請求項1記載の発明は、ケース本体内に部品導入通路から部品を導入する入口通路と、ケース本体内から部品を送出する出口通路とがケース本体に設けられ、前記出口通路に部品を目的箇所に送給する送給管が接続され、前記入口通路からケース本体内に導入された部品を出口通路側へ移行する押出し部材がケース本体内に進退可能な状態で設けられ、出口通路は前記押出し部材の進出方向側に配置されており、押出し部材の前面に押出し部材の進出方向とほぼ同じ方向に搬送空気を噴射する噴射口が設けられていることを特徴とする部品送出装置である。
部品は押出し部材によって出口通路の方へ押し出され、この押出し方向と同方向に押出し部材の前面から空気噴射がなされて送給管へ送出されて行く。したがって、押出し部材の進出方向と搬送空気の噴射方向とが同方向とされているので、押出し部材によって押し出された部品の移動慣性力に対して搬送空気の噴射力が加算された状態になり、部品の初期移動が確実に達成される。通常、部品には防錆油などが塗布されていて、その粘着性によって部品の移動開始が円滑になされないことが発生するのであるが、上述のように押出し部材による部品の移動慣性力と搬送空気の噴射力とが加算されて部品に作用するので、部品の確実な移動開始が確保でき装置の動作信頼性が向上する。
このような動作により、部品の質量が大きくてそのサイズも大きいものであっても、部品の移動慣性力と搬送空気の噴射力とが加算されて部品に作用するので確実に移動開始が達成される。とくに、空気噴射は口径の小さな噴射口から行われるので、噴射流は大きなサイズの部品に対しては、ごく小さな局部的な箇所にしか当たらないこととなる。したがって、このような形態の空気噴射で質量およびサイズの大きな部品を送出することは困難なのであるが、前述のように、押出し部材の押出しによってえられる部品の移動慣性力に対して空気噴射流が加算されるので、部品の移動開始が確実にえられる。
請求項2記載の発明は、前記噴射口からの空気噴射によって部品が前記送給管内を搬送されているときに、部品後方の送給管内空間に補充空気を導入する導入通路が設けられている請求項1記載の部品送出装置である。
部品に対して噴射口から空気噴射がなされると、その噴射力は動圧として部品に作用する。このような動圧は、部品が噴射口から遠ざかるにしたがって低下する。それと同時に、部品後流側つまり部品後方の送給管の空間が大きくなって行くので、その部分の圧力が低下する。これらの両低下現象によって送給管途上における部品移送力が弱まり部品の送出速度が低下して生産性の向上が行いにくくなる。つまり、強い噴射流を得るために噴射口の直径を小さくする必要があるが、そのために十分な流量を確保することができないので、部品後方の空間拡大に追従できないことになる。
上述のような現象に対して、部品の背後の送給管内空間に補充空気を導入する導入通路が設けられているので、部品後方の圧力低下を防止することができ、部品の移送力を十分に確保できる。換言すると、部品移動にともなって部品後方の空間拡大がなされるが、それに追従した空気の補充がなされるので、部品後方の圧力低下が防止されて、十分な部品移送力が確保できる。つまり、部品の質量や寸法サイズが大きくなると、送給管の断面積が大きくなるので、それにともなって部品の移動量に対する部品後方の空間が急激に増大するのであるが、このような状況において上述のように効果的な空気補充がなされる。
さらに、部品が噴射口に近い箇所に存在しているときには、噴射口からの空気噴射が部品を直撃するような状態で十分な噴射エネルギーを部品移動に活用することができるが、部品が噴射口から遠ざかるとこのような空気噴射の直撃性が緩慢となる。しかし、前記空気補充がなされるので、この補充空気の中に空気噴射が継続されることとなり、そのために部品後方の圧力が高く維持できるようになる。したがって、部品が噴射口から遠ざかると、今度は、部品全体に対する動圧を極力高く維持することができて良好な部品移送力が確保できる。
また、一般に、鉄くずの吹き飛ばしや加工熱の冷却等のために工場全域に圧縮空気の供給配管が敷設され、この配管からの圧縮空気を前記噴射口から噴射するように構成される。こうすることによって、圧縮空気の供給源を単一化して工場設備の合理化を図るのであるが、圧縮空気の圧力は、通常、低くて3Kg/cm2程度、高くても8Kg/cm2程度であるから、噴射口からの空気噴射を少しでも強くするためには、噴射口の口径を小さくせざるを得ない事情がある。そのために、噴射口からの空気流量を増大することが困難になるのであるが、本発明においては、上記のようにして導入通路を効果的に機能させるのである。つまり、工場の空気供給の事情に適合させることが可能となる。
請求項3記載の発明は、前記ケース本体に設けた長孔の長手方向が前記押出し部材の進退方向と同方向とされ、前記噴射口に搬送空気を供給する空気供給管が前記長孔を貫通した状態で配置されている請求項1または請求項2記載の部品送出装置である。
前記押出し部材に形成した通気形状部によって部品後方の送給管内空間に補充空気を導入するものであるから、補充空気は押出し部材から噴射空気とともに部品後方の送給管内空間に供給される。したがって、部品後方の送給管内空間に対する空気補充が確実に達成される。とくに、押出し部材からの空気噴射流と通気形状部からの空気補充の空気流とが寄り添った状態、すなわち両空気流が束になったような合流状態を形成することが可能となるので、部品後方に空気補充を行って部品に対して効果的な動圧を作用させることができる。
さらに、噴射口からの空気噴射に誘導された状態で外部からの空気が通気形状部を経て部品後方の空間に導入される。すなわち、噴射口からの空気噴射によって、いわゆるインジェクターのような現象が発生して送給管内に空気補充がなされる。したがって、補充空気の十分な流入が確保できる。
長孔から導入された補充空気が通気形状部を経由して部品後方の空間に導入される。このように長孔は、空気供給管を押出し部材の進退動作に支障なく通過させる機能と、補充空気の通路の一部を形成する機能とを果たしているので、確実な補充空気の導入を達成するとともに構造の簡素化を図ることができる。
請求項6記載の発明は、前記噴射口は、部品の重心点またはその近傍に向けて空気を噴射する位置に設けられている請求項1〜請求項5のいずれかに記載の部品送出装置である。
このように部品の重心点またはその近傍に向けて空気噴射がなされるので、部品に傾きなどが発生することなく移動しやすい姿勢を部品に付与することができる。したがって、部品の移動開始が円滑にしかも確実に行われる。もし、部品の重心点よりも大幅にずれた箇所に向けて空気噴射がなされると、極端な場合には、部品を傾斜させる力が作用して部品が送給管内で傾くこととなり、部品は送給管の内面に食い込むような状態で動かなくなる。上述のような正常な箇所に向けて空気噴射がなされることによって、上記の部品食い込みのような現象を回避することができる。
対象となる部品について説明する。
本発明における部品の形状としては、断面円形の細長い部材、四角いプロジェクションナットのような部材あるいはフランジ付きのプロジェクションボルトのような部材など種々なものが挙げられる。この実施例では、図6(A)に示すように、鉄製とされた断面円形の細長い部材である。部品は符号1で示され、円筒部2とそれと一体の円形のフランジ部3によって構成されている。なお、この部品1は鋼板部品にプロジェクション溶接によって溶接されるので、フランジ部3に溶着用突起4が形成されている。なお、他の断面円形の細長い部材としては、図6(B)に示すように、中実の柱状部材であってもよい。
図6(A)に示した部品1の各部寸法は、円筒部2の直径は24mm、円筒部2の内径は15mm、フランジ部3の直径は40mm、部品の高さ(軸線方向の高さ)は38mmであり、質量は20gである。
本発明の装置全体について説明する。
図1は、装置全体の簡略的な平面図である。パーツフィーダ5から延びている部品導入通路6(図2参照)が部品導入管7によって形成されている。この部品導入管7は、図示していないが、図1の上側が低くなるような傾斜が付与してあり、パーツフィーダ5から送出された部品は滑降するような状態で移送されるようになっている。
パーツフィーダ5は、送出振動が付与される円形のボウル8を有するもので、ボウル8内に部品を補給するための貯留ボックス9が配置してある。このパーツフィーダ5としては、図示のような振動式ボウルの移送通路から送出するもの、あるいは、回転板に取り付けた磁石で所定個数の部品を吸着してそれを送出通路から送出するもの、回転円板で搬送通路に部品を移動させこの部品が移送通路から送出されるもの等いろいろなものが採用できる。
部品導入管7を通過した部品1は、部品1を勢いよく送り出す部品送出装置10に送り込まれる。この部品送出装置10は、部品1を勢いよく送り出す機能と、部品1を1つずつ送り出す機能との両機能を有するものとすることができる。この実施例では、両機能を備えたものである。前記部品送出装置10には、部品1を目的箇所へ送給する送給管11が接続されている。
部品1が送給される目的箇所としては、相手方部品に形成されている部品の受入孔、供給ユニットの部品のチャック機構など種々なものが存在するが、この実施例では後者のものである。
前記供給ユニットは符号12で示され、その先端部に部品1を掴むチャック機構13が配置され、このチャック機構13が進退するようになっている。チャック機構13に保持された部品1は、電気抵抗溶接装置(図示していない)の電極14に供給される。
つぎに、部品送出装置10について説明する。
図2は、部品送出装置10を示す平面図と各部の断面図である。なお、同図における断面図は、B−B断面図は(B)図に示され、C−C断面は(C)図に示されるような原則とされている。また、理解しやすくするために、図2(A)の部品送出装置10は、蓋板を外して図示してある。
ケース本体15はステンレス鋼のような金属材料製であり、(D)図に示すように、四角い断面の内部空間16を有するように構成されている。ケース本体15に前記送給管11が接続されている。この送給管11は近隣の部材との干渉を避けるために湾曲させることができるような柔軟性が付与されており、ウレタン樹脂や塩化ビニールなどの柔軟性のある合成樹脂で作られている。送給管11の断面形状は、(B)図に示すように、部品1の円筒部2やフランジ部3に合致するような形状とされている。部品1と送給管11の内面との間の隙間は、部品1が送給管11内を円滑に移動できるとともに、後述の搬送空気が著しく漏れないようにして、部品1の前後の圧力差ができるだけ大きくなるような値とされている。
ケース本体15と送給管11との接続構造は一般的な接合構造であるが、ここでは図2(A)や(E)に2点鎖線で示すように、ケース本体15に固定したジョイント部材17によって接合され、部品1がケース本体15から送給管11へ滑らかに移行できるようになっている。
部品導入通路6からケース本体15の内部空間16へ部品1を導入するために、入口通路18が設けてある。この入口通路18はケース本体15の横側に開口してあり、そこに部品導入管7が結合してある。そして、内部空間16に入った部品1を送給管11へ送出する出口通路19がケース本体15に設けてある。
前記入口通路18から内部空間16に入ってきた部品1を出口通路19へ移行する押出し部材20が内部空間16に配置してある。この押出し部材20は、ほぼ直方体のステンレス鋼製ブロック材で構成してある。押出し部材20は、ケース本体15内を進退するものであり、ケース本体15の端蓋21に固定した駆動手段であるエアシリンダ22によって進退する。したがって、エアシリンダ22のピストンロッド23が押出し部材20の端部に結合されている。
部品1が前記入口通路18を通過する方向は、押出し部材20の進退方向に直交しており、また、前記出口通路19は押出し部材20の進出方向側に配置されている。したがって、押出し部材20に押し出された部品1はそのまま押出し方向に移動し送給管11へ送り出されて行く。そして、内部空間16に入ってきた部品1が、最も後退している押出し部材20の前面24に接触するかまたは前面24との間にわずかな隙間が存在するように、入口通路18と最も後退した押出し部材20の前面24との相対位置が設定されている。
押出し部材20が図2の左方に進出してから、部品1に搬送空気が噴射されるようになっている。そのために、押出し部材20に空気通路25が設けられ、その先端が前記前面24に開口して噴射口26が形成されている。この噴射口26からの噴射空気が押出し部材20の進出方向と同じ方向に噴射されるように、空気通路25の向きが設定されている。空気通路25に空気供給管27が接続されており、この空気供給管27はケース本体15に設けた長孔28を貫通して、空気供給源(図示していない)に接続されている。この長孔28はケース本体15の横側部に形成され、押出し部材20の進退とともに空気供給管27が進退できるようにするために、長孔28の長手方向が押出し部材20の進退方向と同方向とされている。
噴射口26からの噴射空気流を、部品1の重心点またはその近傍に向けておくことによって、部品1をより安定した状態で滑動させることができる。そのために、空気通路25は部品1の重心点Gに向かった状態とされている。また、空気通路25を図2(E)に示すように、下向きに傾斜角度θを付与した状態とし、噴射空気流を下向きにしている。こうすることにより、空気流がフランジ部3を上から押さえるような作用をするので、部品1の傾きなどが防止できる。さらに、部品1の円筒面に対して空気噴射がなされるので、図2(A)に示すように、平面的に見て空気が部品の円形中心に向かって噴射されるようにすることが重要である。もし、これがずれていると、部品1の偏りが発生して、円滑な部品移動に支障を来すこととなる。
前記噴射口26の口径は4mmであり、空気供給源における供給圧力は6Kg/cm2である。
上述の部品送出装置10は、部品1を勢いよく送り出す機能と、部品1を1つずつ送り出す機能との両機能を有しているが、これを空気噴射で部品1を勢いよく送り出す機能だけにすることも可能である。また、前記蓋板は、符号31で示されている。部品導入管7にセンサー50が取付けられ、部品導入通路6における部品1の待機個数を検出し、不足したらパーツフィーダ5を起動する信号を発するようになっている。
つぎに、導入通路について説明する。
ケース本体15内に入ってきた部品1は、最初に押出し部材20の進出によって出口通路19の方へ押し出され、押出し部材20の横側面が入口通路18を閉塞した後、圧縮空気が噴射口26から噴射される。したがって、部品1は押出し部材20による移動慣性力に加算された状態で空気噴射による動圧が作用する。
部品1に対して噴射口26から空気噴射がなされると、その噴射力は動圧として部品1に作用する。このような動圧は、部品1が噴射口26から遠ざかるにしたがって低下する。それと同時に、部品後流側つまり部品後方の送給管11の空間が大きくなって行くので、その部分の圧力が低下する。これらの両低下現象によって送給管途上における部品移送力が弱まり部品1の送出速度が低下して生産性の向上が行いにくくなる。このような現象に注目して、導入通路が設けられている。
この導入通路は、部品送出装置10の内部構造として成立させるもの、つまり部品送出装置10に設けるものと、部品送出装置10の近傍に形成されるものがある。図2に示した導入通路は、部品送出装置10の内部構造として成立させたものである。押出し部材20の長手方向に沿って設けた切欠部30が前面24において開放されており、図2(D)に示すように、長孔28が切欠部30に連通している。前記切欠部30は、押出し部材20に設けた通気形状部であり、このような切欠部30の形状に換えて押出し部材20の内部を貫通する内部通路であってもよい。この切欠部30を入口通路18側にも設けることにより、部品導入通路6からの空気が切欠部30を経て導入されるようにすることができる。
噴射口26から空気が噴射されると、部品1は噴射空気の動圧を受けて出口通路19から送給管11へ移送されてゆく。部品1が噴射口26から遠ざかると動圧が低下し、さらに部品後方の送給管内空間が大きくなるので、外部の空気が長孔28から切欠部30の流通経路や、部品導入通路6から切欠部30の流通経路を経て送給管内空間に吸い込まれる。このような空気補充時に噴射口26からの空気噴射が継続されるので、部品後流側の送給管内空間の圧力低下が防止され、部品1に対する圧力が高く維持されて、部品移送の速度低下が防止される。
なお、押出し部材20の押出し進出と、噴射口26からの空気噴射を同時に行うことも可能である。この場合には、噴射空気が入口通路18から外部へ流出することが生じるが、押出し部材20の進出と空気噴射を同時に部品1に作用させることができるので、部品移動が積極的に勢いよくなされる。
図示していないが、導入通路が出口通路19のわずか前方に設けた空気導入口であるようなものが、前述の部品送出装置10の近傍に設けられた導入通路である。さらに、図2(E)に示すように、出口通路19の近くの蓋板31に、切欠部30に連通する吸気孔58を設けて、導入通路またはその一部とすることもできる。
つぎに、部品供給の目的箇所について説明する。
部品1が送給される目的箇所としては、前述のように、相手方部品に設けられた部品1の受入孔、部品1を供給する供給ユニットのチャック機構など種々なものが存在するが、この実施例では後者のものである。
図1および図3に示すように、前記供給ユニットは符号12で示され、その先端部に部品1を掴むチャック機構13が配置され、このチャック機構13が進退するようになっている。チャック機構13に保持された部品1は、電気抵抗溶接装置(図示していない)の電極14に供給される。なお、図3は、チャック機構13が進出した状態を示している。
前記送給管11の端部には、送給管11の一部を構成する管構造として、金属製の湾曲部材32が配置されている。この湾曲部材32に合成樹脂部分と金属部分とを接合する接手部材33が設けてある。湾曲部材32には、図2(B)に示したような断面形状の湾曲通路34が形成されている。なお、この湾曲部材32の蓋板も理解しやすくするために、図示されていない。そして、湾曲部材32は、平板状の支持板35上に固定されている。この支持板35は、支持ロッド66を介して静止部材に固定されている。つまり、供給ユニット12が支持されている。
前記支持板35上に、部品1を受け止める受け部材36が固定されている。この受け部材36は分厚い板材を切欠いて受入載置面37が形成され、切欠いた部分は図4(A)に示すように、湾曲通路34の出口部38に連通した位置関係とされており、湾曲通路34を滑動してきた部品1が滑らかに受入載置面37に移行できるようになっている。受入載置面37は、図4(A)に示すように、部品1が送り出される側に設けた開放部41によって開放されている。受入載置面37に入ってきた部品1の位置決めを行うために、部品1のフランジ部3が合致できる円弧壁39が形成され、吸引手段である永久磁石40によって円弧壁39への合致が維持される。永久磁石40は、受け部材36に埋設されている。
部品1が出口部38から出てくるときには、図4(B)に示すように、チャック機構13が受け部材36の上側に待機している。
チャック機構13の構造としては、進退部材と静止部材との間で部品1を挟み付けるものや、磁石などの吸引手段を利用したもの等種々なものが採用できる。ここでは、前者の形式である。図3(A)の(4B)−(4B)断面が図4(B)に示されている。
チャック支持板42に固定されたほぼL字型形状のストッパ部材43と、進退部材44によって部品1が挟み付けられる。ストッパ部材43には円弧面45が形成され、ここに部品1の円筒部3が合致する。また、進退部材44の端部にV字型の押圧面46が設けてある。したがって、図4(B)に示すように、受け部材36に停止している部品1が、ストッパ部材43とV字型の押圧面46で挟み付けられるようになっている。なお、部品1を受入載置面37上に導入するために、チャック支持板42にほぼU字型の切欠き部67が形成してある。
前記進退部材44はチャック支持板42上をスライドできるように載置されており、チャック支持板42に固定したエアシリンダ47のピストンロッド48が進退部材44に結合され、進退動作ができるようになっている。前記チャック支持板42はほぼ水平方向に配置されており、チャック支持板42の端部に起立した接続部材49が結合されている。
前記支持板35上にエアシリンダ51が固定され、そのピストンロッド52が前記接続部材49に結合してある。このエアシリンダ51の出力によってチャック機構13が進退する。なお、支持板35上に支持ブロック53が固定され、ピストンロッド52はこの支持ブロック53を貫通している。また、ガイドロッド54も摺動可能な状態で支持ブロック53を貫通し、接続部材49に結合されている。
図3(B)に示すように、前記電極14に鋼板部品55が載置され、電極14のガイドピン56が鋼板部品55を貫通して鋼板部品55の位置決めがなされている。電極軸線は符号O−Oで示されている。
図4(B)は、エアシリンダ51によってチャック機構13が最も後退してチャック機構13が受け部材36の真上に位置している状態である。この状態のところへ部品1が入ってくると、受け部材36と永久磁石40によって部品1の停止位置が設定される。ついで、エアシリンダ47の動作で進退部材44が進出すると、円筒部2が円弧面45と押圧面46の間に挟み付けられる。
このようにして部品1がチャック機構13に保持されると、今度は、エアシリンダ51の動作でチャック機構13全体が前進して、部品1の軸線が電極軸線O−Oと同軸になった位置で停止する。その状態で進退部材44が後退すると、部品1は真下に落下しガイドピン56が部品1を相対的に貫通する。その後、チャック機構13が後退して可動電極57が下降すると、部品1の溶着用突起4が鋼板部品55に圧着され、ついで、溶接電流が通電されて溶接が完了する。
つぎに、補助噴射口について説明する。
前記送給管11内を部品1が移送される際、部品後方の送給管内空間の圧力をより高く維持するために、補充空気を導入する導入通路について前述のように説明した。一方、部品前方の送給管内空間の空気圧をより低くすることによって、部品搬送力を一層高めることができる。なお、部品後方とは部品の進行方向で見た後方であり、部品前方とは部品の進行方向で見た前方である。
前記湾曲部材32の湾曲通路34に補助噴射口59が設けてあり、それに連なる空気通路60が湾曲部材32にあけられ、空気供給管61が湾曲部材32に結合されている。前記補助噴射口59は、湾曲通路34の外周側の内面に開口している。そして、空気が部品供給の目的箇所、すなわち後退位置(受け部材36の真上の位置)にあるチャック機構13に向かって噴射されるように、空気通路60の向きが設定されている。このように目的箇所に向かって空気を噴射するために、補助噴射口59は前記目的箇所の近傍に配置してある。
図5(A)は、部品搬送通路装置全体を示すシステム図であり、先に説明した構成と同じ機能の部分には同じ符号が記載されている。なお、ここでは、部品送出装置10には押出し部材20のない形式であり、内部空間16に入ってきた部品に対して直接噴射口26から空気が噴射されるようになっている。そして、前記長孔28や切欠部30などによって形成される導入通路は、符号62で示されている。図3や図4から明らかなように、目的箇所であるチャック機構13は、空気が流出する空隙が存在しており、それは符号63で示されている。また、内部空間16に入ってきた部品1の位置決めをするために、吸引手段である永久磁石68がケース本体15に取り付けてある。
空気供給源(図示していない)からの空気を分配する空気切換弁64が設置され、ここから空気供給管27,61が延びている。前述の各エアシリンダや部品検出センサー等からの信号を受けて動作する制御装置65が設けられ、ここからの動作信号が空気切換弁64に入力される。噴射口26と補助噴射口59から同時に空気噴射がなされるように、制御装置65から空気切換弁64に動作信号が送られる。図示していないが、部品1が内部空間16に入ってきたことを検知するセンサーから、部品存在の信号が制御装置65に対して発せられると、制御装置65から空気切換弁64へ動作信号が送信されるようになっている。なお、噴射口26からの空気噴射を先行的に行わせ、それから若干遅れて補助噴射口59から空気噴射を行うようにしてもよい。
前記補助噴射口59から圧縮空気が噴射されると、空気噴流の近辺の空気が引き込まれる現象が発生し、補助噴射口59からの空気噴射流に補助噴射口後方の空気が引き込まれる。つまり、インジェクターのような現象が発生する。さらに、補助噴射口59からの噴射空気によって補助噴射口前方の空気が押し出されるような現象が発生するので、補助噴射口後方の送給管内空間は希薄になる。したがって、部品前方の送給管内空間の圧力が低くなり、前述のように部品1に対する部品移送力が大きくなる。すなわち、部品1に対して、部品1を押す圧力と部品1を引く圧力が作用するのである。
図5(B)は、(A)図のように湾曲通路34がなくて、真っ直ぐな送給管11がチャック機構13に連通しているもので、それ以外は(A)図のものと同じである。
また、図5(C)は、(B)図のものに肉厚を記載した構造断面を示して図示したものであり、各部の構成は(B)図のものと同じである。
前記補助噴射口59の箇所を通過した部品1が、鉄くずのような不純物の介在によってひっかかり停止することがある。そのような場合に備えて、補助噴射口59の後方直近にセンサー69が取付けられ、このセンサー69から信号が発せられた後一定時間が経過しても、ストッパ部材43に取付けたセンサー70から検知信号が発せられないときには、補助噴射口59からの空気が再噴射されるようになっている。このような動作は制御装置65に各センサー69,70からの信号を入力することによって、実行することができる。
上述のように、一旦空気噴射を止めてから再噴射を行うことにより、衝撃的な噴射圧力が部品1に作用するので、異常に停止している部品1を強力に押し出すことができて、異常停止を確実に脱却することができる。
上述の実施例においては各種のエアシリンダが採用されているが、これに換えて進退出力をする電動モータを採用してもよい。さらに、上述のような動作を行わせるためには、通常のシーケンサーのような制御装置や、センサーや、前記制御装置によって動作する空気切換弁などを用いて容易に行うことができる。
以上に説明した実施例1の作用効果は、つぎのとおりである。
部品1は押出し部材20によって出口通路19の方へ押し出され、この押出し方向と同方向に押出し部材20の前面24から空気噴射がなされて送給管11へ送出されて行く。したがって、押出し部材20の進出方向と搬送空気の噴射方向とが同方向とされているので、押出し部材20によって押し出された部品1の移動慣性力に対して搬送空気の噴射力が加算された状態になり、部品1の初期移動が確実に達成される。通常、部品1には防錆油などが塗布されていて、その粘着性によって部品1の移動開始が円滑になされないことが発生するのであるが、上述のように押出し部材20による部品1の移動慣性力と搬送空気の噴射力とが加算されて部品1に作用するので、部品1の確実な移動開始が確保でき装置の動作信頼性が向上する。
このような動作により、部品1の質量が大きくてそのサイズも大きいものであっても、部品1の移動慣性力と搬送空気の噴射力とが加算されて部品1に作用するので確実に移動開始が達成される。とくに、空気噴射は口径の小さな噴射口26から行われるので、噴射流は大きなサイズの部品1に対しては、ごく小さな局部的な箇所にしか当たらないこととなる。したがって、このような形態の空気噴射で質量およびサイズの大きな部品1を送出することは困難なのであるが、前述のように、押出し部材20の押出しによってえられる部品1の移動慣性力に対して空気噴射流が加算されるので、部品1の移動開始が確実にえられる。
前記噴射口26からの空気噴射によって部品1が前記送給管11内を搬送されているときに、部品後方の送給管内空間に補充空気を導入する導入通路が、長孔28とこれに連通する切欠部30の態様や、部品導入通路6とこれに連通する切欠部30の態様、あるいは吸気口58とこれに連通する切欠部30の態様などによって形成されている。
部品1に対して噴射口26から空気噴射がなされると、その噴射力は動圧として部品1に作用する。このような動圧は、部品1が噴射口26から遠ざかるにしたがって低下する。それと同時に、部品後流側つまり部品後方の送給管11の空間が大きくなって行くので、その部分の圧力が低下する。これらの両低下現象によって送給管途上における部品移送力が弱まり部品1の送出速度が低下して生産性の向上が行いにくくなる。つまり、強い噴射流を得るために噴射口26の直径を小さくする必要があるが、そのために十分な流量を確保することができないので、部品後方の空間拡大に追従できないことになる。
上述のような現象に対して、部品1の背後の送給管内空間に補充空気を導入する導入通路が設けられているので、部品後方の圧力低下を防止することができ、部品1の移送力を十分に確保できる。換言すると、部品移動にともなって部品後方の空間拡大がなされるが、それに追従した空気の補充がなされるので、部品後方の圧力低下が防止されて、十分な部品移送力が確保できる。つまり、部品1の質量や寸法サイズが大きくなると、送給管11の断面積が大きくなるので、それにともなって部品1の移動量に対する部品後方の空間が急激に増大するのであるが、このような状況において上述のように効果的な空気補充がなされる。
さらに、部品1が噴射口26に近い箇所に存在しているときには、噴射口26からの空気噴射が部品1を直撃するような状態で十分な噴射エネルギーを部品移動に活用することができるが、部品1が噴射口26から遠ざかるとこのような空気噴射の直撃性が緩慢となる。しかし、前記空気補充がなされるので、この補充空気の中に空気噴射が継続されることとなり、そのために部品後方の圧力が高く維持できるようになる。したがって、部品1が噴射口26から遠ざかると、今度は、部品全体に対する動圧を極力高く維持することができて良好な部品移送力が確保できる。
また、一般に、鉄くずの吹き飛ばしや加工熱の冷却等のために工場全域に圧縮空気の供給配管が敷設され、この配管からの圧縮空気を前記噴射口から噴射するように構成される。こうすることによって、圧縮空気の供給源を単一化して工場設備の合理化を図るのであるが、圧縮空気の圧力は、通常、低くて3Kg/cm2程度、高くても8Kg/cm2程度であるから、噴射口26からの空気噴射を少しでも強くするためには、噴射口26の口径を小さくせざるを得ない事情がある。そのために、噴射口26からの空気流量を増大することが困難になるのであるが、本実施例においては、上記のようにして導入通路を効果的に機能させるのである。つまり、工場の空気供給の事情に適合させることが可能となる。なお、工場全域の空気圧を高めることは、空気漏れやエネルギー経費の関係で好ましくない。
前記ケース本体15に設けた長孔28の長手方向が前記押出し部材20の進退方向と同方向とされ、前記噴射口26に搬送空気を供給する空気供給管27が前記長孔28を貫通した状態で配置されている。
前記空気供給管27は、長孔28内に沿って押出し部材20とともに進退するので、噴射口26に対する圧縮空気の供給が確実になされる。
前記導入通路は、少なくとも前記押出し部材20に形成した通気形状部である切欠部30によって構成されている。
前記押出し部材20に形成した切欠部30によって部品後方の送給管内空間に補充空気を導入するものであるから、補充空気は押出し部材20から噴射空気とともに部品後方の送給管内空間に供給される。したがって、部品後方の送給管内空間に対する空気補充が確実に達成される。とくに、押出し部材20からの空気噴射流と切欠部30からの空気補充の空気流とが寄り添った状態、すなわち両空気流が束になったような合流状態を形成することが可能となるので、部品後方に空気補充を行って部品1に対して効果的な動圧を作用させることができる。
さらに、噴射口26からの空気噴射に誘導された状態で外部からの空気が通気形状部を経て部品後方の空間に導入される。すなわち、噴射口26からの空気噴射によって、いわゆるインジェクターのような現象が発生して送給管11内に空気補充がなされる。したがって、補充空気の十分な流入が確保できる。
前記切欠部30は、前記長孔28に連通している。
長孔28から導入された補充空気が切欠部30を経由して部品後方の空間に導入される。このように長孔28は、空気供給管27を押出し部材20の進退動作に支障なく通過させる機能と、補充空気の通路の一部を形成する機能とを果たしているので、確実な補充空気の導入を達成するとともに構造の簡素化を図ることができる。
前記噴射口26は、部品1の重心点Gまたはその近傍に向けて空気を噴射する位置に設けられている。
このように部品1の重心点Gまたはその近傍に向けて空気噴射がなされるので、部品1に傾きなどが発生することなく移動しやすい姿勢を部品1に付与することができる。したがって、部品1の移動開始が円滑にしかも確実に行われる。もし、部品1の重心点Gよりも大幅にずれた箇所に向けて空気噴射がなされると、極端な場合には、部品1を傾斜させる力が作用して部品1が送給管11内で傾くこととなり、部品1は送給管11の内面に食い込むような状態で動かなくなる。上述のような正常な箇所に向けて空気噴射がなされることによって、上記の部品食い込みのような現象を回避することができる。