JP2008169154A - 有機過酸化物組成物の製造方法 - Google Patents

有機過酸化物組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粒度の小さい有機過酸化物組成物を作業性が良く、効率的に製造することができる有機過酸化物組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】有機過酸化物組成物は、次の第一工程から第四工程を経て製造される。第一工程では有機過酸化物を第1の溶媒中に有機過酸化物の10時間半減期温度以下の温度で溶解させて有機過酸化物溶液を調製する。第二工程では有機過酸化物溶液を第1の溶媒よりも有機過酸化物の溶解度が小さい第2の溶媒中に攪拌しながら投入して有機過酸化物を微粉末状に結晶化させ、濾過して粗製濾物を調製する。第三工程では粗製濾物中に含まれる第1の溶媒を、該溶媒よりも有機過酸化物の溶解度が小さく、かつ常圧における沸点が30℃以上、100℃未満である第3の溶媒で置換し精製して精製濾物を調製する。第四工程では精製濾物に減感剤を添加し、混練しながら溶媒を留去して有機過酸化物組成物を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂の硬化剤やゴムの架橋剤等として用いられ、例えば粒度の小さいベンゾイルパーオキサイド組成物を作業性が良く、効率的に製造することができる有機過酸化物組成物の製造方法に関するものである。
有機過酸化物組成物、例えばベンゾイルパーオキサイド等に有機溶媒又はシリコーンオイルを配合した組成物は、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化剤やシリコーンゴムの架橋に用いられるシリコーンゴム用架橋剤として有用である。それは、例えば市販されているベンゾイルパーオキサイドを乾燥させ、それに有機溶媒又はシリコーンオイルを添加、混合することにより製造することができる。しかしこの方法では、摩擦感度や衝撃感度が高い有機過酸化物を取り扱う工程を含むために、工業的なプロセスで取扱性を良くして製造することが困難であった。また、市販されているベンゾイルパーオキサイド等は粒度が大きく、そのまま使用して製造した有機過酸化物組成物は粒度が100μmを超える。
このため、例えばシリコーンゴムの架橋剤として粗大粒子を含有する有機過酸化物組成物を用いる場合には、得られるシリコーンゴム架橋物にボイド(気泡)が発生し、シリコーンゴム被覆電線においてはスパークアウトが発生して絶縁破壊電圧が低下するという問題があった。また、チューブ状シリコーンゴムにおいては透明性の低下による外観の悪化が発生するという問題があった。さらに、シリコーンゴムスポンジにおいては、有機過酸化物の粗大粒子が偏在する部分で生成するセルが大きくなり、物性が不均一になるといった問題があった。
そこで、粒度が50μm以下の架橋剤を使用すると、高い耐電圧特性を有するシリコーンゴム被覆電線が得られるといった技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。粒度が50μm以下の有機過酸化物組成物は、特にシリコーンゴム被覆電線、チューブ状のシリコーンゴム及びシリコーンゴムスポンジ等の用途に使用すると、高品質の成形物が得られる点で有用となる。粒度が50μm以下の架橋剤の製造方法としては、ロールによる機械的な処理によりベンゾイルパーオキサイド等を微粒子化してベンゾイルパーオキサイドをシリコーンオイル中に分散させてペースト状の有機過酸化物組成物(以下、本明細書ではペースト状の有機過酸化物組成物を、ペースト状組成物と略記する)を得る方法が挙げられる。
例えば、シリコーンオイルを分散させた苛性ソーダ水溶液中で酸クロライドと過酸化水素を反応させてビスベンゾイルパーオキサイド誘導体とシリコーンオイルとの混合物を得た後、ロールで微細化してペースト状の有機過酸化物組成物を製造する方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。さらに、乾燥させた常温で固体のベンゾイルパーオキサイドとシリコーンオイルと疎水性シリカとを混合した後、3本ロールを通して均一化処理するペースト状の有機過酸化物組成物を製造する方法も開示されている(例えば、特許文献3を参照)。
特開2000−53918号公報(第2頁及び第4頁) 特開昭62−185750号公報(第1頁及び第5頁) 特開平11−116808号公報(第2頁及び第4頁)
しかしながら、上記特許文献2及び3に記載の方法では、100μmを超える粒度のペースト状組成物を、1回のロール処理で粒度50μm以下まで微粒子化するためにはロールの圧力を高くする必要がある。その場合には、摩擦感度や衝撃感度等の機械感度が高いベンゾイルパーオキサイド等に高い圧力をかけてロール処理し、機械的に微粒子化させる方法は取扱上不適当であった。そのため、弱い圧力をかけてロール処理したペースト状組成物を、より高い圧力をかけてロール処理し、さらに高い圧力をかけてロール処理することを繰り返して50μm以下の粒度を有するペースト状組成物を調製することが必要であった。従って、多量のペースト状組成物を短時間で製造することができず、作業性も悪いという問題があった。
そこで、本発明の目的とするところは、粒度の小さい有機過酸化物組成物を作業性が良く、効率的に製造することができる有機過酸化物組成物の製造方法を提供することにある。
前記の目的を達成するために、第1の発明の有機過酸化物組成物の製造方法では、30℃で固体の有機過酸化物を第1の溶媒中に有機過酸化物の10時間半減期温度以下の温度で溶解させて有機過酸化物溶液を得る第一工程、前記有機過酸化物溶液を前記第1の溶媒よりも有機過酸化物の溶解度が小さい第2の溶媒中に攪拌しながら投入して有機過酸化物を微粉末状に結晶化させた後に濾過して粗製濾物を得る第二工程、前記粗製濾物中に含まれる第1の溶媒を、第1の溶媒よりも有機過酸化物の溶解度が小さく、かつ常圧における沸点が30℃以上、100℃未満である第3の溶媒で置換し精製して精製濾物を得る第三工程、及び前記精製濾物に減感剤を添加し、混練しながら溶媒を留去して有機過酸化物組成物を製造する第四工程よりなることを特徴とする。
第2の発明の有機過酸化物組成物の製造方法では、第1の発明において、前記第三工程で、精製濾物中に含まれる溶媒に占める第1の溶媒の割合が5質量%以下となるように置換して精製することを特徴とする。
第3の発明の有機過酸化物組成物の製造方法では、第1又は第2の発明において、前記第四工程で減感剤に加えて無機微粒子を添加することを特徴とする。
第4の発明の有機過酸化物組成物の製造方法では、第1から第3のいずれかに係る発明において、前記有機過酸化物はベンゾイルパーオキサイド又はメチルベンゾイルパーオキサイドであることを特徴とする。
第5の発明の有機過酸化物組成物の製造方法では、第1から第4のいずれかに係る発明において、前記減感剤はシリコーンオイルであることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
第1の発明の有機過酸化物組成物の製造方法においては、第一工程で有機過酸化物が第1の溶媒中に溶解されて有機過酸化物溶液が形成される。第二工程では、第一工程で得られた有機過酸化物溶液から第2の溶媒により粗製濾物が形成される。第三工程では、第二工程で得られた粗製濾物中に含まれる第1の溶媒が第3の溶媒で置換され精製されて精製濾物が形成される。第四工程では、第三工程で得られた精製濾物に減感剤が添加され、混練しながら溶媒を留去して有機過酸化物組成物が製造される。これらの第一工程から第四工程を経ることにより、ロール処理等の機械的な処理をすることなく、粒度の小さい有機過酸化物組成物を作業性が良く、効率的に製造することができる。
第2の発明の有機過酸化物組成物の製造方法では、第三工程で精製濾物中に含まれる溶媒に占める第1の溶媒の割合が5質量%以下となるように置換して精製が行われる。このため、第1の発明の効果に加え、第1の溶媒が第3の溶媒で十分に置換され、精製効率を高めることができ、微粒子化した有機過酸化物組成物の粒度が大きくなることを抑制でき、粒度の小さい有機過酸化物組成物を得ることができる。
第3の発明の有機過酸化物組成物の製造方法では、第四工程で減感剤に加えて無機微粒子が添加される。そのため、第1又は第2の発明の効果に加え、有機過酸化物同士の融着や凝集を抑制できる結果、得られる有機過酸化物組成物の粒度をより小さくすることができる。
第4の発明の有機過酸化物組成物の製造方法では、有機過酸化物はベンゾイルパーオキサイド又はメチルベンゾイルパーオキサイドである。従って、第1から第3のいずれかの発明の効果に加え、固体の有機過酸化物の中でも特に機械感度の高いベンゾイルパーオキサイド又はメチルベンゾイルパーオキサイドについて取扱性を向上させることができる。
第5の発明の有機過酸化物組成物の製造方法においては、減感剤はシリコーンオイルであることから、第1から第4のいずれかに係る発明の効果に加えて、有機過酸化物組成物はシリコーンゴムへの分散性が高いシリコーンゴム用架橋剤として有用である。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の有機過酸化物組成物の製造方法は、第一工程から第四工程を組合せて構成されている。第一工程は、30℃で固体の有機過酸化物を第1の溶媒(以下、良溶媒ともいう)中に有機過酸化物の10時間半減期温度以下の温度で溶解させて有機過酸化物溶液を得る工程である。第二工程は、第一工程で得られた有機過酸化物溶液を第1の溶媒よりも有機過酸化物の溶解度が小さい第2の溶媒(以下、貧溶媒ともいう)中に攪拌しながら投入して有機過酸化物を微粉末状に結晶化させた後、濾過して粗製濾物を得る工程である。第三工程は、第二工程で得られた粗製濾物中に含まれる第1の溶媒を、第1の溶媒よりも有機過酸化物の溶解度が小さく、かつ常圧における沸点が30℃以上、100℃未満である第3の溶媒(以下、低沸点・貧溶媒ともいう)で置換し精製して精製濾物を得る工程である。第四工程は、第三工程で得られた精製濾物に減感剤を添加し、混練しながら溶媒を留去して有機過酸化物組成物を製造する工程である。
第一工程においては、上述の条件下に固体の有機過酸化物を良溶媒中に溶解させることにより、有機過酸化物溶液が得られる。有機過酸化物は、30℃で固体の有機過酸化物であれば特に限定されず、例えばベンゾイルパーオキサイド(10時間半減期温度74℃)のほか、2−メチルベンゾイルパーオキサイド(10時間半減期温度60℃)、3−メチルベンゾイルパーオキサイド(10時間半減期温度73℃)、4−メチルベンゾイルパーオキサイド(10時間半減期温度71℃)等のメチルベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド(10時間半減期温度62℃)等のジアシルパーオキサイド類、ジミリスチルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度41℃)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(10時間半減期温度41℃)等のパーオキシジカーボネート類、t−ブチルパーオキシマレエート(10時間半減期温度96℃)等のパーオキシエステル類、ジクミルパーオキサイド(10時間半減期温度116℃)、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(10時間半減期温度119℃)等のジアルキルパーオキサイドなどが挙げられる。これらの有機過酸化物の中では純品で取扱いに注意を要するベンゾイルパーオキサイド又はメチルベンゾイルパーオキサイドが適している。
有機過酸化物は市販品や、公知の方法に従って得られる製造途中のものも使用することができ、純品或いは水湿潤品の何れも使用することができるが、ベンゾイルパーオキサイド、メチルベンゾイルパーオキサイド等の純品は機械感度が高く、取扱いが難しいため、取扱いの容易な水湿潤品を使用することが好ましい。
前記良溶媒は、30℃における有機過酸化物の溶解度が3.0質量%以上、好ましくは有機過酸化物を溶解させる温度での有機過酸化物の溶解度が5.0質量%以上、より好ましくは7.0質量%以上の溶媒である。30℃での溶解度が3.0質量%未満の場合には、釜効率(収量)が低くなり生産性が低下するために好ましくない。この溶解度の上限は90質量%程度である。良溶媒としては、有機過酸化物の種類により溶解度が変わるために特定することはできないが、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族系炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の脂肪酸エステル類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。これらの良溶媒のうち、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及び酢酸エチルが好ましい。良溶媒は単独で使用しても良いし、有機過酸化物の溶解度を向上させるために2種類以上を混合して使用してもよい。
有機過酸化物を良溶媒に溶解させる際の温度は有機過酸化物の10時間半減期温度以下、好ましくは0℃以上で、かつ当該有機過酸化物の10時間半減期温度以下、より好ましくは10℃以上で、かつ当該有機過酸化物の10時間半減期温度以下の温度である。当該有機過酸化物の10時間半減期温度を超えると有機過酸化物が熱分解し易くなるために好ましくない。有機過酸化物の溶液での取扱性を高めるために、溶解温度は当該有機過酸化物の10時間半減期温度から10℃以下で溶解させることが好ましく、一方有機過酸化物の溶解度を高めて釜効率を向上させるためには10℃以上であることが好ましい。ここで、10時間半減期温度とは、有機過酸化物を0.1モル/リットルとなるようにベンゼンに溶解させた溶液を熱分解させた際に、有機過酸化物が10時間で半減期を迎える温度である。
有機過酸化物の水湿潤品を使用した場合には、有機過酸化物を良溶媒に溶解させた後、水を分離して取り除くことが好ましい。また、有機過酸化物を良溶媒に溶解させた後、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、水酸化カリウム(苛性カリ)等のアルカリ水溶液を添加して攪拌し、アルカリ性廃液を分離して取り除くことにより、有機過酸化物の溶液中に残存している原料酸クロライド、クロロホルメート、(置換)安息香酸等の酸性物質(不純物)を効率良く除去することができる。アルカリ水溶液の添加量は、有機過酸化物の溶液中に含まれる酸性物質を中和するのに十分な量を添加すれば良く、過剰に添加すると有機過酸化物がアルカリにより分解するため、得られる有機過酸化物の収率が低くなるばかりでなく、急激な分解に到るおそれがあるために好ましくない。
第二工程に移行するまで有機過酸化物溶液の状態で保持する時間はできるだけ短時間の方が好ましいが、通常5時間未満、好ましくは2時間以下、より好ましくは1時間以下である。有機過酸化物溶液を5時間以上放置すると、有機過酸化物が熱分解し易くなるので好ましくない。
続いて、第二工程では、第一工程で得られた有機過酸化物溶液を貧溶媒中に攪拌しながら投入し、有機過酸化物を微粉末状に結晶化させた後に濾過することにより粗製濾物が得られる。この第二工程で有機過酸化物を結晶化させる主な原理は、溶媒の種類に対する有機過酸化物の溶解度の差を利用すること、即ち有機過酸化物の良溶媒溶液を当該有機過酸化物の溶解度が低い貧溶媒に投入して有機過酸化物を結晶化させることである。その場合、温度差による有機過酸化物の溶解度差を利用すること、即ち貧溶媒を十分に冷却して有機過酸化物を結晶化させる方法を組み合わせることも可能である。
貧溶媒としては、30℃での有機過酸化物の溶解度が2.5質量%以下、好ましくは有機過酸化物を結晶化させる際に、貧溶媒を冷却した温度での有機過酸化物の溶解度が2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下の溶媒である。30℃における溶解度が2.5質量%を超えるときには、結晶化させる工程での有機過酸化物の回収率が低下すると共に、結晶化して得られる有機過酸化物の粒子径が大きくなるために好ましくない。なお、貧溶媒について、30℃での有機過酸化物の溶解度の下限は0.00001質量%程度であり、貧溶媒を冷却した温度での有機過酸化物の溶解度の下限は0.000001質量%程度である。
そして、有機過酸化物を溶解させた温度での有機過酸化物の良溶媒に対する溶解度から、有機過酸化物を結晶化させる際の貧溶媒の温度での有機過酸化物の貧溶媒に対する溶解度を差し引いた、良溶媒と貧溶媒の溶解度差は3.0質量%以上であることが好ましく、5.0質量%以上であることがより好ましい。この溶解度差の上限は、90質量%程度である。なお、第二工程で結晶化を行う場合の溶媒は良溶媒と貧溶媒の混合溶媒であり、溶解度差を算出するときには本来その混合溶媒に対する有機過酸化物の溶解度を用いるべきである。しかし、良溶媒と貧溶媒についてはおよそ加成性が成り立つことから、第二工程における溶媒の溶解度として簡易的に貧溶媒に対する有機過酸化物の溶解度を使用することができる。特に、上記混合溶媒中の良溶媒の割合が70質量%以下、好ましくは1〜60質量%の範囲で適用される。
貧溶媒としては、有機過酸化物の種類により溶解度が変わるために特定することはできないが、例えば水や、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類や、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類や、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、イソパラフィン等の飽和炭化水素類等が用いられる。これらの貧溶媒のうち、水、メタノール、エタノール、ペンタン及びヘキサンが好ましい。貧溶媒は単独で使用しても良いし、有機過酸化物の溶解度を低下させるために2種類以上を混合して使用しても良い。
貧溶媒の使用量は、通常、良溶媒に対して質量基準で0.5〜10倍であり、有機過酸化物の固形分〔固形分(%)=(有機過酸化物)/(有機過酸化物+良溶媒+貧溶媒)×100〕として好ましくは1〜30質量%、より好ましくは3〜20質量%である。固形分が1質量%未満の場合には、得られる有機過酸化物に対する溶媒の比率が高くなり、生産性が低下するため好ましくない。その一方、30質量%を超える場合には、結晶化した固体の有機過酸化物に対する溶媒の比率が低くなるため、有機過酸化物がペースト状態となり、取り扱いが困難になり易い。
有機過酸化物溶液を投入する貧溶媒の温度は、好ましくは−30〜30℃、より好ましくは−20〜20℃であり、第一工程で得られる有機過酸化物溶液より低い温度であることが好ましい。貧溶媒の温度が−30℃を下回る場合には、貧溶媒を冷却するのに長時間を要するために作業性が低下すると共に、有機過酸化物の回収率の向上や更なる微粒子化への効果が低くなる。その一方、30℃を上回る場合には、有機過酸化物の回収率が低下すると共に、得られる有機過酸化物の粒度が大きくなるために好ましくない。
有機過酸化物溶液を貧溶媒に投入する時間は、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下、最も好ましくは10分以下である。有機過酸化物溶液を投入する時間が60分より長くなると、有機過酸化物の粒度が急に大きくなる傾向を示して好ましくない。結晶化させる際、貧溶媒を攪拌する装置は、例えば、パドル型、プロペラ型、アンカー型、リボン型、タービン型等の一般的な攪拌機の他、ホモミキサー、ホモジナイザー、高速せん断装置、ラインミキサー、超音波ホモジナイザー等も特に制限されずに使用することができる。
また、ヌッチェ等の減圧濾過機、加圧濾過機、遠心分離機等公知の濾過機を使用し、良溶媒及び貧溶媒を濾過法により取り除き、溶媒で湿潤したケーキ中に占める有機過酸化物の割合が好ましくは30〜90質量%、より好ましくは40〜85質量%となるようにする。有機過酸化物の割合が30質量%より低い場合には、第四工程で溶媒を留去する時間が長くなって生産性が低下すると共に、結晶化した固体の有機過酸化物に対して溶媒に溶解している有機過酸化物の量が多くなるため、溶媒が揮発すると有機過酸化物が多く析出し、有機過酸化物の粒子同士が固着して粒径が大きくなり易いため好ましくない。一方、有機過酸化物の割合が90質量%より高い場合には、固体の有機過酸化物の摩擦感度等の機械感度が高くなり易く、衝撃等を与えると分解し易くなり、その取扱性が悪くなって好ましくない。濾過して得られる有機過酸化物は、溶媒が揮発しないように密封して保管するか、好ましくは3時間以内、さらに好ましくは1時間以内で次工程に移行させる方が好ましい。
次いで、第三工程では、第二工程で得られた粗製濾物中に含まれる良溶媒を第3の溶媒(低沸点・貧溶媒)で置換して精製することにより、精製濾物(低沸点・貧溶媒で主に湿潤させた有機過酸化物)が得られる。低沸点・貧溶媒は、有機過酸化物を湿潤させて有機過酸化物を取り扱う際の取扱性を良くし、そして精製濾物中に含まれる溶媒に占める良溶媒の割合が好ましくは5質量%以下となるように置換して、微粒化した有機過酸化物の粒度が第四工程を経ても維持されるようにし、さらに第四工程で溶媒を留去する時間を短くする目的で添加される。精製濾物中の溶媒に占める良溶媒の割合は小さくなるほど望ましいが、その下限は0.01質量%程度である。
精製濾物中における良溶媒の割合が5質量%を超えると、溶媒に溶解している有機過酸化物の量が多いために第四工程で溶媒を留去する際に溶媒に溶解している有機過酸化物の析出量が多くなるため、微粒化した有機過酸化物の粒子が固着する傾向を示す。さらに、第四工程で低沸点・貧溶媒が留去された後に一層高沸点の良溶媒が多く残存し、その場合溶媒を留去させる時間が長くなり、微粒化した有機過酸化物が長時間良溶媒に接触するため粒子同士が融着し、有機過酸化物の粒子が大きくなって好ましくない。
低沸点・貧溶媒は、前記良溶媒よりも有機過酸化物の溶解度が小さく、かつ常圧における沸点が30℃以上、100℃未満、好ましくは常圧における沸点が50〜80℃である溶媒であり、30℃における有機過酸化物の溶解度が2.5質量%以下で、かつ沸点が貧溶媒の沸点以下の溶媒であることが望ましい。この溶解度が2.5質量%より高くなると、第四工程で減圧下に溶媒を留去させるとき溶解している有機過酸化物が析出し、有機過酸化物の粒子同士が固着して粒度が大きくなるために好ましくない。また、沸点が100℃以上になると、後の第四工程で減圧下に溶媒を留去させるのに長時間を要することとなり、有機過酸化物の粒子同士が固着して粒度が大きくなるため好ましくない。低沸点・貧溶媒としては、有機過酸化物の種類により溶解度が変わるため特定することはできないが、例えばメタノール(沸点65℃)、エタノール(沸点78℃)等のアルコール、ペンタン(沸点36℃)、ヘキサン(沸点69℃)等の炭化水素が挙げられる。
粗製濾物中に含まれる良溶媒を低沸点・貧溶媒で置換する方法としては、例えば第二工程においてヌッチェで濾過して得られた濾紙上の粗製濾物に含まれる有機過酸化物100質量部に対して低沸点・貧溶媒100質量部以上を注いでヌッチェ上で精製することにより精製濾物を得る方法が挙げられる。また、容器に第二工程で濾過して取出した粗製濾物を収容し、その有機過酸化物100質量部に対して低沸点・貧溶媒100質量部以上を加え、十分に攪拌した後に濾過して精製することで精製濾物を得る方法が挙げられる。或いは、これらの方法を組み合わせて精製を行うことにより、精製濾物を得ることができる。
そして、低沸点・貧溶媒で湿潤させた有機過酸化物の割合を前述のように好ましくは30〜90質量%、より好ましくは40〜85質量%となるように濾過し、過剰の低沸点・貧溶媒を除去する。濾過して得られた有機過酸化物は、好ましくは3時間以内、より好ましくは1時間以内で次工程に移行させ、低沸点溶媒が揮発して有機過酸化物の割合が高くならないようにする。
次に、第四工程では、第三工程で得られた精製濾物に減感剤を添加し、好ましくは減圧下に混練することにより、精製濾物から溶媒(良溶媒、貧溶媒及び低沸点・貧溶媒)が取り除かれる。混練時の減圧度は、好ましくは0.13〜66.5kPa(1〜500mmHg)、より好ましくは0.13〜26.6kPa(1〜200mmHg)である。減圧度が0.13kPaより低いと低沸点・貧溶媒を除去する効果は高いが、そのような状態を得るための装置の大型化や操作に難点があり、66.5kPaより高いと溶媒を短時間で十分に除去する効果が得られない。減感剤としては、有機過酸化物の感度を鈍化できる化合物である限り、公知の化合物の全てが使用可能である。減感剤としては、例えば無機化合物、室温で固体又は液体の有機化合物等が挙げられるが、シリコーンオイル、常圧における沸点が150℃以上の有機溶媒等が好ましい。
シリコーンオイルとして例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等のストレートシリコーンオイルや、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、フッ素変性等の非反応性シリコーンオイル、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性等の反応性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイルなど、有機過酸化物と混合した際に有機過酸化物の安定性を低下させないものであれば何れも使用できる。これらの中でもジメチルシリコーンオイルは有機過酸化物の安定性を低下させない点で特に好ましく、所望するペースト状架橋剤の粘度に応じて単独又は2種類以上のジメチルシリコーンオイルを併用することもできる。
前記沸点が150℃以上の有機溶媒は、常圧における沸点が150℃以上の有機化合物であり、沸点の上限は400℃程度である。沸点が150℃未満では、第四工程で低沸点溶媒を留去させる際に同時に揮発してしまうため好ましくない。沸点が150℃以上の有機溶媒としては、例えばフタル酸ジメチル(沸点282℃)、フタル酸ジブチル(沸点340℃)、フタル酸ジオクチル(沸点390℃)、テレフタル酸ジオクチル(沸点400℃)等のフタル酸エステル、安息香酸メチル(沸点199℃)、安息香酸ブチル(沸点249℃)、安息香酸ベンジル(沸点323℃)等の安息香酸エステル、カプリル酸メチル(沸点194℃)、ラウリン酸メチル(沸点262℃)、マロン酸ジメチル(沸点180℃)、コハク酸ジメチル(沸点200℃)、グルタル酸ジメチル(沸点210℃)、アジピン酸ジイソブチル(沸点293℃)、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル(沸点335℃)、セバシン酸ジブチル(沸点345℃)、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル(沸点377℃)、アセチルクエン酸トリブチル(沸点330℃)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート(沸点244℃)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート(沸点280℃)、マレイン酸ジブチル(沸点280℃)、フマル酸ジブチル(沸点285℃)等の脂肪酸エステル、沸点が150℃以上のノルマルパラフィン、イソパラフィン等の炭化水素等が挙げられ、これらは単独又は併用して使用することができる。
減感剤の配合量は、有機過酸化物組成物中に好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%である。減感剤の配合量が20質量%より少ない場合には、得られる有機過酸化物組成物の分解時の威力が高くなり、取扱性が悪くなる傾向を示す。その一方、80質量%より多い場合には、有機過酸化物に対する減感剤の割合が高くなるため、減感剤が分離しやすくなるため好ましくない。
第四工程では、減感剤に加えて無機微粒子を混合しても良い。無機微粒子を配合することにより、溶媒を留去させる際の有機過酸化物の粒度の変化(粒子の固着による粒度の増大)を抑制すると共に、有機過酸化物組成物の粘度を高めることで攪拌時の混練性を高め、さらに得られる有機過酸化物組成物を保管する際の減感剤の分離を抑制することができる。
無機微粒子としては、例えば微粒子状のシリカ、石英、酸化マグネシウム、珪藻土、炭酸カルシウム、カーボンブラック等が挙げられ、それらの中でシリカ微粉末が好ましい。シリカ微粉末としては、BET法(多分子吸着理論に基づく比表面積測定法)による比表面積が50m/g以上のフュームドシリカが好ましく、表面処理したものも使用できる。無機微粒子の配合量は、有機過酸化物組成物中に好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、特に好ましくは1〜10質量%である。無機微粒子の配合量が30質量%より多いと、有機過酸化物組成物の粘度が高くなり過ぎるため取扱いが困難になる。減感剤及び無機微粒子の添加手順は特に制限はなく、同時に添加しても良いし、別々にどちらかを先に添加しても良いし、或いは予め無機微粒子を減感剤と混合して調製したマスターバッチとして使用しても良い。
前記混練機は、真空ポンプ、減圧ポンプ等の減圧装置を接続して減圧下に溶媒を留去できる混練機であれば何れでもよく、ニーダー、リボンブレンダー、プラネタリーミキサー、バタフライミキサー等が挙げられる。その際、有機過酸化物を含む混合物の温度は、好ましくは0〜50℃、より好ましくは0〜40℃である。この温度が0℃より低いと、低沸点溶媒を留去するための時間が長くなり、有機過酸化物の粒度が大きくなると共に、生産性が低下する。その一方、50℃より高くなると、有機過酸化物の粒度が変化(粒子の融着による粒度の増大)することがあり、また有機過酸化物が熱分解する可能性が高くなるために好ましくない。
以上のようにして製造される有機過酸化物組成物は、有機過酸化物を有効成分とし、減感剤、無機微粒子等が含まれる組成物である。有機過酸化物組成物の粒度は、好ましくは100μm以下、より好ましくは60μm以下、さらに好ましくは50μm以下となる。ここで、有機過酸化物の粒度は、JIS K 5400(1990)に準拠して測定される値である。係る有機過酸化物組成物は、有機過酸化物の種類に応じて各種の用途、例えばスチレン等の不飽和単量体の重合開始剤や、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂等のラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化剤や、シリコーンゴム等の架橋剤として使用される。代表的な有機過酸化物組成物としては、減感剤がシリコーンオイルであるペースト状有機過酸化物組成物や、減感剤が常圧で150℃以上の沸点を有する有機溶媒であるサスペンション状有機過酸化物組成物が挙げられる。
前者のペースト状有機過酸化物組成物は、オルガノポリシロキサン、補強性充填材及び公知の添加剤を配合したシリコーンゴムベースコンパウンドに添加して混練し、加熱することにより、シリコーンゴムを架橋させることができる。ペースト状有機過酸化物組成物の粒度は望ましくは60μm以下、さらに望ましくは50μm以下、特に望ましくは30μm以下である。そして、その有機過酸化物組成物を用いて成形されるシリコーンゴムは電気特性、透明性等に優れているために、電線被覆体、自動車部品、電機部品、電子部品、医療関連製品等の各種分野で広く使用することができる。
後者のサスペンション状有機過酸化物組成物は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂等のラジカル重合型熱硬化性樹脂に添加して加熱するか、或いはN,N−ジメチルアニリン等の促進剤を配合して常温でラジカル重合型熱硬化性樹脂を硬化させることができる。そして、得られる硬化物は、非FRPとして、塗料、ライニング材、注型材、化粧板などに、またラジカル重合型熱硬化性樹脂をマトリックスにガラス繊維を補強材として配合した強化プラスチックは、浴槽、浄化槽などの住宅関連製品、漁船、ヨット、ボートなどの船舶関連製品、パイプ、タンクなどの工業関連製品、ヘッドランプリフレクター、スポイラーなどの自動車関連製品等に広く用いられる。
以上詳述した実施形態によって発揮される作用及び効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態の有機過酸化物組成物の製造方法においては、第一工程で有機過酸化物が良溶媒中に溶解されて有機過酸化物溶液が得られる。第二工程では、第一工程で得られた有機過酸化物溶液から貧溶媒により粗製濾物が得られる。第三工程では、第二工程で得られた粗製濾物中に含まれる良溶媒が低沸点・貧溶媒で置換され精製されて精製濾物が得られる。第四工程では、第三工程で得られた精製濾物に減感剤が添加され、混練しながら溶媒を留去することにより有機過酸化物組成物が製造される。これらの第一工程から第四工程を経ることにより、従来のロール処理等の機械的な処理を施すことなく、粒度が100μm以下、特に50μm以下という小さい有機過酸化物組成物を作業性が良く、効率的に製造することができる。従って、有機過酸化物組成物を熱硬化性樹脂の硬化剤やゴムの架橋剤等として好適に用いることができる。
・ 前記第三工程で精製濾物中に含まれる溶媒に占める良溶媒の割合が5質量%以下となるように置換して精製を行うことにより、良溶媒が低沸点・貧溶媒で十分に置換され、精製効率を高めることができ、微粒子化した有機過酸化物組成物の粒度が大きくなることを抑制でき、粒度の小さい有機過酸化物組成物を得ることができる。
・ 第四工程で減感剤に加えて無機微粒子を添加することにより、有機過酸化物同士の固着や凝集を抑制できる結果、得られる有機過酸化物組成物の粒度をより小さくすることができる。
・ 前記有機過酸化物がベンゾイルパーオキサイド又はメチルベンゾイルパーオキサイドであることにより、固体の有機過酸化物の中でも特に機械感度の高いベンゾイルパーオキサイド又はメチルベンゾイルパーオキサイドについて取扱性を向上させることができる。
・ 前記減感剤がシリコーンオイルであることにより、シリコーンゴムへの分散性が高いシリコーンゴム用架橋剤として有用である。
以下に、参考例、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。なお、参考例、実施例及び比較例で使用した材料及びその略記号の意味は以下のとおりであり、%は質量%を意味する。
ベンゾイルパーオキサイド(以下、BPOと略記する、融点107℃、10時間半減期温度74℃):純度75%BPOの水湿潤品、日本油脂(株)製、商品名ナイパーBW
ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(以下、TCPOと略記する、融点93℃、10時間半減期温度41℃):純度95%、日本油脂(株)製、商品名パーロイルTCP
4−メチルベンゾイルパーオキサイド(以下、PMBPOと略記する、融点136℃、10時間半減期温度71℃)
(参考例1、純度75%のPMBPOの水湿潤品の合成)
温度計と攪拌機を備えた3L四つ口フラスコに、10%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液5600gと、60%過酸化水素400gと、陰イオン性界面活性剤(日本油脂(株)製、商品名パーソフトSK)5gとを入れ、5℃で60分かけて4−メチルベンゾイルクロライド1550gを滴下した後、5℃で30分間熟成した。生成した固体を濾集して洗浄液がアルカリ性を示さなくなるまで水洗して純度75%のPMBPOの水湿潤品1730gを得た。
(溶解度)
固体の有機過酸化物を、攪拌している所定温度に調整した溶媒に、僅かな不溶分が見られるまで徐々に加え、濾過して固体の有機過酸化物を取り除き、得られた溶媒の活性酸素量を測定して当該有機過酸化物の理論活性酸素量で除することにより、溶媒に溶解している有機過酸化物の溶解度を測定した。
(良溶媒と貧溶媒の溶解度差)
第二工程で有機過酸化物を結晶化させる貧溶媒の温度での、有機過酸化物の貧溶媒に対する溶解度を求めた。また、第一工程で所定の温度で有機過酸化物を溶解させた良溶媒の活性酸素量を測定して、有機過酸化物を溶解させた温度での有機過酸化物の良溶媒に対する溶解度を求めた。そして、良溶媒に対する溶解度から、貧溶媒に対する溶解度を減じて、良溶媒と貧溶媒の溶解度差を求めた。
(良溶媒含有比率)
固体の有機過酸化物と溶媒からなる精製濾物の活性酸素量をヨードメトリーにより求め、精製濾物に含まれる有機過酸化物の濃度(%)を求めた。また、精製濾物をヘキシルアルコールに分散させた後に有機過酸化物を濾過して取り除いた溶液をガスクロマトグラフィーにより分析して、精製濾物に含まれる良溶媒の濃度(%)を求めた。そして、精製濾物に含まれる溶媒に占める良溶媒の比率を、下記式により求めて良溶媒含有割合(%)として示した。
良溶媒含有割合(%)=〔(良溶媒濃度)/(100−有機過酸化物濃度)〕×100
(粒度の測定)
JIS K 5400(1990年制定)塗料一般試験方法の4.7項に規定された、分散度の試験方法に準じて測定した。即ち、つぶゲージを試験者に対して最大目盛が遠方になる様に固定し、つぶゲージの溝の最も深い位置に溝全体を満たす量より若干多い量の試料を置く。次に、スクレーパーをつぶゲージの最大目盛のところで溝の長辺を直角に横切り、かつ、つぶゲージの上面に対して約45度となる様に試験者に対して傾けて当て、軽く押し付けたまま目盛0の方向に均等な速さで1〜2秒かけて引く。そして、試料面に10mm以上連続した線条が、一つの溝について3本以上並んで現れた箇所の目盛を読み取った。但し、線条の境界が目盛と目盛の間に現れたとき、また2本の溝の数値が異なるときは、数値の大きい方の目盛を読み取り、3回の測定値の中央値を粒度とした。
(実施例1)
第一工程として、純度75%のBPOの水湿潤品2.4kgを良溶媒のトルエン(30℃におけるBPOの溶解度16.8%)7.2kgに40℃で溶解させ、中性になるまで10%NaOH水溶液を加え、5分間攪拌した後5分間静置して下層の水を分離し、BPOの溶解度が20.0%のトルエン溶液を得た。
続いて、第二工程として、直ちにBPOのトルエン溶液を、0℃に冷却した貧溶媒のメタノール(30℃におけるBPOの溶解度2.3%、0℃におけるBPOの溶解度0.6%、良溶媒と貧溶媒の溶解度差19.4%)28.8kgに1分で投入して結晶化させ、濾過して粗製濾物を取出した。次いで、第三工程として、それを低沸点・貧溶媒のメタノール(沸点65℃、30℃におけるBPOの溶解度2.3%)5.0kgに入れ、30℃以下で5分攪拌して混合した後に濾過し、精製濾物(純度76%のBPO、良溶媒(トルエン)含有比率2.2%)1.4kgを得た。
第四工程として、得られた精製濾物の1.4kgと減感剤のジメチルシリコーンオイル(信越化学工業(株)製、商品名KF96−1,000)1.0kgを混合攪拌機((株)品川工業所製、商品名5DMV−r型ミキサー)に入れ、30℃以下に保ちながら1.33kPa(10mmHg)の減圧下で留去される溶媒が見られなくなるまで混練した。そして、BPOの純度が50%となるようジメチルシリコーンオイルを添加してのBPOのペースト状組成物を製造した。得られたペースト状組成物の粒度は50μmであった。
(実施例2)
実施例1において、第四工程で減感剤のジメチルシリコーンオイル0.94kgと無機微粒子の親水性フュームドシリカ(日本アエロジル(株)製、商品名アエロジル200)0.06kgを使用したこと以外は、実施例1と同様に実施してBPOのペースト状組成物を得た。得られたペースト状組成物の粒度は30μmであった。
(実施例3)
実施例2において、第三工程で低沸点・貧溶媒のメタノールを1.0kgに減量して使用し、得られた精製濾物(純度75%のBPO、良溶媒(トルエン)含有割合7.6%)1.4kgを使用したこと以外は、実施例2と同様に製造してBPOのペースト状組成物を得た。得られたペースト状組成物の粒度は60μmであった。
(実施例4)
実施例2において、第四工程で減感剤のジメチルシリコーンオイル0.8kgと無機微粒子の親水性フュームドシリカ0.2kgを使用したこと以外は実施例2と同様に製造してBPOのペースト状組成物を得た。得られたペースト状組成物の粒度は20μmであった。
(実施例5)
実施例4において、第四工程で減感剤のジメチルシリコーンオイル0.8kgの代わりに常圧における沸点が150℃以上の有機溶媒の2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート(イーストマンケミカル社製の商品名TXIB、沸点280℃)0.8kgを使用した。そして、BPOの純度が50%となるようTXIBを添加した。それ以外は実施例4と同様に実施してBPOのペースト状組成物を得た。得られたペースト状組成物の粒度は50μmであった。
(実施例6)
実施例1において、第一工程で良溶媒のトルエンの代わりにトルエン2.2kgとアセトン2.2kgの混合溶媒(30℃におけるBPOの溶解度24.4%)を使用してBPOの溶解度が28.9%のトルエン・アセトン混合溶液を調製した。また、第二工程では、貧溶媒にメタノール(良溶媒と貧溶媒の溶解度差28.3%)16.8kgを使用し、第三工程で得られた精製濾物(純度79%のBPO、良溶媒(トルエン)含有割合1.4%、良溶媒(アセトン)含有割合1.4%)1.8kgのうち1.4kgを用いた。第四工程では、減感剤のジメチルシリコーンオイル0.9kgと無機微粒子の疎水性フュームドシリカ(日本アエロジル(株)製、商品名アエロジルR202)0.1kgを使用した。それ以外は、実施例1と同様に実施してBPOのペースト状組成物を得た。得られたペースト状組成物の粒度は30μmであった。
(実施例7)
実施例1において、第一工程で良溶媒のトルエンの代わりにメチルエチルケトン(30℃におけるBPOの溶解度19.0%)5.7kgを使用してBPOの溶解度が23.9%のメチルエチルケトン溶液を調製し、第二工程で貧溶媒にメタノール(良溶媒と貧溶媒の溶解度差23.3%)16.8kgを使用した。第三工程で得られた精製濾物(純度76%のBPO、良溶媒(メチルエチルケトン)含有割合3.2%)1.6kgのうち1.3kgを用い、第四工程では減感剤のジメチルシリコーンオイル0.9kgと無機微粒子の疎水性フュームドシリカ(日本アエロジル(株)製、商品名アエロジルR812)0.1kgを使用した。それ以外は実施例1と同様に実施してBPOのペースト状組成物を得た。得られたペースト状組成物の粒度は20μmであった。
(実施例8)
実施例7において、第二工程で貧溶媒のメタノールの代わりにメタノール14.4kgと水14.4kgの混合溶媒(30℃におけるBPOの溶解度0.9%、0℃におけるBPOの溶解度0.3%、良溶媒と貧溶媒の溶解度差23.6%)を使用した。また、第三工程で得られた精製濾物(純度76%のBPO、良溶媒(メチルエチルケトン)含有割合2.5%)2.0kgのうち1.4kgを用い、第四工程では無機微粒子の疎水性フュームドシリカ(日本アエロジル(株)製、商品名アエロジルR805)を使用した。それ以外は実施例7と同様に実施してBPOのペースト状組成物を得た。得られたペースト状組成物の粒度は20μmであった。
(実施例9)
第一工程として、参考例1で得られた純度75%のPMBPOの水湿潤品1.8kgを良溶媒のトルエン(30℃におけるPMBPOの溶解度3.1%)17.3kgに50℃で溶解させ、中性になるまで10%NaOH水溶液を加え5分攪拌した後5分静置して下層の水を分離し、PMBPOの溶解度が7.2%のトルエン溶液を得た。続いて、第二工程として、直ちにPMBPOのトルエン溶液を、0℃に冷却した貧溶媒のメタノール(30℃におけるPMBPOの溶解度0.3%、0℃におけるPMBPOの溶解度0.1%、良溶媒と貧溶媒の溶解度差7.1%)17.3kgに1分で投入して結晶化させ、濾過して粗製濾物を取出した。第三工程として、それを低沸点・貧溶媒のメタノール(沸点65℃、30℃におけるPMBPOの溶解度0.3%)8.0kg中に入れ、30℃以下で5分攪拌して混合した後に濾過し、精製濾物(純度70%のPMBPO、良溶媒(トルエン)含有割合3.7%)1.7kgを得た。
次いで、第四工程として、得られた精製濾物(純度70%PMBPO)1.5kgと減感剤のジメチルシリコーンオイル0.9kgと無機微粒子の疎水性フュームドシリカ(日本アエロジル(株)製、商品名アエロジルR812)0.1kgを前記混合攪拌機に入れた。そして、実施例1と同様にして30℃以下に保ちながら混練してPMBPOの純度が50%となるようジメチルシリコーンを添加してPMBPOのペースト状組成物を製造した。得られたペースト状組成物の粒度は20μmであった。
(実施例10)
実施例9において、第一工程で良溶媒のトルエン(30℃におけるPMBPOの溶解度3.1%)43.7kgを使用して30℃で溶解させた。得られたPMBPOの溶解度が3.0%のトルエン溶液を、第二工程で30℃の貧溶媒のメタノール(30℃におけるPMBPOの溶解度0.3%、良溶媒と貧溶媒の溶解度差2.7%)21.9kgに1分で投入して結晶化させ、第三工程で精製濾物(純度70%のPMBPO、良溶媒(トルエン)含有割合4.7%)1.5kgを得た。それ以外は実施例9と同様に実施してPMBPOのペースト状組成物を製造した。得られたペースト状組成物の粒度は60μmであった。
(実施例11)
実施例9において、第一工程で良溶媒のトルエンの代わりにトルエン5.8kgとアセトン5.8kgの混合溶媒(30℃におけるPMBPOの溶解度5.8%)を使用してPMBPOの溶解度が10.3%のトルエン・アセトン混合溶液を調製した。また、第二工程で貧溶媒のメタノール(良溶媒と貧溶媒の溶解度差10.2%)11.7kgを使用し、第三工程で精製濾物(純度73%のPMBPO、良溶媒(トルエン)含有割合1.3%、良溶媒(アセトン)含有割合1.2%)1.6kgを得た。第四工程では、精製濾物1.6kgのうちの1.4kgと、減感剤のジメチルシリコーンオイル0.94kgと無機微粒子の疎水性フュームドシリカ(日本アエロジル(株)製、商品名アエロジルR805)0.06kgを用いた。それ以外は実施例9と同様に混練してPMBPOのペースト状組成物を製造した。得られたペースト状組成物の粒度は20μmであった。
(実施例12)
第一工程で純度95%のTCPO1.4kgを良溶媒のトルエン(30℃におけるTCPOの溶解度48.7%)2.0kgに20℃で溶解させ、中性になるまで10%NaOH水溶液を加えて5分攪拌した後5分静置して下層の水を分離し、TCPOの溶解度が39.1%のトルエン溶液を得た。
次に、第二工程では、TCPOのトルエン溶液を、0℃に冷却した貧溶媒のメタノール(30℃におけるTCPOの溶解度1.7%、0℃におけるTCPOの溶解度0.4%、良溶媒と貧溶媒の溶解度差38.7%)10.0kgに1分かけて投入して結晶化させ、濾過して粗製濾物を取出した。第三工程では、それを低沸点・貧溶媒のメタノール(沸点65℃、30℃におけるTCPOの溶解度1.7%)3.0kgに入れ、30℃以下で5分攪拌して混合した後に濾過し、精製濾物(純度77%のTCPO、良溶媒(トルエン)含有割合2.8%)1.3kgを得た。
第四工程では、得られた精製濾物1.3kgと減感剤のジメチルシリコーンオイル0.9kgと無機微粒子の親水性フュームドシリカ0.1kgを前記混合攪拌機に入れ、実施例1と同様に30℃以下に保ちながら混練し、TCPOの純度が50%となるようにジメチルシリコーンオイルを添加してTCPOのペースト状組成物を製造した。得られたペースト状組成物の粒度は40μmであった。
(比較例1、第二工程が設けられていない例)
第一工程で得られたBPOの溶解度が20.0%のトルエン溶液を90分かけて0℃に冷却して結晶化させ、濾過して粗製濾物を取出し、それを低沸点・貧溶媒のメタノール(沸点65℃、30℃におけるBPOの溶解度2.3%)15.0kgに入れた。そして、30℃以下で5分攪拌して混合した後に濾過し、得られた精製濾物(純度78%のBPO、良溶媒(トルエン)含有割合4.3%)1.4kgを使用したこと以外は、実施例1と同様に製造してBPOのペースト状組成物を製造した。得られたペースト状組成物の粒度は100μmを超えていた。
(比較例2、第三工程が設けられていない例)
実施例1において、第三工程の低沸点・貧溶媒による精製工程を省略し、第二工程で得られた粗製濾物(純度64%のBPO、良溶媒(トルエン)含有割合20.2%)をそのまま使用して第四工程を行ったこと以外は実施例1と同様に実施してBPOのペースト状組成物を得た。得られたペースト状組成物の粒度は100μmを超えていた。
以上の実施例1〜12においては、第一工程、第二工程、第三工程及び第四工程を順に経て有機過酸化物組成物を製造したことから、従来の取扱性の悪いロール処理を施すことなく、粒度が100μm以下のペースト状組成物を一層取扱い易く、効率的に製造することができた。特に、実施例1では第四工程で無機微粒子を減感剤と共に添加しておらず、実施例3では第三工程で精製濾物に含まれる溶媒に占める良溶媒の割合が5質量%を超えていた。また、実施例5では第四工程で減感剤として常圧における沸点が150℃以上の有機溶媒を使用し、実施例10では第一工程で有機過酸化物を溶解させる温度での有機過酸化物の溶解度が5.0質量%以上ではなく、良溶媒と貧溶媒の溶解度差が3.0質量%以上ではなかった。このため、これらの実施例で得られたペースト状組成物の粒度は50又は60μmであった。これに対し、実施例2、4、6、7、8、9及び11で示された製造方法によれば、粒度が30μm以下のペースト状組成物が得られた。従って、特に粒度が成形物の物性に影響を及ぼすシリコーンゴム用架橋剤として有用な製造方法であることが明らかとなった。
一方、第二工程を省略した比較例1では、有機過酸化物を微粉末状に結晶化させることができないため、ペースト状組成物の粒度が100μmを超える結果となった。また、第三工程を省略した比較例2では、第二工程で得られた粗製濾物に含まれる良溶媒が多く残存しているため、第四工程で減圧で溶媒を留去すると溶媒に溶解している有機過酸化物が析出し、固体の有機過酸化物同士が固着し、結果として粒度が100μmを超えることが明らかとなった。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 第一工程で固体の有機過酸化物を良溶媒に溶解させる場合に温度を徐々に上昇させたり、第二工程で有機過酸化物溶液を貧溶媒に投入しながら貧溶媒の温度を徐々に低下させたりすることもできる。
・ 減感剤を、第三工程などにおいて添加し、取扱性を向上させることも可能である。
・ 第二工程における結晶化や第三工程における精製を複数回繰返して行うことも可能である。
・ 前記第一工程から第四工程を経て得られる有機過酸化物組成物を複数調製し、それらを適宜混合して使用することもできる。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記減感剤は、常圧における沸点が150〜400℃の有機溶媒であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の有機過酸化物組成物の製造方法。このように構成した場合、請求項1から請求項4のいずれかの発明の効果に加え、有機過酸化物の安定性を向上させ、取扱いを良くすることができる。
・ 前記第一工程で有機過酸化物を溶解させる温度での有機過酸化物の第1の溶媒に対する溶解度から、第二工程で有機過酸化物を結晶化させる際の温度での有機過酸化物の第2の溶媒に対する溶解度を差し引いた溶解度差は3.0〜90質量%であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の有機過酸化物組成物の製造方法。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかの発明の効果に加え、有機過酸化物の結晶化の効率を向上させることができる。
・ 前記第1の溶媒は、30℃における有機過酸化物の溶解度が3.0〜90質量%であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の有機過酸化物組成物の製造方法。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかの発明の効果に加え、有機過酸化物の十分な溶解性を得ることができ、収率を上げ、生産性を向上させることができる。
・ 前記第2の溶媒は、30℃における有機過酸化物の溶解度が0.00001〜2.5質量%であり、有機過酸化物を結晶化させるために冷却した温度での有機過酸化物の溶解度が0.000001〜2.0質量%であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の有機過酸化物組成物の製造方法。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかの発明の効果に加え、有機過酸化物の回収率を上げることができると共に、結晶化して得られる有機過酸化物の粒度を小さくすることができる。

Claims (5)

  1. 30℃で固体の有機過酸化物を第1の溶媒中に有機過酸化物の10時間半減期温度以下の温度で溶解させて有機過酸化物溶液を得る第一工程、前記有機過酸化物溶液を前記第1の溶媒よりも有機過酸化物の溶解度が小さい第2の溶媒中に攪拌しながら投入して有機過酸化物を微粉末状に結晶化させた後に濾過して粗製濾物を得る第二工程、前記粗製濾物中に含まれる第1の溶媒を、第1の溶媒よりも有機過酸化物の溶解度が小さく、かつ常圧における沸点が30℃以上、100℃未満である第3の溶媒で置換し精製して精製濾物を得る第三工程、及び前記精製濾物に減感剤を添加し、混練しながら溶媒を留去して有機過酸化物組成物を製造する第四工程よりなることを特徴とする有機過酸化物組成物の製造方法。
  2. 前記第三工程で、精製濾物中に含まれる溶媒に占める第1の溶媒の割合が5質量%以下となるように置換して精製することを特徴とする請求項1に記載の有機過酸化物組成物の製造方法。
  3. 前記第四工程で減感剤に加えて無機微粒子を添加することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機過酸化物組成物の製造方法。
  4. 前記有機過酸化物はベンゾイルパーオキサイド又はメチルベンゾイルパーオキサイドであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の有機過酸化物組成物の製造方法。
  5. 前記減感剤はシリコーンオイルであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の有機過酸化物組成物の製造方法。
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