従来の技術において冷却水の注水を行う場合、例えば目標吐出量を多く設定することにより注水性を高めることが可能であるが、その反面、ポンプの軸受け等に冷却水を供給できずに、所謂エア噛みが生じて、ポンプ或いはポンプに加え内燃機関に、例えば焼き付き等の不具合が発生しかねない。即ち、従来の技術には、場合によっては冷却水の注水を安全に行い難いという技術的な問題点がある。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、冷却水の注水時に電動ポンプを保護し得る冷却制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る冷却制御装置は、電動ポンプを備え、該電動ポンプにより内燃機関を含む被冷却系に対し冷却水を循環供給することによって該被冷却系を冷却可能な冷却装置を制御する冷却制御装置であって、前記内燃機関における所定の運転条件に応じて前記電動ポンプの目標回転数を決定する目標回転数決定手段と、前記電動ポンプの回転数が前記目標回転数となるように前記電動ポンプを制御する第1の制御手段と、前記電動ポンプの実回転数を特定する実回転数特定手段と、前記冷却水の注水が行われる場合に、前記目標回転数と前記実回転数との相対関係に基づいて、間欠運転が行われるように前記電動ポンプを制御する第2の制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明の車両に備わる「内燃機関」とは、例えば複数の気筒を有し、当該複数の気筒の各々における燃焼室において、例えばガソリン、軽油或いは各種アルコール等の燃料が燃焼した際に発生する爆発力たる動力を、例えばピストン及びコネクティングロッド等の機械的な伝達経路を経て、例えばクランク軸等の出力軸を介して動力として出力可能な機関を包括する概念であり、例えば2サイクル或いは4サイクルレシプロエンジン等を指す。この内燃機関を含む被冷却系は、冷却装置によって冷却される。
尚、「被冷却系」とは、内燃機関を少なくとも含む限りにおいて、例えば動作時に発熱を伴う、或いは外部からの熱輻射に晒される、内燃機関とは異なる部位、機構又は装置を適宜含み得る概念である。
本発明において「冷却装置」とは、少なくとも電気的に駆動される部位を含んで構成される、例えば遠心式或いは渦巻き式等の各種形態を採り得る電動ポンプを少なくとも備え、被冷却系に対し例えばLLC(Long Life Coolant)等の冷却水を、当該電動ポンプによる例えば物理的、機械的、機構的、電気的又は化学的な作用等により、例えば、モータ等によって回転駆動されるポンプインペラの回転によって作動流体たる冷却水を吐出すること等により循環供給することによって当該被冷却系を冷却することが可能な手段を包括する概念である。
このような概念により規定される冷却装置では、例えば金属製又は樹脂製の冷却水配管やシリンダ周囲に張り巡らされたウォータジャケット等の物理形態を採り得る循環経路等に当該電動ポンプが設置され、当該循環経路に冷却水が吐出されること等により冷却水が循環供給される。この際、主として被冷却系と冷却水との間でなされる熱交換により被冷却系が冷却される。
本発明に係る冷却制御装置によれば、その動作時には、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る目標回転数決定手段の作用により、例えば機関回転数や負荷等、内燃機関における所定の運転条件に応じて電動ポンプの目標回転数が決定される。
ここで、本発明に係る「回転数」とは、回転数そのものを含み、好適な一形態として、例えば単位時間当たりの回転数(即ち、別言すれば回転速度)等、時間概念と対応付けられてなる回転数を含んでなる概念である。目標回転数とは、このような概念により規定される回転数の制御上の目標値を指し、例えば、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて電動ポンプを可及的に効率的に(例えば、電力資源を可及的に節約し得るように)動作させ得るものとして設定されたマップ、アルゴリズム或いは算出式等に従って決定される。即ち、目標回転数は、例えばこのようなマップ等からその時点の内燃機関の運転条件に対応する一の値が選択されることによって、或いは、例えばこのようなアルゴリズムや算出式等に従って論理演算や数値演算が実行されることによって決定される。
尚、「電動ポンプの回転数」とは、電動ポンプにおいて、冷却水の循環供給量(例えば、吐出量)と一対一、一対多、多対一又は多対多に対応付けられ得る、回転可能な部位の回転数を指し、好適には、電動ポンプの動力源として機能し得るモータの、或いは当該モータの回転に伴って回転する例えばポンプインペラ等の回転数を指す。
このように目標回転数が決定されると、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第1の制御手段により、電動ポンプの回転数がこの決定された目標回転数となるように、例えば、電動ポンプの一部として、又は電動ポンプと少なくとも一部が別体として構成された然るべき駆動手段の物理的、機械的、機構的又は電気的な駆動制御等を介して、電動ポンプが制御される。
ここで特に、冷却水の注水時、例えば、冷却水の交換時等には、例えばリザーバタンク、ラジエータホース、ウォータジャケット或いは各種冷却水配管等を含む循環経路から、その多寡によらず一時的に冷却水が抜き取られる等して、冷却水の循環経路に空気等の気体が混入又は発生し易い。一方、電動ポンプは、物理的に複雑な構成を採り易いこのような循環経路から好適に冷却水を抜き取る要請等から、このような注水時にも駆動されることが多い。
ところが、電動ポンプでは、冷却水と較べてこのように混入又は発生した空気が吐出され難いため、電動ポンプにおける回転駆動部位或いは当該回転駆動部位に対応する部位、例えば上述したモータ等における軸受け部分等に、このように混入又は発生した空気が滞留し、所謂「エア噛み」と称される状態が生じ易い。このようなエア噛みが生じている部位では冷却水が相対的に不足し、必然的に当該軸受け部の焼き付き等、過剰な熱負荷に起因する各種の不具合が発生し易くなる。特に、注水に係る注水性を相対的に向上させるために、電動ポンプの回転数を相対的に高くした場合には、このような問題が顕著に生じ得る。
そこで、本発明に係る冷却制御装置は、迅速且つ安全に冷却水の注水を行わしめるため、更に以下の如き構成を有する。即ち、本発明の冷却制御装置には、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る実回転数特定手段が備わり、電動ポンプの実回転数が特定される。
尚、本発明における「特定」とは、例えば、何らかの検出手段を介して直接的に又は間接的に物理的数値又は物理的数値に対応する例えば電気信号等として検出すること、予め然るべき記憶手段等に記憶されたマップ等から該当する数値を選択する又はそのような選択を介して推定すること、それら検出された物理的数値若しくは電気信号又は選択若しくは推定された数値等から、予め設定されたアルゴリズムや計算式等に従って導出又は推定すること、或いはこのように検出、選択、推定又は導出された値等を単に電気信号等として取得すること等を包括する広い概念である。このような概念の範囲内において、実回転数特定手段は、例えば、電動ポンプに付設された回転センサ等の各種センサから当該実回転数に対応する電気信号等を取得することにより実回転数を特定する。
一方、本発明に係る冷却制御装置には、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第2の制御手段が備わる、第2の制御手段は、冷却水の注水が行われる場合に、目標回転数と実回転数との相対関係に基づいて、間欠運転が行われるように電動ポンプを制御する。
電動ポンプの回転数は、第1の制御手段によって目標回転数となるように制御されるが、エア噛みの発生に際しては、空気の粘性抵抗が冷却水の粘性抵抗と比較して小さいこと等に起因して、電動ポンプの回転数は目標回転数に対し上昇し易い。即ち、エア噛みの度合いは、好適には電動ポンプの回転数の相対的な上昇の度合いと相互に一対一、一対多、多対一又は多対多の関係を有し得る。
従って、目標回転数と実回転数との相対関係は、電動ポンプの過回転に起因する、言い換えれば過剰な熱負荷に起因する電動ポンプの不具合が、例えば既に発生しているか否かを、又は近未来的に発生するか否かを、或いは電動ポンプが、電動ポンプを保護する観点から何らかの対策を施すべき状況にあるか否かを、夫々判断する指標となり得る。
ここで、本発明に係る「相対関係」とは、熱負荷の観点からみた電動ポンプの回転状態、例えば、電動ポンプが過回転状態にあるか否かを少なくとも実践上十分な精度を有しつつ推定し得る関係を包括する概念であり、例えば、実回転数又は目標回転数が、夫々目標回転数又は実回転数に対し、大きいか小さいかといった定性的な関係を含み、好適には実回転数と目標回転数との偏差等といった指標値によって表される定量的な関係を指す。
一方、このような相対関係に基づいてなされる間欠運転とは、例えば上述した目標回転数に従って、又は目標回転数とは別に設定される他の目標回転数に従って、或いは特に目標値としての回転数が設定されることなく、少なくとも冷却水を幾らかなり循環供給し得る程度に比較的ランダムに設定される回転数となるように電動ポンプを稼動させる通常の運転期間の一部が、過回転による不具合を少なくとも実質的にみて進行させない程度に低回転領域で電動ポンプを稼動させる運転期間に置換されてなる運転形態を包括する概念であり、好適な一形態としては、このような通常の運転期間と低回転の運転期間とが交互に訪れるようになされる運転形態を指す。また、低回転の運転期間における電動ポンプの好適な動作形態としては、電動ポンプが停止されてもよいし、又は実質的に回転数がゼロとみなし得る程度に低い回転領域で稼動せしめられてもよい。
このような間欠運転により、電動ポンプに加わる熱負荷が相対的にみて軽減され、注水時に電動ポンプを物理的に、機械的に、電気的に又は化学的に保護することが可能となる。また、間欠運転の実行中は、電動ポンプの回転数が相対的に高い期間と相対的に低い期間とが適宜切り替わるため、冷却水の脈動が発生し易い。このような脈動によって、何ら間欠運転がなされない場合と較べて電動ポンプのエア噛みが解消され易くなる。即ち、本発明に係る冷却制御装置によれば、電動ポンプを効率的且つ効果的に保護することが可能となるのである。
尚、第1の制御手段と第2の制御手段とがいずれも電動ポンプを制御する点に鑑みれば、第1の制御手段と第2の制御手段とは、その物理的、機械的又は電気的な構成の少なくとも一部が相互に共通であってもよい。
本発明に係る冷却制御装置の一の態様では、前記運転条件は、前記内燃機関の機関回転数及び負荷のうち少なくとも一方を含む。
この態様によれば、電動ポンプの目標回転数が、内燃機関の機関回転数及び負荷のうち少なくとも一方に応じて決定される。ここで、「負荷」とは、例えば、アクセル開度、スロットル開度、吸入空気量或いは負荷率等、内燃機関の負荷と相関する各種の指標値によって表され得る趣旨である。
機関回転数及び負荷は、内燃機関における熱の発生の度合い、別言すれば冷却の必要の度合いと相関するため、このように機関回転数及び負荷の少なくとも一方、望ましくは両方に応じて目標回転数が設定される場合には、電動ポンプを効率的且つ効果的に、より具体的な一例として、例えば吐出量又はポンプの回転数等を含む概念としての冷却水の循環供給量が可及的に最小となるように駆動することが可能となる。即ち、電力資源を有効に利用することが可能となる。
本発明に係る冷却制御装置の他の態様では、前記第2の制御手段は、前記実回転数が前記目標回転数よりも高い状態が所定時間以上継続した場合に前記間欠運転が行われるように電動ポンプを制御する。
間欠運転が行われる場合には、冷却水の循環供給量は相対的に低下するから、電動ポンプの保護が図れる反面、冷却水の注水性は低下し易い。この態様によれば、エア噛みとは異なる何らかの一時的な理由で電動ポンプの実回転数が目標回転数を上回っている、或いはエア噛みが発生したとしても十分に短い期間で解消された等といった間欠運転の必要性が低い状況における間欠運転の実行を抑制しつつ、且つ熱負荷に起因する電動ポンプの不具合については確実に防止し得るため、実践上有益である。
本発明に係る冷却制御装置の他の態様では、前記第2の制御手段は、前記実回転数と前記目標回転数との偏差が所定の許容値以上である場合に前記間欠運転が行われるように電動ポンプを制御する。
電動ポンプは、第1の制御手段によって目標回転数が維持されるように、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて電動ポンプの駆動状態を規定する制御量と回転数とが実践上問題が生じない程度の精度が担保された状態で対応付けられてなるマップ等に従って、更には例えば実回転数特定手段により特定される実回転数をフィードバックする形で適宜制御量の補正又は学習等を行いつつ制御される。然るに、実回転数と目標回転数とは必ずしも相互に一致するものではなく、制御上、一定又は不定の偏差を伴い得る。また、この偏差の大きさはエア噛みの度合いと相関し得るが、偏差が相対的に小さい範囲では、エア噛みが生じていたとしても電動ポンプに不具合を招く程度の規模でない可能性もある。
従って、当該偏差が、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて電動ポンプの不具合を実践上顕在化させない程度の偏差等として設定され得る許容値以上である場合に間欠運転がなされることによって、注水性を維持しつつ電動ポンプの保護を図るといった高い利益が提供される。
本発明に係る冷却制御装置の他の態様では、前記第2の制御手段は、前記注水が行われる場合の少なくとも一部として、前記注水を実行すべき旨を表す所定の入力がなされた場合に、前記相対関係に基づいて電動ポンプを制御する。
この態様によれば、当該所定の入力に基づいて注水時であるか否かを簡便に且つ正確に判別し得るため好適である。尚、「入力がなされた場合」とは、例えば車室内に設置された、ボタン、スイッチ、ツマミ、レバー又はダイアル等の物理的な操作手段が、運転者等における注水を行う旨の意思等に基づいて人為的に操作された場合や、このような人為的な操作を介することなく、例えば何らかの制御装置やコントローラ等によって、注水時であるか否かを実践上問題ない程度の精度を保って判別し得るものとして定められてなる判断基準等に従って例えば電気信号やコマンド等が自動的に出力された場合等を含む広い概念である。
本発明に係る冷却制御装置の他の態様では、前記目標回転数決定手段は、前記注水が行われる場合に、前記注水が行われない場合と比較して高くなるように前記目標回転数を決定する。
この態様によれば、注水が行われる場合には、目標回転数が相対的にみて高く設定されるため、冷却水の循環供給量が相対的に増加して注水性が向上する。尚、この場合、好適には、注水時以外の少なくとも一部において、電動ポンプの目標回転数は、電力資源の使用量を可及的に抑制し得るように決定されていてもよい。この場合、効率的且つ効果的に電動ポンプの駆動状態が制御されるため好適である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、適宜図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る車両10の構成について説明する。ここに、図1は、車両10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、車両10は、ECU100、エンジン200、冷却装置300及び注水ボタン400を備える。
ECU100は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、車両10の動作全体を制御することが可能に構成された、本発明に係る「冷却制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御用のプログラムに従って、後述する吐出量制御処理及びエア噛み検出処理を夫々実行することが可能に構成される。
エンジン200は、本発明に係る「内燃機関」の一例たるガソリンエンジンである。ここで、図2を参照し、エンジン200の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、エンジン200の模式図である。尚、図2において、図1と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、エンジン200は、気筒201内において燃焼室に点火プラグ(符号省略)の一部が露出してなる点火装置202による点火動作を介して混合気を燃焼せしめると共に、係る燃焼による爆発力に応じて生じるピストン203の往復運動を、コネクティングロッド204を介してクランクシャフト205の回転運動に変換することが可能に構成されている。また、クランクシャフト205近傍には、クランクシャフト205の回転位置(即ち、クランク角)を検出するクランクポジションセンサ206が設置されている。クランクポジションセンサ206は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100は、クランクポジションセンサ206によって検出されたクランク角に基づいて、点火装置202の点火時期等を制御することが可能に構成されている。また、ECU100は、クランクシャフト205の回転位置に基づいてエンジン200の機関回転数Neを算出することが可能に構成されている。
エンジン200において、外部から吸入された空気は吸気管207を通過し、吸気ポート213において、インジェクタ214から噴射された燃料と混合されて前述の混合気となる。燃料は、燃料タンク215に貯留されており、フィードポンプ217の作用により、デリバリパイプ216を介してインジェクタ214に圧送供給されている。インジェクタ214は、ECU100と電気的に接続されており、この供給される燃料を、ECU100の制御に従って吸気ポート213に噴射することが可能に構成されている。尚、燃料を噴射する噴射手段の形態は、図示するような所謂吸気ポートインジェクタの構成を採らずともよく、例えば、フィードポンプ或いは他の低圧ポンプにより圧送される燃料の圧力を更に高圧ポンプによって昇圧せしめ、高温高圧の気筒201内部へ燃料を直接噴射することが可能に構成された、所謂直噴インジェクタ等の形態を有していてもよい。
気筒201内部と吸気管207とは、吸気バルブ218の開閉によって連通状態が制御されている。気筒201内部で燃焼した混合気は排気となり吸気バルブ218の開閉に連動して開閉する排気バルブ219の開弁時に排気ポート220を介して排気管221に導かれる。
一方、吸気管207上には、クリーナ208が配設されており、外部から吸入される空気が浄化される構成となっている。また、クリーナ208の下流側(シリンダ側)には更に、エアフローメータ209が配設されている。エアフローメータ209は、ホットワイヤー式と称される形態を有しており、吸入された空気の質量流量を直接検出することが可能に構成されている。尚、エアフローメータ209は、ECU100と電気的に接続されており、検出された吸入空気の質量流量は、ECU100によって絶えず、或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
吸気管207におけるエアフローメータ209の下流側には、気筒201内部へ吸入される空気に係る吸入空気量を調節するスロットルバルブ210が配設されている。このスロットルバルブ210には、スロットルポジションセンサ212が電気的に接続されており、その開度たるスロットル開度を検出することが可能に構成されている。
スロットバルブモータ211は、ECU100と電気的に接続され、スロットルバルブ210を駆動することが可能に構成されたモータである。ECU100は、車両10に備わるアクセルポジションセンサ11によって検出される、不図示のアクセルペダルの操作量(以下、適宜「アクセル開度」等と称する)に基づいて、スロットルバルブモータ211の駆動状態を制御することが可能に構成されており、これによりスロットルバルブ210の開閉状態(即ち、スロットル開度)が制御される構成となっている。尚、スロットルバルブ210は、上述したように一種の電子制御式スロットルバルブであり、スロットル開度は、ECU100により運転者の意思(即ち、アクセル開度)とは無関係に制御され得る。
排気管221には、三元触媒223及び床下触媒224が設置されている。三元触媒223は、エンジン200から排出されるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、及びNOx(窒素酸化物)を夫々浄化することが可能な触媒である。また床下触媒224は、車両10のフロア下に設置された三元触媒であり、三元触媒223によって除去しきれない例えばNOx等を顕著に除去し得るように構成されている。
排気管221における三元触媒223の上流側には、空燃比センサ222が配設されている。空燃比センサ222は、排気ポート220を介して排出される排気ガスから、エンジン200の空燃比を検出することが可能に構成されている。空燃比センサ222は、ECU100と電気的に接続されており、検出された空燃比は、ECU100によって絶えず、或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。また、気筒201を収容するシリンダブロックに設置されたウォータジャケットには、主としてエンジン200を冷却するために循環供給される冷却水の温度(冷却水温)を検出するための水温センサ225が配設されている。水温センサ225は、ECU100と電気的に接続されており、検出された冷却水温は、ECU100によって絶えず、或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
図1に戻り、冷却装置300は、主として電動ウォータポンプ(以下、適宜「電動W/P」と称する)310、冷却水循環路320、サーモスタット330及びラジエータ350を備えた、本発明に係る「冷却装置」の一例である。
電動W/P310は、本発明に係る「電動ポンプ」の一例たる渦巻き式のポンプである。電動W/P310は、不図示モータの回転力によって冷却水を吸引し、モータの回転数(即ち、回転速度であり、本発明に係る「電動ポンプの回転数」の一例)に応じた量の冷却水を吐出することが可能に構成されている。
尚、このモータは、不図示の電力供給源(例えば、車載用12Vバッテリ、或いは他のバッテリ)等から電力の供給を受け、不図示のモータ駆動系を介して供給される制御電圧(又は電流)のデューティ比DTYに応じて、その回転数が増減制御される構成となっている。また、このモータ駆動系は、ECU100と電気的に接続された状態にあり、ECU100によって上述したデューティ比DTYを含む動作状態が制御される構成となっている。即ち、電動W/P310は、ECU100によってその動作状態が制御される構成となっている。
一方、電動W/P310におけるモータの回転数(以下、適宜「ポンプ回転数Rp」と称する)は、電動W/P310に近接して配置された回転センサ311により検出される構成となっている。回転センサ311は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたポンプ回転数Rpは、ECU100によって絶えず、或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
冷却水循環路320は、シリンダブロック周囲に張り巡らされた前述したウォータジャケットを含み、電動W/P310によって吐出される冷却水の供給経路を規定する、例えば金属製或いは樹脂製の配管部材である。また、冷却水循環路320は、サーモスタット330においてラジエータ350へと分岐する分岐管340と、ラジエータ350からサーモスタット330へ戻る分岐管360を含んで構成される。
サーモスタット330は、冷却水温を安定せしめるために設けられた、温度調節手段である。サーモスタット330の内部には、ラジエータ350に連通する前述した分岐管340及び360と冷却水循環路320の本管との間の連通状態を制御するための制御弁が設けられており、サーモスタット330は、係る制御弁の弁体の開閉状態を制御することにより、ラジエータ350に流入する冷却水の流量を調節することが可能に構成される。尚、サーモスタット330は、ECU100と電気的に接続されており、その動作はECU100により上位に制御される構成となっている。尚、係る制御弁は、例えば冷却水温が所定値未満である場合に全閉となるように、また冷却水温が当該所定値以上である場合には全開となるように制御される構成となっている。
尚、サーモスタット330により制御弁が閉じられた場合には、サーモスタット330における冷却水の流れは図示破線のようになる。一方で、サーモスタット330により制御弁が開弁された場合には、サーモスタット330における冷却水の流れは図示実線の如くになる。
ラジエータ350は、分岐管340及び360と連通してなる複数のウォータパイプが配列してなると共に、当該ウォータパイプの外周に多数の波板状のフィンを備え、当該ウォータパイプ内を冷却水が流れる際に、当該フィンを介した大気との熱交換により、即ち冷却水の熱を外界に放熱することによって、冷却水を相対的に冷却することが可能に構成されている。
注水ボタン400は、運転者等による操作を可能とするために車室内の例えばコンソールパネル等に設置されてなる操作手段であり、冷却水の吐出態様を、後述する注水モードと省燃費モードとの間で切り替えることが可能に構成される。注水ボタン400は、押下された状態で注水モードが選択された旨を、押下されていない状態で省燃費モードが選択された旨を、夫々ECU100に対し電気信号を介して伝達することが可能に構成されている。即ち、注水ボタン400は、本発明に係る「注水を実行すべき旨を表す所定の入力」をなし得るように構成されている。
<実施形態の動作>
冷却装置300における電動W/P300の冷却水吐出量は、ECU100により実行される吐出量制御処理によって制御される。ここで、図3を参照し、吐出量制御処理の詳細について説明する。ここに、図3は、吐出量制御処理のフローチャートである。
図3において、ECU100は、イグニッションがオン状態であるか否かを判別する(ステップS101)。即ち、エンジン200の始動要求があるか否かを判別する。イグニッションがオン状態でない場合(ステップS101:NO)、ECU100はエンジン200を始動させることなく待機する。
イグニッションがオン状態である場合(ステップAS101:YES)、ECU100は、エンジン200を始動させ、機関回転数NE及びアクセル開度Accを取得する(ステップS102)。この際、ECU100は、クランクポジションセンサ206によって検出されるクランクシャフト205の回転状態に基づいた数値演算の結果として機関回転数NEを取得すると共に、アクセルポジションセンサ11から入力されるアクセル開度Accを取得する。尚、機関回転数NEは、例えばクランクシャフト205等の回転数を検出するNEセンサ等の検出手段を介して取得されてもよい。
尚、ステップS102に係る処理は、これ以降、所定の周期で繰り返し実行される。即ち、ECU100は実質的に常に機関回転数NE及びアクセル開度Accの取得を継続する。
次に、ECU100は、注水ボタン400を介して注水モードが選択されているか否かを判別する(ステップS103)。注水モードが選択されていない場合(ステップS103:NO)、即ち、運転者による積極的な意思の有無によらず省燃費モードが選択されている場合、ECU100は、省燃費モードに対応する電動W/P310のポンプ回転数Rpの目標値である目標回転数RpBを決定する(ステップS105)。
ここで、図4を参照し、目標回転数RpBの詳細について説明する。ここに、図4は、目標回転数RpBを規定するマップを概念的に表してなる模式図である。
図4において、目標回転数RpBを規定するマップは、縦軸及び横軸に夫々アクセル開度Acc(即ち、本発明に係る「負荷」の一例)及び機関回転数NEを配してなる座標系上にマトリクス状に目標回転数RpBを配することにより形成される。図4では、目標回転数RpBとして、RpB1,RpB2(RpB2>RpB1),・・・,RpBN(RpBN>RpB(N−1)),・・・,RpB13(RpB13>RpB12)までの目標回転数が設定されている。これら各目標回転数RpBの高低関係から明らかなように、当該マップにおいて相互に等しい目標回転数を結んでなる等回転線(図示破線参照)は、図4における左下方から右上方にかけて相互に等間隔に配列する。即ち、図4に示すマップにおける右上方部分(即ち、高回転高負荷に相当する運転領域)において、目標回転数RpBは最も高い値となる。
図3のステップS105に係る処理において、ECU100は、ステップS102において取得された機関回転数NE及びアクセル開度Accに対応する値を、この目標回転数RpBに係るマップから選択的に取得し、目標回転数RpBを決定する。ここで、当該マップにおける各目標回転数RpBは、電動W/P310に電力を供給する電力供給源に係る電力使用量を節約すべく可及的に低く設定されている。従って、当該マップを参照することにより電力の使用量が抑制され、エンジン200の燃費を向上させることが可能となる。即ち、省燃費が実現される。
図3に戻り、目標回転数RpBが設定されると、ECU100は電動W/P310のポンプ回転数Rpが係る目標回転数RpBとなるように、電動W/P310に供給される電圧のデューティ比DTYを決定し、且つこの決定されたデューティ比DTYに従って前述したモータ駆動系を制御することにより、電動W/P310を通常運転する(ステップS106)。ここで、通常運転とは、後述する間欠運転と相対するものであり、決定された目標回転数が得られるように電動W/P310を運転する通常の運転態様を指す。
尚、デューティ比DTYは、予めROMに記憶されてなるデューティ比マップに、ポンプ回転数Rpに対応付けられる形で設定されており、ECU100は、当該デューティ比マップから、決定された目標回転数RpBに対応する一のデューティ比DTYを選択的に取得することにより、デューティ比DTYを決定する。
一方、ステップS103に係る判別処理において注水モードが選択された旨の判別がなされた場合(ステップS103:YES)、ECU100は、注水モードに対応する電動W/P310のポンプ回転数Rpの目標値である目標回転数RpAを決定する(ステップS104)。
ここで、図5を参照し、目標回転数RpAの詳細について説明する。ここに、図5は、目標回転数RpAの特性を概念的に表してなる概略構成図である。
図5において、縦軸及び横軸には、夫々目標回転数RpA及び機関回転数NE又はアクセル開度Accが配される。目標回転数RpAは、機関回転数NEの低い(例えば、1000rpm程度の)、又はアクセル開度Accの小さい運転領域において、電動W/P310がストールしない程度に低い下限値RpA1を採り、それ以上の領域において機関回転数NE又はアクセル開度Accに対しリニアに増加する特性を有する。ECU100のROMには、予め図5に示す特性に対応するマップが格納されており、図3のステップS104に係る処理において、ECU100は、機関回転数NE又はアクセル開度Accの値に対応する目標回転数RpAを選択的に取得することによって目標回転数RpAを決定する。
尚、図5に示すような目標回転数の特性は、例えばエンジン200のクランクシャフト205等の回転に伴って回転駆動され得る機械式のポンプと言わば同等の回転特性であり、定性的にみれば機関回転数及び負荷のうち一方が高い場合にポンプ回転数Rpが高くなるように付与される特性である。従って、上述した省燃費モードにおいて、機関回転数NE及びアクセル開度Accに基づいて電力資源をより効率的に利用し得るように定められる目標回転数RpBに較べれば、目標回転数RpAは総じて高い値となる。
このように目標回転数RpAは目標回転数RpBと較べて高い値を採るため、注水モードにおいては、電力資源の利用効率は必ずしも最適化されないが、その反面、電動W/P310における冷却水の吐出量が相対的に増加するため、例えば冷却水を貯留するリザーバ(図1では不図示)や、総じて複雑な物理形状を採り易い冷却水循環路320に対し効果的に且つ効率的に注水を行うことが可能となる。即ち、電動W/P310のポンプ回転数Rpが、注水モードに従って決定される目標回転数RpAに制御された場合には、冷却水の注水性が向上する。
図3に戻り、目標回転数RpAを決定すると、ECU100は、処理をステップS106に移行し、省燃費モードの実行時と同様に、目標回転数RpAに対応するデューティDTYを決定し、電動W/P310のポンプ回転数Rpが係る目標回転数RpAとなるように電動W/P310を制御することによって電動W/P310を通常運転する。
このようにして電動W/P310が少なくとも一時的に通常運転されると、ECU100は次に、エア噛みフラグFGがオンに設定されているか否かを判別する(ステップS107)。ここで、エア噛みフラグFGは、電動W/P310において、注水に伴うエア噛みが生じていると推定される場合にオンとなるフラグであり、吐出量制御処理と並行してECU100により実行されるエア噛み検出処理によって適宜に設定される。ここで、図6を参照して、エア噛み検出処理の詳細について説明する。ここに、図6は、エア噛み検出処理のフローチャートである。
図6において、ECU100は、注水ボタン400を介して注水モードが選択されているか否かを判別する(ステップS201)。即ち、この処理は、吐出量制御処理におけるステップS103に係る処理と同等な処理である。
注水モードが選択されていない場合(ステップS201:NO)、ECU100は、無条件にエア噛みフラグFGをオフに設定する(ステップS206)。
一方で、注水モードが選択されている場合(ステップS201:YES)、ECU100は、吐出量制御処理において決定される目標回転数RpAを取得する(ステップS202)。続いて、ECU100は、回転センサ311から電動W/P310のポンプ回転数Rp(即ち、本発明に係る「実回転数」の一例)を取得する(ステップS203)。
実回転数Rpを取得すると、ECU100は、回転数偏差ΔRpを算出すると共に、係る回転数偏差ΔRpが所定の閾値ΔRpthよりも大きいか否かを判別する(ステップS204)。ここで、回転数偏差ΔRpは、ポンプ回転数Rpから目標回転数RpAを減算してなる値である。
エア噛みが発生している場合、冷却水と空気との粘性抵抗の差異に起因して、より具体的にはエア噛み発生時にはモータの回転を阻害する粘性抵抗が減少するために、ポンプ回転数Rpは、目標回転数RpAよりも高くなり易い。従って、電動W/P310の実回転数が目標回転数からどの程度乖離しているかを表し得る回転数偏差ΔRpは、エア噛みの度合いを判断する指標として利用することができる。ECU100は、回転数偏差ΔRpが閾値ΔRpth以下である場合(ステップS204:NO)、エア噛みが生じていないものとしてエア噛みフラグFGをオフに設定する(ステップS206)。
一方、回転数偏差ΔRpが閾値ΔRpthよりも大きい場合(ステップS204:YES)、ECU100は、電動W/P310にエア噛みが生じているものとして、エア噛みフラグFGをオンに設定する(ステップS205)。エア噛みフラグFGが設定されると、ECU100は処理をステップA201に戻し、一連の処理を繰り返し実行する。
尚、ここでは、回転数偏差ΔRpが、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に或いはシミュレーション等に基づいてエア噛みの発生を少なくとも実践上不具合(例えば、エア噛みが生じている又は生じると推定され得るにもかかわらずエア噛みが生じていない又は生じると推定し得ない旨の判断が行われる事態、或いは、エア噛みが生じていない又はエア噛みが生じないと推定され得るにもかかわらずエア噛みが生じている又は生じると推定され得る旨の判断が行われる事態等)を顕在化させない程度に判別し得るように設定されてなる閾値ΔRpthよりも大きい場合にエア噛みが生じている旨の判別がなされるが、エア噛みの発生に係る判別の態様はこれに限定されない。例えば、ECU100は、回転数センサΔRpが閾値ΔRpth或いは閾値ΔRpthとは異なる他の閾値よりも大きい状態が所定の許容時間以上継続してなる場合に、エア噛みが生じている旨の判別を行ってもよい。
図3に戻り、エア噛みフラグFGがオフである場合(ステップS107:NO)、ECU100は、処理をステップS103に移行し、一連の処理を繰り返す。この際、注水モードが継続していれば、ポンプ回転数Rpは目標回転数RpAとなるように、また注水モードが終了していればポンプ回転数Rpは目標回転数RpBとなるように夫々制御される。
一方、エア噛みフラグFGがオンに設定されている場合(ステップS107:YES)、ECU100は、エア噛みによる電動W/P310の不具合、例えばモータにおける回転軸や軸受け等の焼き付きを防止するため、電動W/P310を間欠運転する(ステップS108)。
ここで、図7を参照し、間欠運転の詳細について説明する。ここに、図7は、間欠運転時における電動W/P310のデューティ比DTYの時間特性を表す特性図である。
図7において、縦軸及び横軸には夫々デューティ比DTY及び時刻が表される。図7から明らかなように、本実施形態において間欠運転がなされる場合、電動W/P310を稼働させる稼働期間(例えば、図示時刻T1〜T2、T3〜T4、T5〜T6、T7〜T8、及びT9〜T10に相当する期間)と、電動W/P310を停止させる停止期間(即ち、デューティ比がゼロに設定される期間であり、図示時刻0〜T1、T2〜T3、T4〜T5、T6〜T7及びT8〜T9に相当する期間)とが、交互に訪れるように電動W/P310が制御される。
本実施形態において、この稼働期間と停止期間とは相互に同じ長さであり、相互に隣接する一の稼働期間と一の停止期間とによって規定される期間を便宜的に「ターン」と表現すると、図示するように時間ΔTbase毎にターンが繰り返される構成となっている。また、5ターン分に相当する時間ΔTが経過すると、一回の間欠運転が終了する構成となっている。
ここで特に、各ターンを、図7における左から順に第1ターン、第2ターン、第3ターン、第4ターン及び第5ターンと表現すると、第nターンの稼働期間に対応するデューティ比DTYn(n=1,2,・・・,5)の大きさは、DTYn>DTYn−1(n=2,3,4,5)であり、一回の間欠運転中において、デューティ比DTYは時間の経過と共に漸増するように設定される。
尚、間欠運転中におけるデューティ比DTYは、各ターンで相互に等しくてもよい。この場合も、注水時における電動W/P310の保護が実践上十分に担保される。また、間欠運転中は、稼働期間と停止期間が例えば交互に訪れるから、電動W/P310から吐出される冷却水の脈動が生じ易く、上述した冷却装置300の性能回復も十分に図られる。
尚、間欠運転中における各ターンの長さ、及び各ターン内における稼働期間と停止期間との比率は、例えばエア噛みの度合い等に応じて可変であってもよい。エア噛みの度合いは、例えば、上述した回転数偏差ΔRpの大きさに応じて、予め複数段階に或いは連続的に設定されていてもよい。
図3に戻り、ECU100は、W/P310を間欠運転すると、前述した一回の間欠運転が終了したか否かを判別する(ステップS109)。一回の間欠運転が継続中である場合(ステップS109:NO)、ECU100は、ステップS108に係る処理を繰り返し実行すると共に、一回の間欠運転が終了した場合(ステップS109:YES)、ECU100は、処理をステップS103に戻す。この際、エア噛み検出処理においてエア噛みが解消された旨の判別がなされれば、即ち、エア噛みフラグFGがオフに設定されれば、再び目標回転数RpAに従った通常運転がなされ、エア噛みが解消された旨の判別がなされなければ、再び間欠運転が実行される。吐出量制御処理は以上の如く実行される。
このような間欠運転がなされた場合、先ず、稼働期間と停止期間とが交互に訪れることによって、電動W/P310を相対的にみて冷却することが可能となり、エア噛みによる、例えばモータ周辺部等の焼き付き等、各種不具合の発生を防止することが可能となる。また、電動W/P310が稼働状態にある期間は、上述した通常運転と較べて短くなるから、電力資源を効率的に利用し、燃費の向上を図ることも可能となる。尚、例えば電動W/P310の保護を優先する場合には顕著に、稼働期間と停止期間とは相互に同じ長さに設定されずともよく、例えば稼働期間数秒に対し停止期間が数十秒程度設けられていてもよい。
更に、本実施形態では、間欠運転中におけるデューティ比DTYが、省燃費モード及び注水モードにおける目標回転数RpB及びRpA各々に対応するデューティ比とは異なり、予め間欠運転に適するものとして設定され、例えばROM等に格納されてなる例えば固定値に設定される。この際、上述したように間欠運転中にデューティ比が漸増されるため、電動W/P310の保護を図りつつ、このデューティ比が漸増される過程において、即ち、いずれかのターンにおいて、エア噛みの要因となっている空気溜り等が除去される可能性が相対的に高くなる。即ち、間欠運転がこのようになされる場合には、電動W/P310の保護及び電力資源の有効利用に加えて、冷却装置300の性能回復が積極的に図られることになり、実践上極めて有益である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う冷却制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…車両、100…ECU、200…エンジン、300…冷却装置、310…電動W/P、320…冷却水循環路、330…サーモスタット、340…分岐管、350…ラジエータ、360…分岐管、400…注水ボタン。