JP2004211619A - 船外機の冷却水ポンプ装置 - Google Patents

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卓弥 佐藤
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Abstract

【課題】船外機の冷却水ポンプ装置の機密性を高めて軸周囲などからの空気の吸い込みを防止し、要求する冷却水供給量(揚水量)を確保できる船外機の冷却水ポンプ装置を提供する。
【解決手段】ポンプケース15内に偏心させて収容したインペラ16をドライブシャフト10で回転駆動する冷却水ポンプ装置17において、インペラ16のドライブシャフト10周りのボス部21には、ドライブシャフト10周りでのインペラ16のシール性を向上するために、ポンプケース15の大径筒体15a内面上側と摺接する上側リップ形状部(上側シール部)25aと該ポンプケース15の内面下側と摺接する下側リップ形状部(下側シール部)25bが形成されており、前記上側リップ形状部25aは下側リップ形状部25bよりも幅および高さが大きく形成されている。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの下方に中空のドライブシャフトハウジングが設けられ、該ドライブシャフトハウジング内に、エンジンクランク軸の駆動力をスクリューに伝達するドライブシャフトを縦置きに備える船外機において、エンジンに冷却水を圧送する船外機の冷却水ポンプ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
船外機のエンジンは、船外機の例えばロアケース(あるいはギヤケース)のウォータフィルターから海水もしくは河川水を取り入れ、その水を冷却水としてエンジンのウォータジャケット側まで流すことによって冷却される。一般的に船外機は、エンジン冷却用の冷却水を送出する(揚水する)ために冷却水ポンプ装置を設けている。すなわち、船外機ではエンジンの下方に、エンジンクランク軸の駆動力をスクリューに伝達するドライブシャフトを縦置きに内部に備えたドライブシャフトハウジングが配設され、このドライブシャフトの軸方向途中部に、弾性材料からなるインペラをポンプケース内で偏心させて収容して、該ドライブシャフト駆動で回転させることにより冷却水をエンジンに向けて圧送する冷却水ポンプ装置(ウォータポンプ)を備えている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−306687号公報
【特許文献2】
実開平2−126992号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記船外機において冷却水ポンプ装置の大きさは、エンジンの最大出力(あるいはエンジンの最大馬力)によって異なる。すなわち、エンジンの最大出力が大きい場合、排気量あるいは燃料消費量が大きいものになりエンジンが要求する冷却水の揚水量が大きくなるため、冷却水ポンプ装置(ウォータポンプ)の大きさを大きくして揚水量を増加させることが考えられる。
【0005】
しかしながら、船外機において、冷却水ポンプ装置が取り付けられる場所付近は、前記特許文献1の図2、図3に示されるように、エンジンロアケースや排気通路等があり、冷却水ポンプ装置が大きくなることによってその他の部品・部材・補機類等に構造上の影響が生じるので、冷却水ポンプ装置を際限なく大きくはできない。そのため、冷却水ポンプ装置には効率がよく、かつ、大きさの小さいものが望まれる。
【0006】
前記の冷却水ポンプ装置の効率を考えると、前記船外機のロアケースの吸入口面積、アンダーパネルの吸入口切欠き面積、インペラの吐出体積とポンプケースの吐出面積等の様々な要因によって、揚水量が変化する。冷却水ポンプ装置のポンプ効率を向上させるためには、インペラが回転した時にいかに吸入量を増やすか、または、吐出側で漏れることなくポンプ上部で圧送するかが問題となる。ポンプケースとアンダーパネル、ポンプケースとインペラのシール性の向上は前記の問題点を解決する一つの方法である。
【0007】
具体的には、エンジン回転数が増してくると、ポンプケース内の負圧によりポンプケース上部の駆動軸回りからエアーを吸い込み、冷却水の吐出量が下がるという問題がある。その対策としては、エンジン回転数を低下させかつ大容量ポンプを駆動して冷却水量を確保する方法もあるが、ドライブシャフトをポンプ駆動軸としている船外機においては、ポンプ駆動軸の駆動を減速して行なう必要があり、減速ギヤ等の設置が要求されることから、大容量ポンプとするのは、設置スペースの確保が問題となり、採用しがたい。
【0008】
本発明は、前記問題点を解消するためなされたものであって、船外機の冷却水ポンプ装置の機密性を高めて軸周囲などからの空気の吸い込みを防止し、要求する冷却水供給量(揚水量)を確保できる船外機の冷却水ポンプ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジンの下方に中空のドライブシャフトハウジングが設けられ、該ドライブシャフトハウジング内に、エンジンクランク軸の駆動力をスクリューに伝達するドライブシャフトを縦置きに備える船外機において、前記ドライブシャフトハウジング内の前記ドライブシャフトの軸方向途中部に備えられたポンプケース内に、弾性材料からなるインペラを偏心させて収容し、該ドライブシャフト駆動で該インペラを回転させることによりポンプケース下部から冷却水を吸い出して上方のエンジンに向けて圧送する冷却水ポンプ装置であって、インペラの駆動軸周りに、円環状に上方に向けて突出形成されてポンププケースの内面と摺接する上側シール部と円環状に下方に向けて突出するポンプケースの内面と摺接する下側シール部が形成されており、前記上側シール部は下側シール部よりも幅および高さが大きく形成されていることを特徴とする船外機の冷却水ポンプ装置である。
【0010】
本発明においては、上側シール部は、インペラの収容されるポンプ室上側内壁に摺接し下側シール部は該ポンプ室下側内壁に摺接することが好適である。
【0011】
また、本発明においては、ポンプケースの上側部がドライブシャフトに沿って上方に延びた筒状部を有し、上側シール部がこの筒状部とドライブシャフトとの間に延出形成されて、この筒状部とドライブシャフトとの間の水密をシールするものであることが好適である。
【0012】
本発明においては、ポンプケースの上側部がドライブシャフトに沿って上方に延びる筒状部を有し、この筒状部上側のドライブシャフト挿入口を覆って、ドライブシャフト外周面とポンプケース上部との間のシール性能を保持するキャップ体を設けたことが好適である。
また、本発明においては、ポンプケース上側の筒状部とキャップ体の間の空間をポンプ室内と連通するエアー抜き穴をポンプケースに設けたことが好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態に係る船外機の側面視外観説明図、図2は該船外機のエンジン下方の駆動構造および冷却水ポンプ装置などの構造の説明図、図3は第1実施形態に係る船外機の冷却水ポンプ装置とその下方部の詳細断面視説明図、図4は該冷却水ポンプ装置の構成説明図、図5は前記冷却水ポンプ装置内のインペラの構成説明図、図6は前記冷却水ポンプ装置のインペラの作動状態説明図、図7は前記冷却水ポンプ装置の従来例との性能比較説明図、図8は前記冷却水ポンプ装置のキャップ体の詳細説明図、図9は第2実施形態に係る冷却水ポンプ装置の構成説明図である。
【0014】
図1、図2に示すように、前記船外機1は、船体2の後端部のトランザム(船尾梁)3上部に、クランプブラケット4によって当該トランザム3上部を挟みつけることにより固定・装着される。該クランプブラケット4には、上下揺動可能にスイベルブラケット5が軸支される。
このスイベルブラケット5の上下端が船外機1のドライブシャフトハウジング8前部の上下部1a,1bに軸設されており、ハンドル1cを操舵することによって、クランプブラケット4に対して船外機1の向きが左右にある一定の角度範囲内で旋回動可能に構成される。
スイベルブラケット5は、油圧などのアクチュエータ5aによる駆動でクランプブラケット4に対して上下方向に揺動するようになっている(パワーチルトアンドトリムPTT)(図2参照)。
【0015】
船外機1では、図1、図2に示すように、上下方向に延在する中空体であって水平方向断面が概略紡錘形形状に形成されたドライブシャフトハウジング8が前記スイベルブラケット5に連結されており、ドライブシャフトハウジング8上部にエンジン6(図2では外形を略記する)をボルト締着して搭載するエンジンホルダ7が設けられている。該ドライブシャフトハウジング8内に、エンジンクランク軸6a(図2では中心軸を略記する)の駆動力をスクリュー9に伝達するドライブシャフト10を縦置きに備える。また、ドライブシャフトハウジング8はエンジンホルダ7と、そのエンジンホルダ7下部に連結される上下分割可能な上部のアッパーケース8aと下部のロアケース8bとからなる。
【0016】
前記エンジンホルダ7の下部には、エンジン6から流れてきた潤滑油を受け止めて一時的に貯留するオイルパン7aが箱状に形成されている。
前記ドライブシャフトハウジング8のエンジンホルダ7、アッパーケース8aおよびロアケース8bに渡って上下方向に連通する中空部11内にドライブシャフト10が回動可能に収容される。
【0017】
前記ドライブシャフト10の上端部は、前記エンジンホルダ7より上方に突出してエンジン6のクランク軸6a下端部に装入・連結され、一方、ドライブシャフト10の下端部にロアケース8b内のべべルギヤセット13のドライブギヤ13aが回転方向に固定されている。ロアケース8bにはドライブシャフト10の回転中心軸と直交する中心軸のスクリュー軸12と、ドライブシャフト10からスクリュー軸12(スクリュー9)へ駆動力を伝達するベベルギヤセット13とが内装されている。このベベルギヤセット13の歯数の設定により(ドライブギヤ歯数<ドリブンギヤ歯数)エンジン回転数を減速してスクリュー軸12に伝達する。また、ベベルギヤセット13のドリブンギヤ13bは、前後一対でドライブギヤ13aに噛合っており、シフトレバー14の操作によりシフト軸14aを介して一対のドリブンギヤ13bのいずれか一方とスクリュー軸12との係合・離脱を切り替えて、スクリュー軸12を正回転、逆回転、あるいはニュートラルにする切り替えができるようになっている。
【0018】
エンジン6はヘルメット状のアッパーカバー6bで覆われ、ドライブシャフトハウジング8のエンジンホルダ7からアッパーケース8aの上縁までロアカバー8dで覆われていて外観の統一感が出るようにしている。
【0019】
ここで、図3に示すように、前記ドライブシャフトハウジング8内の前記ドライブシャフト10の軸方向途中部には、ドライブシャフト8を駆動軸とする冷却水ポンプ装置17が設けられる。この冷却水ポンプ装置17では、ポンプケース15内に、弾性材料からなるインペラ16を偏心させて収容し、該ドライブシャフト10の駆動で該インペラ16を回転させることにより冷却水をエンジン6に向けて圧送する。ドライブシャフトハウジング8のロアケース8bの中空部11には、ドライブシャフト10周囲を取り囲んでドライブシャフト10下部と冷却水ポンプ装置17の吸い込み側との間の水密シール10bが上端部に挿着された壁状部8cが立設し、この壁状部8c内に冷却水ポンプ装置17の下部に向かう冷却水通路8eが上方に延びて形成される。ロアケース8bの側面部には、船外機外部の水(海水、河川水)を取り入れるための吸水口8fがフィルタを設けて開口しており、吸水口8f内部は前記冷却水通路8eに連通している。
【0020】
前記冷却水ポンプ装置17において、図3、図4に示すように、ポンプケース15は大径・小径の概略筒体(大径筒体15a、小径筒体15b)が連続した形状を呈し、大径筒体15aと小径筒体15bとの間の壁にはドライブシャフト10を通す挿通孔15cが開口する。また、該大径筒体15aの下方開きの開口部15dを平板状アンダパネル19(冷却水吸い込み口のインレット17bが開口している)により塞ぐことにより、ポンプケース15内にポンプ室17cを形成している。
【0021】
また、前記冷却水ポンプ装置17のドライブシャフトハウジング8への設置は、そのアッパーケース8aのロアケース8bとの合わせ部18に前記アンダーパネル19を一致させて、概略円筒蓋形状のポンプケース15がアッパーケース8a側に入り込むように上方に突出させて収容されている。また、ポンプケース15の上部には小径筒体15bのほかに側端部に上方に開口する冷却水送出口のアウトレット17dが形成され、このアウトレット17dに上方に向かう冷却水パイプ17eの下端部が連結される。そしてこの冷却水パイプ17eの上端がエンジン6のウォータジャケット(図示省略)に連結される。
【0022】
上記の冷却水経路構成により、冷却水ポンプ装置17が作動することにより負圧が生じてその負圧により前記吸水口8fから船外機1外部の水が吸い込まれて冷却水通路8eを通り、さらに、冷却水ポンプ装置17下部のアンダパネル19に開けられたインレット17bを通ってポンプ室17c内に入り込むようになっている。そして、前記冷却水ポンプ装置17のポンプ室17cで正圧を加えられた冷却水がアウトレット17dから冷却水パイプ17eを通ってエンジン6のウォータジャケットに冷却水を供給し、エンジン6の冷却を行う。
【0023】
図5の(a)はインペラ16の下面図、(b)は上面図、(c)は(a)のC−C線に沿う詳細断面視図、(d)は縦断斜視説明図である。図6はインペラ16をポンプケース15に収容して回転させた状態説明図である。
【0024】
前記ポンプ装置17において、インペラ16は、図5に示すように、放射状に延びる複数の翼部20と概略筒状のボス部21とがゴム等の弾性材料によって一体成形される。このボス部21には、弾性材料よりも剛性の高い材料(例:硬質樹脂あるいは金属)からなる管状心材22が埋設された構成となっており、この管状心材22はボス部内周部に固着されており、その管状心材22の軸方向両端面部はボス部21に形成された内フランジ23にて覆われている。
【0025】
管状心材22の内周面には、キー溝22aが軸方向に沿って形成されている。このキー溝22aと図3、図5、図6に示すように、ドライブシャフト10に形成されたキー溝10aとの間に側面視半円形のキー16aが挿着されることにより、インペラ16がドライブシャフト10に回転方向に一体的に固定される。インペラ16のボス部21の内フランジ23の下側のものには、前記キー溝22aを下方に延ばした位置に切り欠き23aが形成されている。冷却水ポンプ装置17組み付け時に、まず、ドライブシャフト10キー溝10aにキー16aを組みつけて、前記切り欠き23aを通してキー16aをインペラ16の管状心材22のキー溝22aに挿嵌できるようにしている。
【0026】
前記インペラ16の翼部20は縦断面で見ると、図5に示すように、インペラ16のシール性を向上する構造として、紡錘形状を呈して中央部が厚く上下端部が薄くなり、上下端部先端には、断面が三角形、砲弾先端形、あるいは蒲鉾形の山脈形状のリップ形状部(上側リップ形状部24a、下側リップ形状部24b)が形成されている。図5(c)に翼部20の先端のリップ形状部24bを示す。
【0027】
また、前記インペラ16のドライブシャフト10周り(駆動軸周り)のボス部21には、ドライブシャフト10周りでのインペラ16のシール性を向上するために、ポンプケース15の大径筒体15a内面上側と摺接する上側リップ形状部(上側シール部の例)25aと該ポンプケース15の内面下側と摺接する下側リップ形状部(下側シール部の例)25bが形成されている。このボス部21の上側リップ形状部25aと下側リップ形状部25bは、断面が三角形、砲弾先端形、あるいは蒲鉾形の山脈形状に連なって形成されている。更に、図5の(d)に示すように、前記上側リップ形状部25aの幅W1および高さH1は下側リップ形状部25bの幅W2および高さH2よりも大きく形成されている(W1>W2、H1>H2)。
【0028】
前記冷却水ポンプ装置17において、図6に示すように、ドライブシャフト10によりインペラ16を回転駆動するときに、ポンプ室17cでは偏心配置されたインペラ16の隣り合う翼部20と冷却水ポンプ装置17内壁との間の空間がインレット17b近傍側で膨張力による負圧を作用させて冷却水を吸い上げ、一方、アウトレット17d近傍側で圧縮力による正圧を作用させて、該アウトレット17dから冷却水を冷却水パイプに17eに送り出す。なお、17aは、ポンプ室17c内の冷却水をアウトレットに導く誘導壁部である。
【0029】
前記インペラ16において、上記の形状すなわち、上側リップ形状部25aの幅W1および高さH1が下側リップ形状部25bの幅W2および高さH2よりも大きく形成されている構造を採用することにより、上側リップ形状部25aがポンプ室17c上側内壁面に摺接してドライブシャフト10周囲の気密を確実に保てるので、冷却水吸入時にインペラ16の回転による負圧を生じさせてもドライブシャフト10周りからエアーを吸い込むことを防ぐことができ、要求する揚水量(冷却水供給量)を維持することが可能になる。リップ形状部25aの具体的な例としては、従来、幅1.0mmで高さ0.6mmであったのを幅2〜2.5mm、高さ0.6〜1.0mmとしたものを例に挙げることができる。
【0030】
従来の場合、エアーを吸い込むと揚水量が不安定になり、高回転になるほど、揚水量が減少するが、本発明に係る実施形態では、これを上記上側リップ形状部25a等の構造例により防止することができる。
例えば、図7は、従来の構造のインペラを用いたシール性が悪くエアーを噛み込み易い冷却水ポンプ装置(従来例)と、本発明を実施した上記実施形態と同様のインペラを用いたシール性の高い冷却水ポンプ装置の冷却水の揚水性能を比較してグラフに示すものである。図7を参照すると、従来例では、エンジン回転数がある程度になるまでほぼ比例して冷却水揚水量は上昇するが、ある程度エンジン回転数が高くなると揚水量は急激に低下している。一方、本発明例では、エンジン回転数がある程度になるまでほぼ比例して冷却水揚水量は上昇し、従来例で揚水量の低下するエンジン回転数でもさらに揚水量が上昇を続け揚水量のピークから先では揚水量が余り低下せずにほぼ一定の高さになっている。したがって、本発明によれば、要求する揚水量(冷却水供給量)を維持することが可能になることが理解される。
【0031】
また、ポンプケース15上側には、図3、図4、図6に示すように、小径筒体(筒状部の例)15bが上方に延びその小径筒体15bの上端で開口したドライブシャフト挿入口26を覆って、ドライブシャフト10外周面とポンプケース15上部の小径筒体15bとの間のシール性能を保持する弾性材料からなるキャップ体27を設け、該キャップ体27とポンプケース15の小径筒体15bとで、小径筒体15b内に水封室28を形成したものである。
【0032】
詳しくは、キャップ体27は、図8に詳細に示すように、やや一部が側方に突出する変形した下開きの概略椀形状を呈する本体27aと該本体27aの上底部の開口27bの周囲を中窄まりで取り巻く中折れフランジ部27cを有して一体形成されている。この開口27bにはドライブシャフト10が挿入され、この中折れフランジ部27cでドライブシャフト10周面に中折れフランジ部27c中央部が密着するようになっている。この密着度を高めるフランジ部27c周囲に管状にコイルスプリングなどの弾性材27dを巻きつけて締め付けている。
【0033】
上記のキャップ体27により、キャップ体27とポンプケース15の間に水封室28を形成したので、この水封室28への水の充満によりドライシャフト10周りからエアーが漏れず、ポンプケース15内にエアーの吸い込みがなくなるため、冷却水ポンプ装置の揚水性能が向上する。
【0034】
また、前記ポンプケース15とキャップ体27の間の空間の水封室28をポンプ室17c内と連通するエアー抜き穴29をポンプケース15に設けている。
このエアー抜き穴29は冷却水ポンプ装置17のインペラ16による圧縮側(アウトレット17d側)から前記水封室28に連通している。
【0035】
したがって、冷却水ポンプ装置17の回転始動時には、圧力の高い(正圧の)アウトレット17d側のエアー抜き穴29から水が水封室28内に入り込み、水封室28内のエアー抜きをしつつ該水封室28内に水を充満させていき、インペラ16の回転が充分に高くなったことにより、そのエアー抜き穴29から出てくる水が水封室28内を埋めることになる。
よって、前記船外機でエンジン運転中は、水封室28内は常に水で満たされることになり、ドライブシャフト10周囲から、ポンプケース15内にエアーが吸い込まれることがなくなる。
【0036】
従来、前記特許文献2に記載の冷却水ポンプでは、冷却水ポンプ装置上部のドライブシャフト周りにオイルシールを設けているが、これではポンプケース側にオイルシール用の加工が必要になり、作業負荷やコスト面で不利になりかつ冷却水ポンプの構成が複雑化する問題がある。これに対して、前記実施形態では比較的簡単な構成のキャップ体27を装着することによりドライブシャフト10とポンプケース15との間の気密を保てる。したがって、簡単な構成のキャップ体27をポンプケースに加工することなく簡易に取り付けることが可能であり、製作費や組み付け作業が容易なため、作業付加やコスト面で有利で、かつ、冷却水ポンプの構成を替える必要がないメリットがある。
また、従来、特許文献2に記載の冷却水ポンプにおいては、前記実施形態の小径筒体15bに対応する円筒部(11)が円筒形状であるので、前記エアー抜き穴29に対応する通水路(15)を大径筒体15aに対応するポンプケーシング(4)内の正圧部と連通するためには、該通水路(15)をポンプ軸(ドライブシャフト)に対して斜めに加工する必要がある。これに対して、本発明では、実施形態のポンプケース15のように、大径筒15aの正圧部上部にエアー抜き穴29がポンプ軸(ドライブシャフト10)に対して平行に至るように、小径筒部15bの一部をポンプ軸に対して側方に突出(膨出)する変形させた形状にしているので、エアー抜き穴29を斜めに加工する必要がなく、鋳抜きで設けることが可能である。したがって、ポンプケースを例えば樹脂で射出成形するとき、金属で鋳込むとき、プレス成形するときなどに、前記エアー抜き穴29を鋳抜き等で一体成形することができ、別工程でエアー抜き穴を形成する必要がないので、製作工程の簡素化が図れる。
【0037】
本発明は、前記図1〜8に示した第1実施形態の構造に限定されず本発明の範囲内で変形実施可能である。例えば図9は、本発明の第2実施形態に係る船外機の冷却水ポンプ装置30を示す説明図である。図9では上記の第1実施形態と同様部分に同一の符号を付している。
【0038】
この第2実施形態の冷却水ポンプ装置30では、図9に示すように、インペラ16Aのボス部21の上部に上方に円筒パイプ状に延びたシール部31が形成され、このシール部31の上端外周面部には、フランジ状凸部31aが突出形成されている。シール部31は、ドライブシャフト10をその中央孔31bに通してドライブシャフトハウジング10外周面に密着した状態であって、ポンプケース15の大径筒体15a側から挿通孔15cとドライブシャフト10との隙間を通って小径筒体15b内に入るように配設される。シール部31は、小径筒体15b内においてフランジ状凸部31aが小径筒体15bの内周面に摺接するようになっている。なお、インペラ16においてその他の翼部20、ボス部21、管状心材22は上記と同様の構造である。
【0039】
第2実施形態の冷却水ポンプ装置30では、インペラにシール部31を形成すすることで十分なシール性を得られるため、第1実施形態のキャップ体28などを不要にできるため装置構造を簡単化することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、インペラの駆動軸周りに、円環状に上方に向けて突出形成されてポンププケースの内面と摺接する上側シール部と円環状に下方に向けて突出するポンプケースの内面と摺接する下側シール部が形成されていて、前記上側シール部は下側シール部よりも幅および高さが大きく形成されているので、ドライブシャフト周りとケース体との間で下側よりも上側から空気を吸い込みやすいことに対応して上側シール部で気密性を十分確保でき、空気の吸い込みひいてはポンプ効率の低下を確実に防止して揚水性能が向上できる。
【0041】
なお、上側シール部は、インペラの収容されるポンプ室上側内壁に摺接し下側シール部は該ポンプ室下側内壁に摺接するものにすれば、円環状にシール部を形成するのみで、冷却水ポンプないへの空気の吸い込み、ひいては揚水性能低下を確実に防止できる。
【0042】
また、ポンプケースの上側部がドライブシャフトに沿って上方に延びた筒状部を有し、上側シール部がこの筒状部とドライブシャフトとの間に延出形成されて、この筒状部とドライブシャフトとの間の水密をシールするものにすれば、冷却水ポンプ装置で、インペラに筒状のシール部を形成すれば十分なシール性を得られるため、キャップ体などの他の部品を不要にでき装置構造を簡単化することができる。
【0043】
また、ポンプケースの上側部がドライブシャフトに沿って上方に延びる筒状部を有し、この筒状部上側のドライブシャフト挿入口を覆って、ドライブシャフト外周面とポンプケース上部との間のシール性能を保持するキャップ体を設けたものにすれば、ポンプケースのドライブシャフト挿入口付近に部屋を形成してこの部屋により確実に空気を止めることができ、ドライブシャフト周りからポンプケース内にエアーが入り込むことを確実に防止できる。
また、本発明においては、ポンプケース上側の筒状部とキャップ体の間の空間をポンプ室内と連通するエアー抜き穴をポンプケースに設けたものにすれば、ポンプ回転当初、エアー抜き穴からポンプケース内のエアーが抜けていき、その後、エアー抜き穴からポンプケースとキャップ体との間の空間(部屋)に正圧の水が噴出するので、当該空間が水で満たされてことによりシール性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る船外機の側面視外観説明図である。
【図2】図1の船外機のエンジン下方の駆動構造および冷却水ポンプ装置などの構造の縦断面説明図である。
【図3】第1実施形態に係る船外機の冷却水ポンプ装置とその下方部の詳細縦断面視説明図である。
【図4】前記冷却水ポンプ装置の構成説明図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図5】前記冷却水ポンプ装置内のインペラの構成設明図であり、(a)はインペラの下面図、(b)はインペラの上面図、(c)は(a)のC−C線に沿う要部断面図、(d)はインペラの縦断面図射視図である。
【図6】前記冷却水ポンプ装置のインペラの作動状態説明図である。
【図7】前記冷却水ポンプ装置の従来例との性能比較説明図である。
【図8】前記冷却水ポンプ装置のキャップ体の詳細説明図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図9】第2実施形態に係る冷却水ポンプ装置の構成説明図であり、(a)は要部縦断面図、(b)はインペラの縦断面図である。
【符号の説明】
1 船外機
2 船体
3 トランザム
4 クランプブラケット
5 スイベルブラケット
5a アクチュエータ
6 エンジン
6a エンジンのクランク軸
7 エンジンホルダ
8 ドライブシャフトハウジング
8a アッパーケース
8b ロアケース
8c 壁状部
8d ロアカバー
8e 冷却水通路
8f 吸水口
9 スクリュー
10 ドライブシャフト
10a キー溝
10b 水密シール
11 ドライブシャフトの中空部
12 スクリュー軸
13 べべルギヤセット
13a ドライブギヤ
13b ドリブンギヤ
14 シフトレバー
14a シフト軸
15 ポンプケース
15a 大径筒体
15b 小径筒体
16 インペラ
16a キー
17 冷却水ポンプ装置
18 合わせ部
19 アンダーパネル
20 インペラの翼部
21 インペラのボス部
22 インペラの管状心材
22a キー溝
23 内フランジ部
24a 翼部の上側リップ形状部
24b 翼部の下側リップ形状部
25a ボス部の上側リップ形状部
25b ボス部の下側リップ形状部

Claims (5)

  1. エンジンの下方に中空のドライブシャフトハウジングが設けられ、該ドライブシャフトハウジング内に、エンジンクランク軸の駆動力をスクリューに伝達するドライブシャフトを縦置きに備える船外機において、前記ドライブシャフトハウジング内の前記ドライブシャフトの軸方向途中部に備えられたポンプケース内に、弾性材料からなるインペラを偏心させて収容し、該ドライブシャフト駆動で該インペラを回転させることによりポンプケース下部から冷却水を吸い出して上方のエンジンに向けて圧送する冷却水ポンプ装置であって、
    インペラの駆動軸周りに、円環状に上方に向けて突出形成されてポンププケースの内面と摺接する上側シール部と円環状に下方に向けて突出するポンプケースの内面と摺接する下側シール部が形成されており、
    前記上側シール部は下側シール部よりも幅および高さが大きく形成されていることを特徴とする船外機の冷却水ポンプ装置。
  2. 上側シール部は、インペラの収容されるポンプ室上側内壁に摺接し下側シール部は該ポンプ室下側内壁に摺接する請求項1に記載の船外機の冷却水ポンプ装置。
  3. ポンプケースの上側部がドライブシャフトに沿って上方に延びる筒状部を有し、上側シール部がこの筒状部とドライブシャフトとの間に延出形成されて、この筒状部とドライブシャフトとの間の水密をシールするものであることを特徴とする請求項1に記載の船外機の冷却水ポンプ装置。
  4. ポンプケースの上側部がドライブシャフトに沿って上方に延びる筒状部を有し、この筒状部上側のドライブシャフト挿入口を覆って、ドライブシャフト外周面とポンプケース上部との間のシール性能を保持するキャップ体を設けたことを特徴とする請求項1に記載の船外機の冷却水ポンプ装置。
  5. ポンプケース上側の筒状部とキャップ体の間の空間をポンプ室内と連通するエアー抜き穴をポンプケースに設けたことを特徴とする請求項4に記載の船外機の冷却水ポンプ装置。
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