JP2008173647A - 極厚鋼板用鋳片の連続鋳造方法 - Google Patents

極厚鋼板用鋳片の連続鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】内質に優れた高炭素鋼極厚鋼板の素材となる、中心ポロシティ体積の低減された鋳片の連続鋳造方法を提供する。
【解決手段】熱間圧延して得られる炭素含有率が0.40〜1.00%の極厚鋼板の素材として用いる鋳片の連続鋳造方法であって、仕上げ圧延までの圧下比をrとしたとき、該圧下比rに対して下記(1)式により表される関係を満足する圧下量d(mm)の範囲で、凝固末期の鋳片を1対の圧下ロールを用いて一括して圧下する連続鋳造方法。
d≧−(b+log(Vp*・r))/a ・・・・(1)
ここで、Vp*は鋼板(製品)の厚さ中心部の中心ポロシティ体積の上限値を意味し、その値は0.9×10-4cm3/gである。aおよびbは鋼種により定まる定数であり、a=0.0175およびb=3.75である。
【選択図】図6

Description

本発明は、超音波探傷試験において欠陥が検出されず内質に優れた極厚鋼板を製造するための素材となる鋳片を連続的に製造する際に、鋳片の厚さ中心部に発生する中心ポロシティの体積が小さく、内質の良好な鋳片を鋳造することのできる連続鋳造方法に関するものである。
一般に、鋼板は、連続鋳造方法により鋳造された鋳片を素材として製造される。この鋳片の厚さ中心部には、溶鋼が凝固する際の凝固収縮や凝固後の冷却による熱収縮によって、最終凝固位置である厚さ中心付近に小さな空孔、いわゆる中心ポロシティが形成される。
鋳片に中心ポロシティが存在すると、溶鋼中に溶解していた水素が凝固時に拡散して中心ポロシティに集積する。水素が中心ポロシティに集積した鋳片を熱間圧延すると、圧延によって中心ポロシティが圧着されても、中心ポロシティに集積した水素は鋼板中に再固溶して残留することになる。このような場合、残留する水素量が多いと鋼板に割れが発生する(以下、この現象を「水素割れ」という)。
近年、金型や機械部品用の高炭素鋼(SC材)では、素材を鍛造品から圧延材に変えることによる低コスト化、または産業機械もしくは建設機械向け鋼材、または海洋構造物もしくは各種圧力容器用鋼材に対しても、設備の大型化などにともない、板厚が80mmを超える極厚鋼板の使用機会が増加している。
上記の極厚鋼板の製造に用いる鋳片に中心ポロシティが存在すると、現在一般に使用されている厚板圧延機の能力では鋳片の中心部に生成した中心ポロシティを安定して圧着させることが困難となる。したがって、極厚鋼板の超音波探傷試験(以下、「UST」とも記す)を行った場合には、未圧着の中心ポロシティが欠陥(以下、「UST欠陥」とも記す)として検出されることが多い。このため、鋳片に発生する中心ポロシティの低減または解消を目的として、以下の種々の方法が提案されている。
特開平7−276020号公報(特許請求の範囲および段落[0012]〜[0014]) 特開平5−69099号公報(特許請求の範囲、[0014]および[0015]) 特開平10−58106号公報(特許請求の範囲および[0008]) 特開平6−106316号公報(特許請求の範囲および[0009]) 特開平7−80615号公報(特許請求の範囲および[0008]) 特開平9−57410号公報(特許請求の範囲および[0012]〜[0016]) 特開平2000−288604号公報(特許請求の範囲、段落[0006]、[0007]および[0030]) 特開2004−1079号公報(特許請求の範囲および段落[0016]〜[0023]) 特願2006−18183号(特許請求の範囲など) 特願2006−124746号(特許請求の範囲、段落[0035]および[0036])

例えば、特許文献1には、連続鋳造によって熱間圧延用鋳片を製造するに当たり、凝固率が85%以上99%以下の位置において、面部材によって1mm以上25mm以下の軽圧下を断続的に行うことにより、鋳片板厚中心部に偏析や中心ポロシティの無い連続鋳造鋳片の製造方法が開示されている。しかしながら、特許文献1にて開示された方法では、鋳片を圧下するために連続鋳造機に大規模な面圧下用の設備を設置しなければならず、そのための設置スペースおよび設備費用を要する。
また、特許文献2には、鋼の連続鋳造に当たり、鋳片横断面の中心部における固相率が0.3〜0.7の範囲において鋳片に5〜15mmの軽圧下を加えるとともに、鋳片横断面の中心部における固相率が0.8〜1.0の範囲、あるいは、凝固完了後の鋳片横断面の中心温度が1200℃以上の範囲において、少なくとも一方向に一段当り圧下率で30%以上の圧下を加える鋳片の内質改善方法が開示されている。
特許文献3には、鋳片中心部の温度が固相率で0.05〜0.7に相当する鋳片位置に少なくとも一対のロールを設置して鋳片を4〜20mm圧下するとともに、鋳片中心部の温度が固相率で0.8以上の鋳片位置に少なくとも一対のロールを設置して、5〜20%の圧下率で鋳片を圧下することにより中心ポロシティを低減する連続鋳造方法が開示されている。しかし、特許文献2および3で開示された方法では、鋳片の凝固末期つまり厚さ中心部の固相率が0.8以上において、圧下率が5%以上という大幅な圧下を行うことから、幅広の鋼板を対象とした鋳片では9.8×103kN(1000ton−f)以上もの圧下力が必要となり、大規模な圧下設備を要するといった問題がある。
特許文献4には、連続鋳造法を用いて厚鋼板を製造する方法において、連続鋳造鋳片の厚さ中心部における固相率が0.6以上となる領域において、未凝固厚さの1.1倍以上2.0倍以下の圧下を加えた連続鋳造鋳片を用いることにより、板厚中心部の靱性および内質に優れた極厚鋼板を製造する方法が開示されている。しかし、この方法は、未凝固厚さの定義が明確ではなく、必要な圧下量も明瞭ではないので、中心ポロシティを解消する技術としては不十分なものである。
また、特許文献5には、C含有率が0.18質量%以下の溶鋼を連続鋳造し、その鋳片の凝固末期に、鋳片の中心部固相率が90〜98%の部分を、2〜5%の圧下加工率で圧下することにより、内部品質に優れた連続鋳造鋳片を製造する方法が開示されている。この方法は、圧下率が小さいため、連続鋳造機に大規模な圧下設備を設置する必要がなく、そのための設備スペースおよび設備費用を要しないが、中心ポロシティを完全には圧着することができず、それらが鋳片に残る場合がある。また、その後、鋳片を圧延する際においても、残存した中心ポロシティは、その大きさによっては圧着されずに、極厚鋼板中に欠陥として残る。
特許文献6には、鋳片をバルジングさせて鋳片の最大厚さを鋳型の短辺長さよりも20〜100mm厚くし、凝固完了直前において、少なくとも一対の圧下ロールにより一対当たり20mm以上の圧下を与えて、バルジング量相当分を圧下することにより、変形抵抗の大きい鋳片両端部を圧下により塑性変形させることを回避する連続鋳造方法が開示されている。しかし、この方法は、中心偏析の防止対策として行われている方法であり、中心ポロシティに関する記載がなく、その効果についても不明である。また、バルジングさせて鋳片短辺(端部)を圧下しないようにしても、圧下量が大きいことから、凝固末期には大きな圧下力が必要となり、大規模な圧下設備とその設置スペースが必要となる。
さらに、特許文献7には、極厚鋼板で発生するUST欠陥を防止するために、中心ポロシティの厚さd0の鋳片を、900〜1300℃に加熱後、下記の(a)式を満足する圧下比rで圧延し、かつ最終圧延パスにおいて下記の(b)式の条件を満足するように圧延することにより、安定して内質の優れた極厚鋼板を製造する方法が開示されている。
r≧0.2×d0+1.0 ・・・(a)
1.67×((t0−t1)×R)1/2/t0+0.5≧1.1 ・・・(b)
ここで、t0は被圧延材の最終圧延パス前の厚さ(mm)、t1は被圧延材の最終圧延パス後の厚さ(mm)、Rは圧延ロール半径(mm)を示す。
同文献で開示された方法は、 鋳片に存在する大きな中心ポロシティを厚板圧延だけで圧着解消させようとするものである。この方法における(a)式のd0は、試験材の中心ポロシティ厚さの大きいものから5個を抽出し、その平均値をd0としている。
しかしながら、本発明者らが詳細に調査した結果、大きな中心ポロシティほどその発生比率は低くなることから平均値と最大値がかけ離れる場合があること、また、大きな中心ポロシティほど圧延時に圧着されにくいのでUST欠陥として残りやすいことが判明した。したがって、圧延だけで中心ポロシティを圧着解消させようとするこの方法では、特に高強度極厚製品ニーズに対して完全にUST欠陥を解消することは困難である。
さらに、前記の(b)式で最終圧延パスでの板厚中心圧縮応力(σmax)を規定しているが、(t0−t1)に相当する圧下量は、被圧延材の温度や幅、変形抵抗、圧延機の圧下能力により制限され、他方、ロール半径(R)を大きくするには圧延機自体を大型化する必要があり、現実的な技術ではない。
一方、鋼板の圧延では、上部ロールによる圧下量と下部ロールによる圧下量とがほぼ均等となるように圧下される。最近では、連続鋳造においても、湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機内において、未凝固部を含む鋳片の圧下が行われるようになってきた。
通常、未凝固部を含む鋳片を圧下する際には、圧下ロール対の下部ロールは圧下点が鋳片の下側パスラインと同レベルになるように、その高さ位置を固定し、圧下ロール対の上部ロールのみを降下させて圧下している。
本発明者らは、連続鋳造において行われている上部ロールのみを降下させて未凝固鋳片を圧下する方法では、圧下力が鋳片の曲げ変形に消費され、効率的に圧下することが困難であることを見出し、特許文献8において、圧下ロール対の下部ロールを下側パスラインよりも上方に突出させて鋳片を圧下する方法を提案した。
同文献において開示された方法は、未凝固部を含む鋳片をバルジングさせた後に、圧下ロール対を用いて圧下する連続鋳造方法であって、連続鋳造機内において、圧下ロール対の下部ロールを、上記バルジングさせた厚さ以下の量だけ、鋳片の下側パスラインよりも突出させて圧下する鋼の連続鋳造方法である。
さらに、本発明者らは、特許文献10において、鋳片の中心ポロシティ体積を所定の範囲に収めるように圧下する極厚鋼板用鋳片の連続鋳造方法を提案した。ここで、開示された方法は、内質に優れた極厚鋼板の素材として用いる鋳片の連続鋳造方法であって、連続鋳造機内または機端に配置した上下一対の圧下ロールを用いて、凝固末期の鋳片を一括して圧下するに際し、鋳片の中心ポロシティ体積Vp0(cm3/g)が下記の(c)〜(f)式で表される関係を満足する圧下量d(mm)の範囲で圧下する極厚鋼板用鋳片の連続鋳造方法である。
0.15×10-4≦Vp0≦0.9×10-4 ・・・(c)
Vp0=10-(a×d+b) ・・・(d)
a=0.000028×X+0.0272 ・・・(e)
b=−0.00130×X+4.20 ・・・(f)
ここで、Xは極厚鋼板の引張強度(MPa)であり、aおよびbは圧下量dに対応する鋳片の中心ポロシティ体積Vp0を規定する係数であり、Xを用いて算出される。
特許文献10にて開示された方法は、UST欠陥のない内質に優れた極厚鋼板用鋳片の製造方法として有用な連続鋳造方法であるが、さらに、高炭素鋼の極厚鋼板用鋳片の厳格な品質基準を満足するための連続鋳造方法としてはなお改善の余地がある。
前記のとおり、鋳片における中心ポロシティの発生防止を目的とする従来技術には、下記の問題があった。すなわち、(1)鋳片の未凝固圧下のための大規模な圧下設備を必要とすることから、連続鋳造機内やその近傍に設置スペースを要し、設備コストの負担が増加する。(2)圧下ロール対の下部ロールを鋳片の下側パスラインよりも上部に突出させることにより、小規模な圧下設備であっても鋳片を効率よく圧下することができるが、高炭素鋼鋳片の鋳造においては十分な内質改善が達成できない。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、UST欠陥のない内質に優れた高強度極厚鋼板用素材となる、中心ポロシティの低減された鋳片の連続鋳造方法を提供し、さらに、通常の連続鋳造では製造することができない例えば高炭素鋼鋼種にまで製造範囲を拡大することにある。
本発明者らは、先に提案した特許文献10において開示したとおり、UST欠陥のない内質に優れた極厚鋼板を製造するためには、凝固末期の鋳片を上下一対の圧下ロールを用いて、前記(c)〜(f)式により表される関係を満足する圧下量の範囲で一括して圧下することにより、鋳片の中心ポロシティ体積を所定の範囲内に収めることが有効であることを見出した。そして、さらに高炭素鋼の鋳片品質を改善するための連続鋳造方法における圧下条件について試験研究を重ねた結果、以下の(a)および(b)の知見を得た。
(a)高炭素鋼において得られた鋳片凝固末期圧下量d(mm)と鋳片の中心ポロシティ体積Vp0(cm3/g)との関係、および鋼板の中心ポロシティVp(cm3/g)が圧下比rに反比例する関係を用い、UST欠陥が発生しない鋼板(製品)ポロシティ体積の範囲となるように、圧下比rに応じて鋳片凝固末期圧下量dを調整することにより、内質に優れた高炭素鋼極厚鋼板を製造することができる。
(b)高炭素鋼極厚鋼板において、UST欠陥が発生しない鋼板(製品)の中心ポロシティ体積Vpの上限値Vp*は0.9×10-4(cm3/g)である。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)および(2)の連続鋳造方法を要旨としている。
(1)熱間圧延して得られる炭素含有率が0.40質量%以上1.00質量%以下の極厚鋼板の素材として用いる鋳片の連続鋳造方法であって、仕上げ圧延までの圧下比をrとしたとき、該圧下比rに対して下記(1)式により表される関係を満足する圧下量d(mm)の範囲で、凝固末期の鋳片を1対の圧下ロールを用いて一括して圧下することを特徴とする連続鋳造方法。
d≧−(b+log(Vp*・r))/a ・・・・(1)
ここで、Vp*は、鋼板(製品)の厚さ中心部の中心ポロシティ体積の上限値を意味し、その値は0.9×10-4cm3/gである。aおよびbは、鋳片の凝固末期圧下量dと鋳片の中心ポロシティ体積(cm3/g)との関係に基づき決定される定数であって、a=0.0175およびb=3.75である。なお、上記(1)式右辺の計算値が負となる場合は、d=0mmとする。
(2)未凝固部を含む鋳片を、圧下ロールを用いて圧下する際に、連続鋳造機内または機端において、中心部の固相率が0.8以上1.0未満の範囲で、3mm以上30mm以下の圧下を行うことを特徴とする前記(1)に記載の連続鋳造方法。
本発明において、「凝固末期」とは、鋳片の厚さ中心部の固相率が0.8以上1.0未満の範囲を意味する。
「圧下比r」とは、r=(凝固末期圧下後の鋳片の厚さ)/(圧延後の厚板鋼板の厚さ)により求められる値を意味する。
「一括して圧下する」とは、鋳片長手方向の同一位置において一度に圧下することを意味する。
そして、「極厚鋼板」とは、連続鋳造方法により鋳造された鋳片を圧延して得られる板厚が80mm以上の鋼板を意味する。
なお、上記(1)において、d=0mmとする場合は、鋼板(製品)の厚さ中心部の中心ポロシティ体積を0.9×10-4cm3/g以下とするための鋳片の凝固末期圧下は、必ずしも必要ないことを意味する。もちろん、この場合に凝固末期圧下を実施すれば、ポロシティ体積はさらに低下し、内質は良好となる。
また、以下の記述において、成分組成を表す「%」の表記は、「質量%」を意味する。
本発明の連続鋳造方法によれば、鋳造された高炭素鋼の鋳片に、連続鋳造機の比較的簡易な圧下設備を用い、鋼板製品までの圧下比を考慮して決定される適正圧下量を付与することにより、鋳片の中心ポロシティ体積を低減させるので、既存の厚板用圧延機を用いてUST欠陥のない内質の良好な極厚高炭素鋼板を製造することができる。また、本発明の連続鋳造方法は、極厚の高感度UST対象材の製造可能範囲を拡大することができる利点がある。なお、本発明の方法は、湾曲型、垂直曲げ型のいずれの連続鋳造機を使用する場合においても、また、スラブのみならずブルームなどの鋳造に対しても適用できる。
本発明の方法は、前述のとおり、熱間圧延して得られる炭素含有率が0.40%以上1.00%以下の極厚鋼板の素材として用いる鋳片の連続鋳造方法であって、仕上げ圧延までの圧下比をrとしたとき、該圧下比rに対して前記(1)式により表される関係を満足する圧下量d(mm)の範囲で、凝固末期の鋳片を1対の圧下ロールを用いて一括して圧下する連続鋳造方法である。以下に、本発明の方法を上記のように規定した理由および好ましい態様について説明する。
(1)鋳片の中心ポロシティ体積の定量化
本発明者らは、中心ポロシティは空洞であり、圧延時の圧下比が変化すればその圧着量および体積量は変化すると考え、圧下比を考慮して、鋳片の中心ポロシティ体積と極厚鋼板の中心ポロシティ体積との関連を考察した。その結果、特許文献9において、凝固末期圧下を実施した鋳片を素材とする極厚鋼板の単位質量あたりの中心ポロシティ体積Vp(cm3/g)は、鋳片の単位質量当たりの中心ポロシティ体積Vp0(cm3/g)を圧下比rにより除した値となることを知得し、下記の(2)式を提案した。
Vp=Vp0/r ・・・(2)
本発明者らは、上記の(2)式の関係を有効に活用するために、鋳片の単位質量当たりの中心ポロシティ体積の定量化を進めた。そして、前記特許文献10において、引張強度レベルが400MPa級、500MPa級および600MPa級極厚鋼板用の鋳片について、連続鋳造の際に上下一対の圧下ロールにより12mm圧下した鋳片と、圧下ロールにより一括圧下を行っていない鋳片(以下、「通常鋳片」とも記す)のポロシティ体積を求め、凝固末期圧下量と鋳片のポロシティ体積との関係を求めた。
さらに、鋼種を拡大し、高炭素鋼について凝固末期圧下量と鋳片のポロシティ体積との関係を調査した。なお、高炭素鋼として、C:0.40〜1.00%、Si:0.04〜0.60%、Mn:0.50〜2.00%、P:0.020%以下、S:0.006%以下の鋼種を用いた。
鋳片の中心ポロシティ体積は、中心ポロシティの発生がほとんどないと推定される鋳片の1/4厚さ位置の平均比重を基準として、厚さ中心部の比重から算出した中心ポロシティの比体積により評価した。すなわち、1/4厚さ位置の平均比重ρ0と、厚さ中心の平均比重ρとから、下記の(3)式で定義する中心ポロシティ体積Vp(cm3/g)を求めた。
Vp=1/ρ−1/ρ0 ・・・(3)
図1は、鋳片の凝固末期圧下量と鋳片の中心ポロシティ体積との関係を示す図である。同図の結果から、鋳片の中心ポロシティ体積Vp0(cm3/g)と凝固末期圧下量d(mm)との関係を表す近似式として下記の(4)式を得た。
logVp0=−(a×d+b) ・・・(4)
上記(4)式を鋳片の中心ポロシティ体積Vp0について表せば、
Vp0=10-(a×d+b) ・・・(4A)
が得られる。
ここで、上記(4)式または(4A)式中のaおよびbは鋼種に依存する定数であり、高炭素鋼では下記の値が得られた。
a=0.0175 ・・・(5)
b=3.75 ・・・(6)
(2)鋼板の中心ポロシティ体積の適正範囲
本発明者らは、上記の(2)式および(4)〜(6)式により求められる鋼板の中心ポロシティ体積Vpの適正範囲を求めるために、下記の試験を行った。
厚さ300mmの通常鋳片、すなわち連続鋳造の際に上下一対の圧下ロールによる一括圧下をしていない鋳片、および上下一対の圧下ロールにより3.5mmの一括圧下を行った鋳片を用いて熱間圧延を行い極厚鋼板を製造した。得られた極厚鋼板について、後述するUST評価方法により、未圧着の中心ポロシティを評価した。試験条件および得られた評価結果を表1および図2にそれぞれ示した。
図2は、鋳片の凝固末期圧下量毎に、極厚鋼板の中心ポロシティ体積(Vp)および圧下比(r)がUST評価結果におよぼす影響を示した図である。
これらの結果より、UST評価方法により、欠陥が検出されない高炭素鋼極厚鋼板の中心ポロシティ体積Vp(cm3/g)の上限値(Vp*)を規定する下記の(7)式を得た。
Vp≦Vp*=0.9×10-4 ・・・(7)
なお、同図中には、(2)式および(4)〜(6)式を用いて凝固末期圧下量が17mmの場合の極厚鋼板の中心ポロシティ体積(Vp)と圧下比(r)との関係を算出し、併せ示した。
(3)鋳片の凝固末期圧下量および圧下比の適正範囲
極厚鋼板の中心ポロシティ体積Vpの値は、圧延により、前記(2)式の関係にしたがって鋳片の中心ポロシティ体積Vp0の値よりも小さくなる。
したがって、前記の(2)式および(4)〜(7)式から、高炭素鋼鋼板において、UST評価方法により欠陥が検出されないようにするための鋳片の凝固末期圧下必要量(d)と圧下比(r)との関係式として、下記(1)式が得られる。
d≧−(b+log(Vp*・r))/a ・・・・(1)
ここで、Vp*は、鋼板の厚さ中心部の中心ポロシティ体積の上限値を意味し、その値は0.9×10-4cm3/gである。また、定数aおよびbの値は前記(5)式および(6)式にて与えられる。なお、上記(1)式右辺の計算値が負となる場合は、d=0mmとする。
前記表1中の「鋼板ポロシティ体積が0.9×10-4cm3/gとなる凝固末期圧下量」の欄には、上記(1)式右辺による計算値を示した。
図3は、鋼板の良好なUST評価結果を得るための、鋳片の凝固末期圧下量および圧下比の適正範囲を示す図である。同図中に示される鋳片の凝固末期圧下量および圧下比の適正範囲は、(1)式の関係に基づいて求めたものであり、また、前記の表1および図2に記載した試験結果も併せ示した。
同図の結果によれば、鋼板の圧延における圧下比が減少するにつれて、圧延過程において中心部の空孔が圧着されにくくなって中心ポロシティ体積が増加するので、良好なUST評価結果を得る(すなわち、鋼板ポロシティ体積が0.9×10-4cm3/g以下となる)鋼板を製造するためには、その素材となる鋳片の凝固末期圧下量を上昇させる必要がある。また、圧延機の能力の制約上、2.0以下の圧下比(r)しか確保できない場合であっても、(1)式の関係を満足する範囲の凝固末期圧下量(d)を付与することにより、良好なUST評価の得られる極厚鋼板を製造することができる。したがって、圧延工程では極厚鋼板製品において必要とされる組織微細化量を達成するための圧下比を選定すればよい。
(4)鋼の炭素含有率
本発明が対象とする鋼板は、高炭素鋼の極厚鋼板であり、最終製品である極厚鋼板としての機械特性、鋼組織などを適正化するためのC含有率の範囲は0.40〜1.00%である。
Cは強度を確保するために有効な元素であり、高炭素鋼の製造範囲において強度を確保するためには0.40%以上を含有させる必要がある。一方、C含有率が高くなると、凝固過程においてCが凝固界面の液相側に濃化されて、鋳片の中心部が粗大な樹枝状晶や分岐柱状晶の形態をとることが多く、その結果、ポロシティを形成しやすくなる。また、凝固末期圧下を行わない高炭素鋼鋳片ではポロシティ体積が増加する傾向があるため、ポロシティの形成を抑制する必要がある。そこで、これらの理由に加えて、構造材料などの母材や溶接部に要求される靱性や耐摩耗性も考慮して、C含有率を1.00%以下とした。
次に、本発明の連続鋳造方法の好ましい態様について説明する。
(5)圧下時期
本発明の連続鋳造方法では、中心固相率が0.8以上1.0未満の凝固末期に圧下することが好ましい。
中心固相率が0.8とは、凝固シェルの全面を意味し、中心固相率が0.8未満では、鋳片の厚さ中心部には凝固末期の溶鋼がまだ比較的多く残存しているため、大きな圧下を加えると鋳片中心部に残っている溶鋼が排出され、母溶鋼に向かって流動する。このため、凝固の進行は必ずしも均一ではなく、冷却むらなどにより凝固シェルの厚さは不均一になるので、圧下時の中心固相率は鋳片の位置により変動がある。
したがって、中心固相率が0.6以上0.8未満の場合には、鋳片の位置によっては、中心固相率が0.8以上となっている部分も存在する可能性がある。このとき、圧下により排出された溶鋼が、中心固相率が0.8以上の部分で流動できなくなり、母溶鋼まで流動して混合することが困難となる。このため、中心ポロシティは低減するものの、排出された溶質濃度の高い溶鋼がそのまま鋳片に偏析として残り、中心偏析状況は悪化する。
さらに中心固相率が低くなって、中心固相率が0.6未満の場合には、鋳片の内部に溶鋼が多量に残っているため、この溶鋼を排出するには圧下量を大きくしなければならない。このため、大きな圧下力が必要となり、大規模な圧下設備を要する。
これに対して、中心部の固相率が0.8以上の場合には、鋳片内部に存在する凝固末期の溶鋼が少ないので、大きな圧下を加えても溶鋼はほとんど流動せず、その結果、中心偏析状況が悪化することはない。上記の理由から、凝固末期の中心固相率が0.8以上において圧下することが好ましい。
また、鋳片の上下面の凝固シェルが厚さ中心部で接触してから凝固が完了する(すなわち、中心固相率が1.0となる)までの時期は、液相が閉じ込められると流動できないため、液相から固相に変化する際の密度差によりポロシティ(ザク)が形成されやすい。したがって、この時期に圧下を加えれば、変形抵抗の小さい鋳片内部において圧下を進行させ、ポロシティの形成を抑制することができるので好ましい。
しかし、中心固相率が1.0となった後(すなわち、完全に凝固した後)においては、鋳片の厚さ中心部の温度は低下しているため、変形抵抗は急激に増大する。このため、中心固相率が1.0になった後に大きな圧下を加えても、ポロシティが分布している鋳片の厚さ中心部は有効に圧下されず、したがって、大きな中心ポロシティは縮小または圧着されないおそれがある。
上記の理由により、中心固相率が0.8以上1.0未満の凝固末期領域において圧下することが好ましい。さらに、中心固相率が1.0の近傍では完全凝固時における変形抵抗のばらつきも存在するので、中心固相率が0.8以上0.95以下の凝固末期領域において圧下することが、より一層好ましい。
なお、中心固相率(fs)は、溶鋼の液相線温度(TL)と固相線温度(TS)と鋳片の厚さ中心における温度(T)とから、fs=(TL−T)/(TL−TS)により求めることができる。鋳片の厚さ中心の温度(T)が溶鋼の液相線温度(TL)以上の場合にはfs=0であり、前記厚さ中心の温度Tが溶鋼の固相線温度(TS)以下の場合にはfs=1.0である。また、鋳片の厚さ中心の温度(T)は、鋳造速度、鋳片の表面冷却、鋳造鋼種の物性などを考慮した鋳片内の非定常伝熱解析計算によって求めることができる。
(6)圧下量
本発明の連続鋳造方法では、高炭素鋼鋳片の幅方向中央部における圧下量は3〜30mmとするのが好ましい。圧下量が3mm未満では、凝固遅れなどにより、中心ポロシティ体積を均一に0.9×10-4cm3/g以下に低減することが困難だからである。
一方、中心固相率が0.8以上において、圧下量が30mmを超えて大きくなるようにするには、非常に大きな圧下力が必要となり、したがって、油圧設備などを含めて大規模な圧下設備を要し、好ましくないからである。
(7)圧下方法
本発明では、圧下量の好ましい範囲が3〜30mmであることから、比較的小さな圧下能力により効率よく圧下できるように鋳片の上面と下面とを対称に(均等に)圧下することが望ましく、そのためには、特許文献8にて開示された方法により、圧下時に下部ロールを鋳片の下側パスラインよりも上部に突出させることが好ましい。また、鋳片のバルジング量は特に規定していないが、必要に応じてガイドロールのロールキャビティを拡大させることによりバルジングさせる方法を併用してもよい。
(8)鋼の成分組成
本発明が対象とする鋼板は、高炭素鋼の極厚鋼板であり、最終製品である極厚鋼板として要求される機械特性、溶接性、溶接熱影響部特性などに応じて各合金元素を組合せることが好ましい場合もあり、下記の成分組成を含有させることができる。
Si:0.04〜0.60%
Siは、溶鋼の脱酸に必要な元素であり、その効果を得るためには0.04%以上を含有することが好ましい。しかし、0.60%を超えると溶接熱影響部の靱性を劣化させるので、好ましくは0.35%以下である。
Mn:0.50〜2.00%
Mnは、Cと同様に、母材強度を確保するのに有効な元素であり、効果的に強度を得るには、0.50%以上含有することが好ましい。しかし、Mn含有量が多すぎると中心偏析により母材や溶接熱影響部の靱性の劣化が顕著となることから、2.00%以下の範囲で用いるのが好ましい。
P:0.020%以下およびS:0.006%以下
PおよびSは、鋼の靱性を著しく悪化させる元素であり、その含有量は少ない方が好ましいが、極度に低い含有率にまで低下させるためには精錬コストが上昇することから、上記の範囲内とすることが好ましい。
さらに、目的とする強度、硬度および溶接熱影響部の靱性を確保するために、必要に応じて、Cu:0.1〜1.2%、Ni:0.1〜4.0%、Cr:0.1〜1.2%、Mo:0.01〜0.6%、Nb:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.1%、Ti:0.01〜0.03%、B:0.0003〜0.003%、Al:0.003〜0.10%、およびN:0.001〜0.01%を単独、または、組み合わせて含有させることができる。これらの元素も上記の範囲を超えて多量に含有すると、かえって鋼特性が悪化したり、合金コストに見合う含有効果が得られなくなる。
また、特に、溶接熱影響部靱性の性能向上を目的として、Ca、Mg、REMを1種以上含有させることができるが、その範囲はそれぞれ0.0005%以上、0.01%以下であることが好ましい。
近年、首都高速道路に使用される橋脚は、設置場所の制約から特殊な形状を採用する場合が多く、厚肉化の傾向がみられる。また、既設の橋脚においては疲労亀裂が問題となることから、溶接部のUSTがますます厳格になってきている。このため、圧下比を大きくすることができない極厚鋼板は、連続鋳造による軽圧下に加えて強圧下圧延を行っても、ポロシティ欠陥がわずかに残り、高感度USTにより欠陥として検出されることから、製造が困難と考えられていた。本発明の方法により鋳造された鋳片を素材として製造される鋼板は、上記のような用途の極厚鋼板に適用することが好ましい。
本発明の効果を確認するため、下記の連続鋳造試験を行うとともに、得られた鋳片を極厚鋼板に圧延し、超音波探傷試験により極厚鋼板の製品評価を行った。
(1)試験方法
1)鋳造方法
図4は、本発明の連続鋳造方法を試験するために用いた垂直曲げ型の連続鋳造機を模式的に示した図である。
タンディッシュ(図示せず)から浸漬ノズル1を経て鋳型3に注入された溶鋼4は、鋳型3およびその下方の二次冷却スプレーノズル群(図示せず)から噴射されるスプレー水によって冷却され、凝固シェル5が形成されて鋳片8となる。鋳片8の内部に未凝固部を保持したまま、鋳片8はガイドロール6群を経て圧下ロール7により引き抜かれる。
圧下ロール7は、鋳型3の内部に形成される溶鋼湯面(メニスカス)2より21.5m下流の位置に1対設置した。圧下ロール7の直径は450mmで、圧下力は最大5.88×103kN(600ton−f)とした。また、圧下の際に、圧下力を鋳片に効果的に作用させるために圧下ロール7の下部ロールを鋳片の下側パスラインよりも上方に突出させた。なお、試験に用いた連続鋳造機は垂直曲げ型連続鋳造機であるが、湾曲型連続鋳造機を使用してもよいことはもちろんである。
試験に用いた鋳型は、厚さが311mmであり、幅が2300mmの大きさのものである。以下の説明では、この鋳型で鋳造した鋳片を「300mm厚鋳片」と記す。
試験に用いた鋼種は、下記に示す成分組成を有する。すなわち、C:0.40〜1.00%、Si:0.04〜0.60%、Mn:0.50〜2.00%、P:0.020%以下、S:0.006%以下を含有し、目的とする母材強度、硬度及び母材や溶接熱影響部靱性を確保するために、必要に応じて、Cu:0.1〜1.2%、Ni:0.1〜4.0%、
Cr:0.1〜1.2%、Mo:0.01〜0.6%、Nb:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.1%、Ti:0.01〜0.03%、B:0.0003〜0.003%、Al:0.003〜0.10%、N:0.001〜0.01%のうちの1種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。
鋳造速度は、圧下時の鋳片の中心固相率が、凝固伝熱計算により0.8以上となるように予め条件を選択し、0.58〜0.61(m/min)の範囲で種々変更した。また、二次冷却水量は0.62〜0.73L/kg−steelとした。
圧下時の中心固相率は、主に鋳造速度と、鋳片の幅中央部の厚さに合わせて、種々、鋳造速度を変えて一次元の伝熱計算を行い、所定の固相率になる条件を決定した。
また、タンディッシュ内の溶鋼温度は、過熱度(ΔT)が30〜50℃の間でほぼ一定となるようにした。なお、ΔTは溶鋼温度と液相線温度との差である。
2)鋳片および極厚鋼板の中心ポロシティの評価
得られた鋳片は、中心ポロシティの調査のために一部から試料を採取した後、950〜1170℃に加熱し、1050〜750℃の範囲で仕上げ圧延を行い極厚鋼板を製造した。使用した仕上げ圧延機のワークロール径は1040mm、最大圧下力は6.17×104kN(6300ton−f)であった。中心ポロシティの調査のために極厚鋼板の一部から試料を採取した。
鋳片については、鋳片の1/4厚さ位置の幅方向7箇所、厚さ中心の幅方向16箇所から試料を採取した。試料形状は、比重測定の精度を勘案し、長さ50mm×幅100mm×厚さ7mmとし、面の加工精度はJISに基づく上仕上げ(三角記号▽▽▽:最大表面粗さ3.2μ)程度とした。
中心ポロシティの評価は、中心ポロシティの発生がほとんどないと推定される鋳片の1/4厚さ位置の平均比重を基準として、厚さ中心部の比重から算出した中心ポロシティの比体積を評価することにより行った。1/4厚さ位置の平均比重ρ0と、厚さ中心の平均比重ρとから、下記の(3)式で定義する中心ポロシティ体積Vp(cm3/g)を求めた。
Vp=1/ρ−1/ρ0 ・・・(3)
また、極厚鋼板についても、上記と同じ条件で試料採取を行ったが、各極厚鋼板で圧下比が異なることから、試料形状の厚さは極厚鋼板の厚さの約1/20で統一した。
圧延後の極厚鋼板は、下記のUST評価方法により、未圧着の中心ポロシティを評価した。UST装置は、Aスコープ表示式探傷器で、振動子の直径が30mm、公称周波数が2MHzの垂直探傷子を用いた。測定された欠陥の個数、欠陥1個当たりの最大指示長さ、密集度、占積率などが後述する評価基準値よりも良好な場合に、その極厚鋼板は合格とし、UST欠陥はないものと判断した。
3)UST評価方法
本発明の方法は、UST欠陥のない内質の優れた高強度極厚鋼板を製造することを目的としていることから、JIS G0801(1993)による規定よりも厳格な評価方法によりUST欠陥の評価を行った。
具体的には、本発明の効果を確認するために採用した垂直超音波探傷法では、JIS G0801の規定に基づき、縦または横100mmピッチの線上探傷で、傷エコー高さ(以下「F1」という)が25%を超え、その欠陥指示長さが5mmを超える欠陥が1個/m2以下の場合を内質が良好と評価した。ただし、圧力容器用鋼板に対して規定されたJIS G0801における感度設定のままでは、本発明の方法により製造される極厚鋼板のUSTとしては不十分である。そこで、JIS G0801に基づく探傷感度設定を行った後、さらにその感度を12dBアップ(約4倍の感度アップに相当)させ、Aスコープ表示装置を0〜100%表示とした条件で評価した。デジタル式探傷器を用いる場合もこれに準じた。
通常のJIS G0801においては、主にF1または(F1/B1)(ただし、B1は底面エコー高さ)の値が50%を超える中欠陥および重欠陥が判定の対象となり、F1または(F1/B1)の値が25〜50%の〇欠陥(軽欠陥)は問題とされない場合が多い。これに対して、本発明で採用する垂直超音波探傷法の鋼板内部の評価においては、上記の〇欠陥(軽欠陥)も評価の対象とした。しかも、本発明で採用する評価方法は、探傷感度を12dBアップ(感度を約4倍にアップ)させているので、評価対象となる〇欠陥は、F1または(F1/B1)の値が6〜12.5%の微小な欠陥を意味しており、そのような微小な欠陥が、鋼板内部で1個/m2以下という極めて厳しい鋼の内部健全性を評価できる。
(3)試験結果
表2に、実施例の試験条件および試験結果を示す。なお、同表中には、前記の鋼板の中心ポロシティの適正範囲を求める試験にて述べた表1中の試験番号1〜7の結果についても併記した。
同表において、試験番号1、2および8〜11は凝固末期圧下量(d)が0mmの条件で、また、試験番号3〜7は凝固末期圧下量が3.5mmの条件で、そして、試験番号12〜17は凝固末期圧下量が17.0mmの条件で、それぞれ鋳造した高炭素鋼鋳片を圧延素材として極厚鋼板を製造した試験である。
また、試験番号1〜4は、鋳片の凝固末期圧下量(d)と仕上圧延までの圧下比(r)とが、本発明で規定する前記(1)式の関係を満たさない比較例についての試験であり、試験番号5〜17は、(1)式の関係を満足する凝固末期圧下を実施する本発明例についての試験である。
同表の結果に示されるとおり、鋳片の凝固末期圧下量と圧下比とが本発明で規定する(1)式の関係を満たす本発明例である試験番号5〜17では、鋼板のUST評価において、合格率が100%となる良好な内質の極厚鋼板が得られた。これに対して、本発明で規定する(1)式の関係を満たさない比較例についての試験である試験番号1〜4では、鋼板UST評価に合格しない極めて劣った内質の極厚鋼板しか得られなかった。
また、試験番号8〜11では、前記(1)式の右辺の値が負となることから、必ずしも凝固末期圧下を行わなくても、圧延による圧下比を確保することにより、鋼板のUST評価を合格範囲内とすることができる。したがって、このような場合に鋳片での凝固末期圧下を行えば、それにより、極厚鋼板の内質がさらに向上することは明らかである。また、このような凝固末期圧下の必要性の有無、およびその必要圧下量を前記(1)式の関係により的確に把握できることも、本発明の利点の1つである。
これらの試験条件および試験結果を図5および図6に示した。図5は、鋳片の凝固末期圧下量毎に、極厚鋼板の中心ポロシティ体積および圧下比がUST評価結果におよぼす影響について調査した実施例の試験結果を示す図であり、図6は、鋳片の凝固末期圧下量および圧下比の適正範囲ならびに実施例の試験結果を示す図である。
図5の結果に示されるとおり、本発明で規定する条件を満足する試験では鋳片の圧下量によらず、極厚鋼板の中心ポロシティ体積が上限値である0.9×10-4cm3/g以下に低減されていることがわかる。
また、図6の結果から、鋳片の凝固末期圧下量と圧下比とが、本発明で規定する(1)式の関係を満足する試験(すなわち、試験条件が同図中の適正範囲に存在する試験)では、USTに100%合格する良好な内質の極厚鋼板が得られることが確認された。
本発明の連続鋳造方法によれば、鋳造された高炭素鋼の鋳片に、連続鋳造機の比較的簡易な圧下設備を用いて、鋼板製品までの圧下比を考慮して決定される適正圧下量を付与することにより、鋳片の中心ポロシティ体積を低減させるので、既存の厚板用圧延機を用いてUST欠陥のない内質の良好な極厚高炭素鋼板を製造することができる。また、本発明の連続鋳造方法は、極厚の高感度UST対象材の製造可能範囲を拡大することができる利点がある。したがって、本発明の方法は、連続鋳造工程から厚板圧延工程にわたる操業条件を総合的に適正化することにより、良好な内質の高炭素極厚鋼板を製造する方法として広く適用できる。
鋳片の凝固末期圧下量と鋳片の中心ポロシティ体積との関係を示す図である。 鋳片の凝固末期圧下量毎に、極厚鋼板の中心ポロシティ体積および圧下比がUST評価結果におよぼす影響を調査した結果を示す図である。 鋼板の良好なUST評価結果を得るための、鋳片の凝固末期圧下量および圧下比の適正範囲を示す図である。 本発明の連続鋳造方法を試験するために用いた垂直曲げ型の連続鋳造機を模式的に示す図である。 鋳片の凝固末期圧下量毎に、極厚鋼板の中心ポロシティ体積および圧下比がUST評価結果におよぼす影響について調査した実施例の試験結果を示す図である。 鋳片の凝固末期圧下量および圧下比の適正範囲、ならびに実施例の試験結果を示す図である。
符号の説明
1:浸漬ノズル、 2:溶鋼湯面(メニスカス)、 3:鋳型、 4:溶鋼、
5:凝固シェル、 6:ガイドロール、 6:ガイドロール、 7:圧下ロール、
8:鋳片

Claims (2)

  1. 熱間圧延して得られる炭素含有率が0.40質量%以上1.00質量%以下の極厚鋼板の素材として用いる鋳片の連続鋳造方法であって、仕上げ圧延までの圧下比をrとしたとき、該圧下比rに対して下記(1)式により表される関係を満足する圧下量d(mm)の範囲で、凝固末期の鋳片を1対の圧下ロールを用いて一括して圧下することを特徴とする連続鋳造方法。
    d≧−(b+log(Vp*・r))/a ・・・・(1)
    ここで、Vp*は、鋼板の厚さ中心部の中心ポロシティ体積の上限値を意味し、その値は0.9×10-4cm3/gである。aおよびbは、鋳片の凝固末期圧下量dと鋳片の中心ポロシティ体積(cm3/g)との関係に基づき決定される定数であって、a=0.0175およびb=3.75である。なお、上記(1)式右辺の計算値が負となる場合は、d=0mmとする。
  2. 未凝固部を含む鋳片を、圧下ロールを用いて圧下する際に、連続鋳造機内または機端において、中心部の固相率が0.8以上1.0未満の範囲で、3mm以上30mm以下の圧下を行うことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造方法。
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