JP2008163166A - 緩衝器用油圧作動油組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の緩衝器用油圧作動油組成物は、パラフィン系鉱油及び/又はナフテン系鉱油を含有する潤滑油基油を含み、該潤滑油基油の%CNが28以上、%CP/%CNが1.0〜2.4であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
従来、緩衝器用油圧作動油としては、要求される様々な性能を改善するために、例えば、特許文献1〜7において、リン酸エステル、アミン化合物、粘度指数向上剤等の各種添加剤を用いることが、また、例えば、特許文献8〜16において、ポリα−オレフィン、エステル、シリコンオイル、あるいは深脱ろう基油等の各種高性能基油を用いることが提案されている。
しかし、基油組成の最適化については十分に検討されておらず、乗り心地性の向上には未だ強い要望がある。また、緩衝器のシールとロッド間にスティックスリップが発生すると滑らかな緩衝作用を発揮できないため、スティックスリップ防止性が求められている。
しかしながら、直進安定性、振動の制御(減衰感及びストローク感)をより向上させるとともに、スティックスリップ防止性を高いレベルで改善することは困難であり、また、その検討は十分になされていないのが現状である。
すなわち、本発明によれば、パラフィン系鉱油及び/又はナフテン系鉱油を含有する潤滑油基油を含み、該潤滑油基油の%CNが28以上、%CP/%CNが1.0〜2.4であることを特徴とする緩衝器用油圧作動油組成物が提供される。
従って、本発明の緩衝器用油圧作動油組成物は、ショックアブソーバ−、アクティブサスペンション、ステーダンパー、エンジンダンパー等の自動車の懸架装置に使用でき、特に二輪車のフロントフォークの緩衝器用に好適である。また、本発明の緩衝器用油圧作動油組成物は、スティックスリップ防止性に優れ、酸化安定性や低温粘度特性にも優れることから、自動車用、産業機械・装置用の油圧作動油としても好適である。
本発明の組成物は、パラフィン系鉱油及び/又はナフテン系鉱油を含有する特定性状の潤滑油基油を含み、該潤滑油基油は必要により合成系基油を含有する。
該潤滑油基油は、緩衝器のスティックスリップ防止性及び自動車、特に二輪車の乗り心地改善のために、あるいは更に緩衝器用油圧作動油、特に二輪車のフロントフォークに使用される緩衝器用油圧作動油に要求される諸性能を満足するために、以下の諸性状を示すように調整してなることが望ましい。
潤滑油基油の%CP/%CNは、1.0〜2.4である必要があり、好ましくは1.2〜2.2、更に好ましくは1.4〜1.9である。%CP/%CNが1.0未満又は2.4を超える場合には、本発明の所望の効果が得られない恐れがある。
潤滑油基油の%CPは特に制限はないが、好ましくは35以上、より好ましくは35〜70、更に好ましくは40〜65、特に好ましくは45〜60である。
潤滑油基油の%CAは特に制限はないが、好ましくは0〜25、より好ましくは1〜20、更に好ましくは5〜15、特に好ましくは11〜15である。
潤滑油基油の粘度指数は特に制限はないが、好ましくは0以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは20以上であり、好ましくは120以下、より好ましくは95以下、更に好ましくは80以下、特に好ましく60以下、更に好ましくは40以下である。
潤滑油基油の流動点は、通常0℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下、更に好ましくは−30℃以下である。
潤滑油基油のアニリン点は特に制限はなく、通常120℃以下、好ましくは95℃以下、より好ましくは50〜95℃、更に好ましくは60〜90℃、特に好ましくは65〜85℃である。
パラフィン系鉱油の%CPは特に制限はないが、通常50以上、より好ましくは55〜85、更に好ましくは60〜70である。
パラフィン系鉱油の%CNは特に制限はないが、好ましくは40以下、より好ましくは10〜35、更に好ましくは20〜30である。本発明においては、%CNが28以上のパラフィン系鉱油も好適に使用することができる。
パラフィン系鉱油の%CAは特に制限はないが、好ましくは0〜10、より好ましくは1〜9、更に好ましくは3〜7である。
なお、本発明において%CP、%CN及び%CAは、ASTM D 3238−85に準拠した方法(n−d−M環分析)により求められる、パラフィン炭素数の全炭素数に対する百分率、ナフテン炭素数の全炭素数に対する百分率及び芳香族炭素数の全炭素数に対する百分率をそれぞれ意味する。
本発明においては、上記潤滑油基油の規定に合致したパラフィン系鉱油も好適に使用することができる。
パラフィン系鉱油の粘度指数は、通常80以上、好ましくは80〜120、より好ましくは85〜110、更に好ましくは85〜95である。
パラフィン系鉱油の流動点は、通常0℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下である。
なお、本発明において流動点は、JIS K 2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」に準拠して規定される流動点を意味する。
なお、本発明においてアニリン点は、JIS K 2256「石油製品アニリン点及び混合アニリン点試験方法」に準拠して規定されるアニリン点を意味する。
ナフテン系鉱油の%CPは特に制限はないが、通常50未満、より好ましくは30〜48、更に好ましくは35〜45である。
ナフテン系鉱油の%CNは特に制限はないが、好ましくは30〜80、より好ましくは35〜70、更に好ましくは40〜60である。
ナフテン系鉱油の%CAは特に制限はないが、好ましくは0〜25、より好ましくは5〜20、更に好ましくは10〜15である。
ナフテン系鉱油の粘度指数は、通常120以下、好ましくは50以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下であり、好ましくは−50以上、より好ましくは−30以上である。
ナフテン系鉱油の流動点は、通常0℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下、更に好ましくは−30℃以下である。
前記(N2)成分としては、例えば、(N2-1)アニリン点66〜95℃、好ましくは70〜85℃のナフテン系鉱油及び/又は(N2-2)アニリン点65℃以下、20℃以上、より好ましくは50℃以上のナフテン系鉱油が挙げられる。これらのうち、(N2)成分を含有させることがより好ましい。また、(N2)成分のうち、組成物の粘度指数をより高めることができる点で(N2-1)成分を含有させることが好ましい。
合成系基油の粘度指数は、通常−50〜300、好ましくは0〜150、より好ましくは50〜120、更に好ましくは70〜95である。
合成系鉱油の流動点は、通常0℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下である。
(S2)成分としては、例えば、(S2-1)アニリン点66〜95℃、好ましくは70〜90℃の合成系基油及び/又は(S2-2)アニリン点20℃以上、65℃以下、好ましくは50℃以下の合成系基油が挙げられる。
(S2-2)成分としては、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等の芳香族系合成基油を例示することができ、特に、上記(A)成分の使用が好ましい。
(A)成分の40℃における好ましい動粘度は、25〜45mm2/s、更に好ましくは30〜40mm2/sである。
(A)成分の100℃における動粘度は、通常1〜10mm2/s、好ましくは3〜8mm2/s、更に好ましくは4〜6mm2/sである。
(A)成分のアニリン点は特に制限はないが、通常65℃以下、好ましくは20〜50℃、より好ましくは30〜40℃である。
(A)成分の粘度指数は特に制限はないが、通常0以上、より好ましくは40〜100、更に好ましくは60〜90、特に好ましくは70〜90である。
(A)成分の流動点は特に制限はないが、通常0℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下である。
アルキル基の炭素数は、通常1〜40、好ましくは8〜30、より好ましくは10〜20である。
R1、R2、R3及びR4の合計炭素数は、好ましくは8〜50、より好ましくは10〜40である。
R1、R2、R3及びR4のうち2つ以上が炭化水素基である場合、そのうち少なくとも1つがアルキル基であればその組み合わせは任意であるが、全てアルキル基であることが好ましい。また、R1及びR2が炭化水素基であるような、同一のベンゼン環に2つの炭化水素基が結合しているものでもよく、更に、R1及びR3が炭化水素基であるような、異なるベンゼン環にそれぞれ1つずつの炭化水素基が結合しているものでもよい。
これらの中でも、炭素数8〜30、より好ましくは10〜20のアルキル基を1〜4個、より好ましくは1〜2個有するアルキルナフタレンが好ましく、更に、アルキルナフタレンが有するアルキル基の合計炭素数が8〜50、より好ましくは10〜40であるアルキルナフタレンが好ましい。
上記アルキルナフタレンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。2種以上のアルキルナフタレンの混合物を用いる場合、当該混合物の平均分子量は200〜500であることが好ましい。
該潤滑油基油は、例えば、%CNが28以上、%CP/%CNが1.0〜2.4の基油を単独で使用しても良いし、この規定を満たさない基油を混合してこの規定を満たすように調整しても良い。具体的には例えば、%CNが28以上、%CP/%CNが1.0〜2.4のパラフィン系鉱油を単独で使用したり、%CNが28以上、%CP/%CNが1.0〜2.4のパラフィン系鉱油、%CNが28以上、%CP/%CNが2.5以上のパラフィン系鉱油、%CNが28未満、%CP/%CNが2.5以上のパラフィン系鉱油、%CNが28以上、%CP/%CNが1.0未満のナフテン系鉱油、%CNが28未満、%CP/%CNが1.0未満のナフテン系鉱油、更には合成系基油を2種以上任意に混合して、上記規定を充足する潤滑油基油を調製して使用することができる。
ここで、アニリン点が96℃以上の基油としては、上述の(P1)成分、(N1)成分及び(S1)成分が挙げられ、アニリン点が95℃以下の基油としては上述の(P2)成分、(N2)成分及び(S2)成分が挙げられる。
また、アニリン点が95℃以下の基油は、アニリン点が66〜95℃の基油及びアニリン点が65℃以下の基油が挙げられ、いずれか一方又は双方の混合物を好ましく使用することができる。
潤滑油基油において、アニリン点が66℃以上の基油の含有割合は、%CNが28以上、%CP/%CNが1.0〜2.4である限り特に限定されないが、潤滑油基油全量基準で、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは60質量%、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。ここで、アニリン点が66℃以上の基油としては、上述の(P1)成分、(P2)成分、(N1)成分、(N2-1)成分(S1)成分及び(S2-1)成分が挙げられる。
これらの中でも、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、炭素数1〜30、好ましくは炭素数4〜24、より好ましくは炭素数12〜20のアルキル基又はアルケニル基を有する亜リン酸エステル及び/又はリン酸エステルが望ましく、オレイルハイドロジェンホスファイト等の炭素数12〜20のアルキル基又はアルケニル基を有する亜リン酸エステル類の使用が特に望ましい。
摩耗防止剤を含有させる場合の割合は、組成物全量基準で、通常0.01〜5質量%の範囲である。なお、これらのうち、リン含有摩耗防止剤を含有する場合の割合は、組成物全量基準で、リン量として通常0.005〜0.1質量%、好ましくは0.01〜0.08質量%、更に好ましくは0.01〜0.04質量%である。
無灰分散剤を含有させる場合の割合は、組成物全量基準で、通常0.01〜20質量%、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下である。なお、無灰分散剤の窒素量としての含有割合は、組成物全量基準で、通常0.0001〜0.2質量%、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、更に好ましくは0.005質量%以下である。
摩擦調整剤を含有させる場合の割合は、組成物全量基準で通常0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。
このような添加剤としては、例えば、粘度指数向上剤、酸化防止剤、流動性向上剤、金属不活性化剤、消泡剤、金属系清浄剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、着色剤等の各種添加剤が挙げられる。
その他にもポリイソブチレン若しくはその水添物、スチレン−ジエン共重合体の水素化物、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体又はポリアルキルスチレン等の粘度指数向上剤も使用可能である。
粘度指数向上剤の数平均分子量は、例えば、分散型及び非分散型ポリメタクリレートの場合、通常5000〜1000000、好ましくは100000〜900000、ポリイソブチレン又はその水素化物の場合、通常800〜5000、好ましくは1000〜4000、エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物の場合、通常800〜500000、好ましくは3000〜200000である。
これらの粘度指数向上剤は、任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を任意の量で含有させることができ、その際の含有割合は、組成物全量基準で通常0.1〜20質量%である。
酸化防止剤を含有させる場合の割合は、組成物全量基準で、通常0.01〜5質量%である。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、β−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリルが挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロアルキルエーテルが挙げられる。
金属系清浄剤としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のスルホネート、フィネート、サリシレート、ホスホネートが挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、イミダゾール系化合物が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステルが挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤が挙げられる。
これらの添加剤を含有させる場合の割合は、組成物全量基準で、流動性向上剤、金属系清浄剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤ではそれぞれ通常0.005〜5質量%、金属不活性化剤では通常0.005〜1質量%、消泡剤では通常0.0005〜1質量%である。
実施例1〜3及び比較例1〜3
表1に示す各種潤滑油基油を用い、表2に示す実施例1〜3の組成により本発明の緩衝器用油圧作動油組成物を調製した。
この組成物に対して、以下に示す摩擦試験及び二輪自動車を用いた実車乗り心地評価試験を実施した。結果を表2に示す。また、比較のための比較例1〜3の組成物を調製し、同様の試験を行った。結果を表2に示す。
バウデン試験機を用い、厚さ約2mmのニトリル系シール材を直径10mmの穴の開いたホルダーに敷き、その上から1/2インチの鋼球を押し付けた状態で固定(潤滑部は半球状となる)し、試験油を数滴滴下したクロムメッキ鋼板の上に設置した。これに9.8Nの荷重をかけ、室温、滑り速度4mm/s、10mmのストロークで往復動させ、滑り始めの摩擦係数μi、ストローク中間の摩擦係数μdをそれぞれ測定した。
なお、μdが高いほどシール材−鋼材間の摩擦係数を高くコントロールし易く、スティックスリップ特性の指標であるμi/μd値が1.05〜1.10の範囲であれば、従来のスティックスリップ防止性を備える一般的な緩衝器用油圧作動油組成物に相当し、1.10を超える場合はスティックスリップが特に発生し易い傾向にあり、1.05未満の場合、特に1.00以下の場合には、スティックスリップ防止性に特に優れる。
(実車乗り心地評価)
緩衝器用油圧作動油を封入した緩衝器を、二輪車(タイプ)のフロントフォークに装着し、以下の運転条件で運転した場合の乗り心地を評価した。
乗り心地の評価は、運転者2名以上により、以下の項目について個別に評価され、各運転者の平均評点を比較した。
直進安定性:評点0〜5(最良:5)、減衰感及びストローク感:評点0〜5(最良:5)
なお、上記直線安定性は、直進安定性に関する乗り心地感を、減衰感及びストローク感は、緩衝方向の沈み込み・浮き上がりによる振動の吸収特性に関する乗り心地感を示す。
Claims (6)
- パラフィン系鉱油及び/又はナフテン系鉱油を含有する潤滑油基油を含み、該潤滑油基油の%CNが28以上、%CP/%CNが1.0〜2.4であることを特徴とする緩衝器用油圧作動油組成物。
- 前記潤滑油基油が、合成系基油を含有する請求項1に記載の組成物。
- 前記潤滑油基油が、アニリン点95℃以下の基油からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項1又は2に記載の組成物。
- 前記潤滑油基油が、アニリン点65℃以下の基油からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項1〜3のいずれかの項に記載の組成物。
- 組成物全量基準で、リン含有摩耗防止剤をリン量換算で0.005〜0.1質量%、無灰分散剤を窒素量換算で0.0001〜0.1質量%及び摩擦調整剤を0.01〜5質量%含有する請求項1〜4のいずれかの項に記載の組成物。
- 二輪車の緩衝器用である請求項1〜5のいずれかの項に記載の組成物。
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