JP2008171941A - 発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発光素子10を、紫外領域に発光波長を有する第1のIII族窒化物で形成された発光部4と、第1のIII族窒化物よりもバンドギャップが大きい第2のIII族窒化物からなる第1クラッド部3と、第2のIII族窒化物よりもバンドギャップが小さい第3のIII族窒化物からなる第1コンタクト部2と、第1コンタクト部2に隣接するカソード電極部7と、第1のIII族窒化物よりもバンドギャップが小さい第4のIII族窒化物からなる第2クラッド部5と、第4のIII族窒化物よりもバンドギャップが小さい第5のIII族窒化物からなる第2コンタクト部6と、第2コンタクト部6に隣接するアノード電極部8と、によって構成し、第2コンタクト部6に紫外光の吸収不能部としての溝部6aを設け、該溝部6aを出射部として、発光部4からの励起発光を取り出すようにした。
【選択図】図1
Description
<発光素子の概略構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る発光素子10の構造を模式的に示す図である。図1(a)は発光素子10の上面図であり、図1(b)は該上面図に記す線分A−Bに沿った断面図である。なお、図1以降の各図における各部の比率は、必ずしも実際のものを反映したものではない。
発光部4は、紫外領域に発光波長を有するIII族窒化物で形成されてなる。ここで、紫外領域に発光波長を有するとは、具体的には発光波長が350nm以下であることを意味する。なお、後述するように、発光部4が深紫外領域である270nm以下の発光波長を有するIII族窒化物で形成される場合に、本実施の形態に係る発明の効果がより十分に発揮されることになる。具体的には、AlxGa1-xN(0.4≦x≦1.0)なるIII族窒化物で発光部4を形成する場合に、係る発光波長を有することになる。
第1クラッド部3と、第2クラッド部5とは、上述のように発光部4を挟みこむように、第1クラッド部3については発光部4の下側に、第2クラッド部5については発光部4の上側に、それぞれ隣接形成されてなる。第1クラッド部3と、第2クラッド部5とは、いわゆるクラッド層として機能する。従って、第1クラッド部3と第2クラッド部5とはいずれも、発光部4を構成するIII族窒化物よりも、バンドギャップが大きなIII族窒化物で形成されてなる。
第1コンタクト部2と第2コンタクト部6とは、上述のように、第1クラッド部3と発光部4と第2クラッド部5とを挟みこむように、第1コンタクト部2については第1クラッド部3の下側に、第2コンタクト部6については第2クラッド部5の上側に、それぞれ隣接形成されてなる。
次に、本実施の形態に係る発光素子10の作製方法の一例を示す。ここでは、発光部4をいずれもAlxGa1-xN(0.4≦x≦1.0)なる発光層4aとバリア層4bとが繰り返し積層された多重量子井戸層として形成し、第1クラッド部3をAly1Ga1-y1N(x<y1≦1.0)で形成し、第2クラッド部5をAly2Ga1-y2N(x<y2≦1.0)で形成し、第1コンタクト部2をAlz1Ga1-z1N(0≦z1<y2)で形成し、第2コンタクト部6をAlz2Ga1-z2N(0≦z2<y2)で形成する場合について説明する。なお、以下に示す作製方法はあくまで例示であって、必ずしもこれに限られるわけではない。
(1)第1コンタクト部2となる層を、Si原子濃度が5×1018/cm3程度となるようにSiをドーピングしつつ、数μm程度の厚みに形成する;
(2)第1クラッド部3となる層を、Si原子濃度が5×1018/cm3程度となるようにSiをドーピングしつつ、数十nm程度の厚みに形成する;
(3)発光部4として、発光層4aと発光層4aよりもわずかにAlリッチなバリア層4bとを、それぞれ数nm程度の厚みで数周期〜数十周期繰り返し積層して多重量子井戸層を形成する;
(4)第2クラッド部5となる層を、Mg原子濃度が1×1020/cm3程度となるようにMgをドーピングしつつ、数十nm程度の厚みに形成する;
(5)第2コンタクト部6となる層を、Mg原子濃度が1×1020/cm3程度となるようにMgをドーピングしつつ、数十nm程度の厚みに形成する。
第1の実施の形態においては、第2コンタクト部6に紫外光が実質的に吸収されない溝部6aを設け、これを出射部とするようにしているが、出射部を設ける態様はこれに限定されるものではない。
発光部における紫外発光を素子外部に取り出すための出射部が備わる態様であれば、発光素子の構成は必ずしも上述の実施の形態で示すものには限定されない。上述の実施の形態とは異なる構造を有する発光素子について説明する。
本実施の形態においても、発光部における紫外発光を素子外部に取り出すための出射部を備える、さらに異なる構造を有する発光素子について説明する。
上述の実施の形態においては、いずれも、溝部を設けることで紫外光の出射部を確保するようにしているが、必ずしも溝部を形成せずとも、第1コンタクト部2または第2コンタクト部6の少なくとも一方において紫外光が実質的に吸収されない吸収不能部が備わっていればよい。例えば、発光素子10における溝部6aの領域に、第2クラッド部5を形成するIII族窒化物と同程度に紫外光を透過させるIII族窒化物からなる部位が存在していてもよい。同様に、発光素子20における溝部2bの領域に、第1クラッド部3を形成するIII族窒化物と同程度に紫外光を透過させるIII族窒化物からなる部位が存在していてもよい。
本実施例では、図1に示すような、第1の実施の形態に係る発光素子10を作製し、その特性を評価した。
(1)Si原子濃度が5×1018/cm3程度となるようにSiをドーピングしつつ、GaNからなる層を1μmの厚みに成長させることによって、第1コンタクト部2となる層を形成した;
(2)Si原子濃度が5×1018/cm3程度となるようにSiをドーピングしつつ、Al0.68Ga0.32Nからなる層を25nmの厚みに成長させることによって、第1クラッド部3となる層を形成した;
(3)Al0.5Ga0.5Nからなる発光層4aを3nmの厚みに成長させた後、Al0.55Ga0.45Nからなるバリア層4bを5nmの厚みに成長させることを5周期繰り返すことで、発光部4となる多重量子井戸層を形成した;
(4)Mg原子濃度が1×1020/cm3程度となるようにMgをドーピングしつつ、Al0.68Ga0.32Nからなる層を25nmの厚みに成長させることで、第2クラッド部5となる層を形成した;
(5)Mg原子濃度が1×1020/cm3程度となるようにMgをドーピングしつつ、GaNからなる層を50nmの厚みに成長させることによって、第2コンタクト部6となる層を形成した。
溝部6aを設けなかった他は、実施例1と同様の手順で素子を作製し、アノード電極部8とカソード電極部7の間に正バイアスを加えたが、紫外線の発光を確認することはできなかった。
本比較例では、実施例1に係る発光素子の第1コンタクト部2と第1クラッド部3とに代えて、Si原子濃度が5×1018/cm3程度となるようにSiをドーピングしつつ、Al0.68Ga0.32Nからなる層を1μmの厚みで形成するとともに、係る層の一部を露出させ、その露出部分にカソード電極部7を形成したほかは、実施例1と同様に発光素子を作製した。
第2コンタクト部となる層を、GaNに代えて、GaNよりもバンドギャップが大きなAl0.4Ga0.6Nで形成したほかは、比較例2と同様の手順で発光素子を作製した。これは、比較例2よりも第2コンタクト部における紫外光の吸収能を弱めることを意図した構成である。
溝部6aの配置態様を図2のようなストライプ状とした他は、実施例1と同様の手順で発光素子を作製し、その特性を評価した。
本実施例では、図3に示すような、第2の実施の形態に係る発光素子20を作製し、その特性を評価した。
本実施例では、図4に示すような、第3の実施の形態に係る発光素子30を作製し、その特性を評価した。
本実施例では、図5に示すような、第4の実施の形態に係る発光素子40を作製し、その特性を評価した。
2 第1コンタクト部
10、20、30、40 発光素子
2a、6a、6b 溝部
3 第1クラッド部
4 発光部
4a 発光層
4b バリア層
5 第2クラッド部
6 第2コンタクト部
7 カソード電極部(カソード電極パッド)
8 アノード電極部
8a アノード電極層
8b アノード電極パッド
9 分布ブラッグ反射部
41 第1導電部
42 第2導電部
Claims (17)
- ダイオード構造型の発光素子であって、
紫外領域に発光波長を有するIII族窒化物で形成された発光部と、
前記発光部に隣接する第1の導電部と、
前記第1の導電部と異なる導電型を有し、前記発光部を介して前記第1の導電部と対向するように前記発光部に隣接する第2の導電部と、
前記第1の導電部に隣接する第1の金属電極と、
前記第2の導電部に隣接する第2の金属電極と、
を備え、
前記第1と第2の導電部はIII族窒化物からなり、少なくとも一方が溝部を有するように形成されており、前記溝部が前記発光部において発光された紫外光の出射部となる、
ことを特徴とする発光素子。 - ダイオード構造型の発光素子であって、
紫外領域に発光波長を有するIII族窒化物で形成された発光部と、
前記発光部に隣接する第1の導電部と、
前記第1の導電部と異なる導電型を有し、前記発光部を介して前記第1の導電部と対向するように前記発光部に隣接する第2の導電部と、
前記第1の導電部に隣接する第1の金属電極と、
前記第2の導電部に隣接する第2の金属電極と、
を備え、
前記第1と第2の導電部はIII族窒化物からなり、少なくとも一方が前記発光部において発光された紫外光に対する吸収能を実質的に有さない吸収不能部を有するように形成されてなり、前記吸収不能部が前記発光部において発光された紫外光の出射部となる、
ことを特徴とする発光素子。 - ダイオード構造型の発光素子であって、
紫外領域に発光波長を有するIII族窒化物で形成された発光部と、
前記発光部に隣接する第1の導電部と、
前記第1の導電部と異なる導電型を有し、前記発光部を介して前記第1の導電部と対向するように前記発光部に隣接する第2の導電部と、
前記第1の導電部に隣接する第1の金属電極と、
前記第2の導電部に隣接する第2の金属電極と、
を備え、
前記第1と第2の導電部はIII族窒化物からなり、少なくとも一方が前記第1または第2のクラッド部の一部を実質的に露出させる露出部を有するように形成されてなり、前記露出部が前記発光部において発光された紫外光の出射部となる、
ことを特徴とする発光素子。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発光素子であって、
前記発光層が第1のIII族窒化物からなり、
前記第1の導電部が、
前記第1のIII族窒化物よりもバンドギャップが大きい第2のIII族窒化物からなり、前記発光部に隣接する第1のクラッド部と、
前記第2のIII族窒化物よりもバンドギャップが小さい第3のIII族窒化物からなり、前記第1のクラッド部に隣接する第1のコンタクト部と、
からなり、
前記第2の導電部が、
前記第1のIII族窒化物よりもバンドギャップが小さい第4のIII族窒化物からなり、前記発光部を介して前記第1のクラッド部と対向するように前記発光部に隣接する第2のクラッド部と、
前記第4のIII族窒化物よりもバンドギャップが小さい第5のIII族窒化物からなり、前記第2のクラッド部に隣接する第2のコンタクト部と、
からなり、
前記第1の金属電極が前記第1のコンタクト部に隣接し、
前記第2の金属電極が前記第2のコンタクト部に隣接する、
ことを特徴とする発光素子。 - 請求項4に記載の発光素子であって、
所定の基板の上に、前記第1のコンタクト部と、前記第1のクラッド部と、前記発光部と、前記第2のクラッド部と、前記第2のコンタクト部とがこの順に積層形成された積層構造を有してなり、
前記第2のコンタクト部に前記出射部としての上側出射部を有してなる、
ことを特徴とする発光素子。 - 請求項5に記載の発光素子であって、
前記第2のコンタクト部が、前記第5のIII族窒化物からなる層をいったん形成した後、前記上側出射部となる部分の前記第5のIII族窒化物を除去することによって形成されてなる、
ことを特徴とする発光素子。 - 請求項5または請求項6に記載の発光素子であって、
前記第1のコンタクトと前記第1のクラッド部との間に、所定のIII族窒化物からなる層を複数積層した分布ブラッグ反射部がさらに設けられてなる、
ことを特徴とする発光素子。 - 請求項4に記載の発光素子であって、
所定の基板の上に、前記第1のコンタクト部と、前記第1のクラッド部と、前記発光部と、前記第2のクラッド部と、前記第2のコンタクト部とがこの順に積層形成された積層構造を有してなり、
前記第1のコンタクト部に前記出射部としての下側出射部を有してなり、
前記基板が、前記第1のコンタクト部が有する前記下側出射部を露出させる構造を有する、
ことを特徴とする発光素子。 - 請求項8に記載の発光素子であって、
前記第1のコンタクト部が、前記第3のIII族窒化物からなる層をいったん形成した後、前記下側出射部となる部分の前記第3のIII族窒化物を前記基板の対応箇所ともども除去することによって形成されてなる、
ことを特徴とする発光素子。 - 請求項8または請求項9に記載の発光素子であって、
前記第2のコンタクトと前記第2のクラッド部との間に、所定のIII族窒化物からなる層を複数積層した分布ブラッグ反射部がさらに設けられてなる、
ことを特徴とする発光素子。 - 請求項4ないし請求項10のいずれかに記載の発光素子であって、
前記発光部がAlxGa1-xN(0.4≦x≦1.0)からなり、
前記第1のクラッド部がAly1Ga1-y1N(x<y1≦1.0)からなるとともにN型の導電型を有し、
前記第1のコンタクト部がAlz1Ga1-z1N(0≦z1<y1)からなるとともにN型の導電型を有し、
前記第2のクラッド部がAly2Ga1-y2N(x<y2≦1.0)からなるとともにP型の導電型を有し、
前記第2のコンタクト部がAlz2Ga1-z2N(0≦z2<y2)からなるとともにP型の導電型を有する、
ことを特徴とする発光素子。 - 請求項11に記載の発光素子であって、
前記第2のコンタクト部が、少なくとも前記第2の金属電極との接合部近傍においては、Alz2Ga1-z2N(0≦z2≦0.3)からなる、
ことを特徴とする発光素子。 - 請求項12に記載の発光素子であって、
前記第2のコンタクト部が、少なくとも前記第2の金属電極との接合部近傍においては、GaNからなる、
ことを特徴とする発光素子。 - 請求項11ないし請求項13のいずれかに記載の発光素子であって、
前記第1のコンタクト部が、少なくとも前記第1の金属電極との接合部近傍においては、Alz1Ga1-z1N(0≦z1≦0.65)からなり、
前記第1のクラッド部がAly1Ga1-y1N(x<y1≦1.0かつz1<y1≦1.0)からなる、
ことを特徴とする発光素子。 - 請求項14に記載の発光素子であって、
前記第1のコンタクト部が、少なくとも前記第1の金属電極との接合部近傍においては、GaNからなる、
ことを特徴とする発光素子。 - 請求項11ないし請求項15のいずれかに記載の発光素子であって、
前記第1のクラッド部が、少なくとも前記発光部との接合部近傍においては、Aly1Ga1-y1N(x<y1≦1.0かつ0.6≦y1≦1.0)からなり、
前記第2のクラッド部が、少なくとも前記発光部との接合部近傍においては、Aly2Ga1-y2N(x<y2≦1.0かつ0.6≦y2≦1.0)からなる、
ことを特徴とする発光素子。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発光素子であって、
前記第1と第2の導電部の少なくとも一方の、前記発光層との隣接部を含む領域が、前記発光層を形成するIII族窒化物よりもバンドギャップが小さいIII族窒化物からなる、
ことを特徴とする発光素子。
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