図1〜図5は実施例1を示す。
送出の対象となる部品について説明する。
本願発明において送出される部品のとしては、図9に示したような円柱形の軸状部品や、直方体型の四角い部品や、ナットのような部品等種々なものがあげられる。ここでは図1(C)に示したフランジ付き軸状部品20であり、鉄製である。これは、雄ねじが形成された軸部21と、この軸部21と一体に形成された円形のフランジ22と、フランジ22の中央部に形成された円形の溶着用突起23から構成されている。この部品は、電気抵抗溶接によって鋼板部品等に溶接されるプロジェクションボルトである。各部の寸法は、軸部21の直径と長さがそれぞれ5mmと14mm、フランジ22の直径と厚さがそれぞれ14mmと1.2mm、溶着用突起の直径と突出高さが8mmと1.3mmである。
つぎに、部品送出装置全体の構造を説明する。
図1(A)は、装置全体の平面図であり、内部構造を理解しやすくするために、後述の蓋部材26を外した状態で図示してある。細長いほぼ直方体の形状をした箱形のケース本体24に平坦な上面25が形成され、そこに板状の蓋部材26が図3に示すように、密着した状態でボルト(図示していない)によって固定されている。なお、図1(A)示す符号27は、前記ボルトのねじ孔である。なお、図1(A)の(3)−(3)断面図が図3(A)である。
前記ケース本体24の横側部に入口通路28が設けられ、これに連続した状態で部品通路部材29が、ケース本体24に溶接してある。部品通路部材29は同図(B)に示すように、軸状部品20を吊り下げた状態で移送する形式のものであり、上方に開放したコ字型部材31の上面に、フランジ22の下面が滑動する滑動面32が形成されているとともに、軸部21が通過する通過空間33が形成されている。したがって、軸状部品20は(B)図に示すように、吊り下げられた状態で入口通路28に移送される。なお、この部品通路部材29はパーツフィーダ34から延びてきている。
前記入口通路28は、部品通路部材29からの軸状部品20が滑らかに進入できるようにするために、前記滑動面32に連続した滑動面35と、通過空間33に連続した通過空間36によって構成されている。また、この滑動面35はケース本体24の上面部分に段部37を形成することによって、後述の移送部材38が移動するときにフランジ22の下面が同方向に滑動できるようになっている。
つぎに、移送部材について説明する。
四角いブロック状の部材を加工して移送部材38が形成されている。軸状部品20を受け入れる収容凹部40が、移送部材38の横側に開放した状態で形成されている。この収容凹部40は図4(C)に示すように、軸部21を受け入れる小凹部41と、フランジ22を受け入れる大凹部42から構成されている。小凹部41の奥の部分は、図1、図2、図4に示すように、軸部21を受け止める円弧型の断面形状とされている。収容凹部40は、入口通路28側の部分と後述の出口通路58に連通する側の部分だけが開放している。小凹部41と大凹部42の境界部分に形成された平坦な支持面44は、前述の滑動面35に滑らかに連続した状態で形成されており、フランジ22を支持するものである。
移送部材38は図3に示すように、ケース本体24の内面に摺動しながら進退するようケース本体24内に挿入されており、ケース本体24に結合したエアシリンダ45のピストンロッド46が、移送部材38の端部に結合されている。移送部材38は、図1(A)の左右方向、図3(A)の紙面に対して垂直方向に進退する。
つぎに、挿入凹部について説明する。
図1(A)の上下方向が移送部材38の幅方向であり、その中心線O−Oは移送部材38の進退方向と同方向とされている。この中心線O−Oが移送部材38の中心位置である。収容凹部40は、移送部材38の中心位置から入口通路28側に片寄せて配置してある。入口通路28とは反対側の移送部材38の部分に挿入凹部48が形成してある。この挿入凹部48は、移送部材38の進退方向と同方向に延びる溝状の部分である。この挿入凹部48の奥部は小凹部41の間近までに達しており、それによって薄肉部49が形成されている。
前記挿入凹部48は断面が溝状の形であるが、図3(C)に示すように、溝状ではなく切欠いた形状で収容凹部48を形成することも可能である。
つぎに、磁石について説明する。
ケース本体24の背板47に挿入孔50があけられ、ここに細長い長尺な永久磁石52を貫通させてある。そして、永久磁石52の先端部が、前記薄肉部49の間近に位置させてある。永久磁石52の基端部53は固定片54に溶接され、この固定片54はボルト55で背板47に結合してある。このような磁石配置によって、磁石52の先端部が収容凹部40内の軸状部品20の間近に位置している。このような位置関係を設定するために、入口通路28における軸状部品20の進入方向の延長線上に、磁石52が配置してある。つまり、入口通路28と永久磁石52は、ケース本体24の両側で対向している。
図4(A)に示すように、永久磁石52は、5個の永久磁石を並べて細長い容器56内に封じ込めたものである。並んでいる磁石の密着している箇所の極性はS対Nのように逆の極性関係とされている。したがって、永久磁石52全体の磁力線は符号57で示すような形態となり、各磁石は吸引し合っている。
つぎに、出口通路について説明する。
前述の出口通路58は、移送部材38が所定距離移動することによって収容凹部40が合致する箇所に形成されている。ここでは、蓋部材26にあけた貫通孔であり、図3(A)に2点鎖線で示され、また、図4(E)に示されている。この出口通路58に供給通路管59が接続され、軸状部品20はこの供給通路管59を通って目的箇所に到達する。供給通路管59は図1(A)にも2点鎖線で示されている。なお、このように収容凹部40が出口通路58に合致している状態を示す断面状態は、つぎの実施例2における図8と同じである。
なお、図2に示すように、移送部材38が出口通路58側に移動したときに、つぎの軸状部品20のフランジ22を受け止める受け面60が形成されている。
収容凹部40が所定距離移動して出口通路58に合致すると、収容凹部40はケース本体24の内面61によって封鎖され、出口通路58側にだけ連通した状態の閉鎖空間になる。
つぎに、空気噴射について説明する。
収容凹部40内の軸状部品20を送出するために、収容凹部40内に向かって空気噴射口63が開口させてある。この空気噴射口63は、移送部材38に設けた空気通路64を経て収容凹部40内に開口している。この開口は、小凹部41の底部に配置してあり、ここからの空気噴射は軸部21の下面に直接吹き付けられる。したがって、軸状部品20に対して噴射空気の動圧が積極的に作用する。
前記空気通路64に空気供給管65が溶接してあり、空気供給管65はケース本体24の背板47にあけた通孔66を通って外部に出ている。通孔66は、移送部材38の進退移動にともなう空気供給管65の進退変位を許容する大きさに設定してある。したがって、図4(D)に示すように、背板47を背後から見ると、通孔66は移送部材38の進退方向に延びた横長の形状とされている。通孔66の上方に前記挿入孔50が位置している。
送出用の空気は、移送部材38に形成した前記空気通路64を経て収容凹部40内に噴射されるものであるから、漏洩する空気の通路箇所は収容凹部40の開口周辺部67とケース本体内面61との間のわずかな領域の摺動間隙だけとなる。図4(C)には2点鎖線で前記領域が示され、ここが開口周辺部67とされている。このようにして、空気漏洩箇所が図9に基づいて説明した場合に比して大幅に減少し、空気漏れに伴う騒音の低減や、空気消費量の低減に役立つのである。
前述のような寸法のプロジェクションボルト20を送出する部品送出装置が図9に示したような構造とされた場合には、装置から1m離れた箇所での騒音は88デシベルであった。それに対し、本実施例のような収容凹部40や空気通路64を形成した部品送出装置の騒音は、同じ1m離れた箇所で72デシベルであり、空気漏洩箇所が最小化されることによる騒音低減に著しい改善が認められた。同様に消費空気量も低減している。
図3(B)に示すように、空気噴射口63を小凹部41の横側から開口させることも可能である。この場合には、空気圧は軸部21に対する動圧よりも静圧が支配的となる。前記開口周辺部67からの空気漏洩が少ないので、このように静圧を有効に利かせることが可能となる。さらに、移送部材38に接続した空気供給管65を、ケース本体24の真下に延ばすことも可能であり、この場合には通孔66がケース本体24の下側に設けられる。
上述の実施例1において、収容凹部40内に向かう噴射空気を予備空気噴射とし、この予備空気噴射によって供給通路管59に至った軸状部品20に対して、目的箇所へ移送する空気噴射を、主空気噴射とすることができる。図3(A)に2点鎖線で示すように、供給通路管59に主空気噴射の空気供給をする空気管62を接続するのである。
永久磁石52の磁力を強く軸状部品20に作用させるために、ケース本体24全体、移送部材38、固定片54、容器56等を構成する材料は、ステンレス鋼や合成樹脂等の非磁材料を用いている。ここでは、ステンレス鋼である。
なお、上記のエアシリンダ45に換えて、進退出力をする電動モータを採用することもできる。
つぎに、磁石配置の変形例を説明する。
図5は、軸部21に磁力を作用させる構造の変形例を示している。図5(A)は、軸部21が長い場合であり、そのために永久磁石52が2本配置してある。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて図3等の構造と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
図5(B)は、前記挿入凹部48をなくしたものであり、入口通路28に対向した箇所のケース本体24に永久磁石52が取り付けられ、この磁石によって磁化される磁気吸引部材69が移送部材38に取り付けられ、前記磁気吸引部材69の先端部を小凹部41内の軸部21の間近に配置したものである。磁気吸引部材69は磁性材料で構成され、その形状は細長い棒状であり、鉄製である。そして、ここで磁気吸引部材69によって形成される磁力線は、図4(A)に示したものと同じである。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて図3等の構造と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。なお、図5(D)に示したものは、同図(B)における永久磁石52が電磁石70に置き換えられたものである。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて図5(B)や図3等の構造と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
図5(C)は、移送部材38に取り付けた電磁石70の励磁鉄心71が磁気吸引部材69とされ、この磁気吸引部材69の先端部を前記収容凹部40内の軸状部品20の間近に配置したものである。電磁石70は、移送部材38に埋め込まれた状態で配置されており、電磁石70への電線72は通孔73を通してある。この通孔73は、電線72を移送部材38の進退に追従するために、前記通孔66のように細長く形成してある。そして、ここで電磁石70によって形成される磁力線は、図4(A)に示したものと同じである。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて図5(B)、(D)や図3等の構造と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
図5(E)は、図5(B)に示した磁気吸引部材69の先端部が小凹部41に露出しているものである。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて図5(B)や図3等の構造と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
つぎに、実施例1における部品送出装置の動作を説明する。
図1(A)は、収容凹部40が入口通路28に合致して軸状部品20が収容凹部40内に導入された状態を示している。このような移送部材38の位置においては、磁石52の先端部が軸状部品20の間近に位置しているので、軸状部品20は強い吸引力で収容凹部40内に引き込まれる。それから、エアシリンダ45の動作で移送部材38が左方へ移動し、収容凹部40が出口通路58に合致する。この合致した状態が図2に示されている。この状態で空気噴射口63から搬送空気が噴射されると、軸状部品は図3(A)の上方へ送出され、供給通路管59を移送されて目的箇所に到達する。
また、軸状部品20が出口通路58を通過して供給通路管59内に移行したときに、空気管62から主空気噴射を行って目的箇所へ軸状部品20を高速で到達させることも可能である。
上述の動作は、一般的に採用されている制御手法で容易に行わせることが可能である。制御装置またはシーケンス回路からの信号で動作する空気切換弁や、エアシリンダの所定位置で信号を発して前記制御装置に送信するセンサー等を組み合わせることによって、所定の動作を確保することができる。
図6〜図8は、実施例2を示す。
この実施例2は、1つの入口通路から入ってきた軸状部品を複数の収容凹部に受け入れて、複数の出口通路から送出するものである。
図6および図7に示すように、移送部材38には2つの収容凹部40が設けられ、その間隔寸法はSとされている。図7は、空気通路64の箇所が横断された平面図である。各収容凹部40に開口する空気噴射口63や移送部材38に形成した空気通路64は、実施例1と同じである。これらの空気通路64に接続された空気供給管65は、背板47に設けた細長い通孔66から外部に延びている。
図7に2点鎖線で示すように、出口通路58に接合された供給通路管59が2つ配置してあり、その間隔寸法は前記寸法Sの2倍とされ、図中には2Sと記載してある。入口通路28はこの間隔寸法2Sの中央に位置させてある。
図8に示すように、出口通路58から供給通路管59に入った軸状部品20を高速で目的箇所へ移送するために、出口通路58の近傍に主空気噴射口74が開口しており、これに空気管62が接続してある。この主空気噴射口74は両供給通路管59に開口している。そして、実施例1における前記空気噴射口63は、ここでは予備空気噴射口63とされている。
図8には、空気噴射や移送部材38の動作をおこなわせる動作系統図が併記してある。空気ポンプ76からの圧縮空気が空気切換弁77を経て、空気通路64、空気噴射口74およびエアシリンダ45に供給されるものであり、空気切換弁77を制御する制御装置78が設置してある。この制御装置78は、通常のシーケンス回路、あるいは簡単なコンピュータ装置を用いたものである。制御装置78には制御信号の発信にとって必要な種々な信号が入力されるが、移送部材38がどの位置に停止しているかを示す位置信号も入力される。さらに、予備空気噴射口63からの空気噴射は軸状部品20が供給通路管59に達するまでの短時間であり、その噴射時間は制御装置78に内蔵されているタイマー装置によって設定される。また、主空気噴射口74からの空気噴射時期は、予備空気噴射口63からの空気噴射開始時期から所定時間経過後になされる。この所定時間の経過は、前記タイマー装置によって計時される。
実施例2においては、収容凹部40が2つの場合であるが、これを3つおよび4つと増やすことも可能である。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の実施例1と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
つぎに、実施例2における部品送出装置の動作を説明する。
図6は、左側の収容凹部40が入口通路28に合致した状態であり、永久磁石52によって軸状部品20(図6では、図示していない)が導入されるところを示している。ここで制御装置78の動作で駆動されたエアシリンダ45によって移送部材38が左方へ移動し、収容凹部40が図7の左側の供給通路管59に合致する。この合致状態では、収容凹部40は前記開口周辺部67において空気漏洩箇所が最小化されているので、予備空気噴射口63からの噴射空気は漏洩量が少ない状態で軸状部品20に効果的に吹き付けられ、出口通路58から供給通路管59へ送出される。この時点で主空気噴射口74から搬送用の空気が噴射され、軸状部品20は目的箇所へ移送される。このように左側の収容凹部40から軸状部品20が送出されているときには、右側の収容凹部40が入口通路28に合致して、部品受入れがなされている。
このように主空気噴射口74からの空気噴射が開始されると、直ちに移送部材38が右側へ移行され、図6図示の状態になる。したがって、今度は右側の収容凹部40が右側の供給通路管59に合致して、前述の動作と同じ送出がなされる。上述のように、軸状部品20が収容凹部40から供給通路管59に送出されて、主空気噴射口74から空気噴射が開始されるのと同時に、移送部材38が切り換え移動をする。これにより、軸状部品20が長尺な供給通路管59を移動しているときには、次の軸状部品20が収容凹部40に導入され、それが今度は他の供給通路管59から送出される。したがって、軸状部品20が供給通路管59を通過している時間の節約ができて、効率的な部品送出装置の動作がえられる。
上記実施例1および実施例2の作用効果はつぎのとおりである。
前記挿入凹部48に進入させた磁石52の先端部が、収容凹部40が前記入口通路28に合致しているとき、収容凹部40内の軸状部品20の間近に位置している。したがって、収容凹部40内への部品吸引力を強く作用させることができ、確実に軸状部品20が収容凹部40内へ導入される。軸部21が小径であるために小さな収容凹部40(小凹部41)であっても、永久磁石52が挿入凹部48に進入して磁石先端部が軸部21の間近に位置することができるので、確実に部品吸引が果たされる。例えば、軸状部品20の直径が小さな場合において、このように磁石先端部が軸部21に接近した状態が確保できるため、軸状部品20に対する吸引力を適確に作用させることができる。
さらに、前記挿入凹部48が移送部材38の進退方向と同じ方向に配置してあるので、磁石52が進入した状態のままで自由に移送部材38を進退させることができる。そして、移送部材38が所定距離移動して収容凹部40が出口通路58に合致した状態では、収容凹部40内の軸状部品20に対して吸引磁力が作用していないので、軸部21と収容凹部内面との間の摩擦力が消滅している。したがって、収容凹部40への噴射空気の圧力や空気流量を最小化することができ、噴射空気の節減や空気騒音の低減にとって効果的である。
前記磁石52は長尺な形状とされ、基端部53がケース本体24の背板47に固定されている。
したがって、長尺な磁石形状により挿入凹部48の奥まで差し込んで、その先端部を確実に軸部21の間近に位置させることができる。さらに、磁石52の基端部53がケース本体24に固定されているので、ケース本体24の入口通路28と磁石52の相対位置を、対向させた状態で正確に設定することができる。
前記収容凹部40は、移送部材38の中心位置O−Oから入口通路28側に片寄せて形成され、入口通路28とは反対側の部位に前記挿入凹部48が形成されている。
このように移送部材38の幅方向で見た中心位置すなわち移送部材38の進退方向と同方向の中心線O−Oから、入口通路28側に片寄せて収容凹部40が形成されているので、その反対側には磁石挿入に要する空間を持たせた挿入凹部48が確実に形成できる。
送出の対象となる部品は、フランジ22と軸部21が一体化されたフランジ付きの軸状部品20であり、前記入口通路28にフランジ下面が摺動する滑動面35と軸部21が通過する通過空間36が設けられている。
したがって、前記軸状部品20はそのフランジ下面の摺動と軸部21の空間通過がなされて、円滑に入口通路28を通過して収容凹部40内に導入される。
前記挿入凹部48をなくした形式の部品送出装置であり、ケース本体24の中に進退式の移送部材38が挿入され、この移送部材38に設けた軸状部品20の収容凹部40がケース本体24の入口通路28に合致する箇所に形成され、移送部材38が所定距離移動することによって前記収容凹部40が合致する出口通路58がケース本体24に設けられ、収容凹部40内へ部品20を吸引する磁石が配置された形式のものにおいて、前記入口通路28に対向した箇所のケース本体24に磁石52が取り付けられ、この磁石52によって磁化される磁気吸引部材69が移送部材38に取り付けられ、前記磁気吸引部材69の先端部を前記収容凹部40内の部品20の間近に配置したことを特徴とする部品送出装置である。
前記収容凹部40が入口通路28に合致しているときには、磁石52によって形成される磁力線57が、磁気吸引部材69を経て収容凹部40内を通過する。それによって、入口通路28に入ってきた部品20にも磁力線57が及んで、部品20は収容凹部40内へ吸引される。したがって、収容凹部40内への部品吸引力を強く作用させることができ、確実に部品20が収容凹部40内へ導入される。軸部21が小径であるために小さな収容凹部40であっても、磁気吸引部材69の先端部が軸部21の間近に位置しているので、確実に部品吸引が果たされる。例えば、軸状部品20の直径が小さな場合において、このように磁気吸引部材69の先端部が軸部21に接近した状態を確保できるため、部品20に対する吸引力を適確に作用させることができる。
さらに、移送部材38が所定距離移動して収容凹部40が出口通路58に合致した状態では、収容凹部40内の部品20に対して吸引磁力が作用していないので、軸部21と収容凹部内面との間の摩擦力が消滅している。したがって、収容凹部40内の部品20に対する噴射空気の圧力や空気流量を最小化することができ、噴射空気の節減や空気騒音の低減にとって効果的である。
前記収容凹部40は、移送部材38の中心位置O−Oから入口通路28側に片寄せて形成され、入口通路28とは反対側の部位に長尺な形状とされた前記磁気吸引部材69が配置されている。
このように移送部材38の幅方向で見た中心位置すなわち移送部材38の進退方向と同方向の中心線O−Oから、入口通路28側に片寄せて収容凹部40が形成されているので、その反対側の移送部材38の部分には磁気吸引部材69を配置するための部材寸法が確保され、磁気吸引部材69が確実に配置できる。
電磁石70を用いた形式の部品送出装置であり、ケース本体24の中に進退式の移送部材38が挿入され、この移送部材38に設けた軸状部品20の収容凹部40がケース本体24の入口通路28に合致する箇所に形成され、移送部材38が所定距離移動することによって前記収容凹部40が合致する出口通路58がケース本体24に設けられ、収容凹部40内へ部品20を吸引する磁石が配置された形式のものにおいて、前記移送部材38に取り付けた電磁石70の励磁鉄心71が磁気吸引部材69とされ、この磁気吸引部材69の先端部を前記収容凹部40内の軸部21の間近に配置したことを特徴とする部品送出装置である。
前記収容凹部40が入口通路28に合致しているときには、電磁石70によって形成される磁力線57が、磁気吸引部材69である励磁鉄心71を経て小凹部41内を通過する。それによって、入口通路28に入ってきた軸部21にも磁力線57が及んで、軸部21は収容凹部40内へ吸引される。したがって、収容凹部40内への部品吸引力を強く作用させることができ、確実に部品20が収容凹部40内へ導入される。軸部21が小径であるために小さな収容凹部40であっても、磁気吸引部材69(励磁鉄心71)の先端部が軸部21の間近に位置しているので、確実に部品吸引が果たされる。例えば、軸状部品20の直径が小さな場合において、このように磁気吸引部材69の先端部が部品20に接近した状態を確保できるため、部品20に対する吸引力を適確に作用させることができる。
さらに、移送部材38が所定距離移動して収容凹部40が出口通路58に合致したときには電磁石70への通電を停止して吸引磁力を消滅させる。この状態では、収容凹部40内の部品20に対して吸引磁力が作用していないので、部品20と収容凹部40の内面との間の摩擦力が消滅している。したがって、収容凹部40内の部品20に対する噴射空気の圧力や空気流量を最小化することができ、噴射空気の節減や空気騒音の低減にとって効果的である。
送出用の空気は、移送部材38に形成した前記空気通路64を経て収容凹部40(小凹部41)内に噴射されるものであるから、漏洩する空気の通路箇所は収容凹部40の開口周辺部67とケース本体内面61との間のわずかな領域の摺動間隙だけとなる。このように空気の漏洩箇所がわずかなものとなるので、前述の空気流通にともなう騒音は著しく低減する。同時に、漏洩する空気量がわずかなものとなるので、圧縮空気の消費量が節約できる。
漏洩空気量が低減されることにより、部品背後の空気圧を高く設定することができ、これによって部品20の送出速度が急速に上昇し、いわゆる初速が大きくなって部品送出が迅速に行われ、高速搬送が実現して送出効率の向上が達成できる。
そして、空気噴射口63が収容凹部40(小凹部41)内に向かって開口しているので、この開口箇所や開口方向を部品形状や部品質量等に応じて設定することにより、噴射空気量を少なくして部品送出を高速でおこなうことができ、送出効率の向上や圧縮空気の消費量低減が可能となる。空気噴射口63の開口箇所の選定によって、噴射空気を動圧として部品20に作用させることも可能であり、これによって一層高速な部品送出が実現する。
前記収容凹部40は、入口通路28に合致する部分と部品20が収容凹部40から送出されてゆく部分だけが開放した構造とされ、前記移送部材38が所定距離移動することによって、収容凹部40はケース本体24の内面61によって封鎖された空間になるとともに、この空間は出口通路58に連通するように構成した。
したがって、所定距離移動した収容凹部40から漏洩する空気の通路箇所は前述のように、収容凹部40の開口周辺部67とケース本体内面61との間のわずかな領域の摺動間隙だけとなり、しかも封鎖された収容凹部空間は出口通路58に連通している。したがって、所定距離移動した収容凹部40は封鎖性の良好な空間となり、収容凹部40内へ噴射された空気は漏洩量の少ない状況下で、部品20に対して効果的に吹き付けられる。
前記空気通路64に接続した空気供給管65がケース本体24の背板47に設けた通孔66から外部に突出させてあり、この通孔66は移送部材38の進退移動にともなう空気供給管65の進退変位を許容する大きさに設定されている。
このような構成により、前記空気供給管65は移送部材38の進退移動に追従して前記通孔66内を移動し、収容凹部40への空気噴射が確実になされる。空気供給管65が移送部材に接合された構造であるから、空気漏れの箇所が前述の収容凹部40の開口周辺部67とケース本体内面61との間のわずかな領域の摺動間隙だけとなる。
このように予備空気噴射口63からの空気噴射によって軸状部品20を収容凹部40から供給通路管59内へ脱出させ、それに引き続いて主空気噴射口74から供給通路管59内へ搬送用空気が噴射される。この搬送用空気が噴射されるのと同時に、移送部材38をつぎの位置へ移行させることができるので、移送部材38が効率的に動作し、部品送出装置としての送出効率が向上する。
前記予備空気噴射口63は、移送部材38に形成した空気通路64を経て収容凹部40(小凹部41)内に向かって開口している。
送出用の空気は、移送部材38に形成した前記空気通路64を経て小凹部41内に噴射されるものであるから、漏洩する空気の通路箇所は収容凹部40の開口周辺部67とケース本体内面61との間のわずかな領域の摺動間隙だけとなる。このように空気の漏洩箇所がわずかなものとなるので、空気流通にともなう騒音は著しく低減する。同時に、漏洩する空気量がわずかなものとなるので、圧縮空気の消費量が節約できる。
漏洩空気量が低減されることにより、部品背後の空気圧を高く設定することができ、これによって部品20の送出速度が急速に上昇し、いわゆる初速が大きくなって部品送出が迅速に行われ、高速搬送が実現して送出効率の向上が達成できる。
そして、空気噴射口63が小凹部41内に向かって開口しているので、この開口箇所や開口方向を部品形状や部品質量等に応じて設定することにより、噴射空気量を少なくして部品送出を高速でおこなうことができ、送出効率の向上や圧縮空気の消費量低減が可能となる。空気噴射口63の開口箇所の選定によって、噴射空気を動圧として部品20に作用させることも可能であり、これによって一層高速な部品送出が実現する。
前記入口通路28が1つとされ、この入口通路28に合致する収容凹部40が複数設けられている。
前記1つの入口通路28から一つ目の収容凹部40に入った部品20が出口通路58側に移行されると、そのときには二つ目の収容凹部40が入口通路28に合致して部品導入がなされる。そして、一つ目の収容凹部40の部品20は予備空気噴射口63と主空気噴射口74からの空気噴射によって、供給通路管59へ送出される。一つ目の部品20に対して予備空気噴射口63から空気噴射が完了すると、直ちに移送部材38を移動させて二つ目の収容凹部40の部品20を他の出口通路58に移行させ、ここで同様に、予備空気噴射と主空気噴射がなされる。このような動作の連続によって、複数の収容凹部40に導入された部品20が効率的に送出される。
なお、上述の実施例では、収容凹部への部品導入を磁石の吸引力で行っているが、部品をケース本体内に導く部品通路部材をほぼ鉛直方向に配置して、部品の重力で収容凹部内に落下させることも可能である。したがって、特許請求の範囲の記載においては、部品を収容凹部内に導入するための手段は記載していない。