TiとSiとを含む窒化物からなり、最下層を構成する金属原子(すなわちTiとSi)の総数を1としたときのSiの原子数の比が0.2であること(金属原子の総数を1としたとき、Nの原子数の比は1であること)を示す。また、表2における最上層の組成において、たとえば実施例1の「Ti0.8Si0.20.40.6」はTiとSiとを含む炭窒化物からなり、最上層を構成する金属原子(すなわちTiとSi)の総数を1としたときのSiの原子数の比が0.2であること(金属原子の総数を1としたときCとNの原子数の総数は1であり、CとNとの総数を1としたときCの原子数の比が0.4であること)を示す。なお、組成に関するこれらの表記は、特に断りのない限り他の実施例および比較例においても同内容を示すものとする。
また、表1における「1層厚み」とは交互層を構成するA層およびB層のそれぞれの1層当たりの厚みのことを意味し、表1および表2における「厚み」とは最下層、交互層としてのA層、交互層としてのB層、最上層および被覆層のそれぞれの全体の厚みのことを意味する。なお、実施例1〜6および13〜20、比較例4において交互層におけるA層の厚みをλaとし、B層の厚みをλbとしたとき、A層とB層との厚みの比であるλa/λbは、1となっている(実施例1〜6および13〜20、比較例4の交互層におけるA層のそれぞれの厚みは全て実質的に同一であり(すなわちそれぞれのA層の厚みは表1中の1層厚みの値となる)、B層のそれぞれの厚みも実質的に同一である(すなわちそれぞれのB層の厚みは表1中の1層厚みの値となる))。
また、表1における「積層数」とは、A層およびB層が1層ずつ交互に積層されている交互層中におけるA層およびB層のそれぞれの層数のことを意味する。
また、表1および表2における最下層、交互層および最上層の組成はそれぞれXPS(X線光電子分光分析装置)を用いて測定されたものであり、被覆層全体の硬度はナノインデンター(MTS社製Nano Indenter XP)により確認された値である。
また、表1および表2における1層厚みおよび厚みはSEMまたはTEMを用いて測定した値であり、表2における被覆層全体の圧縮残留応力はX線残留応力測定装置を用いてsin2ψ法(「X線応力測定法」(日本材料学会、1981年株式会社養賢堂発行)の54〜67頁参照)によって測定された値である。
また、表2における被覆層全体の結晶構造(結晶性と表記)はX線回折装置により解析されたものである。
なお、これらの表記および測定方法は、以下の実施例および以下の表において特に断らない限り同一とする。
<実施例7〜9>
上記実施例1〜6および13〜20において、A層用のカソード106のアーク電流量をB層用のカソード107のアーク電流量よりも大きくした状態で交互層を形成したことを除き、他は全て上記実施例と同様にして、表4および表5に示す構成の被覆層を有する実施例7〜9の表面被覆切削工具(刃先交換型切削チップ)をそれぞれ作製した。
すなわち、これらの表面被覆切削工具は、基材と該基材の表面上に形成された被覆層とを含むものであって、該被覆層は、基材と接する最下層としてB層を含み、その最下層上にA層とB層とが交互にそれぞれ1層以上積層された交互層を含み、該A層は、AlとCrとを含む窒化物からなり、該A層を構成する金属原子の総数を1としたときのCrの原子数の比が0よりも大きく0.4以下であり、該B層は、TiとSiとを含む窒化物からなり、該B層を構成する金属原子の総数を1としたときのSiの原子数の比が0.05以上0.3以下であり、この交互層上に最上層であるC層を含む構成となっている。そして、上記交互層におけるA層の厚みλaと、B層の厚みλbとの比であるλa/λbが1≦λa/λb<5である。なお、表4のλa/λbの欄の値は、交互層を構成するA層の厚み(1層厚み)λaとB層の厚み(1層厚み)λbとの比(λa/λb)を示している。
なお、実施例7〜9の交互層におけるA層のそれぞれの厚みは全て実質的に同一であり(すなわちそれぞれのA層の厚みは表4中の1層厚みの値となる)、B層のそれぞれの厚みも実質的に同一である(すなわちそれぞれのB層の厚みは表4中の1層厚みの値となる)。
そして、実施例7〜9の刃先交換型切削チップのそれぞれについて、実際に上記表3に示す条件で乾式の連続切削試験および断続切削試験を行ない、刃先の逃げ面摩耗量を測定した。その寿命評価結果を表5に示す。
表5から明らかなように、被覆層として本発明の交互層を有し、その交互層におけるA層の厚み(1層厚み)λaと、B層の厚み(1層厚み)λbとの比であるλa/λbが1≦λa/λb<5である実施例7〜9の刃先交換型切削チップは、上記比較例1〜4の刃先交換型切削チップと比べて、連続切削試験および断続切削試験のいずれにおいても刃先の逃げ面摩耗量が大きく低減し、さらに上記実施例1〜6、13〜14の刃先交換型切削チップと比べても連続切削試験および断続切削試験における刃先の逃げ面摩耗量がより低減する傾向が確認された。すなわち、実施例7〜9の刃先交換型切削チップは、実施例1〜6、13〜14の刃先交換型切削チップに比べ耐摩耗性がさらに向上すること(すなわち工具寿命がさらに長期化したこと)が確認できた。
なお、本発明の実施例7〜9の刃先交換型切削チップは、高温での安定性に優れるとともに、刃先のチッピングを抑制することによりこのように工具寿命を長期化したものと考えられる。
Figure 2008188689
Figure 2008188689
<実施例10〜12>
上記実施例1〜6および13〜20において、交互層の形成開始時においてはA層用のカソード106のアーク電流量をB層用のカソード107のアーク電流量と同一にし、その後、A層用のカソード106のアーク電流量をB層用のカソード107のアーク電流量よりも連続的に大きくしていくことによって、基材に最も近い側から基材から最も遠い側にかけてA層の厚み(1層厚み)λaとB層の厚み(1層厚み)λbとの比(λa/λb)が連続的に大きくなっている交互層を形成したことを除き、他は全て実施例1〜6および13〜20と同様にして、表6および表7に示す構成の被覆層を有する実施例10〜12の表面被覆切削工具(刃先交換型切削チップ)をそれぞれ作製した。なお、交互層におけるA層およびB層の積層数は、それぞれ570層ずつであった。
このようにして作製された表面被覆切削工具は、基材と該基材の表面上に形成された被覆層とを含むものであって、該被覆層は、基材と接する最下層としてB層を含み、その最下層上にA層とB層とが交互にそれぞれ1層以上積層された交互層を含み、該A層は、AlとCrとを含む窒化物からなり、該A層を構成する金属原子の総数を1としたときのCrの原子数の比が0よりも大きく0.4以下であり、該B層は、TiとSiとを含む窒化物からなり、該B層を構成する金属原子の総数を1としたときのSiの原子数の比が0.05以上0.3以下であり、この交互層上に最上層であるC層を含む構成となっている。そして、上記交互層における互いに隣接するA層の厚みλaと、B層の厚みλbとの比であるλa/λbが、上記基材に最も近い側ではλa/λb=1であり、該基材から遠ざかるにしたがってλa/λbの値は連続的に大きくなっていき、該基材から最も遠い側では1<λa/λb<5である。なお、表6のλa/λbの基材側の欄の値は、交互層において基材に最も近い側に積層されているA層の1層厚みλaとB層の1層厚みλbとの比(λa/λb)を示している。また、同じく表6のλa/λbの最表面側の値は、交互層において基材から最も遠い側に積層されているA層の1層厚みλaとB層の1層厚みλbとの比(λa/λb)を示している。
そして、実施例10〜12の刃先交換型切削チップのそれぞれについて、実際に上記表3に示す条件で乾式の連続切削試験および断続切削試験を行ない、刃先の逃げ面摩耗量を測定した。その寿命評価結果を表7に示す。
表7から明らかなように、被覆層として本発明の交互層を有し、その交互層におけるA層の厚み(1層厚み)λaと、B層の厚み(1層厚み)λbとの比であるλa/λbが基材に最も近い側では1であって、基材から遠ざかるにしたがって連続的に大きくなっており、基材から最も遠い側では1<λa/λb<5である実施例10〜12の刃先交換型切削チップは、比較例1〜4の刃先交換型チップと比べて、連続切削試験および断続切削試験のいずれにおいても刃先の逃げ面摩耗量が大きく低減し、さらに実施例1〜6、13〜14の刃先交換型切削チップと比べても連続切削試験および断続切削試験における刃先の逃げ面摩耗量がより低減する傾向が確認された。特に、交互層におけるA層の1層厚みλaとB層の1層厚みλbとの比であるλa/λbが基材から最も遠い側で1<λa/λb<3である実施例10〜11の刃先交換型切削チップは、連続切削試験および断続切削試験における刃先の逃げ面摩耗量がより低減することが確認された。すなわち、実施例10〜12の刃先交換型切削チップは、実施例1〜6、13〜14の刃先交換型切削チップに比べ耐摩耗性がさらに向上すること(すなわち工具寿命がさらに長期化したこと)が確認できた。
なお、本発明の実施例10〜12の刃先交換型切削チップは、高温での安定性に優れるとともに、刃先のチッピングを抑制することによりこのように工具寿命を長期化したものと考えられる。
なおまた、これらの実施例10〜12の上記被覆層の残留応力は、厚み方向において変化し、基材から遠ざかるにしたがってその残留応力の絶対値が大きくなること(すなわち圧縮残留応力が大きくなること)を確認した。
Figure 2008188689
Figure 2008188689
なお、上記の実施例1〜20の被覆層の形成は、カソードアークイオンプレーティング法を用いて行なったが、たとえばバランスドマグネトロンスパッタリング法およびアンバランスドマグネトロンスパッタリング法のいずれの方法を用いて行なうことも可能である。
さらに引き続き、上記で作製された表面被覆切削工具について下記の試験を実施した。
<穴あけ加工試験>
基材としての外径8mmのドリル(JISK10超硬合金)上に、実施例1、実施例7、実施例10、比較例1および比較例2のそれぞれの最下層、交互層および最上層を上記と同様にして形成して実施例1、実施例7、実施例10、比較例1および比較例2のそれぞれのドリル(すなわち表面被覆切削工具)を得た。そして、実施例1、実施例7、実施例10、比較例1および比較例2のそれぞれのドリルを用いて実際に被加工材であるSCM440(HRC30)の穴あけ加工試験を行ないその寿命評価を行なった。
ここで、穴あけ加工試験は、切削速度が90m/minで、送り量が0.2mm/revであって、切削油を用いずにエアーブローを用いた条件で、深さ24mmの止まり穴加工をすることにより行なった。なお、寿命の判定基準は、被加工材の寸法精度が規定の範囲をはずれた時点までの穴数とした。その寿命評価結果を表8に示す。表8において、加工数が大きい方が寿命がより長いことを示している。
Figure 2008188689
表8から明らかなように、実施例1、実施例7および実施例10のドリルは、それぞれ比較例1および比較例2のドリルと比べて、穴あけ加工数が非常に多く、寿命が大幅に長くなることが確認された。
<エンドミル側面削り試験>
基材としての外径8mmの6枚刃エンドミル(JISK10超硬合金)上に、実施例2、実施例8、実施例11、比較例2および比較例3のそれぞれの最下層、交互層および最上層を上記と同様にして形成して実施例2、実施例8、実施例11、比較例2および比較例3のそれぞれのエンドミル(すなわち表面被覆切削工具)を得た。そして、実施例2、実施例8、実施例11、比較例2および比較例3のそれぞれのエンドミルを用いて実際に被加工材であるSKD11(HRC60)の側面削り試験を行ないその寿命評価を行なった。
ここで、側面削り試験は、切削速度が200m/minで、送り量が0.03mm/刃、切り込み量がAd(軸方向の切り込み量)=12mm、Rd(半径方向の切り込み量)=0.2mmであって、切削油を用いずにエアーブローを用いた条件により行なった。なお、寿命の判定基準は、被加工材の寸法精度が規定の範囲(5μm)をはずれた時点の削り長さにより行なわれた。その寿命評価結果を表9に示す。表9において、寸法精度がはずれる長さが大きい方が寿命がより長いことを示している。
Figure 2008188689
表9から明らかなように、実施例2、実施例8および実施例11のエンドミルは、それぞれ比較例2および比較例3のエンドミルと比べて、寸法精度がはずれる時点の長さが非常に長く、寿命が大幅に長くなることが確認された。
<外周旋削加工試験>
超硬合金製ポットおよびボールを用いて、質量で40%のTiNと10%のAlからなる結合材粉末と50%の平均粒径2.5μmの立方晶窒化ホウ素(cBN)粉末とを混ぜ合わせ、超硬合金製容器に充填し、圧力5GPa、温度1400℃で60分間焼結した。このcBN焼結体を加工し、ISO規格SNGA120408の形状のチップを得た。
そして、基材としてのこのチップ上に、実施例3、実施例9、実施例12、比較例1および比較例2のそれぞれの最下層、交互層および最上層をそれぞれ上記と同様にして形成して実施例3、実施例9、実施例12、比較例1および比較例2のそれぞれの刃先交換型切削チップ(すなわち表面被覆切削工具)を得た。そして、実施例3、実施例9、実施例12、比較例1および比較例2のそれぞれの刃先交換型切削チップを用いて実際に焼入鋼の1種であるSUJ2の丸棒(HRC62)の外周切削加工試験を行ないその寿命評価を行なった。
ここで、外周旋削加工試験は、切削速度が120m/min、切り込みが0.2mm、送りが0.1mm/revであって、乾式で40分間の切削条件により行なった。なお、寿命の判定は、刃先交換型切削チップの表面の切削前の表面粗さ(Rz)である表10に示すそれぞれの初期面粗度(μm)からRz=3.2μmとなるまでの時間(min)を測定することにより行なった。その寿命評価結果を表10に示す。表10において、Rz=3.2μmとなる時間が長い方が寿命がより長いことを示している。
Figure 2008188689
表10から明らかなように、実施例3、実施例9および実施例12の刃先交換型切削チップは、それぞれ比較例1および比較例2の刃先交換型切削チップと比べて、Rz=3.2μmとなるまでの時間が非常に長く、寿命が大幅に長くなることが確認された。
<連続旋削加工試験>
グレードがJIS規格S20の超硬合金でその形状がJIS規格のCNMG120408である基材としてのチップ上に、実施例4、実施例7、実施例10、比較例1および比較例3のそれぞれの最下層、交互層および最上層を上記と同様にして形成して実施例4、実施例7、実施例10、比較例1および比較例3のそれぞれの刃先交換型切削チップ(すなわち表面被覆切削工具)を得た。そして、実施例4、実施例7、実施例10、比較例1および比較例3のそれぞれの刃先交換型切削チップを用いて以下に示す条件による湿式(水溶性エマルジョン)の連続旋削加工試験を行ない、寿命判定基準として刃先の逃げ面摩耗量が0.2mmを超える時間を測定することにより、その寿命評価を行なった。
ここで、連続旋削加工試験は、被削材としてTi合金であるTi−6Al−4V(HB=310)を用い、切削速度が80m/min、送り量が0.2mm/rev、切り込みを1mmとした条件により行なった。なお、寿命の判定は、逃げ面摩耗量が0.2mmを超える時間が長いほど寿命が長いものとして判断することにより行なった。その寿命評価結果を表11に示す。
Figure 2008188689
表11から明らかなように、実施例4、実施例7および実施例10の刃先交換型切削チップは、それぞれ比較例1および比較例3の刃先交換型切削チップと比べて、逃げ面摩耗量が0.2mmを超える時間が非常に長くなり、寿命が大幅に長くなることが確認された。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の表面被覆切削工具の一例の模式的な拡大断面図である。 本発明の表面被覆切削工具の図1とは異なる態様の模式的な拡大断面図である。 本発明の表面被覆切削工具の刃先の一例の模式的な拡大断面図である。 図3のIV−IVに沿った模式的な拡大断面図である。 本発明の表面被覆切削工具の図4とは異なる態様の模式的な拡大断面図である。 実施例で用いられたカソードアークイオンプレーティング装置の概略断面図である。 図6の装置の概略上面図である。
符号の説明
1 表面被覆切削工具、2 基材、3 被覆層、4 すくい面、5 逃げ面、6 刃先、12 A層、13 交互層、14 C層、15 B層、101 チャンバ、102 ガス導入口、103 ガス排出口、104 基材ホルダ、105 ガス、106,107,120 カソード、108,109 アーク電源、110 バイアス電源。

Claims (10)

  1. 基材と、前記基材の表面上に形成された被覆層とを含む表面被覆切削工具であって、
    前記被覆層は、A層とB層とが交互にそれぞれ1層以上積層された交互層を含み、
    前記A層は、AlとCrとを含む窒化物からなり、前記A層を構成する金属原子の総数を1としたときの前記Crの原子数の比が0よりも大きく0.4以下であり、
    前記B層は、TiとSiとを含む窒化物からなり、前記B層を構成する金属原子の総数を1としたときの前記Siの原子数の比が0.05以上0.3以下であることを特徴とする表面被覆切削工具。
  2. 前記交互層における前記A層の厚みをλaとし、前記B層の厚みをλbとしたとき、前記A層と前記B層との厚みの比であるλa/λbは、1≦λa/λb<5であることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
  3. 前記交互層における前記A層の厚みをλaとし、前記B層の厚みをλbとしたとき、互いに隣接する前記A層と前記B層との厚みの比であるλa/λbは、前記基材に最も近い側ではλa/λb=1であり、前記基材から遠ざかるにしたがって前記λa/λbの値は連続的に大きくなっていき、前記基材から最も遠い側では1<λa/λb<5であることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
  4. 前記被覆層の最下層は、前記A層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  5. 前記被覆層の最下層は、前記B層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  6. 前記被覆層の最上層は、C層であり、
    前記C層は、TiとSiとを含む炭窒化物からなり、前記C層を構成する金属原子の総数を1としたときの前記Siの原子数の比が0.05以上0.3以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  7. 前記交互層において前記A層と前記B層とは、中間遷移層を挟んで積層されており、
    前記中間遷移層は、それに接する下層の組成から同じくそれに接する上層の組成へと厚み方向にその組成が連続的に変化することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  8. 前記被覆層は、−8GPa以上0GPa以下の平均残留応力を有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  9. 前記被覆層の残留応力は、厚み方向において変化し、基材から遠ざかるにしたがってその残留応力の絶対値が大きくなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  10. 前記被覆層の結晶構造は、立方晶であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
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