JP2008168328A - レーザスクライブ装置、基板の分断方法及び電気光学装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザスクライブするとき、レーザ光による損傷が防止できるレーザスクライブ装置、基板の分断方法及び、電気光学装置の製造方法を提供する。
【解決手段】構造物が配置された基板にレーザ光を照射してレーザスクライブするレーザスクライブ装置に係る。レーザ光7を発光するレーザ光源2と、基板10の内部にレーザ光7を集光する集光部9と、レーザ光7の一部を遮光する遮光部8と、遮光部8が遮光する量を演算する遮光演算部29と、基板10と集光部9とを相対移動するテーブル部4とを有し、遮光部8がレーザ光7を遮光する光量を変更して、構造物に照射せずに、レーザ光7を基板10に照射して改質部を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】構造物が配置された基板にレーザ光を照射してレーザスクライブするレーザスクライブ装置に係る。レーザ光7を発光するレーザ光源2と、基板10の内部にレーザ光7を集光する集光部9と、レーザ光7の一部を遮光する遮光部8と、遮光部8が遮光する量を演算する遮光演算部29と、基板10と集光部9とを相対移動するテーブル部4とを有し、遮光部8がレーザ光7を遮光する光量を変更して、構造物に照射せずに、レーザ光7を基板10に照射して改質部を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、レーザスクライブ装置、基板の分断方法及び電気光学装置の製造方法に係り、特に、レーザ光の照射方法に関するものである。
光透過性のある基板を品質良く切断するために、レーザ光を基板に照射して基板内部に改質領域(以下、改質部と称す。)を形成するレーザスクライブ装置が特許文献1に開示されている。それによると、パルス幅が1μs以下のレーザ光を出射し、集光レンズで基板内部に集光し、集光点におけるピークパワー密度が1×108(W/cm2)以上にする。これにより、加工対象物の内部に多光子吸収による改質部を形成するものである。
また、このレーザスクライブ方法において、加工対象物の内部に形成される改質部あるいはこれを起点として形成される改質部の大きさは、集光レンズの特性と、レーザ光のピークパワー密度に依存する。例えば、上記特許文献1に示されたガラス(厚さ700μm)に対してYAGレーザを用いて切断する実施例では、集光レンズの開口数が0.55の場合、ピークパワー密度がおよそ1×1011(W/cm2)では、改質部の大きさは、およそ100μmである。また、ピークパワー密度がおよそ5×1011(W/cm2)では、およそ250μmである。基板の内部に改質部を配列して形成し、改質部を押圧することで、基板を改質部に沿って品質良く分断することができる。
液晶表示装置などの表示装置は、外形が矩形の1対の基板を用いて、1対の基板の間に液晶や発光素子を配置して形成されることが多い。その製造方法において、トランジスタなどのスイッチング素子や表示素子に対応するパターンを複数配列した素子マザー基板と、共通電極等のパターンを配置した対向マザー基板とを貼り合せて、分断する方法が広く採用されている。
液晶表示装置の一つに、液晶に表示される画像を投影レンズにより、拡大表示する投射型液晶表示装置がある。投射型液晶表示装置では、液晶パネルの表面付近に塵埃等が付着するとき、それが投射レンズ等により拡大されてスクリーン上に投射されないように液晶パネルの表面に防塵ガラスを貼付する方法が採用されている。この防塵ガラスには、液晶表示装置を透過する光の波長を制御する光学薄膜が形成され、特定の波長の光を透過又は遮断するようになっている。
素子マザー基板と対向マザー基板とを貼り合せ、さらに防塵ガラスを貼り合せて、素子マザー基板及び対向マザー基板にレーザ光を照射して改質部を形成するとき、レーザ光の一部が防塵ガラスを照射する可能性がある。このとき、防塵ガラスには、光学薄膜が形成されており、レーザ光により損傷を受ける危険性があった。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、レーザスクライブするとき、レーザ光による損傷が防止できるレーザスクライブ装置、基板の分断方法及び、電気光学装置の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のレーザスクライブ装置は、構造物が配置された基板にレーザ光を照射してレーザスクライブするレーザスクライブ装置であって、レーザ光を発光するレーザ光源部と、基板の内部にレーザ光を集光する集光部と、レーザ光の一部を遮光する遮光部と、遮光部が遮光する量を演算する遮光演算部と、基板と集光部とを相対移動する移動手段とを有し、遮光部がレーザ光を遮光する光量を変更して、レーザ光を構造物に照射せずに、基板に照射して改質部を形成することを特徴とする。
ここで、レーザスクライブは、基板にレーザ光を照射して、基板の内部に改質部を形成することを示す。
このレーザスクライブ装置によれば、レーザ光源部が発光するレーザ光を集光部が集光して、基板の内部に改質部を形成している。そして、移動手段が基板を移動することにより、改質部を配列して形成可能としている。
このレーザスクライブ装置によれば、レーザ光源部が発光するレーザ光を集光部が集光して、基板の内部に改質部を形成している。そして、移動手段が基板を移動することにより、改質部を配列して形成可能としている。
レーザ光を照射されるとき、損傷を受ける構造物が基板上にある場合がある。本発明では、遮光演算部は、レーザ光が構造物を照射しないように、レーザ光を遮光する光量を演算した後、遮光部が、レーザ光の一部を遮光する。そして、レーザスクライブ装置は、構造物にレーザ光が照射されないように、レーザ光の一部を遮光した後、基板にレーザ光を照射する。従って、基板上に配置される構造物に損傷を与えずに、レーザスクライブすることができる。その結果、構造物がレーザ光により損傷を受けることを防止することができる。
本発明のレーザスクライブ装置は、レーザ光源部が発光するレーザ光の光量を制御するレーザ光制御部を備え、レーザ光の一部が遮光部に遮光されるとき、レーザ光源部から照射されるレーザ光が改質部を形成可能となるように、レーザ光制御部は、レーザ光源部が発光するレーザ光の光量を制御し、レーザ光源部は、レーザ光制御部が制御する光量のレーザ光を発光することを特徴とする。
このレーザスクライブ装置によれば、レーザ光制御部が、レーザ光の光量を制御する。このとき、遮光部がレーザ光を一部遮光するときに、減衰する光量を補う光量を、レーザ光源部が増量して発光する。従って、遮光部がレーザ光の一部を遮光したレーザ光を基板に照射するときにも、基板の内部に、改質部を形成することができる。その結果、品質良く基板を分断することができる。
本発明のレーザスクライブ装置は、遮光部は、レーザ光源部と集光部との間の光軸上に配置されていることを特徴とする。
このレーザスクライブ装置によれば、遮光部は、レーザ光源部と集光部との間の光軸上に配置されている。従って、集光部と基板との間に、遮光部を配置する場合に比べて、集光部を基板に近づけることができる。その結果、基板の深い場所に改質部を形成することができる。
本発明のレーザスクライブ装置は、基板上に配置される構造物の形状データを入力する入力部と、形状データを記憶する記憶部とを備え、遮光演算部は、形状データを用いて、構造物にレーザ光が照射されないように遮光量を演算した後、遮光部が、レーザ光の一部を遮光することを特徴とする。
このレーザスクライブ装置によれば、入力部から入力された構造物の形状データが記憶部により、記憶される。遮光部は、構造物の形状データを用いて、照射する予定のレーザ光が、構造物を照射するか、否かの判断をする。そして、照射する予定のレーザ光が、構造物を照射するとき、レーザ光の一部を遮光して、構造物にレーザ光が照射されないようにして、基板にレーザ光を照射する。従って、構造物の形状に合わせて、レーザ光の一部を遮光することから、構造物にレーザ光が照射されない様にすることができる。その結果、構造物は、レーザ光による損傷を防止できる。
本発明のレーザスクライブ装置は、基板上に配置される構造物の形状を検出する検出部を備え、遮光部は、検出する形状の情報を用いて、構造物にレーザ光が照射されないように、レーザ光の一部を遮光することを特徴とする。
このレーザスクライブ装置によれば、検出部が、構造物の形状を検出する。遮光部は、構造物の形状に係る情報を用いて、照射する予定のレーザ光が、構造物を照射するか、否かの判断をする。そして、照射する予定のレーザ光が、構造物を照射するとき、レーザ光の一部を遮光して、構造物にレーザ光が照射されないようにして、基板にレーザ光を照射する。従って、構造物の形状に合わせて、レーザ光の一部を遮光することから、構造物にレーザ光が照射されない様にすることができる。その結果、構造物の位置及び形状に関するデータがないときにも、構造物は、レーザ光による損傷を防止できる。
本発明のレーザスクライブ装置では、遮光部は、レーザ光の外周が略円形となるように、レーザ光の一部を遮光することを特徴とする。
このレーザスクライブ装置によれば、レーザ光は、略円形となるように遮光される。そして、レーザ光が照射されて形成される改質部は、円柱状に形成される。従って、改質部は、レーザ光の進行方向に軸を有する円柱状に形成することができる。その結果、改質部の中央に、空洞となるクラック部を形成し易くすることができる。
本発明のレーザスクライブ装置では、遮光部は、レーザ光の外周の一部が略直線となるように、レーザ光の一部を遮光することを特徴とする。
このレーザスクライブ装置によれば、レーザ光の外周の一部が、直線となるように遮光される。基板上の構造物の辺が直線により構成されるとき、レーザ光が構造物を照射する予定の部分に相当するレーザ光を遮光する。このとき、構造物の辺が略直線であることから、レーザ光の外周を、構造物の辺に合わせて、略直線となるように遮光することにより、曲線で遮光するより、レーザ光は、少ない光量の減衰となる。従って、レーザ光の減衰が少ないことから、改質部が形成され易くなる。その結果、品質良く改質部を形成することができる。
上記課題を解決するために、本発明の基板の分断方法は、基板にレーザ光を照射することにより、基板に改質部を形成するスクライブ工程と、改質部に応力を加えて、基板を分断する分断工程とを有し、スクライブ工程は、レーザ光の一部を遮光する遮光工程と、一部が遮光されたレーザ光を基板に照射する照射工程とを備えることを特徴とする。
この基板の分断方法によれば、遮光工程において、レーザ光の一部を遮光した後、遮光されたレーザ光を基板に照射することにより改質部を形成している。そして、改質部に応力を加えて、基板を分断している。
レーザ光を照射されるとき、損傷を受ける構造物が基板上にある場合がある。本発明では、一部が遮光されたレーザ光を基板に照射する為、構造物にレーザ光が照射されないように、レーザ光を照射することができる。従って、基板上に配置される構造物に損傷を与えずに、スクライブすることができる。その結果、構造物がレーザ光により損傷を受けることを防止することができる。
本発明の基板の分断方法は、レーザ光源が発光するレーザ光の発光量と、発光量の一部分が遮光されて、レーザ光を基板に照射して、改質部が形成されるときに、基板に照射する照射量との相関データを測定する予備測定工程を有し、照射工程では、レーザ光の一部を遮光するとき、相関データを用いて、改質部が形成可能となる発光量を演算した後、レーザ光源は、演算した発光量のレーザ光を発光することを特徴とする。
この基板の分断方法によれば、予備測定工程の後、照射工程を行っている。予備測定工程において、改質部を形成可能となる条件における発光量と照射量との相関データを測定している。そして、この関係を用いて、一部が遮光されている照射量のとき、改質部を形成可能となる発光量を演算する。そして、その演算した発光量のレーザ光を発光した後、照射している。つまり、遮光部がレーザ光を一部遮光するときに、減衰する光量を補う光量をレーザ光源部が増量して発光する。従って、遮光部がレーザ光の一部を遮光したレーザ光を基板に照射するとき、基板の内部に、改質部を形成することができる。その結果、品質良く基板を分断することができる。
本発明の基板の分断方法は、基板上に配置される構造物を検出する構造物検出工程を備え、照射工程では、検出した構造物にレーザ光が照射されないように、レーザ光の一部を遮光することを特徴とする。
この基板の分断方法によれば、構造物検出工程において、構造物を検出した後、照射工程では、レーザ光の一部を遮光することにより、構造物を照射しない様に、レーザ光を基板に照射している。従って、構造物の形状に合わせて、レーザ光の一部を遮光することから、確実に、構造物にレーザ光が照射されない様にすることができる。その結果、構造物の位置及び形状データがないときにも、構造物は、レーザ光による損傷を防止できる。
本発明の基板の分断方法は、構造物検出工程と、遮光工程及び照射工程とが並行して行われることを特徴とする。
この基板の分断方法によれば、構造物検出工程と、遮光工程及び照射工程とが並行して行われる。従って、構造物検出工程を行って、基板の構造物を検出した後、遮光工程及び照射工程を行って、レーザスクライブする方法に比べて、短い時間で加工することができる。従って、生産性良く製造できる基板の分断方法とすることができる。
上記課題を解決するために、本発明の電気光学装置の製造方法は、構造物が配置された基板を有する電気光学装置の製造方法であって、基板を分断するとき、上記に記載の基板の分断方法を用いて分断することを特徴とする。
この電気光学装置の製造方法によれば、基板上に構造物があるときにも、構造物にレーザ光が照射されない様にしながら、基板にレーザ光を照射している。従って、基板上の構造物が、レーザ光により損傷されずに基板が分断される。その結果、基板上の構造物に、損傷を与えずに基板を分断する電気光学装置の製造方法とすることができる。
以下、本発明を具体化した実施例について図面に従って説明する。
尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
本実施形態では、レーザ光の直径を制限する遮光部を備えたレーザスクライブ装置を用いて、レーザスクライブ方法によりスクライブして分断する場合の例を説明する。ここで、本発明の特徴的な製造方法について説明する前にスクライブ装置について図1を用いて説明する。
本実施形態では、レーザ光の直径を制限する遮光部を備えたレーザスクライブ装置を用いて、レーザスクライブ方法によりスクライブして分断する場合の例を説明する。ここで、本発明の特徴的な製造方法について説明する前にスクライブ装置について図1を用いて説明する。
(レーザスクライブ装置)
図1は、レーザスクライブ装置の構成を示す概略図である。
図1に示すように、レーザスクライブ装置1は、レーザ光を出射するレーザ光源部としてのレーザ光源2と、出射されたレーザ光をワークに照射する光学経路部3と、光学経路部3に対してワークを相対的に移動させる移動手段としてのテーブル部4と、動作を制御する制御装置5を主として構成されている。
図1は、レーザスクライブ装置の構成を示す概略図である。
図1に示すように、レーザスクライブ装置1は、レーザ光を出射するレーザ光源部としてのレーザ光源2と、出射されたレーザ光をワークに照射する光学経路部3と、光学経路部3に対してワークを相対的に移動させる移動手段としてのテーブル部4と、動作を制御する制御装置5を主として構成されている。
レーザ光源2は、出射するレーザ光を加工対象物の内部に集光して多光子吸収による改質部を形成できる光源であれば良い。例えば、レーザ光源2は、本実施形態において、LD励起Nd:YAG(Nd:Y3Al5O12)のレーザ媒質からなり、第3高調波(波長:355nm)のQスイッチパルス発振のレーザ光を出射する発光条件を採用している。パルス幅はおよそ14ns(ナノ秒)、パルス周期は10kHz、出力はおよそ60μJ/パルスのレーザ光を出射する発光条件を採用している。
光学経路部3はハーフミラー6を備えている。ハーフミラー6は、レーザ光源2から照射されるレーザ光7の光軸7a上に配置されている。ハーフミラー6はレーザ光源2から照射されるレーザ光7を反射して、光軸7aから光軸7bへ進行方向を変更する。ハーフミラー6に反射したレーザ光7が通過する光軸7b上に遮光部8が配置されている。遮光部8は、その内部に絞り機構を備え、レーザ光7の直径を制限可能となっている。そして、遮光部8を通過したレーザ光7の光軸7b上には、集光部9が配置されている。集光部9は、その内部に凸レンズである集光レンズ9aを備え、レーザ光7を集光場所7cに集光可能にしている。テーブル部4には基板10が配置され、集光部9を通過したレーザ光7が基板10に照射されるようになっている。
基板10上には、構造物10aが配置され、基板10と構造物10aとが接着剤により貼り合わされて形成されている。基板10は、光透過性の板であればよく、本実施形態においては、石英ガラスを採用している。
集光部9はレンズ支持部11により、レンズ移動機構12に支持されている。レンズ移動機構12は、図示しない直動機構を有し、集光部9を光軸7bが進行する方向(図中Z方向)に移動させて、集光部9を通過したレーザ光7が集光する集光場所7cを移動可能としている。
直動機構は、例えばZ方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを供えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が所定のパルス信号を受けて所定のステップ単位で正逆転する図示しないZ軸モータに連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号がZ軸モータに入力されると、Z軸モータが正転又は反転して、レンズ移動機構12が同ステップ数に相当する分だけ、光軸7b方向に沿って往動又は復動するようになっている。
集光部9とハーフミラー6とを通過する光軸7bの延長線上にあって、ハーフミラー6に対して集光部9と反対側には、撮像装置13を備えている。撮像装置13は、例えば、図示しない同軸落射型光源とCCD(Charge Coupled Device)が組み込まれたものである。同軸落射型光源から出射した可視光は、集光部9を透過して基板10を照射する。撮像装置13は、集光部9とハーフミラー6とを通して基板10を撮像することが可能となっている。
テーブル部4は、基台14を備えている。基台14の光学経路部3側には、レール15が凸設して配置されており、レール15上にはX軸スライド16が配置されている。X軸スライド16は、図示しない直動機構を備え、レール15上のX方向に移動可能となっている。直動機構は、レンズ移動機構12が備える直動機構と同様な機構であり、所定のステップ数に相当する駆動信号に対応してX軸スライド16が同ステップ数に相当する分だけ、X方向に沿って往動又は復動するようになっている。
X軸スライド16の光学経路部3側にはレール17が凸設して配置されており、レール17上にはY軸スライド18が配置されている。Y軸スライド18は、X軸スライド16と同様な直動機構を備え、レール17上をY方向に移動可能となっている。
Y軸スライド18の光学経路部3側には、方向切替装置としての回転テーブル19が配置されている。回転テーブル19は、図示しない回転機構を有し、基板10を回転させて、X軸スライド16及びY軸スライド18が移動するとき、基板10が移動する方向を変更可能としている。
回転機構は、例えば、駆動軸に歯車を備えたステップモータと、同歯車と噛み合う減速ギアとを供えた回転機構である。その駆動軸が所定のパルス信号を受けて所定のステップ単位で正逆転する。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号がステップモータに入力されると、ステップモータが正転又は反転して、回転テーブル19が同ステップ数に相当する分だけ、回転するようになっている。
回転テーブル19の光学経路部3側には、ステージ20が配置され、ステージ20の上面には図示しない吸引式のチャック機構が設けられている。そして、基板10を載置すると、チャック機構によって、基板10がステージ20の上面における所定の位置に位置決めされ固定されるようになっている。
制御装置5はメインコンピュータ23を備え、メインコンピュータ23は、CPU24(Central Processing Unit)、インターフェース25、メモリ26を備えている。CPU24はメモリ26内に記憶されたプログラムソフト27に従って、レーザスクライブ装置1の動作を制御するものである。具体的な機能実現部として、レーザ光制御部としてのレーザ光照射演算部28、遮光演算部29、記憶部30などを有する。
レーザ光照射演算部28は、レーザ光7を照射する場所と、レーザ光7の光量を演算する機能等を有する。遮光演算部29は、レーザ光7を基板10を照射するときに、レーザ光7が構造物10aを照射しないために、レーザ光7を遮光する量を演算する機能等を有する。
メモリ26は、RAM、ROM等といった半導体メモリや、ハードディスク、CD−ROMといった外部記憶装置を含む概念である。機能的には、レーザスクライブ装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト27を記憶する記憶領域が設定される。さらに、基板10内におけるレーザ光7を照射する位置の座標データである照射位置データ31を記憶するための記憶領域も設定される。他にも、レーザ光照射演算部28が、発光するべき光量の演算をするときに用いる発光遮光相関データ32を記憶するための記憶領域が設定される。さらに、基板10上の構造物10aの配置と形状等のデータである形状データとしての構造物データ33を記憶するための記憶領域が設定される。その他、CPU24のためのワークエリアやテンポラリファイル等として機能する記憶領域やその他各種の記憶領域が設定される。
インターフェース25は、入力装置34、表示装置35、レーザ光制御部としてのレーザ光制御装置36、レンズ制御装置37、検出部としての画像演算装置38、遮光制御装置39、ステージ制御装置40等と接続されている。
入力装置34は、レーザ加工の際に用いられる各種加工条件のデータを入力する装置であり、表示装置35はレーザスクライブ加工時の各種情報を表示する装置である。CPU24は、入力される各種加工条件とプログラムソフト27とに従って、レーザ光7の照射を行い、加工状況を表示装置35に表示する。操作者が表示装置35に表示される各種情報を見て、加工状況を確認して操作する様になっている。
レーザ光制御装置36は、レーザ光源2を駆動するパルス信号の電圧、パルス幅、パルス周期、出力の開始と停止、等を制御する装置であり、メインコンピュータ23の制御信号により制御される。そして、レーザ光照射演算部28及びレーザ光制御装置36などからレーザ光制御部が構成されている。
レンズ制御装置37は、レンズ移動機構12の移動、停止を制御する装置である。レンズ移動機構12には、移動距離を検出可能な図示しない位置センサが内蔵されており、レンズ制御装置37は、この位置センサの出力を検出することにより、集光部9の光軸7b方向の位置を認識する。レンズ制御装置37は、レンズ移動機構12にパルス信号を送信し、レンズ移動機構12を所望の位置に移動することができる様になっている。
画像演算装置38は、撮像装置13から出力される画像データを演算する機能を備えている。ステージ20に基板10を配置し、撮像装置13で撮像した画像を観察するとき、レンズ移動機構12を操作して、集光部9と基板10との距離を変えることにより画像が鮮明になるときとぼやけるときが存在する。集光部9を移動して、基板10のステージ20側の面に焦点が合うときと、基板10の光学経路部3側の面に焦点が合うときに、撮像される画像が鮮明になる。一方、焦点が合っていないとき、撮像される画像は、ぼやけた画像となる。
集光部9を光軸7bの方向に移動して、撮像装置13が撮像する画像が鮮明になる集光部9の位置を、内蔵する位置センサで検出することにより、基板10の厚みを測定することが可能となる。
撮像装置13で撮像するときに焦点が合う合焦点位置と、レーザ光7を照射したときに、集光部9により集光される集光位置との差の距離を計測することで、合焦点位置と集光位置の差の距離であるオフセット距離を知ることができる。例えば、透明な2枚の基板を重ねた物を基板10としてステージ20に設置し、2枚の基板の接触部に撮像装置13の焦点が合うように集光部9を移動する。次に、レーザ光7を照射して改質部を形成する。2枚の基板の接触部と改質部の距離を計測することにより、オフセット距離を設定することができる。
集光部9を光軸7b方向(図中Z方向)に移動して、基板10の光学経路部3側の面に撮像装置13の焦点を合わせる。レーザ光7を照射したい位置とオフセット距離とのデータを用いて、集光部9の移動距離を演算し、演算した移動距離に対応する距離分、集光部9を移動させる。この方法で基板10における所定の深さにレーザ光7を集光することが可能となる。
遮光制御装置39は、遮光部8を制御する装置である。遮光部8は、レーザ光7の一部が遮光されているときにおける、レーザ光7の直径を検出する直径センサを備えている。そして、メインコンピュータ23が指示するレーザ光7の直径と、直径センサが検出する直径の検出値とが異なるとき、遮光部8を駆動して、レーザ光7の直径をメインコンピュータ23が指示する直径にすることが、可能となっている。
ステージ制御装置40は、X軸スライド16、Y軸スライド18及び回転テーブル19の位置情報の取得と移動制御を行う。X軸スライド16、Y軸スライド18及び回転テーブル19には図示しない位置センサが内蔵されており、ステージ制御装置40は位置センサの出力を検出することにより、X軸スライド16、Y軸スライド18及び回転テーブル19の位置を検出する。ステージ制御装置40は、X軸スライド16、Y軸スライド18及び回転テーブル19の位置情報を取得し、メインコンピュータ23から指示される位置情報とを比較し、差に相当する距離及び角度に対応して、X軸スライド16、Y軸スライド18及び回転テーブル19を駆動して移動させる。ステージ制御装置40はX軸スライド16、Y軸スライド18及び回転テーブル19とを駆動して、所望の位置及び角度に基板10を移動することが可能となっている。
画像演算装置38が集光レンズ9aの焦点位置を検出した後、レンズ制御装置37が、集光部9を移動することにより、レーザ光7を集光する光軸7b方向の位置を制御する。ステージ制御装置40が基板10をXY方向に移動することにより、基板10にレーザ光7が照射される場所を制御する。そして、レーザ光制御装置36がレーザ光源2を制御することにより、レーザ光7を発光させる。発光するレーザ光7が、光軸7bを通過した後、集光部9により集光されて、基板10の内部を照射する。上述した制御を行い所望の位置にレーザ光7を集光して照射することが可能となっている。
ここで、多光子吸収による改質部の形成について説明する。集光部9によって集光されたレーザ光7は、基板10に入射する。そして、基板10がレーザ光7を透過する材料であっても、材料の吸収バンドギャップよりも光子のエネルギが非常に大きいとき、基板10は光子エネルギを吸収する。これを多光子吸収と言い、レーザ光7のパルス幅を極めて短くすることでエネルギを高めて、多光子吸収を基板10の内部に起こさせると、多光子吸収のエネルギが熱エネルギに転化せずに、永続的な構造変化が誘起された領域が形成される。
本実施形態では、この構造変化領域を改質部と呼ぶ。改質部のうち、大きく構造変化した結果、複数のクラックが形成された領域をクラック部と呼ぶ。尚、材料の種類によっては、例えば石英などの場合には、クラック部は複数のクラックにならず、空洞が形成される場合もある。
この様な改質部を形成するためのレーザ光7の照射条件は、加工対象物ごとにレーザ光7の出力やパルス幅、パルス周期等の設定が必要になる。特に、レーザ光源2が照射するレーザ光7の出力は、ハーフミラー6や集光部9のような光軸7b上に配置される透過性物質による吸収で減衰することを考慮する必要がある。従って、実際の加工対象物を用いた予備試験を実施して、最適な照射条件を導くことが望ましい。
図2(a)及び図2(b)は、遮光部の模式構造図である。図2(a)は、レーザ光が通過する場所を絞ったときを示し、図2(b)は、レーザ光が通過する場所を開いたときを示している。
遮光部8は、基台41を備えている。基台41は、中央に孔41aが形成され、孔41aは、レーザ光7の光軸7bが通る様に配置されている。基台41には、ステップモータ42が配置され、ステップモータ42の駆動軸43には、歯車43aが形成されている。歯車43aと隣接して、回転板44が配置され、回転板44の外周の一部に形成された歯車44aが、歯車43aと噛み合う様に配置されている。
回転板44の外周と接触して、回転可能に形成されているガイド車45が7個配置され、回転板44が光軸7bを中心として回転可能となっている。そして、回転板44は、輪状に形成され、中央では、レーザ光7が通過可能となっている。回転板44の上には、8枚の羽根板46が配置され、羽根板46は、基台41上に形成されている回転軸47を中心に、回転可能となっている。羽根板46には、ガイドピン48が配置され、ガイドピン48は、回転板44に形成されているガイド孔44bに沿って移動する様になっている。
羽根板46において、光軸7bに近い場所は、凹部46aが形成され、8枚の羽根板46の凹部46aにより略円形の瞳孔49が形成されている。従って、瞳孔49を通過するレーザ光7の外周は、略円形となるように、羽根板46により遮光される。
ステップモータ42に駆動信号が入力されるとき、駆動軸43が所定のパルス信号を受けて所定のステップ単位で正逆転する。そして、ステップモータ42が正転又は反転して、回転板44が同ステップ数に相当する分だけ、回転する様になっている。次に、回転板44に形成されているガイド孔44bが回転することにより、ガイドピン48が移動する。ガイドピン48が移動することにより、羽根板46が回転軸47を中心に回転する。
その結果、図2(b)に示す様に、8枚の羽根板46が、略同時に回転して瞳孔49が開く様になっている。瞳孔49が開くとき、瞳孔49を通るレーザ光7は、瞳孔49が開く前に比べて大きな直径のレーザ光7が通過可能となる。以上の様に、遮光部8には、絞り機構が形成されている。
(基板の分断方法)
次に本発明の基板の分断方法について図3〜図8にて説明する。図3は、基板の分断方法のフローチャートであり、図4〜図8は基板の分断方法を説明する図である。
次に本発明の基板の分断方法について図3〜図8にて説明する。図3は、基板の分断方法のフローチャートであり、図4〜図8は基板の分断方法を説明する図である。
図3のフローチャートにおいて、ステップS1は、予備測定工程に相当し、一部が遮光されたレーザ光において、改質部を形成に必要なレーザ光源の発光量を測定する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は、構造物データ入力工程に相当し、基板上に配置されている構造物の位置と形状とのデータを入力する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS3は、基板設置工程に相当し、基板をレーザスクライブ装置のステージ上に設置する工程である。次にステップS4に移行する。
ステップS4は移動工程に相当し、レーザスクライブ装置に設置されている基板を移動して、改質部を形成する予定の場所を集光部と対向する場所に移動する工程である。次にステップS5に移行する。ステップS5は、遮光工程に相当し、基板上の構造物に、レーザ光が照射されない様に、レーザ光の一部を遮光して、レーザ光の直径を規制する工程である。次にステップS6に移行する。ステップS6は、照射工程に相当し、基板にレーザ光を照射して改質部を形成する工程である。次にステップS7に移行する。
ステップS7は予定した領域総てに照射したかを判断する工程に相当し、改質部を形成する予定の領域と改質部を形成した領域とを比較し、改質部を形成する予定の領域で、まだ改質部を形成していない領域を検索する工程である。改質部を形成する予定の領域で、まだ改質部を形成していない領域があるとき(NOのとき)、ステップS4に移行する。改質部を形成する予定の領域で、改質部を形成していない領域がないとき(YESのとき)、ステップS8に移行する。ステップS4〜ステップS7を合わせてステップS11のスクライブ工程とする。
ステップS8は、分断工程に相当し、基板の改質部が配列して形成された場所を押圧して、基板を分断する工程である。以上の工程により基板を分断する加工が完了する。
次に、図4〜図8を用いて、図3に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。図4(a)及び図4(b)は、本実施形態で分断する基板の模式図である。図4(a)は基板の平面図であり、図4(b)は基板の側面図である。図4(a)に示す様に、基板10は矩形の板で構成されている。基板10は、レーザ光7に透過性のある材質からなり本実施形態では、例えば、石英ガラスを採用している。
基板10の平面方向において、基板10の長尺方向をX方向に配置し、X方向と直交する方向をY方向とする。また、基板10の厚さ方向をZ方向とする。基板10において、Y方向の中心線を通る厚さ方向(Z方向)の面を切断予定面50とする。基板10の両面には、構造物10a及び構造物10bが形成されており、構造物10a及び構造物10bの表面には、レーザ光が照射されることにより、損傷する膜が形成されている。従って、レーザスクライブするとき、構造物10a及び構造物10bの表面には、レーザ光が照射されないようにする必要がある。
切断予定面50と対向する場所には、構造物10a及び構造物10bが形成されておらず、凹部10c及び凹部10dが形成されている。凹部10cと凹部10dとは、幅が異なって形成され、凹部10cの幅は、凹部10dの幅より広く形成されている。
図5(a)及び図5(b)はステップS1に対応する図である。図5(a)に示す様に、遮光部8がレーザ光7の外周から光軸7bに向かって進行することにより、レーザ光7の一部を遮光する。そして、遮光されることにより、レーザ光の直径7dが小さくなる。直径の小さくなったレーザ光7を集光部9が、集光場所7cに集光して、基板51に照射する。基板51は、基板10と同じ材質により形成されており、基板10に改質部を形成するために必要とされる光量と、基板51に改質部を形成するために必要とされる光量とが同じ光量となっている。
レーザ光の直径7dを一定にして、レーザ光源2が発光するレーザ光7の光量を、小さい光量から大きい光量へと徐々に増加する。そして、所定の大きさの改質部52が形成され、改質部52の中央にクラック部53が形成されるときの、レーザ光源2におけるレーザ光7の発光量を測定する。続いて、レーザ光の直径7dを変更して、同様に、クラック部53が形成されるときの、レーザ光源2におけるレーザ光7の発光量を測定する。そして、レーザ光の直径7dの変更と、レーザ光源2の発光量測定を繰り返す。
図5(b)は、レーザ光の直径7dに対して、所定の大きさの改質部52が形成するために必要とするレーザ光源2におけるレーザ光7の光量を測定した例を示すグラフである。図の横軸は、レーザ光の直径7dを示し、左側より右側の方が、レーザ光の直径7dが大きくなっている。図の縦軸は、レーザ光源の発光量54を示し、下側より上側の方が、レーザ光源の発光量54が大きくなっている。
レーザ光の直径7dを変更して、所定の大きさの改質部52が形成されるときのレーザ光源2の発光量54を測定した後、レーザ光源2の発光量54の測定点55をプロットする。そして、最小2乗法を用いて、近似式を演算することにより相関データとしての相関曲線56を算出する。
相関曲線56において、レーザ光の直径7dが小さくなるほど、遮光部8により遮断される光量が増加することから、レーザ光源2の発光量54の増加が必要となっている。そして、この相関曲線56を用いて、所定のレーザ光の直径7dにおける、レーザ光源2の発光量54を算出することが可能となる。
ここで、レーザ光の直径7dは、レーザ光源2の発光量54の一部を遮光するときに、遮光されなかった照射量の代替となるパラメータとなっている。
ステップS2において、操作者は、図4(a)に示す構造物10a及び構造物10bの位置と形状とのデータを、入力装置34を用いて入力する。具体的には、基板10における左下の角に相当する場所を原点10eとして設定した後、構造物10aにおいて、凹部10c及び凹部10d付近の角状に形成されている場所10f〜場所10mの座標を入力する。続いて、構造物10bにおいて、凹部10c及び凹部10d付近の角状に形成されている場所10n〜場所10vの座標を入力する。入力されるデータは、メモリ26に構造物データ33として記憶される。
ステップS3において、操作者は、基板10をステージ20上に設置する。そして、基板10は、吸引式のチャック機構によりステージ20に固定される。続いて、操作者は、回転テーブル19を操作して、Y軸スライド18の移動方向と切断予定面50の方向とを揃える。
ステップS4において、改質部52を形成する予定の場所と対向する場所に集光部9を移動する。そして、改質部52を形成する予定の場所にレーザ光7を集光するように、レンズ移動機構12が集光部9を移動する。
図6(a)〜図8(a)は、ステップS4〜ステップS7を説明する図である。図6(a)は基板10をZ方向から見た図であり、図6(b)は基板10をX方向から見た図である。図6(c)は基板10をY方向から見た図である。図6(a)〜図6(c)に示す様に、レーザ光7が凹部10cに照射されるときを示している。
メインコンピュータ23の遮光演算部29は、構造物データ33を用いて、レーザ光の直径7dを演算する。つまり、構造物にレーザ光7が照射されないように遮光するときの光量である遮光量を演算する。そして、遮光制御装置39が遮光部8を駆動して、レーザ光の直径7dを演算した値に制御する。続いて、レーザ光照射演算部28が図5(b)に示す相関曲線56を用いて、レーザ光源2が発光する発光量を演算する。そして、レーザ光制御装置36が、レーザ光源2を制御して、演算された発光量のレーザ光7を発光させる。
図6(c)に示す様に、凹部10cでは、遮光部8が、レーザ光7を殆ど遮光すること無く、レーザ光7が照射される。そして、レーザ光7の直径は、構造物10aの間において、構造物10aの幅57より狭く集光されているので、レーザ光7は、構造物10aを照射することなく、基板10を照射する。その結果、レーザ光7の集光場所7cには、改質部52及びクラック部53が形成される。さらに、基板10を照射するレーザ光7は、構造物10bを照射しない様に照射される。
ステップS7において、メインコンピュータ23は、照射位置データ31に記憶されている照射予定の位置と照射済の位置とのデータを比較して、照射していない場所を検索する。このとき、改質部52を形成している段の中から検索する。そして、ステップS4〜ステップS7を繰り返すことにより、図6(b)に示す様に、改質部52を隣接して形成することにより、改質部52を配列して形成する。そして、まず1段目の改質部52aを配列して、形成する。
図7(a)は、レーザ光7が凹部10dに照射されるときにおいて、基板10をZ方向から見た図であり、図7(b)は基板10をX方向から見た図である。図7(c)は基板10をY方向から見た図である。図7(a)〜図7(c)に示す様に、レーザ光7が凹部10dに照射されるときを示している。この凹部10dの幅58は、凹部10cの幅57より狭く形成されている。
メインコンピュータ23の遮光演算部29は、構造物データ33を用いて、レーザ光の直径7dを演算する。そして、遮光制御装置39が遮光部8を駆動して、レーザ光の直径7dを演算した値に制御する。このとき、幅58は、幅57より狭いことから、レーザ光の直径7dは、凹部10cを照射するときに比べて小さい直径となるように遮光する。従って、集光部9から集光して照射されるレーザ光7は、構造物10a,10bを照射することなく、基板10を通過する。
続いて、レーザ光照射演算部28が図5(b)に示す相関曲線56を用いて、レーザ光源2が発光する発光量を演算する。そして、レーザ光制御装置36が、レーザ光源2を制御して、演算された発光量のレーザ光7を発光させる。このとき、レーザ光の直径7dは、凹部10cを照射するときに比べて小さい直径となっていることから、レーザ光源2が発光する光量は、凹部10cを照射するときに発光する光量より大きな光量を発光する。
その結果、凹部10dにおいても、基板10内部に改質部52が形成される。そして、ステップS4〜ステップS7を繰り返すことにより、図7(b)に示す様に、改質部52を配列して形成する。そして、まず1段目の改質部52aを配列して、形成する。1段目に改質部52を総て配列して形成することにより、1段目の改質部52aが完成する。続いて、1段目に形成されている改質部52aと、基板10の厚さ方向(図中Z方向)に隣接する場所に、改質部52を配列して、2段目の改質部を形成する。同様に、3段目以降も形成する。
その結果、図8(a)に示す様に、基板10の切断予定面50に沿って、改質部52が、配列されて形成されているスクライブ面59が形成される。
図8(b)〜図8(c)はステップS8に対応する図である。図8(b)に示す様に、基板10を弾性材などから少なくともなる台60の上に配置する。切断予定面50に形成されたスクライブ面59と対向する場所を、加圧部材61を用いて押圧する。基板10は台60に沈み込み、クラック部53に張力が作用する。基板10は、台60と接する面に近いクラック部53aを起点として破断が進行し、分断する。
その結果、図8(c)に示すように、基板10がスクライブ面59、で分断される。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、レーザ光7を照射されて損傷する構造物10aが基板10上に配置されている。ステップS5の遮光工程において、遮光演算部29が、構造物10aを照射しないように、レーザ光7を遮光する光量である遮光量を演算した後、遮光部8が、レーザ光7の一部を遮光する。そして、レーザスクライブ装置1は、一部が遮光されたレーザ光7を基板10に照射する為、構造物10aにレーザ光7が照射されないように、レーザ光7を基板10に照射することができる。従って、基板10上に配置される構造物10aに損傷を与えずに、レーザスクライブすることができる。その結果、構造物10aがレーザ光7により損傷を受けることを防止することができる。
(1)本実施形態によれば、レーザ光7を照射されて損傷する構造物10aが基板10上に配置されている。ステップS5の遮光工程において、遮光演算部29が、構造物10aを照射しないように、レーザ光7を遮光する光量である遮光量を演算した後、遮光部8が、レーザ光7の一部を遮光する。そして、レーザスクライブ装置1は、一部が遮光されたレーザ光7を基板10に照射する為、構造物10aにレーザ光7が照射されないように、レーザ光7を基板10に照射することができる。従って、基板10上に配置される構造物10aに損傷を与えずに、レーザスクライブすることができる。その結果、構造物10aがレーザ光7により損傷を受けることを防止することができる。
(2)本実施形態によれば、レーザ光照射演算部28が、レーザ光7の発光量を演算した後、レーザ光制御装置36がレーザ光7の光量を制御する。このとき、遮光部8がレーザ光7を一部遮光するときに、減衰する光量を補う光量をレーザ光源2が発光する。従って、遮光部8がレーザ光7の一部を遮光したレーザ光7を基板10に照射するときにも、基板10の内部に、改質部52を形成することができる。その結果、品質良く基板10を分断することができる。
(3)本実施形態によれば、遮光部8は、レーザ光源2と集光部9との間の光軸7b上に配置されている。従って、集光部9と基板10との間に、遮光部8を配置する場合に比べて、集光部9を基板10に近づけることができる。その結果、基板10の深い場所に改質部52を形成することができる。
(4)本実施形態によれば、入力装置34から入力された構造物10a,10bの形状データが記憶部により、メモリ26に構造物データ33として、記憶される。遮光演算部29は、構造物10a,10bの形状データを用いて、照射する予定のレーザ光7が、構造物10a,10bを照射するか、否かの判断をする。そして、照射する予定のレーザ光7が、構造物10a,10bを照射するとき、レーザ光7の一部を遮光して、構造物10a,10bにレーザ光7が照射されないようにして、基板10にレーザ光7を照射する。従って、構造物10a,10bの形状に合わせて、レーザ光7の一部を遮光することから、確実に、構造物10a,10bにレーザ光7が照射されない様にすることができる。その結果、構造物10a,10bは、レーザ光7による損傷を防止できる。
(5)本実施形態によれば、レーザ光7は、羽根板46によって、略円形となるように遮光される。そして、レーザ光7が照射されて形成される改質部52は、円柱状に形成される。従って、改質部52は、レーザ光7の進行方向に軸を有する円柱状に形成することができる。その結果、改質部52の中央に、クラック部53を形成し易くすることができる。
(6)本実施形態によれば、ステップS1の予備測定工程において、改質部52を形成可能となる条件におけるレーザ光の直径7dとレーザ光源2の発光量54との相関曲線56を測定している。そして、この相関曲線56を用いて、所定の遮光量における、改質部52を形成可能となる発光量を演算する。そして、その演算した発光量のレーザ光7を発光した後、集光して、照射している。つまり、遮光部8がレーザ光7を一部遮光するときに、減衰する光量を補う光量をレーザ光源2が発光する。従って、遮光部8がレーザ光7の一部を遮光したレーザ光7を基板10に照射するとき、基板10の内部に、改質部52を形成することができる。その結果、遮光部8がレーザ光7を一部遮光するときにも、品質良く基板10を分断することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した基板の分断方法の一実施形態について図9〜図11を用いて説明する。図9はレーザスクライブ装置の構成を示す図であり、図10は、基板の分断方法のフローチャートである。そして、図11は、基板の分断方法を説明する図である。
この実施形態が第1の実施形態と異なるところは、構造物のデータを入力するのに換えて、検出装置が構造物の形状を測定する点にある。
次に、本発明を具体化した基板の分断方法の一実施形態について図9〜図11を用いて説明する。図9はレーザスクライブ装置の構成を示す図であり、図10は、基板の分断方法のフローチャートである。そして、図11は、基板の分断方法を説明する図である。
この実施形態が第1の実施形態と異なるところは、構造物のデータを入力するのに換えて、検出装置が構造物の形状を測定する点にある。
図9に示す様に、レーザスクライブ装置65は、レンズ移動機構12の右側に撮像装置66及び照明装置67を備えている。撮像装置66は、撮像装置13と同様な装置であり、同軸落射型光源とCCDが組み込まれたものである。同軸落射型光源及び照明装置67が、基板10に可視光を照射しながら、撮像装置66が、構造物10aの画像を撮像するようになっている。
撮像装置66は、画像演算装置38と接続されており、撮像装置66は、構造物10aの画像を画像演算装置38に送信する。そして、画像演算装置38は、構造物10aの画像を演算して、構造物10aの位置及び形状のデータをメインコンピュータ23に出力する。制御装置68を構成するメインコンピュータ23は、構造物演算部69を備えており、構造物演算部69は、画像演算装置38が出力するデータと、ステージ制御装置40が出力するX軸スライド16及びY軸スライド18の位置情報と、回転テーブル19の角度情報とを用いて、構造物10aの位置と形状のデータを演算する。その後、記憶部30は、構造物10aの位置及び形状のデータを構造物データ33として、メモリ26に記憶する。従って、画像演算装置38は、撮像装置13の出力する画像及び、撮像装置66の出力する画像の演算を行っている。そして、撮像装置66、画像演算装置38及び構造物演算部69などにより検出部が構成されている。
図10のフローチャートにおいて、ステップS21は、予備測定工程に相当し、図3のステップS1と同じ工程であり、説明を省略する。次にステップS22に移行する。ステップS22は、基板設置工程に相当し、ステップS3と同じ工程であり、説明を省略する。次にステップS23に移行する。ステップS23は、構造物検出工程に相当し、撮像装置を用いて構造物の画像を撮像して、画像演算装置を用いて、構造物の位置と形状の情報を演算する工程である。次にステップS24に移行する。ステップS24〜ステップS31は、図3のステップS4〜ステップS11と同じであり、説明を省略する。以上の工程により基板を分断する加工が完了する。
次に、図11を用いて、図10に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。ステップS21及びステップS22は、第1の実施形態と同様の工程であり、説明を省略する。図11(a)及び図11(b)はステップS23に対応する図である。図11(a)及び図11(b)に示す様に、基板10は、レーザスクライブ装置65のステージ20に設置されている。基板10と対向する場所には、撮像装置66及び照明装置67が配置されており、撮像装置66及び照明装置67から可視光が照射される。そして、撮像装置66は、基板10及び構造物10aを撮像する。
最初に、撮像装置66は、基板10における左下の角にある原点10eを撮像する。画像演算装置38は、撮像装置66が撮像する画像から、原点10eを検出した後、原点10eの情報をメインコンピュータ23に送信する。次に、構造物演算部69が、原点10eの情報と、X軸スライド16及びY軸スライド18の位置情報と、回転テーブル19の角度情報とを用いて、原点10eの位置を演算した後、記憶部30がメモリ26に記憶する。
次に、撮像装置66は、切断予定面50に沿って、移動することにより、基板10及び構造物10aの画像を撮像する。画像演算装置38は、構造物10aにおいて、凹部10c付近の角状に形成されている場所10fを検出した後、メインコンピュータ23に出力する。次に、構造物演算部69が、場所10fの情報と、X軸スライド16及びY軸スライド18の位置情報と、回転テーブル19の角度情報とを用いて、場所10fの位置データを演算した後、記憶部30がメモリ26に記憶する。続いて、場所10g〜場所10mにおいても同様に、撮像装置66による撮像と、画像演算装置38及び構造物演算部69による演算とを繰り返して、場所10g〜10mの位置を演算した後、記憶部30が場所10g〜場所10mの位置データをメモリ26に記憶する。
ステップS24〜ステップS28は、第1の実施形態と同様の工程であり、説明を省略する。そして、基板10が分断されて、加工が終了する。
上述したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(3)及び(5)、(6)に加えて、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ステップS23の構造物検出工程において、撮像装置66が構造物10aを撮像して、画像演算装置38が、構造物10aの場所10f〜10mの位置を検出した後、構造物演算部69が、構造物の位置データを演算する。そして、構造物10aの形状データが記憶部30により、メモリ26に構造物データ33として、記憶される。従って、構造物10aの形状データが無いときにも、レーザスクライブ装置65が、構造物10aの形状を測定した後、ステップS26の照射工程では、構造物10aにレーザ光7を照射せずに、レーザスクライブを行っている。その結果、構造物10aの形状データが無いときにも、構造物10aは、レーザ光7による損傷を防止できる。
(1)本実施形態によれば、ステップS23の構造物検出工程において、撮像装置66が構造物10aを撮像して、画像演算装置38が、構造物10aの場所10f〜10mの位置を検出した後、構造物演算部69が、構造物の位置データを演算する。そして、構造物10aの形状データが記憶部30により、メモリ26に構造物データ33として、記憶される。従って、構造物10aの形状データが無いときにも、レーザスクライブ装置65が、構造物10aの形状を測定した後、ステップS26の照射工程では、構造物10aにレーザ光7を照射せずに、レーザスクライブを行っている。その結果、構造物10aの形状データが無いときにも、構造物10aは、レーザ光7による損傷を防止できる。
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化した基板の分断方法の一実施形態について図12〜図13を用いて説明する。図12は、基板の分断方法のフローチャートであり、図13は、基板の分断方法を説明する図である。
この実施形態が第2の実施形態と異なるところは、構造物検出工程と照射工程とを並行して行う点にある。
次に、本発明を具体化した基板の分断方法の一実施形態について図12〜図13を用いて説明する。図12は、基板の分断方法のフローチャートであり、図13は、基板の分断方法を説明する図である。
この実施形態が第2の実施形態と異なるところは、構造物検出工程と照射工程とを並行して行う点にある。
図12のフローチャートにおいて、ステップS41及びステップS42は、図10のステップS21及びステップS22と同じ工程であり、説明を省略する。次にステップS43に移行する。ステップS43は、移動工程に相当し、レーザスクライブ装置に設置されている基板を移動して、改質部を形成する予定の場所を集光部と対向する場所に移動する。並行して、構造物の形状を測定する場所を撮像装置と対向する場所に移動する工程である。次にステップS44及びステップS45に移行する。ステップS44は、構造物検出工程に相当し、撮像装置を用いて構造物の画像を撮像して、画像演算装置を用いて、構造物の位置と形状の情報を演算する工程である。次にステップS47に移行する。
ステップS45は、遮光工程に相当し、基板上の構造物に、レーザ光が照射されない様に、レーザ光の一部を遮光して、レーザ光の直径を規制する工程である。次にステップS46に移行する。ステップS46は、照射工程に相当し、基板にレーザ光を照射して改質部を形成する工程である。次にステップS47に移行する。ステップS44と、ステップS45及びステップS46とは、並行して行われる。
ステップS47は予定した領域総てに照射したかを判断する工程に相当し、改質部を形成する予定の領域と改質部を形成した領域とを比較し、改質部を形成する予定の領域で、まだ改質部を形成していない領域を検索する工程である。改質部を形成する予定の領域で、まだ改質部を形成していない領域があるとき(NOのとき)、ステップS43に移行する。改質部を形成する予定の領域で、改質部を形成していない領域がないとき(YESのとき)、ステップS48に移行する。ステップS43〜ステップS47を合わせてステップS51のスクライブ工程とする。
ステップS48は、分断工程に相当し、基板の改質部が配列して形成された場所を押圧して、基板を分断する工程である。以上の工程により基板を分断する加工が完了する。
次に、図13を用いて、図12に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。ステップS41及びステップS42は、第1の実施形態におけるステップS1、ステップS3と同様であり、説明を省略する。図13(a)及び図13(b)は、ステップS43〜ステップS46に対応する図である。図13(a)及び図13(b)に示す様に、基板10の切断予定面50と対向する場所に集光部9及び撮像装置66を配置する。
最初に、ステップS43において、撮像装置66が切断予定面50上の端50aと対向する場所に移動する。そして、ステップS44において、基板10及び構造物10aの画像を撮像する。次に、画像演算装置38が、その画像を演算した後、場所10f及び場所10jを検出した後、構造物演算部69が、場所10f及び場所10jの位置と、構造物10aの形状とを演算する。そして、記憶部30は、構造物演算部69が演算したデータを構造物データ33としてメモリ26に記憶する。
ステップS43とステップS44とを繰り返して、構造物10aの構造物データ33が記憶される。そして、ステージ20がY方向に移動して、集光部9の光軸7bと対向する場所に、基板10の切断予定面50が位置するとき、ステップS45に移行する。そして、遮光演算部29は、照射位置データ31及び構造物データ33を用いて、レーザ光の直径7dを演算する。次に、遮光制御装置39が、遮光部8を制御して、遮光部8を通過するレーザ光の直径7dを変更する。
続いて、ステップS46において、レーザ光照射演算部28が、相関曲線56を用いてレーザ光源2の発光量を演算する。そして、レーザ光制御装置36がレーザ光源2を制御して、レーザ光源2が発光するレーザ光7の発光量を変更した後発光する。発光されたレーザ光7は、遮光部8により一部遮光された後、集光部9により集光されて、基板10内部の集光場所7cに照射される。集光場所7cには、改質部52が形成され、改質部52の中央には、クラック部53が形成される。
ステージ20がY方向に移動するとき、撮像装置66と対向する場所は、撮像していない場所となり、集光部9と対向する場所は、改質部52が形成されていない場所となることがある。このとき、ステップS44と、ステップS45及びステップS46を並行して行う。
ステップS47において、メインコンピュータ23は、照射位置データ31に記憶されている照射予定の位置と照射済の位置とのデータを比較して、照射していない場所を検索する。そして、ステップS43〜ステップS47を繰り返すことにより、図13(b)に示す様に、改質部52を隣接して形成することにより、改質部52を配列して形成する。
最初に、1段目の改質部52aを形成した後、その上に2段目及び2段目以降の改質部52を形成する。続いて、ステップS48において、基板10を切断予定面50に沿って押圧することにより、基板10を分断する。以上の工程により基板を分断する加工が完了する。
上述したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(3)及び(5)、(6)、第2の実施形態の効果(1)に加えて、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ステップS44の構造物検出工程と、ステップS45の遮光工程及びステップS46照射工程とが並行して行われる。従って、ステップS44を行って、基板10の構造物10aを検出した後、ステップS45及びステップS46を行って、レーザスクライブする方法に比べて、短い時間で加工することができる。従って、生産性良く基板を分断することができる。
(1)本実施形態によれば、ステップS44の構造物検出工程と、ステップS45の遮光工程及びステップS46照射工程とが並行して行われる。従って、ステップS44を行って、基板10の構造物10aを検出した後、ステップS45及びステップS46を行って、レーザスクライブする方法に比べて、短い時間で加工することができる。従って、生産性良く基板を分断することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明を具体化したレーザスクライブ装置の一実施形態について図14を用いて説明する。図14は、遮光部の模式平面図である。図14(a)は、遮光する光量が小さいときの模式平面図であり、図14(b)は、遮光する光量が大きいときの模式平面図である。この実施形態が第1の実施形態と異なるところは、遮光部が遮光する方法が異なる点にあり、図1に示す遮光部8が遮光部72と代替される。
次に、本発明を具体化したレーザスクライブ装置の一実施形態について図14を用いて説明する。図14は、遮光部の模式平面図である。図14(a)は、遮光する光量が小さいときの模式平面図であり、図14(b)は、遮光する光量が大きいときの模式平面図である。この実施形態が第1の実施形態と異なるところは、遮光部が遮光する方法が異なる点にあり、図1に示す遮光部8が遮光部72と代替される。
図14(a)に示す様に、遮光部72は、土台73を備えている。土台73上には、直動機構74が配置されている。直動機構74は、X方向に延びるネジ軸74a(駆動軸)と、同ネジ軸74aと螺合するボールナット74bを供えたネジ式直動機構であって、そのネジ軸74aが、所定のパルス信号を受けて所定のステップ単位で正逆転するモータ74cに、連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号が、モータ74cに入力されると、モータ74cが正転又は反転して、ボールナット74bが同ステップ数に相当する分だけ、X方向に沿って往動又は復動するようになっている。
ボールナット74bには、支持ピン75を介して、移動板76が接続されている。移動板76には、2つのガイド孔76aが形成されており、ガイド孔76aを摺動する摺動ピン77を介して、羽根板78と接続されている。羽根板78のX方向には、両側にガイドレール79が配置され、羽根板78は、ガイドレール79に沿って、上下(Y方向)に移動可能となっている。
モータ74cが回転して、ボールナット74bが左右に移動するとき、移動板76は、ボールナット74bと伴って左右に移動する。移動板76に形成されているガイド孔76aは、移動板76が移動する方向に対して斜めに形成されており、摺動ピン77を介して接続されている羽根板78は上下に移動可能となっていることにより、移動板76が左右に移動するとき、羽根板78が上下に移動する様になっている。
図14(b)に示す様に、移動板76が左へ移動するとき、羽根板78が光軸7bに向かって移動することにより、2枚の羽根板78の間隔が狭くなる。そして、レーザ光7の一部分である円弧部7e,7fが、羽根板78によって、遮光される。この羽根板78のうち、レーザ光7を遮光する端部78aは直線状に形成されていることから、レーザ光7は、外周の一部が直線となるように遮光される。
上述したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(4)及び(6)に加えて、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、レーザ光7の一部分である円弧部7e,7fが、羽根板78によって、略直線となるように遮光される。基板10上の構造物10aの辺が直線により構成されるとき、レーザ光7が構造物10aを照射する予定の部分に相当する円弧部7e,7fを遮光する。このとき、構造物10aの辺が直線であることから、レーザ光7の外周を略直線となるように、遮光することにより、曲線状の羽根板で遮光するより、小さい光量の遮光で、レーザ光7が構造物10aを照射しない様にすることができる。遮光する光量が小さいことから、レーザ光7は、小さい光量の減衰となる。従って、レーザ光7の減衰が少ないことから、改質部52が形成され易くなる。その結果、品質良く改質部52を形成することができる。
(1)本実施形態によれば、レーザ光7の一部分である円弧部7e,7fが、羽根板78によって、略直線となるように遮光される。基板10上の構造物10aの辺が直線により構成されるとき、レーザ光7が構造物10aを照射する予定の部分に相当する円弧部7e,7fを遮光する。このとき、構造物10aの辺が直線であることから、レーザ光7の外周を略直線となるように、遮光することにより、曲線状の羽根板で遮光するより、小さい光量の遮光で、レーザ光7が構造物10aを照射しない様にすることができる。遮光する光量が小さいことから、レーザ光7は、小さい光量の減衰となる。従って、レーザ光7の減衰が少ないことから、改質部52が形成され易くなる。その結果、品質良く改質部52を形成することができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明を具体化した液晶表示装置の製造方法の一実施形態について図15〜図19を用いて説明する。
本実施形態では、本発明における基板の分断方法を用いて液晶表示装置を製造する場合の例を説明する。ここで、本発明の特徴的な製造方法について説明する前に、液晶表示装置について説明する。
次に、本発明を具体化した液晶表示装置の製造方法の一実施形態について図15〜図19を用いて説明する。
本実施形態では、本発明における基板の分断方法を用いて液晶表示装置を製造する場合の例を説明する。ここで、本発明の特徴的な製造方法について説明する前に、液晶表示装置について説明する。
(液晶表示装置)
まず、液晶表示装置について説明する。図15(a)は、液晶表示装置の模式平面図であり、図15(b)は、図15(a)の液晶表示装置のA−A’線に沿う模式断面図である。
まず、液晶表示装置について説明する。図15(a)は、液晶表示装置の模式平面図であり、図15(b)は、図15(a)の液晶表示装置のA−A’線に沿う模式断面図である。
図15(a)及び図15(b)において、本実施形態の電気光学装置としての液晶表示装置82は、対をなすTFTアレイ基板83と対向基板84とが熱硬化性の封止材であるシール85によって貼り合わされ、このシール85によって区画される領域内に封入された液晶86からなる液晶層を備えている。シール85は、基板面内の領域において閉ざされた枠形状に形成されている。
シール85の内側で対向基板84の液晶86側の面には、遮光性材料で配線を隠すための周辺見切り87が形成されている。シール85の外側の場所には、データ線駆動回路88及び電極端子89がTFTアレイ基板83の辺83a(図15(a)中下側の辺)に沿って形成されており、この辺83aに隣接する辺83b及び辺83c(図15(a)中左右の辺)に沿って走査線駆動回路90が形成されている。データ線駆動回路88、電極端子89及び走査線駆動回路90は配線91aにより電気的に接続されている。TFTアレイ基板83の残る辺83d(図15(a)中上側の辺)には、2つの走査線駆動回路90の間を接続するための配線91bが設けられている。また、対向基板84のコーナー部の4箇所においては、TFTアレイ基板83と対向基板84との間で電気的導通をとるための基板間導通材92が配設されている。対向基板84のTFTアレイ基板83側には対向電極93が配置され、基板間導通材92と電気的に接続されている。さらに、対向電極93のTFTアレイ基板83側には配向膜94が配置されている。
液晶は、該液晶を挟持する電極に電圧を印加すると液晶分子の液晶の傾き角度が変化する性質を持っており、TFTのスイッチング動作により、液晶にかける電圧をコントロールして液晶の傾き角度を制御し、画素毎に光を透過させたり遮ったりする動作を行う。尚、光が液晶により遮られた画素には当然光は入射しないため、黒色となる。このようにTFTのスイッチング動作により、液晶をシャッタとして動作させることにより、画素毎に光の透過をコントロールし、画素を明滅させることにより、映像を表示させることができる。
このような構造を有する液晶表示装置82の画像を表示する領域には、複数の画素95がm行n列のマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素95の各々には、画素信号をスイッチングするスイッチング素子であるTFT(Thin Film Transistor)が形成されている。画素信号を供給するデータ線(ソース配線)がTFTのソース電極に電気的に接続され、走査信号を供給する走査線(ゲート配線)がTFTのゲート電極に電気的に接続され、TFTのドレイン電極に画素電極97が電気的に接続されている。走査線が接続されるTFTのゲート電極には、所定のタイミングで、走査線からパルス信号の走査信号が供給される。
画素電極97は、TFTのドレイン電極に電気的に接続されており、TFTを一定期間だけオン状態とすることにより、データ線から供給される画素信号が各画素95の画素電極97に所定のタイミングで供給される。このようにして画素電極97に供給された所定レベルの画素信号の電圧レベルは、対向基板84の対向電極93と画素電極97との間で保持され、画素信号の電圧レベルに応じて、液晶86の光透過量が変化する。
画素電極97の対向基板84側には配向膜98が配置されている。配向膜94と配向膜98とにはその表面に溝状の凹凸が形成されており、配向膜94と配向膜98との間に充填された液晶86は、配向膜94と配向膜98とに形成されている溝状の凹凸に沿って配列して形成される。
TFTアレイ基板83において、液晶86と反対側の面には、構造物としての防塵ガラス99が、接合されて配置され、対向基板84において、液晶86と反対側の面には、構造物としての防塵ガラス100が、接合されて配置されている。防塵ガラス99,100は、TFTアレイ基板83及び対向基板84に塵及び埃が付着することを防止している。また、防塵ガラス99,100に塵及び埃が付着しても、この塵埃等と液晶86との間の距離が防塵ガラス99,100の厚み分だけ長くなる。外部に配置された投影レンズにより液晶表示装置82の画素95により形成される画像を投影するとき、塵埃等の像がデフォーカスされ、スクリーン上に大きくぼやけて表示されるので目立たなくすることができる。
防塵ガラス99において、TFTアレイ基板83と反対側の面には、光学薄膜99aが形成され、防塵ガラス100において、対向基板84と反対側の面には、光学薄膜100aが形成されている。この光学薄膜99a及び光学薄膜100aは可視光を透過し紫外線を遮断する機能を有している。
液晶表示装置82を通過する光の光軸上には偏光シートが配置され、この偏光シート及び液晶86の作用により、液晶表示装置82を透過する光透過量が変化するようになっている。
(液晶表示装置の製造方法)
次に、上述した液晶表示装置82における基板の分断方法について図16〜図19にて説明する。図16は、液晶表示装置の製造方法のフローチャートであり、図17〜図19は液晶表示装置の製造方法を説明する図である。
次に、上述した液晶表示装置82における基板の分断方法について図16〜図19にて説明する。図16は、液晶表示装置の製造方法のフローチャートであり、図17〜図19は液晶表示装置の製造方法を説明する図である。
図16のフローチャートにおいて、ステップS61は、予備測定工程に相当し、遮光されたレーザ光の直径において、改質部を形成に必要なレーザ光源の発光量を測定する工程である。次にステップS62に移行する。ステップS62は、構造物データ入力工程に相当し、基板上に配置されている構造物の位置と形状とのデータを入力する工程である。次にステップS63に移行する。
ステップS63は対向マザー基板の第1スクライブ工程に相当し、対向マザー基板の一方向にスクライブする工程である。次にステップS64に移行する。ステップS64は対向マザー基板の第2スクライブ工程に相当し、対向マザー基板において、ステップS63でスクライブした方向と直交する方向にスクライブする工程である。次にステップS65に移行する。
ステップS65はTFTアレイマザー基板の第1スクライブ工程に相当し、TFTアレイマザー基板の一方向にスクライブする工程である。次にステップS66に移行する。ステップS66はTFTアレイマザー基板の第2スクライブ工程に相当し、TFTアレイマザー基板において、ステップS65でスクライブした方向と直交する方向にスクライブする工程である。ステップS63〜ステップS66とを合わせてステップS81とする。ステップS81は、スクライブ工程に相当する。次にステップS67に移行する。
ステップS67はTFTアレイマザー基板の第1分断工程に相当し、TFTアレイマザー基板の一方向を分断する工程である。次にステップS68に移行する。ステップS68はTFTアレイマザー基板の第2分断工程に相当し、TFTアレイマザー基板において、ステップS67で分断した方向と直交する方向を分断する工程である。次にステップS69に移行する。ステップS69は対向マザー基板の第1分断工程に相当し、対向マザー基板の一方向を分断する工程である。次にステップS70に移行する。ステップS70は対向マザー基板の第2分断工程に相当し、対向マザー基板において、ステップS69で分断した方向と直交する方向を分断する工程である。ステップS67〜ステップS70とを合わせてステップS82とする。ステップS82は、分断工程に相当する。以上の工程により、液晶表示装置82が形成される。
次に、図17〜図19を用いて、図16に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。ステップS61において、遮光されたレーザ光の直径7dにおいて、改質部52を形成するのに必要なレーザ光源2の発光量を測定する。この方法は、第1の実施形態のステップS1と同様であり、説明を省略する。
図17(a)及び図17(b)はステップS62に対応する図である。図17(a)は、液晶表示装置が区画形成された対向マザー基板を示す模式図である。図17(b)は、図17(a)のB−B’線に沿った模式断面図である。
図17(a)及び図17(b)に示すように、マザー基板103は、対向マザー基板104とTFTアレイマザー基板105とが、シール85を介して接合されることにより、形成されている。対向マザー基板104は、基板としての対向大判基板104aと防塵ガラス100とが接合されている。この対向大判基板104aの防塵ガラス100と反対側の面には、対向電極93及び配向膜94等が形成されている。同様に、TFTアレイマザー基板105は、基板としてのTFTアレイ大判基板105aと防塵ガラス99とが接合されている。そして、このTFTアレイ大判基板105aの防塵ガラス99と反対側の面には、画素電極97、配向膜98、データ線駆動回路88、走査線駆動回路90等が形成されている。対向マザー基板104及びTFTアレイマザー基板105の形成方法は公知の方法により製造されており、説明を省略する。
ステップS62において、操作者は、TFTアレイ大判基板105a上に配置されている防塵ガラス99及び、対向大判基板104a上に配置されている防塵ガラス100の位置と形状とのデータを入力する。対向大判基板104a及びTFTアレイ大判基板105aには、基準マーク106が2個毎形成されており、基準マーク106の位置を原点として防塵ガラス99,100の位置と形状とを示す座標を入力する。尚、図においては、基準マーク106の1個が省略されている。
防塵ガラス99,100は略矩形に形成されており、四隅の角部99b〜角部99e及び、角部100b〜角部100eの位置を示す座標を入力する。入力されるデータは、メモリ26に構造物データ33として記憶される。
図15に示す液晶表示装置82を形成する為に、対向マザー基板104を分断する予定の面をH対向切断面107、V対向切断面108と表記する。H対向切断面107は、一点鎖線で示した対向マザー基板104の切断面であり、図17(a)のX軸方向に延在する切断面である。図17(a)に示した、107a,107b,107c,107d,107eは、それぞれH対向切断面107である。
V対向切断面108は、一点鎖線で示した対向マザー基板104の切断面であり、図17(a)のY軸方向に延在する切断面である。図17(a)に示した、108a,108b,108cは、それぞれV対向切断面108である。
同様に、TFTアレイマザー基板105を分断する予定の面をH素子切断面109、V素子切断面110と表記する。H素子切断面109は、一点鎖線で示したTFTアレイマザー基板105の切断面であり、図17(a)のX軸方向に延在する切断面である。図17(a)に示した、109a,109b,109cは、それぞれH素子切断面109である。
V素子切断面110は、一点鎖線で示したTFTアレイマザー基板105の切断面であり、図17(a)のY軸方向に延在する切断面である。図17(a)に示した、110a,110b,110cは、それぞれV素子切断面110である。
図18(a)及び図18(b)はステップS63に対応する図である。図18(a)に示す様に、マザー基板103をレーザスクライブ装置1のステージ20に配置する。続いて、V対向切断面108のレーザ光7を照射する場所と対向する場所に、集光部9が位置する様に、マザー基板103を移動する。そして、メインコンピュータ23の遮光演算部29は、メモリ26から構造物データ33を受信した後、防塵ガラス100の位置データを用いて、レーザ光の直径7dの値を演算する。次に、遮光制御装置39に、その値を送信する。遮光制御装置39は、遮光部8を通過するレーザ光の直径7dが演算した値となる様に遮光部8を制御する。
続いて、レーザ光照射演算部28が、改質部52を形成可能なレーザ光7の発光量を演算して、レーザ光制御装置36に、演算した値を送信する。レーザ光制御装置36は、その演算した値を受信した後、演算した発光量のレーザ光7を、レーザ光源2が発光するように、レーザ光源2を制御する。それで、レーザ光源2が、演算した光照射量の照射を可能にする光量のレーザ光7を発光する。発光されたレーザ光7は、集光部9により集光されて、集光場所7cに照射される。
レーザ光7が集光されて照射された集光場所7cには、改質部52が形成され、改質部52の中央には、クラック部53が形成される。本実施形態においては、対向大判基板104aに石英ガラスを用いていることから、クラック部53には、空洞が形成される。レーザ光7は、一部が遮光部8により遮光されることにより、レーザ光の直径7dが規制される。そのため、レーザ光7は、防塵ガラス100を照射することなく、対向大判基板104aを照射する。そして、レーザ光7の一部が遮光部8に遮光されて、レーザ光7の光量が減衰しても、レーザ光源2が発光する光量は、改質部52が形成可能となる光量に、制御されているので、集光場所7cには、改質部52が形成される。
以上の移動と照射とを繰り返して、スクライブを行い、改質部52を配列して1段目の改質部52aを、対向大判基板104aのV対向切断面108に沿って形成する。続いて、1段目と隣接する場所に改質部52を配列して2段目の改質部52bを形成する。3段目以降についても、同様の方法で、改質部52を配列して形成する。その結果、図18(c)に示す様に、対向大判基板104aのV対向切断面108総てに、改質部52が配列して形成され、改質部52の中央にはクラック部53が形成される。この一連の工程は、第1の実施形態に記載の方法を用いて行われる。
ステップS64においては、対向大判基板104aのH対向切断面107に沿ってレーザ光7を照射し、スクライブを行う。続いて、ステップS65において、マザー基板103を反転し、TFTアレイ大判基板105aのV素子切断面110に沿ってレーザ光7を照射して、スクライブを行う。続いて、ステップS66において、TFTアレイマザー基板105のH素子切断面109に沿ってレーザ光7を照射し、スクライブを行う。スクライブ方法については、ステップS63と同様であり、詳細な説明は省略する。
図19(a)〜図19(b)はステップS67に対応する図である。図19(a)に示す様に、マザー基板103を弾性材などからなる台111の上に配置する。マザー基板103の防塵ガラス99が台111と接する様に配置し、対向大判基板104aにおいて、H素子切断面109に配列して形成されているクラック部53と対向する場所を、加圧部材112を用いて押圧する。TFTアレイ大判基板105aは台111に沈み込み、クラック部53に張力が作用する。TFTアレイ大判基板105aは、台111と接する面に近いクラック部53bを起点として破断が進行し、分断する。図19(b)に示す様に、その結果、TFTアレイ大判基板105aは、H素子切断面109で分断される。
ステップS68においては、TFTアレイ大判基板105aのV素子切断面110に沿って形成されているクラック部53を分断する。続いて、ステップS69において、マザー基板103を反転し、対向大判基板104aのH対向切断面107に沿って形成されているクラック部53を分断する。続いて、ステップS70において、対向大判基板104aのV対向切断面108に沿って形成されているクラック部53を分断する。分断方法については、ステップS67と同様であり、詳細な説明は省略する。
以上の工程により、マザー基板103が分割されて、図15(a)に示す液晶表示装置82の形状に形成され、液晶表示装置82が完成する。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、第1の実施形態における方法を用いて、レーザ光7を照射している。そして、対向大判基板104a上に防塵ガラス100があるときにも、防塵ガラス100にレーザ光7が照射されない様にしながら、対向大判基板104aにレーザ光7を照射している。同様に、TFTアレイ大判基板105a上に防塵ガラス99があるときにも、防塵ガラス99にレーザ光7が照射されない様にしながら、TFTアレイ大判基板105aにレーザ光7を照射している。従って、防塵ガラス99,100が、レーザ光7により損傷されずに対向大判基板104a及びTFTアレイ大判基板105aが分断される。その結果、防塵ガラス99,100に、損傷を与えずに分断されているTFTアレイ基板83及び対向基板84を備えた液晶表示装置82とすることができる。
(1)本実施形態によれば、第1の実施形態における方法を用いて、レーザ光7を照射している。そして、対向大判基板104a上に防塵ガラス100があるときにも、防塵ガラス100にレーザ光7が照射されない様にしながら、対向大判基板104aにレーザ光7を照射している。同様に、TFTアレイ大判基板105a上に防塵ガラス99があるときにも、防塵ガラス99にレーザ光7が照射されない様にしながら、TFTアレイ大判基板105aにレーザ光7を照射している。従って、防塵ガラス99,100が、レーザ光7により損傷されずに対向大判基板104a及びTFTアレイ大判基板105aが分断される。その結果、防塵ガラス99,100に、損傷を与えずに分断されているTFTアレイ基板83及び対向基板84を備えた液晶表示装置82とすることができる。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、レーザ光制御装置36を制御して、レーザ光7の光量を制御したが、光軸7a,7b上に光量を制御するフィルタを用いて、基板10に照射するレーザ光7の光量を制御しても良い。応答性良く、光量を調整することができる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、レーザ光制御装置36を制御して、レーザ光7の光量を制御したが、光軸7a,7b上に光量を制御するフィルタを用いて、基板10に照射するレーザ光7の光量を制御しても良い。応答性良く、光量を調整することができる。
(変形例2)
前記第1の実施形態では、テーブル部4を駆動して基板10を移動したが、光学経路部3を移動するテーブルを備えて、光学経路部3を移動可能とする装置にしても良い。基板10が大きい基板のとき、装置を大きくせずに構成することができる。従って、省スペースな装置とすることができる。
前記第1の実施形態では、テーブル部4を駆動して基板10を移動したが、光学経路部3を移動するテーブルを備えて、光学経路部3を移動可能とする装置にしても良い。基板10が大きい基板のとき、装置を大きくせずに構成することができる。従って、省スペースな装置とすることができる。
(変形例3)
前記第1〜第5の実施形態では、レーザ光源2にYAGレーザを用いたが、フェムト秒レーザを用いても良い。出射するレーザ光を加工対象物の内部に集光して多光子吸収による改質部を形成できる光源であれば良い。例えば、チタンサファイアを固体光源とするレーザ光をフェムト秒のパルス幅で出射するいわゆるフェムト秒レーザを採用しても良い。発光条件及び集光レンズの条件の例としては、パルスレーザ光は、波長分散特性を有しており、中心波長が800nmであり、その半値幅はおよそ20nmである。またパルス幅はおよそ300fs(フェムト秒)、パルス周期は1kHz、出力はおよそ700mWである。集光レンズは、この場合、倍率が100倍、開口数(NA)が0.8、WD(Working Distance)が3mmの対物レンズを採用しても良い。
前記第1〜第5の実施形態では、レーザ光源2にYAGレーザを用いたが、フェムト秒レーザを用いても良い。出射するレーザ光を加工対象物の内部に集光して多光子吸収による改質部を形成できる光源であれば良い。例えば、チタンサファイアを固体光源とするレーザ光をフェムト秒のパルス幅で出射するいわゆるフェムト秒レーザを採用しても良い。発光条件及び集光レンズの条件の例としては、パルスレーザ光は、波長分散特性を有しており、中心波長が800nmであり、その半値幅はおよそ20nmである。またパルス幅はおよそ300fs(フェムト秒)、パルス周期は1kHz、出力はおよそ700mWである。集光レンズは、この場合、倍率が100倍、開口数(NA)が0.8、WD(Working Distance)が3mmの対物レンズを採用しても良い。
(変形例4)前記第1の実施形態では、メインコンピュータ23は、メモリ26内に動作手順に沿ったプログラムソフト27を記憶し、プログラムソフト27によりレーザスクライブ装置1の制御を行ったが、これに限らず、電気回路にて構成される制御装置にて制御しても良い。周辺機器が手順通りに制御されれば良い。
(変形例5)
前記第5の実施形態では、液晶表示装置82に本発明の基板の分断方法を用いたが、液晶表示装置82以外の電気光学装置にも用いることができる。基板を備えた電気光学装置として、例えば、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等における基板の分断手段として好適に用いることができる。いずれの場合でも、基板上に配置されている構造物に損傷を与えること無く、品質良く分断される基板を備えた電気光学装置を提供することができる。
前記第5の実施形態では、液晶表示装置82に本発明の基板の分断方法を用いたが、液晶表示装置82以外の電気光学装置にも用いることができる。基板を備えた電気光学装置として、例えば、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等における基板の分断手段として好適に用いることができる。いずれの場合でも、基板上に配置されている構造物に損傷を与えること無く、品質良く分断される基板を備えた電気光学装置を提供することができる。
(変形例6)
前記第5の実施形態では、第1の実施形態と同様に、防塵ガラス99,100の位置と形状のデータを入力した。第2の実施形態と同様に、撮像装置66を用いて、防塵ガラス99,100の位置と形状を測定しても良い。防塵ガラス99,100の位置と形状のデータが無いときにも、防塵ガラス99,100を照射しないようにして、対向大判基板104aとTFTアレイ大判基板105aとを分断することができる。
前記第5の実施形態では、第1の実施形態と同様に、防塵ガラス99,100の位置と形状のデータを入力した。第2の実施形態と同様に、撮像装置66を用いて、防塵ガラス99,100の位置と形状を測定しても良い。防塵ガラス99,100の位置と形状のデータが無いときにも、防塵ガラス99,100を照射しないようにして、対向大判基板104aとTFTアレイ大判基板105aとを分断することができる。
防塵ガラス99,100の位置と形状を測定するとき、第2の実施形態と同様に、防塵ガラス99,100の位置と形状を測定する工程と、遮光及び照射工程とを並行して行っても良い。防塵ガラス99,100の位置と形状を測定する工程と、遮光及び照射工程とを別々に行う場合に比べて、短い時間に行うことができる。
(変形例7)
前記第5の実施形態では、第1の実施形態と同様に、遮光部8は、レーザ光7を略円形状に遮光しているが、第4の実施形態と同様に、一部を直線状に遮光しても良い。防塵ガラス99,100の辺が直線状に加工されていることから、レーザ光7を防塵ガラス99,100の辺に合わせて直線状に遮光することにより、遮光する光量を小さく遮光することができる。従って、レーザ光7を減衰しにくくなることにより、改質部52を形成し易くすることができる。
前記第5の実施形態では、第1の実施形態と同様に、遮光部8は、レーザ光7を略円形状に遮光しているが、第4の実施形態と同様に、一部を直線状に遮光しても良い。防塵ガラス99,100の辺が直線状に加工されていることから、レーザ光7を防塵ガラス99,100の辺に合わせて直線状に遮光することにより、遮光する光量を小さく遮光することができる。従って、レーザ光7を減衰しにくくなることにより、改質部52を形成し易くすることができる。
1,65…レーザスクライブ装置、2…レーザ光源部としてのレーザ光源、4…移動手段としてのテーブル部、7…レーザ光、8…遮光部、9…集光部、10…基板、10a,10b…構造物、26…記憶部としてのメモリ、28…レーザ光制御部としてのレーザ光照射演算部、29…遮光演算部、30…記憶部、33…形状データとしての構造物データ、36…レーザ光制御部としてのレーザ光制御装置、38…検出部としての画像演算装置、52…改質部、56…相関データとしての相関曲線、66…検出部としての撮像装置、82…電気光学装置としての液晶表示装置、99,100…構造物としての防塵ガラス、104a…基板としての対向大判基板、105a…基板としてのTFTアレイ大判基板。
Claims (12)
- 構造物が配置された基板にレーザ光を照射してレーザスクライブするレーザスクライブ装置であって、
レーザ光を発光するレーザ光源部と、
前記基板の内部に前記レーザ光を集光する集光部と、
前記レーザ光の一部を遮光する遮光部と、
前記遮光部が遮光する量を演算する遮光演算部と、
前記基板と前記集光部とを相対移動する移動手段とを有し、
前記遮光部が前記レーザ光を遮光する光量を変更して、前記レーザ光を前記構造物に照射せずに、前記基板に照射して改質部を形成することを特徴とするレーザスクライブ装置。 - 請求項1に記載のレーザスクライブ装置であって、
前記レーザ光源部が発光する前記レーザ光の光量を制御するレーザ光制御部を備え、
前記レーザ光の一部が前記遮光部に遮光されるとき、前記レーザ光源部から照射される前記レーザ光が改質部を形成可能となるように、前記レーザ光制御部は、前記レーザ光源部が発光する前記レーザ光の前記光量を制御し、前記レーザ光源部は、前記レーザ光制御部が制御する前記光量の前記レーザ光を発光することを特徴とするレーザスクライブ装置。 - 請求項1または2に記載のレーザスクライブ装置であって、
前記遮光部は、前記レーザ光源部と前記集光部との間の光軸上に配置されていることを特徴とするレーザスクライブ装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザスクライブ装置であって、
前記構造物の形状データを入力する入力部と、
前記形状データを記憶する記憶部とを備え、
前記遮光演算部は、前記形状データを用いて、前記構造物に前記レーザ光が照射されないように遮光量を演算した後、前記遮光部が、前記レーザ光の一部を遮光することを特徴とするレーザスクライブ装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザスクライブ装置であって、
前記基板上に配置される構造物の形状を検出する検出部を備え、
前記遮光部は、検出する前記形状の情報を用いて、前記構造物に前記レーザ光が照射されないように、前記レーザ光の一部を遮光することを特徴とするレーザスクライブ装置。 - 請求項1または2に記載のレーザスクライブ装置であって、
前記遮光部は、前記レーザ光の外周が略円形となるように、前記レーザ光の一部を遮光することを特徴とするレーザスクライブ装置。 - 請求項1または2に記載のレーザスクライブ装置であって、
前記遮光部は、前記レーザ光の外周の一部が略直線となるように、前記レーザ光の一部を遮光することを特徴とするレーザスクライブ装置。 - 基板にレーザ光を照射することにより、前記基板に改質部を形成するスクライブ工程と、
前記改質部に応力を加えて、前記基板を分断する分断工程とを有し、
前記スクライブ工程は、前記レーザ光の一部を遮光する遮光工程と、
一部が遮光された前記レーザ光を前記基板に照射する照射工程とを備えることを特徴とする基板の分断方法。 - 請求項8に記載の基板の分断方法であって、
レーザ光源が発光する前記レーザ光の発光量と、前記発光量の一部分が遮光されて、前記レーザ光を前記基板に照射して、前記改質部が形成されるときに、前記基板に照射する照射量との相関データを測定する予備測定工程を有し、
前記照射工程では、前記レーザ光の一部を遮光するとき、前記相関データを用いて、前記改質部が形成可能となる前記発光量を演算した後、前記レーザ光源は、前記演算した発光量の前記レーザ光を発光することを特徴とする基板の分断方法。 - 請求項8または9に記載の基板の分断方法であって、
前記基板上に配置される構造物を検出する構造物検出工程を備え、
前記照射工程では、検出した前記構造物に前記レーザ光が照射されないように、前記レーザ光の一部を遮光することを特徴とする基板の分断方法。 - 請求項10に記載の基板の分断方法であって、
前記構造物検出工程と、前記遮光工程及び前記照射工程とが並行して行われることを特徴とする基板の分断方法。 - 構造物が配置された基板を有する電気光学装置の製造方法であって、
前記基板を分断するとき、請求項8〜11のいずれか一項に記載の基板の分断方法を用いて分断することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
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JP5171838B2 (ja) * | 2007-10-11 | 2013-03-27 | 三星ダイヤモンド工業株式会社 | 脆性材料基板のレーザスクライブ方法 |
JP2014233727A (ja) * | 2013-05-31 | 2014-12-15 | 株式会社ディスコ | レーザー加工装置 |
JP2016123980A (ja) * | 2014-12-26 | 2016-07-11 | パナソニック デバイスSunx株式会社 | レーザ加工装置、レーザ加工装置の設定装置、および、レーザ加工装置の設定プログラム |
JP2018202452A (ja) * | 2017-06-02 | 2018-12-27 | ローランドディー.ジー.株式会社 | 印刷装置 |
WO2021199891A1 (ja) * | 2020-04-02 | 2021-10-07 | 浜松ホトニクス株式会社 | レーザ加工装置及び検査方法 |
-
2007
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