JP2008173109A - 酸性飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 酸性下で加熱殺菌を施されているにも拘わらず、ヒアルロン酸および/またはその塩に由来する白濁が防止され、透明性に優れたヒアルロン酸および/またはその塩を配合した酸性飲料を提供する。
【解決手段】 酸性下で加熱殺菌を施された酸性飲料であって、平均分子量2万以下のヒアルロン酸および/またはその塩を含有されてなる酸性飲料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、酸性下で加熱殺菌を施されているにも拘わらず、ヒアルロン酸および/またはその塩に由来する白濁が防止され、透明性に優れたヒアルロン酸および/またはその塩を配合した酸性飲料に関する。
ヒアルロン酸は生体、特に皮下組織に存在するムコ多糖類であり、その高い保湿機能によりヒアルロン酸またはその塩として、化粧料の原料に広く利用されてきた。また、ヒアルロン酸またはその塩を経口摂取することにより、生体本来の持つヒアルロン酸含量の低下を補い、肌の保湿、弾力性、および柔軟性を改善する効果が認められている。
このため、ヒアルロン酸およびその塩を配合した美容健康食品も数多く開発されており、例えば、特開2001−333693号公報(特許文献1)には、平均分子量が60万〜100万程度の高分子ヒアルロン酸およびヒアルロン酸塩から選ばれた1種以上と茶成分とを含む飲料が記載されている。
一方、ヒアルロン酸を含む飲料等の食品は美容を訴求しているため、透明性を重視した商品が消費者のイメージに合致しやすく好まれる。また、ヒアルロン酸および/またはその塩等の糖類を配合した飲料は、細菌的問題が発生しやすいため加熱殺菌する必要がある。そこで、発明者は、特許文献1に記載されている高分子ヒアルロン酸およびヒアルロン酸塩を配合し、加熱殺菌を施した飲料を製したところ、透明性が低く、消費者のイメージに合致しないものであった。
特開2001−333693
そこで、本発明の目的は、酸性下で加熱殺菌を施されているにも拘わらず、ヒアルロン酸および/またはその塩に由来する白濁が防止され透明性に優れた酸性飲料を提供するものである。
本発明者は、上記目的を達成すべく、ヒアルロン酸について鋭意研究を重ねた結果、平均分子量が特定以下のヒアルロン酸および/またはその塩を配合するならば、意外にも、酸性下で加熱殺菌を施された酸性飲料であっても白濁が防止され、透明性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)酸性下で加熱殺菌を施された酸性飲料であって、平均分子量2万以下のヒアルロン酸および/またはその塩を含有することを特徴とする酸性飲料、
(2)ヒアルロン酸および/またはその塩の分子量分布が、分子量1万以下の成分の割合が40%以上でかつ分子量5万以上の成分の割合が5%以下である(1)の酸性飲料、
(3)pH2.0〜4.5の酸性下で加熱殺菌を施した(1)又は(2)の酸性飲料、
(4)品温が80℃以上となるように加熱殺菌を施した(1)乃至(3)のいずれかの酸性飲料、
(5)ヒアルロン酸および/またはその塩の配合量が、0.01〜2%である(1)乃至(4)のいずれかの酸性飲料、
(6)酸性飲料がリンゴジュースである(1)乃至(5)のいずれかの酸性飲料、
(7)酸性飲料が酢飲料である(1)乃至(5)のいずれかの酸性飲料、
(8)酸性飲料がクエン酸飲料である(1)乃至(5)のいずれかの酸性飲料、
である。
本発明によれば、酸性下で加熱殺菌を施されているにも拘わらず、ヒアルロン酸および/またはその塩に由来する白濁が防止され、透明性に優れることから、ヒアルロン酸および/その塩から連想される水々しい透明感のある酸性飲料を提供することができる。したがって、健康飲料市場の更なる拡大が期待できる。
以下本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を意味する。
本発明の酸性飲料は、一般的に清涼飲料、果実飲料、又は医薬部外品の栄養ドリンクと称されるものであり、常温流通が可能なpH4.5以下の飲料である。このような酸性飲料としては、例えば、りんご果汁、オレンジ果汁、レモン果汁、アセロラ果汁、カムカム果汁、ブルーベリー果汁、ぶどう果汁等を含有する果汁飲料、りんご酢、黒酢、もろみ酢、穀物酢、米酢、ダッタンそば酢等を含有する酢飲料、クエン酸又はクエン酸3ナトリウム等のクエン酸塩を含有するクエン酸飲料、ビタミンB群、ビタミンC等を含有するビタミン飲料、グルコン酸飲料、ソーダ水、無糖ソーダ水等の炭酸飲料、栄養ドリンク等が挙げられる。
本発明は、これらの酸性飲料において、ヒアルロン酸および/またはその塩を含有し、酸性下で加熱殺菌を施された酸性飲料であって、当該加熱殺菌により生じるヒアルロン酸および/またはその塩に由来する白濁を防止すべく、本願発明は、平均分子量2万以下のヒアルロン酸および/またはその塩を用いることを特徴とする。このように本発明は、白濁を防止することより、上記酸性飲料の中でも、特に透明性に優れた飲料に好適である。このような透明性に優れた飲料としては、例えば、リンゴジュース、酢飲料、クエン酸飲料等が挙げられる。
ここで、本発明の「ヒアルロン酸」とは、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとの二糖からなる繰り返し構成単位を1以上有する多糖類をいう。また、「ヒアルロン酸の塩」としては、特に限定されないが、食品又は薬学上許容しうる塩であることが好ましく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
本発明に使用するヒアルロン酸またはその塩の平均分子量は、2万以下であり、好ましくは1万5千以下である。ヒアルロン酸またはその塩の平均分子量が前記値より大きいと、白濁が生じ、目的とする透明性に優れた酸性飲料とならないからである。なお、本発明では、平均分子量の下限値を限定していないが、精製度の高いヒアルロン酸またはその塩の工業的生産性を考慮し、平均分子量5千以上が好ましい。
本発明で規定される平均分子量の測定方法について説明する。
本発明で規定される平均分子量は、ヒアルロン酸および/またはその塩の極限粘度から算出された分子量である。ヒアルロン酸および/またはその塩の極限粘度を求めるには、まず、複数のヒアルロン酸および/またはその塩の水溶液を調製し、ウベローデ粘度計(柴田科学器械工業株式会社)におけるヒアルロン酸および/またはその塩の水溶液の流下秒数および溶媒の流下秒数から下記式(1)および式(2)に基づいて比粘度および還元粘度を算出する。この際、流下秒数が200〜1000秒になるような係数のウベローデ粘度計を用いる。その際、ヒアルロン酸および/またはその塩の水溶液の濃度は、該測定器に適する濃度を選択する。また、測定は30℃の恒温水槽中で行ない、温度変化のないようにする。(式1)
ヒアルロン酸および/またはその塩の水溶液の流下秒数
比粘度=――――――――――――――――――――――――――― −1
溶媒の流下秒数
(式2)
比粘度
還元粘度=―――――――――――――――――――――――――――――――――
乾燥物換算のヒアルロン酸および/またはその塩濃度(g/100mL)
次いで、各ヒアルロン酸および/またはその塩の水溶液について、得られた還元粘度を縦軸に、乾燥物換算のヒアルロン酸および/またはその塩濃度を横軸にプロットして検量線を作成し、前記ヒアルロン酸および/またはその塩濃度を0に外挿することにより、ヒアルロン酸および/またはその塩の極限粘度を得る。下記式3に基づいて、ヒアルロン酸および/またはその塩の極限粘度から平均分子量Mを求めることができる。(式3)
極限粘度(dL/g)=K’Mα
(上記式3において、K’=0.036、α=0.78である。)
ヒアルロン酸に代表されるムコ多糖類は、CPC(塩化セチルピリジニウム)と結合して沈殿を起こすことが知られている。そのため、CPC沈殿法を用いることにより、酸性飲料にムコ多糖類が含有していることを確認できる。
本発明に使用するヒアルロン酸および/またはその塩は、平均分子量が2万以下であることに加え、その分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が40%以上で、かつ、分子量5万以上の成分の割合が5%以下であることが好ましい。このような分子量分布のヒアルロン酸および/またはその塩を使用することにより、酸性下で加熱殺菌を施しても、より透明性に優れた酸性飲料となり好ましいからである。
本発明で規定される分子量分布は、ゲル濾過カラムを用いて試料を液体クロマトグラフィー分析することにより得られる。ヒアルロン酸および/またはその塩は、反復構造単位(N−アセチル−D−グルコサミンおよびD−グルクロン酸)の数によって異なる分子量を有する複数の成分の混合物である。したがって、ゲル濾過カラムを用いて試料について液体クロマトグラフィー分析を行なうことにより、ヒアルロン酸および/またはその塩を構成する成分を分子サイズにより分離することができる。
本発明におけるヒアルロン酸および/またはその塩の分子量分布は、HPLC分析装置(商品名「アライアンスPDAシステム」、日本ウォーターズ株式会社製)にゲル濾過カラム(商品名「Diol−120」、株式会社ワイエムシイ製)を接続して、ヒアルロン酸および/またはその塩の0.1%(w/v)水溶液を分析サンプルとして、この分析サンプルを液体クロマトグラフィー分析することにより測定することができる。
液体クロマトグラフィー分析の条件は以下の通りとする。カラム温度:40℃流速:1mL/分ヒアルロン酸および/またはその塩の0.1%(w/v)水溶液の注入量:20μL)移動相:0.003Mリン酸バッファー(0.15M NaCl含有、pH7.0)紫外線検出器:λ=210nmで測定本発明に係るゲル濾過カラムを用いた液体クロマトグラフィーでは、保持時間が長いものほど低分子である。保持時間の長い順に、N−アセチルグルコサミン、D−グルクロン酸、ヒアルロン酸(二糖:繰り返し構造単位1つ)、ヒアルロン酸(四糖:繰り返し構造単位2つ)、ヒアルロン酸(六糖:繰り返し構造単位3つ)、ヒアルロン酸(八糖:繰り返し構造単位4つ)・・・のピークが得られる。各ピークにおける保持時間および分子量を算出し、この保持時間対分子量の検量線を求める(式4)。
なお、式4において、xは保持時間を示し、yは分子量を示す。次いで、式4に示される検量線から、所定の分子量(1万または5万)に対応する保持時間を算出し、これらの保持時間によりピークを分割することにより、所定の分子量範囲にある成分の割合を求める。また、各ピークが示す分子量は、分子量が既知のヒアルロン酸および/またはその塩の最小構成単位(二糖)について同様の方法で液体クロマトグラフィー分析して得られたクロマトグラム中のピークと照会することにより同定される。
例えば、分子量1万以下の成分の割合は、式4に示される検量線から分子量1万に対応する保持時間を算出し、この保持時間以降の成分の吸収面積を全吸収面積で除すことにより求めることができる。同様に、分子量5万以上の成分の割合は、式4に示される検量線から分子量5万に対応する保持時間を算出し、この保持時間以前の成分の吸収面積を全吸収面積で除すことにより求めることができる。
一例として、図1に示すクロマトグラムから得られた各分子量成分の繰り返し単位数および保持時間の関係を表1に示す。
Figure 2008173109
(式4)y=−21.4x+1296.2x−26747.1x+189427.1
本発明で用いる平均分子量2万以下のヒアルロン酸および/またはその塩の代表的な製造方法を以下に述べる。なお、本発明で用いる平均分子量2万以下のヒアルロン酸および/またはその塩の製造方法は、これに限定するものではない。
上記平均分子量2万以下のヒアルロン酸および/またはその塩の原料であるヒアルロン酸および/またはその塩(以下、「原料ヒアルロン酸およびその塩」ともいう)は一般に、鶏冠、臍の緒、眼球、皮膚、軟骨等の生物組織、あるいはストレプトコッカス属の微生物等のヒアルロン酸生産微生物を培養して得られる培養液等を原料として、これらの原料から抽出(さらに必要に応じて精製)して得られるものである。例えば、鶏冠より抽出される原料ヒアルロン酸および/またはその塩の分子量は通常200万から800万である。
上述したように、平均分子量2万以下のヒアルロン酸および/またはその塩は、酸性含水媒体中に原料ヒアルロン酸および/またはその塩を分散させて、酸性含水媒体を除去して得られた残留物を加熱乾燥することにより製造することができる。ここで、攪拌速度や攪拌時間を調整することにより、低分子化の度合いを調整することができる。また、上述の分散させる工程を、30〜70℃で1時間以内の加熱することにより、目的の分子量まで安定に低分子化することができる。より具体的には、粉末状の原料ヒアルロン酸および/またはその塩を、酸性含水媒体中に攪拌しながら添加して得られた分散媒を加熱することができる。あるいは、酸性含水媒体を予め加熱し、これに原料ヒアルロン酸および/またはその塩を添加し、温度を保持してもよい。
上記製造方法において、含水媒体は、水を含む、ヒアルロン酸および/またはその塩の分散媒のことをいう。含水媒体に使用できる媒体は、ヒアルロン酸および/またはその塩の溶解性が低いことが好ましい。含水媒体に使用できる媒体は特に限定されないが、例えば液体であって、水に溶解する性質を有し、かつ、食品または医薬品の製造工程において使用できるものが好ましい。含水媒体に使用できる媒体としては、例えば、アルコール系媒体(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノールなど)、ケトン系媒体(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等を挙げることができ、これらを単独でまたは組み合わせて使用することができる。このうち、沸点の低さおよび価格の点で、エタノール、メタノール、およびアセトンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。含水媒体における含水量は特に規定されないが、含水量が多いと、ヒアルロン酸および/またはその塩が分散状態を維持できず、含水媒体に溶解するため、収益低下を招くおそれがある。したがって、含水媒体の全量に対する水の割合は40%容量以下が好ましく、30%容量以下がより好ましい。
また、上記製造方法において、含水媒体を酸性にするために使用するものとしては、例えば、塩酸や硫酸等の酸や酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。
なお、平均分子量2万以下のヒアルロン酸から平均分子量2万以下のヒアルロン酸の塩へと変換する方法、ならびに平均分子量2万以下のヒアルロン酸の塩から平均分子量2万以下のヒアルロン酸へと変換する方法は、特に限定されるわけではない。平均分子量2万以下のヒアルロン酸からヒアルロン酸の塩へと変換する方法としては、例えば、アルカリ水溶液(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム等の水溶液)を用いて処理する方法が挙げられる。また、平均分子量2万以下のヒアルロン酸の塩から平均分子量2万以下のヒアルロン酸へと変換する方法としては、例えば、酸水溶液(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の水溶液)を用いて処理する方法や、酸性陽イオン交換樹脂を用いる方法が挙げられる。
本発明の酸性飲料において、上述した製造方法等により得られた平均分子量2万以下のヒアルロン酸および/またはその塩の配合量は、0.01〜2%が好ましく、0.05〜1.5%がより好ましい。ヒアルロン酸および/またはその塩の配合量が、前記範囲より多いと、透明性が失われやすく好ましくなく、一方、前記範囲より少ないと、ヒアルロン酸および/またはその塩の美容効果が現れにくく、商品価値が低くなるので好ましくない。
以下に本発明の酸性飲料の代表的な製造方法を述べる。なお、本発明の酸性飲料の製造方法は、これに限定するものではない。
上述した製造方法等により得られた平均分子量2万以下のヒアルロン酸および/またはその塩を含有する水溶液に、本発明の効果を損なわない範囲で、酸性飲料に一般的に使用されている原料を適宜配合し、混合溶解する。このような原料としては、例えば、砂糖、果糖、異性化糖、ショ糖、フルクトース、パラチノース、トレハロース、ラクトース、キシロース等の糖質、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、還元水飴、還元麦芽糖水飴等の糖アルコール類、スクラロース、アセスルファムK、ステビア、アスパルテーム等の高甘味度甘味料、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンD等のビタミン類、コラーゲン、水溶性食物繊維等の美容原料、オレンジフレーバー、りんごフレーバー、レモンフレーバー等の香料等が挙げられる。
次に、酸性飲料のpHを酸性に、具体的には好ましくは2.0〜4.5、より好ましくは2.5〜4.5に、調整する。酸性飲料のpHが前記範囲より高いと、透明性が失われやすくなり、一方、前記範囲より低いと酸味が強く出るため、飲料としての商品価値が低くなり好ましくない。このようなpH調整には、リンゴ酢、黒酢、もろみ酢、穀物酢、米酢、ダッタンそば酢等の食酢、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸、炭酸、リン酸等の無機酸、クエン酸3ナトリウム、酢酸ナトリウム等の有機酸塩、りんご、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ぶどう、アセロラ、カムカム、ブルーベリー等の果汁を用いると良い。
さらに、酸性下にpH調整したヒアルロン酸および/またはその塩を含有した上記酸性飲料を加熱殺菌する。加熱殺菌は、例えば、プレート殺菌機、チューブラー殺菌機、ホールディングタンク、ホールディングチューブ等の熱交換殺菌機等を用いて行うと良い。また、加熱殺菌の条件は、糖類を配合した他の酸性飲料と同様、細菌的に問題が発生しない条件であれば、特に限定するものではないが、酸性飲料の品温が好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上となるように加熱殺菌を施す。また、加熱殺菌時間は、前記酸性飲料の品温に依るが、2秒間〜1時間が好ましく、5秒間〜30分間がより好ましい。なお、本発明は、加熱殺菌条件として酸性飲料の品温の上限を規定していないが、糖類を配合した他の酸性飲料と同様、130℃程度を上限とすると良い。
そして、得られた加熱殺菌を施した酸性飲料を、PETボトル、ガラス瓶等の容器に充填、密封する。なお、充填は、ホットパック充填(品温80〜98℃)、あるいは無菌充填等、任意の方法を用いることができる。また、本発明の酸性飲料は必要に応じ、炭酸等を含気させても良い。
以下、本発明で用いる平均分子量2万以下のヒアルロン酸および/またはその塩を用いた酸性飲料について、実施例等に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
[調製例1]平均分子量9千のヒアルロン酸
本調製例では、原料として、鶏冠より抽出、精製したヒアルロン酸ナトリウム(以下、「HANa」ともいう)微粉末を準備した。この原料HANaの平均分子量は約210万、純度97%であった。
まず、攪拌機およびジャケットを装備した300L容タンクに、0.5%硫酸含有80%含水アセトン(酸性含水媒体)110Lを満たし、攪拌しながら液温が60℃となるよう加熱した。この処理液のpHは1.08であった。ここで、80%含水アセトンは、アセトンを80(W/W)%含有し、水を20(W/W)%含有するものであり、0.5%硫酸含有80%含水アセトンは、硫酸を0.5(W/W)%含有し、80%含水アセトンを99.5(W/W)%含有するものである。60℃に達温後、攪拌しながら,準備した原料HANa微粉末6kgをタンクに投入した。硫酸含有含水アセトンの温度を60℃に維持するよう加熱を行ないながら、原料HANa微粉末が分散状態となるように攪拌した。
次に、15分間攪拌してから静置した後、上澄みの硫酸含有含水アセトンをデカンテーションにより除去することにより、沈殿物を得た。得られた沈殿物に、予め60℃に加熱した0.5%硫酸含有80%含水アセトン110Lを加え、同様に60℃に加熱しながら攪拌を15分間行ない、この操作を合計3回繰り返した。
次いで、硫酸含有含水アセトンを除去した後に得られた沈殿物に80%含水アセトン110Lを加え、硫酸除去の目的で攪拌を15分間行なった。硫酸の残留がなくなるまでこの操作を繰り返した。
さらに、含水アセトンをデカンテーションにより除去して残留物を得た。この残留物について遠心分離処理を行なうことにより含水アセトンをさらに除去した後、真空乾燥機を用いて70℃にて減圧で12時間加熱乾燥した。
以上の工程により、白色微粉末のヒアルロン酸5.3kg(収率約88%)を得た。このヒアルロン酸は、極限粘度より換算した平均分子量が9千であり、分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が49%以上でかつ分子量5万以上の成分の割合が0.5%であった。
[調製例2]平均分子量6千のヒアルロン酸
本調製例では、原料として、調製例1で用いたHANa微粉末を準備した。
まず、攪拌機およびジャケットを装備した300L容タンクに、2%塩酸含有73%含水エタノール(酸性含水媒体)110Lを満たし、攪拌しながら液温が50℃となるよう加熱した。この処理液のpHは0.70であった。ここで、73%含水エタノールは、エタノールを73(W/W)%含有し、水を27(W/W)%含有するものであり、2%塩酸含有73%含水エタノールは、塩酸を2(W/W)%含有し、73%含水エタノールを98(W/W)%含有するものである。50℃に達温後、攪拌しながら、準備した原料HANa微粉末6kgをタンクに投入した。塩酸含有含水エタノールの温度を60℃に維持するように加熱を行ないながら、原料HANa微粉末が分散状態となるように攪拌した。
次に、15分間攪拌してから静置した後、上澄みの塩酸含有含水エタノールをデカンテーションにより除去することにより、沈殿物を得た。得られた沈殿物に、予め50℃に加熱した2%塩酸含有73%含水エタノール110Lを加え、同様に50℃に加熱しながら攪拌を15分間行ない、この操作を合計3回繰り返した。
次いで、塩酸含有含水エタノールを除去した後に得られた沈殿物に73%含水エタノール110Lを加え、塩酸除去の目的で15分間の攪拌を行なった。塩酸の残留がなくなるまでこの操作を繰り返した。
さらに、含水エタノールをデカンテーションにより除去して残留物を得た。この残留物について遠心分離処理を行なうことにより含水エタノールをさらに除去した後、真空乾燥機を用いて80℃にて減圧で24時間加熱乾燥した。
以上の工程により、白色微粉末のヒアルロン酸5.5kg(収率約92%)を得た。このヒアルロン酸は、極限粘度より換算した平均分子量が6千であり、分子量分布において、分子量1万以下の成分の割合が58%以上でかつ分子量5万以上の成分の割合が0.2%であった。
[実施例1]
下記配合のりんご果汁100%のリンゴジュースを製した。つまり、調製例1で得られた平均分子量が9千で、その分子量分布が分子量1万以下の成分の割合が49%以上で分子量5万以上の成分の割合が0.5%であるヒアルロン酸と、下記の配合割合を示す他の原料を撹拌・混合し、95℃で15分の加熱殺菌後、350mLPETボトルに充填、密封した。このリンゴジュースのpHは3.8であった。また、加熱殺菌直後の品温は、95℃であった。
<リンゴジュースの配合割合>
5倍濃縮りんご透明果汁 20%
ヒアルロン酸(平均分子量:9千) 0.2%
清水 79.8%
――――――――――――――――――――――――
合計 100%
[実施例2]
実施例1のヒアルロン酸0.2%配合を、平均分子量が9千でその分子量分布が分子量1万以下の成分の割合が49%以上で分子量5万以上の成分の割合が0.5%であるヒアルロン酸ナトリウム0.2%配合に変更した以外は、実施例1と同様の方法でリンゴジュースを製した。このリンゴジュースのpHは4.0であった。
[実施例3]
実施例1のリンゴジュースで使用したヒアルロン酸0.2%配合を3%配合に変更した以外は、実施例1と同様の方法でリンゴジュースを製した。このリンゴジュースのpHは、2.7であった。
[実施例4]
実施例1のリンゴジュースで使用したヒアルロン酸を、平均分子量の異なる2種類のヒアルロン酸(調製例2の平均分子量6千のものと、平均分子量5万のもの)をブレンドし、その平均分子量が1万5千になるように調整したヒアルロン酸を用いた以外は、実施例1と同様の方法でリンゴジュースを製した。ブレンドしたヒアルロン酸の分子量分布は、分子量1万以下の成分の割合が46%以上で、分子量5万以上の成分の割合が10%であった。また、このリンゴジュースのpHは3.8であった。
<リンゴジュースの配合割合>
5倍濃縮りんご透明果汁 20%
ヒアルロン酸(平均分子量:6千) 0.4%
ヒアルロン酸(平均分子量:5万) 0.1%
清水 79.5%
―――――――――――――――――――――――――――
合計 100%
[比較例1]
実施例1のリンゴジュースで使用した平均分子量9千のヒアルロン酸を、平均分子量80万のヒアルロン酸ナトリウムに変更した以外は、実施例1と同様の方法でリンゴジュースを製した。このリンゴジュースのpHは、4.0であった。
[比較例2]
実施例1のリンゴジュースで使用した平均分子量9千のヒアルロン酸を、平均分子量4万のヒアルロン酸に変更した以外は、実施例1と同様の方法でリンゴジュースを製した。このリンゴジュースのpHは、3.8であった。
[比較例3]
実施例1のリンゴジュースの配合割合に、クエン酸3ナトリウムを0.7%添加した以外は、実施例1と同様の方法でリンゴジュースを製した。このリンゴジュースのpHは、5.0であった。
<リンゴジュースの配合割合>
5倍濃縮りんご透明果汁 20%
クエン酸3ナトリウム 0.7%
ヒアルロン酸(平均分子量:9千) 0.2%
清水 79.1%
――――――――――――――――――――――――
合計 100%
[試験例1]
実施例1〜4並びに比較例1又は2で得られた酸性飲料を25℃で1日保存した後、外観の目視検査を行った。結果を表2に示す。
Figure 2008173109
本発明の平均分子量2万以下のヒアルロン酸および/またはその塩を配合した実施例1〜4の酸性飲料は、平均分子量が2万超のヒアルロン酸および/またはその塩を配合した比較例1及び比較例2よりも透明性に優れていることが理解される。さらに、ヒアルロン酸および/またはその塩の分子量分布が分子量1万以下の成分の割合が40%以上で、かつ、分子量5万以上の成分の割合が5%以下である実施例1〜3は、分子量5万以上の成分の割合が5%超である実施例4よりも透明性に優れていることが理解される。さらに、ヒアルロン酸および/またはその塩の配合量が0.01〜2%である実施例1又は実施例2は、ヒアルロン酸の配合量が2%超である実施例3よりも透明性に優れていることが理解される。
また、表2には示していないが、比較例3の評価結果は、やや透明性に優れる「△」という結果であった。これより、酸性下で加熱殺菌を施す時のpHが2.0〜4.5である実施例1は、加熱殺菌を施す時のpHが4.5超である比較例3よりも透明性に優れていることが理解できる。なお、比較例3の飲料は、pHが4.5超であることから、常温流通ができず、本発明の酸性飲料に該当しない。
[実施例5]
下記配合の酢飲料を製した。つまり、調製例1で得られた平均分子量が9千で、その分子量分布が分子量1万以下の成分の割合が49%以上で分子量5万以上の成分の割合が0.5%であるヒアルロン酸と、下記の配合割合に示す他の原料を撹拌・混合し、90℃で15分の加熱殺菌後、300mLガラス瓶に充填、密封した。この酢飲料のpHは、3.1であった。また、加熱殺菌直後の品温は、90℃であった。
<酢飲料の配合割合>
りんご酢 5%
上白糖 3%
ヒアルロン酸(平均分子量:9千) 0.2%
香料 0.1%
清水 91.7%
―――――――――――――――――――――――
合計 100%
[実施例6]
下記配合のクエン酸飲料を製した。つまり、調製例1で得られた平均分子量が9千で、その分子量分布が分子量1万以下の成分の割合が49%以上で分子量5万以上の成分の割合が0.5%であるヒアルロン酸と、下記の配合割合に示す他の原料を撹拌・混合し、90℃で20分の加熱殺菌後、350mLペットボトルに充填、密封した。このクエン酸飲料のpHは、3.4であった。また、加熱殺菌直後の品温は、90℃であった。
<クエン酸飲料の配合割合>
上白糖 10%
ヒアルロン酸(平均分子量:9千) 0.5%
クエン酸3ナトリウム 0.07%
清水 89.43%
――――――――――――――――――――――――
合計 100%
[実施例7]
下記配合のみかん果汁100%のオレンジジュースを製した。つまり、調製例1で得られた平均分子量9千で、その分子量分布が、分子量1万以下の成分の割合が49%以上で、分子量5万以上の成分の割合が0.5%であるヒアルロン酸と、下記の配合割合に示す他の原料を撹拌・混合し、95℃で20分の加熱殺菌後、350mLガラス瓶に充填、密封した。このオレンジジュースのpHは3.6であった。また、加熱殺菌直後の品温は、95℃であった。
<オレンジジュースの配合割合>
6倍濃縮みかん果汁 16.7%
ヒアルロン酸(平均分子量:9千) 0.2%
香料 0.2%
清水 82.9%
―――――――――――――――――――――――
合計 100%
[比較例4]
実施例5の酢飲料で使用した平均分子量9千のヒアルロン酸を、平均分子量80万のヒアルロン酸ナトリウムに変更した以外は、実施例5と同様の方法で酢飲料を製した。この酢飲料のpHは、3.2であった。
[比較例5]
実施例6のクエン酸飲料で使用した平均分子量9千のヒアルロン酸を、平均分子量80万のヒアルロン酸ナトリウムに変更した以外は、実施例6と同様の方法でクエン酸飲料を製した。このクエン酸飲料のpHは、3.5であった。
[比較例6]
実施例7のオレンジジュースで使用した平均分子量9千のヒアルロン酸を、平均分子量80万のヒアルロン酸ナトリウムに変更した以外は、実施例7と同様の方法でオレンジジュースを製した。このオレンジジュースのpHは、3.7であった。
[試験例2]
実施例1及び実施例5〜7、並びに比較例1及び比較例4〜6で得られた酸性飲料を25℃で1日保存した後、外観の目視検査を行った。結果を表3に示す。
Figure 2008173109
本発明の平均分子量2万以下のヒアルロン酸および/またはその塩を配合した実施例1のリンゴジュース、実施例5の酢飲料、実施例6のクエン酸飲料及び実施例7のオレンジジュースは、平均分子量が2万超のヒアルロン酸および/またはその塩を配合した比較例1のリンゴジュース、比較例4の酢飲料、比較例5のクエン酸飲料及び比較例6のオレンジジュースよりも透明性に優れていることが理解される。さらに、実施例1のリンゴジュース、実施例5の酢飲料及び実施例6のクエン酸飲料は、実施例7のオレンジジュースよりも、透明性に優れた飲料であることが理解される。
図1は、調製例2で得られたヒアルロン酸のクロマトグラムを示す。

Claims (8)

  1. 酸性下で加熱殺菌を施された酸性飲料であって、平均分子量2万以下のヒアルロン酸および/またはその塩を含有することを特徴とする酸性飲料。
  2. ヒアルロン酸および/またはその塩の分子量分布が、分子量1万以下の成分の割合が40%以上でかつ分子量5万以上の成分の割合が5%以下である請求項1記載の酸性飲料。
  3. pH2.0〜4.5の酸性下で加熱殺菌を施した請求項1又は2に記載の酸性飲料。
  4. 品温が80℃以上となるように加熱殺菌を施した請求項1乃至3のいずれかに記載の酸性飲料。
  5. ヒアルロン酸および/またはその塩の配合量が、0.01〜2%である請求項1乃至4のいずれかに記載の酸性飲料。
  6. 酸性飲料がリンゴジュースである請求項1乃至5のいずれかに記載の酸性飲料。
  7. 酸性飲料が酢飲料である請求項1乃至5のいずれかに記載の酸性飲料。
  8. 酸性飲料がクエン酸飲料である請求項1乃至5のいずれかに記載の酸性飲料。

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