JP2008171775A - 水素透過構造体およびそれを用いた燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化物プロトン導電性膜を電解質として含み、燃料電池に用いられる水素透過構造体であって、燃料電池に用いた場合高い電池出力を達成できるとともに、二酸化炭素による劣化を生じない水素透過構造体及び、この水素透過構造体を用いた燃料電池を提供する。
【解決手段】水素透過性能を有する金属基材及びその上に形成された複層の酸化物プロトン導電性膜からなる水素透過構造体であって、前記酸化物プロトン導電性膜は、化学式A(Zr1−x)O(式中、Aは、アルカリ土類金属を表わし、Mは、Nd、Y、In、Yb、Sc、Gd、Sm又はPrを表わし、かつ0.1≦x<0.8である。)で表わされるプロトン導電性酸化物からなり、その厚さが0.01〜2μmである最上層と、実質的にZrを含有しない他の層からなることを特徴とする水素透過構造体及び、この水素透過構造体を用いた燃料電池。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素透過構造体及びそれを用いた燃料電池に関する。より具体的には、水素透過性能を有する金属基材と酸化物プロトン導電性膜からなる水素透過構造体、及びその水素透過構造体を用いた燃料電池に関するものである。
水素透過性能を有する金属基材上に電解質膜を形成した水素透過構造体は、燃料電池等として用いられている。例えば、SOLID STATE IONICS、162−163(2003)、291−296頁(非特許文献1)や米国特許公報2002/0031695A1(特許文献1)には、水素透過性能を有する金属基材としてPd基材を用い、電解質膜として金属や酸素を含んだ化合物からなる酸化物プロトン導電性膜を用いた水素透過構造体が記載されている。
電解質膜としてはナフィオン系等のプロトン伝導性ポリマーも知られており燃料電池等に用いられているが、酸化物プロトン導電性膜は耐熱性がはるかに高く、これを用いることにより燃料電池の作動温度を500〜600℃程度の高温にすることが可能であり、原料ガスを熱分解した高温ガスをそのまま用いることができる。
従来、このような酸化物プロトン導電性膜としては、BaCeYO膜やSrCeYbO膜等の酸化物であってペロブスカイト型の結晶構造を有する固体電解質が用いられていた(SOLID STATE IONICS、61(1993)83−91頁、非特許文献2)。このような酸化物はプロトンの導電率が高いので、これらを電解質として用いることにより電池としての高い出力が得られる。
米国特許公報2002/0031695A1 SOLID STATE IONICS、162−163(2003)、291−296頁 SOLID STATE IONICS、61(1993)83−91頁
しかし、BaCeYOあるいはSrCeYbO酸化物は、二酸化炭素と反応し反応分解しやすい。従って、この酸化物を用いた燃料電池は空気中の二酸化炭素により劣化しやすく、短時間の使用で電池出力が低下し実用に供し得ないとの問題があった。
本発明は、燃料電池に用いることができる水素透過構造体であって、酸化物プロトン導電性膜を電解質として含み、燃料電池に用いた場合高い電池出力を達成できるとともに、二酸化炭素による劣化(経時的な出力低下)を生じない水素透過構造体を提供することを課題とする。本発明はさらに、この水素透過構造体を用いた燃料電池であって、高い電池出力が得られ、経時的な出力低下のない燃料電池を提供することを課題とする。
本発明者は、水素透過性能を有する金属基材及び酸化物プロトン導電性膜からなる水素透過構造体において、酸化物プロトン導電性膜を2以上の層からなるものとし、かつその最上層を、Zrを含有する特定の組成のプロトン導電性酸化物から構成し、さらに特定範囲の厚みとすることにより、酸化物プロトン導電性膜の二酸化炭素による劣化を防ぐことができるとともに、燃料電池としても高い出力が得られることを見出し、本発明を完成した。
Zrを含有する酸化物は二酸化炭素と反応しにくいと考えられていたが、その一方、Zrを含有する酸化物はプロトンの導電率が悪く、それを用いた燃料電池は高出力化できないと考えられていた。しかし、本発明者は、鋭意検討の結果、酸化物プロトン導電性膜の最上層のみをZrを含有する酸化物から構成し、かつ最上層の厚みの範囲を限定するとともに、Zrを含有する酸化物を特定の組成からなるものとすることにより、二酸化炭素による劣化を防ぐとともに、高出力を達成できることを見出したのである。
本発明者は、請求項1において、水素透過性能を有する金属基材及びその上に形成された複層の酸化物プロトン導電性膜からなる水素透過構造体であって、前記酸化物プロトン導電性膜は、化学式A(Zr1−x)O(式中、Aは、アルカリ土類金属を表わし、Mは、Nd、Y、In、Yb、Sc、Gd、Sm又はPrを表わし、かつ0.1≦x<0.8である。)で表わされるプロトン導電性酸化物からなり、その厚さが0.01〜2μmである最上層と、実質的にZrを含有しない他の層からなることを特徴とする水素透過構造体を提供する。
本発明の水素透過構造体を構成する酸化物プロトン導電性膜は、金属及び酸素を含有する化合物からなる固体電解質の膜であって、その中をプロトン(H、陽子)が伝播する性質を有するものである。本発明では、該酸化物プロトン導電性膜は、2以上の層(複層)からなることを特徴とする。
最上層とは、水素透過性能を有する金属基材から最も遠い層を言う。本発明の水素透過構造体は、該最上層が、化学式A(Zr1−x)Oで表わされるプロトン導電性酸化物からなることを特徴とするが、この層は、その下の層(金属基材により近い層)の二酸化炭素による劣化を防ぐ作用をする。
最上層の厚さとしては、0.01〜2μmである。厚さが0.01μm未満の場合は、二酸化炭素による劣化を防ぐ効果が充分でなく経時による出力の低下が生じる。一方、厚さが2μmを越える場合は、プロトンの導電率が低下し電池としても充分な出力が得られない。好ましくは、0.5〜1.5μmである。
最上層を形成するZrを含有する酸化物としては、化学式A(Zr1−x)O(式中、Aは、アルカリ土類金属を表わし、Mは、Nd、Y、In、Yb、Sc、Gd、Sm又はPrを表わし、かつ0.1≦x<0.8である。より好ましくは0.1≦x≦0.3である。)で表わされる酸化物が、好ましく例示される。xが0.1未満では充分なプロトン伝導が得られず、一方xが0.8以上では、耐水性が落ちる、結晶の維持が困難になる等の問題を生じやすくなる。Aで表されるアルカリ土類金属としては、Ba、Ca及びSrが例示され、中でもBa、Srが好ましく例示される。
酸化物プロトン導電性膜を構成する最上層以外の層は、実質的にZrを含有しない。Zrを含有すると、プロトン導電性が低下し高い電池出力を得られなくなる。なお、「実質的に含有しない」とは前記の問題が生じるようには含有しないとの意味であって、プロトン導電性の低下等が問題とならない少量のZrであれば含有してもよい。
又、酸化物プロトン導電性膜を構成する層の中で前記金属基材に接する層を形成する酸化物としては、化学式A(Ce1−y)O(式中、A及びMは前記と同じであり、かつ0.1≦y<0.8である。)で表わされる酸化物が好ましく例示される(請求項2)。
酸化物プロトン導電性膜を形成する酸化物、すなわち最上層やその他の層を構成するプロトン導電性の酸化物としては、結晶性の酸化物やアモルファスの構造の酸化物等を用いることができる。プロトン導電性の酸化物が、化学式A(Zr1−x)OやA(Ce1−y)Oで表わされる酸化物の場合は、ペロブスカイト構造を有する酸化物が、プロトン導電性がより高く好ましく用いられる(請求項3)。
酸化物プロトン導電性膜は、2層以上の層から形成されるが、中でも、化学式A(Zr1−x)Oで表わされる酸化物からなる最上層と、金属基材に接し化学式A(Ce1−y)Oで表わされる酸化物からなる層、の2層からなるものが、特に優れたプロトン導電性が得られるので好ましい(請求項4)。
最上層以外の酸化物プロトン導電性膜の厚さは、通常0.1〜20μm程度であり、好ましくは0.1〜5μm程度である。厚さが0.1μm未満では、水素がイオン化(プロトン化)することなく透過しやすくなり、一方20μmを越えると、たとえ最上層が0.01μm程度の薄い場合であっても、プロトンの透過性能が低下し、電池に用いた場合の出力が低下する。
本発明の水素透過構造体を構成する水素透過性能を有する金属基材としては、水素透過性能を有する金属の膜(水素透過性金属膜)からなるもの、又、金属多孔体基材の表面に水素透過性能を有する金属の膜を設けたものが挙げられる。請求項5は、該金属基材が水素透過性金属膜からなる態様に該当し、請求項6は、該金属基材として金属多孔体基材の表面に水素透過性能を有する金属の膜を設けたものを用いた態様に該当する。
ここで、水素透過性金属膜としては、Pdの膜やPd−Ag、Pd−PtやPd−Cu等のPd合金の膜、すなわちPdを含んだ金属膜が挙げられる。さらに、V、Ta若しくはNbの膜の両面に、PdやPd合金を被覆したもの、又はV、Ta若しくはNbの合金の膜に、PdやPd合金を被覆したもの、すなわちV、Nb及びTaから選ばれるいずれかを含んだ金属膜の両面にPdを含んだ膜を成膜したものも用いることができる。
請求項7は、この態様に該当する。V、Ta若しくはNbの合金としては、Ni、Ti、Co、Cr等との合金が例示される。
水素透過性金属膜の厚さは、通常、10〜500μm程度が好ましい。10μm未満の場合は、強度不足により破壊する恐れがある。一方、500μmを越える場合は、水素透過量が少なくなり、基材を透過する水素量が律速して充分なプロトン導電が得られない恐れがある。
PdやPd合金の膜をV等の膜の両面に被覆したものを用いる場合、PdやPd合金の膜の厚さは0.05〜2μm程度が通常好ましい。0.05μm以下ではV等下地を充分被覆できず、V等が酸化して劣化する恐れがある。2μmを超えると高価なPd使用量が増えコストアップする問題がある。
前記のように、金属基材としては、水素透過性金属膜のみからなるものの他、金属多孔体基材の表面に水素透過性金属膜を設けたものも用いられる。ここで、金属多孔体基材とは、導電性の金属であって水素の透過が可能な孔を有するものであり、SUS等からなる多孔体基材が例示される。
金属多孔体基材の表面に水素透過性金属膜を設ける方法としては、金属多孔体基材の表面上に、水素透過性金属膜を構成する金属を、スパッタ法、電子ビーム蒸着法、レーザーアブレーション法により積層する方法が挙げられる。メッキ法等ウェットプロセスによる方法も採用可能である。
本発明の水素透過構造体は、前記の金属基材上に、酸化物プロトン導電性膜の各層を順次形成(成膜)する方法により得ることができる。各層を順次形成する方法としては、スパッタ法、電子ビーム蒸着法、レーザーアブレーション法が挙げられ、又ゾルゲル法などウェットプロセスによる方法も採用可能である。
ペロブスカイト構造の酸化物プロトン導電性膜を得るためには、成膜を500℃以上の温度で、酸化性雰囲気で行うことが好ましい。又は、成膜後、500℃以上の温度、酸化性雰囲気での焼成を行うことによりペロブスカイト構造を得ることができる。なお、金属基材の耐熱性を考慮して、成膜温度や焼成温度は、650℃以下が好ましい。
本発明は、さらに、前記本発明の水素透過構造体を用いることを特徴とする燃料電池を提供する(請求項8)。本発明の燃料電池は、前記の水素透過構造体からなることを特徴とするが、通常その酸化物プロトン導電性膜の最上層の上に酸素電極が設けられ、図1に示すような、複層からなる酸化物プロトン導電性膜が、水素透過性能を有する金属基材及び酸素電極に挟まれた構造を有する。酸素電極としては、Pd、Pt、Ni、Ruやそれらの合金からなる薄膜電極や、貴金属や酸化物導電体からなる塗布電極や多孔質電極が好ましく例示される。
薄膜電極は、Pd、Pt、Ni、Ruやそれらの合金を、酸化物プロトン導電性膜の最上層の上に、スパッタ法、電子ビーム蒸着法、レーザーアブレーション法等により成膜して得ることができる。通常厚さは、0.01〜10μm程度、好ましくは0.03〜0.3μm程度である。
塗布電極は、例えばPtペースト、Pdペーストや酸化物導電体ペーストを酸化物プロトン導電性膜の最上層の上に塗布し、焼付けることにより形成することができる。このようにして形成された電極は一般的に多孔質の電極となる。酸化物導電体としては、LaSrCo酸化物、LaSrFe酸化物、SrPrCo酸化物等が挙げられる。塗布厚は通常5〜500μm程度である。
本発明の燃料電池の使用時においては、水素透過構造体の金属基材側に接する水素が、金属基材中を透過して酸化物プロトン導電性膜に達し、そこで電子を放出してプロトンになる。このプロトンは酸化物プロトン導電性膜中を透過して酸素電極側に達し、そこで電子を得るとともに酸素電極側にある酸素と結合して水を生成し、系外に放出される。金属基材側及び酸素電極側での電子の授受により起電力を生じ電池して機能する。
本発明の水素透過構造体は、燃料電池に用いた場合高い電池出力を達成できるとともに、二酸化炭素による劣化がされにくいものである。従って、本発明の燃料電池は、高い電池出力を生じるものであるとともに、二酸化炭素を含む空気中で使用しても経時的な出力低下を生じないとの優れた性質を有するものである。
次の本発明を実施するための形態を、実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこの実施例により限定されるものではない。
1.水素透過構造体の作成
15mm角、厚さ0.1mmのPd板基材(水素透過性能を有する金属基材)を、レーザー透過用の合成石英ガラス窓を備えた真空チャンバー内部のホルダーにセットし、ホルダー部の温度を650℃に加熱した。酸素を、マスフローメータを通して導入し、酸素分圧1×10−2Torrにチャンバー内圧力を調整した。
その状態で、先ずBaCe0.80.2の焼結体(20mmφ、厚さ5mm)に、レーザー照射用窓を通してKrFエキシマレーザー(周波数20Hz)を48分間照射し、レーザーアブレーション法により、前記Pd板基材上に、厚さ0.8μmのBaCe0.80.2の膜を形成した。その後BaCe0.80.2の焼結体を、SrZr0.9Yb0.1の焼結体(20mmφ、厚さ5mm)に代え、同様にレーザー照射用窓を通してKrFエキシマレーザー(周波数20Hz)を12分間照射し、BaCe0.80.2の膜上に、厚さ0.2μmのSrZr0.9Yb0.1の膜を形成し、Pd基材0.1mm厚/BaCe0.80.2成膜層(以下A層とする。)0.8μm厚/SrZr0.9Yb0.1成膜層(以下B層とする。)0.2μm厚の水素透過構造体を得た。
2.電池構造体の作成
このようにして得られたB層上(酸化物プロトン導電性膜上)に、ステンレスマスクを通して、2mm角サイズのPd薄膜を、0.1μmの厚さに電子ビーム蒸着で設け、Pd基材/A層/B層/Pd薄膜(酸化電極)の順で積層されたサンドイッチ構造を有する電池構造体を得た。実施例1及び後述の実施例2〜6で得られた電池構造体の概略断面図を図1に示す。
SrZr0.9Yb0.1の代りにCaZr0.9In0.1を用いた以外は実施例1と同様にして、水素透過構造体及び電池構造体を得た。
SrZr0.9Yb0.1の代りにBaZr0.90.1を用いた以外は実施例1と同様にして、水素透過構造体及び電池構造体を得た。
BaCe0.80.2の代りにSrCe0.9Yb0.1を用いた以外は実施例1と同様にして、水素透過構造体及び電池構造体を得た。
SrZr0.9Yb0.1の代りにCaZr0.9In0.1を用い、BaCe0.80.2の代りにSrCe0.9Yb0.1を用いた以外は実施例1と同様にして、水素透過構造体及び電池構造体を得た。
SrZr0.9Yb0.1の代りにBaZr0.90.1を用い、BaCe0.80.2の代りにSrCe0.9Yb0.1を用いた以外は実施例1と同様にして、水素透過構造体及び電池構造体を得た。
[構造評価]
実施例1〜6で得られた水素透過構造体のA層、B層(酸化物プロトン導電性膜)について、Cuターゲットを用い、薄膜XRD測定を入射角0.5°で実施したところ、A層、B層共に結晶構造がペロブスカイト構造であることが明らかとなった。
[プロトン導電率評価]
500℃、1気圧の水素中で、実施例1〜6で得られた各電池構造体(燃料電池)について、Pd基材とPd薄膜(酸化電極)との間に1Vの電圧を加え、その際の電流値より抵抗値を求めた。その結果、表1に示す値(500℃H中抵抗値)が得られた。同様の測定を、500℃、1気圧の窒素中でも行った。その抵抗値も表1に示す(500℃N中抵抗値)。
表1から明らかなように、実施例1〜6のいずれについても窒素雰囲気中に比較して、水素雰囲気中では3桁又はそれ以上抵抗値が低減した。この結果からA層、B層からなる薄膜は、プロトンを通すプロトン導電性を有していることが明らかである。
[燃料電池評価]
1.実施例1〜6で得られた電池構造体につき、500℃で、Pd基材側に水素を0.4L/minで流し、Pd薄膜側に二酸化炭素を除去しない大気組成の空気を0.4L/minで流して、0.5Vでの電池出力を測定した。その結果を表1に示す。表1より明らかなように、実施例1〜6のいずれについても大きな電池出力が得られており、燃料電池として良好に機能することが確認された。
さらに、発電開始後3時間経過後の電池出力も測定し、初期の電池出力に対する3時間経過後の電池出力の比率(電池出力維持率)を求めた。その結果も表1に示す。
表1より明らかなように、実施例1〜6のいずれについても、電池出力維持率は95%を越えており、二酸化炭素による劣化が少なく、経時による電池出力の低下が小さいことが確認された。さらに又、3時間経過後の試料について、前記と同様のX線回折で構造評価したところ、炭酸化物の生成は観測されず、この結果からもA層、B層の電解膜が二酸化炭素により劣化されていないことが確認された。
比較例1
BaCe0.80.2の焼結体にKrFエキシマレーザーを48分間照射しその後SrZr0.9Yb0.1の焼結体にKrFエキシマレーザーを12分間照射する代りに、BaCe0.80.2の焼結体(20mmφ、厚さ5mm)に、レーザー照射用窓を通してKrFエキシマレーザー(周波数20Hz)を60分間照射する以外は実施例1と同様にして、Pd基材0.1mm厚/BaCe0.80.2成膜層(酸化物プロトン導電性膜)1.0μm厚の水素透過構造体を得た。
得られた水素透過構造体上に、実施例1と同様にして、厚さ0.1μmのPd薄膜を設け、Pd基材/BaCe0.80.2成膜層/Pd薄膜(酸化電極)の順で積層されたサンドイッチ構造を有する電池構造体を得た。比較例1及び後述の比較例2で得られた電池構造体の概略断面図を図2に示す。
比較例2
BaCe0.80.2の代りにSrCe0.9Yb0.1を用いる以外は比較例1と同様にして、Pd基材0.1mm厚/SrCe0.9Yb0.1成膜層(酸化物プロトン導電性膜)1.0μm厚の水素透過構造体及び電池構造体を得た。
比較例3
BaCe0.80.2の焼結体にKrFエキシマレーザーを48分間照射しその後SrZr0.9Yb0.1の焼結体にKrFエキシマレーザーを12分間照射する代りに、CaZr0.9In0.1の焼結体(20mmφ、厚さ5mm)に、レーザー照射用窓を通してKrFエキシマレーザー(周波数20Hz)を60分間照射する以外は実施例1と同様にして、Pd基材0.1mm厚/CaZr0.9In0.1成膜層(酸化物プロトン導電性膜)1.0μm厚の水素透過構造体を得た。
比較例4
BaCe0.80.2の焼結体にKrFエキシマレーザーを48分間照射しその後SrZr0.9Yb0.1の焼結体にKrFエキシマレーザーを12分間照射する代りに、CaZrOの焼結体(20mmφ、厚さ5mm)に、レーザー照射用窓を通してKrFエキシマレーザー(周波数20Hz)を60分間照射する以外は実施例1と同様にして、Pd基材0.1mm厚/CaZrO成膜層(酸化物プロトン導電性膜)1.0μm厚の水素透過構造体を得た。
比較例1、2、3、4で得られた水素透過構造体について、実施例1〜6と同様にして[構造評価]を行った。その結果比較例1、2、3、4とも、酸化物プロトン導電性膜は、結晶構造がペロブスカイト構造であることが明らかとなった。
さらに、比較例1、2、3、4で得られた水素透過構造体及び電池構造体について、実施例1〜6と同様にして、[プロトン導電率評価]及び[燃料電池評価]を行った。その結果を表1に示す。
表1から明らかなように、比較例1、2のいずれも窒素雰囲気中に比較して、水素雰囲気中では3桁又はそれ以上抵抗値が低減しており、酸化物プロトン導電性膜は、プロトンを通すプロトン導電性を有していることが明らかである。又、比較例1、2のいずれについても大きな電池出力が得られており、燃料電池として良好に機能することが確認された。
しかし電池出力維持率は、比較例1で65%、比較例2で75%であり、実施例1〜6(酸化物プロトン導電性膜が2層構造である試料)に比べ経時による劣化が顕著であった。さらに発電開始後3時間経過後の試料を、実施例1〜6と同様のX線回折で構造評価したところ、比較例1ではBaCOが、比較例2ではSrCOの存在が確認され、酸化物プロトン導電性膜の酸化物が二酸化炭素と反応していることが確認された。
また、酸化物プロトン導電性膜が、全てZrを含有する層(CaZr0.9In0.1)からなる比較例3では、プロトン導電性は得られているが、電池出力は小さく実用に値しないことが確認された。さらに、酸化物プロトン導電性膜が、全て、Zrを含有しかつ前記Mで表される元素を含有していない層(CaZrO)からなる比較例4では、プロトン導電性が得られていない。
Figure 2008171775

実施例で得られた電池構造体の概略断面図である。 比較例で得られた電池構造体の概略断面図である。

Claims (8)

  1. 水素透過性能を有する金属基材及びその上に形成された複層の酸化物プロトン導電性膜からなる水素透過構造体であって、
    前記酸化物プロトン導電性膜は、
    化学式A(Zr1−x)O(式中、Aは、アルカリ土類金属を表わし、Mは、Nd、Y、In、Yb、Sc、Gd、Sm又はPrを表わし、かつ0.1≦x<0.8である。)で表わされるプロトン導電性酸化物からなり、その厚さが0.01〜2μmである最上層と、
    実質的にZrを含有しない他の層からなることを特徴とする水素透過構造体。
  2. 前記酸化物プロトン導電性膜の前記金属基材に接する層は、化学式A(Ce1−y)O(式中、A及びMは前記と同じであり、かつ0.1≦y<0.8である。)で表わされるプロトン導電性酸化物からなることを特徴とする請求項1に記載の水素透過構造体。
  3. 前記化学式A(Zr1−x)Oで表わされるプロトン導電性酸化物からなる層、及び/又は、化学式A(Ce1−y)Oで表わされるプロトン導電性酸化物からなる層が、ペロブスカイト構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水素透過構造体。
  4. 前記酸化物プロトン導電性膜が、前記化学式A(Zr1−x)Oで表わされるプロトン導電性酸化物からなる最上層、及び前記化学式A(Ce1−y)Oで表わされるプロトン導電性酸化物からなる層、の2層からなることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の水素透過構造体。
  5. 前記水素透過性能を有する金属基材が、水素透過性金属膜であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の水素透過構造体。
  6. 前記水素透過性能を有する金属基材が、金属多孔体基材の表面に水素透過性金属膜を設けたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の水素透過構造体。
  7. 前記水素透過性金属膜が、Pdを含んだ金属膜、又はV、Nb及びTaから選ばれるいずれかを含んだ金属膜の両面にPdを含んだ膜を成膜したものであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の水素透過構造体。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の水素透過構造体を用いることを特徴とする燃料電池。
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