JP2008082282A - バキュームポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】リードバルブ付きベーンタイプのバキュームポンプにおいて、バルブの開放によって間欠吐出される潤滑油混じりの圧縮空気の吐出音の発生を抑制または防止する。
【解決手段】リードバルブ付きベーンタイプのバキュームポンプ20を次のような構成とする。バキュームポンプ20には、バルブ27の開放前の所定のタイミングでポンプ室24内と内燃機関のチェーンケース19内とを連通させて、ポンプ室24内の潤滑油混じりの圧縮空気をバルブ27の開放前にチェーンケース19内に吐出する連通手段が設けられている。連通手段は、軸受け部21dに形成され、この軸受け部21dの内周面とポンプ室24内とを連通する溝21fおよび貫通孔21gと、ロータ軸22に形成され、このロータ軸22の機関側部分22bの外周面とチェーンケース19内とを連通する貫通孔22fとによって構成される。
【選択図】図3
【解決手段】リードバルブ付きベーンタイプのバキュームポンプ20を次のような構成とする。バキュームポンプ20には、バルブ27の開放前の所定のタイミングでポンプ室24内と内燃機関のチェーンケース19内とを連通させて、ポンプ室24内の潤滑油混じりの圧縮空気をバルブ27の開放前にチェーンケース19内に吐出する連通手段が設けられている。連通手段は、軸受け部21dに形成され、この軸受け部21dの内周面とポンプ室24内とを連通する溝21fおよび貫通孔21gと、ロータ軸22に形成され、このロータ軸22の機関側部分22bの外周面とチェーンケース19内とを連通する貫通孔22fとによって構成される。
【選択図】図3
Description
本発明は、負圧発生にともない潤滑油混じりの圧縮空気を吐出するバキュームポンプに関する。
一般に、車両に備えるブレーキブースタには、負圧を発生させるための負圧発生源としてバキュームポンプが用いられる。この種のバキュームポンプとしては、例えば、特許文献1に示されるようなベーンタイプのものが知られている。
ベーンタイプのバキュームポンプは、ポンプケースの内周面に摺接するベーンが回転軸であるロータ軸に取り付けられた構成となっている。そして、ポンプケース内部の気密性を確保したり、ロータ軸、ベーン等の摺動部の潤滑性を確保するために、潤滑油がポンプ室内に供給されるようになっている。ロータ軸が回転すると負圧が発生する一方で、圧縮空気がポンプケースの吐出口からポンプケース外部へ吐出(排出)される。この際、吐出口からは潤滑油混じりの圧縮空気が吐出される。
このように、バキュームポンプの吐出口から排出される圧縮空気には、潤滑油が混じっているので、従来では、潤滑油混じりの圧縮空気を内燃機関の機関内(例えば、クランクケース内等)に放出するようにしている。
ところで、ポンプケース内の気密性ならびに潤滑油の密封性を高めてポンプ駆動トルクを軽減するために、従来では、バキュームポンプの吐出口にバルブを設けるようにしている。バキュームポンプの吐出口に設けられるバルブとしては、例えば、リードバルブがある。このリードバルブは、吐出される圧縮空気の圧力の増減に応じて開閉される。
しかし、リードバルブのようなバルブをバキュームポンプの吐出口に設けた場合、潤滑油混じりの圧縮空気は、連続的に排出されるわけではなく、間欠的に勢いよく機関内に吐出されるようになる。このように、ポンプケース内の高圧環境から外部の低圧環境へと潤滑油混じりの圧縮空気が勢いよく吐出されるので、それにともなって比較的大きな吐出音(排出音)が発生するおそれがある。
また、内燃機関のシリンダヘッドカバー、チェーンカバー等のカバーを薄肉化、軽量化している場合、圧縮空気の間欠吐出にともなう圧力脈動によって、カバーが振動しやすくなるため、内燃機関の外部へ異音が漏洩することが懸念される。
特許文献1には、内燃機関の騒音の位相と、バキュームポンプのバルブの開放により発生する騒音の位相とを同期させることによって、バキュームポンプのバルブからの吐出音やそれに起因して発生する騒音を、内燃機関の燃焼時の騒音に埋没させることが示されている。
特開2006−70880号公報
本発明は、上述したような問題点を鑑みてなされたものであり、ポンプ室内の内圧の増減に応じて開閉するバルブが設けられたベーンタイプのバキュームポンプにおいて、バルブの開放によって間欠吐出される潤滑油混じりの圧縮空気の吐出音の発生を抑制または防止できるようにすることを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、ロータ軸に設けられたベーン溝にロータ軸の径方向に摺動自在に取り付けられたベーンを備えるベーンタイプのバキュームポンプであって、負圧発生にともない前記ベーンによって区画されるポンプ室内の潤滑油混じりの圧縮空気を外部空間に吐出し、その潤滑油混じりの圧縮空気が吐出される吐出口には、前記ポンプ室内の内圧の増減に応じて開閉するバルブが設けられたバキュームポンプにおいて、前記バルブの開放前の所定のタイミングでポンプ室内と外部空間とを連通させて、ポンプ室内の潤滑油混じりの圧縮空気を前記バルブの開放前に外部に吐出する連通手段が設けられていることを特徴としている。
上記構成によれば、バルブの開放前に潤滑油混じりの圧縮空気が外部空間に吐出されるので、バルブの開放直前のポンプ室の内圧の急上昇を避けることができる。このとき、外部空間に吐出される圧縮空気には、バルブの開放時に吐出口から吐出される圧縮空気に比べて潤滑油が多く含まれており、潤滑油が先行して外部空間に吐出される。このため、ポンプ室の圧縮空気に混在される潤滑油が減少するので、バルブの開放にともなって吐出口から吐出される圧縮空気の勢いが緩和される。
これにより、バルブの開放によって間欠吐出される潤滑油混じりの圧縮空気の吐出音の発生を抑制または防止することができる。そして、バルブの開放によって間欠的に放出される圧縮空気による圧力脈動が低減される。また、吐出口内と外部空間とを常時連通させるのではなく、バルブの開放前の所定の期間だけ連通させるので、バルブによるバキュームポンプのポンプ性能の向上や駆動トルクの低減等の効果が損なわれることを抑制することができる。
ここで、前記連通手段は、前記ロータ軸を回転自在に支持する軸受け部に形成され、この軸受け部の軸受け面と前記ポンプ室内とを連通する通路と、前記ロータ軸に形成され、このロータ軸の軸受け面と前記外部空間とを連通する通路とで構成され、前記軸受け部の通路と前記ロータ軸の通路とが、前記バルブの開放前の所定のタイミングで軸受け部分で互いに重なり合うように構成されている。
この構成によれば、バキュームポンプのロータ軸および軸受け部にそれぞれ通路を設けるだけでよく、しかも、その通路を溝や貫通孔で形成すれば、その加工は容易に行うことが可能である。そして、特別な装置を設けなくても、ポンプ室内と外部空間との連通を精度よいタイミングで行うことが可能である。したがって、簡単な構成でありながら、バルブの開放によって間欠吐出される潤滑油混じりの圧縮空気の吐出音の発生を抑制または防止することができる。そして、部品点数を増やすことなく、バキュームポンプのコンパクト化を図ることが可能になる。ここで、ロータ軸の通路と軸受け部の通路との間で、軸受け部分で互いに重なり合う部分の長さを調節することで、吐出音を低減させるのに必要な最小限の期間だけポンプ室内と外部空間とを連通させることが可能になる。
また、前記外部空間を内燃機関の動弁機構配置空間とすることが好ましい。これにより、バキュームポンプから吐出された潤滑油が内燃機関の動弁機構内の潤滑油として有効利用されることになる。
また、前記ロータ軸を内燃機関のバルブ開閉用のカムシャフトに連結することが好ましい。これにより、バキュームポンプの駆動源として内燃機関のカムシャフトの回転動力を利用することができ、バキュームポンプ専用の駆動源が不要となり、サイズ的、コスト的に有利となる。
本発明によれば、ポンプ室内の内圧の増減に応じて開閉するバルブが設けられたベーンタイプのバキュームポンプにおいて、バルブの開放によって間欠吐出される潤滑油混じりの圧縮空気の吐出音の発生を抑制または防止することが可能になる。
本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。本発明の一実施形態を図1〜図4に示している。この実施形態では、本発明に係るバキュームポンプを、車両に備えるブレーキブースタの負圧発生源として用いる例を挙げる。
まず、この実施形態において、本発明に係るバキュームポンプの設置対象の一例となる内燃機関の概略構成について、図4を用いて説明する。ただし、内燃機関の構成は、図4に示すものだけに限られない。
図4において、1はシリンダブロック、2はシリンダヘッド、3はシリンダヘッドカバー、4はピストン、5はコネクティングロッド、6はクランクシャフト、7は吸気用カムシャフト、8は排気用カムシャフト、9は吸気バルブ、10は排気バルブ、11はクランクシャフトスプロケット、12はカムスプロケット、13はタイミングチェーン、14はカムドライブギア、15はカムドリブンギアである。
このような図4に示す内燃機関においては、クランクシャフト6の回転駆動力が、クランクシャフトスプロケット11、カムスプロケット12、および、タイミングチェーン13を介して吸気用カムシャフト7に伝達され、さらに、この吸気用カムシャフト7から互いに噛み合うカムドライブギア14およびカムドリブンギア15を介して排気用カムシャフト8に伝達されるようになっている。
次に、内燃機関に設置されるバキュームポンプについて、図1〜図3を用いて説明する。
図1〜図3に示すように、吸気用カムシャフト7がシリンダヘッド2上の台座2aとこの台座2aにボルト止めされるカムキャップ16との間に回転自在に支持されている。この吸気用カムシャフト7の一端側でシリンダヘッド2に付設されるチェーンカバー17の外部には、バキュームポンプ20が取り付けられている。
バキュームポンプ20は、いわゆるベーンタイプのバキュームポンプとして構成されており、円筒状のポンプケース21の内周面に摺接するベーン23が、ポンプケース21の軸心に対し下方に偏心して設けられたロータ軸(回転軸)22に取り付けられた構成となっている。
ポンプケース21は、ベーン23が収容されるケース本体21aに、このケース本体21a内部の空間を密閉する蓋体21bが装着されて構成されている。ケース本体21aには、その背面側(内燃機関側)にチェーンカバー17の貫通孔17aに嵌合装着される取付部21cが設けられている。その嵌合面には、シール部材18が介装されている。また、ケース本体21aには、取付部21cの背面側に、ロータ軸22を回転自在に支持する軸受け部21dが設けられている。
ロータ軸22は、ポンプケース21のケース本体21a内に収容される部分(ケース側部分)22aと、ポンプケース21の背面側に突出した部分(機関側部分)22bとで構成される。ロータ軸22のケース側部分22aと機関側部分22bとは、互いに同一軸心上で一体的に設けられており、ケース側部分22aに比べ機関側部分22bが小径に形成されている。ロータ軸22のケース側部分22aは、その下部の外周面がケース本体21aの下部の内周面に摺接するように設けられている。ロータ軸22の機関側部分22bは、ケース本体21aの軸受け部21dに嵌め込まれている。なお、ロータ軸22のケース側部分22aの外周面がケース本体21aの内周面に摺接していなくても、僅かな隙間を隔てて近接する構成としてもよい。
そして、ロータ軸22の機関側部分22bは、チェーンカバー17の貫通孔17aを通って、吸気用カムシャフト7の一端に、例えば、オルダムカップリング式の結合部22d,7bを介して一体回転可能に連結されている。つまり、この実施形態では、吸気用カムシャフト7をバキュームポンプ20の駆動軸として利用するように構成されている。このように、バキュームポンプ20の駆動源として内燃機関の吸気用カムシャフト7の回転動力を利用することで、バキュームポンプ専用の駆動源が不要となり、サイズ的、コスト的に有利となる。
ロータ軸22のケース側部分22aには、ロータ軸22の径方向に沿って延びるベーン溝22cが形成されている。この実施形態では、ロータ軸22の直径部分にわたって形成されたベーン溝22cが1つ設けられている。このベーン溝22cに平板状のベーン23が1つ嵌め込まれている。そして、ベーン23は、ロータ軸22の径方向に沿って進退するように摺動自在に挿入されている。
ベーン23は、ロータ軸22の回転にともないベーン溝22cに対し進退移動するが、このとき、ベーン23の両端部のうち、ベーン溝22cからロータ軸22のケース側部分22aの径方向外側に突出した端部がケース本体21aの内周面に摺接するようになっている。また、ベーン23の両側面がケース本体21aの内側面および蓋体21bの内面にそれぞれ摺接するようになっている。このように、ベーン23によって、ケース本体21a内の空間が2つのポンプ室24,24に区画されている。
ポンプケース21のケース本体21aの下部には、圧縮空気吐出用の吐出口26が設けられている。この吐出口26は、チェーンカバー17の貫通孔17aからシリンダヘッド2の外壁面とチェーンカバー17の内壁面との間の空間内(チェーンケース19内)に露呈する状態になっている。なお、この実施形態では、ケース本体21aの軸受け部21dに後述する貫通孔21gを設ける関係上、ケース本体21aの吐出口26の設けられる部分21eが、内燃機関側に張り出して形成されている。つまり、ケース本体21aの軸受け部21dの下方に吐出口26の設けられる部分21eが形成されている。
吐出口26には、バキュームポンプ20のポンプ室24における圧縮空気の圧力(内圧)の増減に応じて開閉するバルブ27が取り付けられている。バルブ27としては、例えば、リードバルブ等のように、金属板27aがその付け根側から撓むことで吐出口26を開くものが採用される。図1、図2において、吐出口26を閉じるように金属板27aが真っ直ぐな状態(バルブ27の閉鎖状態)を示しているが、逆に、バルブ27の開放状態では吐出口26を開くように金属板27aが撓んだ姿勢になる。バキュームポンプ20において、吐出口26を常時開放せずに、上述のようなバルブ27を設けて吐出口26を間欠的に開放することによって、ポンプ室24の気密性ならびに潤滑油の密封性を高めて、ポンプ性能を向上させるとともに、駆動トルクを軽減することが可能になる。
ポンプケース21のケース本体21aの側部には、負圧取り出し用の吸入口が形成されており、この吸入口にはノズル28が設けられている。ノズル28には、例えば、負圧を必要とする機器(この実施形態ではブレーキブースタ)に接続されたホース等が連結される。こうして、バキュームポンプ20のポンプ室24が、負圧を必要とする機器に連通される。
そして、ロータ軸22の回転にともないベーン23が回転すると、バキュームポンプ20のポンプ室24,24のうち一方が拡張し、他方が収縮する。これにともなって、一方のポンプ室24にノズル28を介して空気が吸入されるとともに、他方のポンプ室24の圧縮空気が吐出口26を介してチェーンケース19内(シリンダヘッドカバー3内)に排出される。
吸気用カムシャフト7には、例えば、そのジャーナル部を支持する軸受け部分等に潤滑油を供給するための油通路7aが設けられている。この油通路7aは、バキュームポンプ20のロータ軸22の機関側部分22bに形成されている油通路22jに連通連結されている。油通路22jは、ロータ軸22のケース側部分22aまで延びており、ベーン溝22cに開口されている。また、ロータ軸22の機関側部分22bには、油通路22jから分岐して機関側部分22bの外周面(軸受け面)まで延びる油通路22kが形成されている。これらの油通路7a,22j,22kを介して、バキュームポンプ20において、ロータ軸22の軸受け部分、ベーン23等の摺接部分に潤滑油が供給されるようになっている。これにより、バキュームポンプ20のポンプ室24の気密性が確保され、ロータ軸22の軸受け部分、ベーン23等の摺接部分の潤滑性が確保されるようになっている。このようにして、ポンプ室24に供給された潤滑油は、ポンプ室24内で空気とともに混在する。そして、ベーン23の回転にともなって、空気とともに吐出口26から吐出(排出)される。
上述のような構成のバキュームポンプ20は次のように動作する。内燃機関の吸気用カムシャフト7が回転すると、バキュームポンプ20のロータ軸22が図3の矢印に示す方向に回転駆動されて、このバキュームポンプ20が負圧を発生する。この負圧は、車両のブレーキブースタに利用される。そして、バキュームポンプ20による負圧発生にともないバキュームポンプ20の一方のポンプ室24の内圧が上昇して所定の圧力に到達すると、バルブ27が開放されて潤滑油混じりの圧縮空気が吐出口26から外部(チェーンケース19内)に勢いよく吐出される。この圧縮空気の吐出は、バルブ27の開閉にともない間欠的に行われることになる。
そして、この実施形態では、潤滑油混じりの圧縮空気の間欠吐出にともなう吐出音の発生を抑制または防止するために、次のような構成を採用している。
まず、簡単に説明すれば、バキュームポンプ20には、バルブ27の開放前の所定のタイミングでポンプ室24内とチェーンケース19内とを連通させて、バルブ27の開放前にポンプ室24内の潤滑油混じりの圧縮空気をチェーンケース19内に吐出する連通手段が設けられている。この連通手段は、軸受け部21dに形成され、この軸受け部21dの内周面(軸受け面)とポンプ室24内とを連通する通路と、ロータ軸22に形成され、このロータ軸22の機関側部分22bの外周面(軸受け面)と内燃機関のチェーンケース19内とを連通する通路とによって構成されている。そして、軸受け部21dに形成される上記通路と、ロータ軸22に形成される上記通路とが、ロータ軸22の回転にともなってバルブ27の開放前の所定のタイミングで軸受け部分の内外で互いに重なり合うように構成されている。
以下、具体的に説明すれば、ポンプケース21のケース本体21aの軸受け部21dの内周面(軸受け面)には、周方向に沿って延びる溝21fが形成されている。この溝21fには、軸受け部21dの外周側に延びる貫通孔21gが連通されている。この貫通孔21gは、ケース本体21aの吐出口26の設けられる部分21eまで延びており、吐出口26内(ポンプ室24内)に連通されている。つまり、溝21fと貫通孔21gとを介して、吐出口26内と軸受け部21dの内周面とが連通している。このように、溝21fと貫通孔21gとが、軸受け部21dに形成される上記通路になっている。
ロータ軸22の機関側部分22bには、その外周面(軸受け面)に形成された開口22gと、内燃機関側の軸端面に形成された開口22hとを連通する貫通孔22fが形成されている。この貫通孔22fは、ロータ軸22の機関側部分22bに2箇所設けられており、ロータ軸22の軸心に関して互いに対称な位置に設けられている。つまり、貫通孔22fを介して、外部(チェーンケース19内)とロータ軸22の機関側部分22bの外周面とが連通している。このように、2つの貫通孔22f,22fが、ロータ軸22に形成される上記通路になっている。
ケース本体21aの軸受け部21dの内周面に形成された溝21fと、ロータ軸22の機関側部分22bの外周面に形成された開口22gとは、ロータ軸22の機関側部分22bを軸受け部21dに嵌合した状態で、軸方向の位置が互いに重なり合う位置に設けられている。したがって、ロータ軸22が1回転すると、軸受け部21dの内周面の溝21fと、ロータ軸22の機関側部分22bの外周面の開口22gとが、軸受け部分の内外で互いに重なり合うタイミングが2度ある。このタイミングで、吐出口26内(ポンプ室24内)と、内燃機関のチェーンケース19内とが連通される。
この連通によって、バルブ27が開放されていなくても、ポンプ室24内の潤滑油混じりの圧縮空気が、吐出口26、貫通孔21g、溝21f、貫通孔22fを通過して、チェーンケース19内に吐出される。このような潤滑油混じりの圧縮空気の吐出は、ロータ軸22が1回転するたびに2度行われる。詳しくは、ロータ軸22が1回転するたびに、2つのポンプ室24,24からそれぞれ1度ずつ上記吐出が行われるようになっている。
そして、上述のような潤滑油混じりの圧縮空気の吐出は、バルブ27の開放前のタイミングで行われるようになっている。この吐出タイミングは、軸受け部21dの内周面の溝21fの始端位置、終端位置、長さ(始端位置から終端位置までの周方向に沿った長さ)によって設定される。この場合、ロータ軸22の回転により、機関側部分22bの外周面の開口22gが軸受け部21dの内周面の溝21fの始端位置に重なり合ったタイミングで上記吐出が開始され、所定の期間だけ上記吐出が行われた後、開口22gが溝21fの終端位置に重なり合ったタイミングで上記吐出が終了される。
この実施形態では、上記吐出の終了タイミングがバルブ27の開放直前となるように、溝21fの終端位置が設定されている。言い換えれば、バルブ27の開放時には、溝21fと開口22gとが重なり合わないように、溝21fの終端位置が設定されている。そして、そのようにして設定される溝21fの終端位置を基準として、上記吐出が所定の期間だけ行われるような位置に、溝21fの始端位置が設定されている。溝21fの最適な始端位置および終端位置は、実験・計算等により経験的に求めることができる。図3に、軸受け部21dの溝21fと、ロータ軸22の貫通孔22fとの位置関係の一例を示している。図3は、チェーンケース19側から見たケース本体21aの軸受け部21d、ロータ軸22の機関側部分22b等を示している。なお、上記吐出の終了タイミングを制限するのは、バルブ27が開放されると、潤滑油混じりの圧縮空気が吐出口26から直接チェーンケース19内に吐出されるため、上記吐出を必ずしも継続して行う必要がなくなるからである。
バキュームポンプ20には上述したような連通手段が設けられているので、次のような効果が得られる。
バキュームポンプ20では、吐出口26にリードバルブ等のようなバルブ27が設けられているので、上記吐出が行われない場合には、バルブ27の開放直前にポンプ室24の内圧が急上昇し、バルブ27の開放とともに大きな吐出音が発生することになる。ここで、そのようなポンプ室24の内圧の急上昇を避けるには、バルブ27のシート面に切り込み等を設けて、吐出口26内と内燃機関のチェーンケース19内とを連通することが考えられる。しかし、この場合、吐出音を十分に低減させるには切り込み等を大きくする必要があるため、バキュームポンプ20のポンプ性能の向上や駆動トルクの低減のために設けたバルブ27の効果が大幅に損なわれてしまうことになる。
この実施形態では、バルブ27の開放前に潤滑油混じりの圧縮空気がチェーンケース19内に吐出されるので、図5に示すように、バルブ27の開放直前のポンプ室24の内圧の急上昇を避けることができる。図5は、バキュームポンプ20のベーン23の回転位置(ポンプベーン角度)とポンプ室24の内圧(ポンプ内圧)との関係について示している。図5において、破線Aはこの実施形態の場合、実線Bは上述のバルブ27のシート面に切り込み等を設けて常時連通した場合、実線Cは従来の連通なしの場合をそれぞれ示している。
ここで、チェーンケース19内に吐出される圧縮空気には、バルブ27の開放時に吐出口26から吐出される圧縮空気に比べて潤滑油が多く含まれている。つまり、遠心力によってポンプ室24内で径方向外側の部分に偏って存在している潤滑油がバルブ27の開放に先行してチェーンケース19内に吐出される。また、この実施形態では、ケース本体21aにおいて、吐出口26の設けられる部分21eが軸受け部21dの下方に設けられており、吐出口26内に潤滑油が溜まりやすい構造になっている。そして、吐出口26内に溜まった潤滑油がバルブ27の開放に先行してチェーンケース19内に吐出されるようになっている。このように、潤滑油がバルブ27の開放に先行して吐出されることで、ポンプ室24の圧縮空気に混在される潤滑油が減少するので、バルブ27の開放にともなって吐出口26から吐出される圧縮空気の勢いが緩和されることになる。
これにより、バルブ27の開放によって間欠吐出される潤滑油混じりの圧縮空気の吐出音の発生を抑制または防止することができる。また、吐出口26内と内燃機関のチェーンケース19内とを常時連通させるのではなく、バルブ27の開放前の所定の期間だけ連通させるので、バルブ27によるバキュームポンプ20のポンプ性能の向上や駆動トルクの低減等の効果が損なわれることを抑制することができる。ここで、軸受け部21dの内周面の溝21fの長さを調節することで、吐出音を低減させるのに必要な最小限の期間だけ吐出口26内と内燃機関のチェーンケース19内とを連通させることが可能になる。
また、バルブ27の開放によって間欠的に放出される圧縮空気による圧力脈動が低減される。このため、内燃機関のシリンダヘッドカバー3、チェーンカバー17等のカバーを薄肉化、軽量化している場合であっても、内燃機関の外部への異音の漏洩を抑制または防止することができる。したがって、シリンダヘッドカバー3、チェーンカバー17等のカバーの薄肉化、軽量化を妨げることがなくなる等、内燃機関の開発自由度を拡大することが可能になり、好ましい。
また、バキュームポンプ20のロータ軸22に貫通孔22f、軸受け部21dに溝21fおよび貫通孔21gをそれぞれ設けるだけでよく、しかも、ロータ軸22や軸受け部21dへの孔加工や溝加工は容易に行うことが可能である。そして、特別な装置を設けなくても、吐出口26内と内燃機関のチェーンケース19内との連通を精度よいタイミングで行うことが可能である。したがって、簡単な構成でありながら、バルブ27の開放によって間欠吐出される潤滑油混じりの圧縮空気の吐出音の発生を抑制または防止することができる。そして、部品点数を増やすことなく、バキュームポンプ20のコンパクト化を図ることが可能になる。加えて、バキュームポンプ20から吐出された潤滑油が、内燃機関の動弁機構内の潤滑油として有効利用されることになり、好ましい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜の応用例や変形例が考えられる。
上記実施形態では、ロータ軸22に取り付けられた1つのベーン23によって、2つのポンプ室24,24がバキュームポンプ20に設けられていたが、ロータ軸22に取り付けられるベーンの数は適宜変更することができる。この場合、ベーンの数に応じてバキュームポンプのポンプ室の数が変更されるため、そのポンプ室の数に応じて、ロータ軸22の機関側部分22bの外周面と内燃機関のチェーンケース19内とを連通する通路の数を変更すればよい。例えば、ロータ軸22にベーンが3つ取り付けられる場合、ポンプ室は3つ形成されるため、ロータ軸22に形成される通路、つまり、貫通孔22fを3つ形成すればよい。
上記実施形態では、連通手段としての通路が、ロータ軸22に形成される貫通孔22fと軸受け部21dに形成される溝21fおよび貫通孔21gとであったが、軸受け部21dに貫通孔だけを形成し、ロータ軸22に溝および貫通孔を形成してもよいし、あるいは、ロータ軸22および軸受け部21dの双方に溝および貫通孔を形成してもよい。また、連通手段としての通路を貫通孔や溝以外の構成としてもよい。
上記実施形態では、ポンプケース21のケース本体21aの吐出口26の設けられる部分21eが軸受け部21dの下方まで延びる形状になっていたが、この形状は、ポンプ室24内が貫通孔21gを介して軸受け部21dの軸受け面に連通され、ポンプ室24内の圧縮空気が吐出口26から外部に吐出される構成であれば、特に限定されない。
上記実施形態では、バキュームポンプ20の駆動源として吸気用カムシャフト7の回転駆動力を利用しているが、排気用カムシャフト8の回転駆動力を利用することも可能であり、また、それらとは別の駆動源を利用するように構成してもよいし、あるいは、バキュームポンプ20自体に駆動源を装備する構成としてもよい。
本発明に係るバキュームポンプ20の使用対象は、車両のブレーキブースタのみに限定されず、負圧が必要となる適宜の機械等とすることができる。
2 シリンダヘッド
3 シリンダヘッドカバー
7 吸気用カムシャフト
17 チェーンカバー
19 チェーンケース
20 バキュームポンプ
21 ポンプケース
21a ケース本体
21d 軸受け部
21f 溝
21g 貫通孔
22 ロータ軸
22a ケース側部分
22b 機関側部分
22c ベーン溝
22f 貫通孔
23 ベーン
24 ポンプ室
26 吐出口
27 バルブ
3 シリンダヘッドカバー
7 吸気用カムシャフト
17 チェーンカバー
19 チェーンケース
20 バキュームポンプ
21 ポンプケース
21a ケース本体
21d 軸受け部
21f 溝
21g 貫通孔
22 ロータ軸
22a ケース側部分
22b 機関側部分
22c ベーン溝
22f 貫通孔
23 ベーン
24 ポンプ室
26 吐出口
27 バルブ
Claims (4)
- ロータ軸に設けられたベーン溝にロータ軸の径方向に摺動自在に取り付けられたベーンを備えるベーンタイプのバキュームポンプであって、
負圧発生にともない前記ベーンによって区画されるポンプ室内の潤滑油混じりの圧縮空気を外部空間に吐出し、その潤滑油混じりの圧縮空気が吐出される吐出口には、前記ポンプ室内の内圧の増減に応じて開閉するバルブが設けられたバキュームポンプにおいて、
前記バルブの開放前の所定のタイミングでポンプ室内と外部空間とを連通させて、ポンプ室内の潤滑油混じりの圧縮空気を前記バルブの開放前に外部に吐出する連通手段が設けられていることを特徴とするバキュームポンプ。 - 前記連通手段は、前記ロータ軸を回転自在に支持する軸受け部に形成され、この軸受け部の軸受け面と前記ポンプ室内とを連通する通路と、前記ロータ軸に形成され、このロータ軸の軸受け面と前記外部空間とを連通する通路とで構成され、
前記軸受け部の通路と前記ロータ軸の通路とが、前記バルブの開放前の所定のタイミングで軸受け部分で互いに重なり合うことを特徴とする請求項1に記載のバキュームポンプ。 - 前記外部空間は、内燃機関の動弁機構配置空間であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバキュームポンプ。
- 前記ロータ軸は、内燃機関のバルブ開閉用のカムシャフトに連結されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のバキュームポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006264822A JP2008082282A (ja) | 2006-09-28 | 2006-09-28 | バキュームポンプ |
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JP2006264822A JP2008082282A (ja) | 2006-09-28 | 2006-09-28 | バキュームポンプ |
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JP (1) | JP2008082282A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014148936A (ja) * | 2013-02-01 | 2014-08-21 | Suzuki Motor Corp | バキュームポンプの取付構造 |
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CN109923313A (zh) * | 2016-11-03 | 2019-06-21 | 大丰工业株式会社 | 叶片泵 |
-
2006
- 2006-09-28 JP JP2006264822A patent/JP2008082282A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN109891098B (zh) * | 2016-11-03 | 2020-12-08 | 大丰工业株式会社 | 叶片泵 |
US11306718B2 (en) | 2016-11-03 | 2022-04-19 | Taiho Kogyo Co., Ltd. | Vane pump |
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