この種の車輌重量測定装置(トラックスケール)は、積荷状態での車輌総重量を計量するものであり、例えば図7(A)〜(D)に示すように、車輌2の全輪を載置し得る面積をもつ矩形の計量台11と、該計量台11の各隅部付近に設けた4つの荷重検出器(ロードセル)12,12・・とを有している。尚、この種の車輌重量測定装置(トラックスケール)は、かなり旧くから実用化され、且つ多数のものが特許出願されている(例えば特許文献1、特許文献2等)。
そして、この種の車輌重量測定装置では、積荷込みの車輌2を計量台11上に乗り込ませ、そのときの車輌総重量を各荷重検出器12,12・・からの検出データに基いてコントローラの演算装置で算出するようになっている。
ところで、実際の積荷重量は、積荷状態での車輌総重量から空荷状態の車輌重量を減算したものであるが、登録車輌の場合は、予め空荷重量データがコントローラ中に記憶されているので、計量時に当該被計量車輌の空荷重量のデータを呼び出して、実際の計量総重量から空荷重量を減算することで積荷重量を算出する。又、非登録車輌の場合は、積荷状態での車輌総重量と、荷下ろし後の空荷車輌の重量とをそれぞれ計量して、その差を計算することにより積荷重量を算出する。
この種の車輌重量測定装置で計量した計量値が取引証明として使用できるのは、被計量車輌2を計量台11上で停車させた状態で計量したものに限られるが、その計量時には被計量車輌2の全輪(21a,21b,23a,23b)が全て計量台11上の正常位置に静止状態で載置されている必要がある。尚、被計量車輌2としては、前後車輪軸21,23の間に中間車輪軸を設けた全部で6輪のものもあるが、一般には前後・左右の4輪(各後輪にそれぞれダブルタイヤを使用したものもあるが、これも各1輪として説明する)のものが多い。
ところで、計量しようとする被計量車輌2は、計量台11の長手方向の一方から該計量台11上に乗り入れるが、車輌の運転席からは各車輪が見えず、全輪が計量台上の正常位置に載置されているか否かを確認できない。従って、ときには図7(A)のようにいずれかの車輪(例えば左前輪21a)が計量台11の左右(例えば左)にはみ出して停車したり、図7(B)のように前輪21a,21bが計量台11の出口側端部を越えて停車したり、図7(C)のように後輪23a,23bがまだ計量台11の入口側端部上に載っていない状態で停車したりすることがある。
又、計量台11は、大型車輌(前後輪間の間隔が長い)も計量し得るようにするために、かなりの長さ(例えば8m程度)を有するものがあるが、そのような長尺の計量台を有するものでは、図7(D)のように計量すべき車輌2が計量台11上の正常位置に載っている状態で後続車輌2の前輪21a,21bが計量台11の入口側端部上に乗り上げることが考えられる。
他方、オペレータ室のオペレータは、計量時に被計量車輌2が計量台11上の正常位置に載っているか否かを確認する必要があるが、オペレータ室からは車体が死角になって全輪(特にオペレータ室から見て奥側の車輪)が計量台上の正常位置に載置されているが否かが確認しにくいことがある。
そして、図7(A)〜(C)に示すように被計量車輌2の一部の車輪でも計量台11上からはみ出した状態や、図7(D)に示すように2台の車輌2が同時に計量台11上に乗り上げている状態では、いずれも正確な計量ができない。
図8には被計量車輌2が計量台11上に進入したときの計量重量変化グラフを示しているが、計量手順は、「前輪乗上」→「後輪乗上」→「車輌停止」→「振動収束」後に「計量操作」によって「計量」が行われる。尚、「計量」後は、その計量重量が伝票として発行され、取引証明としての効力を持つ。
そして、被計量車輌2が計量台11上に乗り上げた後、正常位置に停止したときには、計量重量が図8に実線表示(符号L1)するように変化し、「計量操作」で正常重量が「計量」できるが、もし被計量車輌2が図7(A)又は(B)に示すように一旦計量台11上に正常に載った後、一部の車輪が計量台11上から脱輪して停止すると、計量重量が図8に2点鎖線表示(符号L2)するように変化し(「脱輪」時点で大幅に軽量になる)、「脱輪」したままで「計量操作」すると実際重量より軽く「計量」されてしまう。
又、図7(C)に示すように、計量台11上に前輪が乗り上げたものの、後輪23a,23bがまだ計量台11上に載らずに停止したときには、図8の「前輪乗上」による重量しか「計量」できない。さらに、図7(D)に示すように、先行車輌2が計量台11上の正常位置に載っている状態で、後続車輌2の前輪21a,21bが計量台11上に乗り上げたときには、先行側の被計量車輌2の実際重量より重く「計量」されてしまう。
特開2006−177722号公報
特開2006−112986号公報
ところで、この種の車輌重量測定装置では、上記のように被計量車輌2の全輪が計量台11上の正常位置に載置されていないと該被計量車輌2を正確に計量できないが、従来では被計量車輌2が計量台11上の正常位置にあるか否かの判定は、オペレータの目視に頼る以外に方法がなかった。
従って、従来では、計量時に被計量車輌2の全輪が計量台11上の正常位置に載置されているか否かがオペレータ室から見えにくい場合には、オペレータがオペレータ室から出て確認しに行くことが必要となり、その確認作業が面倒であるとともに、1台当たりの計量時間が長くなるという問題があった。
又、従来の車輌重量測定装置では、被計量車輌2が計量台11上の正常位置に載っていない状態であっても、「計量操作」を行えば計量(伝票発行)されてしまうので、不正常重量で通ってしまう虞れがあった。
ところで、被計量車輌2の計量台11上への乗り上げ動作時には、コントローラにおいてそのときの重量が刻々と計量される一方、図8のグラフに示すように計量台11上に車輪が乗り降りする度に計量重量が大きく変化する。
そこで、本願発明は、被計量車輌の計量時において、被計量車輌の車輪(車輪軸)の計量台上への乗降回数に基いて該被計量車輌が11上の正常位置にあるか否かを判別し得るようにした車輌重量測定装置を提供することを第1の目的としている一方、そのような車輌重量測定装置において車輌の全輪が一旦計量台上に正常に載った後にいずれかの車輪が脱輪したときに、それを自動的に判別し得るようにすることを第2の目的としている。
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
本願請求項1の発明
本願請求項1の発明は、被計量車輌の全輪を載せ得る面積をもつ矩形の計量台と、該計量台の各隅部付近に設けた少なくとも4つの荷重検出器(ロードセル)とを有し、被計量車輌を停車状態で計量するようにした車輌重量測定装置を対象にしている。
計量台の面積は、特に限定するものではないが、大型車輌も計量し得るようにするために例えば幅が3m程度で長さが8m(最長で20m)程度のものを使用できる。尚、計量台の長さを長くしたものでは、上記荷重検出器を4隅部分のほかに計量台の長さ方向中間部にも設置することができる(荷重検出器の総数として4〜8個を設置できる)。
計量台設置位置の近傍には、オペレータ室が設けられており、計量時の各荷重検出器からのデータがオペレータ室内のコントローラに入力されて、コントローラの演算装置により被計量車輌の総重量を計量するとともに、その計量重量を出力装置(プリンタ)で出力し得るようになっている。
又、本願請求項1の車輌重量測定装置では、上記コントローラに、被計量車輌の車輪軸数を記憶する車輪軸数記憶部と、計量時に被計量車輌の車輪軸が計量台上に乗り降りしたときの荷重変化に基いて車輪軸の乗降回数を記憶する車輪軸乗降回数記憶部と、前記車輪軸数記憶部から呼び出した被計量車輌の車輪軸数と前記車輪軸乗降回数記憶部で記憶した車輪軸乗降回数とを比較する車輪軸数比較部と、該車輪軸数比較部での車輪軸数比較が一致の場合に計量可信号を発する計量可信号出力部と、該車輪軸数比較部での車輪軸数比較が不一致の場合に計量エラー信号を発する計量エラー信号出力部、とをそれぞれ備えているとともに、計量エラー信号出力部から計量エラー信号が発せられたときに、それを報知手段で報知し得るようにしている。
コントローラには登録車輌データ記憶部が設けられており、例えばコミ収集車のように頻繁に計量される車輌は、予め個別車輌ごとに登録車輌データ記憶部に空荷重量や車輪軸数などが記憶されている。又、非登録車輌の場合は、計量前に当該車輌の車輪軸数をコントローラの車輪軸数記憶部に手動で入力することができる。尚、車輌の車輪軸は、左右一対の車輪部分を1軸とするものであり、一般には前後4輪(車輪軸数が2)のものが多いが大型のものでは前後6輪(車輪軸数が3)のものや前後8輪(車輪軸数が4)のものもある。
コントローラの車輪軸乗降回数記憶部は、車輌の車輪軸が計量台上に乗降した回数を記憶するものである。例えば、車輪軸数が2軸の車輌では、計量台上の正常位置(4輪全部が計量台上に乗っている)まで乗り込んで停止するまでの間にコントローラの演算装置が2回の重量変化を検出するが、その重量変化回数を車輪軸乗降回数記憶部でカウント(記憶)するようになっている。尚、車輪軸数が3軸の車輌では、計量台上の正常位置まで乗り込んで停止するまでの間に車輪軸乗降回数記憶部が3回カウントする。又、被計量車輌が一旦計量台上の正常位置まで乗り込んだ後、いずれかの車輪が計量台上から脱輪すると、その場合にも演算装置が重量変化を検出するが、それも重量変化回数として車輪軸乗降回数記憶部でカウントする。
コントローラの車輪軸数比較部は、予め車輪軸数記憶部で記憶している当該被計量車輌の車輪軸数と、計量時に上記車輪軸乗降回数記憶部で記憶している車輪軸乗降回数とが一致するか否かを比較するものである。
コントローラの計量可信号出力部は、上記車輪軸数比較部が「一致」と判断したときに出力装置(プリンタ)に対して計量可信号を出力するものである。尚、この計量可信号が発せられると、出力装置(プリンタ)により計量伝票の発行が可能となる。
コントローラの計量エラー信号出力部は、上記車輪軸数比較部が「不一致」と判断したときに計量エラー信号を報知手段(例えば警報ブザーや警報灯や音声報知器)や表示装置(例えばディスプレイ)に出力するものである。尚、この計量エラー信号が出力された場合には、出力装置(プリンタ)から計量伝票が発行されないようにすることが好ましい。
本願請求項1の車輌重量測定装置は、次のように機能する。
まず、登録車輌を計量するときには、登録車輌データ記憶部にある車輪軸数記憶部から該当車輌の車輪軸数を呼び出しておく。このとき、当該登録車輌の車輪軸数が2(4輪)であれば「2」が呼び出され、当該登録車輌の車輪軸数が3(6輪)であれば「3」が呼び出される。尚、実際には、登録車輌データ記憶部からは当該被計量車輌の空荷重量データも呼び出される。
被計量車輌の車輪軸数が2(4輪)であれば、該被計量車輌を計量台上に進入させて停止させるまでに、通常は、第1車輪軸(各前輪)が計量台上に乗り上げたときに演算装置が重量変化を検出して車輪軸乗降回数記憶部が「1」をカウントし、続いて第2車輪軸(各後輪)が計量台上に乗り上げたときに同様に車輪軸乗降回数記憶部が「2」をカウントをする。
ところで、各前輪が計量台上に乗った後、後輪が計量台上に乗らない状態で被計量車輌が停止した場合には、車輪軸乗降回数記憶部が「1」をカウントしたままであり、他方、被計量車輌の全輪(第1車輪軸及び第2車輪軸)が計量台上の正常位置に乗り上げた後(カウント「2」)、いずれかの車輪が計量台上から脱輪すると演算装置が重量変化を検出して車輪軸乗降回数記憶部が「3」をカウントするようになる。
そして、被計量車輌が停止した後、計量操作時に(計量操作キーを押すと)、車輪軸数比較部が、車輪軸数記憶部から呼び出した当該車輌の車輪軸数「2」と計量時に車輪軸乗降回数記憶部で記憶している車輪軸乗降回数(カウント数)とが一致するか否かを比較し、「一致」(カウント数が「2」)の場合は該車輪軸数比較部から計量可信号出力部に対して計量可信号を発するように指令する一方、「不一致」(カウント数が「2」以外)の場合は該車輪軸数比較部から計量エラー信号出力部に対して計量エラー信号を発するように指令する。そして、計量可信号出力部から計量可信号が発せられると、出力装置(プリンタ)から演算装置で算出した現状の総重量(又は空荷重量を減算した積荷重量)を伝票として出力し、計量エラー信号出力部から計量エラー信号が発せられると、報知手段が作動して計量に不備がある(被計量車輌が正常位置に載っていない)ことを知らしめる。尚、被計量車輌が計量エラー位置にあることに気付けば、該被計量車輌を計量台上の正常位置に修正することで、計量可能となる。
本願請求項2の発明
本願請求項2の発明は、上記請求項1の車輌重量測定装置において、コントローラに、被計量車輌が計量台上に乗り上げたときに演算装置で演算された最大重量値を記憶する最大重量記憶部と、計量確定時に計量された現状重量値と最大重量記憶部で記憶された最大重量値を比較する重量比較部とを設けている。
演算装置では計量台に加わる荷重(刻々変化している)を常時演算しており、上記最大重量記憶部では刻々変化する演算装置での計量重量のうちの最大重量値を順次更新して記憶するようになっている。
そして、この請求項2の車輌重量測定装置では、上記重量比較部において演算装置で演算された現状重量値が上記最大重量記憶部に記憶された最大重量値より所定範囲を超えて小さいと判断した場合に、計量エラー信号出力部から計量エラー信号を発するようにしている。
計量時に被計量車輌を計量台上に乗り込ませる際に、該被計量車輌が一旦計量台上の正常位置に載った後に、いずれかの車輪が脱輪することが考えられるが、その場合は、被計量車輌が正常位置に載っている状態での計量重量(演算装置で演算される)が最大重量値となり、その正常位置からいずれかの車輪が脱輪すると、その脱輪部分で担持する重量だけ演算装置で演算する重量が軽くなる。又、脱輪時に軽くなる重量は、被計量車輌の総重量のうちのかなりの割合を占めており、脱輪時の重量減少分は容易に把握できるものである。尚、演算装置で演算される最大重量値は、停車するまでの振動等により実質重量より高くなる部分があるが、重量比較部では、最大重量記憶部で記憶された最大重量値に対して現状重量値が例えば95%以下になったときに、計量エラー信号出力部を作動させる信号を発するようにするとよい。
このように、請求項2の車輌重量測定装置では、重量比較部の機能によって、被計量車輌が計量台上の正常位置に載った後、該計量台から脱輪したか否かを判別できるようになっている。
本願請求項1の発明の効果
本願請求項1の発明の車輌重量測定装置は、上記のように、コントローラに、車輪軸数記憶部と、車輪軸乗降回数記憶部と、車輪軸数比較部と、計量可信号出力部と、計量エラー信号出力部とをそれぞれ備え、車輌重量の計量時に被計量車輌の車輪軸数と計量台上に車輪軸が乗降した回数を比較して、当該車輌が正常位置に載っているか否かをオペレータが各車輪の位置を直接目視しなくても(オペレータがオペレータ室から出なくても)確認できるようになっている。
従って、本願請求項1の発明の車輌重量測定装置では、計量時に被計量車輌が計量台上の「正常位置」に有るか否かの確認作業が簡単となるとともに、1台当たりの計量時間を短縮できるという効果がある。
又、本願請求項1の発明では、計量時に被計量車輌が「異常位置」(車輪はみ出し位置)にある状態では計量エラー信号出力部から計量エラー信号が発せら、それを報知手段で報知し得るようになっているので、オペレータに「異常位置」であることを知らしめることができ、異常状態での計量(ミス計量)を回避できるという効果もある。
尚、上記計量エラー信号出力部から計量エラー信号が発せられると、計量不能にするようにしておけば、異常状態でのミス計量を確実に防止できる。
本願請求項2の発明の効果
本願請求項2の発明は、上記請求項1の車輌重量測定装置において、上記のように、コントローラに、最大重量記憶部で記憶された最大重量値と現状重量値とを比較する重量比較部を設け、現状重量値が最大重量値より所定範囲を超えて小さくなったときに計量エラー信号を発するようにしている。
従って、この請求項2の発明では、上記請求項1の効果に加えて、被計量車輌が一旦計量台上の「正常位置」に載った後に脱輪した場合の計量(ミス計量)を確実に回避できるという効果がある。
以下、図1〜図6を参照して本願実施例の車輌重量測定装置(トラックスケール)を説明する。尚、この実施例では、被計量車輌2として、図1及び図4に示す前後2つの車輪軸21,23(全4輪)を有したものと、図5及び図6に示す前後3つの車輪軸21,22,23(全6輪)を有したものについて説明するが、車輪軸が前後4つ(全8輪)あるものにも適用できる。。
この実施例の車輌重量測定装置は、被計量車輌2の全輪を載せるのに十分な面積をもつ矩形の計量台11と、該計量台11の4隅付近の下面に設けた少なくとも4つの荷重検出器(ロードセル)12,12・・と、該各荷重検出器12,12・・でそれぞれ検出された検出値に基いて被計量車輌2の総重量を算出するコントローラ3とを有した計量装置1を備えている。尚、この実施例の車輌重量測定装置は、被計量車輌2を計量台11上に停車させた状態で計量するものである。
この実施例において、計量台11上には該計量台11の長手方向のいずれの側からでも車輌2を進入させ得るようになっているが、以下の説明では、便宜上、計量台11における左側端部を入口側端部といい、該計量台11における右側端部を出口側端部という。
計量台11の大きさは、特に限定するものではないが、この実施例では大型車輌の計量も可能にするために例えば幅が3m程度で長さが8m程度(最長で20m程度)のものが使用できる。尚、計量台の長さを長くすると、計量台11の長さ方向中間部付近が撓むことが考えられるが、長尺の計量台を使用する場合は、上記荷重検出器12を4隅部分のほかに計量台11の長さ方向中間部にも設置することができる(荷重検出器12の総数として4〜8個を設置できる)。
又、この実施例では、計量台11の上面全周と走行路面とがフラットに連続するようにしたものを採用している。尚、他の実施例では、計量台11の長手方向に向く各側縁部(又はその各側縁部の外側直近位置)に脱輪防止用のガードを設けることもできる。
各荷重検出器(ロードセル)12,12・・は、計量台11上に被計量車輌2が載置されたときに、その被計量車輌2の総重量を分担して支持する。そして、この計量装置1では、各荷重検出器12,12・・で検出したそれぞれの検出値をA/D変換した後、点線表示する信号線を介してコントローラ3に入力し、該コントローラ3(演算装置31)で車輌総重量を演算するようになっている。
この実施例の車輌重量測定装置では、図2に示すように、コントローラ3に計量台11上に載置された被計量車輌2の総重量を演算する演算装置31と、登録車輌の各種データを記憶する登録車輌データ記憶部41とを有している。
演算装置31は、各荷重検出器12,12・・からの各検出重量を和算して計量台11に載置された被計量車輌2の総重量を演算するものである。尚、演算装置31では、計量台11上に加わる荷重(刻々変化している)を常時演算している。
登録車輌データ記憶部41は、個別車輌ごとの各種データを記憶させるもので、頻繁に計量される車輌(例えばゴミ収集車)では、予め識別番号(プレートナンバー等)や空荷重量が登録されている場合が多い。
又、この実施例で使用されるコントローラ3には、登録車輌データ記憶部41に個別車輌ごとの車輪軸数記憶部42が設けられており、登録車輌では予めその車輪軸数も記憶させておく。尚、この車輪軸数記憶部42には、図1に示す前輪軸21(左右前輪21a,21b)と後輪軸23(左右後輪23a,23b)からなる2軸のものでは車輪軸数として「2」を記憶し、図5に示す前輪軸21(左右前輪21a,21b)と中間輪軸22(各中間輪22a,22b)と後輪軸23(左右後輪23a,23b)からなる3軸のものでは車輪軸数として「3」を記憶しておく。又、非登録車輌では、計量開始前にオペレータが当該車輌の車輪軸数を目視により確認して、その車輪軸数を車輪軸数記憶部42に手動で入力する。
又、コントローラ3(図2)には、計量時に被計量車輌2の車輪軸(21〜23)が計量台11上に乗り降りしたときの乗降回数を記憶する車輪軸乗降回数記憶部32と、被計量車輌2が計量台11上に乗り始めたときから計量操作を行うまでの間に演算装置31で演算された最大重量値を記憶する最大重量記憶部33と、演算装置31で刻々演算される現状重量値を出力する現状重量出力部34とを有している。
車輪軸乗降回数記憶部32は、次のようにして車輪軸の乗降回数を記憶する。即ち、被計量車輌2の各車輪軸21〜23が計量台11上に乗降する際には、演算装置31がそれぞれ重量変化を検出するが、そのときの重量変化回数に基いて、車輪軸乗降回数記憶部32が車輪軸乗降回数として記憶するようにしている。例えば、図1に示すように車輪軸数が2軸の車輌2では、計量台11上の正常位置(4輪全部が計量台11上に乗っている)まで乗り込んで停止するまでの間に演算装置31が2回の重量変化を検出するが、その重量変化回数「2」を車輪軸乗降回数記憶部32でカウント(記憶)し、図5に示すように車輪軸数が3軸の車輌2では、計量台11上の正常位置まで乗り込んで停止するまでの間に車輪軸乗降回数記憶部32が3回カウントする。又、被計量車輌2の一部の車輪軸(例えば後輪軸23)が計量台11上に未乗輪で停止したときには、車輪軸乗降回数記憶部32が実際の車輪軸数より少ない回数しかカウントしない。さらに、被計量車輌2の全車輪がそれぞれ計量台11上に乗り込んだ後、一部の車輪が計量台11から脱輪した場合には、その脱輪したときの重量変化(軽量になる)も車輪軸乗降回数記憶部32でカウントするようになっている。
最大重量記憶部33は、次のようにして最大重量値を記憶する。即ち、演算装置31では計量台11に加わる荷重(刻々変化している)を常時演算しているが、刻々変化する計量重量のうちの最大重量値を最大重量記憶部33で順次更新して記憶するようになっている。尚、被計量車輌2が計量台11上に乗り込んで停止するまでに、振動により計量台11が上下動して演算装置31で演算された最大重量値が実際の重量値(振動収束時の重量値)より若干重くなるが、最大重量記憶部33では最も重くなった重量値を記憶する。
現状重量出力部34は、演算装置31で刻々演算している現状重量値を常時出力するものである。
又、このコントローラ3には、図2に示すように計量操作時に、上記車輪軸数記憶部42から呼び出した個別車輌の車輪軸数と車輪軸乗降回数記憶部32からの車輪軸乗降回数とを比較する車輪軸数比較部35と、上記最大重量記憶部33で記憶した最大重量値と現状重量出力部34から出力された現状重量値とを比較する重量比較部36を有している。この重量比較部36では、最大重量記憶部33が上記のように計量台11の振動により実際重量よりやや重い重量を記憶する関係で、現状重量出力部34からの現状重量値が最大重量記憶部33に記憶された最大重量値より所定範囲(限定するものではないが、例えば最大重量値−現状重量値が最大重量値の5%以内)を超えて小さい場合に不一致(異常)と判断し、その差が所定範囲内であれば一致(正常)と判断するようにしている。
さらに、このコントローラ3には、上記車輪軸数比較部35又は重量比較部36からの判別信号に基いて、計量可信号を発する計量可信号出力部37と、計量エラー信号を発する計量エラー信号出力部38とが設けられている。
そして、図2に示すように、上記車輪軸数比較部35から「一致」信号が発せられたときには計量可信号出力部37を作動させる一方、該車輪軸数比較部35から「不一致」信号が発せられたときには計量エラー信号出力部38を作動させるようになっている。他方、上記重量比較部36から「一致」信号が発せられたときには計量可信号出力部37を作動させる一方、該重量比較部36から「不一致」信号が発せられたときには計量エラー信号出力部38を作動させるようになっている。尚、この実施例では、計量可信号出力部37は、車輪軸数比較部35及び重量比較部36の両方からそれぞれ「一致」信号が発せられたときにのみ、作動するようになっている(いずれか一方からの「一致」信号だけでは作動しない)。他方、計量エラー信号出力部38は、車輪軸数比較部35と重量比較部36の何れか一方から「不一致」信号が発せられるだけで、作動するようになっている。
計量可信号出力部37から計量可信号が発せられると、表示装置(ディスプレイ)6に「正常」であることを表示するとともに出力装置(プリンタ5)による計量伝票の発行を許容し、他方、計量エラー信号出力部38から計量エラー信号が発せられると、表示装置6に「異常」であることを表示するとともに報知手段7(例えば、警報ブザーや警告灯や音声等)により「異常」であることを報知させるようになっている。
次に、上記構成の車輌重量測定装置の機能について説明すると、図3には図1に示す車輪軸が前後2軸の被計量車輌2を計量台11上に乗り込ませて計量したときの計量重量変化グラフを示している。尚、図3に示す重量変化線は、計量台11上に加わる荷重を各荷重検出器12,12・・で検出し、その合計荷重を演算装置31で和算した計量重量の変化を示したものである。
車輌重量の計量時において、被計量車輌2が登録車輌の場合には、当該被計量車輌2の車輪軸数を車輪軸数記憶部42(図2)から呼び出しておく。又、被計量車輌2が非登録車輌の場合は、計量前に当該被計量車輌2の車輪軸数を車輪軸数記憶部42に記憶させて該車輪軸数記憶部42から呼び出しておく。
そして、当該被計量車輌2を計量台11に一端側から乗り込ませると、図3に示すように、被計量車輌2の前輪軸21(両前輪21a,21b)が計量台11上に乗った時点(「前輪乗上」時点)で1回目の重量増加現象が現れ、そのときその重量変化に基いて車輪軸乗降回数記憶部32が第1回目のカウント(「乗上数カウント」)をする。続いて、当該車輌2の後輪軸23が計量台11上に乗った時点(「前輪乗上」時点)で2回目の重量増加現象が現れ、そのときにもその重量変化に基いて車輪軸乗降回数記憶部32が第2回目のカウント(「乗上数カウント」)をする。そして、被計量車輌2を計量台11上の正常位置まで移動させた後、そこで停止させる(「車輌停止」後に「振動収束」する)。その間に演算装置31で演算された最大重量値が最大重量記憶部33に記憶される。
そして、計量台11上に乗り込ませた被計量車輌2が「正常位置」にあるときには、図3に示すように「振動収束」後に「計量操作」をすると、車輪軸数比較部35及び重量比較部36が何れも「一致」と判断し、計量可信号出力部37が作動して表示装置6に「正常」であることの表示がされるとともに出力装置5による伝票発行が行われる。尚、計量後は、「降車発進」し、「降車完了」すると、次の被計量車輌2の計量が行える。
ところで、被計量車輌2を計量台11上に乗り込ませて計量するときには、図4(A)〜(E)の各図に示すような異常状態になることが考えられる。
図4(A)の状態は、被計量車輌2が一旦計量台11上の「正常位置」に乗った後に左前輪21aが計量台11の左側方に脱輪した状態のものであり、このときには図4(A)の右側グラフにおいて、「前輪乗上」によるの第1回重量変化(符号a)と「後輪乗上」による第2回重量変化(符号b)と左前輪21aの「脱輪」による第3回重量変化(符号c)が現れ、車輪軸乗降回数記憶部32が3回カウントする。
図4(B)の状態は、被計量車輌2が一旦計量台11上の「正常位置」に乗った後に両前輪21a,21b(前輪軸21)が計量台11の出口側端部を超えて脱輪した状態のものであり、このときにも図4(B)の右側グラフにおいて、「前輪乗上」による符号aの重量変化と「後輪乗上」による符号bの重量変化と両前輪21a,21bの「脱輪」による符号cの重量変化が現れ、この場合も車輪軸乗降回数記憶部32が3回カウントする。
図4(C)の状態は、被計量車輌2が一旦計量台11上の「正常位置」に乗った後に姿勢が不自然なために後退修正させようとしてその車輌2′の両後輪23a′,23b′(後輪軸23′)が計量台11の入口側端部を超えて脱輪した状態のものであり、このときにも図4(C)の右側グラフにおいて、「前輪乗上」による符号aの重量変化と「後輪乗上」による符号bの重量変化と両後輪23a′,23b′の「脱輪」による符号cの重量変化が現れ、この場合も車輪軸乗降回数記憶部32が3回カウントする。
図4(D)の状態は、被計量車輌2の前輪軸21が計量台11上に乗ったものの、両後輪23a,23b(後輪軸23)が計量台11上に乗り上げる前に停車した状態のものであり、このときには図4(D)の右側グラフにおいて、「前輪乗上」による符号aの重量変化しか現れず、この場合は車輪軸乗降回数記憶部32が1回カウントするだけである。
図4(E)の状態は、先行側の被計量車輌2が計量台11上の「正常位置」に乗った状態で後続車輌2の前輪21a,21b(前輪軸21)が計量台11の入口側端部を超えて乗輪した状態のものであり、このときには図4(E)の右側グラフにおいて、先行車輌2の「前輪乗上」による符号aの重量変化と「後輪乗上」による符号bの重量変化と、後続車輌2の前輪21a,21b(前輪軸21)の「乗上」による符号dの重量変化が現れ、この場合も車輪軸乗降回数記憶部32が3回カウントする。
ところで、図4(A)〜(C)の各図に示すように、被計量車輌2が一旦計量台11上の「正常位置」に乗り上げた後に何れかの車輪が脱輪した場合には、計量重量が図3に鎖線図示する重量変化線L2のように変化する。そして、図4(A)〜(C)の各図のように被計量車輌2が計量台11上の「正常位置」に乗り上げた後、「脱輪」した場合には、図2及び図3における「計量操作」時において車輪軸数記憶部42から呼び出した登録車輌の車輪軸数が「2」であるのに対して車輪軸乗降回数記憶部32でのカウント数が「3」であるので、車輪軸数比較部35が「不一致」と判断し、該車輪軸数比較部35が計量エラー信号出力部38に対して計量エラー信号を発信するように指令する。又、この図4(A)〜(C)の各図の場合は、「後輪乗上」による符号bの重量変化時の重量を最大重量値として最大重量記憶部33が記憶する一方、「脱輪」による符号cの重量変化時の軽量重量が現状重量出力部34から出力されるので、重量比較部36が「不一致」と判断し、該車輪軸数比較部35が計量エラー信号出力部38に対して計量エラー信号を発信するように指令する。従って、図4(A)〜(C)の各場合は、車輪軸数比較部35と重量比較部36による二重のチェック機能が働いて、被計量車輌2が計量台11上の「正常位置」にないことを表示装置6及び報知手段7でオペレータに報知することができる。
そして、計量エラーが発生したときには、図3において「位置修正」して「脱輪再乗輪」させて「正常位置」で「車輌停止」させ(このとき演算装置31が被計量車輌2の正規の重量を演算している)、「振動収束」後に「再計量操作」をすることで重量比較部36が「重量比較」をし、該重量比較部36が「一致」と判断すると実際の「計量」(伝票発行)が行われる。
又、図4(D)のように、被計量車輌2の後輪軸23が計量台11上に乗り上げていない状態で停止した場合には、重量比較部36による計量エラー検出機能はないが、車輪軸数記憶部42から呼び出した被計量車輌2の車輪軸数が「2」であるのに対して、重量変化回数が符号aの1回だけであるので、「計量操作」時に車輪軸数比較部35が「不一致」と判断する。従って、この場合も、計量エラー信号出力部38が作動して被計量車輌2が計量エラー位置にあることを報知するとともに、計量(伝票発行)を阻止するようになる。尚、この場合も、被計量車輌2を「正常位置」に位置修正することにより、再計量が可能となる。
又、図4(E)のように、先行車輌2と後続車輌2とが同時に計量台11上に乗ったときには、重量比較部36による計量エラー検出機能はないが、車輪軸数記憶部42から呼び出した被計量車輌2の車輪軸数が「2」であるのに対して、重量変化回数が符号a,b,dの3回になり、「計量操作」時に車輪軸数比較部35が「不一致」と判断する。従って、この場合も、計量エラー信号出力部38が作動して被計量車輌2が計量エラー位置にあることを報知するとともに、計量(伝票発行)を阻止するようになる。尚、この場合は、後続車両2を計量台11上から降車させることにより、再計量が可能となる。
このように、この実施例の車輌重量測定装置によれば、被計量車輌2が図4(A)〜(E)の何れの場合でも、計量エラー状態であることをオペレータに報知することができ、ミス計量を未然に防止できる。
図5及び図6(A)〜(E)には、被計量車輌2として前輪軸21(両前輪21a,21b)と中間輪軸22(両中間輪22a,22b)と後輪軸23(23a,23b)の3つの車輪軸を有したものを計量する場合を示している。この場合(3軸の被計量車輌2の場合)は、図2の車輪軸数記憶部42から呼び出される車輪軸数が「3」であり、被計量車輌2を計量台11上の「正常位置」に乗り込ませた状態で停止させると、車輪軸乗降回数記憶部32が3回カウントする。従って、被計量車輌2が図5に示すように計量台11上の「正常位置」にあるときには、車輪軸数記憶部42から呼び出した当該車輌2の車輪軸数と車輪軸乗降回数記憶部32で記憶した車輪軸乗降回数とが一致する(車輪軸数比較部35で比較される)一方、最大重量記憶部33で記憶した最大重量値と現状重量出力部34から出力された現状重量値とが一致して(重量比較部36で比較される)、計量可信号出力部37から計量可信号が発せられて、計量が行われるとともに出力装置5による伝票発行が行われる。
他方、図6(A)〜(E)の各図のように、被計量車輌2が正常状態でない場合には、「計量操作」時において、図4(A)〜(E)の各場合と同様に、何れも車輪軸数比較部35が「不一致」信号を出力して計量エラー状態であることを報知手段7に報知させるようになる。又、図6(A)〜(C)の各状態では、重量比較部36が「不一致」信号を出力するので、二重のチェックが行われる。
本願実施例の車輌重量測定装置では、上記のように被計量車輌2の実際の車輪軸数と、計量台11上に乗降する車輪軸の乗降回数とを車輪軸数比較部35で比較することにより、被計量車輌2が計量台11上の「正常位置」にあるか否かを判別することができるので、人為的に計量ミスを確実に防止でき、信頼性の高い計量資料を提供できる。
1は計量装置、2は被計量車輌、3はコントローラ、5か出力装置、6は表示装置、7は報知手段、11は計量台、12は荷重検出器、21は前輪軸、22は中間輪軸、23は後輪軸、31は演算装置、32は車輪軸乗降回数記憶部、33は最大重量記憶部、34は現状重量出力部、35は車輪軸数比較部、36は重量比較部、37は計量可信号出力部、38は計量エラー信号出力部、41は登録車輌データ記憶部、42は車輪軸数記憶部である。