JP2008018314A - 水素透過構造体、水素デバイス、及び燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】水素透過性基材とプロトン伝導性膜との界面における水の発生を低下し、水素透過性基材とプロトン伝導性膜の界面剥離を抑制した水素透過構造体を提供するとともに、この水素透過構造体を用い、安定してその性能を持続させることができる水素デバイスおよび燃料電池を提供する。
【解決手段】水素透過性基材とプロトン伝導性膜とからなる水素透過構造体であって、該プロトン伝導性膜が酸素欠損型ペロブスカイト構造酸化物で構成され、該酸素欠損型ペロブスカイト構造酸化物が、c軸配向した斜方晶を形成していることを特徴とする水素透過構造体、並びに、この水素透過構造体を用いることを特徴とする水素デバイス及び燃料電池。
【選択図】 なし
【解決手段】水素透過性基材とプロトン伝導性膜とからなる水素透過構造体であって、該プロトン伝導性膜が酸素欠損型ペロブスカイト構造酸化物で構成され、該酸素欠損型ペロブスカイト構造酸化物が、c軸配向した斜方晶を形成していることを特徴とする水素透過構造体、並びに、この水素透過構造体を用いることを特徴とする水素デバイス及び燃料電池。
【選択図】 なし
Description
本発明は、水素透過性能を有する基材(以下、「水素透過性基材」と言う。)とプロトン伝導性の固体電解質膜(以下、「プロトン伝導性膜」と言う。)からなる水素透過構造体に関し、さらにこの水素透過構造体を用いた水素デバイス及び燃料電池に関する。
水素透過性基材上にプロトン伝導性膜を形成した水素透過構造体は、水素を、選択的に検出分離する機能や、電気エネルギーを出力する機能を有しており、水素燃料電池(以下、単に「燃料電池」とも言う。)、水素センサ、水素ポンプ、廃棄ガス中のNOXを除去する装置中の部材等、いわゆる水素デバイスとしての広範な用途が考えられている。特に、電気エネルギーを得ることができる燃料電池としての用途が、車用、家庭用、携帯電気器具用等に脚光を浴びている。
このような水素透過構造体は、例えば、SOLID STATE IONICS、162−163(2003)、291−296頁(非特許文献1)等に記載されており、この文献中では、水素透過性基材の材料としてパラジウム(Pd)又はPdを含む金属(Pd合金)が、またプロトン伝導性膜の材料としてアルカリ土類金属及びセリウム(Ce)等を含む酸化物が紹介されている。
プロトン伝導性膜を形成する酸化物の中でも、一般式ALO3(式中、Aはアルカリ土類金属を表し、Lは、セリウム、チタン、ジルコニウム等の4価元素である。)で表される基本組成を有し、ペロブスカイト型結晶構造を持つ複合酸化物(以下、「ペロブスカイト構造酸化物」と言う。)は、耐熱性に優れる等の優れた特性を有するので、種々の材料が開発されている。特に、4価元素Lの一部を3価元素Mで置換した組成のペロブスカイト構造酸化物は、優れたプロトン伝導性を有するものとして種々提案されている。
燃料電池においては、水素透過構造体の水素透過性基材側に接する水素が、この水素透過性基材中を透過してプロトン伝導性膜に達し、そこで電子を放出してプロトンになる。このプロトンは、プロトン伝導性膜中を透過して酸素電極側に達し、そこで電子を得るとともに酸素電極側にある酸素と結合して水を生成し系外に放出される。水素透過性基材側及び酸素電極側での電子の授受により起電力を生じ、電池として機能する。
しかし、プロトン伝導性膜としてペロブスカイト構造酸化物膜を用いた場合、このプロトン伝導性膜は、プロトン伝導性とともに酸化物イオン伝導性も有している。そこで、酸素電極側に供給された空気等により生じた酸化物イオンが、プロトン伝導性膜中を伝導し、水素透過性基材とプロトン伝導性膜との界面において水素透過性基材を透過してきた水素と反応し水を生成する場合がある。
この生成した水は、界面にある空孔に溜まり、水素透過性基材とプロトン伝導性膜の界面剥離を助長する。さらに、該界面周辺の変質も助長する。結果として、電気エネルギーの出力が低下し、安定した運転を得ることができない。この問題と同様な問題は、燃料電池のみならず、同じ基本構造の水素透過構造体を用いた水素デバイスでも生じる。
このような、界面での剥離を抑制する手段の一例として、水素透過性基材とプロトン伝導性膜との界面に、酸化防止層を島状に設けることが、特開2005−327586号公報(特許文献1)に開示されている。
SOLID STATE IONICS、162−163(2003) 特開2005−327586号公報
SOLID STATE IONICS、162−163(2003)
しかし、特許文献1に記載の手段によっても、界面における空孔を皆無にすることは困難であり、界面において発生する水による界面の剥離を十分に防ぐことができない。
本発明は、水素透過性基材とプロトン伝導性膜の界面における水の発生を抑制し、水素透過性基材とプロトン伝導性膜の界面剥離を減少させた水素透過構造体を提供することを課題とする。
本発明はさらに、この水素透過構造体を用い、安定してその性能を持続させることができる水素デバイス及び燃料電池を提供する。
本発明者は、鋭意検討の結果、プロトン伝導性膜を、酸素欠損型ペロブスカイト構造酸化物で構成し、該酸化物の結晶方位を揃えることにより、プロトン伝導性膜のプロトン伝導度を上げる(プロトン透過抵抗を低下)ことができ、その結果、水素透過性基材と電解質との間の界面抵抗が小さくなって、水素透過性基材とプロトン伝導性膜との界面での剥離を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、その請求項1として、水素透過性基材及びプロトン伝導性膜からなる水素透過構造体であって、該プロトン伝導性膜が、化学式AL1−XMXO3−α(式中、Aは、アルカリ土類金属を表し、Lは、セリウム、チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる1種以上の元素を表し、Mは、ネオジム,ガリウム、アルミニウム、イットリウム、インジウム、イッテルビウム、スカンジウム、ガドリウム、サマリウム及びプラセオジムから選ばれる1種以上の元素を表し、Xは、0.05〜0.35であり、αは、0.15〜1.00である。)で表される酸素欠損型ペロブスカイト構造酸化物で構成され、該酸素欠損型ペロブスカイト構造酸化物が、c軸配向した斜方晶を形成していることを特徴とする水素透過構造体、を提供する。
前記化学式AL1−XMXO3−αにおいて、Aはアルカリ土類金属を表すが、中でも、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、及びバリウム(Ba)から選ばれる1種又は2種以上が好ましく選択される。Lは、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)及びハフニウム(Hf)から選ばれる1種又は2種以上の4価元素を表す。
Mは3価元素であり、4価元素Lの一部をMで置換することによりプロトン伝導性を発現する。Mとしては、ネオジム(Nd),ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、インジウム(In)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、ガドリウム(Gd)、サマリウム(Sm)、及びプラセオジム(Pr)が好ましく例示され、A、Bの元素の種類に基づき、1種以上の元素が適宜選択される。式中のA、L及びMとして、前記の元素、中でも好ましいものとして例示されたものの中から適宜選択することにより、高いプロトン伝導性と電子絶縁性を両立させることができる。
Xは、Lに対するMの置換比率を表し、0.05〜0.35である。Xが0.05未満の場合、高いプロトン伝導性を得ることができない。Xが0.35を越える場合は、ペロブスカイト構造が不安定になり、水に対する安定性が低下する。
又、αは、ペロブスカイト構造酸化物における酸素欠損の程度を示す指数であり、0.15〜1.00の範囲内である。αが0でないので、このペロブスカイト構造酸化物は、酸素欠損型ペロブスカイト構造酸化物である。αが0.15未満の場合、欠損量が少なく満足のいく伝導性が得られず、αが1.00を越える場合、結晶を保てない。
本発明の水素透過構造体は、プロトン伝導性膜が、前記の酸素欠損型ペロブスカイト構造酸化物より構成され、その酸素欠損型ペロブスカイト構造酸化物の結晶が、c軸配向した斜方晶であることを特徴とする。
ここで、c軸配向した斜方晶とは、斜方晶(Pnma)系に属する結晶(mmm、mm2、222の3晶属のいずれであってもよい。)であって、配向は面配向であり、c軸が水素透過性基材の表面に垂直となるものである。そしてこの結晶が柱状に(結晶方位が揃って)成長しているので、ポテンシャルの高い結晶面が、水素透過性基材の表面に対し垂直になり、その結晶面に配置しているMの3価イオンが規則正しく並び、プロトン伝導性が高くなる。
ミラー指数を(hkl)で表した時の、結晶の(040)格子面と(002)格子面のX線回折のピーク強度比(040)/(002)は、c軸配向の程度を示す。その値が小さいほど、c軸配向していることを示し、逆に大きくなるほど無配向状態に近いことを示す。X線回折のピーク強度比(040)/(002)(以下、単に「ピーク強度比」と表す場合もある。)は0.1未満が好ましく、この場合、プロトン伝導度がより向上し、界面での剥離をより効果的に抑制することができる(請求項2)。より好ましくは、0.08以下である。
0.1以上となると、無配向状態に近づき、水素透過性基材からプロトン伝導性膜へのプロトン透過抵抗が上昇(プロトン伝導性が低下)し、剥離を生じやすくなる。さらに好ましくは、ピーク強度比が0.05以下の場合である。
プロトン伝導性膜の厚さは、0.02μm〜2μmの範囲内が好ましい。厚さが0.02μm未満では、ピンホール等の膜の欠陥が生じやすい。ピンホール等が存在すると水素ガスがプロトン化せずに膜を抜けてしまうので電流が出力されない。2μmより厚くなると、プロトン透過抵抗が大きくなりプロトン伝導性が低下し電流の出力が低下する。
プロトン伝導性膜を形成する方法は、特定の手段に限定されず、イオンプレーティング法、スパッタリング法、パルスレーザーディポジション法(PLD法)、物理蒸着法(PVD法)、化学蒸着法(CVD法)、有機金属化学気相蒸着法(MOCVD法)等の気相法が挙げられ、又、ゾルゲル法、電気泳動法、泳動電着法等の湿式法を用いることもできる。
このプロトン伝導性膜の形成時の条件を調整することにより、結晶の配向の程度等を制御することができ、c軸配向した斜方晶を形成することができる。例えば、後述する実施例に示すPLD法によるプロトン伝導膜の形成においては、真空度によって配向度(ピーク強度比)を制御し、またエキシマレーザーの照射時間によって成膜の厚さを制御することができる。さらに、成膜時間(熱が加わっている時間)が配向度を制御すると考えられ、また基板温度も配向性に影響すると考えられる。具体的には、成膜時の真空度を上げることによりc軸配向度が上がる(ピーク強度比が下がる。)ので、この真空度を調整することにより、所望のc軸配向度を得ることができる。
このようにしてペロブスカイト構造酸化物よりなるプロトン伝導性膜を水素透過性基材の表面上に形成することにより、本発明の水素透過構造体を得ることができる。水素透過性基材としては、水素透過性の金属の薄膜(水素透過性金属箔)が利用できる。
この水素透過性金属箔としては、Pd、バナジウム(V)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)等の箔が挙げられる。中でも、Pdの箔や、Pdを主体として、銀(Ag)、白金(Pt)、銅(Cu)等との合金の箔、すなわちPdを含んだ金属箔が好適である。又、V、Nb又はTaの箔の表面に、PdやPdを主体とする合金を被覆したもの、又はV、Nb又はTaの合金の箔に、PdやPdを主体とする合金を被覆したもの等を用いてもよい。V、Nb又はTaの合金の一例としては、ニッケル(Ni)、Ti、コバルト(Co)、クロム(Cr)等との合金が例示される(請求項3)。
水素透過性基材の厚さは、水素透過性能を上げるためには薄いほど好ましいが、その上に形成するペロブスカイト酸化物膜の構造維持をはかるだけの支持能力が必要であることを考慮すると、20μm以上、1mm未満の範囲内が好ましい。
得られた水素透過構造体は、優れたプロトン伝導性を有し、水素分離及び水素検出の機能や、特に中温域以上の温度でのプロトンイオンの輸送機能等に優れている。又、プロトン伝導性膜と水素透過性基材間の密着性に優れ、界面剥離やそれによる出力の低下の問題が抑制されたものであるので、電極等の機能部材を組み合わせることにより、各種の水素デバイスとして好適に用いられる(請求項4)。水素デバイスとしては、燃料電池、水素センサ、水素ポンプ、廃棄ガス中のNOXを除去する装置等が挙げられるが、中でも、地球環境に優しいクリーンなエネルギー供給源として期待されている燃料電池として好適に用いられる(請求項5)。
燃料電池は、通常、水素透過構造体を構成するプロトン伝導性膜の上に酸素電極(カソード電極。なお、水素透過性基材がアノード電極となる。)が設けられ、プロトン伝導性膜が水素透過性基材及び酸素電極間に挟まれた構造を有している。酸素電極としては、Pd、Pt、Ni、ルテニウム(Ru)やそれらの合金からなる薄膜状の電極、貴金属や酸化物伝導体からなる厚膜状の電極、及び貴金属や酸化物伝導体を含み多孔質状の多孔質電極が好ましく例示される。薄膜状の酸素電極は、Pd、Pt、Ni、Ruやそれらの合金を、プロトン伝導性膜の上に、スパッタ法、電子ビーム蒸着法、レーザーアブレーション法等により成膜して得ることができる。通常その厚みは、0.01〜10μm程度であり、好ましくは0.03〜0.3μm程度である。
厚膜状の酸素電極は、例えば、Ptペースト、Pdペースト、酸化物伝導体ペースト等をプロトン伝導性膜の上に塗布し、焼付けることにより形成することができる。このようにして形成された電極は一般的には多孔質の電極となる。酸化物伝導体としては、例えば、La−Sr−Co系、La−Sr―Fe系及びSr−Pr−Co系の複合酸化物等が挙げられる。塗布される層の厚みは、通常5〜500μm程度である。
従来の燃料電池では、プロトン伝導性膜の酸化物イオン伝導性のために、プロトン伝導性膜と水素透過性基材の界面間で水を生じ、界面剥離等の問題を生じていたが、本発明の燃料電池では、界面間での水の発生や剥離等の問題が抑制されている。
本発明の水素透過構造体は、プロトン伝導性が高く、プロトン透過抵抗が小さいものである。その結果、プロトンと酸素イオンとの反応が水素透過性基材とプロトン伝導性膜との界面で起こる可能性が低下し、界面での水の生成を抑制でき、界面の剥離や界面周辺での材質の変質が小さいものである。
従って、この優れた特徴を有する水素透過構造体を、例えば、水素デバイスの一つである燃料電池に用いた場合、高い電池出力が得られるとともに、その出力の経時による低下が小さく、安定してその性能を持続させることができる。この優れた特徴を有する水素透過構造体を、燃料電池以外の各種の水素デバイスに使用した場合でも、その優れたプロトン伝導性とその安定性に基づく優れた性能を発揮することができる。
次の本発明を実施するための形態を、実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
15mm角、厚さ0.1mmのPd基材(水素透過性基材)を、レーザー透過用の合成石英ガラス窓を備えた真空チャンバー内部のホルダーにセットし、ホルダー部の温度を550℃に加熱した。酸素を、マスフローメータを通して導入し、酸素分圧1×10−4Torrにチャンバー内圧力を調整した。
15mm角、厚さ0.1mmのPd基材(水素透過性基材)を、レーザー透過用の合成石英ガラス窓を備えた真空チャンバー内部のホルダーにセットし、ホルダー部の温度を550℃に加熱した。酸素を、マスフローメータを通して導入し、酸素分圧1×10−4Torrにチャンバー内圧力を調整した。
その状態で、SrZr0.8In0.2O3組成の原料焼結体(20mmφ、厚さ5mm)に、レーザー照射用窓を通してKrFエキシマレーザー(周波数20Hz)を照射して、膜厚2μmのプロトン伝導性膜を形成し、水素透過構造体を得た。
得られたプロトン伝導性膜を構成する酸素欠損型ペロブスカイト構造酸化物につき、X線光電子分光分析(XPS)を用いて、式AL1−XMXO3−αにおけるαを測定したところ、0.15<α<1.0であることが確認された。(以下、同様に確認した。)又、結晶の配向性を示すピーク強度比は0.03であった。なお、ピーク強度比は、X線回折装置(XRD)を用いて、θ−2θスキャンの走査方法にて結晶のX線回折測定を行い、得られたピークデータの(040)面及び(002)面におけるピーク強度より求めた。
(実施例2)
酸素分圧を、1×10−2Torrとした以外は、実施例1と同様にして、水素透過構造体を得た。ピーク強度比は0.08であった。
酸素分圧を、1×10−2Torrとした以外は、実施例1と同様にして、水素透過構造体を得た。ピーク強度比は0.08であった。
(実施例3)
原料焼結体をSrCe0.9Yb0.1O3組成とした以外は、実施例1と同様にして、水素透過構造体を得た。ピーク強度比は0.05であった。
原料焼結体をSrCe0.9Yb0.1O3組成とした以外は、実施例1と同様にして、水素透過構造体を得た。ピーク強度比は0.05であった。
(実施例4)
原料焼結体をSrCe0.9Yb0.1O3組成とし、酸素分圧を、1×10−2Torrとした以外は、実施例1と同様にして、水素透過構造体を得た。ピーク強度比は0.09であった。
原料焼結体をSrCe0.9Yb0.1O3組成とし、酸素分圧を、1×10−2Torrとした以外は、実施例1と同様にして、水素透過構造体を得た。ピーク強度比は0.09であった。
(比較例1)
酸素分圧を、0.1Torrとした以外は、実施例1と同様にして、水素透過構造体を得た。ピーク強度比は0.10であった。
酸素分圧を、0.1Torrとした以外は、実施例1と同様にして、水素透過構造体を得た。ピーク強度比は0.10であった。
(比較例2)
原料焼結体をSrCe0.9Yb0.1O3組成とし、酸素分圧を、0.1Torrとした以外は、実施例1と同様にして、水素透過構造体を得た。ピーク強度比は0.11であった。
原料焼結体をSrCe0.9Yb0.1O3組成とし、酸素分圧を、0.1Torrとした以外は、実施例1と同様にして、水素透過構造体を得た。ピーク強度比は0.11であった。
(電池評価試験)
実施例1〜4、及び比較例1〜2で得られた各水素透過構造体のプロトン伝導性膜上に、ステンレスマスクを通して、2mm角、厚さ0.1μmのPd電極を電子ビーム蒸着で形成し試験体(燃料電池)を得た。この試験体のPd基材側に0.4L/分で水素ガスを、又、プロトン伝導性膜及びPd電極側に0.4L/分で空気を、500℃で100時間流し、初期及び100時間経過後における0.5Vでの電池出力(電流密度)を測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1〜4、及び比較例1〜2で得られた各水素透過構造体のプロトン伝導性膜上に、ステンレスマスクを通して、2mm角、厚さ0.1μmのPd電極を電子ビーム蒸着で形成し試験体(燃料電池)を得た。この試験体のPd基材側に0.4L/分で水素ガスを、又、プロトン伝導性膜及びPd電極側に0.4L/分で空気を、500℃で100時間流し、初期及び100時間経過後における0.5Vでの電池出力(電流密度)を測定した。測定結果を表1に示す。
(剥離強度試験)
前記電池評価試験後の試験体の、プロトン伝導性膜の、Pd電極側の面に、スタッド(接着面の直径2.7mm、長さ15mmの純アルミニウム製棒)を接着し、引張試験機を用いて、水素透過性基材とプロトン伝導性膜との間の剥離強度を求めた。測定結果を表1に示す。
前記電池評価試験後の試験体の、プロトン伝導性膜の、Pd電極側の面に、スタッド(接着面の直径2.7mm、長さ15mmの純アルミニウム製棒)を接着し、引張試験機を用いて、水素透過性基材とプロトン伝導性膜との間の剥離強度を求めた。測定結果を表1に示す。
表1より明らかなように、実施例1〜4の水素透過構造体は、100時間駆動後においても、電流密度は殆ど低下せず、燃料電池として長時間安定して機能することが示されている。又、実施例1〜4では、100時間駆動後も水素透過性基材とプロトン伝導性膜間の膜剥離は観測されず、充分な剥離強度を示している。
一方、ピーク強度比が0.1以上であり、プロトン伝導性膜のc軸配向の程度が低い比較例1〜2では、実施例1〜4と比べ、明らかに、初期の電流密度が小さく、100時間駆動後では電流が流れていない。又、水素透過性基材とプロトン伝導性膜間で膜剥離を生じ、燃料電池として用いることに問題があることが示されている。
Claims (5)
- 水素透過性基材及びプロトン伝導性膜からなる水素透過構造体であって、
該プロトン伝導性膜が、化学式AL1−XMXO3−α(式中、Aは、アルカリ土類金属を表し、Lは、セリウム、チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる1種以上の元素を表し、Mは、ネオジム,ガリウム、アルミニウム、イットリウム、インジウム、イッテルビウム、スカンジウム、ガドリウム、サマリウム及びプラセオジムから選ばれる1種以上の元素を表し、Xは、0.05〜0.35であり、αは、0.15〜1.00である。)で表される酸素欠損型ペロブスカイト構造酸化物で構成され、
該酸素欠損型ペロブスカイト構造酸化物が、c軸配向した斜方晶を形成していることを特徴とする水素透過構造体。 - 前記酸素欠損型ペロブスカイト構造酸化物の結晶の、ミラー指数(040)格子面と(002)格子面のX線回折のピーク強度比(040)/(002)が、0.1未満であることを特徴とする請求項1に記載の水素透過構造体。
- 前記水素透過性基材が、パラジウム箔もしくはパラジウムを主体とする合金箔、又は、バナジウム、ニオブもしくはタンタルを含む金属箔の表面に、パラジウム膜もしくはパラジウムを主体とする合金膜を有する金属箔であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水素透過構造体。
- 請求項1ないしは請求項3のいずれかに記載の水素透過構造体を用いたことを特徴とする水素デバイス。
- 請求項1ないしは請求項3のいずれかに記載の水素透過構造体を用いたことを特徴とする燃料電池。
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JP2006190916A JP2008018314A (ja) | 2006-07-11 | 2006-07-11 | 水素透過構造体、水素デバイス、及び燃料電池 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015147994A (ja) * | 2014-02-07 | 2015-08-20 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 水蒸気電解水素化装置 |
JPWO2015008407A1 (ja) * | 2013-07-16 | 2017-03-02 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | プロトン伝導体 |
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2006
- 2006-07-11 JP JP2006190916A patent/JP2008018314A/ja active Pending
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JP2015147994A (ja) * | 2014-02-07 | 2015-08-20 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 水蒸気電解水素化装置 |
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