JP2997126B2 - エレベータの走行特性検査装置 - Google Patents

エレベータの走行特性検査装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乗りかごの走行方向の
加速度を検出することにより、乗りかごの走行特性を検
査するエレベータの走行特性検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エレベータの運行においては、乗りかご
を適切に加速及び減速して走行させないと、乗客に対す
る乗り心地が悪くなり、乗客に不快感や不安感を感じさ
せる。一方で、乗りかごの走行方向の加速度の変化は、
エレベータの走行特性を顕著に表し、ガイドレールなど
の案内装置の不良施工状態や運転制御装置の異常の発生
を、当該加速度の変化で検出することができる。
【0003】このために、従来から乗りかごの床に加速
度検出器を設置し、当該加速度検出器の検出値が許容範
囲を越える異常事態を検出し、当該異常事態の発生時間
から当該異常事態の昇降路内での発生位置を推定し、例
えばその位置のガイドレールの修正調整を行うことが行
われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述の従来の方法で
は、乗りかごに発生する加速度の許容範囲からの逸脱
が、運転制御装置の異常でなく、ガイドレールの不良施
工状態にあることが突き止められても、加速度検出器の
検出値を経時的に監視し、検出値が許容範囲を越える異
常事態の発生時刻から、ガイドレール上の位置を推定す
るので、精度のよい位置の検出ができなかった。このた
めに、当該異常事態の発生時刻から推定した位置のガイ
ドレールを修正調整しても、乗りかごの走行加速度が許
容範囲を越える異常事態の発生を、完全に復旧すること
ができないことがある。
【0005】本発明は、前述したようなエレベータの走
行特性の検査の現状に鑑みてなされたものであり、その
目的は、乗りかごの昇降路内での異常加速度発生位置
を、精度よく検出することが可能なエレベータの走行特
性検査装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は乗りかごの走行方向の加速度を検出する加
速度検出器を備え、この加速度検出器の検出値に基づい
て、前記乗りかごの走行特性を検査するエレベータの走
行特性検査装置において、前記加速度検出器での検出値
に基づいて、前記乗りかごの走行速度データ、前記乗り
かごと予め設定した基準位置間の距離データを含むエレ
ベータの走行特性検査データを演算する演算装置と、前
記走行特性検査データを出力する出力手段とを有する構
成にしてある。
【0007】
【作用】このような構成なので、乗りかごの走行方向の
加速度が、加速度検出器で検出され、演算装置によって
加速度検出器の検出値に基づく積分演算が行われ、乗り
かごの走行速度がエレベータの走行特性検査データの一
つとして演算される。また、当該走行速度に基づいて、
演算装置によって、乗りかごと予め設定された基準位置
との距離が、エレベータの走行特性検査データの一つと
して演算される。
【0008】そして、このように演算装置で演算される
エレベータの走行特性検査データが出力手段により出力
されるので、乗りかごの走行特性が予め設定した正常走
行特性範囲にあるかどうかが検査され、さらに、異常走
行状態が発生した昇降路内での位置が精度よく検出され
る。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1及び図2を参
照して説明する。ここで、図1は実施例の構成を示すブ
ロック図、図2は実施例の動作を示すフローチャートで
ある。
【0010】図1において4は例えばマイクロコンピュ
ータからなる制御装置であり、この制御装置4は、入力
部に記憶部7及び演算部8からなる演算装置10が接続
され、演算装置10に、発明の出力手段に対応する出力
部9が接続された構成になっている。そして、実施例で
は、制御装置4の入力部6に、乗りかごの走行方向(上
下昇降方向)の加速度を検出し、加速度検出信号zを出
力する加速度検出器1、記録スイッチ2及び再生スイッ
チ3が接続してあり、制御装置4の出力部9には表示器
5が接続してある。ここで、記録スイッチ2はそのON
動作により、加速度検出器1が検出した加速度検出信号
zの記憶部7への格納を指令する機能を有し、再生スイ
ッチ3はそのON動作により、加速度検出器1が検出し
た加速度検出信号zに基づいて、各種の走行特性検査デ
ータの演算を指令する機能を有している。また、入力部
6は、加速度検出器1の加速度検出信号z、記録スイッ
チ2の指令信号及び再生スイッチ3の指令信号を、演算
装置10に取り込む機能を有している。
【0011】さらに、記憶部7は、加速度検出器1が検
出する加速度検出信号zを格納する機能を有し、且つ記
憶部7には、ガイドレールを含む案内装置が理想的に組
み立てられた場合に、乗りかご昇降時に各位置で得られ
る加速度検出信号z0など、走行特性検査データの演算
基準値が格納されている。
【0012】また、演算部8には、加速度検出器1が検
出した加速度検出信号zに基づく積分演算により、乗り
かごの走行速度Vをエレベータの走行特性検査データと
して演算する第1の演算手段と、第1の演算手段が演算
した走行速度Vに基づいて、予め設定された基準位置と
乗りかご間の距離Xを、エレベータの走行特性検査デー
タとして演算する第2の演算手段と、加速度検出器1が
検出した加速度検出信号zと基準加速度信号z0との偏
差Δz=z−z0を、エレベータの走行特性検査データ
として演算する第3の演算手段とが設けてある。そし
て、出力部9は演算装置10からの走行特性検査データ
を表示器5に出力する機能を有し、表示器5はこれらの
エレベータの走行特性検査データを表示する機能を有し
ている。
【0013】次に、このような構成の実施例の動作を、
図2のフローチャートを参照して説明する。
【0014】この場合、乗りかごを最下階の階床から最
上階の階床まで走行させるものとすると、乗りかごの走
行開始によって記録スイッチ2がONとなって、記録ス
イッチ2からの指令信号が入力部6に入力され、ステッ
プS1において入力部6による加速度検出器1からの加
速度検出信号zの入力部6への取込が開始される。ステ
ップS2では、記録スイッチ2がONとなっていること
の判定が行われ、乗りかごが走行状態にあってこの判定
がYESであると、ステップS3に進んで入力部6によ
って取込まれた加速度検出信号zが記憶部7に格納され
る。そして、ステップS4に進んで、演算部8の指令に
よって出力部9が作動し、加速度検出信号zに基づく乗
りかごの加速度が表示器5に逐次表示される。
【0015】前述の入力部6による加速度検出信号zの
記憶部7への逐次格納と、出力部9による記憶部7から
の逐次読出し及び表示器5への逐次表示は、記録スイッ
チ2がONの状態で、予め設定したサンプリング時間毎
に連続的に行われる。
【0016】前記ステップS2の判定がNOであるの
は、乗りかごが最上階に到着して停止している場合であ
り、この場合はステップS5に進んで再生スイッチ3が
ONで、再生スイッチ3から。加速度検出器1が検出し
た加速度検出信号zに基づく各種の演算の指令が、発せ
られているかどうかの判定が行われる。この判定がYE
SであるとステップS6に進んで、記憶部7に逐次格納
されている加速度検出信号zが読出され、読出された加
速度検出信号zに基づいて、各種の走行特性検査データ
の演算が行われる。
【0017】実施例では、第1の演算手段が。加速度検
出器1が検出し加速度検出信号zに基づく積分演算によ
り、乗りかごの走行速度Vをエレベータの走行特性検査
データとして図3の(1)式のように演算する。
【0018】また第2の演算手段が、上記(1)式で得
られる総高速度Vに基づいて、予め設定された基準位置
と乗りかご間の距離Xを、エレベータの走行特性検査デ
ータとして図3の(2)式のように演算する。
【0019】さらに第3の演算手段が、加速度検出器1
が検出した加速度検出信号zと、記憶部7に格納されて
いる基準加速度信号z0との偏差Δzを、エレベータの
走行特性検査データとして図3の(3)式のように演算
する。
【0020】次いで、ステップS7に進んで、上記
(1)〜(3)式で得られた乗りかごの走行速度V、予
め設定された基準位置と乗りかご間の距離X及び加速度
検出器1が検出した加速度検出信号zと基準加速度信号
z0との偏差Δzに対応するエレベータの走行特性検査
データが、出力部9によって表示される。
【0021】また、ステップS5の判定がONである
と、乗りかごは走行しておらず且つ再生スイッチ3から
演算指令が発せられておらず、エレベータは走行検査開
始前の準備状態にある。この場合には、ステップS7に
進んで加速度検出器1の加速度検出信号zに対応する数
値が表示器5に表示され、停止している乗りかごでは0
が表示されるので、表示器5の表示が0でない場合に
は、表示器5の表示が0になるように加速度検出器1の
零点調整を行う。
【0022】このように実施例では、乗りかごの最下階
から最上階までの走行課程で、制御装置4によって、乗
りかごの走行速度V、予め設定された基準位置と乗りか
ご位置との距離X及び加速度検出器1が検出した加速度
検出信号zと基準加速度信号z0との偏差Δzがエレベ
ータの走行特性検査データとして演算される。そしてこ
れらのエレベータの走行特性検査データが、表示器5に
表示されるので、例えばガイドレールを含む案内装置の
不良施工状態に起因して、加速度検出信号zと基準加速
度信号z0との偏差Δzのデータが基準値を越えている
場合には、予め設定された基準位置(例えば1階床)と
乗りかご間の距離Xのデータによって、案内装置上の異
常発生位置を精度よく検出することができる。このため
に、案内装置の適正な位置を、速やかに検出してその修
正調整することができ、エレベータの異常事態を短時間
で効率的に復旧することができる。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、乗りか
ごの走行方向の加速度を検出する加速度検出器の検出値
に基づいて、演算装置が、乗りかごの走行即どデータ及
び乗りかごと予め設定された基準位置間の距離データを
含むエレベータの走行特性検査データを演算し、出力手
段が演算された走行特性検査データを出力するので、乗
りかごの走行特性が予め設定した正常走行特性範囲にあ
るかどうかを、迅速且つ適確に検査することができ、さ
らに乗りかごの走行特性に異常が生じた位置を精度よく
検出して、エレベータの異常事態を短時間で効率的に復
旧することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示すブロック図であ
る。
【図2】本発明の一実施例の動作を示すフローチャート
である。
【図3】数式を示す図である。
【符号の説明】
1 加速度検出器 2 記録スイッチ 3 再生スイッチ 4 制御装置 5 表示器 6 入力部 7 記憶部 8 演算部 9 出力部 10 演算装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B66B 3/00 - 5/28

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乗りかごの走行方向の加速度を検出する
    加速度検出器を備え、この加速度検出器での検出値に基
    づいて、前記乗りかごの走行特性を検査するエレベータ
    の走行特性検査装置において、前記加速度検出器の検出
    値に基づいて、前記乗りかごの走行速度データ、前記乗
    りかごと予め設定した基準位置間の距離データを含むエ
    レベータの走行特性検査データを演算する演算装置と、
    前記走行特性検査データを出力する出力手段とを有する
    ことを特徴とするエレベータの走行特性検査装置。
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JP2009007143A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Mitsubishi Electric Building Techno Service Co Ltd 運行データ収集装置
WO2020261500A1 (ja) * 2019-06-27 2020-12-30 三菱電機ビルテクノサービス株式会社 検査装置及び検査方法
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