JP2008183993A - エアバッグ装置 - Google Patents

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Tsukasa Sugiyama
つかさ 杉山
Shigeyuki Suzuki
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Abstract

【課題】エアバッグが頭部から受ける荷重を、乗員の大腿部の特定の箇所に集中させることなく適正にその大腿部に伝達することのできるエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】シートベルト装置15のショルダベルト部16Aの前方近傍に、車両への衝撃に応じて前傾する乗員Pの頭部Phを、前側ほど高くなるように傾斜した傾斜面26にて受け止める頭部受け部25を設ける。また、膨張状態のエアバッグ21として、乗員Pの大腿部Ptの上方近傍で水平方向に広がる底面22Aを有する基部22と、基部22の略前端部から起立し、隔壁を有しない内部空間を通じて、上記頭部受け部25が受けた荷重を基部22に伝達する1つの荷重伝達部23とを備えるものを用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、シートベルト装置に収納されたエアバッグを、車両への衝撃に応じて前傾する乗員の頭部と大腿部との間で膨張させて頭部を保護するようにしたエアバッグ装置に関するものである。
車両の乗員保護装置として、例えば特許文献1には、乗員を車両用シートに拘束するシートベルト装置にエアバッグを収納しておき、車両の前突時にエアバッグを、前傾する乗員の頭部と大腿部との間で膨張させることにより、乗員を保護するようにしたものが記載されている。また、この特許文献1には次の3つの態様が記載されている。
第1態様:この態様では、内部空間が仕切られていない単一のエアバッグが用いられ、このエアバッグがシートベルト装置のショルダベルト部に収納されている。
そして、車両前突時には、インフレータからのガスによりエアバッグが乗員の大腿部及び頭部間で縦長に膨張する。そのため、前突時の慣性により乗員が前傾して頭部がエアバッグの上端部に接触すると、その接触に伴いエアバッグが頭部から受ける荷重はエアバッグの下端部を通じて乗員の大腿部に伝達されて、その大腿部によって受け止められる。
第2態様:この態様では、内部空間が仕切られていないエアバッグ(上方エアバッグ、下方エアバッグ)が2つ用いられ、上方エアバッグがショルダベルト部に収納され、下方エアバッグがシートベルト装置のラップベルト部に収納されている。
そして、車両前突時には、インフレータからのガスが上方エアバッグ及び下方エアバッグのそれぞれに供給される。これらのガス供給により、上方エアバッグが乗員の頭部近傍で膨張するとともに、下方エアバッグが上記上方エアバッグと乗員の大腿部との間で膨張する。このため、乗員が前傾して頭部が上方エアバッグに接触すると、その接触に伴い上方エアバッグが頭部から受ける荷重は下方エアバッグを介して乗員の大腿部に伝達されて、同大腿部によって受け止められる。
第3態様:この態様では、内部が隔壁により2つのチャンバ(上部チャンバ、下部チャンバ)に仕切られた単一のエアバッグが用いられ、このエアバッグがショルダベルト部に収納されている。隔壁には、上下両チャンバ間を連通させる連通部が設けられている。
そして、車両前突時には、インフレータからのガスはまず上部チャンバに供給され、連通部を通って下部チャンバに供給される。このガス供給により、まず上部チャンバが乗員の頭部近傍で膨張し、それから若干遅れて下部チャンバが乗員の大腿部の上方近傍で膨張する。このため、乗員が前傾して頭部がエアバッグの上部に接触すると、その接触に伴いエアバッグが頭部から受ける荷重は、上部チャンバ及び隔壁を通じて下部チャンバに伝達された後、エアバッグの下部を通じて乗員の大腿部に伝達されて、同大腿部によって受け止められる。
特開2006−44614号公報
ところが、上記第1態様では、縦長に膨張したエアバッグの下端部が乗員の大腿部に接触することから、エアバッグの大腿部との接触箇所の面積が小さい。エアバッグが頭部から受けた荷重が、この接触箇所を通じて大腿部に伝達される。そのため、上記荷重が大腿部の特定の狭い箇所(接触箇所)に集中して加わる。表現を変えると、大腿部の特定の箇所にのみ大きな荷重が加わる。
また、上記第2態様では、上方エアバッグが頭部から受けた荷重が、下方エアバッグとの接触部分を通じて同下方エアバッグに伝達される。この際、上記荷重が上記接触部分の前部に集中して加わり、上方エアバッグが前方へ倒れるように変形(座屈)したり、上方エアバッグが下方エアバッグ上を前方へ滑ったりするおそれがある。この場合には、上方エアバッグが頭部から受けた荷重が下方エアバッグ、ひいては大腿部に適正に伝達されない懸念がある。
さらに、上記第3態様では、車両前突時に上部チャンバ及び下部チャンバにおいて、上記第2態様における上方エアバッグ及び下方エアバッグと同様の現象が生ずる。すなわち、上部チャンバが頭部から受けた荷重が隔壁の前部に集中して加わり、上部チャンバが前方へ倒れるように変形(座屈)するおそれがある。この場合、上部チャンバが頭部から受けた荷重が下部チャンバ、ひいては大腿部に適正に伝達されない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、エアバッグが頭部から受ける荷重を、乗員の大腿部の特定の箇所に集中させることなく適正にその大腿部に伝達することのできるエアバッグ装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、エアバッグをシートベルト装置に収納し、車両前方からの衝撃に応じてインフレータから噴出されるガスを前記エアバッグに供給し、前記シートベルト装置により車両用シートに拘束された乗員の頭部及び大腿部間で同エアバッグを膨張させるようにしたエアバッグ装置であり、前記シートベルト装置のショルダベルト部の前方近傍には、前記衝撃に応じて前傾する前記乗員の頭部を、前側ほど高くなるように傾斜した傾斜面にて受ける頭部受け部を設けるとともに、膨張状態の前記エアバッグが、前記乗員の大腿部の上方近傍で水平方向に広がる底面を有する基部と、前記基部の前端部から起立し、隔壁を有しない内部空間を通じて、前記頭部受け部が受けた荷重を前記基部に伝達する1つの荷重伝達部とを備えることを要旨とする。ここで、「水平方向に広がる底面」には、水平面が含まれるほか、水平面に対し若干傾斜した面も含まれるものとする。
上記の構成によれば、シートベルト装置により乗員が車両用シートに拘束された車両に対し、前突等により前方から衝撃が加わると、シートベルト装置に収納されたエアバッグにインフレータからガスが供給される。このガスにより、エアバッグが乗員の頭部及び大腿部間で膨張する。この膨張状態では、車両用シートにおけるショルダベルト部の前方近傍、すなわち、乗員の上半身の前方近傍に頭部受け部が位置している。また、乗員の大腿部の上方近傍には基部の底面が水平方向に広がっている。さらに、基部の前端部からは荷重伝達部が起立している。
従って、上記衝撃に応じて乗員が慣性により前傾すると、頭部がその前方に位置する頭部受け部に接触する。この接触に伴い頭部から頭部受け部に加わる荷重は、エアバッグにおける荷重伝達部及び基部を通じて乗員の大腿部に伝達され、同大腿部で受け止められる。
この荷重の伝達に際し、エアバッグは、基部中、水平方向に広がる底面において乗員の大腿部に接触する。このため、エアバッグの基部を通じて大腿部に伝達される単位面積当たりの荷重は小さなものとなる。
ここで、エアバッグの前部には乗員の頭部から受ける前方への荷重が集中して加わる。仮に、エアバッグにおいて荷重が集中して加わる部分(前部)に、上記特許文献1のように上下一対のエアバッグの接触部分や隔壁が存在すると、これらの接触部分や隔壁よりも上側の部分で意図しない変形が生じて、これが荷重の大腿部への伝達を阻害する。
この点、請求項1に記載の発明では、エアバッグの前部は1つの荷重伝達部によって構成されている。しかも、荷重伝達部には、その内部空間を仕切る隔壁が設けられていない。そのため、エアバッグが乗員の頭部から受ける荷重は阻害されることなく適正に乗員の大腿部に伝達される。
さらに、頭部受け部において乗員の頭部を受ける箇所が前側ほど高くなるように傾斜した傾斜面とされている。そのため、乗員の頭部が傾斜面に接触することにより、頭部受け部には斜め前下方へ向かう荷重が加わることとなり、同荷重が荷重伝達部を介して基部及び大腿部に効率よく伝達される。
上記頭部受け部は、請求項2に記載の発明によるように、その全体が前記エアバッグの一部として形成されたものであってもよい。また、上記頭部受け部は、請求項3に記載の発明によるように、前記エアバッグの膨張時に前記荷重伝達部の上端部と前記基部の後端部又は前記シートベルト装置のラップベルト部との間で張設される布帛又は網からなるものであってもよい。さらに、上記頭部受け部は、請求項4に記載の発明によるように、膨張状態の前記エアバッグの一部として、前記基部の略後端部から起立し、かつ前記荷重伝達部よりも高さの低い補助受け部と、前記エアバッグの膨張時に前記荷重伝達部の上端部及び前記補助受け部の上端部間で張設される布帛又は網からなる主受け部とを備えるものであってもよい。
頭部受け部として上記いずれの構成を採用した場合にも、前傾した乗員の頭部を受けることができ、請求項1に記載の発明の効果を確実なものとすることができる。
そのほかにも、請求項2に記載の発明では、エアバッグの製造に際し頭部受け部が基部及び荷重伝達部と一緒に形成されるため、頭部受け部がエアバッグとは別に設けられる場合に比べ、エアバッグ装置の製造工程の簡素化を図ることができる利点がある。
また、請求項3に記載の発明では、頭部受け部を薄く形成して、エアバッグ装置の小型化を図ることができる利点がある。
請求項5に記載の発明は、請求項2又は請求項4に記載の発明において、前記荷重伝達部及び前記頭部受け部は、前記エアバッグ内に設けられた隔壁により仕切られており、前記荷重伝達部は前記頭部受け部よりも高い内圧で膨張させられることを要旨とする。
ここで、乗員の耐衝撃性は体格に応じて異なり、一般には、小柄な乗員の方が大柄な乗員よりも耐衝撃性が低い。また、エアバッグにおいては、内圧の低い方が高い場合よりも、乗員の頭部に及ぼす衝撃が大きい。しかし、エアバッグの内圧を過度に低くすれば、頭部との接触によりエアバッグに加わる荷重を大腿部に伝達する機能が充分に発揮されなくなる。この不具合は、荷重が大きくなる大柄な乗員の場合に問題となる。これらのことから、大柄な乗員の場合にはエアバッグのうち内圧の高い箇所で受け、小柄な乗員の場合には内圧の低い箇所で受けることが望ましい。
一方、乗員が前傾した場合にエアバッグにおいて頭部が接触する箇所は、乗員の体格に応じて異なる。接触箇所は、小柄な乗員の場合にはその乗員に近い側の箇所であり、大柄な乗員の場合には荷重伝達部に近い側の箇所である。
この点、請求項5に記載の発明では、頭部受け部が低い内圧で膨張させられ、荷重伝達部が高い内圧で膨張させられる。そのため、小柄な乗員の場合には、頭部受け部との接触に伴い頭部が受ける衝撃を小さくしつつ、頭部から頭部受け部に加わる荷重を大腿部に確実に伝達することが可能となる。また、大柄な乗員の場合には、内圧の高い荷重伝達部に近い側の箇所で乗員の頭部を受け、しかも頭部から頭部受け部に加わる荷重を大腿部に確実に伝達することができる。このように、乗員の体格差による耐衝撃性に応じた内圧で膨張した頭部受け部が頭部に接触することとなり、体格に拘わらず乗員を衝撃から有効に保護することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記隔壁には、前記荷重伝達部及び前記頭部受け部間を連通させる連通部が設けられており、前記荷重伝達部は、前記連通部を、前記インフレータから供給されたガスの流出部とする一方、前記頭部受け部は、前記連通部を、前記荷重伝達部からのガスの流入部とするものであることを要旨とする。
上記の構成によれば、隔壁に設けられた連通部は、荷重伝達部ではガスの流出部として機能し、頭部受け部ではガスの流入部として機能する。そのため、エアバッグの膨張に際し、インフレータからガスが噴出されると、そのガスは頭部受け部に先立ち荷重伝達部に供給され、連通部を通って頭部受け部に供給される。このガス供給により、まず荷重伝達部が乗員の頭部から前方へ大きく離れた箇所で膨張し、それから若干遅れて頭部受け部が乗員の頭部の前方近傍で膨張する。このように膨張したエアバッグでは、荷重伝達部の内圧が高く、頭部受け部の内圧が低くなって、上記請求項5に記載の発明の効果が確実に得られる。
本発明のエアバッグ装置によれば、頭部受け部を設けるとともに、膨張状態のエアバッグとして基部及び荷重伝達部を備えるものを用いたため、エアバッグが頭部から受ける荷重を、乗員の大腿部の特定の箇所に集中させることなく適正にその大腿部に伝達することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。
図1及び図2の少なくとも一方に示すように、車室内には、複数の車両用シート11が車両前後方向の離間した箇所に配置されている。各車両用シート11は、乗員Pの臀部及び大腿部Ptを下側から支持するシートクッション(座部)12と、シートクッション12の後端部上に配置されたシートバック(背もたれ部)13と、シートバック13の上端に配置されたヘッドレスト14とを備えて構成されている。
車室内には、車両用シート11に着座した乗員Pを拘束するための3点式シートベルト装置15が車両用シート11毎に装備されている。シートベルト装置15は、帯状のウェビング16と、ウェビング16に長手方向に移動可能に取付けられたタング17と、車両用シート11の一方の側面の近傍に配置されてタング17が係脱可能に装着されるバックル18とを備えている。ウェビング16の一方の端部は、車両用シート11の他方の側面に固定され、同ウェビング16の他方の端部はベルト巻き取り装置(図示略)に固定されている。そして、ウェビング16に対してタング17を摺動させることにより、ショルダベルト部16A及びラップベルト部16Bの各長さを変更可能である。
ここで、ショルダベルト部16Aは、ウェビング16において、乗員Pの肩部から斜めに胸部の前を経由して腰部の側方に架け渡されて、タング17及びベルト巻き取り装置間において乗員Pの上半身を拘束する箇所である。また、ラップベルト部16Bは、ウェビング16において乗員Pの腰部の一側方から車幅方向に腰部の前を経由して他側方に架け渡されて、タング17及びウェビング16の端部間において乗員Pの腰部を拘束する箇所である。
さらに、車両には、車両の前突時等、車両に対し前方から衝撃が加わった場合に、慣性により前傾する乗員Pの頭部Phを衝撃から保護するためのエアバッグ装置20が、車両用シート11毎に装備されている。このエアバッグ装置20は、エアバッグ21及び頭部受け部25を備えている。なお、図1では、前側の車両用シート11について、シートベルト装置15及びエアバッグ装置20の図示が省略されている。
図1及び図3の少なくとも一方に示すように、エアバッグ21は、シートベルト装置15により車両用シート11に拘束された乗員Pの頭部Ph及び大腿部Pt間でガスGにより膨張するものであり、強度が高く、かつ可撓性を有していて容易に折り畳むことのできる素材、例えばポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布等によって形成されている。
エアバッグ21は、1つの基部22と1つの荷重伝達部23とを備えて構成されている。基部22は、その後端部22Cにガス供給口24を有しており、このガス供給口24を通じて供給されるガスGにより、乗員Pの大腿部Ptの上方近傍で、ラップベルト部16Bから大腿部Ptに沿って前方へ膨張する。基部22は、膨張状態となったとき高さの低い袋状となるとともに、大腿部Ptの上方近傍で水平方向に広がる底面22Aを有している。ここで、「水平方向に広がる底面22A」には、水平面が含まれるほか、水平面に対し若干傾斜した面も含まれるものとする。膨張状態での基部22の前後長は、平均的な体格を有する乗員Pを基準とし、ラップベルト部16Bからその乗員Pの膝部Pkまでの距離を超えないように設定されることが望ましく、本実施形態ではこの前後長が上記距離よりも若干短く設定されている。また、基部22の幅は、同乗員Pの左右両大腿部Ptの車幅方向の寸法と同程度に設定されている。上記の設定がなされた基部22は、その略全体がシートクッション12の上方で膨張することとなる。
荷重伝達部23は、頭部受け部25が受けた荷重Xを基部22に伝達するためのものであり、上記基部22の前端部22Bから垂直状態で起立している。荷重伝達部23は、膨張状態では前後方向の厚みの小さな袋状となる。荷重伝達部23の高さは、平均的な体格を有する乗員Pを基準とし、その乗員Pの頭部Phよりも若干低い高さに設定されている。また、荷重伝達部23の車幅方向における寸法は、同乗員Pの左右両大腿部Ptの車幅方向における寸法(基部22の幅)と同程度に設定されている。荷重伝達部23には、その内部空間を仕切る隔壁は設けられていない。
頭部受け部25は、車両への衝撃に応じて前傾する乗員Pの頭部Phを、乗員Pの前方近傍で受けるためのものであって、シートベルト装置15のショルダベルト部16Aの前方近傍に設けられている。頭部受け部25は、エアバッグ21とは別部材によって構成されている。ここでは、頭部受け部25として布帛が用いられ、この布帛の前端部が荷重伝達部23の上端部に固定され、同布帛の後端部が基部22の後端部22Cに固定されている。この布帛からなる頭部受け部25は、エアバッグ21の膨張時に荷重伝達部23の上端部と基部22の後端部22Cとの間で張設される。このように張設された頭部受け部25の上側の面は、前側ほど高くなるように傾斜した傾斜面26を構成している。また、布帛からなる頭部受け部25は厚みが小さく、これがエアバッグ装置20に占める容積はわずかである。
そして、上述したエアバッグ21及び頭部受け部25は、折り畳まれることによりコンパクトな形態にされて、ラップベルト部16Bに設けられたバッグ収納部27(図2の二点鎖線参照)内に収納されている。
エアバッグ装置20は、さらにガス発生源としてインフレータ28を備えている。インフレータ28はバックル18の近傍に配置されており、その内部にはガス発生剤(図示略)が収容されている。このタイプのインフレータ28ではガス発生剤の燃焼反応によってガスGが生成され、このガスGがガス噴出口(図示略)から噴出される。
なお、インフレータ28としては、上記ガス発生剤を用いたタイプに代えて、高圧ガスの充填された高圧ガスボンベの隔壁を火薬等によって破断してガスを噴出させるタイプが用いられてもよい。
インフレータ28と基部22のガス供給口24とはガス通路29によって連通状態で接続されている。このガス通路29は、大きくはインフレータ28及びバックル18間を繋ぐ通路29Aと、タング17及びガス供給口24間を繋ぐ通路29Bとに分けられる。後者の通路29Bの大部分はラップベルト部16Bに配策されている。そして、両通路29A,29Bは、タング17がバックル18に差し込まれた状態でのみ連通されてガス通路29を構成する。
エアバッグ装置20は、さらに衝撃センサ及び制御装置(いずれも図示略)を備えている。衝撃センサは加速度センサ等からなり、車両に前方から加わる衝撃を検出する。制御装置は、衝撃センサからの検出信号に基づきインフレータ28の作動を制御する。
上記のようにして、本実施形態のエアバッグ装置20が構成されている。このエアバッグ装置20では、前突等により、車両に対し前方から所定値以上の衝撃が加わり、そのことが衝撃センサによって検出されると、その検出信号に基づき制御装置から駆動電流がインフレータ28に出力される。この駆動電流に基づく加熱により、インフレータ28内のガス発生剤により高温高圧のガスGが生成され、ガス噴出口から噴出される。このガスGはガス通路29を通って流れ、バッグ収納部27内のガス供給口24からエアバッグ21の基部22に供給される。
このガスGにより、エアバッグ21が乗員Pの頭部Ph及び大腿部Pt間で膨張する。この膨張に際しては、まず基部22がラップベルト部16Bのバッグ収納部27から出て、折り状態を解消しながら前方に向けて膨張する。また、基部22の前端部22Bから荷重伝達部23が略上方へ向けて膨張する。そして、これら基部22及び荷重伝達部23の膨張が進行するに従い、基部22の後端部22Cと荷重伝達部23の上端部との間隔が拡大し、頭部受け部25が引っ張られる。基部22及び荷重伝達部23が膨張を完了すると、エアバッグ21がシートクッション12の上方で側面略L字状となり、頭部受け部25が緊張した状態となる。
この状態では、車両用シート11におけるショルダベルト部16Aの前方近傍、すなわち、乗員Pの上半身の前方近傍(荷重伝達部23よりも乗員P側の箇所)に頭部受け部25が位置している。また、シートクッション12の上方であって乗員Pの大腿部Ptの直上には基部22の底面22Aが水平方向に広がっている。基部22は、その後端部22Cにおいて頭部受け部25の後端部に固定されている。さらに、基部22の前端部22Bからは荷重伝達部23が起立していて、大腿部Ptにおいて膝部Pkに近い箇所の上方に同荷重伝達部23が位置している。荷重伝達部23は、その上端部において頭部受け部25の前端部に連結されている。
従って、上記前方から車両への衝撃に応じて乗員Pが慣性により前傾すると、頭部Phがその前方に位置する緊張状態の頭部受け部(布帛)25に接触する。この接触に伴い頭部Phから頭部受け部25に加わる荷重Xは、エアバッグ21における荷重伝達部23及び基部22を通じて乗員Pの大腿部Ptに伝達され、同大腿部Pt及びその下のシートクッション12によって受け止められる。この際、基部22を含めエアバッグ21の全体がシートクッション12の上方に位置している。そのため、エアバッグ21の少なくとも前部がシートクッション12から前方へはみ出て膨張する場合よりも上記荷重Xが確実に受け止められる。
この荷重Xの伝達に際し、エアバッグ21は、基部22中、水平方向に広がる底面22Aにおいて大腿部Ptに接触する。このため、エアバッグ21の基部22を通じて大腿部Ptに伝達される単位面積当たりの荷重Xは小さなものとなる。
ここで、エアバッグ21の前部には乗員Pの頭部Phから受ける前方への荷重Xが集中して加わる。仮に、エアバッグ21において荷重Xが集中して加わる部分(前部)に、上下一対のエアバッグ21の接触部分(特許文献1における第2態様)や隔壁(特許文献1における第3態様)が存在すると、これらの接触部分や隔壁よりも上側の部分で意図しない変形が生じ、これが荷重Xの大腿部Ptへの伝達を阻害する。
この点、第1実施形態では、エアバッグ21の前部が1つの荷重伝達部23によって構成されている。しかも、荷重伝達部23には、その内部空間を仕切る隔壁が設けられていない。そのため、エアバッグ21が乗員Pの頭部Phから受ける荷重Xは上記変形等により阻害されることなく乗員Pの大腿部Ptに適正に伝達される。
さらに、頭部受け部25において乗員Pの頭部Phを受ける箇所が、前側ほど高くなるように傾斜した傾斜面26とされている。そのため、乗員Pの頭部Phが傾斜面26に接触することにより、頭部受け部25には斜め前下方へ向かう荷重Xが加わることとなり、同荷重Xが荷重伝達部23を介して基部22及び大腿部Ptに効率よく伝達される。
以上詳述した第1実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)シートベルト装置15のショルダベルト部16Aの前方近傍に、前側ほど高くなるように傾斜した傾斜面26を有する頭部受け部25を設けている。また、膨張状態のエアバッグ21として、乗員Pの大腿部Ptの上方近傍で水平方向に広がる底面22Aを有する基部22と、基部22の前端部22Bから起立する荷重伝達部23とを備えるものを用いている。また、荷重伝達部23として、単一で、しかも内部空間が隔壁によって仕切られていないものを用いている。
そのため、エアバッグ21を、基部22の水平方向に広がる底面22Aにおいて乗員Pの大腿部Ptに接触させることで、エアバッグ21の基部22を通じて大腿部Ptに伝達される単位面積当たりの荷重Xを小さくし、大腿部Ptの特定の箇所にのみ大きな荷重Xが加わる現象を解消することができる。
また、単一で内部空間に隔壁を有しない荷重伝達部23を用いることで、荷重伝達部23の予期しない不要な変形を抑制し、エアバッグ21が乗員Pの頭部Phから受ける荷重Xを、上記不要な変形によって阻害されることなく適正に乗員Pの大腿部Ptに伝達することができる。
さらに、頭部受け部25の傾斜面26で乗員Pの頭部Phを受けることで、荷重Xを、荷重伝達部23を介して基部22及び大腿部Ptに効率よく伝達することができる。
(2)基部22、荷重伝達部23及び頭部受け部25によって囲まれた箇所を空間(空洞)としている。そのため、特許文献1に記載されたもの(第1〜第3の全ての態様)よりもエアバッグ21を小容量化することができる。
(3)頭部受け部25として、エアバッグ21の膨張時に荷重伝達部23の上端部と基部22の後端部22Cとの間で張設される布帛を用いている。そのため、頭部受け部25を薄く形成して、エアバッグ装置20の小型化を図ることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態について、図2及び図4を参照して説明する。
第2実施形態は、頭部受け部25の全体がエアバッグ21の一部として形成されている点で、同頭部受け部25がエアバッグ21とは別の部材(布帛)によって形成された第1実施形態と異なっている。すなわち、第2実施形態では、荷重伝達部23の上端部と基部22の後端部22Cとの間が、ガスGにより膨張する頭部受け部25によって構成されている。この頭部受け部25は、シートベルト装置15のショルダベルト部16Aの前方近傍に位置している。また頭部受け部25は、前側ほど高くなるように傾斜した傾斜面26を有している。
このように、エアバッグ21の大部分は、基部22、荷重伝達部23及び頭部受け部25によって構成されている。なお、このエアバッグ21内には、内部空間を仕切る隔壁は設けられておらず、基部22、荷重伝達部23及び頭部受け部25は相互に連通した状態となっている。また、エアバッグ21には、荷重伝達部23の内部空間を仕切る隔壁が設けられていない。
上記頭部受け部25は、エアバッグ装置20の非作動時には、基部22及び荷重伝達部23とともに折り畳まれてコンパクトにされ、ラップベルト部16Bのバッグ収納部27に収納されている。
上記以外の構成は第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態と同様の部材、箇所等については同一の符号を付して説明を省略する。
上記第2実施形態によれば、エアバッグ装置20の作動時には、ガスGによりエアバッグ21が乗員Pの頭部Ph及び大腿部Pt間で膨張する。このとき、頭部受け部25が基部22及び荷重伝達部23とともに折り状態を解消しながら膨張する。そして、エアバッグ21が膨張を完了したときには、頭部受け部25の傾斜面26が乗員Pの上半身の前方近傍で緊張する。
このため、上記前方から車両への衝撃に応じて乗員Pが慣性により前傾すると、頭部Phがその前方に位置する頭部受け部25の緊張状態の傾斜面26に接触する。この接触に伴い頭部Phから頭部受け部25に加わる荷重Xは、エアバッグ21における荷重伝達部23及び基部22を通じて乗員Pの大腿部Ptに伝達され、同大腿部Ptで受け止められる。
従って、第2実施形態によると、上記第1実施形態における(1)に加え、次の効果が得られる。
(4)頭部受け部25の全体をエアバッグ21の一部として形成している。そのため、頭部受け部25を、エアバッグ21の製造に際し基部22及び荷重伝達部23と一緒に形成することができ、頭部受け部25をエアバッグ21とは別に設ける場合に比べ、エアバッグ装置20の製造工程の簡素化を図ることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態について、図2及び図5を参照して説明する。
第3実施形態は、頭部受け部25の一部がエアバッグ21の一部として形成され、残部がエアバッグ21とは別部材によって形成されている点で、頭部受け部25の全部が別部材(布帛)によって形成された第1実施形態、及び頭部受け部25の全部がエアバッグ21の一部として形成された第2実施形態と異なっている。
すなわち、第3実施形態では、膨張状態のエアバッグ21の一部として、ガスGにより膨張して基部22の後端部22Cから略上方へ起立する補助受け部31が設けられている。この補助受け部31は荷重伝達部23よりも高さが低く設定されている。また、別部材として布帛からなる主受け部32が用いられ、この主受け部32の前端部が荷重伝達部23の上端部に固定され、主受け部32の後端部が補助受け部31の上端部に固定されている。この主受け部32は、エアバッグ21の膨張時に荷重伝達部23の上端部と補助受け部31の上端部との間で張設される。このように張設された主受け部32の後ろ側の面は、前側ほど高くなるように傾斜した傾斜面26を構成する。
上記主受け部32及び補助受け部31は、いずれもシートベルト装置15のショルダベルト部16Aの前方近傍に位置している。そして、これらの主受け部32及び補助受け部31によって、車両への衝撃に応じて前傾する乗員Pの頭部Phを乗員Pの前方近傍で受けるための頭部受け部25が構成されている。
なお、エアバッグ21には、その内部空間を仕切る隔壁は設けられておらず、基部22、荷重伝達部23及び補助受け部31は相互に連通した状態となっている。また、エアバッグ21には、荷重伝達部23の内部空間を仕切る隔壁が設けられていない。
上記頭部受け部25(主受け部32及び補助受け部31)は、エアバッグ装置20の非作動時には、基部22及び荷重伝達部23とともに折り畳まれてコンパクトにされ、ラップベルト部16Bのバッグ収納部27に収納されている。
上記以外の構成は第1及び第2実施形態と同様である。そのため、第1及び第2実施形態と同様の部材、箇所等については同一の符号を付して説明を省略する。
上記第3実施形態によれば、エアバッグ装置20の作動時には、ガスGによりエアバッグ21が乗員Pの頭部Ph及び大腿部Pt間で膨張する。このとき、頭部受け部25の補助受け部31が基部22及び荷重伝達部23とともに折り状態を解消しながら膨張する。そして、エアバッグ21が膨張を完了したときには、頭部受け部25の主受け部32が荷重伝達部23の上端部と補助受け部31の上端部との間で緊張して、前側ほど高くなるよう傾斜した状態となる。
このため、上記車両への衝撃に応じて乗員Pが慣性により前傾すると、頭部Phがその前方に位置する頭部受け部25の緊張状態の主受け部32に接触する。この接触に伴い頭部Phから主受け部32に加わる荷重Xは、エアバッグ21における荷重伝達部23、補助受け部31及び基部22を通じて乗員Pの大腿部Ptに伝達され、同大腿部Ptで受け止められる。
従って、第2実施形態によると、上記第1実施形態における(1)〜(3)、及び第2実施形態における(4)に準じた効果が得られる。
(第4実施形態)
次に、本発明を具体化した第4実施形態について、図2及び図6を参照し、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
エアバッグ21の内部空間の大部分が、基部22、荷重伝達部23及び頭部受け部25によって構成されている点については先に説明したが、これらの各部のうち少なくとも荷重伝達部23と頭部受け部25とを仕切る隔壁35が設けられている。第4実施形態では、エアバッグ21の内部空間が隔壁35によって、頭部受け部25と、基部22及び荷重伝達部23との2つの空間に仕切られている。
隔壁35は、例えば、エアバッグ21と同様に織布等によって形成された帯状の布からなるテザーによって構成することができる。この場合、テザーはエアバッグ21内に配置され、その側縁部においてエアバッグ21の対応する内壁面に縫合される。
なお、エアバッグ21内には、荷重伝達部23自身を複数の空間に仕切る隔壁は設けられていない。この点は、第1〜第3実施形態と同様である。すなわち、エアバッグ21内に隔壁35が設けられているが、この隔壁35はあくまでも荷重伝達部23と頭部受け部25とを仕切るためのものであり、荷重伝達部23自体を仕切るものではない。
また、基部22の後端部22Cには、インフレータ28からのガスGをエアバッグ21に供給するためのガス供給口24が開口されている。さらに、隔壁35には、荷重伝達部23及び頭部受け部25間を連通させる孔等からなる連通部36が設けられている。
上記以外の構成は第2実施形態と同様である。そのため、第2実施形態と同様の部材、箇所等については同一の符号を付して説明を省略する。
上記第4実施形態のエアバッグ装置20では、隔壁35に設けられた連通部36は、荷重伝達部23ではガスGの流出部として機能し、頭部受け部25ではガスGの流入部として機能する。そのため、インフレータ28から噴出されたガスGは、ガス通路29、バッグ収納部27、ガス供給口24を順に流れて基部22内に流入する。このガスGは、基部22、荷重伝達部23、連通部36及び頭部受け部25の順に流れる。このような順で流れるガスGにより、基部22がバッグ収納部27から前方へ向けて膨張するとともに荷重伝達部23が乗員Pの頭部Phから前方へ大きく離れた箇所で膨張し、それから若干遅れて頭部受け部25が乗員Pの頭部Phの前方近傍で膨張する。このように膨張したエアバッグ21では、荷重伝達部23の内圧が高く、頭部受け部25の内圧が低い。
このように、荷重伝達部23と頭部受け部25との間で内圧に差を設定したのは次の理由による。
まず、乗員Pの耐衝撃性は体格に応じて異なり、一般には、小柄な乗員Pの方が大柄な乗員Pよりも耐衝撃性が低い。また、エアバッグ21が乗員Pの頭部Phに及ぼす衝撃は、同エアバッグ21の内圧が低い場合の方が高い場合よりも小さい。しかし、エアバッグ21の内圧を過度に低くすれば、頭部Phとの接触によりエアバッグ21に加わる荷重Xを大腿部Ptに伝達する機能が充分に発揮されなくなる。この不具合は、荷重Xが大きくなる大柄な乗員Pの場合に問題となる。これらのことから、大柄な乗員Pの場合にはエアバッグ21のうち内圧の高い箇所で受け、小柄な乗員Pの場合にはエアバッグ21のうち内圧の低い箇所で受けることが望ましい。
一方、乗員Pが前傾した場合にエアバッグ21において頭部Phが接触する箇所は、乗員Pの体格(特に座高)に応じて異なる。小柄な(座高の低い)乗員Pの場合にはその乗員Pに近い側の箇所であり、大柄な(座高の高い)乗員Pの場合には荷重伝達部23に近い側の箇所である。
そこで、第4実施形態では、上述したように荷重伝達部23の内圧を高くし、頭部受け部25の内圧を低くしている。こうすることで、頭部受け部25が低い内圧で膨張させられ、荷重伝達部23が高い内圧で膨張させられる。そのため、小柄な乗員Pの場合には、頭部受け部25との接触に伴い頭部Phが受ける衝撃が小さく、頭部Phから頭部受け部25に加わる荷重Xが大腿部Ptに確実に伝達される。また、大柄な乗員Pの場合には、内圧の高い荷重伝達部23に近い側の箇所で乗員Pの頭部Phが受けられ、しかも頭部Phから頭部受け部25に加わる荷重Xが大腿部Ptに確実に伝達される。
従って、第4実施形態によると、上記第2実施形態における効果に加え、次の効果が得られる。
(5)エアバッグ21の内部空間を隔壁35によって荷重伝達部23及び頭部受け部25に仕切り、荷重伝達部23を頭部受け部25よりも早く高い内圧で膨張させるようにしている。このため、乗員Pの体格差による耐衝撃性に応じた内圧にて膨張した箇所で頭部Phを受けることができ、体格に拘わらず乗員Pを衝撃から有効に保護することができる。
(6)上記(5)の構成を採用したことの効果として、乗員Pの頭部Phを内圧の低い頭部受け部25によって直接受けつつ、エアバッグ21が頭部Phから受ける荷重Xを、内圧の高い荷重伝達部23及び基部22によって確実に大腿部Ptに伝達することができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・第1実施形態において、布帛に代えて網によって頭部受け部25を構成してもよい。
・第1実施形態において、頭部受け部25の下端部を、基部22の後端部22Cに代えてラップベルト部16Bに接続してもよい。この場合、ラップベルト部16Bには、ラップベルト部16B自体のほか、バッグ収納部27も含まれるものとする。このように変更しても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
・第2実施形態に関連する別の実施形態として、図7に示すものを採用してもよい。この実施形態は、頭部受け部25の全体をエアバッグ21の一部として形成している点で第2実施形態と同様であるが、同頭部受け部25の前端部を荷重伝達部23の上端部のみにおいて連通させ、同頭部受け部25の後端部を基部22の後端部22Cのみにおいて連通させている点で第2実施形態と異なっている。エアバッグ21において、基部22、荷重伝達部23及び頭部受け部25によって囲まれた箇所は空間(空洞)となっている。このように変更した場合にも、第2実施形態と同様の効果が得られる。
・上記第2実施形態及びそれに関連する実施形態(図7)においては、頭部受け部25の後ろ側の面の全体を傾斜面26としたが、頭部受け部25では、少なくとも頭部Phの接触する箇所が傾斜面26であればよい。従って、頭部受け部25の後ろ側の面において、頭部Phの接触の可能性の低い箇所については、非傾斜面としてもよい。例えば、図8に示すように、頭部受け部25の後ろ側の面の上部を略垂直な面25Aとしてもよい。また、図9に示すように、頭部受け部25の後ろ側の面の下部を略垂直な面25Bとしてもよい。これらのように変更した場合にも、上述した頭部受け部25の傾斜面26による効果が得られる。
・第3実施形態において、布帛に代えて網によって主受け部32を構成してもよい。この場合にも、第3実施形態と同様に、網(主受け部32)の前端部を荷重伝達部23の上端部に固定し、同網(主受け部32)の後端部を補助受け部31の上端部に固定する。
・頭部受け部25の少なくとも一部がエアバッグ21の一部として形成されたものであれば、第4実施形態と同様の構成を広く適用可能である。その適用例を図10及び図11に示す。
図10は、第4実施形態と同様の構成を図5のエアバッグ装置20に適用した例を示している。この場合、隔壁35は基部22の後端部22Cと補助受け部31との間に設けられる。連通部36が隔壁35に設けられる点、及びガス供給口24が基部22の後端部22Cに設けられる点は第4実施形態と同様である。
図11は、第4実施形態と同様の構成を図9のエアバッグ装置20に適用した例を示している。この場合、隔壁35は、基部22及び荷重伝達部23と、頭部受け部25との間に設けられる。連通部36が隔壁35に設けられる点、及びガス供給口24が基部22の後端部22Cに設けられる点は第4実施形態と同様である。
図10及び図11のいずれの場合であっても第4実施形態と同様の効果が得られる。なお、同様の構成は、上述した図7及び図8に示す各エアバッグ装置20にも適用可能である。
・第4実施形態及びそれに関連する実施形態(図10、図11等)では、エアバッグ21内において、荷重伝達部23と頭部受け部25との間に加え、荷重伝達部23と基部22との間にも隔壁35が設けられてもよい。ただし、この場合にも、エアバッグ21内には荷重伝達部23自体を仕切る隔壁35を設けない。
・各実施形態において、荷重伝達部23は基部22の略前端部から起立していればよい。従って、荷重伝達部23は図12に示すように、前端部22Bから若干後方へ離れた箇所から起立するものであってもよい。また、図5及び図10における各補助受け部31は、基部22の略後端部から起立していればよく、後端部22Cから若干前方へ離れた箇所から起立するものであってもよい。
・各実施形態において、荷重伝達部23は若干傾斜した状態で基部22から起立するものであってもよい。図13はその一例を示している。この例では、荷重伝達部23が上側ほど乗員Pに近づくように傾斜して起立している。なお、図示はしないが、荷重伝達部23は、上記とは逆方向、すなわち上側ほど乗員Pから遠ざかるように傾斜して起立するものであってもよい。
・第2、第3実施形態及びそれに関連する実施形態のエアバッグ21については、これをラップベルト部16Bに代えてショルダベルト部16Aに収納する構成に変更してもよい。
・荷重伝達部23の内圧を頭部受け部25の内圧よりも早く高くするために、第4実施形態とは異なる構成を採用してもよい。
例えば、ガス噴出量の異なる2種類のインフレータを用い、ガス噴出量の多いインフレータからのガスGを荷重伝達部23に供給し、ガス噴出量の少ないインフレータからのガスGを頭部受け部25に供給するようにしてもよい。
また、インフレータとして、異なる2箇所に互いにガス噴出量の異なる2つのガス吹き出し口を有するものを用いてもよい。この場合、ガス噴出量の多いガス吹き出し口からのガスGを荷重伝達部23に供給し、ガス噴出量の少ないガス吹き出し口からのガスGを頭部受け部25に供給する。
上記いずれの構成についても、荷重伝達部23へのガスGの供給開始時期を、頭部受け部25へのガスGの供給開始時期よりも早めることが望ましい。このように供給開始時期の調整は、ガスGの噴出開始時期を調整することで実現可能である。
・上述した各実施形態において、前突等により車両に前方から衝撃が加わった場合に、乗員Pの大腿部Ptにおいて膝部Pkの後ろ側近傍部分を押し上げるための構成を追加してもよい。このようにすれば、腰部の前方への動きが規制され、シートベルト装置15によって車両用シート11に拘束された乗員Pの腰部が、ラップベルト部16Bから外れて前方へ移動してしまう現象(サブマリン現象)が抑制される。そのため、各実施形態で説明した種々の効果がより確実に得られるようになる。
このような構成としては、例えば、車両への衝撃に応じて、座面の傾斜が大きくなるように、シートクッション12をその後端部の回動軸を支点として上方へ傾動させてもよい。この傾動により、座面の傾斜度合いが大きくなる。乗員Pの大腿部Ptにおいて膝部Pkの後ろ側近傍部分が上方へ押圧される。
また、シートクッション12内の前部に、上記エアバッグ21とは別のエアバッグを非膨張状態で組み込んでおく構成を採用してもよい。この場合、車両への衝撃に応じて、インフレータからエアバッグにガスを供給して膨張させ、シートクッション12の前部を隆起させる。この隆起により乗員Pの大腿部Ptにおいて膝部Pkの後ろ側近傍部分が上方へ押圧される。
・本発明のエアバッグ装置20が装備される車両用シート11としては、運転席、補助席、後席のいずれもが対象となる。
本発明を具体化した第1実施形態における車両用シート、シートベルト装置、及びエアバッグ装置を示す概略側面図。 第1実施形態における車両用シート及びシートベルト装置を示す斜視図。 第1実施形態におけるエアバッグ装置を示す概略側面図。 本発明の第2実施形態におけるエアバッグ装置を示す概略側面図。 本発明の第3実施形態におけるエアバッグ装置を示す概略側面図。 本発明の第4実施形態におけるエアバッグ装置を示す概略側面図。 エアバッグ装置における頭部受け部についての別の実施形態を示す概略側面図。 同じく、エアバッグ装置における頭部受け部についての別の実施形態を示す概略側面図。 同じく、エアバッグ装置における頭部受け部についての別の実施形態を示す概略側面図。 エアバッグ装置における隔壁についての別の実施形態を示す概略側面図。 同じく、エアバッグ装置における隔壁についての別の実施形態を示す概略側面図。 荷重伝達部の起立位置についての別の実施形態を示す概略側面図。 荷重伝達部の起立方向についての別の実施形態を示す概略側面図。
符号の説明
11…車両用シート、15…シートベルト装置、16A…ショルダベルト部、16B…ラップベルト部、20…エアバッグ装置、21…エアバッグ、22…基部、22A…底面、22C…後端部、23…荷重伝達部、25…頭部受け部、26…傾斜面、28…インフレータ、31…補助受け部、32…主受け部、35…隔壁、36…連通部、G…ガス、P…乗員、X…荷重、Ph…頭部、Pt…大腿部。

Claims (6)

  1. エアバッグをシートベルト装置に収納し、車両前方からの衝撃に応じてインフレータから噴出されるガスを前記エアバッグに供給し、前記シートベルト装置により車両用シートに拘束された乗員の頭部及び大腿部間で同エアバッグを膨張させるようにしたエアバッグ装置であり、
    前記シートベルト装置のショルダベルト部の前方近傍には、前記衝撃に応じて前傾する前記乗員の頭部を、前側ほど高くなるように傾斜した傾斜面にて受ける頭部受け部を設けるとともに、
    膨張状態の前記エアバッグが、前記乗員の大腿部の上方近傍で水平方向に広がる底面を有する基部と、前記基部の略前端部から起立し、隔壁を有しない内部空間を通じて、前記頭部受け部が受けた荷重を前記基部に伝達する1つの荷重伝達部とを備えることを特徴とするエアバッグ装置。
  2. 前記頭部受け部の全体は前記エアバッグの一部として形成されたものである請求項1に記載のエアバッグ装置。
  3. 前記頭部受け部は、前記エアバッグの膨張時に前記荷重伝達部の上端部と前記基部の後端部又は前記シートベルト装置のラップベルト部との間で張設される布帛又は網からなる請求項1に記載のエアバッグ装置。
  4. 前記頭部受け部は、
    膨張状態の前記エアバッグの一部として、前記基部の略後端部から起立し、かつ前記荷重伝達部よりも高さの低い補助受け部と、
    前記エアバッグの膨張時に前記荷重伝達部の上端部及び前記補助受け部の上端部間で張設される布帛又は網からなる主受け部と
    を備える請求項1に記載のエアバッグ装置。
  5. 前記荷重伝達部及び前記頭部受け部は、前記エアバッグ内に設けられた隔壁により仕切られており、前記荷重伝達部は前記頭部受け部よりも高い内圧で膨張させられる請求項2又は請求項4に記載のエアバッグ装置。
  6. 前記隔壁には、前記荷重伝達部及び前記頭部受け部間を連通させる連通部が設けられており、
    前記荷重伝達部は、前記連通部を、前記インフレータから供給されたガスの流出部とする一方、前記頭部受け部は、前記連通部を、前記荷重伝達部からのガスの流入部とするものである請求項5に記載のエアバッグ装置。
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