JP2008179183A - 負圧倍力装置およびこれを用いたブレーキ倍力装置 - Google Patents
負圧倍力装置およびこれを用いたブレーキ倍力装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】良好なシール性を保持しつつ、作動時における大気の流動音をより一層効果的に防止する。
【解決手段】大気弁部材12dに、大気弁16を通過した大気の流動を径方向から軸方向に整流する環状の整流部12iが大気弁16より大気流動方向下流側に位置して設けられる。この整流部12iにより、大気弁16を通過してきた径方向の大気の流動が滑らかに整えて乱れのより少ない軸方向の流れに整流される。また、環状のシール部材36が大気弁部材12dの芯材12gと連結具12cとの間に軸方向に挟圧されている。これにより、連結具12cの外周側の室32と連結具12cの内周側の室33との間を気密にかつ確実にシールすることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】大気弁部材12dに、大気弁16を通過した大気の流動を径方向から軸方向に整流する環状の整流部12iが大気弁16より大気流動方向下流側に位置して設けられる。この整流部12iにより、大気弁16を通過してきた径方向の大気の流動が滑らかに整えて乱れのより少ない軸方向の流れに整流される。また、環状のシール部材36が大気弁部材12dの芯材12gと連結具12cとの間に軸方向に挟圧されている。これにより、連結具12cの外周側の室32と連結具12cの内周側の室33との間を気密にかつ確実にシールすることができる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、負圧によって入力を所定のサーボ比で倍力して大きな出力を発生する負圧倍力装置およびこれを用いたブレーキ倍力装置の技術分野に関し、特に、作動時に流入する大気によって発生する音を抑制することのできる負圧倍力装置およびブレーキ倍力装置の技術分野に関するものである。なお、本発明の特許請求の範囲および明細書の記載において、前後方向の関係は、負圧倍力装置の作動時に入力軸が移動する方向を「前」、作動解除時に入力軸が戻る方向を「後」とする。
従来、乗用車等の自動車のブレーキシステムにおいては、ブレーキ倍力装置に負圧を利用した負圧倍力装置が多々採用されている。このような従来の負圧倍力装置として、大気弁と真空弁とをバルブボディの軸方向に直列に配設した負圧倍力装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ブレーキシステムに用いられている従来の一般的な負圧倍力装置と同様に、この特許文献1に記載の負圧倍力装置においては、ブレーキペダルの通常の踏み込みによる通常ブレーキ作動時に、入力軸の前進で真空弁が閉じかつ大気弁が開いて制御弁が切り換わり、変圧室に大気が導入される。すると、大気が導入された変圧室と常時負圧が導入されている定圧室との間に圧力差が生じてパワーピストンが作動しかつバルブボディ4が前進するので、負圧倍力装置が入力軸の入力(つまり、ペダル踏力)を所定のサーボ比で倍力して出力する。この負圧倍力装置の出力により、マスタシリンダが作動してマスタシリンダ圧を発生し、このマスタシリンダ圧でホイールシリンダが作動して通常ブレーキが作動する。
ところで、図5に示すように、この特許文献1に開示の負圧倍力装置aでは、大気弁bが円筒状の大気弁部材cに形成された環状突部からなる大気弁部dと弁プランジャeに形成された大気弁座fとからなる。また、真空弁gが環状の真空弁部hとバルブボディiに形成された真空弁座jとからなる。そして、大気弁部材cと真空弁部hはほぼ円筒状の連結具kによって連結され、かつバルブボディiに対して相対的に移動可能となっている。
また、大気弁部材cと連結具kとの外周側に形成された環状の室mは、常時定圧室に連通している。また、大気弁bより大気流動方向下流側でかつ連結具kの内周側に形成された環状の室nは、常時変圧室に連通している。そこで、図5に示すように従来の負圧倍力装置aでは、大気弁bより大気流動方向下流側の大気弁部材cの部分oで大気弁部材cと連結具kとの間を気密にシールしている。このため、大気弁部材cの部分oは径方向に肉厚とされて連結具kの内周面に堅固に密着されることで、大気弁部材cと連結具kとの間のシール性を良好に保持している。
特許第3785985号公報。
しかしながら、大気弁bと真空弁gとがバルブボディiの軸方向に直列に配置された特許文献1に開示の負圧倍力装置aでは、大気弁部dの環状突部と大気弁部材cの部分oの肉厚部との間に急激に形状が変化する環状の凹部pが形成されている。そして、環状の凹部pと大気弁部材cの部分oの肉厚部とにおける急激な形状変化により、大気弁bを通過した大気は大きな乱れを生じるようになる。このため、この急激な形状変化の領域において、大気の流動音が発生する。特に、負圧倍力装置の作動時に大気がほぼ瞬間的に急速に流入するため、流動音が大きい。
このように流動音が発生すると、例えば負圧倍力装置をブレーキ倍力装置として用いた場合、作動時に負圧倍力装置内に流入する大気は自動車の車室内の空気であるため、この流動音は車室内に伝達される。そして、大気の流動音が車室内に伝達されると、自動車の乗員は違和感を抱く場合がある。一方、近年自動車においては車室内の静粛化および快適性が要求されているが、そのために車室内の騒音を可能な限り防止することがますます強く求められている。負圧倍力装置をブレーキ倍力装置以外の倍力装置として用いる場合にも、同様に大気の流動音を可能な限り抑制することが望まれる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、良好なシール性を保持しつつ、作動時における大気の流動音をより一層効果的に防止することのできる負圧倍力装置これを用いたブレーキ倍力装置を提供することである。
前述の課題を解決するために、請求項1に係る発明の負圧倍力装置は、入力が加えられる入力軸と、シェル内に対して進退自在に配設されたバルブボディと、このバルブボディに設けられて、前記シェル内を負圧が常時導入される定圧室と非作動時負圧が導入されかつ作動時に大気が導入される変圧室とに区画するパワーピストンと、前記バルブボディに連結されて、前記パワーピストンにより発生されて前記入力を倍力した出力を出力する出力軸と、前記入力軸に連結されかつ前記バルブボディ内に摺動自在に配設された弁プランジャと、この弁プランジャの作動により前記定圧室と前記変圧室との間の連通または遮断を制御する真空弁と、前記弁プランジャの作動により前記変圧室と少なくとも大気との間を遮断または連通を制御する大気弁とを少なくとも備えている負圧倍力装置において、前記大気弁が、前記弁プランジャに設けられた大気弁座と、この大気弁座に着離座可能な大気弁部および芯材を有する大気弁部材とを備えており、前記大気弁部材が環状の連結具により前記真空弁の真空弁部と連結されており、前記環状の連結具の外周側に前記定圧室に常時連通する室が形成されているとともに、前記環状の連結具の内周側でかつ前記大気弁より大気流動方向下流側に、前記変圧室に常時連通する室が形成されており、前記大気弁部材に、前記大気弁より大気流動方向下流側に、大気の流動を整流する整流部が設けられているとともに、前記連結具と前記大気弁部材の芯材との間にシール部材が挟圧されることで、前記連結具と前記大気弁部材の芯材との間が気密にシールされていることを特徴としている。
また、請求項2に係る発明の負圧倍力装置は、前記整流部が、前記大気弁を通過した大気の流動を径方向の流れから軸方向の流れに整流することを特徴としている。
更に、請求項3に係る発明の負圧倍力装置は、前記整流部が径方向に延設されているとともに、この整流部の環状の延設部が前記連結具と前記大気弁部材の芯材との間に軸方向に挟圧されることで、前記連結具と前記大気弁部材の芯材との間が気密にシールされていることを特徴としている。
更に、請求項3に係る発明の負圧倍力装置は、前記整流部が径方向に延設されているとともに、この整流部の環状の延設部が前記連結具と前記大気弁部材の芯材との間に軸方向に挟圧されることで、前記連結具と前記大気弁部材の芯材との間が気密にシールされていることを特徴としている。
更に、請求項4に係る発明の負圧倍力装置は、前記大気弁部材の芯材が軸方向に延設されており、この芯材の軸方向の延設部と前記連結具との間に、円筒状のシール部材が径方向に挟圧されることで、前記連結具と前記大気弁部材の芯材との間が気密にシールされていることを特徴としている。
更に、請求項5の発明に係る発明のブレーキ倍力装置は、車両のブレーキシステムに用いられ、ブレーキペダルのペダル踏力を倍力して出力する負圧倍力装置からなるブレーキ倍力装置において、前記負圧倍力装置が請求項1ないし4のいずれか1記載の記載の負圧倍力装置であることを特徴としている。
このように構成された本発明に係る負圧倍力装置によれば、大気弁部材に、大気弁を通過した大気の流動を整流する整流部を大気弁より大気流動方向下流側に位置して設けているので、大気弁を通過してきた大気の流動を、滑らかに整えて乱れのより少ない軸方向の流れに整流することができる。これにより、大気弁通過後の大気弁の流動による音(大気の流動音)の発生を効果的に防止できる。
また、シール部材を大気弁部材の芯材と連結具との間に軸方向に挟圧しているので、整流部を大気弁より大気流動方向下流側に位置する大気弁部材に設けても、連結具の外周側で定圧室に常時連通する室と連結具の内周側で変圧室に常時連通する室との間を気密にかつ確実にシールすることができる。
更に、大気弁部材の整流部を径方向に延設するとともに、この整流部の延設部を連結具と大気弁部材の芯材との間に軸方向に挟圧して連結具と大気弁部材の芯材との間を気密にシールすることで、大気弁部材の整流部をシール部材に兼用することができる。したがって、部品点数を削減できるとともに、制御弁を安価にかつ容易に製造することができる。
更に、シール部材を、軸方向に延設された芯材の延設部と連結具との間に挟圧することにより、シール部材のシール面積を大きく設定することができる。したがって、連結具の外周側の室と連結具の内周側の室との間のシールを、より効果的にかつ良好に行うことができる。しかも、芯材の軸方向の延設部の延設個所をバルブボディ内のデッドスペースを利用するようになるので、芯材の延設部を軸方向に延設しても、負圧倍力装置の大型化を抑制することができる。
一方、本発明のブレーキ倍力装置によれば、大気の流動音の発生をより効果的に防止することができる負圧倍力装置を用いているので、自動車の車室内をより静粛にでき、車室内での乗員の快適性を向上することができる。
以下、図面を用いて、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は本発明に係る負圧倍力装置の実施の形態の第1例を非作動状態で示す部分断面図、図2は図1の部分拡大断面図である。なお、以下の実施の形態の各例の説明では負圧倍力装置をブレーキ倍力装置に適用するものとして説明する。
図1は本発明に係る負圧倍力装置の実施の形態の第1例を非作動状態で示す部分断面図、図2は図1の部分拡大断面図である。なお、以下の実施の形態の各例の説明では負圧倍力装置をブレーキ倍力装置に適用するものとして説明する。
まず、この第1例の負圧倍力装置において、特許文献1に記載の従来の負圧倍力装置と同じ構成部分について簡単に説明する。
図1および図2において、1は負圧倍力装置、2はフロントシェル、3はリヤシェル、4はバルブボディ、5はバルブボディ4に取り付けられたパワーピストン部材6とバルブボディ4および両シェル2,3間に設けられたダイヤフラム7とからなるパワーピストン、8は両シェル2,3内の空間をパワーピストン5で区画された2つの室の一方で、通常時負圧が導入される定圧室、9は前述の2つの室の他方で、負圧倍力装置1の作動時大気圧が導入される変圧室、10は弁プランジャ、11は図示しないブレーキペダル等の作動部材に連結され、かつ弁プランジャ10を作動制御する入力軸、12はバルブボディ4に気密にかつ摺動可能に設けられ、かつ大気弁部12aと真空弁部12bとこれらを一体移動可能に連結するほぼ円筒状の連結具12cとを有する円筒状の弁体、13は真空弁部12bが着離座可能な環状の真空弁座、14は弁プランジャ10に形成されかつ大気弁部12aが着離座可能な環状の大気弁座、15は真空弁部12bと真空弁座13とにより構成される真空弁、16は大気弁部12aと大気弁座14とにより構成される大気弁、17はバルブボディ4の前後の軸方向に互いに直列に配設された真空弁15と大気弁16とからなり、変圧室9を定圧室8と大気とに選択的に切り換え制御する制御弁、18は弁体12を真空弁部12bが真空弁座13に着座する方向に常時付勢する第1弁制御スプリング、19はバルブボディ4内に形成された大気流入通路、20はリヤシェル3と入力軸11との間に取り付けられかつ大気導入口20aを有するブーツ、21は入力軸11の第1リターンスプリング、22はバルブボディ4(具体的には、後述するバルブボディ補助部材30)の内周面と入力軸11の外周面との間に配設されて、大気流入通路19内に導入される大気に含まれる異物を除去するフィルタ、23は真空通路、24はバルブボディ4に形成されたキー孔4aに挿通されてこのバルブボディ4に対する弁プランジャ10の相対移動を、キー孔4aの軸方向幅により規定される所定量に規制し、かつバルブボディ4および弁プランジャ10の各後退限を規定するキー部材、25は反力手段の一部を構成する間隔部材、26は反力手段の他部を構成するリアクションディスク、27は出力軸、28はパワーピストン5およびバルブボディ4とを非作動位置に戻す第2リターンスプリングである。
図1および図2において、1は負圧倍力装置、2はフロントシェル、3はリヤシェル、4はバルブボディ、5はバルブボディ4に取り付けられたパワーピストン部材6とバルブボディ4および両シェル2,3間に設けられたダイヤフラム7とからなるパワーピストン、8は両シェル2,3内の空間をパワーピストン5で区画された2つの室の一方で、通常時負圧が導入される定圧室、9は前述の2つの室の他方で、負圧倍力装置1の作動時大気圧が導入される変圧室、10は弁プランジャ、11は図示しないブレーキペダル等の作動部材に連結され、かつ弁プランジャ10を作動制御する入力軸、12はバルブボディ4に気密にかつ摺動可能に設けられ、かつ大気弁部12aと真空弁部12bとこれらを一体移動可能に連結するほぼ円筒状の連結具12cとを有する円筒状の弁体、13は真空弁部12bが着離座可能な環状の真空弁座、14は弁プランジャ10に形成されかつ大気弁部12aが着離座可能な環状の大気弁座、15は真空弁部12bと真空弁座13とにより構成される真空弁、16は大気弁部12aと大気弁座14とにより構成される大気弁、17はバルブボディ4の前後の軸方向に互いに直列に配設された真空弁15と大気弁16とからなり、変圧室9を定圧室8と大気とに選択的に切り換え制御する制御弁、18は弁体12を真空弁部12bが真空弁座13に着座する方向に常時付勢する第1弁制御スプリング、19はバルブボディ4内に形成された大気流入通路、20はリヤシェル3と入力軸11との間に取り付けられかつ大気導入口20aを有するブーツ、21は入力軸11の第1リターンスプリング、22はバルブボディ4(具体的には、後述するバルブボディ補助部材30)の内周面と入力軸11の外周面との間に配設されて、大気流入通路19内に導入される大気に含まれる異物を除去するフィルタ、23は真空通路、24はバルブボディ4に形成されたキー孔4aに挿通されてこのバルブボディ4に対する弁プランジャ10の相対移動を、キー孔4aの軸方向幅により規定される所定量に規制し、かつバルブボディ4および弁プランジャ10の各後退限を規定するキー部材、25は反力手段の一部を構成する間隔部材、26は反力手段の他部を構成するリアクションディスク、27は出力軸、28はパワーピストン5およびバルブボディ4とを非作動位置に戻す第2リターンスプリングである。
弁体12の大気弁部12bは円筒状の大気弁部材12dに形成されている。この大気弁部材12dは、金属等からなる芯材12gにゴム等の弾性材をコーティングして形成されている。そして、大気弁部材12dのゴム等の弾性材に大気弁部12aが設けられているとともに、大気弁部材12dの後端部外周面には環状のリップ部12eが形成されている。このリップ部12eは、バルブボディ補助部材30の前端筒状部の内周面30aに気密にかつ摺動可能に嵌合されている。したがって、大気弁部材12dの外周側およびバルブボディ補助部材30の前端部外周側に形成されている室32とバルブボディ補助部材30の内側の大気流入通路19とは常時気密に遮断されている。
また、大気弁部材12dと環状の連結具12cとの外周側に形成された環状の室32は、常時定圧室8に連通している。また、大気弁16より大気流動方向下流側でかつ連結具12cの内周側に形成された環状の室33は、常時変圧室9に連通している。
第1弁制御スプリング18は、大気弁部材12dの内周段部12fと入力軸11の外周段部11aとの間に縮設されている。したがって、この第1弁制御スプリング18は大気弁部材12dを常時前方へ、換言すれば真空弁部12bが真空弁座13に着座する方向に常時付勢している。また、第1リターンスプリング21は、バルブボディ補助部材30の内周段部30bと入力軸11のフランジ部11bとの間に縮設されている。したがって、この第1リターンスプリング21は入力軸11を常時後方へ付勢している。
次に、特許文献1に記載の負圧倍力装置と異なる、この例の負圧倍力装置1の構成について説明する。
図1および図2に示すように、この第1例の負圧倍力装置1は、バルブボディ4の大気導入部には、従来のような防音部材(サイレンサ)は設けられていない。
また、弁体12が円筒状に形成されてバルブボディ4(具体的には、後述するバルブボディ補助部材30)に気密にかつ摺動可能に設けられ、かつ大気弁部12aと真空弁部12bとこれらを一体移動可能に連結するほぼ円筒状の連結具12cとを有する。
図1および図2に示すように、この第1例の負圧倍力装置1は、バルブボディ4の大気導入部には、従来のような防音部材(サイレンサ)は設けられていない。
また、弁体12が円筒状に形成されてバルブボディ4(具体的には、後述するバルブボディ補助部材30)に気密にかつ摺動可能に設けられ、かつ大気弁部12aと真空弁部12bとこれらを一体移動可能に連結するほぼ円筒状の連結具12cとを有する。
また、この第1例の負圧倍力装置1は、バルブボディ4の軸方向の内孔4bに、筒状の真空弁座部材29が摺動可能に嵌合されている。そして、前述の真空弁座13はこの真空弁座部材29の後端の内周側に設けられている。したがって、真空弁座13もバルブボディ4に対して相対移動可能となっている。
そして、真空弁座部材29の前端面29aには常時変圧室9の圧力が作用するとともに、真空弁座部材29の後端面29bに常時定圧室8の圧力(負圧)が作用するようになっている。したがって、負圧倍力装置1の作動時、変圧室9の圧力と定圧室8の圧力とに圧力差が生じると、この圧力差による力が真空弁座部材29に後方に向けて加えられるようになる。
バルブボディ4の後端部の内周面には段付き円筒状のバルブボディ補助部材30が方向に移動不能に嵌合固定されている。このバルブボディ補助部材30の外周面の段部と真空弁座部材29の後端面29bとの間に第2弁制御スプリング31が縮設されている。この第2弁制御スプリング31は真空弁座部材29を常時前方に付勢していて、図1に示す負圧倍力装置1の非作動時には、真空弁座部材29はその前端面29aがバルブボディ4の内周段部に当接することでバルブボディ4に対して停止している。
図1および図2に示すように、この第1例の負圧倍力装置1では、大気弁16より大気流動方向下流側の大気弁部材12dの部分が環状の整流部12iとされている。この整流部12iは、その径方向の肉厚が大気流動方向下流側に進むにしたがって徐々に薄くなる滑らかな湾曲面を有して、開いた大気弁16を通過してきた大気の流動を、径方向の流れから滑らかに整えて乱れのより少ない軸方向の流れに整流するようになっている。
また、このように整流部12iの肉厚が徐々に薄くなることから、整流部12iの外周面と連結具12cの内周面との間はシールされない。そこで、この第1例の負圧倍力装置1では、大気弁部材12dの芯材12gの前面の外周縁部に、ゴム等の環状のシール部材36が固定されている。そして、連結具12cの後端部を大気弁部材12dの芯材12gにかしめ固定する際に、シール部材36が連結具12cの後端部と大気弁部材12dの芯材12gとの間にバルブボディ4の軸方向に挟圧される。これにより、連結具12cの外周側の室32と連結具12cの内周側の室33との間が気密にシールされている。
スポンジ等からなる環状のフィルタ35が、弁体12の円筒状の連結具12cにはその内周面と弁プランジャ10の外周面との間の室33内に位置して設けられている。このフィルタ35は、開いた大気弁16を通って流入する大気中に含まれる塵等の異物を除去するものである。
この第1例の負圧倍力装置1の他の構成は、前述の特許文献1と実質的に同じである。
この第1例の負圧倍力装置1の他の構成は、前述の特許文献1と実質的に同じである。
このように構成されたこの第1例の負圧倍力装置1においては、特許文献1に記載の負圧倍力装置1と同様に、図2に示す負圧倍力装置1の非作動状態で、ブレーキ操作が行われると、バルブボディ4に対して入力軸11が相対的に前進するとともに、弁プランジャ10がバルブボディ4に対して相対的に前進する。すると、図2に示すように弁体12も前進し、真空弁部12bが真空弁座13に着座して真空弁15が閉じられるとともに、弁体12の前進が停止する。更に、引き続き弁プランジャ10がバルブボディ4に対して前進するので、大気弁座14が大気弁部12aから離間し、大気弁16が開く。
すると、バルブボディ4内に流入している大気が開いた大気弁を通って前方へ流動する。更に、バルブボディ4外の大気が大気導入口20aを通って空気流通路34内に流入するとともに、空気流通路34内に流入した大気も開いた大気弁16を通って前方へ流動する。開いた大気弁16を通過した大気は更にフィルタ35を通過して、特許文献1に記載の負圧倍力装置1と同様に変圧室9に流入する。このため、変圧室9と定圧室8との間に圧力差が生じ、この圧力差が所定の大きさになると、パワーピストン5が作動する。これにより、バルブボディ4および出力軸27が作動して負圧倍力装置1が出力する。バルブボディ4の前進で、大気弁部12aが大気弁座14に着座し大気弁16が閉じる。負圧倍力装置1が入力を倍力して出力する中間負荷状態では、真空弁15および大気弁16がともに閉じたとき、負圧倍力装置1の出力が入力を所定のサーボ比で倍力した大きさとなり、入出力がバランスした状態となる。
ところで、真空弁座部材29は本発明の特徴部分ではないが、簡単に説明する。
変圧室9に大気が流入すると、この変圧室9の真空弁座部材29の前端面29aに後方に向けて作用する。このため、真空弁座部材29の前端面29aに作用する変圧室9の圧力と真空弁座部材29の後端面29bに作用する定圧室8の圧力との圧力差により、真空弁座部材29を後方に押圧する力がこの真空弁座部材29に加えられる。この力は変圧室9の圧力が大きくなるにつれて増大する。
変圧室9に大気が流入すると、この変圧室9の真空弁座部材29の前端面29aに後方に向けて作用する。このため、真空弁座部材29の前端面29aに作用する変圧室9の圧力と真空弁座部材29の後端面29bに作用する定圧室8の圧力との圧力差により、真空弁座部材29を後方に押圧する力がこの真空弁座部材29に加えられる。この力は変圧室9の圧力が大きくなるにつれて増大する。
そして、真空弁座部材29を押圧する力が第2弁制御スプリング31のばね荷重とこのときの弁体12の第1弁制御スプリング18のばね荷重との和より大きくなると、真空弁座部材29が弁体12の真空弁部12bを押しながらバルブボディ4に対して大気弁部材12dとともに相対的に後方に移動する。この真空弁座部材29の後方移動により、真空弁座13が通常時の位置より後方に突出する。したがって、負圧倍力装置1の中間負荷状態では、真空弁15および大気弁16がともに閉じた制御弁17のバランス位置がバルブボディ4に対して後方に相対移動する。これにより、入力軸11のストロークがバルブボディ4に対する真空弁座部材29の相対ストローク量だけ短縮される。
また、前述のように制御弁17のバランス位置がバルブボディ4に対して後方に相対移動することから、リアクションディスク26と間隔部材25との間の間隙C(図1に図示)が変圧室9の圧力の大きさにしたがって増加する。これにより、この間隙増加に応じたジャンピング量が、負圧倍力装置1の出力を変圧室9の圧力が大きくなるにしたがって増大させる。
この第1例の負圧倍力装置1によれば、大気弁部材12dに、大気弁16を通過した大気の流動を径方向から軸方向に整流する環状の整流部12iを大気弁16より大気流動方向下流側に位置して設けているので、開いた大気弁16を通過してきた大気の流動を、径方向の流れから滑らかに整えて乱れのより少ない軸方向の流れに整流することができる。特に、整流部12iの大気流動面である前面を湾曲面としているので、より効果的に整流することができる。これにより、大気弁16通過後の大気弁16の流動による音(大気の流動音)の発生を効果的に防止できる。しかも、単純な湾曲形状の整流部を大気弁部材12dに設けるだけであるので、防音構造を簡単にすることができる。
一方、環状のシール部材36を大気弁部材12dの芯材12gと連結具12cとの間に軸方向に挟圧しているので、環状の整流部12iを大気弁16より大気流動方向下流側に位置する大気弁部材12dに設けても、連結具12cの外周側の室32と連結具12cの内周側の室33との間を気密にかつ確実にシールすることができる。
この第1例の負圧倍力装置1の他の構成、他の作動、および他の作用効果は、特許文献1に記載の負圧倍力装置と同じである。
この第1例の負圧倍力装置1の他の構成、他の作動、および他の作用効果は、特許文献1に記載の負圧倍力装置と同じである。
図3は、本発明に係る負圧倍力装置の実施の形態の第2例を示す、図2と同様の部分拡大断面図である。
前述の図2に示す第1例では、大気弁16より大気流動方向下流側に設けられる環状の整流部12iが、その大気流動面である前面を湾曲面とされているが、図3に示すように、この第2例の負圧倍力装置1では、大気弁16より大気流動方向下流側に位置して大気弁部材12dに設けられる環状の整流部12iが、その大気流動面である前面を、バルブボディ4の軸方向の直交する平面とされている。しかも、平面とされた整流部12iが大気弁部材12dの芯材12gと連結具12cとの間に延設されている。そして、整流部12iの外周縁部が、連結具12cを芯材12gにかしめることで、大気弁部材12dの芯材12gと連結具12cとの間に軸方向に挟圧されている。したがって、整流部12iの外周縁部がシール部材に兼用されており、これにより連結具12cの外周側の室32と連結具12cの内周側の室33との間が気密にシールされている。
前述の図2に示す第1例では、大気弁16より大気流動方向下流側に設けられる環状の整流部12iが、その大気流動面である前面を湾曲面とされているが、図3に示すように、この第2例の負圧倍力装置1では、大気弁16より大気流動方向下流側に位置して大気弁部材12dに設けられる環状の整流部12iが、その大気流動面である前面を、バルブボディ4の軸方向の直交する平面とされている。しかも、平面とされた整流部12iが大気弁部材12dの芯材12gと連結具12cとの間に延設されている。そして、整流部12iの外周縁部が、連結具12cを芯材12gにかしめることで、大気弁部材12dの芯材12gと連結具12cとの間に軸方向に挟圧されている。したがって、整流部12iの外周縁部がシール部材に兼用されており、これにより連結具12cの外周側の室32と連結具12cの内周側の室33との間が気密にシールされている。
この第2例の負圧倍力装置1によれば、整流部12iの大気流動面である前面を軸方向の直交する平面としているので、防音構造を更に一層簡単にすることができる。その場合、この第2例の負圧倍力装置1では、整流部12iの大気流動面が平面であることから、前述の第1例の負圧倍力装置1に比べて大気流動の整流効果は小さいが、前述の図5に示す従来例の負圧倍力装置1に比べると、大きな大気流動の整流効果を得ることができる。
また、第2例の負圧倍力装置1では、大気弁部材12dの整流部12iをシール部材に兼用しているので、部品点数を削減できるとともに、制御弁17の弁体12を安価にかつ容易に製造することができる。
この第2例の負圧倍力装置1の他の構成、他の作動、および他の作用効果は、第1例の負圧倍力装置と同じである。
この第2例の負圧倍力装置1の他の構成、他の作動、および他の作用効果は、第1例の負圧倍力装置と同じである。
図4は、本発明に係る負圧倍力装置の実施の形態の第3例を示す、図2と同様の部分拡大断面図である。
前述の図3に示す第2例では、大気弁部材12dの整流部12iの外周縁部が、連結具12cと大気弁部材12dの芯材12gとの間に延設されかつ連結具12cと大気弁部材12dの芯材12gとの間に軸方向に挟圧されているが、図4に示すように、この第3例の負圧倍力装置1では、大気弁16より大気流動方向下流側に位置して大気弁部材12dに設けられる環状の整流部12iが大気弁部材12dの芯材12gと連結具12cとの間に延設されない。すなわち、環状の整流部12iはほぼ連結具12cの内周面まで延設されている。
前述の図3に示す第2例では、大気弁部材12dの整流部12iの外周縁部が、連結具12cと大気弁部材12dの芯材12gとの間に延設されかつ連結具12cと大気弁部材12dの芯材12gとの間に軸方向に挟圧されているが、図4に示すように、この第3例の負圧倍力装置1では、大気弁16より大気流動方向下流側に位置して大気弁部材12dに設けられる環状の整流部12iが大気弁部材12dの芯材12gと連結具12cとの間に延設されない。すなわち、環状の整流部12iはほぼ連結具12cの内周面まで延設されている。
一方、大気弁部材12dの芯材12gは、その円筒状の外周縁部12hがバルブボディ4の軸方向に沿って延設されている。また、円筒状の外周縁部12hの外周面に、円筒状のシール部材36が固定されている。そして、連結具12cの後端部が芯材12gの外周縁部12hおよび芯材12gの径方向の外周縁部をかしめることで芯材12gに連結されている。その場合、円筒状のシール部材36は、連結具12cの後端部と芯材12gの外周縁部12hとの間に径方向(バルブボディ4の軸方向と直交する方向)に挟圧される。しかも、このように芯材12gの外周縁部12hをバルブボディ4の軸方向に延設しているので、この外周縁部12hを軸方向に比較的大きな幅に設定することができる。したがって、シール部材36の軸方向幅も比較的大きな幅に設定することができる。これにより、シール部材36のシール面積が大きく設定されて、良好なシール作用が行われる。しかも、外周縁部12hの延設個所はデッドスペースとなっている個所であるので、芯材12gの外周縁部12hをバルブボディ4の軸方向に延設しても、負圧倍力装置1が軸方向に大きくなることはない。
この第3例の負圧倍力装置1によれば、シール部材36を、バルブボディ4の軸方向に延設された芯材12gの外周縁部12hと連結具12cとの間に挟圧しているので、シール部材36のシール面積を大きく設定することができる。したがって、連結具12cの外周側の室32と連結具12cの内周側の室33との間のシールを、より効果的にかつ良好に行うことができる。
しかも、芯材12gの外周縁部12hの延設個所をバルブボディ4内のデッドスペースを利用しているので、芯材12gの外周縁部12hを軸方向に延設しても、負圧倍力装置1の大型化を抑制することができる。
この第3例の負圧倍力装置1の他の構成、他の作動、および他の作用効果は、第2例の負圧倍力装置と同じである。
この第3例の負圧倍力装置1の他の構成、他の作動、および他の作用効果は、第2例の負圧倍力装置と同じである。
なお、前述の第1ないし第3例の負圧倍力装置では、バルブボディ4内に筒状の真空弁座部材29を設けるものとしているが、本発明の負圧倍力装置1では、この真空弁座部材29は必ずしも必要ではなく、例えば特許文献1に記載されている負圧倍力装置のように省略することもできる。
更に、前述の各例では、バルブボディ4内に円筒状のバルブボディ補助部材30を設けるものとしているが、本発明はこのバルブボディ補助部材30を省略することもできる。
更に、前述の各例では、バルブボディ4内に円筒状のバルブボディ補助部材30を設けるものとしているが、本発明はこのバルブボディ補助部材30を省略することもできる。
一方、本発明のブレーキ倍力装置によれば、大気の流動音の発生をより効果的に防止することができる負圧倍力装置1を用いているので、自動車の車室内をより静粛にでき、車室内での乗員の快適性を向上することができる。
本発明に係る負圧倍力装置は、負圧によって入力を所定のサーボ比で倍力して大きな出力を発生する負圧倍力装置に利用可能であり、特に作動時に静粛性が求められる負圧倍力装置に好適に利用可能である。
また、本発明に係るブレーキ倍力装置は、負圧によってペダル踏力を倍力して大きなブレーキ力を発生しつつ、車室内の静粛性が求められる自動車のブレーキ倍力装置に好適に利用可能である。
また、本発明に係るブレーキ倍力装置は、負圧によってペダル踏力を倍力して大きなブレーキ力を発生しつつ、車室内の静粛性が求められる自動車のブレーキ倍力装置に好適に利用可能である。
1…負圧倍力装置、2…フロントシェル、3…リヤシェル、4…バルブボディ、5…パワーピストン、8…定圧室、9…変圧室、10…弁プランジャ、11…入力軸、12…弁体、12a…大気弁部、12b…真空弁部、12d…大気弁部材、12g…芯材、12h…外周縁部、12i…整流部、13…真空弁座、14…大気弁座、15…真空弁、16…大気弁、17…制御弁、19…大気流入通路、30…バルブボディ補助部材、32,33…室、36…シール部材
.
.
Claims (5)
- 入力が加えられる入力軸と、シェル内に対して進退自在に配設されたバルブボディと、このバルブボディに設けられて、前記シェル内を負圧が常時導入される定圧室と非作動時負圧が導入されかつ作動時に大気が導入される変圧室とに区画するパワーピストンと、前記バルブボディに連結されて、前記パワーピストンにより発生されて前記入力を倍力した出力を出力する出力軸と、前記入力軸に連結されかつ前記バルブボディ内に摺動自在に配設された弁プランジャと、この弁プランジャの作動により前記定圧室と前記変圧室との間の連通または遮断を制御する真空弁と、前記弁プランジャの作動により前記変圧室と少なくとも大気との間を遮断または連通を制御する大気弁とを少なくとも備えている負圧倍力装置において、
前記大気弁は、前記弁プランジャに設けられた大気弁座と、この大気弁座に着離座可能な大気弁部および芯材を有する大気弁部材とを備えており、
前記大気弁部材は環状の連結具により前記真空弁の真空弁部と連結されており、
前記環状の連結具の外周側に前記定圧室に常時連通する室が形成されているとともに、前記環状の連結具の内周側でかつ前記大気弁より大気流動方向下流側に、前記変圧室に常時連通する室が形成されており、
前記大気弁部材に、前記大気弁より大気流動方向下流側に、大気の流動を整流する整流部が設けられているとともに、前記連結具と前記大気弁部材の芯材との間にシール部材が挟圧されることで、前記連結具と前記大気弁部材の芯材との間が気密にシールされていることを特徴とする負圧倍力装置。 - 前記整流部は、前記大気弁を通過した大気の流動を径方向の流れから軸方向の流れに整流することを特徴とする請求項1記載の負圧倍力装置。
- 前記整流部が径方向に延設されているとともに、この整流部の環状の延設部が前記連結具と前記大気弁部材の芯材との間に軸方向に挟圧されることで、前記連結具と前記大気弁部材の芯材との間が気密にシールされていることを特徴とする請求項1または2記載の負圧倍力装置。
- 前記大気弁部材の芯材が軸方向に延設されており、この芯材の軸方向の延設部と前記連結具との間に、円筒状のシール部材が径方向に挟圧されることで、前記連結具と前記大気弁部材の芯材との間が気密にシールされていることを特徴とする請求項1または2記載の負圧倍力装置。
- 車両のブレーキシステムに用いられ、ブレーキペダルのペダル踏力を倍力して出力する負圧倍力装置からなるブレーキ倍力装置において、
前記負圧倍力装置は請求項1ないし4のいずれか1記載の記載の負圧倍力装置であることを特徴とするブレーキ倍力装置。
Priority Applications (1)
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JP2007012336A JP2008179183A (ja) | 2007-01-23 | 2007-01-23 | 負圧倍力装置およびこれを用いたブレーキ倍力装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012232638A (ja) * | 2011-04-28 | 2012-11-29 | Hitachi Automotive Systems Ltd | 気圧式倍力装置 |
-
2007
- 2007-01-23 JP JP2007012336A patent/JP2008179183A/ja active Pending
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