JP4168450B2 - バルブタイミング調整装置 - Google Patents
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Description
請求項4記載の発明では、第二回転部材はベーンの周方向の端部に溝部を有している。これにより、例えばベーンのシール部材と進角油圧室または遅角油圧室との間の距離が小さいときでも、溝部を設置するための部位が確保される。したがって、ベーンの大型化を招くことなく、空気を確実に排出することができる。
請求項6または7記載の発明では、第一回転部材または第二回転部材は大気通路を有している。したがって、部品点数の増大を招くことなく、簡単な構成で空気抜き通路を形成することができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置をエンジンの吸気弁に適用した例を図1および図2に示す。本実施形態のバルブタイミング調整装置10は、油圧制御式であり、吸気弁のバルブタイミングを調整する。
ロータ20は、ベーン22に溝部65を有している。溝部65は、ベーン22のチェーンスプロケット12側の端面からプレートハウジング14側へ窪んで形成されている。溝部65は、プレートハウジング14と反対側がチェーンスプロケット12により覆われている。これにより、ロータ20のベーン22とチェーンスプロケット12とは、空気抜き通路67を形成している。溝部65は、ベーン22の穴部26よりも遅角油圧室41側に位置している。溝部65は、ロータ20の周方向においてベーン22の中間部に形成されている。そのため、溝部65が形成する空気抜き通路67は、遅角油圧室41と受圧室64との間に位置する。溝部65は、ロータ20の径方向にベーン22の径方向外側の端部から中心側へ伸びて形成されている。溝部65の外周側の端部は、ベーン22の径方向外側の先端に開放している。なお、溝部65の外周側の端部は、ベーン22の径方向の途中で閉塞していてもよい。本実施形態の場合、ベーン22とチェーンスプロケット12との間に形成されるスラスト隙間は、数十μmである。また、進角油圧室31、32、33、34および遅角油圧室41、42、43、44に供給される作動油は、数百kPa程度の油圧を有している。このとき、溝部65によって形成される空気抜き通路67の断面積S1は、数mm2程度である。
エンジンが停止しているとき、作動油を供給するオイルポンプも停止している。そのため、進角油圧室31、32、33、34および遅角油圧室41、42、43、44に供給されている作動油は、ハウジング11とロータ20との隙間などを経由してドレインへ流出する。これにより、進角油圧室31、32、33、34、遅角油圧室41、42、43、44およびこれらに接続する配管部には、作動油と空気とが混在した状態となる。また、エンジンを停止するとき、ロータ20は最も遅角側へ移動するとともに、ストッパピストン60は凹部62へはまり込む。これにより、エンジンの始動時には吸気弁のバルブタイミングは最も遅角側へ変位され、始動性の向上が図られる。
本発明の第2実施形態によるバルブタイミング調整装置を図3に示す。なお、第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第2実施形態では、図3に示すようにロータ20のベーン22は、周方向において遅角油圧室41側の端部に空気抜き通路67を形成する溝部65を有している。これにより、遅角油圧室41の作動油とともに存在する空気は、空気抜き通路67および大気通路68を経由して大気へ排出される。第2実施形態では、ベーン22の周方向における長さが短いときでも、ベーン22に溝部65を設置することができる。また、遅角油圧室41の作動油とともに存在する空気は、ロータ20とチェーンスプロケット12との間のスラスト隙間へ流入する前に空気抜き通路67へ流入する。したがって、遅角油圧室41から受圧室64への空気の流入を防止することができる。
本発明の第3実施形態によるバルブタイミング調整装置を図4および図5に示す。なお、第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第3実施形態では、図4に示すバルブタイミング調整装置は排気弁のバルブタイミングを調整する。排気弁のバルブタイミングを調整する場合、エンジン始動時におけるロータ20の初期位置は最も進角側に位置する。そのため、ロータ20が最も進角側に位置したとき、ストッパピストン60は凹部62にはまり込む。また、エンジン始動時、オイルポンプは進角油圧室31に作動油を供給する。これにより、進角油圧室31の作動油とともに空気が存在すると、その空気が受圧室64へ流入するおそれがある。したがって、第3実施形態では、進角油圧室31と受圧室64との間に空気抜き通路67が位置している。そのため、ベーン22は、穴部26よりも進角油圧室31側に溝部65を有している。空気抜き通路67は、第1実施形態と同様にベーン22を軸方向に貫いている大気通路68に接続している。
また、第3実施形態では、図5に示すように第2実施形態と同様に溝部65はベーン22の進角油圧室31側の端部に形成してもよい。
本発明の第4実施形態によるバルブタイミング調整装置を図6および図7に示す。なお、第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第4実施形態では、図6に示すようにチェーンスプロケット12は軸方向に貫く大気通路18を有している。大気通路18は、一方の端部がチェーンスプロケット12のロータ20側の端面に開口し、他方の端部が大気に開放している。バルブタイミング調整装置10を吸気弁のバルブタイミングの調整に適用する場合、ロータ20が最も遅角位置にあるとき、ベーン22に形成されている溝部65はチェーンスプロケット12のロータ20側の端面に開口する大気通路18に接続する。これにより、ロータ20が最も遅角位置にあるとき、空気抜き通路67は大気通路18を接続する。そのため、遅角油圧室41の作動油とともに存在する空気は、空気抜き通路67および大気通路18を経由して大気に排出される。
本発明の第5実施形態によるバルブタイミング調整装置を図8に示す。
第5実施形態では、図8に示すようにバルブタイミング調整装置110は、第一回転部材としてのハウジング111を備えている。ハウジング111は、チェーンスプロケット112およびハウジング本体113を有している。ハウジング本体113は、側部114と底部115とが一体のカップ状に形成されている。チェーンスプロケット112とハウジング本体113とは、ボルト116により同軸上に固定されている。
ロータ120のベーン122は、軸方向に貫く穴部123を有している。穴部123には、ストッパ部材としてのストッパピストン160が収容されている。ハウジング本体113は、底部115のロータ120と対向する端面側に凹部162を有している。凹部162は、底部115のロータ120と対向する端面からロータ120とは反対側へ窪んで形成されている。すなわち、第5実施形態では、ストッパピストン160は、ハウジング本体113の底部115に形成されている凹部162にはまり込む。これにより、ストッパピストン160とハウジング本体113の底部115との間に受圧室164が形成される。
Claims (8)
- 内燃機関の駆動軸から吸気弁または排気弁の少なくともいずれか一方を開閉駆動する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設置され、前記吸気弁または前記排気弁の少なくともいずれか一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
一方の面側に受圧室を形成する凹部を有し、前記駆動軸または前記従動軸の一方と回転する第一回転部材と、
前記第一回転部材の前記凹部を有する面側と対向して設置され、前記駆動軸または前記従動軸の他方とともに前記第一回転部材と相対的に回転可能であって、前記第一回転部材との間に進角油圧室および遅角油圧室を形成する第二回転部材と、
前記第二回転部材に軸方向へ往復移動可能に設置され、前記凹部にはまり込むことにより、前記第一回転部材と前記第二回転部材との相対的な回転を拘束するストッパ部材とを備え、
前記第一回転部材と前記第二回転部材とは、前記進角油圧室または前記遅角油圧室と前記受圧室との間に、大気に開放されている大気通路と接続される空気抜き通路を形成していることを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - 前記第一回転部材は、前記第二回転部材との間に前記空気抜き通路を形成する溝部を有することを特徴とする請求項1記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記第二回転部材は、前記第一回転部材との間に前記空気抜き通路を形成する溝部を有することを特徴とする請求項1記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記第二回転部材は前記進角油圧室と前記遅角油圧室とを区画するベーンを有し、前記ベーンは周方向の端部に前記溝部を有することを特徴とする請求項3記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記第二回転部材は前記進角油圧室と前記遅角油圧室とを区画するベーンを有し、前記ベーンは周方向の中間部に前記溝部を有することを特徴とする請求項3記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記第一回転部材は、前記大気通路を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記第二回転部材は、前記大気通路を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記空気抜き通路の断面積S1は、前記大気通路の断面積をS2とすると、S1≦S2であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載のバルブタイミング調整装置。
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