JP2008174609A - 遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物 - Google Patents

遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物 Download PDF

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Shuji Kawaguchi
修司 川口
Keisuke Wakita
敬輔 脇田
Izumi Hagiwara
泉 萩原
Tomonobu Sumino
友信 角野
Masakazu Takano
理多 高野
Takumi Suzuki
琢実 鈴木
Karuna Muro
佳瑠樹 室
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Abstract

【課題】ポジ型レジストに添加して用いることが可能で、かつパターン周辺部のギザつきや現像残渣が生じるといった現像性の低下を抑制することが可能な遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物を提供する。
【解決手段】下記式(A)および(B)で表される構成単位を有し、末端は、下記Xで表される基であり、末端または側鎖には、高分子分散剤と、顔料と、溶剤とを含有することを特徴とする。
Figure 2008174609

(構成単位(A)および(B)中、a,bはそれぞれ構成単位の結合数を表し、a+b=4〜40、aは2〜20,bは2〜20であり、Xは、水素原子または内部にイミノ基,カルボニル基、及びエステル基を有する特定の基。)
【選択図】なし

Description

本発明は、垂直配向液晶表示型カラーフィルタの液晶配向制御用突起を形成する際に用いられる遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物、およびこれを含有する遮光性液晶配向制御用突起形成用組成物に関するものである。
液晶表示装置は、カラーフィルタ側の透明基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶化合物を封入して薄い液晶層を形成し、液晶駆動側基板により液晶層内の液晶配列を電気的に制御してカラーフィルタの透過光または反射光の量を選択的に変化させることによって表示を行う。
近年、電圧が印加されていない状態で液晶分子が基板面に垂直に配列されており、電圧が印加されると液晶分子がいろいろな方向に倒れる垂直配向液晶表示装置が提案されている。このような液晶が倒れる方向を多数の方向とする垂直配向液晶表示装置としては、例えば図1に示すように、透明電極層(ITO(酸化インジウムスズ)層)3および対向する液晶駆動側基板12に形成された第2電極層11の表面に、液晶配向制御用突起14を形成し、電圧を印加した際の液晶13の配向方向を制御する方式(以下、MVA方式ともいう。)を用いたものが挙げられる。このMVA方式は、従来より使用されている捩れネマッチック方式と比較して、コントラスト比、応答速度等の面で優れている。また、液晶分子が倒れる方向が多数の方向であるため、効果的に高視野角を実現することができる、という利点も有する。
上記垂直配向液晶表示装置では、液晶が垂直に配向した状態、すなわち電圧を印加しない状態で黒表示が行われることとなる。しかしながら、上記MVA方式では上記液晶配向制御用突起が形成されていることから、液晶配向制御用突起の周囲の液晶は電圧を印加していない状態で完全に垂直に配向しない。そのため黒表示時にバックライト光が漏れ、黒表示部と白表示部とのコントラストが小さいという問題があった。
このような光漏れの問題を解消する方法として、液晶配向制御用突起に遮光性を付与し、光の透過を防ぐ方法が一般的に知られている(例えば特許文献1等)。このような遮光性を有する液晶配向制御用突起は、顔料を含有させた感光性レジストを用いてフォトリソグラフィー法により形成することができる。
ここで、上記液晶配向制御用突起の形成に用いられる感光性レジストとしては、通常ポジ型レジストが用いられている。ネガ型レジストを用いた場合、液晶表示装置に電圧を印加後、電圧を除去した際に、液晶配向制御用突起の周囲の液晶の向きが電圧印加前の状態と同じ方向に戻りづらい、すなわち焼きつきが生じてしまうからである。これは、ネガ型レジストでは架橋点間距離が短く、また用いられている樹脂の特性等から電圧を印加した際に発生した電子やイオンが逃げ難いこと等により生じると推測される。なお、一般的に用いられているポジ型レジストでは、上記焼きつきが生じ難いことが確認されている。
すなわち、上記遮光性液晶配向制御用突起の形成には、このようなポジ型レジストに顔料が分散された顔料分散組成物を加えたものを用いることが有効となる。上記顔料分散組成物としては、主としてネガ型レジストに用いられていたものであるため、通常、顔料と分散剤の他に、不飽和二重結合を有する樹脂が含まれているものが用いられる。
しかしながら、この不飽和二重結合を有する樹脂は、露光光が照射されると硬化反応が起こる光硬化性樹脂であるため、このような樹脂を含有する従来の顔料分散組成物は、ポジ型レジストへの添加には不向きなものであった。また、従来用いられてきた顔料分散組成物に含まれる分散剤は、現像液として汎用されているアルカリ現像液に対して溶解性の低いものが多いため、パターン周辺部にギザギザとした現像残り(以下、ギザつきと称する場合がある。)が生じやすいといった問題があった。さらに、通常、液晶配向制御用突起はITO層上に形成されるが、従来用いられてきた分散剤は、このITO層との親和性が高いものが多いため、ITO層上の露光面に現像残渣が残るといった問題も有していた。
特開2003−295197号公報
そこで、ポジ型レジストに添加して用いた際、パターン周辺部のギザつきや現像残渣が生じるといった現像性の低下を抑制することが可能な遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物の提供が望まれている。
本発明は、下記式(A)および(B)で表される構成単位を有し、末端は、下記Xで表される基を有し、末端または側鎖には、下記式(1)で表される基を少なくとも一つ有する化合物からなる高分子分散剤と、顔料と、溶剤とを含有することを特徴とする遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物(以下、顔料分散組成物とする場合がある。)を提供する。
Figure 2008174609
(構成単位(A)および(B)中、a,bはそれぞれ構成単位の結合数を表し、a+b=4〜40、aは2〜20,bは2〜20であり、Xは、水素原子または下記式(1)で表される基を示し、一化合物中、Xは一種であってもよく、二種以上であってもよい。)
Figure 2008174609
(式(1)中、Rは、(CH)または(CH)を示し、Rは、炭素数5〜15のアルキル基を示し、RおよびRは、一化合物中、それぞれ一種であってもよく二種以上であってもよい。n,mはそれぞれ独立し、nは0〜10、mは0〜20の整数である。)
本発明の顔料分散組成物は、不飽和二重結合を有する樹脂を含有していないため、ポジ型レジストに添加して用いた場合でも、本来露光光の照射により現像液に可溶となる反応が起こる部分で、硬化反応が起こるといった不具合の生じることのないものとすることができる。
また、本発明によれば、上記構造を有する高分子分散剤を含有させることにより、ポジ型レジストと組み合わせてフォトリソグラフィー法により遮光性液晶配向制御用突起を形成した場合、パターン周辺部に現像残りによるギザつきが生じたり、例えばITO層上等に現像残渣が残るといった現像性の低下を抑制することができる。
また、上記発明においては、上記高分子分散剤の重量平均分子量が2000〜10000の範囲内であることが好ましい。重量平均分子量が上記範囲に満たないと、顔料の分散性が低下する場合があり、また上記範囲を超えると、相溶性が低下する傾向にあるからである。
さらに、上記発明においては、上記高分子分散剤のアミン価が10〜40の範囲内であることが好ましい。アミン価が上記範囲に満たないと、分散能力が低下する傾向があり、また、アミン価が上記範囲を超えると、pHがアルカリ性に傾きすぎてしまい、本発明の顔料分散組成物を感光性レジストに添加した際、他の成分が変質する恐れがあるからである。
また、本発明は、上記記載の遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物と、アルカリ可溶性樹脂、感光剤および溶剤を有するポジ型レジストとを含有することを特徴とする遮光性液晶配向制御用突起形成用組成物(以下、突起形成用組成物とする場合がある。)を提供する。
本発明によれば、上記記載の顔料分散組成物を用いることにより、パターン周辺部にギザつきが生じたり、現像残渣が生じたりすることなく、遮光性液晶配向制御用突起を形成することが可能となる。
本発明によれば、ポジ型レジストに添加して用いることにより、パターン周辺部の現像残りによるギザつきや現像残渣が残るといった現像性の低下を抑制することが可能な遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物とすることができるという効果を奏する。
本発明は、遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物、およびこれを含有する遮光性液晶配向制御用突起形成用組成物に関するものである。以下、それぞれについて分けて説明する。
A.遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物
まず、本発明の遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物について説明する。本発明の遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物は、下記式(A)および(B)で表される構成単位を有し、末端は、下記Xで表される基であり、末端または側鎖には、下記式(1)で表される基を少なくとも一つ有する化合物からなる高分子分散剤と、顔料と、溶剤とを含有することを特徴とするものである。
Figure 2008174609
(構成単位(A)および(B)中、a,bはそれぞれ構成単位の結合数を表し、a+b=4〜40、aは2〜20,bは2〜20であり、Xは、水素原子または下記式(1)で表される基を示し、一化合物中、Xは一種であってもよく、二種以上であってもよい。)
Figure 2008174609
(式(1)中、Rは、(CH)または(CH)を示し、Rは、炭素数5〜15のアルキル基を示し、RおよびRは、一化合物中、一種であってもよく二種以上であってもよい。n,mはそれぞれ独立し、nは0〜10、mは0〜20の整数である。)
従来使用されてきた顔料分散組成物は、上述したように、通常、顔料、分散剤および不飽和二重結合を有する樹脂を含有するものである。この顔料分散組成物は、主にネガ型レジストに添加して用いられてきたため、ポジ型レジストに添加した場合、露光部位において不飽和二重結合を有する樹脂による光硬化反応が起こる場合があるため、ポジ型レジストには不向きなものであった。
本発明の顔料分散組成物は、不飽和二重結合を有する樹脂を含有していないことにより、露光部位において硬化反応が起こることがない。したがって、ポジ型レジストと組み合わせて用いた場合であっても、露光部位をアルカリ可溶性とすることが可能となるため、ポジ型レジスト用の顔料分散組成物として有効である。
また、従来用いられてきた顔料分散組成物から、不飽和二重結合を有する樹脂のみを除いた場合、すなわち従来用いられてきた分散剤と顔料とからなる顔料分散組成物とした場合、分散性が劣る場合があった。本発明においては、上記構造を有する高分子分散剤を用いているため、顔料の分散性が良好な顔料分散組成物とすることができる。
また、本発明においては、上記構造を有する高分子分散剤を用いることにより、アルカリ現像液に対して溶解性が良好な顔料分散組成物とすることができる。これは、本発明に用いられる高分子分散剤が、比較的剛直すぎない構造を有しているため、アルカリ現像液に対して、溶解性が良好であることによるものと考えられる。したがって、例えば感光性レジストに添加したものを用いて、フォトリソグラフィー法により遮光性液晶配向制御用突起を形成した場合、現像残りによるパターン周辺部におけるギザつき等の発生を抑制することが可能な顔料分散組成物とすることができる。
さらに、本発明においては、上記構造を有する高分子分散剤を用いることにより、感光性レジストに添加したものを用いて、フォトリソグラフィー法により遮光性液晶配向制御用突起を形成する際、現像残渣を少ないものとすることができる。これは、本発明における高分子分散剤が、通常液晶配向制御用突起が形成されるITO層との親和性が低い構造であることによるものと考えられる。また、これに加えて、本発明における高分子分散剤は、顔料や、共に用いられる感光性レジスト成分と現像液に対する溶解性が同等な構造であることも、理由の一つとして考えられる。したがって、本発明の顔料分散組成物を用いることにより、液晶配向制御用突起を形成する際、現像時における残渣を少なくすることが可能となる。
以下、本発明の遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物について、各構成ごとに分けて詳しく説明する。
1.高分子分散剤
まず、本発明の遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物に含有される高分子分散剤について説明する。本発明に用いられる高分子分散剤は、下記式(A)および(B)で表される構成単位を有し、末端は、下記Xで表される基であり、末端または側鎖には、下記式(1)で表される基を少なくとも一つ有する化合物からなるものである。
Figure 2008174609
ここで、構成単位(A)および(B)中、a,bはそれぞれ構成単位の結合数を表し、a+b=4〜40、aは2〜20,bは2〜20、好ましくは、a+b=4〜30、aは2〜15,bは2〜15であり、Xは、水素原子または下記式(1)で表される基を示し、一化合物中、Xは一種であってもよく、二種以上であってもよい。
Figure 2008174609
ここで、式(1)中、Rは、(CH)または(CH)を示し、Rは、炭素数5〜15、好ましくは炭素数5〜11のアルキル基を示し、RおよびRは、一化合物中、それぞれ一種であってもよく二種以上であってもよい。n,mはそれぞれ独立し、nは0〜10、好ましくは2〜6の整数、mは0〜20、好ましくは5〜15の整数である。
上記式(1)においては、mの値が2以上である場合、一つの基の中でRを複数有することとなるが、Rを含むユニット(mで規定される繰り返し単位)の並びとしては、Rが(CH)のみからなるユニットが並んだものであってもよく、(CH)のみからなるユニットが並んだものであってもよく、(CH)および(CH)からなるユニットが交互に並んだものであってもよく、(CH)および(CH)からなるユニットがブロック状に並んだものであってもよく、(CH)および(CH)からなるユニットがランダム状に並んだものであってもよい。
また、本発明においては、上記高分子分散剤の重量平均分子量が2000〜10000の範囲内であることが好ましく、中でも2500〜6000の範囲内であることが好ましい。重量平均分子量が上記範囲に満たないと、顔料の分散性が低下する場合があり、また上記範囲を超えると、顔料との相溶性が低下する傾向にあるからである。なお、上記重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー(株)製のHLC−8220を用い、溶出溶媒をテトラヒドロフランとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS-2シリーズ)およびMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをLF−404×2本およびKF−402HQ×1本(いずれも昭和電工(株)製)として行われたものである。
さらに、本発明においては、上記高分子分散剤のアミン価が10〜40の範囲内であることが好ましく、中でも15〜35の範囲内、特に20〜30の範囲内であることが好ましい。アミン価が上記範囲に満たないと、吸着点である窒素の含有量が少なく、分散能力が低下する傾向がある。また、アミン価が上記範囲を超えると、pHがアルカリ性に傾きすぎてしまい、本発明の顔料分散組成物を感光性レジストに添加した際、樹脂や感光剤等、他の成分が変質する恐れがあるからである。なお、上記アミン価の測定は、メトロームシバタ製の電位差滴定装置タイトランド808を使用し、電位差滴定法により行われたものである。
このような高分子分散剤として具体的には、ソルスパース33500(日本ルーブリゾール(株)製)が挙げられる。
上記高分子分散剤の使用量としては、顔料分散組成物の固形分中、20質量%〜70質量%の範囲内程度であり、好ましくは30質量%〜60質量%の範囲内である。
上記高分子分散剤の使用量としては、後述する顔料100重量部に対して、20重量部〜70重量部の範囲内程度であり、好ましくは30重量部〜60重量部の範囲内である。
2.顔料
次に、本発明の遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物に含有される顔料について説明する。本発明に用いられる顔料は、形成する遮光性液晶配向制御用突起に遮光性を付与することが可能な着色顔料であれば特に限定されるものではなく、有機顔料、無機顔料のいずれも用いることができるが、本発明においては有機顔料であることが好ましい。有機顔料は、無機顔料と比較して、光透過性に優れているため、露光時において反応性が低下しにくいからである。
有機顔料としては、公知のものを使用することができ、具体的には下記表1および表2に示すような有彩色の有機顔料を混合させたものを挙げることができ、中でも、赤色と青色の二色の有彩色有機顔料を混合させたものが好ましい。赤色と青色の有機顔料は、比較的露光光を透過しやすいため、製版性の低下を防ぐことが可能となるからである。
Figure 2008174609
Figure 2008174609
無機顔料としては、公知のものを使用することができ、具体的にはカーボンブラック、チタンブラック、酸化チタン、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、ベンガラ、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、等を挙げることができ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
3.溶剤
次に、本発明の遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物に含有される溶剤について説明する。本発明に用いられる溶剤としては、上述した高分子分散剤および顔料とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよく、特に限定されるものではない。
上記溶媒として具体的には、メタノール、エタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;および、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;などが挙げられる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
溶剤としては、上記の中でも、グリコールエーテル類、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、およびジエチレングリコール類が好ましい。特に、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルアミルケトン、およびジエチレングリコールエチルメチルエーテルが好ましい。
本発明の顔料分散組成物では、固形分濃度が、通常5質量%〜25質量%の範囲内程度であり、好ましくは10質量%〜20質量%の範囲内となるように溶剤を配合する。
4.用途
本発明の遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物は、遮光性を有する液晶配向制御用突起の形成に用いられ、通常、感光性レジストに添加して使用される。このような感光性レジストとしては、ネガ型レジスト、ポジ型レジスト等が挙げられるが、本発明の顔料分散組成物は、特にポジ型レジストに添加して用いられることが好ましい。
B.遮光性液晶配向制御用突起形成用組成物
次に、本発明の遮光性液晶配向制御用突起形成用組成物について説明する。本発明の遮光性液晶配向制御用突起形成用組成物は、上記記載の遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物と、アルカリ可溶性樹脂、感光剤および溶剤を有するポジ型レジストとを含有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上述した現像性を低下させることのない顔料分散組成物を用いることにより、パターン周辺部に現像残りに起因するギザつきが生じたり、露光面に現像残渣が生じたりすることなく、遮光性液晶配向制御用突起を形成することが可能となる。
以下、本発明の遮光性液晶配向制御用突起形成用組成物について、各構成に分けて詳しく説明する。なお、遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物は、「A.遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物」の項で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
1.アルカリ可溶性樹脂
まず、本発明の遮光性液晶配向制御用突起形成用組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂について説明する。本発明におけるアルカリ可溶性樹脂としては、ポジ型レジストに使用される一般的なアルカリ可溶性樹脂と同様とすることができる。このようなアルカリ可溶性樹脂として具体的には、OH基を持ちアルカリに可溶なハイドロキノン、フロログルシン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンなどのモノマーや、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂などのノボラック樹脂、スチレンとマレイン酸、マレイミドの共重合物、フェノール系とメタクリル酸、スチレン、アクリロニトリルの共重合物などのポリマーの混合物や縮合物、あるいはポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ヘキサフルオロブチル、ポリメタクリル酸ジメチルテトラフルオロプロピル、ポリメタクリル酸トリクロロエチル、メタクリル酸メチル−アクリルニトリル共重合体、ポリメチルイソプロペニルケトン、ポリα−シアノアクリレート、ポリトリフルオロエチル−α−クロロアクリレートなどが挙げられる。
2.感光剤
次に、本発明の遮光性液晶配向制御用突起形成用組成物に含有される感光剤について説明する。本発明における感光剤としては、ポジ型レジストに使用される一般的な感光剤と同様とすることができる。
このような感光剤として具体的には、ナフトキノンジアジド、ベンゾキノンジアジドなどのキノンジアジド類や、ジアゾメチルドラム酸、ジアゾジメドン、3−ジアゾ−2,4−ジオンなどのジアゾ化合物や、o−ニトロベンジルエステル、オニウム塩、オニウム塩とポリフタルアルデヒド、コリン酸t−ブチルの混合物の様な光分解剤(溶解抑制剤)等を挙げることができる。
3.溶剤
次に、本発明の遮光性液晶配向制御用突起形成用組成物に含有される感光剤について説明する。本発明における溶剤としては、本発明の突起形成用組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよく、特に限定されるものではない。このような溶剤としては、例えば上述した「A.遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物」の項で説明したものと同様のものを挙げることができる。
本発明の突起形成用組成物では、固形分濃度が、通常5質量%〜30質量%の範囲内程度であり、好ましくは10質量%〜25質量%の範囲内となるように溶剤を配合する。これにより、塗布に適した粘度とすることができるからである。
4.その他
本発明の遮光性液晶配向制御用突起形成用組成物は、上記顔料分散組成物、アルカリ可溶性樹脂、感光剤、溶剤の他、必要に応じて、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤等の添加剤を含有していてもよい。
これらの中で、用いることができる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。また、その他にもフッ素系界面活性剤も用いることができる。
また、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げられる。消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッソ系、アクリル系の化合物等が挙げられる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1,2および比較例1〜4]
高分子分散剤、顔料および溶剤を下記表3に示すように配合し、遮光性配向制御用突起形成用顔料分散組成物を調製した。
この際、高分子分散剤は、ソルスパース33500(日本ルーブリゾール(株))、DisperBYK2001(ビックケミー社製、アクリル系分散剤)、DisperBYK161(ビックケミー社製、ポリイソシアヌール系分散剤)を用いた。また、顔料はピグメントブルー15:6(青色顔料)、ピグメントレッド254(赤色顔料)を用いた。また、樹脂はアクリル系樹脂を用い、溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いた。
なお、ソルスパース33500の構造解析を以下のようにして行った。
<FT−IR>
試料適量をIRE(KRS−5)の板に塗布し、乾燥させ、皮膜にし、これを測定サンプルとして測定を行った。
測定装置
・スペクトラム−1(パーキンエルマー社製)
(結果)
・2940cm−1にポリカプロラクトン由来のC−Cのピークが検出された。
・1740cm−1にエステル由来のピークが検出された。
・1660cm−1、1550cm−1にアミド由来のピークが検出された。
<H−NMR>
試料中の溶剤を蒸発させ、重水素クロロホルムに溶解させたものをサンプル管に封入し、測定サンプルとして測定を行った。
測定装置
・AL−400(日本電子製)
(結果)
・0.88ppmに末端−CH由来のピークが検出された。
・1.26ppm〜1.42ppmにカプロラクトン由来のメチレン基のピークが検出された。
・2.27ppm〜2.33ppmにカプロラクトン由来のケトンのα−メチレン基のピークが検出された。
・4.05ppm〜4.08ppmにカプロラクトン由来のCO−O−CHのメチレン基のピークが検出された。
<熱分解GC−MS>
試料をガラス板に10mgに塗布し、ドライヤー、オーブン等で乾燥させ、皮膜とし、この皮膜をサンプリングメスで削り取ったものを測定サンプルとし、測定を行った。測定サンプルの質量は、0.3mg〜0.5mg程度とした。
測定装置
・ガスクロマト部 6890(アジレントテクノロジー社製)
・マススペクトル部 5973N(アジレントテクノロジー社製)
熱分解装置
・ダブルショットパイロライザー PY2020D(フロンティア・ラボ社製)
測定カラム
・PTE−5(膜厚0.25μm、内径0.25mm×長さ30m、スペルコ社製)
GC−MS測定条件
・インジェクション温度 320℃
・キャリアガス He 1.7ml/min 定流量モード
MS測定条件
・インターフェース温度 250℃、
・イオン源温度 230℃
・イオン化法 EI イオン化電圧 70eV
・走査質量範囲 33〜700
熱分解炉測定条件
・熱分解温度 550℃
・インターフェース温度 320℃
(結果)
・10.3分にバレロラクトン由来のピークが検出された。
・11分にカプロラクトン由来のピークが検出された。
<アミン価>
試料1〜2gを秤量し、メチルエチルケトン90mlに溶解させ、さらにイソプロパノール10mlを添加し、測定サンプルとした。この測定サンプルに対して、非水滴定用電極を使用し、0.1HCLアルコール溶液で滴定を行った。
測定装置:電位差滴定装置タイトランド808(メトロームシバタ製)
(結果)
・アミン価は17であり、アミン成分の存在が認められた。
<分子量測定>
試料をテトラヒドロフランで0.5%に希釈したものをクロマトフィルタ(目の粗さ0.45μm)にてろ過し、ろ液を測定サンプルとし、測定を行った。
測定装置
・HLC−8220(東ソー(株)製)
溶出溶媒
・テトラヒドロフラン
測定カラム
・LF−404×2本、KF−402HQ×1本(いずれも昭和電工(株)製)
校正曲線用ポリスチレンスタンダード
・Mw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS-2シリーズ)
・Mw1090000(東ソー(株)製)
(結果)
・重量平均分子量は約3600であった。
上記アミン価の測定によりアミンの存在が、上記FT−IRおよびGC−MSの測定によりカプロラクトン構造が、上記H−NMRの測定により、炭素鎖の構造とポリカプロラクトンの構造が確認された。したがって、ソルスパース33500の構造は、本発明の高分子分散剤の構造を有するものであることが確認された。
また、調製した顔料分散組成物についての分散性は、下記表3に示す通りである。分散性の評価は、2ヶ月での粘度変化が+1.0mPa・S〜−2.0mPa・Sの場合は○、2ヶ月での粘度変化がそれ以上の場合は×とした。
Figure 2008174609
[実施例3]
実施例1で調整した顔料分散組成物15質量%、および、実施例2で調製した顔料分散組成物8.1質量%を、クレゾール型ノボラック樹脂(アルカリ可溶性樹脂)、芳香族アジド化合物(感光剤)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)を含有するポジ型レジスト76.9質量%に添加し、遮光性配向制御用突起形成用組成物を調製した。
[比較例5]
比較例1で調整した顔料分散組成物16.5質量%、および、比較例3で調製した顔料分散組成物9質量%を、実施例3で使用したポジ型レジスト74.5質量%に添加し、遮光性配向制御用突起形成用組成物を調製した。
[評価]
実施例3および比較例5の遮光性配向制御用突起形成用組成物を用いて、液晶配向制御用突起を有するカラーフィルタを形成した。形成方法は、以下の通りである。
ガラス基板(コーニング社製:無アルカリガラス1737)の一方面上に低反射クロム膜を形成し、これをエッチングすることで遮光部をパターン状に形成した。この遮光部上に赤、緑および青の各色の顔料を有するネガ型感光性樹脂組成物を用いて、赤、緑および青色の着色層を形成した後、スパッタ法により透明電極層(ITO層)を形成した。
上記ITO層上に上記遮光性配向制御用突起形成用組成物をスピンコーターにより塗布し、減圧乾燥させて溶媒を除去した後、120℃でプリベークし、塗膜を形成した。次に、この塗膜に、遮光性液晶配向制御用突起の形成領域に対応する遮光パターンが形成されたフォトマスクを介して、露光ギャップ100μmで340mJ/cmの露光光を照射し、0.5%水酸化カリウム水溶液を用いて70秒間現像処理し、さらに200℃で20分間のベーキングを行った。
<現像後の残渣>
上記遮光性液晶配向制御用突起形成後の露光部におけるITO層上の現像残渣を、東レ製トレシー(登録商標)で拭き取り、そのトレシーの着色度合いを目視で観察し、トレシーがほとんど着色しなかった場合は○、トレシーが着色した場合は×とした。結果を表4に示す。
<ギザつき>
上記遮光性液晶配向制御用突起を、OLIMPUS製半導体検査顕微鏡MX50により観察し、パターン周辺部にギザつきが確認された場合は×、これらがほとんど確認されなかった場合は○とした。結果を表4に示す。
Figure 2008174609
表4の結果から、本発明における高分子分散剤を含有する顔料分散組成物を用いて遮光性液晶配向制御用突起を形成した実施例3は、現像後の残渣およびパターン周辺部のギザつきがほとんど確認されなかった。それに対し、アクリル系分散剤およびイソシアヌール系分散剤を含有する顔料分散組成物を用いて遮光性液晶配向制御用突起を形成した比較例5は、現像後の残渣およびパターン周辺部のギザつきがともに確認された。
MVA方式の液晶表示装置を説明するための図である。
符号の説明
1 … 透明基板
2 … 着色層
3 … 透明電極層(ITO層)
13… 液晶
14… 液晶配向制御用突起

Claims (4)

  1. 下記式(A)および(B)で表される構成単位を有し、末端は、下記Xで表される基を有し、末端または側鎖には、下記式(1)で表される基を少なくとも一つ有する化合物からなる高分子分散剤と、顔料と、溶剤とを含有することを特徴とする遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物。
    Figure 2008174609
    (構成単位(A)および(B)中、a,bはそれぞれ構成単位の結合数を表し、a+b=4〜40、aは2〜20,bは2〜20であり、Xは、水素原子または下記式(1)で表される基を示し、一化合物中、Xは一種であってもよく、二種以上であってもよい。)
    Figure 2008174609
    (式(1)中、Rは、(CH)または(CH)を示し、Rは、炭素数5〜15のアルキル基を示し、RおよびRは、一化合物中、それぞれ一種であってもよく二種以上であってもよい。n,mはそれぞれ独立し、nは0〜10、mは0〜20の整数である。)
  2. 前記高分子分散剤の重量平均分子量が2000〜10000の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物。
  3. 前記高分子分散剤のアミン価が10〜40の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の遮光性液晶配向制御用突起形成用顔料分散組成物と、アルカリ可溶性樹脂、感光剤および溶剤を有するポジ型レジストとを含有することを特徴とする遮光性液晶配向制御用突起形成用組成物。
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